不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの現状は?相場や注意ポイントも解説!

会計提携第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

この記事では、不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの現状や今すぐ検討すべき理由などを解説しています。不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)を成功させるために、譲渡価額の計算方法や手続きの流れ、注意点なども知っておきましょう。

目次

  1. 不動産管理会社の概要と現状
  2. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aを検討すべき理由
  3. 不動産管理会社が株式譲渡(会社譲渡)・M&Aを行う目的
  4. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの相場と費用
  5. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの主要な流れ
  6. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの注意ポイント
  7. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの成功事例
  8. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aに関する相談先
  9. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aまとめ
  10. 不動産管理業界の成約事例一覧
  11. 不動産管理業界のM&A案件一覧
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1. 不動産管理会社の概要と現状

昨今は、不動産管理会社だけでなく、幅広い業界でM&Aが実施されています。一般的なM&Aは、対象企業の事業を買収によって得られる有用性が考えられるでしょう。

M&Aを活用すれば、事業強化・拡大、新規事業への参入、後継者不足の解決といったメリットが得られるのです。近年の不動産業界全体のM&A件数も増加傾向にあり、多くの不動産管理会社がM&Aを行っています。

不動産管理会社は、幅広い顧客の要望に対応するために、大手グループの子会社となるケースも見られます。不動産管理業界では競争も活発化しており、M&Aによる事業拡大を目指すケースも珍しくありません。

不動産管理会社の概要

不動産管理会社とは、不動産運用を総合的にサポートするのが一般的です。主に入居者のクレーム対応・家賃回収・維持管理・入居者募集など、不動産の運用で必要な業務を総合的にサポートします。

不動産投資を行うオーナーは、不動産購入をしただけでは家賃収入は望めません。入居者の募集やクレームがあれば対応し、物件が維持されるようにメンテナンス業務を定期的に行う必要があります。しかし、オーナーが全ての業務を行うのは難しいでしょう。

その際、不動産管理会社に依頼し、不動産投資のオーナーと入居者の間に立って、不動産運用を総合的にサポートするのです。

不動産管理会社は多くの業務を行うため、M&Aにより大手企業に事業譲渡するなどの手法により、安定した経営を目指すケースも多くなっています。

不動産管理会社の現状

ここでは、不動産管理会社の現状を紹介します。また、昨今の課題や今後求められる不動産管理会社のあり方を解説します。

業界全体で比較的順調に推移している

不動産業界は、土地や建物などの不動産全体に関わる業界です。不動産管理会社のほかにも、ビルやマンションを開発するデベロッパー、ハウスメーカー、不動産仲介会社、住宅販売会社などさまざまな業種が含まれます。

不動産業界は、過去にはアメリカのサブプライムローン問題やリーマン・ショックによる影響を受け、しばらくは、市場は縮小傾向でした。

しかし近年は、東京オリンピック開催などを受けて建築物の需要が高まり、不動産業界の成長も見られます。加えて住宅ローン金利の下落傾向により、不動産投資・購入の需要も高まっているでしょう。

不動産業界は景気に左右されやすいデメリットがあるものの、不動産業界全体では比較的順調に推移しているものと見られています。

需要が増加傾向にある

不動産業界では、不動産投資・購入の需要が高まっている昨今、不動産管理会社の需要も増加傾向です。

不動産投資による運用には、不動産管理会社のサポートが大きな役割を担っているのです。不動産投資は昨今ニーズも高まり、それとともに不動産管理会社に求められるサービスも向上しています。

近年は不動産投資のオーナーに対する経営上のアドバイス・提案なども積極的に実施する会社も多いでしょう。不動産投資の需要が増加傾向のため、経営面でのアドバイス・提案を受けたいオーナー側のニーズが高まっていると見られています。

こうした業務内容の拡大やサービスの向上の流れは必然的といえるでしょう。不動産管理会社は、これまで以上にトータル的なサポート体制の構築が必要です。

多様なニーズに対応できる不動産管理会社は優位に立っているため、中小規模の不動産管理会社が、生き残りをかけてM&Aを実施するケースも増えています。

2. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aを検討すべき理由

不動産管理会社の「経営がうまくいかない」「最近伸び悩んでいる」といった理由で今後に不安を感じていることでしょう。あるいは、今現在は経営者も会社も何とか乗り切る体力はあるかもしれません。

しかし、3年ほどたてば今よりも状況が悪化している可能性もあります。このようなときには、どうすればよいのか悩む前に株式譲渡(会社譲渡)を検討してみましょう。なぜ、すぐに検討するべきなのか、それには以下の3つの理由があります。
 

  1. 会社の価値が下がる前の方は売却金額が大きい
  2. 従業員や契約に大きな変更がない
  3. 会社は存続するので不動産も安心である

今、どうすればよいのかの判断基準にもなるので、それぞれ内容を見ていきましょう。

①会社の価値が下がる前の方は売却金額が大きい

不動産管理会社での株式譲渡は、「会社の価値が下がる前」に動き出す方が売却金額は大きくなります。

なぜなら、順調に市場規模が右肩上がりだった不動産事業でも、市場規模の縮小が予想されているからです。今は安心して経営ができている状態でも、今後も安定して順調に伸び続けるとは限りません。

不動産管理会社が赤字になってしまえば、株式譲渡できる相手も減ってしまいます。相手が減っている間に、徐々に経営難へ向かってしまい悪循環に陥ることもあり得ます。

そうならないためにも、厳しい市場に対抗する力がある間に、株式譲渡へ動き出す必要があるのです。したがって、会社の価値が下がる前である「今」が最適なタイミングといえるでしょう。

しかし、株式譲渡となると従業員や今の契約、保有している不動産などのことも考えなくてはならず悩むものです。次は、会社に残っている従業員や契約、保有不動産なども考えてみましょう。

②従業員や契約に大きな変更がない

不動産管理会社で株式譲渡を選べば、「従業員や契約に大きな変更はない」ことになります。経営者(株主)が変わるだけで、従業員や契約は変わりません。今まで頑張ってきた従業員と、努力してきた結果の契約をすべて守れます。

よりわかりやすく、「経営難で廃業してしまう」ケースと比較してみましょう。廃業では、従業員から契約のことまで全て今後のことを考えなければなりません。

従業員の就職活動のサポート、契約の確認などに追われてしまうのです。場合によっては、赤字になり、今後の生活にも大きな影響を与えてしまいます。

では、不動産管理会社の株式譲渡を選んだ場合は、どうなるでしょうか。

従業員はそのまま雇用契約を続けてもらえることがほとんどです。努力して得た契約にも、経営者が変わるだけで大きな変化がありません。廃業や経営難によるリスクを回避するための選択肢としても有効なのです。もう一つ、忘れてはいけないのが、保有している不動産です。次の項目で確認しましょう。

③会社は存続するので不動産も安心である

不動産管理会社で株式譲渡を選べば、「会社は存続するので保有している不動産も安心」です。

株式譲渡では、会社にある不動産も譲渡範囲に含みます。わざわざそれぞれを売却しておく必要はありません。

M&Aによって買い手を見つけて株式譲渡するときには、所持している不動産が重要な決め手となります。買い手の求める不動産を保有していれば、高い評価を得られるので売却金額も高くなりやすいです。

例えば、保有している不動産を株式譲渡の前に個人売却するとします。売却して得た金額は株主に配当しますが、税金によってあまり大きな金額にはならないことがほとんどです。

それでは、会社と一緒に保有不動産を譲渡したらどうなるでしょうか。

不動産を保有したままの株式譲渡であれば、不動産に関する手続きもなく、個人の譲渡所得に関する税金だけですみます。節税としても効果的なのです。

今なら、後継者がいなくてもM&Aを選んで、買い手を見つけることで事業承継も問題なく進みます。廃業するよりも不動産の処分コストの必要がない株式譲渡を選び、会社を存続させる方がメリットは多いでしょう。

ここまで、なぜ、不動産管理会社で株式譲渡をするべきなのかをお伝えしました。

しかし、株式譲渡が本当に成功するのか不安に感じている人も多くいるかもしれません。そこで、次の項で成功事例を見ていきましょう。

【関連】マンション管理会社の株式譲渡・会社譲渡!手法の違いを解説!どのスキームが得?

3. 不動産管理会社が株式譲渡(会社譲渡)・M&Aを行う目的

不動産管理会社が株式譲渡(会社譲渡)、M&Aを行う目的に関しては、相互関連性が見られるものの、以下の3つが考えられます。それぞれ詳しく紹介しましょう。

競争力の強化を目的とするM&A

不動産管理会社を存続させるためには、多様化するニーズへ随時、対応していかなければなりません。したがってこれまで以上にトータルサポートの実現が必要となるでしょう。

中小規模の不動産管理会社は自社のノウハウだけでは、大手企業のような総合的なサポートができずに競争に負けてしまう可能性が高いです。

そこで不動産管理事業を行う会社とのM&Aによって、ノウハウとサービス体制を生かしながら、トータル的なサポート実現を目指すケースが増加するでしょう。自社において競争力に懸念材料を抱えているならば、M&Aを検討するのが有効策といえます。

事業拡大・顧客基盤拡充を目的とするM&A

不動産管理の業界では、事業拡大・顧客基盤拡充を目的とするM&Aを行う場合も多く見られます。例えば、グループ内で不動産管理事業を行っている会社が、M&Aによって事業拡大や顧客基盤拡充などにつなげるといったケースです。

関連事業を行う会社とのM&Aで、多様化するニーズに対応できる可能性も高くなり、自社の競争力強化も図れるようになるでしょう。不動産管理会社と、それ以外の業務が得意な会社がM&Aを実施すれば、各会社の特化分野を相互に生かしつつ競争力強化が狙えるのです。

このように自社で新しく事業をスタートするよりも、すでにその事業を行っている会社とM&Aを実施した方が、効率的に事業拡大ができます。したがって通常よりも短期間でその事業に新規参入する可能性が高まるのです。

経営課題の解決を目的とするM&A

不動産管理会社では、経営上の問題を解決するためにM&Aを選択するケースも増えてきています。特に中小企業の不動産管理会社の場合、経営が不安定になりやすいでしょう。さらには、後継者問題で、事業継続が困難となるケースも多くあります。

こうした問題を解決するため、多くの会社はM&Aを活用しています。特に近年は、経営者の高齢化が増加しており、後継者が見つからずスムーズに引退できないケースが深刻化しているのが現状です。

事業を引き継いでもらえば、身近に不動産管理会社の後継者がいなくても会社を存続させられるのです。これを対処するためにM&Aを活用すれば、経営者も安心して引退でき、後継者不足の問題を解決できるといったメリットも享受できるでしょう。

  • 不動産管理会社のM&A・事業承継

4. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの相場と費用

不動産管理会社で株式譲渡の譲渡価額を計算する方法は、以下の3つです。
 

  • コストアプローチ
  • マーケットアプローチ
  • インカムアプローチ

コストアプローチは、株式譲渡する会社の純資産をもとに株価を算定します。細かいルールはありますが、会社の純資産から法人税を引いた額が譲渡価格の目安です。

次に、マーケットアプローチは、市場での企業価値から株価を算定します。上場している場合には株式市場の価値が、非上場企業では類似の上場企業の価値が譲渡価格の目安となるでしょう。

最後にインカムアプローチでは、会社が将来獲得する利益やキャッシュフローをもとに今の価値を算定します。どれだけ成長するのかを指針とするので、最も使われる方法です。

ただし、どの方法で算定するにしても目安としかなりません。なぜなら、株式譲渡では自社の資産や株価だけではなく、買い手となる譲渡先の意見が大きく影響するからです。

【関連】M&Aの企業価値評価とは?算出方法を詳しく解説!

自社の企業価値をより正確に知りたい場合は、専門家に算出を依頼するのをおすすめします。

中小・中堅規模のM&A案件を主に手掛けるM&A総合研究所では、M&Aに関する無料相談と企業価値評価の無料算定を行っています。

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5. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの主要な流れ

不動産管理会社の株式譲渡の実施手順は、簡単に説明すると株式に関する手続きがメインです。主な手順を以下にまとめました。
 

  • 譲渡制限株式でないか確認する
  • 株式譲渡承認請求をする(制限株式がある場合)
  • 株式譲渡承認決議をする(制限株式がある場合)
  • 株式譲渡について買い手と話し合いをする
  • 株式譲渡契約をする
  • 株式名簿などの書換え手続きをする
  • 株式名簿記載証明書の交付を受ける
  • アフターケアと引き継ぎをしていく(PMIのサポート)

譲渡制限付株式の場合は、やや手続きが増えてしまうことには注意しましょう。譲渡後のアフターケアも考えておきましょう。従業員からの反発や大量離職を防ぐのに効果的です。

このとき、買い手側が実施するものに、PMI(Post Merger Integration=M&A後の経営統合プロセス)があります。買い手側としてM&Aの成否を握るのは、このPMIであるともされていますので、前経営者として協力を求められた際には、可能な限り助力しましょう。

いずれにしても、不動産管理会社が株式譲渡をする際には、買い手側と協力しながら進めていくことが大切です。価格やスケジュールも話し合いが必要です。

【関連】M&Aの手法・株式譲渡の手続きを徹底解説!

しかしながら、株式譲渡をすると決めていなければ、手続きを見てもイメージしにくいものです。決断に迷っているときの相談にも、M&A仲介会社なら丁寧に答えてくれます。

ここまで、手続きの方法の流れを紹介してきました。次は、不動産管理会社の株式譲渡で失敗しないためにも、知っておきたい注意点をチェックしましょう。

6. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの注意ポイント

不動産管理会社が株式譲渡を実施する際に注意しておきたいポイントは以下です。それぞれ、どうして注意しておきたいのか、わかりやすくお伝えします。

譲渡側の5つのポイント

譲渡側のポイントをそれぞれ紹介します。

  • 人気エリアの物件があるかで価値が変わる
  • 譲渡先に対してメリットを明確にする
  • 企業価値を向上させておく
  • 時間に余裕をもって交渉する
  • 税金について考えておく

人気エリアの物件があるかで価値が変わる

1つ目のポイントが、「人気エリアの物件があるかで価値が変わる」です。

不動産管理会社であれば、複数の不動産を保有しているでしょう。その内実は、人気のあるものから、人気のないものまでさまざまでしょうが、それらの物件がどこのエリアにあるのかによって不動産の価値が大きく変わるのです。

簡単に説明すると、人気エリアの物件が多いと自然に価値が高くなります。逆に、人気エリアの物件が少ないと価値は上がりにくいです。

では、どのように物件を調べるのかを考えてみましょう。

まず、不動産管理会社が株式譲渡をする前に、物件情報を整理し、どのエリアにどれだけ物件を持っているかを知るところから始めます。

調べた際には、物件の情報をわかりやすいようにまとめておき、すぐに確認できるようにしましょう。ここでまとめたものは、譲渡先との話し合いのときに提示できるので、正確な価値を相手に伝えられます。

最後に、人気エリアをリサーチして物件の洗い出しです。洗い出ししたものは、別途、まとめておくと話し合いの際に使いやすくなります。ここで見つけた人気エリアの物件数によっては、自社の価値を考えるときにも役立つでしょう。

この物件情報の整理は、次のポイントにも大きく影響します。では、見ていきましょう。

譲渡先に対してメリットを明確にする

2つ目のポイントが「譲渡先にメリットを明確にする」です。買い手に対し、自社にどのようなメリットがあるのかを明確にして伝えることは、売却金額にも大きく関わります。

仮に、人気エリアに多数の物件を持っているなら、買い手側の企業にとって大きなメリットです。物件の数や場所などの細かい情報を調べてまとめておけば、よい印象を与えられるほか、メリットを明確に伝えやすいです。

ほかにも、多くの物件を扱っているなら、幅広く物件を取り扱い、事業拡大を狙う買い手側企業のメリットになるでしょう。保有している物件数をまとめたものが用意できていたら、そのままリストを使ってアプローチできます。

このように、不動産管理会社の株式譲渡は、買い手側にどれだけのメリットを提示できるかで成功率や成約内容が変わるのです。メリットの数だけ、成功率と売却金額を高められると考えてみましょう。

不動産管理会社に限らず、株式譲渡は大きな金額が動く重要な取引といえます。感覚で決めることは、ほとんどありません。

したがって、メリットを明確にし、最大限に活用するのは不可欠な要素です。自社の持ち味を生かした素晴らしさを、存分に伝えられるように調べてみるようにします。

どこがセールスポイントになるのか迷ったときにも、物件のリスト化、人気エリア物件のリスト化を試してみるとよいでしょう。

企業価値を向上させておく

不動産管理会社のM&Aを検討するならば、自社の企業価値を高めておくのが大切です。自社の企業価値を高めると、希望価格での売却が可能となるでしょう。企業価値を高める際は、従業員・取引先に着目するようにしましょう。

従業員は、事業に関連する技術や資格を持つなど有能な従業員数が多いほど、買い手側にとって魅力的な会社となります。大手企業や魅力的な企業が取引先であったり、大きなシェアを持っていたりすれば、企業価値の向上につながるでしょう。

まずは従業員・取引先・シェアなどの要素に着目して自社の企業価値を高めておくのが大切です。

時間に余裕をもって交渉する

4つ目のポイントが、「時間に余裕をもって交渉する」ことです。時間に余裕を持って交渉できれば、トラブルを未然に防げるほか、譲渡もスムーズに進みます。

株式譲渡は大きな金額が動くものとお伝えしました。つまり、簡単に契約へ進まないことから、長い時間を必要とします。合意するまでに何度も相談しなければならないことや、そもそも買い手を見つけるのが難しいケースもあります。

買い手を見つけられても話し合いの結果、双方の意見が合わなければ株式譲渡は成立しません

そこで、時間に余裕を持って交渉すると、以下の利点が得られます。
 

  • 自社の持つメリットを明確に伝えられること
  • 契約範囲の漏れによるトラブルを防ぐこと

焦っていては伝えたいことが伝わらないので、交渉にもならないことも少なくないのです。したがって、時間の余裕を持って交渉に望みましょう。

それでも、時間に余裕がなく、不動産管理会社の株式譲渡を素早く進めたいケースもあるでしょう。そこで、便利なのが専門家に相談する方法です。

M&A仲介会社などの専門家に自身の希望を伝えれば、買い手候補を丁寧に報告してくれます。手続きの疑問点にもすぐに回答してもらえるので、順序よく進められて時間短縮できるでしょう。

税金に関して詳しく教えてもらえるのも、専門家に相談する大きなメリットです。次のポイントでも触れるので確認しましょう。

税金について考えておく

5つ目のポイントが「税金について考えておく」です。大きな金額が動く株式譲渡では、節税に関して考えておく必要があります。

なぜなら、保有している不動産によっては株式譲渡の売却金額が高くなるので、その分、「税金も高くなる」からです。

不動産管理会社の株式を譲渡するのが経営者個人の場合は、譲渡所得税が課税されます。株式所有者が法人だった場合に課税されるのは、法人税です。

法人の場合は、特に売却金額によって税金の額面が変わります。保有している不動産や、資産によっても大きく異なる部分ですから、注意しましょう。

以下の記事では、株式譲渡の際の詳しい税金の内訳などを細かく紹介しています。

譲受側の3つのポイント

譲受側のポイントを詳しく紹介します。

  • 大きなシナジーの獲得が見込める相手先を選ぶ
  • 買収の相場・費用を念入りに把握しておく
  • デューデリジェンスを徹底する

大きなシナジーの獲得が見込める相手先を選ぶ

不動産管理会社の譲受側は強化したい・参入したい分野など、大きなシナジー効果が獲得できる相手先を選ぶようすると良いでしょう。不動産管理会社が同業の会社を買収できれば、事業やエリアの拡大が見込めるため、競争力強化につなげられます。

不動産管理事業は今後さらにニーズが増えるとされているため、M&Aを活用するケースも多くなるでしょう。自社がまだ進出していない事業エリアに実績のある会社を買収すれば、短期間に事業エリアを拡大できる可能性が高くなります。

このように不動産管理会社を買収すれば、競争力や事業基盤強化といった相乗効果によるメリットが得られます。しかし、メリットを生かすためには事前にM&A戦略を策定しておかなければなりません。

買収の相場・費用を念入りに把握しておく

M&Aの譲受側は、買収の相場・費用を念入りに把握しておくようにしましょう。M&Aでは買収費用や仲介会社などに支払う仲介費用を合わせると、多くの金額を支払う必要があるからです。

M&Aによる買収を検討する際は、M&A専門家に相談のうえ、あらかじめ確認しておくことが大切といえるでしょう。

デューデリジェンスを徹底する

M&Aを実施する際、譲受側はデューデリジェンスを怠らずに行うようにしましょう。デューデリジェンスとは、相手企業の価値やリスクがないかどうかを事前に調査するものです。

デューデリジェンスをしっかりと行いと、期待した収益を得られなかったり、簿外債務や隠れた債務によるトラブルが発生したりする可能性も高くなります。

将来的にこのような問題が発生すると、譲受側は大きな不利益を被ってしまうでしょう。したがってM&Aの際は、デューデリジェンスを怠らずに実施するのが重要といえます。

【関連】株式譲渡の税金まとめ!税金の種類と計算方法を徹底解説!

7. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの成功事例

不動産管理会社の株式譲渡は、規模を問わず行われています。事業拡大のためや新規物件確保のために買い手が多くいるからです。ここでは不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aの成功事例を紹介します。

オリックスと大京の株式譲渡(会社譲渡)・M&A事例

オリックスは2018年10月、大京の普通株式をTOB(株式公開買付け)により取得しました。オリックスはリース事業や金融サービス、不動産事業などを行う会社です。対象会社である大京は、ライオンズマンションをはじめとするマンション開発、不動産管理事業を展開する会社です。

2019年1月に大京は上場廃止となり、オリックスの完全子会社となりました。したがって、オリックスと大京は経営の一体性が進み、両社の連携が強められます。

今までは各々上場企業として活躍を続けてきましたが、今回のM&Aにより、これまで以上に緊密な協業が行われるなどのメリットを実現し、事業の拡大・成長を目指します。

ケイアイスター不動産とフレスコの株式譲渡(会社譲渡)・M&A事例

ケイアイスター不動産は2018年8月、フレスコの全ての株式を取得し、連結子会社化しました。ケイアイスター不動産は埼玉県本庄市に拠点を構え、戸建分譲事業・注文住宅事業・管理事業をメインに行っている会社です。対象会社であるフレスコは、千葉県千葉市を中心に戸建住宅の分譲事業や注文住宅事業を行っています。

ケイアイスター不動産は、地域密着型の総合不動産企業として関東全域で多角的な事業を進めるためにM&Aを行いました。今回のM&Aにより、双方の連携で戸建分譲事業の拡充による成長、グループにおける事業拡大の加速化を目指します(その後、2021年6月、ケイエイスター不動産はフレスコの全ての株式を、フレスコ自身に譲渡することを決定しました)。

大京と穴吹工務店の株式譲渡(会社譲渡)・M&A事例

大京は2013年3月、穴吹工務店を買収しました。大京はマンション分譲から仲介・管理・工事・リフォームまでを行う会社です。対象会社の穴吹工務店は香川県高松市にある会社で、不動産開発や不動産販売を行い、「サーパス」ブランドのマンションを地方都市を主体に展開していました。

このM&Aは、穴吹工務店の全株を保有するジェイ・エル・ケイから取得し、完全子会社となります。今回のM&Aにより、首都圏に強みを持つ大京にとって地方への事業エリア拡大・顧客基盤拡充・事業拡大を果たせます。

売上高約1億円のマンション管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&A事例

売上高約1億円のマンション管理会社が株式譲渡したケースを紹介します。売り手側は、売上高1億円規模のマンション管理会社で、創業社長で後継者不足に悩んでおり、後継者を見つけるためにM&A(会社譲渡)を望んでいました。

一方、買い手側は売上高非公開のマンション管理会社で、同業他社の買収により事業規模の拡大が目的で、見極めを必要としたことからM&Aを選択しました。

両社の目的がうまく折り合い、買い手側と売り手側の不動産管理会社は話し合いを進め、話し合いの中で、売り手側が事業拡大になる不動産を所有していることがわかります。

売り手側の目的である後継者問題も解消し、お互いが納得できる条件をまとめて株式譲渡が行われたのです。

このように、株式譲渡(会社譲渡)が頻繁に行われている業界では、多くのM&Aの成功事例があります。事業承継や経営課題の解決も可能ですから、まずは気軽にM&A仲介会社に相談をして、事例を聞いてみるのもよいでしょう。

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8. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aに関する相談先

不動産管理会社の株式譲渡にかかる税金の計算が難しい場合や、もっと細かく自社でのケースを知りたいと考えた際には、早めにM&A仲介会社に相談するのがおすすめです。

M&A仲介会社では多くの知識を持っていることから、細かく算定し節税の方法までアドバイスしてもらえます。不動産管理会社の株式譲渡では、時間がかかるほど経営難に陥り売却金額が下がってしまう可能性があるのも気になるところです。

どのM&A仲介会社にするか迷っている場合には、M&A総合研究所にご相談ください。

中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所では、不動産管理会社の株式譲渡に豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが専任となって、成約までフルサポートいたします。通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、成約まで最短3カ月といった早い実績を持つのもM&A総合研究所の大きな特徴です。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談を受けつけておりますので、不動産管理会社の株式譲渡を検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

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9. 不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)・M&Aまとめ

不動産管理会社の株式譲渡のタイミングは、今からでも遅くありません。同業他社を中心に事業拡大を進めているところも多いので、買い手も見つかりやすいです。

経営難になる前に手続きを進める自信がない人は、M&A仲介会社に相談してみましょう。早めのアクションが高額取引の鍵ですから、タイミングを見逃す前に行動するのが大切です。

10. 不動産管理業界の成約事例一覧

11. 不動産管理業界のM&A案件一覧

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