中小企業庁「経営承継円滑化法」改正!事業承継の法律相談のオススメは?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

経営承継円滑化法という法律をご存知でしょうか。経営承継円滑化法とは、主に中小企業に対し、円滑な事業承継を支援するための総合的な支援策として成立した法律で、近年改正されています。事業承継の前に、法律の基礎を押さえておきましょう。


目次

  1. 経営承継円滑化法とは?法改正について
  2. 経営承継円滑化法における遺留分に関する民法特例の詳細
  3. 経営承継円滑化法の民法特例を受けるための要件・対象者
  4. 事業承継の法律相談のオススメ3選!
  5. 中小企業庁「経営承継円滑化法」改正!まとめ

1. 経営承継円滑化法とは?法改正について

経営承継円滑化法とは

出典: https://www.tadapic.com/

経営承継円滑化法とは、主に中小企業に対し、円滑な経営承継を支援するために、相続時の遺産分割・資金需要や税負担に関する問題等への総合的な支援策として成立した法律です。
 
もとは平成20年に施行された法律ですが、平成30年度税制改正大綱において、この経営承継円滑化法の条文が大きく改正される運びとなりました。どのような背景で改正されることになったのでしょうか。概要を説明します。

改正された背景・目的

今回の条文改正の目的は、親族外への事業承継を円滑に行うことができるようにすること、また、中小機構の事業承継等サポート機能の強化、および小規模企業共済法の一部改正による事業承継の円滑化です。
 
従来は事業承継といえば親族内で後継者を探す事例が9割を占めていましたが、近年では、親族外の後継者による事業承継が全体の約4割まで増加しています。
このため、親族外への事業承継を円滑にするための法律・条文の改正が必要となった、というのが背景です。
 
また、中小機構という独立行政法人が、これまで中小企業に向けた施策の総合的な実施機関としての役割を果たしていましたが、従来から行っていた創業から事業再生、災害対策等の業務から、事業承継のサポート機能を今回追加しています。
中小機構は、共済や貸付け等を風組む金融支援も同時に行っているため、今回の改正により、事業承継で発生する金銭面の問題を解決しやすくしたという理由もあります。
 
また、廃業より事業承継を選んでもらうため、中小機構が運営する退職金制度である小規模企業共済をに関する法律を改正し、親族内承継も廃業と同額の共済金を支給できるようにするほか、世代交代に向け役員を退任した場合も、役員在籍時と同額の給付が支給されることになりました。
 
こうした法律・条文の改正により、廃業より事業承継を選びやすくする仕組みづくり、また、親族外へもスムーズに事業承継が行われるようなインフラ整備を行ったと言えます。
最新の事業承継の動向については、下記もご参照ください。
 

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現行制度の課題

現行の経営承継円滑化法のポイントとしては、事業承継等に当たり「遺留分減殺請求による自社株の分散」「特別受益の問題」「事前放棄制度がうまく活用されていない」などがあります。
それぞれについて解説します。

なお、その他の事業承継に関する課題については下記リンクも参照ください。

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課題①遺留分減殺請求による自社株の分散

一つ目の課題は、事業承継では自社株を後継者に集中させる必要があるにもかかわらず、遺留分減殺請求権により、自社株が分散してしまうことです。
 
遺留分とは、民法の規定で、法定相続人が最低限相続できる割合のことです。そのため、被相続人が後継者に100%株式を相続させたいという旨を遺言で残したとしても、遺留分を持つ相続人が遺留分減殺請求権を行使した場合、一定割合をその相続人に渡さなければなりません。これにより、自社株が分散してしまうという問題があります。

課題②特別受益の問題

二つ目の課題は、特別受益の問題です。
特別受益とは、共同相続人の中に被相続人から生前贈与を受けた者がいる場合に、相続人間の公平を図るために、生前贈与の分を相続財産に参入して計算し、再度各相続人の相続分を算定する仕組みです。
 
これがあることにより、事業承継のために生前に被相続人が後継者に自社株を贈与していた場合、それが特別受益とみなされ、ほかの相続人に分配されてしまうことになってしまい、遺留分と同様の問題が生じます。
 
さらに、特別受益の場合、贈与財産の評価は相続開始の時点のため、生前贈与された株式の価値が、事業の拡大等により上昇していた場合には、他者に分配される額も大きくなってしまうことになります。

課題③事前放棄制度がうまく活用されていない

三つ目の課題は事前放棄制度についてです。
課題①、②で紹介したような、現行の法律上の課題については、すでに現行の民法でも遺留分の事前放棄の制度があるため、この事前放棄制度の活用により、法律上の課題を避けることは可能です。
 
ただし、この事前放棄制度は、被後継者が家庭裁判所に申し立てし、許可審判を受ける必要があり、法律事務所に法律相談に行けばサポートしてもらえますが、放棄をする側が申し立てをするかというと疑問が残る制度であり、十分に活用されているとは言えない状況です。

認定及び継続的な確認について

上記の課題を克服するために改正された経営承継円滑化法ですが、この法律が適用されるためには、施行規則に記載の一定の要件を備える必要があります。
 
また、その要件を備えた企業・後継者であることを経済産業大臣から認定を受け、その後も継続的に確認を受ける必要があります。
 
施行規則の要件に合致しているかどうかや、認定を受けるための手続きについては、法律事務所や法律相談のできる専門機関に相談しましょう。

経営承継円滑化法のポイント

法律・条文・施行規則の改正を経て、より様々な事業承継の局面で使いやすくなった経営承継円滑化法ですが、改正された経営承継円滑化法のポイントは「事業承継税制」「金融支援制度」「遺留分に関する民法の特例」の3つです。それぞれについて概要を解説します。

経営承継円滑化法のポイント①事業承継税制

経営承継円滑化法のポイントの一つ目は事業承継税制の施行規則改正です。
事業承継税制は、特例後継者が特例認定承継会社の旧代表者から、贈与・相続等により特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合に、その取得したすべての非上場株式に対する課税価格について、その特例後継者が死亡する日までその納税を猶予する特例です。
 
また、今回の法律改正に伴い、これまでの施行規則では、1名の後継者が想定されていたところ、改正に伴い最大3名までの後継者への承継も可能になりました。また、代表者以外のものからの贈与により株式を取得する場合についても、5年以内に申請書を提出すれば特例制度の対象となります。
 
この特例制度が原則制度とどのように異なるのかについては、後程詳細について解説します。

経営承継円滑化法のポイント②金融支援制度

経営承継円滑化法では、従来より分散した自社株式の買い取りや相続税の支払い等のため資金調達を支援する制度があり、都道府県知事の認定を条件に融資などの金融支援を受けることができます。
 
また、前述の通り、今回の法律改正に伴い、経済産業省管轄の独立行政法人である中小機構によるサポート範囲が広がったことで、中小機構からの共済、貸付け等の金融支援も受けることができるようになりました。

経営承継円滑化法のポイント③遺留分に関する民法の特例

三つ目のポイントとしては遺留分に関する民法の特例です。
遺留分に関しては、前述した通り、非常に大きな課題があり、従来の経営承継円滑化法では活用が進んでいなかった分野ですが、一定の適格者が一定の要件を備えた場合に、民法特例の規定を受けることができ、遺留分特例制度の対象を親族外へ拡充することができます。
 
内容としては、原則の制度とどこが異なるのでしょうか。詳細について、次項で紹介します。

2. 経営承継円滑化法における遺留分に関する民法特例の詳細

経営承継円滑化法における民法特例の詳細

出典: https://www.tadapic.com/

法律・条文・施行規則が改正された経営承継円滑化法のポイントのうち大きな変更点である事業承継税制の特例制度及び遺留分に関する民法特例については、これまでの事業承継に当たる課題を解決するものであり、大きなメリットを持ちます。
 
ただし、これは今後10年間に限定した特例制度です。適用のためには、2023年3月31日までに、特例承継計画を各都道府県に提出する必要があります。
 
これらの特例制度については、何が原則と異なり、同制度の適用によりどのように原則制度から変化するのでしょうか。詳細を解説します。

事業承継税制の特例制度と原則制度の比較表

改正経営承継円滑化法のポイントである事業承継税制の特例制度と原則制度については、どのような差異があるのでしょうか。主な項目について簡単な表にまとめました。
 

  特例制度 原則制度
特例の対象となる株式 全ての株式 株式総数の最大3分の2
納税猶予割合 100% 贈与:100%、相続:80%
雇用確保の要件 大幅に緩和・減免措置あり 承継後5年間で
平均8割の雇用維持が必要
経営環境変化に
応じた減免
あり なし
承継パターン 複数の株主から最大3人の後継者 複数の株主から一人の後継者

 
まず特例の対象となる株式については、全株式の3分の2からすべての株式に対象が拡大されました。また、納税が猶予される割合としては、原則の制度では相続が80%に限定されていましたが、すべての場合で100%の納税猶予が受けられるようになりました。
 
また、適用されるために満たすよう県の一つとして、雇用を確保するという要件がありましたが、この雇用確保の要件が大幅に緩和されたことに加え、減免措置の制定も追加されたため、将来業績が悪化する可能性があったとしても、納税猶予を受けることができます
 
さらに、後継者が複数いることも想定されるようになり、柔軟な事業承継が可能となりました。

遺留分に関する民法特例の計算例

続いて、遺留分に関する民法特例については、経営者の生前に後継者がほかの推定相続人全員との合意を得たうえで、所定の手続きを行うことで、民法特例の適用を受けることができます。この施行規則・条文には二つの方法があります。
 
一つの方法は除外合意であり、これは生前贈与された株式等を、遺留分の対象から除外するものです。もう一つは固定合意であり、生前贈与株式等の評価額をあらかじめ固定しておくことです。
 
例えば、株式以外の資産がない場合において、4人の相続人(それぞれ直系卑属とする)がおり、生前に1人に対して贈与された株式が1,000万円だったが、それが1億円に上昇した場合について考えます。それぞれ、どのように遺留分が変化するのでしょうか。計算例を見てみましょう。

計算例①除外合意

除外合意では、生前贈与された株式は遺留分の対象から除外されます。
そのため、生前贈与された一人に値上がりした1億円の株式が贈与されたままとなり、その他の3人は株式を取得することはありません(相続は0円)です。

計算例②固定合意

固定合意では、生前贈与された株式の価値をあらかじめ固定しておきます。
そのため、贈与された株式のうち遺留分の対象となるのはは1,000万円であり、その1,000万円に対し、残りの3人が8分の1(1/4×1/2)ずつ遺留分を持つため、合計375万円が相続されることとなります。生前贈与を受けた1人は、1億円のうち、残りの9,625万円を確実に手中化することができます。
 
実際に民法特例の施行規則適用を受けようと考える場合には、法律相談所や法律事務所のほか、専門的な機関で手続きの詳細や認定要件等についてご確認ください。

3. 経営承継円滑化法の民法特例を受けるための要件・対象者

民法特例を受けるための要件等

出典: https://www.tadapic.com/

経営承継円滑化法の民法特例を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。
 
その要件とは、特例中小企業の旧代表者が、後継者にその株式等を贈与した場合に、推定相続人の全員が合意をしたことについて、経済産業大臣の認定があること、及びその後の継続的な確認を受けることです。
 
対象者は、「特例中小企業者」「旧代表者」「後継者」です。
特例中小企業者は、中小企業のうち、一定期間以上継続して事業を行っている、経済産業省令で佐田前る要件に該当する非上場会社です。
 
旧代表者とは、特例中小企業者の代表者であったもので、その推定相続人のうち、少なくとも一人以上に対して、当該特例中小企業者の株式等を贈与したことがあるもののことです。
 
後継者とは、旧代表者の推定相続人のうち、旧代表者より、特例中小企業者の株式等の贈与を受けたもの、もしくは贈与を受けたものからその株式を取得したもので、中小企業の議決権の過半数を有する代表者である人のことです。
 
実際に特例やその他の施行規則・条文等の適用を考える場合には、次項でおすすめの法律事務所や法律相談所、その他の専門家に確認することをお勧めします。

4. 事業承継の法律相談のオススメ3選!

事業承継の法律相談おすすめ3選

出典: https://www.tadapic.com/

経営承継円滑化法の特例活用等をはじめ、事業承継には複雑な手続きが必要となることから、事業承継に当たっては法律の専門家に相談することをお勧めします。
 
法律相談のおすすめ1位はM&A総合研究所です。
M&A総合研究所は会計・税務・M&Aに強い会計士が専属で担当しているほか、法律事務所とのパイプもあるため、遺留分の特例を含め、税制上の最善策も検討しながらトータルでもっとも得をする方法をご提案することができます。無料相談も行っているので、事業承継の法律に関して相談がある場合にはぜひ一度ご連絡ください。
 
第2位は弁護士事務所への相談です。
弁護士事務所は事業承継に関し、法律がかかわることを全般的にサポートしてくれます。どのように事業承継をしたらよいか、また経営承継円滑化法の特例をどのように活用すべきかという疑問に対し、専門家の視点から回答をしてもらえるでしょう。
ただし、その後の実際の手続きについては、別の専門家が必要となることもあるため、まずは無料相談を利用してどのような情報が必要かを判断することがよいでしょう。
 
第3位は各地の商工会議所への相談です。
各地域にある商工会議所では、「法律相談窓口」を用意している場所が多くあります。事業承継をはじめとする経営上の法律に関する悩みに対し、弁護士が無料で相談に答えてくれるサービスです。
ただし、相談回数は商工会議所によって年間で5回まで等、制限されている場合があるので、注意が必要です。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

5. 中小企業庁「経営承継円滑化法」改正!まとめ

経営承継円滑化法改正まとめ

出典: https://www.tadapic.com/

改正された経営承継円滑化法のポイントは、スムーズな事業承継に大きく活用できることです。ただし、施行規則・条文・民法特例の活用には、様々な手続きや法的な要件が必要となるなど、法律事務所や法律相談所などの、法律の専門家によるサポートが必要です。
 
M&A総合研究所では、会計士が専属で担当していることに加え、法律事務所などへのパイプもあり、トータルでサポートをすることが可能です。経営承継円滑化法を活用した事業承継を検討されている場合には、ぜひ一度M&A総合研究所にご相談ください。

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