2023年03月24日更新
子会社設立のメリットはどこにある?デメリットも含めた影響と設立の流れ
子会社設立は、事業や部署を独立させて経営を円滑化させる手段として活用されます。しかし、どのような効果が得られるのか理解しておかなければ、良い影響は期待できません。本記事では、子会社設立のメリットやデメリットを含めた会社に与える影響や、設立の流れなどについて解説します。
目次
1. 子会社設立の意味
会社の規模が一定を超えると、さらなる成長を図るために子会社設立が必要になることがあります。子会社化には節税効果などのメリットがあるので、子会社設立や分社化、M&Aによる取得などさまざまな形で活用されています。
しかし、デメリットも存在しており、親会社の企業価値を損なうリスクもあるでしょう。子会社を最大限に有効活用するためには、子会社の内容やメリット・デメリットを把握したうえで取り組むことが求められます。
子会社設立とはどういうことか?
子会社設立とは、会社が資本を出して新しく会社を設立することです。資本を出した会社が新設会社の株主となるので、親子会社の関係となります。
法令上の制限や会計上のルールを含めて親会社と子会社の関係を把握しておくと、子会社のメリットを最大化させやすくなるでしょう。
会社の経営権取得には、「50%超の議決権のある株式の保有」という条件があります。保有率40%でも資金面や経営方針の決定権などで実質的に支配が及んでいる場合、子会社として扱われることがあります。
合併との大きな違い
合併とは、2つ以上の会社を統合して1つの会社にすることです。被合併法人は財産および権利義務の全てを合併法人に包括承継し、消滅します。
既存の会社が承継する吸収合併と、新設会社が承継する新設合併の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、どちらを利用した場合も合併後に残る会社は1つです。
合併は、全ての部門・事業を1つの会社にまとめ、シナジー効果の最大化を目的とした方法です。会社の規模が大きくなり、業界シェアを広げる効果も期待できます。
子会社設立は事業を分散させる方法です。各事業の責任や役割を明確化させることで経営の効率化を目的とする場合がほとんどです。
グループ会社との違い
グループ会社とは、グループトップの親会社と資本関係がある一連の会社群のことです。親会社以外の会社は親会社の利益のために営業・事業を行います。
グループは、親会社の子会社がさらに子会社(孫会社)を設立あるいは買収して、徐々に母体が大きくなります。直接的な資本関係がない会社も出てきますが、いずれの会社も上をたどっていくとグループトップの親会社に行き着くでしょう。
グループ会社という言葉を耳にすることが多いですが、法的にはグループ会社という呼び方はありません。一般的に、関係会社と似た意味で用いられることが多いでしょう。
子会社化との違い
自社の意思決定機関が特定の親会社に支配されている状態にある会社をさす言葉が、子会社化になります。ここでは、子会社化の種類、子会社化の統合方法を見ましょう。
子会社化の種類
子会社は、3種類あるので各子会社を見ましょう。
まずは、親会社の連結財務諸表に連結のスタイルで載る子会社で、連結子会社といいます。2つ目は、完全子会社で、親会社が子会社の全資本を有します。
3つ目は、非連結子会社で、連結財務諸表に関する会計基準の子会社に当たるものの、重要性の原則に基づく除外の理由などによって、連結の範囲から削除される会社です。
子会社化の統合方法
ここでは、子会社化の統合方法として「事業譲渡」と「株式取得(株式譲渡)」を見ましょう。
事業譲渡では、会社が持つ全事業また一部を他社へ譲渡し、譲渡対象を双方で話し合い、決められます。単なる事業譲渡では親会社の一事業になるので、子会社化には子会社を設け、その子会社に事業譲渡をします。
株式取得(株式譲渡)では、対象会社の株式を得て子会社化するでしょう。売却側は株式を譲渡し、買収側は対価に現金を払い、全株式を購入すると、会社の全経営権を得られます。
買収側は、対象会社の株式を購入する手順として、取締役会での取締役決議が必要です。売却側は、子会社の株式譲渡に対し、原則取締役会決議(普通決議)を行います。子会社株式の帳簿価額が、親会社総資産額における5分の1を超えるなど一定条件に該当すれば、特別決議が必要です。
2. 親会社と子会社の定義
子会社設立では、親子関係を構築してあらゆるメリットを得られますが、議決権の所有比率次第で子会社の種類は細かく分類されます。
求めるメリットが得られないこともあるので、子会社の種類を把握しておくことが大切です。この章では、親会社・子会社の定義や子会社の種類を見ましょう。
子会社に対しての親会社とは
親会社とは、複数の会社が支配関係にあるときに、ほかの会社を支配している会社をいいます。
支配とする条件は、子会社の議決権のある株式における過半数の所有です。議決権40~50%の所有でも、役員など構成員の過半数を占めているなど、実質的な支配力を持つ場合も該当します。
親会社にとっての子会社とは
子会社とは、複数の会社が支配関係にあるときに、ほかの会社に支配されている会社のことです。親会社の意思が尊重されるので、経営判断を子会社の独断で決められる場面が限られます。
親会社に議決権の過半数を所有されると支配下に置かれ、議決権の所有比率が40~50%でも子会社とされる場合があります。子会社はいくつかの種類に分けられますが、いずれも親会社からの実質的な支配の影響を受けるでしょう。
完全子会社
親会社が議決権のある株式100%を保有している会社のことです。親会社が子会社の全ての資本を出資しているので、経営面において完全支配下にあります。
会社法における大会社(資本金5億円以上あるいは負債総額200億円以上)は、有価証券報告書とともに連結計算書類の作成・提出が義務付けられています。
複数から連なる企業集団の財産および損益状況を示すために必要です。法務省令で連結貸借対照表・連結損益計算書・連結株主資本等変動計算書・連結注記表が定められています。
決算以外に関しては、完全な経営権の掌握による経営の意思決定の迅速化というメリットがある反面、株式100%の保有という性質から、上場条件の「少数特定者持株比率」を満たせないデメリットもあります。
連結子会社
親会社が議決権のある株式の過半数を保有している会社のことです。決算の際に財務状況や経営状態から、連結子会社の業績を決算に含められます。
財務情報を合算するメリットは、親会社の業績が低迷していても、子会社の業績によってよい数字を出せることです。
経営面に関しては、連結子会社は子会社に経営の独立性を維持させたいときに使われることが多いです。完全に支配下に置くよりも、社風や企業風土を尊重するほうが子会社のメリットを活用できると判断される場合などが考えられます。
非連結子会社
非連結子会社は、子会社であるものの連結子会社ではない会社のことです。支配が限定的な場合や当該企業グループ全体の経営・財務への影響度が低い場合は、連結対象から外すことが可能です。
主なメリットは、赤字経営の子会社を連結決算から除外して、業績向上を図れることなどがあります。議決権所有比率20~50%の場合は、持分法適用会社とされて持分法が適用されます。
3. 子会社設立のメリットとデメリットとは
子会社設立は、メリット・デメリットを把握したうえで、明確な目的をもって実施することが大切です。この章では、子会社を設立することで得られるメリットと逆にデメリットとなるものを解説します。
子会社設立のメリット
まずは、子会社設立のメリットを見ます。いずれも子会社設立の目的になるほどの恩恵が大きいものばかりです。
【子会社設立のメリット】
- 節税効果がある
- 経営の意思決定の迅速化
- 事業分散によるリスクヘッジ
- 損益管理がしやすい
- 後継者問題の対策になることがある
節税効果がある
子会社設立では、交際費の経費算入限度額の増加や親会社から転籍した社員の退職金などの施策により、節税効果を期待できます。
資本金1億円未満の会社の場合、交際費の経費上限額は年間800万円までです。800万円を超える場合は経費として認められません。しかし、子会社を設立すると2社合計で1,600万円まで交際費を経費計上することが可能です。
子会社の設立に伴い、親会社から役員・従業員が転籍する場合は、親会社を一度退職して子会社に再就職する流れになります。対象の役員・従業に対して退職金を支給できるので、経費計上して利益圧縮による節税効果を得られるでしょう。
経営の意思決定の迅速化
会社の規模が大きくなってくると役員などの経営陣が増え、経営判断や承認にかかわる人が多くなります。意思決定が遅れるほか、多くの人の時間を割く事態になりかねません。
子会社設立で子会社の経営陣に一定の裁量を譲渡すると、承認にかかわる人数がコンパクトになります。子会社内で完結できる事項は、承認にかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。
子会社設立で小さな組織を作るメリットには団結力が増す効果もあり、経営に携わる一部の役員だけでなく、社内の従業員にも責任感が芽生えることもあります。
責任が明確化されると意思決定の円滑化が期待できます。経営判断は速度が求められる場面も少なくないので、子会社設立の大きなメリットといえるでしょう。
事業分散によるリスクヘッジ
会社は業務上で何かトラブルがあると、業務停止を命じられることがあります。最長で24カ月間、業務の全部あるいは一部の停止を命じるもので、1つの会社に全ての事業を集中している場合は被る損失が非常に大きくなります。
子会社設立で事業を分散していると、業務停止命令は親会社あるいは子会社の片方のみで済むので、損失を抑えることが可能です。親会社の不祥事による社会的な信用失墜の場合、子会社が受ける影響は社名が違うこともあり、ある程度は抑えられるでしょう。
過去には、USBメモリの販売・レンタル事業の会社が、不実告知により24カ月間の業務停止命令を受けた事例もあります。本件は悪質な内容であったため、関連会社7社にも18カ月間の業務停止命令が下されました。
損益管理がしやすい
会社の規模が大きくなると部署・事業が増え、それぞれの業績を見極めにくくなる問題があります。
子会社を設立すると、親会社と子会社が別々に損益管理を行います。収益・費用・利益の3要素が明確になるので、1社に全ての事業を集中しているときよりも各事業の損益を把握しやすくなるでしょう。
損益を把握しやすくなると、必要以上に経費がかかっている事業を浮き彫りにしやすくなるなどのメリットがあります。不要なコストを削減して、グループ全体の業績を向上させる効果も期待できます。
後継者問題の対策になることがある
相続人が複数いる場合は、どちらかを次期経営者に決める必要があります。相続人間で株式の折半をすると、株式分散により経営権を集中できない問題があるためです。
しかし、経営者としての素質を重視して選んだ場合でも、選ばれなかったほうから反発が起こる可能性は高く、相続人の間で不和が発生し会社の経営や事業に支障をきたす恐れもあります。
子会社がある場合は、それぞれ親会社と子会社の経営者に就いてもらうことで問題が収まることもあります。支配関係は生じますが、将来的に子会社側が株を買い取ることで独立することも可能です。
子会社設立のデメリット
子会社設立にはたくさんのメリットがありますが、同時にデメリットも存在します。メリット以上に損失を被るものも含まれているので、特に気を付けたいポイントです。
【子会社設立のデメリット】
- 設立の手間がかかる
- ランニングコストの増加
- 損益通算できない
- 税金負担が増す場合もある
- グループ全体の実態把握が難しい
設立の手間がかかる
子会社設立では、定款・登記書類の作成をはじめとしたさまざまな手続きが必要です。各種資料の作成は専門家に任せられますが、基本事項の決定は自分で行う必要があります。
基本事項は、商号・本店所在地・資本金・株主構成などです。子会社を設立するだけでは目的を達成できないので、慎重に検討しなくてはなりません。
法人税の確定申告は、親会社と子会社で別々に行う必要があります。決算時期が重なる場合は、申告の資料作成のために時間を取られることが想定されるでしょう。
ランニングコストの増加
子会社設立すると、親会社と子会社に役割が重複する部門・部署が少なからず出てきます。人件費などは継続的に発生するので、費用面の負担は無視できないデメリットといえるでしょう。
子会社でも弁護士や税理士と顧問契約する場合は、契約費用にも注意が必要です。グループ会社として同じ士業事務所に依頼する場合は一定額の割引を期待できますが、費用が増加する可能性が高くなります。
子会社設立前に増加するランニングコストの試算を行い、節税効果や業務効率化よりも負担が大きいかどうか明確にしておく必要があります。
損益通算できない
完全親子関係の場合を除いて、親会社と子会社の損益通算は行えません。損益通算とは、黒字所得から赤字所得を差し引くことをいいます。
黒字と赤字相殺による税金負担の軽減は、節税対策の基本とされていますが、別々の会社になると損益通算ができなくなり、各々の黒字分の法人税を納めなくてはなりません。
損益通算ができないと赤字会社がある一方で、グループ全体では多額の法人税の支出が確定してしまうため、税制面における大きなデメリットといえます。
税金負担が増す場合もある
法人税は基本的に利益に対して課せられる税金です。しかし、黒字赤字に関係なく納める均等割という税目があります。会社単位で課せられる税金なので、子会社設立で会社の数が増えると均等割の負担も増加します。
子会社設立の節税効果が正しく得られていれば、均等割はさほど気になる負担ではありません。求めていた節税効果が得られていない場合は、単純に均等割の負担が増加するだけの結果に終わる可能性もあります。
グループ全体の実態把握が難しい
子会社設立は会社ごとの売上・利益の把握が容易になりますが、会計基準が異なる会社が増えるとグループ全体の実態把握が難しくなる問題があります。
親会社が完全に管理するのではなく、子会社独自の社風や企業文化を維持する場合は、親会社側で把握しきれなくなるケースもあるでしょう。
親会社と子会社の2社だけであれば負担は少ないですが、さらに増えてくると親会社の経営者だけで管理するのは難しくなります。各子会社の代表者と綿密な連携を取りながら、管理に努めなければなりません。
4. 子会社設立のポイント
子会社設立は、メリット以外に注意点も押さえておく必要があります。特に意識しておきたいポイントは、以下の2点です。
【子会社設立のポイント】
- 中小企業の子会社設立は税務調査が厳しい
- 労使間のトラブルがあるケースも
中小企業の子会社設立は税務調査が厳しい
子会社設立のメリットに節税効果がありますが、不当な節税対策は税務署から否認される可能性があるでしょう。
過去には、過度な利益調整を行った中小企業が税務署からの指摘を受けています。親会社の利益を相殺するために強引に子会社から仕入れて支出を増やしたり、逆に子会社の利益が出そうなときは親会社から子会社へ売りつけたりすると、指摘を受ける可能性があるでしょう。
これらの調整が認められてしまうと不当な節税対策が横行してしまうため、税務署は中小企業のグループ全体の出資関係を把握しています。申告の際は親子間の取引内容まで厳しい税務調査が行われます。
海外に子会社設立する際は、どこまでの費用を親会社の負担にするかどうかも焦点です。近年は中小企業が海外進出する事例も増えてきているので、税務署からの税務調査も厳しくなっています。
海外子会社の資金不足を理由に日本親会社が経費を負担する場合は、親会社から子会社への寄付金と判断されて損金不算入となる場合があります。
労使間のトラブルがあるケースも
子会社設立の際、親会社の従業員を子会社に転籍させる場合があります。場合によっては、労使間のトラブルに発展することもあるでしょう。
転籍する従業員は一度親会社から退職する形になるので、勤続年数が途切れるデメリットがあります。定年退職で受け取れる退職金額に影響が出るので、トラブルになることが多いでしょう。
転籍ではなく出向の形を取ることもあります。出向の場合、親会社との労働契約を継続したまま子会社の指示で働きますが、出向者が子会社でトラブルを起こした際は、子会社側は処分を下せません。
こうしたトラブルは、出向を口約束で済ませているときに起こりがちです。役員や従業員の出向が伴う場合は、会社と本人の間で契約書を取り交わしておくことが大切です。
労使間のトラブルが発生すると、子会社の事業に支障が出る恐れもあります。子会社設立のメリットを生かすためにも、従業員の転籍・出向手続きは対象者からの承諾を得たうえで進めましょう。
親会社との良好な関係構築
親会社との良好な関係構築も、子会社設立のポイントです。買収の際は、企業グループとしてのシナジー効果や組織再編を見越した経営計画に合う企業かどうか判断しなければなりません。これは、互いに良い関係を築くことから始まります。
親会社は子会社の受け入れにより、新しいノウハウや事業展開などのビジョンを描きます。子会社となる会社は、親会社の傘下に入ることで、経営基盤を強めることなどを見込むでしょう。
子会社化にはデメリットもあるので、子会社化を行う目的を明確にしてください。
デューデリジェンスの徹底
M&Aのリスクリターンを把握するために、前もって実施する調査がデューデリジェンスです。
財政状態、税務状況、納税状況などをチェックしてもらうよう、専門家に依頼します。デューデリジェンスで問題が発覚すると、リスクの回避が可能です。
子会社化の完全合意後に問題が浮き上がると、手遅れといえます。子会社設立のポイントとしても、デューデリジェンスはしっかり行ってください。売却側も協力し、自社を正当に評価してもらいましょう。
5. 子会社設立の従業員から見たメリット・デメリット
この章では、子会社設立の従業員から見たメリット・デメリットを紹介します。
メリット
まずは、メリットから見ましょう。親会社と同じ程度の福利厚生を得られることは、子会社設立の従業員から見たメリットといえます。
子会社の福利厚生は、親会社に即して決まることが少なくありません。親会社と同じ企業年金基金や健康保険組合に加入できるでしょう。親会社が持つ保養施設が使えるなどの福利厚生も得られます。
デメリット
次に、デメリットです。子会社の従業員は親会社より立場が弱く、採算が合わない仕事をさせられたり、値引きや納期短縮を迫られたりすることもあるでしょう。
人事においては、親会社から出向の従業員が子会社の管理職などに就くことはよくあります。しかし、子会社の従業員が出世できるケースは少ないでしょう。同じ仕事をしても、給与体系が違うため、給与に差が出ることもあります。
6. 子会社を設立する手順
親会社が100%出資して子会社を設立するか、他の出資者を含めて共同出資とするかに関わらず、出資者を発起人として設立登記を行う必要があります。新設会社の設立と同様の手続きが必要です。
子会社の設立費用と準備するもの
子会社の設立費用と準備するものについて説明していきます。
子会社の設立費用は、以下のようなものがあります。
1.登記費用:
子会社を設立するには、法的手続きが必要です。登記費用は、子会社の登記や印紙代、手数料などの費用を含みます。登記費用は、地域によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
- 定款認証印紙代:株式会社・合同会社ともに0円
- 公証人による定款認証費用:株式会社50,000円、合同会社0円(合同会社は認証不要)
- 登録免許税:株式会社150,000円、合同会社60,000円(いずれも最低額で記載)
2.顧問費用:
子会社を設立するためには、法律や税務の専門知識が必要です。顧問費用は、弁護士や税理士などの専門家に支払う費用です。顧問費用は、設立にかかる費用以外にも、子会社の経営に関するアドバイスなども含まれる場合があります。
3.設立費用:
子会社を設立するには、オフィスや機器、従業員などを揃える必要があります。設立費用には、これらの初期費用が含まれます。
子会社を設立するにあたって、準備するものは以下のようになります。
1.設立計画書:
子会社の設立にあたっては、事業計画や経営方針、人員配置などを記載した設立計画書が必要です。設立計画書は、顧問などの専門家にアドバイスをもらいながら、作成することをおすすめします。
2.役員および株主の決定:
子会社を設立するには、役員や株主を決定する必要があります。役員や株主は、子会社の経営に大きな影響を与えるため、選定には細心の注意を払う必要があります。
3.設立申請書類:
子会社を設立するには、設立申請書類が必要です。設立申請書類には、子会社の名称、所在地、役員や株主の情報などが含まれます。
他にも以下の物を用意しておきましょう。
- 発起人全員の実印と印鑑証明書
- 親会社の実印(代表社員)と印鑑証明書
- その他出資者の実印と印鑑証明書(親会社の100%出資の場合は、不要)
- 親会社の定款の写し
- 親会社の登記簿謄本
- 子会社取締役の印
- 身分証明書(本人確認用)
子会社設立スケジュール
子会社を設立するスケジュールは、株式会社と合同会社で異なる点があります。
まず、株式会社の場合、設立には最低でも1か月程度の時間が必要です。設立申請書の作成や登記手続き、株主の承認など、多くの手続きが必要になります。また、株式会社の場合、資本金を設定する必要があり、設立時に資本金を準備する必要があります。このため、設立までの期間が長くなります。
一方、合同会社の場合、設立には比較的短い期間が必要です。合同会社は、役員を設ける必要がないため、株式会社に比べて手続きが簡素化されています。設立までの期間は、1週間程度で済むことが多いです。ただし、合同会社の場合も、登記手続きや必要な書類の作成など、多少の手続きが必要になります。
また、株式会社と合同会社では、設立に必要な書類や手続きが異なる点があります。例えば、株式会社では、設立議事録や発起人のリスト、定款、株式発行申請書などが必要です。一方、合同会社では、合同会社設立届出書や会員名簿、会員決定書などが必要です。
定款作成の要点
子会社を設立するにあたり、定款は非常に重要な役割を果たします。定款は、設立時に必要な書類の一つであり、会社の目的や組織形態、株式数や資本金の額、役員の任期や権限など、会社の運営に必要な事項が規定されています。
まず、株式会社の場合、定款には以下のような事項が含まれます。
- 会社の名称、所在地、目的 ・資本金の額、株式の数と種類
- 役員の任期と権限、取締役会や監査役の設置
- 株主の権利と義務、株主総会の開催方法と議決の方法
- 会計年度と決算の方法、利益配当の方法と期日
一方、合同会社の場合、定款には以下のような事項が含まれます。
- 会社の名称、所在地、目的 ・出資者の名称と出資額、出資割合
- 合同会社の運営方法、役員や代表者の任期と権限
- 会員の会議や議決の方法、会計年度と決算の方法
- 会社の解散や合併、資本金の増減
株式会社と合同会社の定款には、共通点もあれば違いもあります。例えば、株式会社では株式の数や種類が定められますが、合同会社では出資割合が定められます。また、株式会社では取締役会や監査役が設置されますが、合同会社では役員の任期や権限が規定されます。
定款は、設立後にも改正することができます。しかし、改正には手続きや承認などの時間がかかるため、設立時にしっかりとした定款を作成しておくことが大切です。
7. 事業計画書とは
起業家にとって、会社設立時の大きな問題の一つが、事業計画の作成です。定款や登記などの手続きは法律的に決まっていることが多いため、専門家に相談して進めることができます。しかし、事業計画は、起業家が描く夢を、関係者が理解し、支持してくれるものでなければなりません。
実績のある企業は、新しい事業を立ち上げる場合や組織改革をする場合以外は、事業計画の作成が「惰性的な作業」になることがあります。起業する際に初めて事業計画書を作成する場合には、実績ある企業が陥りがちなエアポケットに注意しながら、重要な点を考える必要があります。
長期計画を意識すること
事業計画を作成するのが「惰性的作業」となるのは、最初に決めた「ミッション」と「ビジョン」が、ただの口約束になってしまっているからです。一般的に、事業計画は「長期計画」、「中期計画」、「単年度計画」という三つの部分に分かれています。
単年度の計画は、中期計画を達成するためのプロセスを明確にするために作成され、中期計画は、企業が達成したいミッションやビジョンを実現するための戦略です。しかし、この中期計画が惰性的になる原因は、ミッションやビジョンが利益至上主義にすり替わってしまったためです。
利益至上主義が企業内に浸透すると、それが原因で不祥事やハラスメント問題が表面化することがあります。実際に、近年の企業不祥事を見ても分かるように、些細なことをきっかけに、問題が起きることがあります。そして、事後の対応が誤っていた場合は、社会から拒絶され、市場から追放される可能性があります。
(注1)ミッションとビジョンとは、企業の行動指針として、全社員が共有すべき基本的な価値観や信念を示すものです。ミッションは、企業の存在意義となるものであり、ビジョンは、その目標を達成するための戦略や方針です。
現代の企業経営に求められるもの
現代の企業経営で重要なのは、社会に貢献し、ステークホルダーとともに繁栄し、ブラック企業でない組織を作ることです。起業する場合、これらの要素は事業計画の骨格であり、外せないものであることを認識しなければなりません。
これらの要素は、コンプライアンスやCSRを柱とした経営思想として、起業時から育むべき永遠のテーマと言えます。利益を追求すること自体は悪というわけではありません。事業を拡大し、利益を上げ、株主に配当し、仕入先を潤わせ、消費者と社会に満足を提供することで、更なる事業の発展につなげるという好循環を創り出すための基盤です。
この循環の中で、利益は事業拡大のための再投資に回り、会社の規模が拡大することで雇用の増大と税金の納付を通して地域に貢献することにつながっていきます。起業時の事業計画は、この循環を創り出すための仕組みを内外に示し、損益計画を実現可能性の高いものにする必要があります。
8. 子会社設立におすすめの相談先
子会社設立は注意点やデメリットがあるので、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。M&Aの専門家なので、子会社の節税効果や従業員の転籍に関して専門的な知見を有しているからです。
M&A総合研究所では、M&A・子会社設立に精通したM&Aアドバイザーが親身になって案件をフルサポートします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
無料相談を受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
9. 子会社設立のメリット・デメリットまとめ
子会社設立には、節税効果などのメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。経営に大きな影響を与えるデメリットもあるので、事前に把握しておくことが大切です。
子会社設立は手間がかかるので、専門家に依頼することをおすすめします。専門家のサポートを受けると手続きを円滑に進められ、日常の業務や子会社設立後の事業に集中できます。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。