営業権譲渡とは?事業譲渡との違いや価格相場、メリット・デメリットを解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

営業権譲渡という言葉をご存知でしょうか。言葉を見て分かる通り営業権譲渡とは営業権を譲渡する事を意味しています。営業権譲渡により企業にはどういったメリットをもたらすのでしょうか。ここでは営業権譲渡の価格相場やメリット・デメリットについて解説します。


目次

  1. 営業権譲渡とは?
  2. 営業権譲渡によるメリットとデメリット
  3. 営業権譲渡の価格相場
  4. 営業権の価格設定
  5. 営業権譲渡を計画する理由
  6. 営業権譲渡までの流れ
  7. 営業権譲渡にかかる税金
  8. まとめ
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1. 営業権譲渡とは?

営業権譲渡とは

営業権譲渡という言葉を耳にした事があるでしょうか。営業権譲渡とはその言葉が表す通り、営業権を譲渡する事を意味しています。また営業権譲渡のメリットやデメリットは売り手と買い手でどのような違いがあるのでしょうか。

まずは、営業権譲渡のメリットなどを紹介する前に、ここにおける営業権の定義などについて簡単に解説しますので参考にして下さい。

営業権の定義

営業権とは企業権ともいわれ、営利を目的として結成された財産価値のあるもので、有形無形を問わず企業が所有している利益や企業価値としています。なお、一般的には「のれん」と言われる言葉が営業権にあたります。

営業権譲渡と事業譲渡の違い

営業権譲渡と似た言葉に「事業譲渡」というものが存在します。では営業権譲渡と事業譲渡には違いがあるのでしょうか。結果から申し上げますと、営業権譲渡と事業譲渡は同じ意味を表しています。

簡単に説明すると平成18年(2006年)に改正された会社法と商法により、「営業権譲渡」という言葉が「事業譲渡」という言葉に変えられたという訳です。なので、営業権譲渡と事業譲渡は同じ意味合いと捉えても間違いはありません。

営業権譲渡と事業譲渡の意味は「会社や企業が事業の全てまたは一部を売却する」という事を表しています。ただし、会社法で営業権譲渡というと譲渡する対象は会社だけを指していますが、商法上で営業権譲渡と言うと個人事業も含むとされています。

2. 営業権譲渡によるメリットとデメリット

営業権譲渡によるメリットとデメリット

営業権譲渡と事業譲渡は同じ意味合いだという事がわかりました。それでは営業権譲渡におけるメリットやデメリットはどういった部分にあるのでしょうか。営業権譲渡におけるメリット・デメリットは売り手側と買い手側で違いがあります。

ここでは営業権譲渡において発生する売り手側のメリット・デメリット、買い手側のメリット・デメリットについてそれぞれ解説します。

売り手側のメリット

営業権譲渡によって売り手側にはどういったメリットが考えられるのでしょうか。営業権譲渡におけるいくつかのメリットの内、以下の2点について簡単に解説させて頂きます。

  • 不採算事業の売却
  • 売却益を得る

不採算事業の売却

営業権譲渡または事業譲渡を行う時には、いくつかの理由があります。営業権譲渡を行う理由の一つに不採算事業の売却があります。事業を進めていく中で価格的に採算が取れない事業が発生する事は少なくありません。

所得税などの税金対策として不採算の事業を保有している場合もありますが、不採算事業を抱えている事はあまり好ましいものではありません。不採算事業を採算があがる事業に転換できる可能性があれば良いですが、手段が見いだせない場合もあります。

不採算事業を売却する事で、健全な経営を行う事が可能になります。また、分散していた資金や人材を採算の取れやすい事業に集中させる事ができるなど、不採算事業を営業権譲渡や事業譲渡で売却する事はメリットとなるのです。

そうした時に、営業権譲渡により不採算事業の事業譲渡を行う事で、買い手側のノウハウなどが加わり違いを見出し、事業価値が高まる可能性もあります。

また、買い手側が保持していないノウハウを売り手側の企業が保有している場合、不採算の事業であっても事業価値を見出す事ができるため、売却するメリットがあるという訳です。

売却益を得る

営業権譲渡を行う事で事業を売却した利益を得ることができます。売却した利益はオーナーや経営陣などに収められます。あまり経営が思わしくなかった場合などは特に、営業権譲渡による利益は喜ばしいものです。

営業権譲渡による利益の価格は、その会社が持つノウハウや資産価値によって大きく変わります。また、時代背景や業界などによっても価格は変動します。営業権譲渡を行うには相場を知る事が重要なポイントと言えるのです。

買い手側のメリット

営業権譲渡による売り手側のメリットについて紹介しました。それでは次に営業権譲渡で得られる買い手側のメリットについて以下の2項目を紹介します。

  • 必要な事業を買い取る事ができる
  • 節税対策になる

必要な事業を買い取る事ができる

もし、買い手側の企業が新たな分野に進出したり、新たな商品開発を考えているとします。そうした場合、新たな展開を図るには人材とコスト、そして膨大な時間が必要な場合が多くあります。

こうした膨大なコストや時間を短縮する一つの方法として、営業権譲渡による事業の買い取りがあります。営業権譲渡により事業を買い取れば、人材やノウハウなど企業にとって価値がある財産を一気に獲得できるという訳です。

節税対策になる

営業権譲渡などのM&Aには「のれん」に伴う税金の処理が必要となります。通常であればこの「のれん」に係る税金が必要となりますが、営業権譲渡などの事業譲渡による「のれん」の償却に係るお金が5年間に限り損金として計上する事ができます

そのため、営業権譲渡などによる事業の買い取りは、「のれん」の価格を会計上損金として計上する事で、税金に対する対策を行う事ができるという訳です。

売り手側のデメリット

ここまでは、営業権譲渡による売り手側と買い手側のメリットについて解説しました。次に営業権譲渡による売り手側のデメリットを以下の4点について解説します。

  • 従業員の配置転換や取引先への引き継ぎ
  • 契約の手続きや登記変更
  • 同一事業再開の禁止
  • 譲渡益への課税

従業員の配置転換や取引先への引き継ぎ

営業権譲渡による売り手側のデメリットの一つは、事業譲渡によって発生する従業員の配置転換や取引先への引継ぎです。

営業権譲渡が行われると、譲渡される事業に関わっていた人材を他の事業へ配置しなければなりません。配置転換は少なからずコストが掛かります。また、従業員が会社に対する不信感を抱える原因ともなりかねません

さらには、営業権譲渡による事業の変換を取引先へと報告する必要があります。事業の譲渡によって取引先は売り手側の企業に対する信頼が落ちてしまう可能性も考えられるのです。

契約の手続きや登記変更

営業権譲渡によるデメリットとして考えられるのが、契約の手続きや登記の変更です。営業権譲渡により事業を譲渡する場合、事業に係る契約や登記などは買い手側の企業に変更をする必要があり、コストと時間が必要となるデメリットがあるのです。

同一事業再開の禁止

会社法では同一地域や近隣の市町村などで営業権譲渡から20年間は同一事業を禁じているます。そのため、営業権譲渡を行ってから事業の可能性に気づいたとしても手遅れとなります。

譲渡益への課税

税金面から見たデメリットも営業権譲には存在します。営業権譲渡により事業を売却した時に利益を得た場合、その利益は法人税の課税対象となっています。

買い手側のデメリット

営業権譲渡による売り手側のデメリットについて解説しました。配置や税金など数々のデメリットがある事が理解できたでしょうか。それでは、営業権譲渡による買い手側のデメリットはどういったポイントがあるのでしょうか。以下の項目に絞り解説させて頂きます。

  • 資金調達の必要性
  • 従業員の配置転換や取引先の引き継ぎ
  • 契約の手続きや登記変更
  • 譲渡で得た取引先との軋轢
  • 事業許認可の申請

資金調達の必要性

M&Aを行う場合は多額な資金が必要となる場合があります。営業権譲渡によるM&Aも同様です。売却企業の企業価値が高ければ高いほど、買い取りの価格は上昇し多額の資金調達が必要となります。

従業員の配置転換や取引先の引き継ぎ

営業権譲渡による従業員の配置転換や取引先の引継ぎは、買い取り側の企業にも発生するデメリットです。営業権譲渡により譲渡された事業の従業員や取引先の引き継ぎは、コストと時間がかかる場合もありデメリットの一つとして考えられています。

契約の手続きや登記変更

営業権譲渡による事業譲渡では、売り手側も買い手側も契約手続きや登記変更の事務的負担が発生するのもデメリットです。

譲渡で得た取引先との軋轢

営業権譲渡によって得た取引先についても、事業譲渡の不信感から軋轢が生まれてしまう可能性があります。また、買い取り時には気づかなかった取引先との軋轢が存在している可能性も見逃せません。

事業許認可の申請

営業権譲渡によって事業譲渡が行われたとしても、事業を行うにあたり必要となる許認可については基本的には譲渡されません。そのため、営業権譲渡による事業譲渡が行われたとしても許認可を改めて手続きする必要があります

3. 営業権譲渡の価格相場

営業権譲渡の価格相場

営業権譲渡を考えた場合、やはり気になるのが営業権譲渡による企業買い取り時の価格です。しかし、営業権の価格相場は企業の資産価値や利益でも違いますし、企業の置かれている立場や時代背景など業界の様々な要因で相場が違います

ですから、営業権譲渡の価格相場は「なし」といっても良いでしょう。とはいっても、営業権譲渡による価格設定の方法は存在します。次の項目で営業権譲渡における価格設定について触れていきます。
 

4. 営業権の価格設定

営業権の価格設定

営業権譲渡における価格設定はどのような評価により決まるのでしょうか。ここでは以下の5項目について営業権譲渡時の価格評価を解説します。

  • 時価純資産額による評価
  • 時価総負債額による評価
  • DCF法による評価
  • 超過収益還元法による評価
  • 利益年倍法による評価

時価純資産額による評価

資産などにおける会社の価値を時価で評価する方法です。全ての資産を算出した後に負債額を差し引いて求められます

時価総負債額による評価

時価総負債額は有利子負債額など負債額を時価で総額を算出する評価方法です。時価純資産額などの算出に用いられます。

DCF法による評価

DCF法は現時点ではなく、将来的に生み出すであろうキャッシュフローに対して評価を行う手法です。

超過収益還元法による評価

現状期待できる収益から実際の収益を差し引く方法を超過収益還元法と言います。一般的には、導き出された営業権譲渡の価格が高い場合などに用いられます。

利益年倍法による評価

利益年倍法は過去の当期における純利益を平均して算出する手法です。平均を導き出す年数は企業間で決めます。

5. 営業権譲渡を計画する理由

営業権譲渡を計画する理由

営業権譲渡を企業が計画するには理由が存在します。ではどういった理由から営業権譲渡を考えるのでしょうか。ここでは売り手側・買い手側それぞれの営業権譲渡を計画する理由について解説します。

売り手側の理由

営業権譲渡による売り手側の理由として考えられるのが業績悪化による経営圧迫です。経営を続けていく事が困難な状況に陥る前に、営業権譲渡により事業を売却して利益の確保を狙うものです。

他にも営業権譲渡を計画する理由には、採算が取れない事業の清算や多様化しすぎた事業の集約、人員整理さらには事業承継などもあります。

買い手側の理由

営業権譲渡を計画する買い手側の理由でもっとも考えられるのが事業の拡大です。事業を新たに興すよりも、すでに顧客などを保有している企業を営業権譲渡する事の方がスピーディーに事業の拡大を可能にしています。

他にも営業権譲渡によるホールディングス化や新分野進出、人材確保、競合会社の買収などもあります。どの場合も、買い取り側の企業にメリットがもたらされると考えられた場合に営業権譲渡を計画する事が多いようです。

6. 営業権譲渡までの流れ

営業権譲渡までの流れ

営業権譲渡までにはどういったフローがあるのでしょうか。営業権譲渡の流れについて簡単に解説します。

  1. 専門業者・アドバイザーを決める
  2. 買収先を決める
  3. 買い手側によるデューデリジェンスの実施
  4. 交渉及び、営業権譲渡契約書
  5. 株式総会での承認
  6. 営業権譲渡日に手続きを行う

①専門業者・アドバイザーを決める

営業権譲渡を計画した場合、多くの場合は営業権譲渡のノウハウがありません。ですから、営業権譲渡のノウハウと実績がある専門業者などを仲介として選定します。

M&A総合研究所であれば数多くの営業権譲渡の実績から豊富なノウハウを所有しています。相談は無料の完全報酬制ですので、ぜひ気軽にご相談ください。

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②買収先を決める

次に営業権譲渡の買い取り先の企業を選定します。事業を譲渡するのに適切で健全と考えられる買収先を専門家と決めていきます。

③買い手側によるデューデリジェンスの実施

買い取り手側は買収する企業の経営状況や企業的価値、リスクなどを調査するデューデリジェンスを行います。ここで買い取り手側がOKであれば次の段階へと進みます。

④交渉及び、営業権譲渡契約書

専門家を仲介としながら、売り手側と買い手側で価格や条件などを交渉します。交渉により決定した内容について営業権譲渡契約書に示します。営業権譲渡契約書に記された内容に双方が納得した場合、営業権譲渡契約書の締結を行います。

なお、営業権譲渡契約書には譲渡日や譲渡方法などが記載されています。営業権譲渡契約書の内容に基づいて営業権譲渡が進んでいきます。

営業権譲渡契約書で不明な部分があれば納得いくまで交渉する必要があるでしょう。また、営業権譲渡契約書の内容があいまいな場合などには専門家が忠告する事もあります。

営業権譲渡契約書の内容や書式については専門家と進めていきましょう。基本的には営業権譲渡契約書を締結すると、条件を変更する事はあまりありません。ですから、営業権譲渡契約書については何回も確認すると良いでしょう。

⑤株式総会での承認

営業権譲渡契約書を基に株式総会で株主の承認を得る必要があります。株主総会で営業権譲渡が承諾されれば譲渡が決まります。

⑥営業権譲渡日に手続きを行う

営業権譲渡契約書に記載された営業権譲渡日に手続きを行う事で、営業権の譲渡は終了となります。その後、専門家などに費用を支払うわけです。

7. 営業権譲渡にかかる税金

営業権譲渡にかかる税金

営業権譲渡にはどのような税金がかかるのでしょうか。消費税の扱いや所得区分の仕訳についても解説します。

売り手側の税金

営業権譲渡で得た収益は法人所得として取り扱われるので法人税が課税されます。また、営業権譲渡を実行した会社同士がグループである場合はグループ法人税制の課税対象となります。

また、消費税も必要な税金となりますので注意が必要です。課税対象金額だけで計算せずに消費税を必ず加算しましょう。中には消費税を考えておらず資金に苦しんだという声も聞こえます。消費税は税率が変わる時期もありますので注意してください。

買い手側の税金

買い手側は、譲渡された中に固定資産を含んでいると不動産取得税や登録免許税などがかかります。また、資産には消費税も課せられますから注意してください。売り手側と同様に消費税を計算せずに資金が不足したといった事態は避けましょう。

このように事業譲渡には法人税や不動産所得に伴う税金、そして消費税がかかるという訳です。消費税は現状では8%です。しかし、2019年には消費税が増税されて10%になる予定です。消費税の計算を間違えないよう注意しましょう。

所得区分による仕訳

なお、所得区分による所得税の仕訳は以下の種類があります。それぞれに項目について簡単に触れておきます。

  • 仕訳利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

所得区分による所得税の仕訳1.仕訳利子所得

仕訳利子所得は、銀行などで発生する各種信託からの預貯金の利子などに対する利益の所得を表しています。

所得区分による所得税の仕訳2.配当所得

配当所得はその言葉の通り株式の配当で得た所得や投資信託などの利益などで発生した所得を指しています。

所得区分による所得税の仕訳3.不動産所得

不動産所得もその言葉の通りです。土地や建物など不動産に係る所得です。また、船や航空機のリースで得た収益もこちらの所得に区分されます。

所得区分による所得税の仕訳4.事業所得

事業所得は会社を経営するなどして、事業を行った上で得る事ができた収益に対する所得の事を表しています。

所得区分による所得税の仕訳5.給与所得

サラリーマンなどが得ている所得です。会社などと従業員契約などを結んで支払われる給与の所得を意味しています。

所得区分による所得税の仕訳6.退職所得

退職所得は、会社を退職する事によって得られる収益の事を意味しています。主に退職金などが退職所得にあたります。

所得区分による所得税の仕訳7.山林所得

山林所得は、山林を売却した時に発生する所得の事を表しています。山林所得は5年以上の所有が条件となっています。

所得区分による所得税の仕訳8.譲渡所得

譲渡所得は、法人であっても故人であっても資産を売却などを行った時に得られた収益の事を表しています。

所得区分による所得税の仕訳9.一時所得

一時所得は賞金などの一時的に発生した収益に対して区分されている所得です。保険の満期金なども一時所得に区分されます。

所得区分による所得税の仕訳10.雑所得

雑所得は、先の9つの所得に区分されない所得を意味します。例えば年金やセミナーの出演料などは雑所得として計上されます。

8. まとめ

まとめ

営業権譲渡には売り手側と買い手側にそれぞれメリットとデメリットに違いがある事が分かりました。また、税金においても売り手側と買い手側で違いがあります。

とくに税金は、消費税を考えていないと、税金の金額が全く違います。消費税に注意して税金の金額を算出しておきましょう。営業権譲渡を計画する時には専門家に相談して円滑に譲渡を行うと良いでしょう。

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