事業承継対策に生命保険を活用!種類やポイント、注意点を徹底解説

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企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

事業承継を行う際は、株式の有償譲渡や相続などにより税金が発生します。税金の負担を抑える有効な手段として、生命保険を活用する方法があります。本記事では、事業承継対策に活用できる生命保険の種類やポイント、注意点なを解説します。

目次

  1. 事業承継対策に生命保険を活用!
  2. 事業承継対策で活用できる生命保険の種類
  3. 事業承継対策で生命保険を活用する際のポイント
  4. 事業承継対策で生命保険を活用する際の注意点
  5. まとめ
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1. 事業承継対策に生命保険を活用!

事業承継を行う場合は事業承継者に経営権を引き渡すために、贈与や相続あるいは有償譲渡によって自社の株式を譲渡します。

事業承継者は有償譲渡であれば株式の買い取り資金が必要になり、贈与や相続でも税金がかかってしまいます

中小企業に多い非上場企業では株式を現金化することが難しいため、事業承継でかかる費用をあらかじめ用意しなければなりません。このような問題に対する事業承継対策として、生命保険を活用する方法があります。

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事業承継対策に生命保険を活用とは

事業承継では経営権を事業承継者へ引き継ぐため、有償譲渡の場合は株式の買い取りにかかる資金、相続や贈与であれば株式評価額に基づいた相続税や贈与税を、事業承継者が負担しなければなりません。

まとまった金額を用意しなければならないため、事業承継でもネックになりやすい問題ですが、生命保険を契約して事業承継者を受け取り人に指定しておけば、支払われる保険金で賄うことができます

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事業承継対策に生命保険を活用するメリット

事業承継対策に生命保険を活用する具体的なメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主な2つのメリットについて解説します。

【事業承継対策に生命保険を活用するメリット】

  1. 自社株の評価額を引き下げることができる
  2. 保険金で事業承継者の納税負担を減らすことができる

1.自社株の評価額を引き下げることができる

中小企業は非上場であることが多いですが、その場合は事業承継時においては純資産総額などから自社株を評価します。

純資産総額が多ければ自社株の評価は当然高くなるので、事業承継者へ有償譲渡する場合は取得額が高くなり、贈与や相続であれば納税額が増えることになります。

生命保険の掛け金は損金計上(一部あるいは全額)することができるので、その分だけ純資産総額を減らすことになり、結果的に自社株の評価額を下げることにつながります。

法人向けの生命保険に限りますが、この方法であれば、事業承継者が自社株を受け継ぐためにかかる費用負担を軽減することができます。

2.保険金で事業承継者の納税負担を減らすことができる

事業承継者が経営者の子どもや妻など親族である場合は、贈与あるいは相続というかたちで引き継ぐケースが一般的です。

その場合、贈与であれば贈与税、相続であれば相続税が課されるので、事業承継者は納税に必要な現金を用意しなければなりません。

前述の方法で自社株の評価を引き下げたとしても、会社の全株式を引き継ぐとなれば、事業承継者にとっては大きな資金負担となる可能性が高いですが、生命保険の受取人に事業承継者を指定しておけば、保険金を納税に充てることもできます。

事業承継対策に生命保険を活用するデメリット

事業承継対策に生命保険を活用する際は、メリットだけでなくデメリットも理解しておく必要があります。ここでは、主な2つのデメリットについて解説します。

【事業承継対策に生命保険を活用するデメリット】

  1. 会社のキャッシュフローを圧迫する可能性がある
  2. 解約するタイミングによっては解約返戻金の金額が減ってしまう

1.会社のキャッシュフローを圧迫する可能性がある

保険の契約期間中は、保険料を継続して支払い続ける必要があるため、高額な保険に加入した場合は会社のキャッシュフローを圧迫する可能性もあります。

キャッシュフローとは会社の現金の移り変わりを指し、企業会計上の重要な指標の1つと考えられています。

私たちの生活と同じように、会社の場合も現金をある程度用意しておかなければ、いざという時に対応できない可能性もあります。

事業承継対策として生命保険の契約する場合は、保険料の支払いがキャッシュフローを圧迫しないかをよく検討しなければなりません。

2.解約するタイミングによっては解約返戻金の金額が減ってしまう

契約している生命保険の内容によっては、解約した場合に返戻金が受け取れます。終身保険では契約期間(加入期間)が長くなるほど返戻金の額も高くなるのが一般的ですが、加入途中が返戻金の額が一番高くなるものもあります。

事業承継で多く活用されるていぞう(逓増)型定期保険などは、後者のように解約返戻金が設定されています。

事業承継対策として生命保険の解約返戻金を充てたい場合は、内容をよく確認しておき、解約する時期を見誤らないようにする必要があります。

2. 事業承継対策で活用できる生命保険の種類

事業承継対策として生命保険を活用するのは有効な方法ですが、どのような生命保険を選べばいいのかと悩むことも多いでしょう。

事業承継対策に活用できる生命保険には以下の4種類があるので、目的に合わせて選ぶ生命保険も変わってきます。

【事業承継対策で活用できる生命保険の種類】

  • 個人契約の生命保険
  • 法人契約の終身保険
  • 長期平準定期保険
  • ていぞう(逓増)型定期保険

個人契約の生命保険

個人契約の生命保険は掛け捨ての定期保険であることも多く、保険料が低めに設定されているのが特徴ですが、保障期間を過ぎてしまうと保険金が支払われなくなるため注意が必要です。

個人契約の生命保険は、契約前に内容をよく確認することが重要です。確認不足によって、後になって解約返戻金が支払われないことを知ったり、一定年齢になり契約の更新ができなくなってしまったという失敗も起こりやすいです。

法人契約の終身保険

個人契約の生命保険とは異なり、死亡まで契約期間が続く保険です。加入した段階の年齢によって変わってくる部分がありますが、保険料は年定期保険より高いことが多く、生涯払い込みが必要なタイプと一定期間のみ払い込むタイプとがあります。

経営者が高齢で亡くなった場合にも死亡保険金が支払われるという点にメリットがあり、解約した場合も返戻金が受け取れるタイプが一般的です。

しかし、解約返戻金が変動しやすかったり、保険料が高い分、事業承継時対策としてはあまり恩恵を得られない可能性もあります。

長期平準定期保険

個人契約の生命保険を短期間、法人契約の終身保険が長期間の契約だと考えれば、長期平準定期保険はその中間くらいの期間に設定されている保険です。

以前は保険料の全額を損金扱いにすることができましたが、現在はその割合が下の表のように変更されており、株式の評価額の引き下げ効果は薄くなってしまいました。

とはいえ、保険料の変動がないので、程よい期間で事業承継対策を実施するのに適した保険であり、使い勝手はよいといえるでしょう。
 

  最高解約返戻率 資産計上期間 損金割合
50%以下 なし 100%
50%~70% 保険期間の当初4割相当の期間を経過する日まで 当期支払保険料の60%     
70%~85% 保険期間の当初4割相当の期間を経過する日まで 当期支払保険料の40%     
85%以上 AとBのどちらか長い期間まで
A:保険期間開始日から最高解約返戻
  率となる機関の終了の日まで
B:Aの期間経過後において「(当初
  の解約返戻金相当額)÷年換算保
  険料相当額が70%を超える期間
・保険期間の当初10年経過
 する日まで
 登記支払保険料全額から
 登記支払保険料×最高解
 約返戻率の90%を差し引
 いた額

・保険期間の11年目以降
 登記支払保険料全額から
 登記支払保険料×最高解
 約返戻率の70%を差し引
 いた額

 

ていぞう(逓増)型定期保険

ていぞう(逓増)型定期保険は、加入してから料金が段階的に増えていく定期保険で、だいたい加入して10年前後が解約返戻金の金額が高くなりやすい設定になっています。

契約時に決めた逓増率によって基準保険金額が増える特徴があり、保険期間は前期と後期に分かれていて、一定期間経過後に各期間に定めた逓増率によって増える金額が変わってきます。また、最大で保険料が5倍程度にまで増加します。

解約返戻率が高い保険ですが、長期平準定期保険と同様、損金扱いできる割合が制限されてしまったため、株式の評価額を引き下げる効果は以前より低くなってしまいました。

【関連】生命保険を活用した事業承継対策とは!ポイントと注意点などを紹介

3. 事業承継対策で生命保険を活用する際のポイント

事業承継対策として活用できる生命保険はいくつかありますが、活用する際はポイントを押さえておくことも大切です。この章では、前章で取り上げた生命保険を事業承継対策として活用するポイントをそれぞれ解説します。

個人契約の生命保険を活用するポイント

個人契約の生命保険を活用する場合、現経営者が個人契約で加入して受取人を事業承継者にすれば、万一の際は死亡保険を事業承継の資金に充てることができます。

しかし、この保険は掛け捨てタイプなので、経営者が勇退して引き継ぐケースで贈与に使うことはできません。

また、満期になると保険金の受け取りはできないタイプが一般的なので、事業承継対策としての使い道は限られています。

法人契約の終身保険を活用するポイント

法人契約の終身保険は、掛け捨てではないので保険料も一般的な個人契約のものより高くなりますが、事業承継対策として有効活用することができます。

途中解約した場合は解約返戻金を受け取れるタイプが一般的で、満期を迎えた場合も保険金を受け取ることができます。

事業承継対策を考えて契約する場合は、コスト(保険料)に見合うだけの効果を得られるのか、しっかりと検討することが必要です。

長期平準定期保険を活用するポイント

長期平準定期保険は、保険料の変動がないのでキャッシュフローへの影響などが予測しやすく、保証期間も長く設定されています。

そのため、事業承継を早めに行うことを考えている経営者にとっては、使い勝手のよい保険といえるでしょう。

保険料の損金計上に関する制度が2019年に見直され、自社株の評価額を引き下げるという目的では活用しづらくなった面もありますが、解約返戻金を勇退退職金に充てるのであれば返戻率が高めなので十分なメリットがあります。

ていぞう(逓増)型定期保険を活用するポイント

ていぞう(逓増)型定期保険は、解約返戻金の額が最も多くなるのが加入10年後頃に設定されているタイプが多いです。

一般的に、後継者の育成に必要な期間は10年程度みておくのがよいとされているので、事業承継を行うタイミングから逆算すると、ていぞう(逓増)型定期保険へ加入する時期から育成を始めると事業承継対策になるでしょう。

自社株の評価額引き下げのため活用されることの多い保険ですが、長期平準定期保険と同じく、損金計上に関する条件は以前よりも厳しくなっています。

4. 事業承継対策で生命保険を活用する際の注意点

生命保険を活用することは事業承継対策として有効な場合は多いですが、注意すべき点もあります。正しく理解しないまま契約してしまうと、効果が得られず保険料が無駄に終わってしまう可能性もあります。

【事業承継対策で生命保険を活用する際の注意点】

  1. 想定外の納税に対する準備する
  2. 将来的な保険料支払いのリスクを考える
  3. 保険活用も含め最適な方法を選択する

1.想定外の納税に対する準備する

生命保険の保険料は、その一部あるいは全てを損金として計上したり、受け取った保険金や解約返戻金については一部あるいは全てを利益とみなすなど、会計上の処理が必要になります。

処理が発生するタイミングによっては、納税額が決定する際に反映されずに来期へずれ込む可能性もあります。

そうなれば想定外の納税が発生するケースもあるので、納税資金を余分に確保しておくなどの準備も必要です。

【関連】事業承継税制とは?メリットとデメリットを紹介!ポイントは?

2.将来的な保険料支払いのリスクを考える

事業承継の対策として有効とはいえ、生命保険を活用するということは当然保険料の支払い義務が生じます。契約期間中は保険料を支払い続ける必要があるので、キャッシュフローにも影響を与えます。

支払いが厳しくなり、想定していたタイミング以外で解約せざるを得なくなれば、解約返戻金が減ってしまい、対策としての意味もなくなりかねません。

そうならないためにも、生命保険を契約前は、必ず保険料の支払いを続けていけるかを試算しておくことが大切です。

3.保険活用も含め最適な方法を選択する

生命保険を活用すれば、自社株の評価を引き下げ効果を得ることができますが、改正によって以前ほどのメリットは得にくくなっています。

今後、事業承継対策を検討するにあたっては、事業承継税制の活用などを検討するなど、生命保険の活用以外にも選択の幅を広げ、自社の状況に合ったものを選ぶことが重要になると考えられます。

近年は中小企業の事業承継を促進するため、国も支援体制を強化しています。事業承継税制もそのひとつであり、事業承継計画書の提出など必要な手続きを経て審査に通れば、相続税や贈与税の猶予を受けることができます。

事業承継対策についてのご相談はM&A総合研究所へ

事業承継を考えた場合、税金面の対策以外にも解決すべき課題がでてくるケースも少なくありません。事業承継対策を進めていくうえでは、専門家のアドバイス・サポートも有効です。

M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介サポートを行うM&A仲介会社です。中小・中堅規模の案件を中心に扱っており、多くのM&Aを支援してきたアドバイザーが担当となり全力でフルサポートいたします。

当社の料金体系は、完全成功報酬制(譲渡企業様のみ)となっております。ご相談は無料でお受けしておりますので、事業承継対策やM&Aにお悩みの経営者様は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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5. まとめ

事業承継対策として生命保険を活用することができ、自社株評価の引き下げなどのメリットを得ることができます。

しかし、制度改正により、その効果は以前より低くなっているので、事業承継対策を考える際は国の支援制度も選択肢に加え、より多くのなかから自社に合ったものを選ぶことが大切です。

【事業承継対策に生命保険を活用するメリット】

  1. 掛け金の費用計上で株価を引き下げることができる
  2. 生命保険の解約金によって事業承継者の負担を減らす

【事業承継対策に生命保険を活用するデメリット】
  1. 会社のキャッシュフローを圧迫する可能性がある
  2. 解約するタイミングによっては解約返戻金の金額が減ってしまう

【事業承継対策で活用できる生命保険の種類】
  • 個人契約の生命保険
  • 法人契約の終身保険
  • 長期平準定期保険
  • ていぞう(逓増)型定期保険

【事業承継対策で生命保険を活用する際の注意点】
  1. 想定外の納税に対する準備する
  2. 将来的な保険料支払いのリスクを考える
  3. 保険活用も含め最適な方法を選択する

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