2021年08月14日更新
事業承継税制による事業承継の贈与税の猶予・免除を解説!【計算例あり】
事業承継では、引き継ぐ会社の株式や事業用資産の価値に応じた贈与税が課されます。後継者にかかる負担を抑えるためには、節税対策を把握しておくことが大切です。本記事では、事業承継税制を活用した事業承継の贈与税の猶予・免除措置について解説します。
目次
1. 事業承継税制とは
会社や事業を長く存続させるためには、適切なタイミングで事業承継を実施する必要がありますが、承継時に課される相続税・贈与税が重荷になって事業承継に二の足を踏んでしまうこともあるでしょう。
事実、多くの中小企業・個人事業主が事業承継問題を抱えており、経済産業省や中小企業庁の試算によると、2025年までに約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われるという見通しが立っています。
そこで、滞る事業承継を円滑化する目的で事業承継税制という制度が制定されました。この章では、事業承継税制の概要や平成30年の改正内容について詳しく解説します。
事業承継税制という制度とは
事業承継税制とは、事業承継に課される相続税・贈与税を猶予する制度です。本来であれば、事業承継の資産引き継ぎの際に相応の税金を納める義務が課されますが、経営承継円滑化法により都道府県知事の認定を受けることで税金負担を抑えることができます。
法人の株式を対象とする法人版と、個人事業主の事業用資産を対象とする個人事業版とがあり、中小企業を中心に事業承継問題の深刻化による日本経済に与える影響が大きいと認識されたことで、中小企業・個人事業主に向けた事業承継税制が制定されました。
猶予とはあくまで一時的な措置ですが、猶予された税金は将来的に免除されることを前提としています。
認定を受けた後も一定期間に渡って特定の要件を満たし続けることで、猶予措置を受けた税金について免除措置を受けることができます。
平成30年度の改正について
事業承継税制は平成21年に制定された制度ですが、深刻化する事業承継問題を背景に平成30年に大幅な改正が行われています。
後継者人数や猶予対象の株式制限などの要件の緩和が行われており、多くの経営者が活用できる便利な制度になりました。
なお、改正内容の適用期限は永久的なものではなく、平成30年の改正から5年以内に承継計画を提出し、10年以内に事業承継を実行する経営者が対象という限定的な措置が取られています。
なぜ改正が行われたか?改正の目的とは
事業承継税制は、中小企業・個人事業主にかかる税金負担を軽くする目的で、平成21年に制定された制度ですが、事後要件のハードルが高いことが問題視されていました。
平成25.27.29年の各年で見直しが行われていますが、一部要件が緩和されたものの依然として利用件数は限定的であり、各都道府県が公表している認定件数によると、制定された平成21年から平成28年度末までの約8年間で認定を受けた法人・事業者は累計1,965件というデータが明らかになっています。
事業承継税制を多くの経営者に利用してもらうためには、適格要件のハードルを大幅に引き下げる必要があると判断され、平成30年度の大幅改正が実施されました。
2. 事業承継税制による事業承継の贈与税の猶予・免除とは
事業承継税制を活用すると税金負担を軽くすることができますが、実際に認定を受けるとどのような措置を受けられるのでしょうか。この章では、事業承継の贈与税の猶予・免除の措置内容や具体的な手続きについて解説します。
事業承継の贈与税の猶予・免除について
事業承継税制における贈与税の猶予とは、事業承継に課される贈与税の課税タイミングについて先延ばしすることを意味します。一定の要件を満たす形で事業承継が実施されると、贈与税の支払いを遅らせることができます。
経営資源に限りがある中小企業にとっては、事業承継時の贈与税が負担になって事業資金が枯渇してしまうケースも少なくありません。あくまでも一時的な措置ですが、余計な出費を抑えることができるので、猶予の意味合いはとても大きいものといえます。
事業承継税制における贈与税の免除とは、認定を受けて猶予されていた贈与税について納税義務が消滅することを意味し、認定を受けた後も要件を満たし続けることで免除措置を受けることができます。
猶予措置を受けた段階では、一部要件を満たせなくなるなどの事由が発生すると納税義務が復活することもありますが、免除措置を受けると完全に納税義務が消滅し、贈与税を払わなくてよくなります。
事業承継の贈与税の猶予・免除の手続き
非上場の株式等に関する贈与税の猶予措置を適用させるためには、都道府県知事の認定や税務署への申告手続きが必要です。贈与税の猶予・免除を受けるまでの主な流れは以下のようになります。
【事業承継の贈与税の猶予・免除の手続き】
- 特例承継計画の作成・提出
- 代表者の交代
- 都道府県知事に認定申請
- 税務署に贈与税の申告
- 免除措置を受けるまで報告書等を提出
1.特例承継計画の作成・提出
平成30年度に改正された事業承継税制の特例措置を受けるには、特例承継計画の作成・提出が必要です。
後継者や事業承継までの全体の見通し、承継後の事業計画などを記載したもので、2018年4月1日から2023年3月31日までに提出しなくてはなりません。
特例承継計画の作成は、政府から認定されている支援機関の指導・助言が必須とされています。税理士や商工会など、政府が認定している支援機関の協力のもと、正しい手順を追って作成されたものでなければ、確認・認定を受けることができません。
なお、株式等の承継までに計画書の提出が間に合わなかった場合でも、都道府県に認定申請を行う際に合わせて提出する形でも可能とされています。
綿密に計画を練る必要があるので早期に着手することが望ましいですが、提出自体は多少前後しても問題ありません。
2.代表者の交代
都道府県知事からの確認を受けたら、代表者の交代を実施します。株式等を贈与して、現経営者の退任と後継者の新たな経営者への就任を行います。
贈与税の猶予措置の認定を受ける前なので不安があるかもしれませんが、認定申請をする前に株式等の贈与を済ませておかなくてはなりません。
3.都道府県知事に認定申請
株式等の贈与を行い経営者の交代が完了したら、都道府県知事に認定申請を行います。申請内容について厳正な審査が行われ、認定を受けると「認定書」が発行されます。
申請期限は贈与が行われた年の10月15日~翌年1月15日までです。県によっては認定の申請から認定書の発行までに2か月前後の期間を要する場合もあるので、贈与税の申告に間に合うように余裕をもって申告する形が望ましいです。
4.税務署に贈与税の申告
贈与した翌年の2月1日~3月15日までに税務署に贈与税の申告を行います。申告漏れがあると脱税を指摘される恐れもあるので、忘れずに申告しておく必要があります。
また、猶予措置を受けるために税務署に担保提供も行います。この場合、担保として提供することができる資産は以下のように定められています。
【担保として提供できる資産】
- 納税猶予の対象となる認定承継会社の特例非上場株式等の全部(譲渡制限株式であっても担保として提供できる資産として扱われる)
- 不動産、国債・地方債
- 税務署長が確実と認める有価証券
- 税務署長が確実と認める保証人の保証等
有価証券や不動産などの換金性の高い資産以外に、贈与した自社株を担保にすることが可能とされています。中小企業の非公開株式は流動性が低く換金性も悪いため、自社株を担保にするケースが多くなっています。
なお、担保提供では猶予措置を受けた贈与税、及び利子税の総額に相当することが必要とされていますが、自社株を担保としている場合に限り、総額に満たない場合でも必要担保額の提供が行われたとみなされます。
5.免除措置を受けるまで報告書等を提出
税務署への申告を終えた段階で、贈与税の猶予措置を受けることができましたが、認定を受けてから数年間は定期的に各機関に報告書を提出し続けなくてはなりません。
贈与税の申告期限から5年間は、都道府県知事に対しては特例承継計画に関する報告書、税務署に対しては継続届出書を毎年提出します。
なお、5年経過後も各機関に対して引き続き書類を提出しなくてはならないので、スケジュール確認をしておくことが大切です。
3. 事業承継税制による事業承継の贈与税の猶予・免除の内容
事業承継税制は、法人だけでなく個人事業主も活用することができます。この章では、法人が利用する場合の要件や、個人事業主が利用する場合の条件や猶予・免除の手続きを解説します。
法人の事業承継税制
法人は特例措置と一般措置の2つに分かれます。下表は従来の制度である一般措置と平成30年改正以降の特例措置を比較したものです。
特例措置 | 一般措置 | |
事前の計画策定等 | 5年以内の計画の提出 (平成30年4月1日~令和5年3月31日) |
不要 |
適用期限 | 10年以内の贈与 (平成30年1月1日~令和9年12月31日) |
なし |
対象株数 | 全株式 | 総株式数の 最大3分の2まで |
納税猶予割合 | 100% | 贈与100% 相続80% |
承継パターン | 複数株主から最大3人の後継者 | 複数株主から 1人の後継者 |
雇用確保要件 | 現行制度の弾力化 | 承継後5年間は 平均8割の雇用維持 |
事業継続が難しい 事由が生じた際の免除 |
あり | なし |
相続時精算課税の適用 | 60歳以上の者から 20歳以上の者への贈与 |
60歳以上の者から 20歳以上の推定相続人・孫への贈与 |
特例措置
2020年現在は特例措置の適用期間中であるため、各要件が緩和された特例措置を活用することができます。
一般措置との大きな違いは、納税猶予措置の対象株数が全株式となったことです。従来では最大3分の2までだったため、贈与税の全額猶予措置を受けることはできませんでしたが、改正後においては承継する全ての株式を対象にできます。
雇用確保案件の弾力化は、一般措置で定められている雇用確保案件を満たせなかった場合でも、引き続き贈与税の納税義務が猶予されるというものです。
ただし、政府から認定を受けている機関の所見等の記載がある報告書を都道府県知事へ、当該報告書及び確認書を管轄の税務署に提出しなくてはなりません。
さまざまなメリットがありますが、計画の提出が義務化されている点には注意が必要です。政府が認める士業事務所や商工会等の機関の指導・助言を受けて作成した計画を、都道府県知事に提出して認定を受ける必要があります。
一般措置
平成30年の改正以前は一般措置のみ使用可能でした。改正後のものと比較すると各要件のハードルが高くなっており、制定から約8年間経過しても累計の適用件数は限定的となっています。
改正後のものと比較した際のメリットとしては、事前の計画策定や適用期限が定められていないことが挙げられ、計画の作成・提出をすることなく適用できます。
ただし、対象株式数を始めとした各要件を比較するとデメリットが多いため、適用期限である令和9年12月31日までに贈与を実施する予定がある場合は、よほどの理由がない限りは特例措置を利用するほうが得策です。
個人事業の事業承継税制
度重なる改正を繰り返して要件の緩和や対象の拡大されていましたが、いずれも法人に限定されていました。しかし、平成31年度の改正により個人版が導入されたことで、対象範囲は個人事業主まで拡大されています。
法人版(特例措置) | 個人版 | |
事前の計画策定等 | 5年以内の計画の提出 (平成30年4月1日~令和5年3月31日) |
5年以内の計画の提出 (平成31年4月1日~令和6年3月31日) |
適用期限 | 10年以内の贈与 (平成30年1月1日~令和9年12月31日) |
10年以内の贈与 (平成31年1月1日から令和10年12月31日) |
対象資産 | 非上場株式等 | 特定事業用資産 |
納税猶予割合 | 100% | 100% |
承継パターン | 複数株主から最大3人の後継者 | 原則、1人の後継者 |
贈与要件 | 一定以上の株式等の贈与 | 特定事業用資産の 全てを贈与すること |
雇用確保要件 | あり | 雇用要件なし |
事業継続が難しい 事由が生じた際の免除 |
あり | あり (後継者が重度障害等の場合は免除) |
円滑化法認定の 有効期限 |
最初の申告期限の 翌日から5年間 |
最初の認定の 翌日から2年間 |
個人版事業承継税制の条件
個人の事業承継が法人の事業承継と大きく異なる点は、課税対象が事業用資産という点です。下記の条件を満たし認定を受けることで、事業用資産に課税される贈与税の猶予を受けられます。
【個人版事業承継税制の条件】
- 当該事業に係る特例事業用資産等の全てについて贈与を受けていること
- 正規の簿記の原則に従い帳簿書類を備え付け、青色申告を行っていること
特定事業用資産とは
特定事業用資産とは、事業に係る資産のことで、贈与が行われた年の前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されていた資産をいいます。
【特定事業用資産】
- 宅地等(400㎡まで)
- 建物(床面積800㎡まで)
- 固定資産税の課税対象とされているもの
- 自動車税・軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるもの
- その他一定のもの(貨物運送用など一定の自動車、乳牛・果樹等の生物、特許権等の 無形固定資産)
個人の事業用資産の贈与税の納税猶予・免除の流れ
特定事業用資産の納税猶予・免除措置を受けるには、一定の要件を達成していることに関して承認を受けなくてはなりません。贈与税の猶予・免除を受けるまでの基本的な流れは以下のようになります。
【個人の事業用資産の納税猶予措置を受けるまでの手続き】
- 個人事業承継計画の提出
- 贈与
- 都道府県知事に認定申請
- 開業届出書の提出・青色申告の承認・申告書の提出
- 免除措置を受けるまで報告書を提出
1.個人事業承継計画の提出
先代事業者の事業承継にあたり、具体性のある計画を記した「個人事業承継計画」を策定します。
計画書は政府からの承認を受けている機関からの所見を記載したうえで、令和6年3月31日までに都道府県知事に提出して確認を受けます。
2.贈与
本制度を活用して猶予措置を受けるためには、先代が事業に供していた全ての事業用資産の贈与を受ける必要があります。
適用期限は法人版から丸々1年ずれており、平成31年1月1日から令和10年12月31日とされています。
3.都道府県知事に認定申請
都道府県知事に認定申請をして、円滑化法に基づき認定を行ってもらいます。贈与が実施された年の翌年の1月15日までに行わなくてはなりません、
4.開業届出書の提出・青色申告の承認・申告書の提出
贈与日から1ヵ月以内に開業届出書、2ヵ月以内に青色申告の承認申請書を税務署に提出します。贈与を受ける以前からほかの業務を行っている場合は、青色申告をしようとする年分をその年の3月15日までに申請を行わなくてはなりません。
また、適用を受けるために申告書を税務署に提出します。贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、管轄に税務署に申告します。
5.免除措置を受けるまで報告書を提出
贈与税の猶予対象になった特定事業用資産は、引き続き保有することで納税の猶予が継続されます。定期的に行う報告は、3年おきに継続届出書に一定の書類を添えて提出する形となります。
定期的に行う報告は、以下のような一定の事由が生じると要件が満たせなくなったと判断されて、贈与税を納付しなくてはなりません。
- 事業を廃止した場合
- 資産管理事業又は性風俗関連特殊営業に該当した場合
- 特定事業用資産に関連する事業に関して、その年のその事業に係る事業所得の総収入金額がゼロとなった場合
- 青色申告の承認が取り消された場合
4. 事業承継税制による事業承継の贈与税の猶予・免除の計算例
事業承継税制では特例措置と一般措置を選択することができますが、両者にはどの程度の違いがあるのでしょうか。この章では、設例をもとに事業承継税制の特例措置と一般措置の計算例をみていきます。
【設例】
- 株価総額5億円(先代事業者が100%所有)
- 後継者に100%の株式を贈与
- 相続時精算課税により2500万円分が非課税対象、超過分は一律20%
特例措置の計算例
事業承継税制の特例措置では、猶予されている贈与税について全額の猶予措置を受けられます。そのため、納税額から納税猶予税額を差し引いて、納付税額は0円という結果になります。
【特例措置の贈与税の計算例】
- 贈与税額・・・(5億円-2500万円)×20%=9500万円
- 納税猶予税額・・・(5億円-2500万円)×20%=9500万円
- 納付税額・・・9500万円(贈与税額)-9500万円(納税猶予税額)=0円
一般措置の計算例
一般措置を適用した場合、対象株数は最大で総株式数の3分の2までです。そのため、全額の猶予措置を受けることができず、約1/3相当の贈与税の納税義務が課されます。
【一般措置の贈与税の計算例】
- 贈与税額・・・(5億円-2500万円)×20%=9500万円
- 納税猶予税額・・・(5億円×2/3-2500万円)×20%=6166万円
- 納付税額・・・9500万円(贈与税額)-6166万円(納税猶予税額)=3334万円
5. 事業承継税制のメリット・デメリット
事業承継税制で得られるメリットは大きいですが、認定を受けるまでに手間がかかるなどのデメリットもあります。この章では、事業承継税制のメリット・デメリットを解説します。
事業承継税制のメリット
事業承継税制を活用するメリットは、贈与税の納税負担を抑えられることです。条件を満たし続けることで猶予措置を受け続け、最終的に免除措置を受けられれば実質的に納税負担をゼロにすることができます。
事業承継税制を活用せずに贈与税を納める場合、納付税額を確保するのも大変です。特に中小企業の株式は流動性が低く換金が難しいため、事業に使う土地や建物などの不動産を処分しなければならないような事態にもなりかねません。
事業承継税制のデメリット
事業承継税制のデメリットは、認定や猶予措置を受け続けるための手間がかかることにあります。特に大きなデメリットは以下の5点です。
【事業承継税制のデメリット】
- 期間中は毎年、届け出の提出が必要
- 事業承継税制条件の維持が必要
- 相談者が少ない
- 期間中はM&Aを行えない
- 相談料などのコスト増
1.期間中は毎年、届け出の提出が必要
1つ目のデメリットは、納税猶予期間中は各機関に対して報告書等の提出が必要になることです。納税猶予の要件を継続して満たしていることを証明するために、都道府県知事へ特例承継計画の報告書、税務署に継続届出書を提出します。
提出を怠ると納税猶予が打ち切られて贈与税の納税義務が復活するため、免除措置を受けるまで定期的に提出し続けなくてはなりません。
2.事業承継税制条件の維持が必要
2つ目のデメリットは、納税猶予期間中は一定の要件を満たし続ける必要があることです。特定の状況が発生した場合は猶予されている贈与税を納付する必要があります。
【猶予されている贈与税を納付する必要があるケース】
- 適用を受けた株式等について一部を譲渡した場合
- 後継者が会社の代表権を有しなくなった場合
- 会社が資産管理会社に該当した場合
- 一定の基準日における雇用平均が贈与時の雇用の8割を下回った場合
3.相談者が少ない
3つ目のデメリットは、事業承継税制に関して相談できる専門家が少ないことです。ただでさえ専門性の高い分野なうえ、高い頻度で改正が繰り返されているため、事業承継の専門家でなければ適切なサポートを期待することができません。
うまく活用することができればメリットの大きい事業承継税制ですが、精通した専門家を探すために時間がかかってしまうという問題もあります。
4.期間中はM&Aを行えない
4つ目のデメリットは、納税猶予期間中はM&Aを実施できないことです。納税猶予を維持する条件項目に株式の譲渡を禁ずる旨が記載されているため、株式の売却が伴うM&Aは実施することはできません。
納税猶予期間中にM&Aの必要性が生じた場合は、猶予されていた贈与税を納めたうえでM&Aを実施することになります。
5.相談料などのコスト増
5つ目のデメリットは、専門家に相談した場合のコスト増加です。多くの手続きは自力で進めることもできますが、特例承継計画の策定段階で政府の認定を受けている認定経営革新等支援機関の指導・助言は必須となります。
数十万円程度の手数料が発生することになります。数千万規模の贈与税と比較するとはるかに少額ですが、後継者にのしかかる負担となります。
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6. まとめ
事業承継の際に発生する贈与税は先代経営者や後継者にとって頭の痛い問題です。状況次第では会社の資産を処分しなくてはならない事態にもなりかねないため、事業承継税制を活用するなど節税対策が必須です。
うまく活用するためには事業承継の専門家のサポートが必要です。早期段階で専門家に相談しておき、計画性をもって事業承継を進行させることが大切です。
【事業承継税制のまとめ】
- 事業承継税制とは事業承継に課される相続税・贈与税を猶予する制度
- 平成30年の改正で大幅な要件の緩和が実施
【事業承継税制のメリット】
- 贈与税の納税負担を抑えられる
【事業承継税制のデメリット】
- 期間中は毎年、届け出の提出が必要
- 事業承継税制条件の維持が必要
- 相談者が少ない
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