地位承継とは?事業譲渡における地位の承継を解説

企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

地位承継とは、買い手・売り手の間の契約で発生する権利義務関係を移転させることです。M&Aスキームによっては包括承継が可能ですが、事業譲渡では個別に同意を得る必要があります。今回は、事業譲渡における地位承継を取り上げます。

目次

  1. 地位承継とは?
  2. 事業譲渡における地位承継とは
  3. 事業譲渡の際に地位承継は必要?
  4. 地位承継のまとめ
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1. 地位承継とは?

地位承継とは、売買契約で発生する権利義務関係を移転することです。会社の事業には権利義務関係も付随するため、M&Aや不動産売買の契約をする場合は、事業や資産・負債だけでなく地位承継を行わなくてはなりません。

契約の際は、地位承継を把握していないとトラブルに発展することもあります。この章では、まず地位承継の内容や決まりを解説します。

地位承継の内容

地位承継には、従業員との労働契約・取引先との契約・金融機関との債権債務関係などがあります。いずれも会社の経営に深く関わるものばかりで、M&Aなどで譲渡範囲に含まれることも多いでしょう。

地位承継が行われないとそもそも契約の目的を達せられないケースも多いので、契約に伴い移転する契約上の地位がどの程度あるのかを確認しておくことが大切です。

地位承継の決まり

地位承継には原則として相手方の同意が必要であると、民法により決められています(民法第539条の2)。というのは、契約内容次第では相手方の利益が著しく損なわれる可能性があるためです。

例えば、会社の事業資金調達のために金融機関から融資を受けた場合、金融機関との間で債務者と債権者の関係が生じます。一般的には、借入金の返済が終わるまで債権債務の関係が解消されることはありません。

しかし、地位承継により第三者に債務を引き継ぐことが可能です。その際は、地位承継することに関して債権者である金融機関からの同意を得る必要があります。

【関連】事業譲渡における債権者保護の手続きの重要性|債権者の個別同意は必須?省略できるケースも解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

地位承継と継承の違い

承継と継承の意味にはっきりとした相違点は存在しないものの、大辞林によれば承継は「地位・事業・精神などを受け継ぐこと」、継承は「身分・権利・義務・財産などを受け継ぐこと」とされており、異なる意味を持った言葉として定義されています。

一般的に、「承継」は事業承継や資産承継など主に法律が絡む資産や権利の引き継ぎに対して用いられる言葉です。その一方で、「継承」は、王位継承や伝統芸能の継承など法律問題の絡まない地位や伝統の引き継ぎに使われるケースが多く見られます。

地位承継の正確な読み方

辞書によると承継・継承は異なる意味を持つ言葉です。しかし、両者の相違点は非常に軽微なものです。地位を引き継ぐ場合は、適切な読み方がどちらなのか判別するのが難しいケースがあります。

具体例を挙げると、事業譲渡では、辞書の定義では承継にあたる地位・事業の引き継ぎだけではありません。継承にあたる権利・義務・財産の引き継ぎも行うのが一般的です。これに対して、事業譲渡の資産・負債の引き継ぎや不動産の引き継ぎなどでは、「地位承継」のほうが正確な読み方とされています。

2. 事業譲渡における地位承継とは

M&Aにて事業単位で売買契約をする場合は、事業譲渡と呼ばれるスキームを使います。株式譲渡のような包括承継のスキームとは異なり、事業譲渡では地位承継について個別に同意を得なくてはなりません。

この章では、事業譲渡を利用するメリット・デメリット、地位承継の注意点などを解説します。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、事業の一部あるいは全部を第三者に譲渡するM&Aスキームです。株式譲渡は経営権を移転させて法人格ごと譲渡しますが、事業譲渡では特定の事業・資産を譲渡します。

譲渡範囲の対象には、会社のあらゆる事業や資産が含まれるでしょう。土地・建物などの固定資産のほか、ソフトウェアや特許権などの無形資産、雇用契約している従業員なども会社の財産と考えられ、事業譲渡で売買することがあります。

【関連】事業譲渡のスキームごとのメリット・デメリット、注意点を解説【図あり】| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

事業譲渡する側のメリット・デメリット

事業譲渡する側のメリットは、経営権を維持できることです。M&Aというと会社売却のイメージが強いですが、事業譲渡では株式の移転がなく資本関係が一切生じないため、経営権に影響を与えません。

譲渡範囲を自由に選択できるメリットもあります。会社の経営に不要な事業・資産を切り離せるので、事業の選択と集中により企業・事業再生の手段として使われることも多いでしょう。

デメリットは、手続きが煩雑になることです。譲渡範囲を選べる反面、地位承継について個別の同意を得る必要が生じるため、成約までにするべき手続きが多くなります。

同意を得る段階で情報漏えいにも気を配る必要があります。事業譲渡の成約前に情報が外部に漏れてしまうと交渉に支障がでる恐れもあるので、同意を得るタイミングにも注意しなくてはなりません。

【事業譲渡する側のメリット・デメリット】

メリット デメリット
・経営権の維持
・譲渡範囲を自由に選べる
・手続きが煩雑
・情報漏えい対策する必要がある

事業譲渡される側のメリット・デメリット

事業譲渡される側のメリットは、必要な事業のみを承継できることです。包括承継の株式譲渡は不要な資産・負債まで引き継いでしまいますが、事業譲渡であれば必要な事業・資産に限定して承継できるのでM&Aのリスクを抑えられます。

節税面でも大きなメリットがあり、事業譲渡で承継した償却資産やのれんを償却費として損金計上することで、節税効果を期待できます。事業譲渡される側のデメリットは、地位承継の個別な手続きが必要なことです。必要な手続きが多くなるほか、同意が得られずに取引先が喪失したり従業員が退職したりといった事態に発展することもあり得ます。

【事業譲渡される側のメリット・デメリット】

メリット デメリット
・必要な事業のみを承継できる
・節税効果が期待できる
・手続きが煩雑

【関連】事業譲渡のメリット・デメリット30選!手続きの流れ・方法、税務リスクも解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

地位承継に際しての承諾

事業譲渡で事業や資産だけを引き継いでも、契約上の地位が伴わなければ正しく機能させられません。移転する権利義務がある場合は、相手方から地位承継に際して承諾を得る必要があります。

地位承継の承諾を得られないと、事業譲渡のクロージング条件を満たせず、成約に至らなくなることもあります。

覚書での承継は可能?

覚書は正式な契約書の締結前に合意事項や約束事を確認しあうために用いることが一般的ですが、契約内容や地位承継を明記されているのであれば、覚書でも契約書として効力を発揮させられます。

M&Aの契約自体は、契約書や覚書が必要なわけではありません。しかし、契約が交渉で取り決めた内容どおりに進行されれば問題ありませんが、双方の認識に齟齬があるとトラブルに発展することもあります。

場合によっては最終的に損害賠償問題になることも想定され、双方がM&Aに向けて多大な費用と労力を費やしているため、交渉を白紙に戻すだけでは済まないことも多いでしょう。

このようなトラブルの備えとして、契約書または覚書を作成・締結して書面として残しておくことが望ましいです。

不動産に関する地位承継の注意点

会社の経営では、不動産を借りてオフィス・事業所・店舗を運営することも多いです。事業譲渡で不動産の賃借権を地位承継する場合は、不動産の所有者(貸主)より同意を得る必要があります。

承諾を得ていない場合は無断譲渡となり、不動産の所有者から契約の解除を主張されることもあり得ます。買い手側が事業譲渡に求めていたメリットが少なくなってしまうので、注意が必要です。

3. 事業譲渡の際に地位承継は必要?

事業譲渡で適切な地位承継が行われていないと、事業譲渡後に契約上の問題が発生して買い手側に多大な損失を与えてしまうおそれがあります。

事業譲渡の際に地位承継は必要です。従業員が転籍するだけでも事業譲渡の取引当事者による取り決めだけで決定できないので、事業譲渡を検討する際は移転する権利義務に関して事前に把握しておくことが大切です。

事業譲渡のご相談はM&A総合研究所へ

事業譲渡は地位承継を適切に行わなくてはなりません。事業譲渡自体の流れも並行して進める必要性があるため、M&Aの専門家のサポートを依頼するのがおすすめです。M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介サポートを行うM&A仲介会社です。中堅・中小規模の案件を得意としており、中小企業の事業譲渡の仲介実績を豊富に有しているでしょう。

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4. 地位承継のまとめ

本記事では、事業譲渡の地位承継を解説しました。事業譲渡では多くのケースで権利義務の移転が関係するため、対応する地位承継も適切に行わなくてはなりません。

事業譲渡の規模が大きくなるほど必要な地位承継も増えるため、手続きの煩雑さも増していきます。不備なく進めるためには専門的な知識が欠かせないので、必要に応じてM&Aの専門家に相談することをおすすめします。

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