2023年04月14日更新
事業承継における従業員持株会の役割とは?設立の条件や流れ・注意点を紹介
事業承継の相続税対策として従業員持株会が活用されます。しかし、条件やルール、適切な設立方法や拠出形態を選ばなければ、効果を十分に発揮できません。本記事では、従業員持株会の具体的なメリット・デメリット、知っておくべき設立の流れや制度設計などについて解説します。
目次
1. 事業承継対策で活用する従業員持株会のメリットとは
事業承継での後継者が引き継ぐ自社株の評価額は、多くの場合は原則的評価方式の類似業種比準方式や純資産価額方式で計算します。
引き継ぐ自社株の数が多くなるほど算出される総額は高くなります。仮に現経営者が全ての自社株を保有している場合、全ての税金負担が後継者にのしかかることになるでしょう。
その際に活用したいのが従業員持株会です。従業員持株会に株式を保有させて事業承継で引き継ぐ株式数を減少させることで、自社株の評価額を引き下げることが可能です。
従業員持株会とは
従業員持株会とは、持株制度(金銭の拠出で株式を取得する仕組み)により株式を取得する組織です。従業員の福利厚生のために設けられ、民法上では組合に分類されます。
持株会への加入は任意となっており、加入した従業員は自社株を取得するための拠出金を出します。少額からの投資が可能で、拠出額に応じた配当金を獲得できるメリットがあるでしょう。
従業員は、株式取得後に企業が成長すると差分の利益を獲得することも可能です。キャピタルゲインを目標にモチベーションアップも見込めるため、会社と従業員の双方にとってメリットが大きい制度とされています。
従業員持株会が作られる目的と事業承継対策でのメリット
持株会は多くの上場企業で導入されています。他社との差別化として、基本的労働条件以外に福利厚生の充実度も注目されることが多いため、大手企業は積極的に導入しているのが現状です。
上場企業以外に一部の非上場企業も導入を進めています。主な目的や事業承継対策のメリットは、下記の4点が挙げられます。
【従業員持株会の目的と事業承継対策でのメリット】
- 株式の社外流出を防げる
- 社員の財産形成に役立つ
- 経営者の相続税対策となる
- 経営者の自社株財産を減らせる
株式の社外流出を防げる
会社が株式を発行する目的は、事業を展開するための軍資金の調達です。株式に付与した議決権や配当権を対価にして、投資家から出資を受けて事業資金を確保します。
自社株を多く手放すほど手額の資金を調達できますが、議決権を失うと経営権そのものを失う恐れがあります。
持株会は株式の社外流出を防ぎつつ、従業員から資金提供を受けることが可能です。ほとんどの場合、加入者は会社の方針に賛同しているので安定した株主としても期待できます。
社員の財産形成に役立つ
自己管理ができる従業員は、株式投資や投資信託などから自分に合う方法で財産形成を行えますが、自己管理が苦手な従業員は計画的な貯蓄が難しいといった問題もあります。
持株会では、給与や賞与からの天引きで自社株の購入資金として自動で積立を行えるでしょう。資金運用が苦手、給与の大半を使い込んでしまうなどの悩みを持つ従業員でも気軽に財産形成できます。
持株会は拠出額に応じた配当金を出しています。近年は低金利化が進んでいるため、銀行に預金するよりも見返りが大きくなることがほとんどです。
経営者の相続税対策となる
現経営者が亡くなった場合、自社株の引継ぎで後継者に相続税が課せられます。自社株の評価に応じた額になるため、対策を講じていない場合は納税資金の確保ができなくなる事態も起こりえます。
早期段階から持株会を導入して自社株の分散を進めている場合は、後継者の相続税負担を軽減するのが可能です。
相続税対策の話は周囲の人間からは切り出しづらいでしょう。経営者自身が率先して考えることで、少しでも多くの財産を後継者に引き継げるようになります。
経営者の自社株財産を減らせる
事業承継で税金対策をする上で必須なのが、自社株財産の減少です。事業承継の課税対象は自社株財産なので、経営者の持株比率が高いほど後継者の税金負担は増加することを意味します。
非上場企業の非公開株式は、公開株式のような市場性はありません。相続税評価額での売却は難しく、議決権の問題からも外部に売却することは望ましくありません。
従業員持株会であれば、議決権などの問題をクリアしつつ、株式を売却して経営者の自社株財産を減らせます。
事業承継対策のために設立する従業員持株会のデメリット
従業員持株会は事業承継対策として活用できますが、いくつかの問題もあります。会社側の主なデメリットは下記の3つです。
【事業承継対策のために設立する従業員持株会のデメリット】
- 議決権問題
- 株主に配当金が必要
- 株主に事業報告書などの開示が必要
議決権問題
持株会で持分を共有している従業員は議決権も所有しています。少数株主は一定数の議決権を有すると帳簿閲覧権や提案権などのさま様な権利を持つため、経営に影響を与える恐れがあります。
対策としては、持分比率のコントロールや株式に付与されている議決権をなくすなどがあるでしょう。事業承継は後継者に経営権を集中させることが前提なので、意識しておく必要があります。
株主に配当金が必要
持株会を導入すると会社は配当を出し続けなくてはなりません。経営を圧迫する要因になるので、一定以上の経営基盤を築いていないと経営が傾く可能性もあります。
最終的には事業承継対策としての節税効果よりも配当金の出費総額の方が上回る可能性が高いです。節税目的だけではなく適切な運営を行って会社全体の業績を向上させる取り組みも必要です。
株主に事業報告書などの開示が必要
会社は株主に対して事業の成果を報告する義務があります。持株会の従業員は株主として認められているので、業績に関する会社情報を共有します。
株主総会の招集通知なども行う義務が生じるでしょう。定時・臨時を問わず、原則として通知を行うものとされているので意思決定の際の手間が増えます。
事業承継対策として持株会を導入する場合は、これらのデメリットがあることを認識した上で検討することが大切です。
2. 事業承継対策で活用する従業員持株会を設立する流れ
持株会は設立の際の届出は不要ですが、民法第667条第1項に定める組合として設立するため、一定の手順に沿って設立する必要があります。
【従業員持株会の設立する流れ】
- 設立準備
- 設立の流れ
- 会員募集手続き
設立準備
持株会の設立準備では発起人の選任を行います。持株会を発足させるために従事するものですが、基本的に理事長や役員になるものから選任することが多いでしょう。
理事長の印鑑は、株主名簿の名義届出や銀行口座開設に必要です。準備段階で持株会の代表印を作成します。
【設立準備】
- 発起人の選任:運営主体となる発起人
- 規約案の作成:持株会の運営ルールの原案
- 理事長印の作成:持株会を運営・管理するための印鑑
設立の流れ
設立の準備が整ったら設立の手続きに移行します。まずは発起人が集って持株会の役員となる理事の選任を行います。その後、理事が集まる理事会を開催して互選により理事長を選任されるでしょう。理事長は管理を一任されるものとして持株会の代表となります。
理事長・役員の選任や規約などの確認も完了したら、最終的に持株会と会社の間で契約を締結して有効になります。
【設立の流れ】
- 発起人会開催:持株会の理事・監事の選任を行う
- 理事会開催:理事長・副理事長の選任を行う
- 銀行口座開設:持株会で使用する銀行口座を開設
会員募集手続き
持株会を設立したら会員を募集します。従業員に対して持株設立の案内・通知を行って周知活動に努めます。租税回避行為としての持株会では、従業員から敬遠される可能性が高いでしょう。従業員が魅力を感じられるような福利厚生を充実させてPRすることが大切です。
PR方法は案内・通知だけではなく、説明会を開催すると持株会の魅力を伝えやすくなります。持株会への加入で得られるメリットをまとめておくとよいでしょう。
3. 従業員持株制度の設計にあたって考慮すべき要素
従業員持株会の設立には、組合を組成するために発起人を選定し、規約案を策定する必要があります。発起人間で設立契約を締結し、設立総会を開催して役員を選任します。
その後、合意書や覚書を作成し、譲渡制限ルールについての説明会実施が必要です。従業員が内容について理解したことを示す書類の作成も求められます。
特に考慮すべき内容を含め、詳しく解説します。
従業員持株会の設立方法や拠出形態
従業員持株会を設立するには、まず設立手続きを行う必要があります。具体的には、従業員持株会の規約を作成し、株式投資信託の設立を届け出ることが必要です。
また、従業員の出資方法についても検討する必要があります。従業員からの拠出金を元に株式を購入する方法や、企業が株式を拠出する方法などが知られているでしょう。
定時積立方式、一時分譲方式、併用方式などがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。非上場会社では、オーナー保有株式の一部譲渡や第三者割当増資によって、従業員持株会設立時や新たな組合員が加入するタイミングで、参加従業員に株式購入資金を一括で拠出させることが多いです。
従業員持株会の参加条件・資格
従業員持株会に参加するための条件や資格は、会社によって異なりますが、一般的には以下のような事例があるでしょう。
まず、会社が従業員持株会を設立する前提として、社員全員が参加できるようにする場合が多いです。ただし、社員以外の従業員やパートタイマー、アルバイトなどの参加資格を制限する場合もあります。
次に、資格面では、従業員であることや勤続期間の条件を設けることがあります。また、会社側が定めた目標や成績を達成した場合に限り参加資格が与えられるケースもあるでしょう。
従業員持株会の参加条件や資格に関するルールは、会社の理念や目的によって異なります。しかし、公正かつ透明性のあるルールを設け、従業員全員に参加機会を与えることが、従業員持株会の本来の目的である「従業員の意欲向上」という目的を果たすために大切なことです。
株式購入資金準備方法
従業員持株会を設立するにあたり、従業員が株式を購入するためには、ある程度の資金が必要です。そのため、株式購入資金の準備方法を考える必要があります。
株式購入の原資として考えられるのは、出資金(積立金)、奨励金、配当金が挙げられます。積立を利用する場合は、会社と本人が積立について合意をすれば問題なく開始できるでしょう。
一方で、株式の取得が一時拠出方式である場合には、従業員は取得時にまとまった資金を用意する必要があり、負担となりうるといえます。従業員持株会設立に際しては、従業員が出資金を準備できない可能性も考慮し、臨時賞与支給や貸し付けといった方法も併せて検討することが必要です。
譲渡制限とルール
従業員持株会においては、株式の譲渡について制限を設けることが一般的です。これは、従業員の株式の過度な流動性を防ぐために必要です。
譲渡制限ルールは、株主平等の原則や会社法上の規則、公序良俗との関係で、効力が問題視されることがあります。従業員持株会の設立目的や譲渡ルールに関する従業員の認識、市場性の有無、取得価格と譲渡価格の差、配当実施状況や配当率などを考慮して、判例・裁判例上で有効性が判断される傾向が見られます。
譲渡制限ルールがのちに否定されることがないよう、従業員への十分な説明や配当の実施が重要といえるでしょう。
保有株式数と株式の種類
従業員持株制度を導入する場合、オーナー保有の株式を一部譲渡するか第三者割当増資により普通株式を発行することになります。しかしこれにより、オーナーの議決権割合が低下する可能性があるでしょう。
したがって、重要な決定事項に必要な株主総会特別決議のためには、オーナー側が総議決権の3分の2以上の株式を保有する必要があります。従業員持株会を設立する場合、種類株式を活用してオーナー側が経営権と支配権を維持することも検討すべきです。
ただし、従業員持株会が株主であるため、権利を行使するリスクがあることに留意し、専門家と協議してバランスの取れた制度を作るよう心がける必要があります。
4. 従業員持株会を活用した自社株財産を減らす手順
事業承継対策として従業員持株会を設立する際は、自社株財産を減らすことが目標となります。課税対象である自社株財産が減れば、後継者の税金負担が軽くなるためです。
しかし、ただ従業員持株会を設立するだけでは期待する効果が得られないこともあります。この章では、従業員持株会の設立から自社株財産の減少までの流れを解説します。
【従業員持株会を活用した自社株財産を減らす手順】
- 従業員持株会を設立
- 経営者の株式を配当優先株式・議決権制限株式に転換
- 社員持株会の会員へ株式を売却
- 経営者の株式財産が減少
①従業員持株会を設立
まずは従業員持株会の設立です。設立の際に行政機関などに届出や申請を行う必要はありませんが、実態の伴わない幽霊持株会の場合、税務申告の際に税務上否認される可能性があります。
実施会社から財産管理や議決権行使などの独立性が確保されていることや、持株制度に関するガイドラインや金融商品取引法に反していないことなどを満たしていることがポイントとなります。
②経営者の株式を配当優先株式・議決権制限株式に転換
設立後は持株会へ放出する株式を、議決権の持たない株式へ転換します。議決権のある株式を大量に放出すると持株会が経営に参画できるようになり、経営の意思決定を統一できなくなるためです。
持株会が保有する株式を無議決権株式になるように調整しておけば、経営に参画されることがないので重要な意思決定や企業方針に与える影響を抑えられます。
株式転換の期間を設けることが難しい場合は、持株会へ放出する株式を1/3未満に抑えておく方法が有効でしょう。経営者が2/3超の議決権を保有しておけば、株主総会の特別決議も単独で成立させることが可能です。
③社員持株会の会員へ株式を売却
ここまでの準備が済んだら社員(従業員)持株会に株式を売却します。株式譲渡を用いて行われ、対象の株式が譲渡制限株式である場合は別途株主総会の決議(会社の承認)を要します。
一般的な株式譲渡と異なる点は株式の評価額です。配当還元方式で評価されるため通常よりも安い価格で売却できるようになります。
安い評価がされる理由は、税法上では株式の売却先が近しい親族である場合とそうではない場合で判別しているからです。従業員持株会は実施会社から独立性が認められた組合なので身内の外にあると判別されます。
株式の譲渡代金は税金の支払いに充てられるでしょう。中小企業の非公開株式は換金性も悪いため、納税資金を確保する手段としても有効とされています。
④経営者の株式財産が減少
事業承継は現経営者から後継者に株式を引き継ぐため、贈与税あるいは相続税が発生しています。従業員持株会に売却した株式は引き継ぐ必要がなくなるため、後継者の納税負担も減少することになります。
5. 従業員持株会への株式売却価額
持株会への株式売却価額は配当還元方式で算出します。通常の株価評価である原則的評価方式よりも安い価額で売買されるため、持株会は資金面の負担を抑えて出資することが可能です。
【配当還元方式の計算式】
- 配当還元価額 = (1株50円当たりの年平均配当金額総額/10%)× (直前期末の1株当たりの資本金などの額/50円)
上記の計算式では、利益や配当がない会社の場合はゼロを下回ることがあります。その場合は上限価格を1株2.5円とします。
時価からかけ離れた価額での取引の場合は贈与に該当することがありますが、年間110万円以内に抑えることで贈与税の課税対象から外れるでしょう。
上記をもとに、例を挙げてみます。
直前期末の資本金などの額:3,000万円
発行済株式数:1万株
1株当たりの資本金などの額:3,000円
1株当たりの資本金などの額を50円とした場合の発行済株式数:3,000万円÷50円=60万株
直前期の配当金総額:300万円
直前々期の配当金総額:200万円 とする
・1株当たりの年平均配当金={(300万円+200万円)÷2}÷60万株=4円
・1株当たりの配当還元価額=(4円÷10%)×(3,000円÷50円)=2,400円
6. 従業員持株会の運営内容
従業員持株会はあくまでも福利厚生の充実のための制度です。あからさまな事業承継対策として利用すると、従業員からの反感や税務上の否認を受ける可能性が高くなります。
適切な設立・運営を心掛けることで事業承継対策として機能し、ひいては社内環境の改善につなげられるでしょう。この章では、非上場企業における従業員持株会の運営ポイントを解説します。
従業員持株会の設立のポイント
持株会は法人格を持たないため、持株会が保有する株式の株主名義は理事長とします。したがって持株会の設立の際は、まず理事長の選任を行ってから詳細な規約を決めていく流れになります。
【持株会の設立で決めること】
- 代表者(理事長)の選定
- 株式の供給方法
- 拠出方法
- 持株会の株式保有比率
株式の供給方法は、経営者からの株式譲渡か第三者割当増資が一般的です。事業承継対策であれば経営者の持株比率を下げることが目的なので株式譲渡を用います。
拠出方法は、従業員の給与から天引きで行うことが多いです。従業員も直接的な出費にならず自動的に財産形成が行えるため、多くの企業で採用されています。
持株会の株式保有比率が上がるほど税金負担は軽くなりますが、議決権も無視できません。多くの場合、議決権2/3超を目安として調整していくことになります。
従業員持株会の配当金について
持株会は配当金を得る権利があります。代表の理事長が全ての会員の拠出額に応じた配当金を受け取り、持ち株数に応じて配分を行います。
持株会を設立する以上、会社は配当金を出し続ける義務が発生するでしょう。会社の業績が不安定になった時は配当金でさらに経営が圧迫されることもあります。
何かしらの理由で配当金の停止あるいは減額を行うと、従業員に不安を与えることになりモチベーション低下につながるおそれもあります。
自社株取得の資金準備
持株会に加入する従業員は自社株を取得する資金を用意する必要があります。資金を用意できない従業員は給与からの天引きで少額積立を行っていくのが一般的です。
事業承継対策では多くの従業員に加入してもらうことが目的です。場合によっては会社からの融資や特別賞与として支給する方法も検討の余地があるでしょう。
取得株式の払い込みと購入株式の配分
持株会のメリットは従業員が少額から投資できることにあります。持株会として株式を共同購入するため、従業員1人当たりの負担は少なくて済むでしょう。
従業員は自分のできる範囲で取得株式の払い込みを行い、持株会は拠出額に応じて各従業員に購入株式を配分します。配当金支払いの際は、この株式配分を基準に金額が算出されます。
株式の名義や管理
持株会に加入した従業員は出資割合に応じた持分を共有しますが、持株会の株式の名義や管理権は理事長にあります。これは株式の社外流出などのリスクを排除するための方法です。持株会設立の際に規約に理事長が一括管理を行う旨を規定しておくことで成立します。
所有する株式による議決権の行使に関して
持株会の議決権の行使は、理事長の不統一行使が可能となっています。株主総会の議決権は理事長が有していますが、従業員は持分に相当する議決権の行使を指示するのが可能です。
例えば、ある議案に対して持株会を構成する従業員の賛成・反対の割合が6:4である場合、理事長は従業員の指示を受けて6割を賛成に、4割を反対に投票することになります。
株式の配当金支払い
会社から持株会に配当金の支払いが行われた場合、各従業員の持分に応じて決算期ごとに支払います。なお、配当分を再投資することも可能です。原資が増えるため大きな財産を形成しやすい半面、従業員が引き出せるタイミングが退職・死亡時などに限定されるデメリットもあります。
退会とそれに伴う株式の買取価額
持株会は、従業員が持株会を退会する際、持分に応じた株式の買い取りを行います。退職・死亡などはいつか訪れるものなので、買取価額は決めておく必要があるでしょう。
買取価額の決め方は、固定(取得価額)や時価、配当還元価額などの候補があります。算出方法次第で価額が大きく変わるので、事前に規約に明記しておくことが大切です。
会員の範囲と資格について
従業員持株会の会員範囲は実施会社・子会社の正社員です。関連会社や臨時社員などは除外され、役員は役員持株会に限定されます。なお、会員資格に勤続年数などの条件を設けることも可能です。導入時は影響を抑えるために範囲を限定することが多くなっています。
同族関係者は会員の範囲・資格から除外します。近しい親族の場合は株式の取引価額の決定方法が複雑になるためです。
7. 事業承継対策としての従業員持株会に関する相談先
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8. 事業承継対策で活用する従業員持株会のまとめ
事業承継の際は持株会で税金負担を軽減でき、節税効果や株式の譲渡代金の確保によって後継者が立ち回りやすくなり、企業の成長を促すことにもなります。
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