株式移転とは?株式交換との違いや手続き、メリット・デメリットを解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

株式移転とは、会社が発行済株式の全てを新しく設立する株式会社に取得させる会社法上の組織再編行為のことです。100%株式を持つため、完全親子会社関係を実現することが出来ます。株式移転の目的やメリット、注意点を知って株式移転をするべきか判断しましょう。

目次

  1. 株式移転とは
  2. 株式移転の目的
  3. 株式移転のメリット
  4. 株式移転をする時の手続きの流れ
  5. 株式移転をするときのデメリット
  6. 株式移転をするときの仕訳方法
  7. 株式移転をするときの税務事情
  8. 適格株式移転の要件
  9. ホールディングカンパニー設立なら会社分割でも出来る
  10. 株式移転を検討するならM&Aアドバイザーに相談しよう
  11. まとめ
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1. 株式移転とは

株式移転とは

株式移転とは、会社が発行済株式の全てを新しく設立する株式会社に取得させる会社法上の組織再編行為のことで、M&Aの手法の1つです。100%株式を持つため、完全親子会社関係を実現することが出来ます。

ポイントは、親会社となる会社が新しく設立されることです。例えば、A社とB社の発行済株式の全てを、C社という新しい会社が買い取ります。

C社はA社とB社の親会社となるのです。「経営統合したいけど完全に同じ会社になる合併は抵抗がある」と考える企業間で株式移転は行われます。

1-1.株式交換との違い

株式交換と株式交換は言葉が似ているためよく混同されますが、違う意味なので確認しておきましょう。株式移転と株式交換は、親会社が既存の会社であるか新しく設立される会社であるかの違いがあります。

株式交換とは、発行済株式の全部を他の株式会社または合同会社に取得させる会社法上の組織再編行為のことです。2つとも完全親子会社の関係となる点に変わりはありません。

親会社が既存の会社なのか新しく設立される会社なのかの違いだと、覚えておきましょう。

1-2.株式移転比率とは

株式移転比率とは、2社以上の会社が親子会社の関係になる際に株式を移転するときの株式の比率のことです。株式移転を行う場合、子会社となる会社の株式は100%親会社になる会社に取得されます。

例えば、親会社の株1株に対して子会社の株2株という形で比率が決められるのです。当然ですが、株価は会社によって異なります。

親会社は子会社取得のための対価として株式を移転させますが、必ずしも親会社と子会社の株数を合わせると同じ時価になるとは限りません。このように、株式移転をする際は、株式移転比率を決定する必要があります。

2. 株式移転の目的

株式移転の目的

株式移転の目的は以下の2つが考えられます。

  1. 経営統合のため
  2. ホールディングカンパニー体制移行のため

それぞれの目的について、詳しく確認していきましょう。

目的1.経営統合のため

株式移転は、経営統合をするために行われるケースが多いです。

例えばA社とB社が完全親会社となるC社を設立し、C社がA社とB社の経営をコントロールします。そうすることで、経営統合をすることが出来るのです。

他にも、経営統合をするときには、合併をすることもあります。合併をすると、A社とB社が1つの株式会社となるため、社風や各システムの統一が難しいです。

しかし、株式移転の場合、A社とB社はそれぞれ組織として存続します。そのため、独立性を維持しながら経営統合が出来るのです。

目的2.ホールディングカンパニー体制移行のため

ホールディングカンパニー体制への移行のために株式移転がされることもあります。子会社を複数持つ事業会社が株式移転を行って、ホールディングカンパニーを設立し、そのホールディングカンパニーの傘下に複数の事業会社を集約するのです。

例えば、A社とB社の親会社がC社だとします。そこで、C社が単独で株式移転を行って、ホールディングカンパニーとなるD社を設立するのです。

そうすることで、A社・B社・C社の3社がD社の完全子会社となります。

【関連】持株会社設立で経営統合!作り方や手順、メリット・デメリットを解説!

3. 株式移転のメリット

株式移転のメリット

株式移転のメリットは以下の2つです。

  1. 買収資金が不要
  2. 組織の統合が簡単

1つずつ確認していきましょう。

メリット1.買収資金が不要

株式移転では、買収資金がいりません。なぜなら、買収する際に株式を交付すれば良いからです。

多額の資金を準備しなくても株式移転をすることができます。そのため、経営に大きな支障を出すことなく、組織編制の組み換えが出来るのです。

メリット2.組織の統合が簡単

株式移転では、組織の統合が簡単となっています。なぜなら、それぞれの会社の組織自体は変わらず独立しているため、スムーズに統合ができるからです。

例えば、合併をして経営統合をした場合は、組織文化の違う会社が1つの株式会社になります。そのため、社風の違いや人事評価の制度などに社員は戸惑いを隠せません。

しかし、株式移転であればスムーズに経営統合できます。

M&A総合研究所なら、株式移転を専任の公認会計士がフルサポート!お気軽にご相談ください。

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4. 株式移転をする時の手続きの流れ

株式移転をする時の手続きの流れ

株式移転をする時には、5つのステップに分けて手続きを進めていきます。

  1. 株式移転計画書の策定
  2. 書面の事前備え置き
  3. 株主総会での特別決議
  4. 株式移転の登記申請
  5. 書面の事後備え置き

順番に5つのステップを確認していきましょう。

STEP1.株式移転計画の策定

まずは、株式移転計画を策定しましょう。会社法上記載が必要とされている項目は以下の7つです。

  • 株式移転により設立する会社(完全親会社)の目的や商号、本店の所在地および発行可能株式総数
  • 完全親会社の定款で定めている事項
  • 完全親会社設立時の取締役等役員の氏名
  • 株式移転に際する完全子会社の株主に交付する完全親会社の株式の数、または算定方法および割当てに関する事項
  • 完全親会社の資本金・準備金の額に関する事項
  • 完全子会社の株主に交付する社債等の種類や金額、内容または算定方法および割当てに関する事項
  • 完全子会社の新株予約権者に交付する新株予約権の内容または算定方法および割当てに関する事項

2つ以上の会社が共同で株式移転をするときには、共同で株式移転計画を作らなければなりません

STEP2.書面の事前備え置き

株式移転をする場合、親会社は株式移転に関する内容を記載した書面を事前に備え置かなければなりません。書面には以下の3つの内容を盛り込みましょう。

  • 株式移転計画の概要
  • 対価の相当性を説明する事項
  • 計算書類等に関する内容

原則、株主総会開催日の2週間前から備え置きます。一方、子会社側では、効力発生日から6か月後まで書面の備え置きが必要です。

STEP3.株主総会での特別決議

続いて株主総会での特別決議が必要です。株主総会は、株式移転の効力発生日前日までに開催しましょう。

出席議決権株式数の3分の2以上の賛成が必要です。そのため、株式移転を実行するときには、株主の理解を得なければなりません。

理解を得るためには、株式移転計画を見ただけで「当社の利益になる」と分かる資料を作る必要があります。

また、債権者保護手続きも必要です。反対する株主が異議を述べる期間を設けたり、利害関係者への弁済が必要となる場合があります。

異議を述べた株主が株式の買い取り請求を行った場合には、対応しなければなりません。

STEP4.株式移転の登記申請

株主総会の特別決議により、株式移転が承認されたら、登記申請手続きを行いましょう。株式移転の登記で必要な書類は以下の7つです。

  • 株式移転計画書
  • 株式移転設立完全親会社の届出印
  • 株式移転設立完全親会社の定款
  • 株主総会議事録
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証明する書面
  • 設立時取締役の印鑑証明書

株式移転の登記申請は、親会社と子会社が同時に実施する必要があるので、注意しましょう。

STEP5.書面の事後備え置き

株式移転の効力発生後、親会社と子会社は法務省令で定められた事例を記した書面を作成し、本店に備え置きしなければなりません。

備え置き期間は、効力発生日から6ヶ月間です。以上で、株式移転の手続きは完了となります。

5. 株式移転をするときのデメリット

株式移転をするときのデメリット

株式移転をすることを決定する前に、デメリットも確認しましょう。株式移転をするときのデメリットは、以下の2つです。

  1. 株式会社以外の会社は設立できない
  2. 株価下落のリスクがある

それぞれ確認していきましょう。

デメリット1.株式会社以外の会社は設立できない

株式移転によって設立される完全親会社は、株式会社でなければなりません。合同会社や有限会社など、持分会社を設立することは出来ないと会社法で定められています

また、完全子会社も株式会社である必要があるので注意しましょう。

注意点2.株価下落のリスクがある

株式移転する会社が上場企業の場合、株価下落のリスクがあります。なぜなら、会社の数が増えるため、管理コストが増加しやすいからです。

完全親会社が完全子会社を上手く運営する仕組みをしっかり説明し、理解してもらわなければなりません。逆に、「売り上げが伸びそうだ」と株主に思ってもらえれば、株価は上昇します

6. 株式移転をするときの仕訳方法

株式移転をするときの仕訳方法

株式移転をするのであれば、仕訳方法も知っておく必要があります。株式移転の場合、2社とも完全子会社となるため、どちらの会社が取得企業であるか、どちらの会社が被取得企業となるか判定しなければなりません。

まずは、その判定方法から確認していきましょう。

6-1.取得企業と被取得企業の判定

会計基準において、以下の6つの観点からどちらが取得企業となるか判断します。

  1. 完全親会社の議決権比率の構成比でより大きい比率を占めるのはどちらの当事者側か
  2. 完全親会社の筆頭株主はどちらの当事者側か
  3. 完全親会社の取締役会の過半数の人事権を握っているのはどちらの当事者側か
  4. 完全親会社となる取締役の構成比はどちらの出身者が多いのか
  5. 対価の支払いにおいて、どちらがプレミアムを支払う側だったか
  6. 売上高や純利益、総資産はどちらが大きいか

これらを総合的に見て、どちらの会社が完全親会社の経営権を握るのかを判断します。経営権を握ると判断された会社が取得企業、そうでない会社が被取得企業と判定されるのです。

6-2.株式移転における会計処理方法

取得企業の判定ができたら、それぞれの立場ごとに会計処理を行いましょう。株式移転の場合、5つの立場が存在します。

  • 新設会社
  • 取得企業
  • 被取得企業
  • 取得企業の株主
  • 被取得企業の株主

それぞれの立場によって会計処理方法が異なるので注意しましょう。

(1)新設会社の会計処理

新設会社は、新株を発行して資本金・資本剰余金を増加させることと子会社株式を取得することを会計処理しなければなりません。

借方に子会社株式、貸方に資本金と資本剰余金を仕訳します。

(2)取得企業と被取得企業の会計処理

株式移転では、取得企業・被取得企業の株主と新設会社で取引がされます。そのため、原則的に会社に関する仕訳は発生しません

(3)取得企業と被取得企業の株主の会計処理

両社の株主の会計処理は、持ち分比率や株主の種類変動に応じて行います。もし、株式移転による変動がない場合は、仕訳は行いません。

以上が株式移転による会計処理でした。株式移転の場合、取得企業と被取得企業の判定や株式移転の比率によって仕訳内容が異なります。

そのため、必ず専門家である会計士へ相談しましょう

M&A総合研究所なら、株式移転に詳しい公認会計士がフルサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

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7. 株式移転をするときの税務事情

株式移転をするときの税務事情

株式移転をするときには税務事情も理解しておかなければなりません。法人税や所得税を計算するときは、適格株式移転と被適格株式移転で税務処理が変わります。

前の章で説明した要件に当てはまる場合は適格株式移転です。この場合、株式移転完全親会社・各株式移転完全子会社・各株式移転完全子会社の旧株主のいずれにも課税は発生しません

そのため、要件を満たすことで節税対策が出来るのです。被適格株式移転の場合、株式移転完全子会社とその株主に課税が発生することがあります。

課税が発生するケースは、株式移転の対価が株式以外の金銭等を含む場合です。このとき、対価と時価との差額が譲渡損益とみなされ、課税対象となります。

しかし、一般的に株式移転の対価が株式以外で交付されることは少ないです。そのため、ほとんどのケースにおいて、株式移転で課税は発生しないと考えて問題ありません。

8. 適格株式移転の要件

適格株式移転の要件

適格株式移転の要件とは、株式移転をするときに税制の優遇措置を受けるための条件のことを指します。要件の内容は、株式移転を行う当事者同士の会社の関係がどのようなものなのかによって異なるので注意しなければなりません。

株式移転を行う当事者同士で株式の保有率が多ければ多いほど要件は少なくなります。逆に、保有割合が少なければ満たすべき要件は多くなるので注意しましょう。

詳しい要件については、『適格株式移転の要件を総まとめ!』を参考にしてください。

9. ホールディングカンパニー設立なら会社分割でも出来る

ホールディングカンパニー設立なら会社分割でも出来る

ホールディングカンパニーの設立が目的で株式移転を検討しているなら、会社分割という方法もあることを知っておきましょう。会社分割とは、株式会社同士が、事業の持つ権利義務を他の会社に承継させることです。

会社分割には2つの種類があります。新たに設立する新会社へ権利義務を承継させることを新設分割、既存の会社に承継させることを吸収分割というのです。

会社分割は、会社が複数の事業を運営していて、一部の事業を第三者に売却したい場合に活用されます。M&Aの手法である事業譲渡を利用すると試算や契約を包括的に譲渡できるため、手続きが簡素化するからです。

このように、一概にホールディングカンパニーを作ると言っても、手法は株式移転に限りません。どのような手法が適しているのか、専門家に聞くようにしましょう。

10. 株式移転を検討するならM&Aアドバイザーに相談しよう

株式移転を検討するならM&Aアドバイザーに相談しよう

株式移転を検討しているのであれば、M&Aアドバイザーに相談しましょう。M&Aアドバイザーとは、株式移転などのM&Aに関する専門家のことです。

検討からスケジュール立て、実行までのコンサルタントをしてくれるので、非常に心強い存在となってくれるでしょう。M&Aアドバイザーに相談するメリットは、以下のように3つあります。

  1. 適切な手法を教えてくれる
  2. 実行までの道のりを示してくれる
  3. 株式移転に詳しい専門家を紹介してくれる

3つのメリットについて詳しく確認していきましょう。

メリット1.適切な手法を教えてくれる

まず、株式移転が適切な組織再編の手法であるのかを判断してくれます

会社の状況や経営方針はそれぞれ違うため、あなたの会社に合わせた手法を提案してくれるのです。もしかしたら、合併や事業譲渡といった方法の方が今後会社が成長するかもしれません

今まで過去にたくさんのケースを見てきたM&Aアドバイザーだからこそ、様々な角度からアドバイスをもらうことができます。まずは選択肢をM&Aアドバイザーに教えてもらい、その中で最善の選択をしましょう。

メリット2.実行までの道のりを示してくれる

M&Aアドバイザーに相談すると、実行までの道のりを提示してくれます。そのため、初めての株式移転でもスムーズに行うことができるのです。

株式移転をするには、複雑な手続きがたくさんあります。1つでも欠けるとスケジュール通りに進めることができなかったり、実行できなくなってしまうことも懸念されます。

しかし、プロであるM&Aアドバイザーに相談していれば、しなければならないことを事前に提示してもらえるのです。もちろん、適切なタイミングで再度知らせてもらえるので安心して本業に集中することができます。

メリット3.株式移転に詳しい専門家を紹介してくれる

M&Aアドバイザーは株式移転に詳しい専門家とのつながりを豊富に持っているため、専門家を紹介してもらうことが可能です。

株式移転には契約書の作成に弁護士、節税対策・確定申告に税理士、会計処理に公認会計士、と様々な専門家の力を借りなければなりません。会社の顧問専門家に相談するのも良いですが、会社移転に詳しい知識を持っていなければ対応してもらえない可能性があります。

そんなときM&Aアドバイザーに相談しておけば、ふさわしい専門家を紹介してもらえるので安心です。

M&Aアドバイザーは、M&A仲介会社に在籍しています。M&A仲介会社に問い合わせてみましょう。

もし、M&A仲介会社に思い当たる会社がなければM&A総合研究所へお問い合わせください。公認会計士や弁護士が在籍しているのでスムーズに実行することができます。

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【関連】M&A仲介会社・企業ランキングTOP20!大手上場企業あり!

11. まとめ

株式移転とは、会社が発行済株式の全てを新しく設立する株式会社に取得させる会社法上の組織再編行為のことです。100%株式を持つため、完全親子会社関係を実現することが出来ます。

ただし、株式移転もM&Aの手法のひとつです。そのため、株式移転が最善の経営判断とは限りません。

専門家であるM&Aアドバイザーに相談することで、選択肢が増え、最適な方法を見つけることができます。無償で相談できるM&A総合研究所を上手く利用しながら、会社を成長させましょう。

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