新株予約権とは?仕組みや手続き方法、メリット・リスクを解説!

Medium
この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

会社が発行できる株式のなかには、新株予約権というものがあります。新株予約権は、従業員のモチベーション向上や、敵対的買収への防衛策など、さまざまな用途で使われます。この記事では、新株予約権の仕組みや手続き方法、そのメリットやリスクについて解説します。


目次

  1. 新株予約権とは
  2. 新株予約権の仕組み
  3. 新株予約権の目的と発行方法
  4. 新株予約権の権利を行使する手続き方法
  5. 新株予約権の買取請求
  6. 新株予約権のメリット
  7. 新株予約権のリスク
  8. 新株予約権発行時の相談先について
  9. まとめ
  • 今すぐ買収ニーズを登録する
  • 公認会計士がM&Aをフルサポート まずは無料相談

1. 新株予約権とは

新株予約権について

新株予約権とは、発行した会社に対して使うことにより、新株の交付を受けることができる権利を言います。

新株予約権を交付することにはメリットとデメリットがありますが、適切に使用することができれば自社にとって大きなメリットをもたらすことができます。

新株予約権の種類

新株予約権は、使い方に応じて大きく4以下の種類に分類することができます。ここでは、4種類の新株予約権について解説していきます。

  1. 社内向け発行(ストックオプション)
  2. 社外向け発行
  3. 無償割当
  4. 有利発行

①社内向け発行(ストックオプション)

1つ目は、社内向けのストックオプションです。ストックオプションとは、自社の従業員や取締役に対して、あらかじめ決められた金額で新株を取得できる新株予約権を言います。

通常は、新株を取得できる金額を現在の株価以下に設定しておき、その権利を行使できる期間を数年後に設定しておきます。

そうすることにより、その新株予約権を取得した従業員や取締役は、株式によるインセンティブを得るためモチベーションを上げて仕事に取り組むことになります

また、数年後でないとインセンティブを得ることができないため、従業員の早期退職を減らすこともできます。

②社外向け発行

2つ目は、社外向けの発行です。社外向けに新株予約権を発行する目的は、資金繰りに苦しんでいる企業が資金調達を行うためです。

新株予約権を社外に発行するとオプション料を得ることができるため、その対価ですぐに資金調達が可能になります。

また、株式は社債と異なり返済義務がないため、会社にとって負債になることはありません

ただし、新株予約権を発行しすぎると株価が大きく下落し、新株予約権が売れない可能性があります

③無償割当

3つ目は無償割当です。無償割当とは、新株予約権を既存株主に無料で割り当てることを言います。

これは大規模な増資を行う際など、新株を大量に発行するときによく行われます。新株を大量に発行すると株価が大きく下落するため、既存株主は新株を取得しなければ株式資産が大きく減少してしまいます。

このような状況を避けるため、既存株主に対して無償割当を実施するという対策が取られます。

④有利発行

4つ目は、有利発行です。会社は自社の株式を自由に割り当てることができるため、特定の人や法人に対して新株予約権を発行することができ、これを有利発行といいます。

ただし、不公平な発行方法であるため、有利発行を行うためには株主総会でその理由を説明し、特別決議による承認を得なければなりません。

2. 新株予約権の仕組み

新株予約権の仕組みについて

次は、新株予約権の仕組みについて説明します。同じ新株予約権でも、社内向けのストックオプションとその他の新株予約権では少し仕組みが異なるため、それぞれについて解説していきます。

ストックオプションの仕組み

ストックオプションは、社内向けに発行する新株予約権のことです。そのほかの新株予約権との大きな違いは行使できる期間が異なっており、ストックオプションの方が数年間と行使期間が長くなっています

その理由は、ストックオプションにより高めた従業員や取締役のモチベーションを持続させるためです。

新株予約権の行使期間中、従業員や取締役が尽力して業績を上げ、株価を上昇させることができれば、その分が新株予約権によるインセンティブになります。

それ以外の新株予約権の仕組み

一方、ストックオプション以外の新株予約権は社外向けであり、資金調達が目的になっています。

通常、資金調達のために新株予約権を発行することはなく、新株発行についての募集を行い資金調達します。

それでは、なぜ新株予約権を用いて資金調達を行うのでしょうか?その理由は、新株を発行しても誰も出資しないときに用いる最終手段だからです。

そのため、新株予約権を安価に発行し、株主に対して比較的大きな利益が出るような条件を提示して資金調達を行います。

このように、通常の新株発行よりも株主に対してメリットを与えるような新株を発行したいときに、新株予約権を発行します

3. 新株予約権の目的と発行方法

新株予約権の目的と発行方法について

次は、新株予約権を発行する目的と発行方法について、それぞれ解説していきます。

新株予約権を発行する目的

新株予約権を発行する目的には、主に以下の3つがあります。なお、①と②は、先ほど説明をしたのでここでは割愛します。

  1. ストックオプション
  2. 資金調達のための有利な発行
  3. 買収防衛策(ポイズンピル)

③の買収防衛策では、敵対的買収に備えて新株予約権を友好関係のある第三者に発行し、買収されそうになった時に権利を行使して、買収先の株式占有率を低下させて買収を防ぎます。

この防衛策をポイズンピルといい、ほとんどの会社は敵対的買収に備えてポイズンピルの準備を行っています

新株予約権の発行方法

新株予約権の発行方法には、公正発行と有利発行の2つがあります。

公正発行

公正発行は、すべての株主に対して新株予約権を発行する方法です。通常、社外向けの発行や無償割当、有償のストックオプションは公正発行に該当します。

有利発行

有利発行は、特定の株主に対してのみ新株予約権を発行する方法です。この方法により、株主の議決権など他の株主が不利益を被る可能性があることから、有利発行の際は株主総会特別決議で承認を得る必要があります。

以前は、無償のストックオプションは有利発行に当たるとして、すべての会社で株主総会特別決議の承認を得ていました。

しかし、近年はストックオプションが無償であっても、目的が従業員や取締役のインセンティブのためであるとして、公正発行とみなしている企業が増加しています。

4. 新株予約権の権利を行使する手続き方法

新株予約権の権利を行使する手続き方法について

次は、新株予約権の権利を行使する手続き方法について解説します。

行使する手続き方法

新株予約権を行使するためには、証券会社を通し以下の手順を経て、新株を取得することになります。

  1. 株主確定日に株主に対して新株予約権が割り当てられる
  2. 新株予約権を割り当てられた株主に対して発行会社から権利行使請求権が送られる
  3. 株主は権利行使の申し込みを行う(Web・電話・書類での申し込み)
  4. 証券会社で権利行使に当たっての手続きや審査を行う
  5. 審査が通れば新株を受け取ることができる
なお、この手順はある証券会社で権利行使するための手続き方法です。証券会社によって手続き方法は異なるため、詳しくは新株予約権の発行の際に使われる証券会社にお問い合わせください。

行使期間について

行使期間とは、新株予約権が付与されてから権利行使できるまでの期間を言います。

商法上、行使期間の決まりはありませんが、適格税制に適応するためには、行使期間を2年から10年に定めなければなりません

適格税制とは

適格税制とは、定められた要件を満たすと新株予約権行使に当たっての課税を一部免除することができる制度です。

ストックオプションの場合、ストックオプション取得について課税はされませんが、権利行使時や株式譲渡時には課税されます。

権利行使時の課税は、ストックオプションが付与されたときから権利を行使するまでに株価が上昇していた場合、その分が利益となるため課税対象となります。

なお、権利行使時の利益は労働の対価と考えられるため、給与所得として課税されます。

株式譲渡時の課税は権利行使から譲渡するまでに得た利益に対して課税されます(譲渡所得として課税)。

しかし、適格税制が適応されると権利行使時の課税(インセンティブ分の課税)が免除されます。そのため、ストックオプションを使う場合は、できるだけ適格税制に適応させましょう。

行使価格について

行使価格とは、新株予約権を行使するときに払い込む金額のことで、この価格は新株予約権を発行するときに決められます。

新株予約権は割り当てる株主に対して、通常の新株購入よりもメリットを与える必要があるため、発行時の株価よりも安価に発行される場合が多いです。

なお、ストックオプションの場合は適格税制を受けた方が有利なため、行使価格について以下のような制限を受けることになります。

  1. 行使価格がストックオプション発行時の株価以上であること
  2. 行使価格が年間で1200万円をこえないこと
したがって、適格税制の適用を受ける場合は、行使価格についても注意する必要があります。​​​​​​​

5. 新株予約権の買取請求

新株予約権の買取請求について

新株予約権は原則として買取請求できませんが、株主が不利になると思われる場合は、買取請求することができます。

新株予約権の買取請求が可能となる条件には、以下の4つがあります。

  1. 譲渡制限株式化した場合
  2. 全部取得条項付種類株式化した場合
  3. 株式が分割・交換・移転された場合
  4. 会社合併が行われた場合

 

①譲渡制限株式化した場合

1つ目は、譲渡制限株式化した場合です。譲渡制限株式とは、保有している株式を譲渡するときに、その会社の取締役会か株主総会で承認を得なければならない株式のことです。

株式の譲渡益を目的に新株予約権を購入した株主にとって、譲渡制限化することはすぐに譲渡益を得ることができなくなることを意味しています

つまり、そのような株主にとって不利になるため、譲渡制限化した場合には新株予約権の買い取り請求を認めています。

なお、以下の記事では譲渡制限株式について詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。

【関連】譲渡制限株式とは?メリット・注意点を解説!

②全部取得条項付種類株式化した場合

2つ目は、全部所得条項付種類株式化した場合です。全部取得条項付種類株式とは、株主総会特別決議で承認が得られれば発行しているすべての株式をいつでも会社が取得できる株式のことを言います。

つまり、株主が期待する譲渡益が得られないまま、会社に取得される可能性があることから、株主にとって不利になります

そのため、全部取得条項付種類株式化した場合も、新株予約権の買取請求が認められています。

③株式が分割・交換・移転された場合

3つ目は、株式が分割・交換・移転された場合です。株式分割とは、すでに発行されている株式を分割することで、株価が下落することを意味します。

新株予約権は株式分割で分割しないため、価値が低下し、株主にとって不利になります

株式交換・移転とは発行済み株式すべてを既存会社もしくは新設会社の株式と交換・移転することを言います。

つまり、新株予約権を割り当てられた時の企業とは異なる会社の株式を、付与されることになります。以上のことから、これらの場合も新株予約権の買取請求が認められています。

④会社合併が行われた場合

4つ目は、会社合併が行われた場合です。会社合併が行われると株式交換・移転の時と同様、新株予約権が割り当てられた時の企業とは異なる会社の株式を付与されることになり、株主にとっては不利になります

そのため、会社合併が行われる場合も、新株予約権の買取請求が認められています。

6. 新株予約権のメリット

新株予約権のメリットについて

この章では、新株予約権のメリットについて、会社側、権利者・投資家側、既存株主側3つの視点から解説していきます。

会社側のメリット

新株予約権を発行することによる会社側のメリットには、以下の3つがあります。

  1. 安全で健全な資金調達ができること
  2. 敵対的買収への防衛策になること
  3. ストックオプションの場合、従業員のモチベーションが上がること

①安全で健全な資金調達

資金調達の方法は、株式を発行して得る株主資本と、金融機関などから融資を受ける借入金とがあります。

経営難や資金繰りが悪化しているときでも、金融機関などからの融資の場合は返済義務がありますが、株式発行による資金調達では返済義務はありません

そのため、新株予約権発行は安全で健全な資金調達であるといえます。しかし、新株予約権の発行は、新株発行で必要人数の買い手が見つからないときに行う最終手段であるため、新株予約権にあまり頼らないことをおすすめします。

②敵対的買収への防衛策

新株予約権を自社に対して友好的な第三者に発行しておくことで、友好的第三者に安定的に株式を保有してもらえるため、簡単に敵対的買収が行えなくなります。

このような新株予約権の発行による敵対的買収への防衛策をポイズンピルといいます

【関連】敵対的買収とは?成功事例15選!M&Aの防衛策もわかりやすく解説

③ストックオプションによるモチベーションのアップ

ストックオプションは、従業員や取締役が頑張ることで業績が上がり、株価が上昇することでインセンティブが得られるというものです。

そのため、ストックオプションはモチベーションの向上につなげることができると言えるでしょう。

なお、適格税制の適用を受けるためには、行使期間を2年から10年に設定しなければなりませんが、行使期間が長すぎると、逆に従業員や取締役のモチベーション低下につながるので注意が必要です。

権利者・投資家側のメリット

新株予約権を発行することによる権利者・投資家側のメリットには、以下の3つがあります。

  1. 安価な株を購入することができること
  2. 行使実行の選択ができること
  3. 大きな売却益を得る可能性があること

①安価な株を購入する事ができる

社外向けに新株予約権を発行する場合、行使期間があるため、新株発行よりも株主にプレミアムが付与されます。

そのため、権利者や投資家向けに発行される新株予約権は、発行時の株価よりも安い価格で募集発行されます。新株予約権は、安価に株を購入できる手段であるといえます。

②行使実行の選択できる

新株予約権は行使期間が定められていますが、その期間内であれば、いつでも権利を行使することができます。

つまり、権利者や投資家は、自身の利益が確定しているときに権利を行使することができ、損失のリスクを抑えた投資を行うことができます

③大きな売却益を得る可能性がある

新株予約権は、新株の購入よりも売却益を得ることができる可能性があるといえます。株式投資は、購入時の価格よりも高い株価の時に売却できれば、利益を得ることができます。

新株予約権の場合、行使期間まで権利を行使できない分、新株予約権を安価に購入することができるため、売却益を確保できる可能性は大きくなります。

また、権利行使期間内であれば、権利者や投資家の裁量で権利を行使できるため、より確実に売却益を手にすることができます

ただし、いくら新株予約権を購入したからと言って、将来的な会社の成長が見込めない場合は売却損になる可能性が高いので、見極める必要があります。

既存株主のメリット

新株予約権を発行することによる既存株主のメリットはいくつかありますが、この記事では1つだけ紹介します。

①社債の発行や借入金より安全で健全

新株予約権は企業価値に大きな変動がなく、社債や借入金よりもリスクを回避した資金調達方法です。

そのため、株価の下落による資産減少の可能性が少なくなるため、既存株主にとってはメリットであるといえます

企業価値について

企業価値とは企業の価値を示すもので、その企業の資本構成から計算することができます

企業価値は、株主資本(株式や新株予約権などからの資金調達)と負債価値(社債や借入金など)の合計で求めることができ、それをもとに株価が決まります

負債価値が増加すると、節税効果により企業価値は上昇しますが、逆に株主から要求されるリターンが大きくなるため、株主資本は低下し、企業価値が低下することになります。

つまり、社債や借入金の資金調達方法は、株価が低下するリスクがあると言えます

7. 新株予約権のリスク

新株予約権のリスクについて

最後に新株予約権のリスクについて、メリットの時と同様、3つの視点から解説していきます。

会社側のリスク・既存株が希薄化する可能性

新株予約権を発行すると、既存株が希薄化する可能性があります。既存株が希薄化すると、権利者や投資家、既存株主に悪い影響が及ぶため、株価が低下して今後の資金調達が困難になる可能性があります

資金調達による新株予約権を発行する際には、その発行数に注意する必要があります。

権利者・投資家側のリスク オプション料が発生する

権利者・投資家にとっての新株予約権のリスクは、オプション料が発生することです。新株取得の場合、新株に対する対価(株価分)だけを支払えば取得することができます。

しかし、新株予約権から新株を取得するまでには行使価格を支払うだけでなく、新株予約権を取得するために対価(オプション料)を支払う必要があります。

つまり、新株取得に比べて新株予約権の取得は、オプション料の分だけコストがかかることになります

既存株主のリスク・既存株が希薄化する可能性

新株予約権が発行されて、その権利が行使されると発行済み株式数が増加するため、既存株が希薄化することになります。

既存株が希薄化すると株価が下落してしまうため、株式による資産が減少することになります

8. 新株予約権発行時の相談先について

新株予約権発行時の相談先について

「新株予約権を発行するべきか」「発行するときにはどのような注意点があるか」などについては、M&Aの専門家に相談することによって解決する場合があります。

先ほども紹介したように、敵対的買収の方法として新株予約権の発行(ポイズンピル)があるため、M&Aと新株予約権は全く関係がないわけではありません。

そのため、新株予約権に関する相談をM&Aの専門家にしても問題はありません。M&A総合研究所では、相談に対して圧倒的なスピードで対応することができます

相談料は無料ですので、新株予約権発行についてご相談のある方は、ぜひお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談WEBから無料相談

9. まとめ

新株予約権 まとめ

新株予約権の仕組みや手続き方法、メリットやリスクについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?この記事のポイントは以下のとおりです。

  • 新株予約権の仕組み → 新株予約権はストックオプションや資金調達ができる
  • 新株予約権の手続き方法 → 新株予約権は行使期間でないと新株を購入できないことに注意が必要
  • 新株予約権のメリットとリスク → 新株予約権を発行する際はメリット・リスクを理解した上で発行する
新株予約権発行は新株発行と異なる部分が多いため、メリットとリスクが同時に生じます。そのため、それらをよく吟味した上で、メリットが上回る時は新株予約権を発行するようにしましょう。

M&A総合研究所では、M&Aに関するご相談はもちろん、新株予約権についてのご相談もお受けしています

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所

M&A・事業承継のご相談なら専門の会計士のいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。

M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴

  1. 業界最安値水準!完全成果報酬!
  2. M&Aに強い会計士がフルサポート
  3. 圧倒的なスピード対応
  4. 独自のAIシステムによる高いマッチング精度
>>M&A総合研究所の強みの詳細はこちら

M&A総合研究所は会計士が運営するM&A仲介会社です。
企業会計に強く、かつM&Aの実績も豊富です。全国にパートナーがいるので案件数も豊富。
また、業界最安値水準の完全成果報酬制のため、M&Aが成約するまで完全無料になります。
まずはお気軽に無料相談してください。

>>【※国内最安値水準】M&A仲介サービスはこちら

電話で無料相談WEBから無料相談
  • 02
  • 03
  • 04
  • 05

関連するまとめ

人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ