事業承継における自社株の株価引き下げ方法!自社株買いのメリットは

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業承継に自社株を贈与または相続する場合は税金が課せられます。税金対策として株価の引き下げが有効です。また、自社株買いも事業にメリットをもたらします。事業承継に対する税金対策としての株価引き下げや自社株買いについて解説します。

目次

  1. 事業承継の自社株の株価引き下げ方法を解説!
  2. 事業承継の自社株の株価引き下げ方法①類似業種株価
  3. 事業承継の自社株の株価引き下げ方法②純資産株価
  4. 自社株買いで株価をどれぐらい下げれる?
  5. 事業継承における自社株買いのメリットとは?
  6. 【まとめ】事業承継における自社株の株価引き下げ方法
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1. 事業承継の自社株の株価引き下げ方法を解説!

事業承継の自社株の株価引き下げ方法

経営者が事業承継を行う場合には、多くの課題がある事はご存知かと思います。事業承継の大きな課題の中の一つとして自社株を譲り渡すケースがあります。

自社株贈与や自社株相続での事業承継の場合は、贈与税や相続税が最大で55%という高額な税率を負担する必要があるため、思い描いた通りに事業承継が進まない場合が多くあります。

自社株の贈与・相続では株価引き下げが必須!

自社株贈与や自社株相続での事業承継を進める場合、自社株式の評価が株価算定により高く設定された場合は、自社株贈与や自社株相続の税率が高くなる可能性が高まります。

そのため、自社株贈与や自社株相続で事業承継を進めるにあたり、株価評価が低くなるよう自社株評価を下げる事が重要となります。またそれ以外にも事業承継税制などを活用する事で計画的に相続することも重要です。

事業承継税制とは

事業承継の税金対策に国が進めている事業承継対策として「事業承継税制」というものがあります。事業承継税制の活用は事業者にはメリットがある制度です。自社株贈与や自社株相続に対応した事業承継税制などを利用する事で節税する事が見込まれます。

事業承継税制とは、経営を後継する相続人などが円滑化法で認定されている非上場会社から自社株贈与・自社株相続により株式などを取得した時に、贈与税や相続税の納付が一定の要件を満たすことで納税を猶予される制度です。

事業承継税制は平成30年度の税制改正で、総株式数の3分の2までが対象となる納税猶予の非上場株式等の制限の撤廃、納税猶予割合の80%から100%の引上げなどの10年間の特別措置が設立されました。ぜひ事業承継税制も活用したいものです。

事業承継税制を利用するには、企業が所在している都道府県庁などに「特例承継計画」などを提出している必要があります。

事業承継税制については国税庁のホームーページなどに詳しく説明があります。事業承継税制も活用する場合にもやはり計画をもって進めるとよいでしょう。

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自社株の株価が上がるのはなぜ?

自社株贈与や自社株相続を行う際に関わる自社株ですが、それでは自社株の株式評価が上がる時というのはどういった原因があるのでしょうか。

要因として考えられるのが、創業時からの利益が着実に積み上げられているということや、自社でしか開発ができない技術力を保有している、建物や設備、機械など保有している資産の価値が高い、購入した有価証券の値上がり土地価格の高騰などがあります。

株価評価の算定方法は?

一部上場など株式が上場されている企業の場合は、証券取引所で株が売買されるので株価評価をすぐに分かることが出来ます。しかし、上場などをしていない証券取引所などで取り扱われない企業の株価評価とはどのように決められているのでしょうか。

上場などを行っていない株式会社の株価評価の決め方は国税庁が示している財産評価基本通達の取引相場のない株式等の評価を基準として算出されています。

株式評価にともなう株価算定方法には、類似業種比準価額純資産価額の二つの方式で基本的に計算されます。詳しい説明は後ほど解説しますが、株価算定は両方または一方を使用して株式評価されます。

含み益が認められた場合は、法人税額等相当額が控除されますが課税はされます。なお、基本的には会社の規模が大きいほど類似業種比準価額の評価割合が高くなる傾向にあります。

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2. 事業承継の自社株の株価引き下げ方法①類似業種株価

類似業種株価

事業承継で自社株贈与や自社株相続を予定している場合は、自社株の株価価格を引き下げる事にメリットがあるという事がわかりました。また、自社株が非上場である場合、株価評価は類似業種非準方式で株価算定されることもわかりました。

類似業種比準方式で株価算定された株価評価は、上場企業の株価評価との比較が行われるため、証券取引所などで扱われている株価評価と近い株価で計算されます。一般的には純資産価額で計算された株価算定の株価評価よりは株価は低くなります。

類似業種株価とは?

類似業種比準価額の株式評価の株価算定方法は、1株当たりの配当金額と年利益金額、そして純資産価額という3つの要素に加えて類似業種における3要素と比較することで算出されます。

株価評価引き下げ方法

それでは類似業種株価に対応した株価評価の引き下げ方法として以下の対策が有効的だとされています。それぞれの対策について簡単にですが解説していきます。
 

  • 役員報酬の引き上げを行う
  • 退職金の支給を行う
  • 株式配当金を低く設定すること
  • 会社として生命保険に加入すること
  • 資産や不良債権を使う

役員報酬の引き上げを行う

最初に自社株評価を下げる対策としての方法は役員報酬の引き上げを行うという方法です。その理由として役員報酬は損金として計算されるからです。

損金で計算された役員報酬はそのまま会社の利益額を下がるメリットがあります。会社の利益額が減少すれば株式算定された株式評価も下がるという訳です。

しかしながら、役員報酬の金額は定款で定めている場合が一般的です。定款を超える役員報酬の増額は会社法違反に触れる可能性もあるので定款に従って増額するとよいでしょう。

また、事業年度途中の場合に役員報酬を増額した場合は損金として計算することができませんので注意が必要です。自社株贈与や自社株相続における事業承継には計画性をもって取り組むことが重要です。

退職金の支給を行う

自社株評価を下げる対策方法の一つに役員に退職金を支給するという方法があります。この役員の退職金も報酬と同じく損金として計算することができるからです。

例えば、株式総会を経た後に経営者などの役員が相談役などの役職に就くために、一時的に退職する事で退職金を支払うという方法があります。

退職金の金額については、会社の利益や規模などから計算されるべきで、相応しくない退職金が支払われていた場合には、税務署などの調査が入る場合もあるそうです。役員報酬の増額と含めて専門家に相談するとスムーズに進める事ができるでしょう。

株式配当金を低く設定すること

未公開株は自社株の配当率が高い傾向があります。株式算定による株式評価の下げ方として単純な方法に自社株に対する配当金を下げるという方法があります。自社株の配当金を下げる事により株式評価が下がるからです。

株主総会で配当率の引き下げを行う事ができます。また、自社株をオーナーが全て保有している場合は配当額の変更は容易です。配当金をゼロにするといった配当率の引き下げも可能です。

なおこちらの方法は、自社株の配当金が高い場合にメリットがある対策となりますので、最初から低い場合はメリットはあまり見込めません。

会社として生命保険に加入すること

株価算定の計算を低く見積もる方法としては会社として生命保険に加入する対策方法があります。生命保険は会社の損金として計算することができるためです。会社の損金となれば会社の利益が減り株式評価を下げることができます。

ただし、保険加入には注意が必要です。それは加入した保険が損金として計算できるかどうかといった問題があるからです。

一般的には掛け捨て保険などの定期保険は損金として計算できますが、終身保険のように保険金を必ず受け取れる保険や一定額が定期的に受け取れる保険などは損金として計算することは困難なようです。

会社として保険に加入することがある場合は、自社株の株式評価や事業承継など先のことまで計画して検討するとメリットが大きいでしょう。

資産や不良債権を使う

最後に株価算定を下げる対策方法としてあげられるのが資産や不良債権を使う方法です。自社で含み損のある資産や不良債権を保有している場合は株価算定を引き下げ、株式評価が低くなります。

含み損のある資産を保有していてもメリットがあるわけではありません。低い価格で資産を売り払うことにより、評価されている額よりも手元に残る現金が目減りし譲渡損失が生まれます。それを原因として株式評価は低くなるはずです。

不良債権も含み損のある資産と同じ要領です。貸し倒れなどの損失が認められる不良債権を会社に計上することで利益を低く計算することを可能としています。

3. 事業承継の自社株の株価引き下げ方法②純資産株価

純資産株価

事業承継にともなる自社株贈与や自社株相続の税率引き下げ対策を類似業種株価の計算方法から見てきました。類似業種株価は工夫次第で株価算定を低く計算させる方法が多くあります。そして、どの対策も効果が見込まれやすいメリットがあります。

類似業種株価と比べてメリットは少なくなるものの、純資産価額でも工夫次第で純資産株価を引き下げる事ができます。ただし、場合よってはメリットが無い場合もあり、引き下げ対策を行う際には良く判断する必要があります。

純資産株価とは?

純資産価額の株式評価の株価算定方法は会社資産を相続税の評価額で算出します。相続税評価額となりますので、ほとんどの場合は時価となるようです。

純資産価額は簡単に言えば、会社の資産から負債を差し引いた金額です。会社が解散などをした場合純資産価額が株主に配当されますから、この金額を株式の価値ととらえます。

株価評価引き下げ方法

それでは株価評価を引き下げる方法はどのような事が考えられるのでしょうか。それぞれに項目を上げて簡単に説明させて頂きます。
 

  • 相続税評価を行う純資産を少なくする
  • 発行株式数を増やす

相続税評価を行う純資産を少なくする

株価評価を下げる対策方法としては、相続税評価を行う純資産を少なくする方法です。資産とは土地や建物、機械などがあります。そうした純資産の売却などを行い減らすことで株価評価を下げます

所得から4年以上経過している土地や建物については、路線価と固定資産税による評価額から計算された相続税評価額が決められています。よって時価よりは若干低めとなるようです。

土地や建物などの不動産の評価額や売却などで純資産を少なくする対策は、効果がある場合とない場合がありますので専門家などと相談して進めていくとよいでしょう。

発行株式数を増やす

純資産価額方式で計算される株式評価は株式の発行数で決定されます。ゆえに発行株式数を増やすことで自社株の株式評価を下げる対策方法があります。

しかし、自社株の株式を増加させるためには、第三者に新たな株式を買う権利を与えたり、第三者割当増資といった手続きを行う必要があります。

そうした場合、全ての自社株を保有できないというデメリットや配当金の支払い義務が発生じるなど総合的に見るとメリットがない場合もあります。

ここで今回例に挙げた、類似業種比準価額と純資産価額における株式評価引き下げ対策としての方法と効果の一覧にまとめます。

 







退



























使
















類似業種
比準価額
有効 有効 有効 有効 有効 無効 有効
純資産価額 有効 有効 有効 有効 無効 有効 有効

 

4. 自社株買いで株価をどれぐらい下げれる?

自社株買いで株価が下がる

企業が自社株買いを行うと株式が高騰するというのが一般的です。それは企業が自社株買いを行う事で株式1株当たりの純利益を計算するための発行済株式数が減ってしまい、それにより株式1株に対する純利益が上昇するためです。

自社株買いをした企業は自社株を保有する場合が一般的となりますが、最終的には「処分」か「消却」といった方法をとります。

自社株買いをした株式を処分した場合は株価の下落を招くケースがあります。それは自社株買いをした株式を処分すると株式1株当たりの純利益が減少する場合があるからです。

一方で自社株買いを行った自己株の消却は株式1株当たりの株式価値の低下の恐れがなくなるため株価に影響がありません

そのため、事業承継による自社株贈与や自社株相続をもくろみ自社株買いで株価を下げる場合には、自社株買いからの「処分」を行う方法も視野に入れるとよいかもしれません。

また、自己株は純資産においてはマイナスの項目となっているため、自己株買いを行うと純資産が減少するといった現象が発生します。

5. 事業継承における自社株買いのメリットとは?

自社株買いのメリットは

それでは事業承継における自社株買いのメリットとはどんな要因が考えられるでしょうか。考えられるメリットとして以下の項目について解説していきます。
 

  • 株主への還元対策になる
  • ストックオプション(従業員持ち株制度)
  • 敵対的買収の防衛策

株主への還元対策になる

事業承継を狙うにあたり自社株買いを実施すると、株式1株当たりに対する利益や株主資本利益が著しく改善させることができます。そのため株主への利益を還元する対策が行える場合があります。

ストックオプション(従業員持ち株制度)

自社株買いを行う事で従業員持ち株制度であるストックオプションを行える場合もあります。自社株買いで株式を取得し、取得した株式をストックオプションに転用する事で、従業員は株式を取得する事ができます。

株式を取得した従業員は株式価格を上げるために、自身で会社の業績を上げるようとモチベーションを高く保つ事が見込まれるという訳です。

ただし、ストックオプションは利益還元率が配当に比べて低く見える場合もあるので、導入する際には計画的に行う必要があります。

敵対的買収の防衛策

自社株買いを行う事で自社株の外部流出や分散を防ぐメリットがあります。少ない株主などから自社株買いを行うと発行済み株式の数が減るため株式資本が圧縮されます。そのため、敵対的買収や外部株主からの経営に対する口出しから防衛を行うことが出来ます。

6. 【まとめ】事業承継における自社株の株価引き下げ方法

専門家などを活用するのも有効

自社株贈与や自社株相続を伴う事業承継には多くの税金が課せられるため、その対応が必要だという事がわかりました。対応には株価を低下させることが有効です。

類似業種株価の場合は役員報酬の引き上げなどで株価が下げる事ができますし、株価評価を引き下げるには資産の売却などが有効です。また、政府が取り組んでいる事業承継税制を活用する事もメリットがあるといえます。

自社株買いも株価を下げたり、それ以外のメリットも色々と見込まれます。色々とクリアしていく問題点が多い自社株贈与や自社株相続を伴う事業承継を行うには専門家などに相談しながら計画的に進めていくとよいでしょう。

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