事業承継による消費税の納税義務はある?生前贈与/相続どちらが得?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業承継には生前贈与や相続など様々な方法があります。生前贈与や相続では消費税や法人税、相続税などそれぞれ異なる納税義務があります。課税されないパターンもあります。今回はその事業承継における、消費税や納税義務についてまとめていきたいと思います。


目次

  1. 事業承継に掛かる消費税
  2. 事業承継の消費税①〜生前贈与の場合
  3. 事業承継の消費税②〜相続の場合
  4. 事業承継の消費税③〜売買の場合
  5. 事業承継の消費税に関するポイント
  6. 生前贈与の方が得なことが多い!
  7. 事業承継による消費税の納税義務まとめ
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1. 事業承継に掛かる消費税

事業承継にかかる消費税

事業承継を実施する時に気になるのが消費税や法人税の部分だと思います。

ここでは事業承継でかかる消費税と課税方式について解説していきたいと思います。

事業承継を検討の方は理解しておいた方がいいものなのでしっかりと見ていきましょう。

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消費税とは

事業承継の消費税

消費税は一般消費者でも納税義務のあるもので、事業承継の場面でももちろん納税義務があります。

2018年11月現在では、商品・サービスにかかる消費税は8%です。

消費税とは、コンビニの商品はもちろん、ホテルや飲食店で飲食代金や宿泊代金にも課税がされているものです。

事業承継による消費税の納税義務

事業承継による納税義務

事業を始める上で法人税も気になりますが、消費税の事も気にしていかなくてはいけません。

この消費税は全ての事業者が支払う納税義務はなく、売上高が1,000万円以下の小規模業者は納税義務はありません。

このようにビジネス面でも納税義務があるように、事業承継でも支払う必要があり、事業承継は会社や事業という商品に対しての対価やそれ相応の資産を受け取ることになるのでその部分に消費税が課税されます。

またこの事業承継に関しても全ての案件に納税義務を負う必要はなく納税義務がない場合もあります。

事業承継の課税方法

事業承継は「どのような方法で」「個人と法人か」などによってパターンが分かれます。

事業承継の方法を見ると「売買」「譲渡」「相続」の3種類あり、「個人から個人」「個人から法人」など対象と方法を合わせると6パターンあります。

この事業承継のパターンごとに消費税の納税義務や支払い金額も大きく変わります。

事業承継に消費税の課税資産

事業承継により、会社を売却したときに消費税が課税される資産とは具体的にどのようなものがあるのか見ていきたいと思います。

まずは有形固定資産として

  • 建物
  • 車両運搬器具
  • 器具や備品
  • 機械などの装置
  • 船舶

次に無形資産としては
  • 漁業権など
  • 特許権
  • 商標権
このようなものが事業承継では課税対象となります。

事業承継では、棚卸資産などの企業が販売目的で保有する商品など在庫と呼ばれるものや、事業承継で得た資産負債の時価総額を上回るのれん代(営業権)が課税資産として指定されます。

棚卸資産は、商品や原材料などの仕掛品なので、その量や物によって消費税の額が変動しやすいです。

事業承継の方法

事業承継の方法

事業承継には、「売買」「生前贈与」「相続」などの種類に分かれます。

この事業承継の方法により、課税方法や納税義務がかなり変わってくるのでそちらを理解しながら、どのような方法で誰と事業承継を行なうかを決めなければなりません。

ここでは事業承継の方法を解説していきます。

①生前贈与

生前贈与は「親族内事業承継」と「親族外事業承継」の2パターンあり、生前贈与で最もポピュラーなのが親族内事業承継です。

これは個人事業主や前任の経営者が自分の子供や親族に会社を譲渡するイメージで、家族や親族が後継者としとなる方法なので一番安心感がある事業承継の方法です。

自社株式の評価額が低くなっている時を見計らって、事業承継を進める事ができ、生前贈与によって、現経営者の相続財産も減少する事ができます。

しかし生前贈与を個人と法人で行う時は、みなし譲渡所得が発生する事があります。

このみなし譲渡とは、個人から法人への事業承継の場合、会社を無料で売却したとされるのでみなし譲渡所得税がかかる可能性があります。

②相続

相続による事業承継とは、経営者が亡くなり相続が発生したとき、保有していた相続財産の一部として自社株式を後継者が取得することで、遺言がない場合は、遺産分割協議によって相続人同士の話し合いで決める事になるため現経営者の希望に添わない場合があります。

また、いつ起こるかわからないことや、仮に遺言書があったとしても実際に相続が発生したときには、会社の業績や経営方針が変わっている場合もあります。

この相続での事業承継では、相続が発生した時点での基準にして評価額が査定され、相続税が課税されます。

このような不確定な要素と税負担を考えると、相続だけでの事業承継だと自社株式を後継者に承継するのはリスクが高いと言われております。

③売買

売却による事業承継では、その後の値上がりなどの心配がなく、遺留分を計算する上で対象外となるので相続や生前贈与の事業承継よりも後継者の権利が安定します。

譲渡所得税は金額や規模に関わらず一定ですが、資金調達をどのようにするかが課題となります。

事業承継の売却の方法

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2. 事業承継の消費税①〜生前贈与の場合

生前贈与の消費税

消費税は、事業を営んでいる人も売り上げに対して 納税義務がかかる場合があります。

ここでは事業承継の「生前贈与」で発生する消費税に関することをまとめていきます。

事業承継では、納税義務が課せられる場合と納税義務が課せられない場合があるのでしっかりと理解をしておくことが大切です。

期間と課税売上高の要件

まず消費税の仕組みですが、年間の売上高が1000万円以上あるかどうかで納税義務の有無が分かれますが、これは2年前の売上高を見て納税義務が判断されます。

個人事業主の場合、課税期間が1月から12月となっていて対象の年の課税売上高が1000万円以上の場合には、2年後に消費税の納税義務が課せられます。

この消費税の納税義務を事業主が生きている間に他の後継者に事業承継した場合を見ていきたいと思います。

事業承継をするという事は「譲渡者の事業廃止」と「譲受者の事業の開始」を意味するもので、後継者が事業承継する前に事業を起こしていないとしたら、事業承継をして、「開業」という形になります。

この場合の消費税ですが、原則として、開業後2年以内は消費税の納税義務は発生しないです。

また開業して何年経っても売上高が1000万円を超えなければ、その後も消費税の納税義務がありません。

3. 事業承継の消費税②〜相続の場合

事業承継の相続による消費税

次に譲渡者が亡くなったあとで事業承継を受ける、「相続」の場合では消費税がどのようになるのか見ていきます。

この場合も生前贈与と同じで、「譲渡者の事業廃止」と「譲受者の事業の開始」というところは変わりありません。

ただし、消費税の課税については違いがありますので、注意しましょう。

期間と課税売上高の要件

事業承継では相続の場合でも消費税の仕組みは変わりませんので、課税期間に変動はなく、年間の課税売上高が1000万円以上のものに納税義務が課せられます。

またその課税売上高にかかる消費税を2年後に納税する事になります。

課税売上高を加算

事業承継の相続の場合、譲渡者の課税売上高にについても後継者が譲り受ける形になりますので、後継者が事業をしていない期間の会社の課税売上高も関係してきます。

例としては、平成27年に譲渡者が亡くなり、その年の譲渡者の課税売上高が700万円、後継者の課税売上高が、500万円だったとすると、譲渡者と後継者の課税売上高の合計が1200万円になります。

そのため、事業承継後の後継者は消費税の納税義務が課せられ、2年後の平成29年に消費税を収める必要があります。

相続人が複数いる場合

相続人が複数いる場合の事業承継の消費税についてですが、単独の相続の場合では、「譲渡人の基準期間の課税売上高+相続人の基準期間の売上高が1000万円以上」となっていてこの基本的な部分は変わりません。

ですが、相続人が複数の場合少し複雑になり、譲渡人の基準期間の課税売上高に各相続人の事業承継割合を乗せて計算します。

またこの時、遺産分割が確定するまでは、その割合を法定相続分として計算します。

4. 事業承継の消費税③〜売買の場合

事業承継の売買でかかる消費税とは

M&Aによる事業承継などの売買には税金が2種類課税されます。

この税金の種類とは、売却側に消費税と法人税がかかり、これは個人にではなく、企業に対してかかるものです。

法人税は売買する事業の純資産を超えたものが対象となり、消費税に関しては売却額の全てに課税される訳ではなく、課税資産と非課税資産に分けて計算されます。

売買したとき、個人から個人への事業承継場合でも個人から法人への事業承継の場合でも、売却側は所得税と消費税を払います。

必要書類

売買にて事業承継をした場合、消費税が課税されますが、消費税課税者になった場合には原則として課税制度を使い消費税を納税するのか、簡易課税制度を使い消費税を納税するのかを決めます。

この課税制度や簡易課税制度を使うときには書類が必要になります。

ここではそんな書類を種類別に必要なケースと内容、誰がなんのために提出するのかをまとめていきます。

事業廃止届出書

事業承継をする時に、事業承継する側は「個人の廃業届出書」を廃業から1ヶ月以内に所轄の税務署長に提出しなければなりません。

またこのとき事業承継にて譲渡する側が、消費税の課税事業者である場合は「事業廃止届出書」を早めに提出する必要があり、それ以外に個人で取得していた許認可は引き継ぐ事ができないので、行政期間に廃業届を提出する必要があります。

消費税簡易課税制度選択不適用届出書

消費税簡易課税制度は、粗利が大きいほど消費税の納税額が少なくなる制度ですが、年間総売り上げが5,000万円より高い場合は使う事ができません。

また簡易課税制度で消費税を納税するより、原則課税制度で納税をした方が消費税を抑えられる方で簡易課税選択届出書を提出してしまっている場合は、この消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出することで、原則課税制度で納税する事ができます。

売り上げに対する粗利益率が10%以下の場合は、原則課税制度を使ったほうが納税額が少なくなるので原則課税制度を使って消費税を納税しましょう。

消費税課税事業者選択不適用届出書

この書類はもともと課税事業者が免税事業者に戻ろうとする時に必要になります。

免税事業者とは年間売上高が1000万円以下の事業者の事で、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日までに提出しなければなりませんので事業承継後に注意が必要です。

課税事業者の選択の効力は、この消費税課税事業者選択不適用届出書を提出するまで続くので、事業承継をして売上高が年間1000万円以下になるときには提出しておくのが良いでしょう。

消費税課税事業者選択届出書

この消費課税事業者選択届出書は免税事業者が課税事業者になる時に必要になる書類です。

免税事業者よりも節税効果がある事業としては輸入事業者で、免税事業者である場合は消費税額は0円ですが、輸入事業者の場合は課税事業者になることで、仕入れにかかった消費税を受け取る事ができます。

この消費課税事業者選択届出書のも課税期間の初日の前日までに提出する必要がありますので輸入業などの事業承継では注意が必要です。

また、課税期間中に年間1000万円以上の棚卸し資産や、調整対象固定資産が入った場合には例外として3年間に延長されますので注意が必要です。

5. 事業承継の消費税に関するポイント

事業承継の消費税のポイント一覧

ここでは事業承継にてかかる消費税に関するポイントを解説します。

事業承継を行う上でかかる消費税は変動するものが多いです。

事業承継をする上で注意すべきポイントともいえるのでしっかりと理解を深めましょう。

のれん代の金額

非上場の中小企業などが事業承継を行う場合、売却価格は純資産にのれん代という営業利益か経営利益の3〜5年分を加えた額で決定されることが多いです。

事業承継の時にこの、のれん代として評価されるノウハウなどがある場合には、消費税が課税されるのれん代も必然と大きくなってしまいます。

結果として事業承継にて大金を得ても、消費税によって自分の手元に残るお金が少なくなってしまうことがありますのでのれん代の金額が大きい場合には、事業承継以外の手法を検討するのも重要となります。

確実性のない棚卸資産

棚卸資産は毎日のように変動するもので、事業承継前に事前に棚卸資産額を決めていても、最終的な事業承継を実施する日に棚卸資産の額が変わってしまう事があります。

棚卸資産も消費税が課税される資産なので、もちろん消費税額が増える事もあります。

仮に棚卸資産を多く抱えている事業である場合は、この影響を受けるので事業承継を検討するときに注意しなければなりません。

6. 生前贈与の方が得なことが多い!

生前贈与の方が得な場合が多い

ここまで、事業承継に関する消費税の課税について解説してきましたが、事業承継で納税義務などを考えると生前贈与による、事業承継が得が多くある事が言えます。

生前贈与では、基本的な税金の課税は売買によるものと変わりませんが、対価を支払っているかどうかという部分で大きく違いが出てきます。

売却側は対価として金銭が入らないため、譲渡側は税金を支払う必要がありません。

7. 事業承継による消費税の納税義務まとめ

事業承継による消費税についてまとめます

事業承継では、M&Aの株式譲渡などとは違い、税金や消費税などが課せられることから、必要な手続きや書類が必要になります。

事業承継で支払う税金は消費税と法人税があり、消費税を算出するときには、課税資産と非課税資産に分けて課税資産のみが納税義務として課せられます。

ですが、消費税が課税されない事業承継もあります。

また、のれん代や棚卸資産、消費税率によって支払う消費税額がかなり異なるということを理解しておきましょう。

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