事業譲渡を無償でした際の税金は?消費税はかかる?注意点・手続き方法を解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業譲渡が有償か無償かでは課税内容が異なるため注意が必要です。本記事では、有償・無償事業譲渡での各課税内容・消費税の有無、無償事業譲渡における税務上の仕訳の仕方、無償事業譲渡を実施する場合の手続きの流れや注意点などについて解説します。

目次

  1. 事業譲渡とは
  2. 事業譲渡の税務を解説
  3. 無償での事業譲渡の税務を解説
  4. 無償での事業譲渡の主な手続き
  5. 事業譲渡の無償譲渡の際の注意点
  6. まとめ
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1. 事業譲渡とは

事業譲渡とは

事業譲渡とは、事業の一部または全部を引き継ぐM&Aの手法の1つです。

事業譲渡は、他の手法に比べて手続きの手間がかかり課税額が多いというデメリットはありますが、財産を個別に選択して譲渡できるメリットがあります。

売り手側は組織再編を伴うことなく事業を継続でき、買い手側は債務を引き継がないので買収のリスクを軽減できるのです。

事業譲渡は、規模の小さい中小企業であればデメリットが小さく、事業譲渡の恩恵を受けやすくなります。

【関連】事業譲渡のメリット・デメリット30選!手続き方法や税務リスクも解説!

2. 事業譲渡の税務を解説

事業譲渡の税務を解説

まずは、適正な対価を支払う有償の事業譲渡の税務について、譲渡側の税務と譲受側の税務に分けて解説します。

事業譲渡側の税金

有償での事業譲渡における譲渡側の消費税、法人税、所得税について解説します。

消費税

事業譲渡は資産を個別に売買取引するため、それぞれの譲渡資産に対して消費税がかかります。譲渡資産には選別があり、それは課税資産と非課税資産です。消費税がかからない資産には土地、有価証券、債権があり、それ以外の資産には消費税がかかります。

譲渡側は、譲受側から受け取った消費税を税務署に納付する義務が生じる立場であり、消費税を直接負担する立場ではありません。

法人税

譲渡側が法人の場合、事業譲渡資産の譲渡益が法人税の課税対象です。譲渡益は、譲渡価額から帳簿価額を引いて算出します。

所得税

譲渡側が個人の場合、事業譲渡資産の譲渡益に対して所得税が課税されます。譲渡所得課税率は、所得税率15%、復興特別所得税(所得税の2.1%)、住民税率5%の合計、20.315%です。復興特別所得税は、2037(令和19)年12月31日までの時限措置となっています。

事業譲受側の税金

続いて、有償での事業譲渡における譲受側の消費税、のれん償却について解説します。

消費税

譲受側は、購入した資産に対して消費税がかかります。ただし、譲渡側の消費税の項で述べたように、土地、有価証券、債権には消費税がかかりません。

のれん償却

譲受側は事業を買い取る際、事業の簿価上の価値に加えて、今後、当該事業が数年間で生み出せる価値も上乗せした額で買い取るのが通常です。その上乗せして多く支払った金額分は、のれんとして損金に算入し、5年かけて減価償却していきます。また、のれんは消費税の課税対象です。

【関連】事業譲渡・事業売却でかかる税金の種類や相場!節税方法も解説!

3. 無償での事業譲渡の税務を解説

無償での事業譲渡の税務を解説

無償の事業譲渡では、譲渡側と譲受側がそれぞれ個人か法人かによって税務が変わります。譲渡側の税務と譲受側の税務について、仕訳例とともに確認してみましょう。

事業譲渡側の税金

無償での事業譲渡における譲渡側の税務について、消費税、法人税、所得税に分けて解説します。

消費税

消費税は、対価を伴う取引に対して課税されます。無償の事業譲渡では、税務上、寄付金や贈与などとみなされ、対価が伴わない取引については消費税が課税されません。

法人税

法人が無償で事業譲渡する場合、対価として現金は受け取っていませんが、税務上は時価に対して法人税がかかります。

譲受側が個人の場合、譲渡する会社と雇用関係にあると、仕訳では賞与とみなされ、雇用関係にない場合の仕訳では寄付金です。譲受側が法人の場合は、仕訳上は寄付金とみなされ、時価に対して法人税がかかります。それぞれの仕訳は以下のとおりです。

【法人から法人へ土地を無償で譲渡した場合の仕訳】

借方 貸方
土地譲渡原価   100万円
寄付金            2,000万円
土地               100万円
土地譲渡収益   2,000万円

【法人から雇用関係にある個人へ譲渡した場合の仕訳】
借方 貸方
土地譲渡原価   100万円
賞与               2,000万円
土地               100万円
土地譲渡収益   2,000万円

【法人から雇用関係のない個人へ譲渡した場合の仕訳】
借方 貸方
土地譲渡原価   100万円
寄付金            2,000万円
土地               100万円
土地譲渡収益   2,000万円

所得税

所得税は、個人が事業譲渡する際に課せられるものです。個人が事業譲渡する場合は、譲受側が個人か法人かによって税務が変わります。

個人間の事業譲渡では、譲渡側に課税はされません。個人から法人に事業譲渡する際は、税務上、譲渡側にみなし譲渡所得税が課せられます。

みなし譲渡所得課税では、実際は対価を得ていないものの、税務上、時価で資産を売却して利益を得たこととなるのです。そのため、時価に対して所得税がかかります。

事業譲受側の税金

続いて、無償での事業譲渡における譲受側の税務について、所得税と法人税、贈与税に分けて解説します。

所得税

譲受側の個人と譲渡側の法人が無償で事業譲渡を行う場合、雇用関係の有無で税務が変わります。個人と法人が雇用関係にある場合は、給与所得とみなされるのです。それ以外の場合は一時所得となります。

法人税

個人と法人の無償事業譲渡の場合、譲受側の法人は税務上、時価で資産を取得したとみなされ、仕訳では貸方が受贈益となります。仕訳は以下のとおりです。

【個人から法人へ譲渡した場合の仕訳】

借方 貸方
土地   2,000万円 受贈益   2,000万円

贈与税

個人から個人へ無償で事業譲渡する場合、譲受側には受け取った資産の時価に対して贈与税がかかります。贈与税は累進課税です。したがって、譲渡価額が高くなるほど税率も上がります。

また、贈与税には一般税率と特例税率がありますが、特例税率を適用することで税率は低く抑えることが可能です。

【関連】事業譲渡・事業売却の相談先15選!弁護士?会計士?M&A仲介会社?

4. 無償での事業譲渡の主な手続き

無償での事業譲渡の主な手続き

無償の事業譲渡の当事者が法人である場合、その手続きは以下のような流れで進んでいきます。
 

  1. 取締役会の決議
  2. 無償事業譲渡契約の締結
  3. 事業譲渡の通知・公告
  4. 株主総会決議
  5. 株式買取の請求
  6. 事業譲渡の効力発生

それぞれの手続きについて解説します。

①取締役会の決議

無償で事業譲渡することを決定し、事業譲渡計画を立てたら、取締役会で承認決議を行います。取締役会で承認されるには、2人以上いる取締役会のうち過半数の承認を得なければなりません。

②無償事業譲渡契約の締結

当事者同士で無償事業譲渡の条件交渉が済んだら、合意内容を記載した事業譲渡契約書を作成し、無償事業譲渡契約を締結します。事業譲渡契約書に記載する必要のある項目は、以下のとおりです。
 

  • 事業譲渡の目的・譲渡日
  • 譲渡資産の内容
  • 守秘義務について
  • 瑕疵担保責任について
  • 競業避止義務について
  • 協議事項について

③事業譲渡の通知・公告

法人が事業譲渡を行うには、株主から承認を得なければなりません。事業譲渡の当事者は株主に対して、事業譲渡の効力が発生する20日前までに、事業譲渡を行うことや株主総会を開催することを周知します。株主に伝える方法は、官報公告や電子公告、個別通知などです。

④株主総会決議

無償事業譲渡の当事者は、事業譲渡の効力発生日前日までに株主総会で承認を得ます。議決権の過半数以上を持つ株主が出席し、そのうち3分の2以上の株主が承認すれば事業譲渡実施が可能となるのです。事業譲渡では、株主総会の決議が省略できるケースもあります。

簡易事業譲渡

譲渡資産の帳簿価額が、譲渡する会社の5分の1以内の総資産であれば、簡易事業譲渡とみなされて株主総会の決議は必要ありません。また、譲渡資産の帳簿価額が譲受会社の5分の1以内の純資産である場合も簡易事業譲渡とみなされるので、株主総会での決議を省略できます。

略式事業譲渡

子会社の9割以上の株式を保有する親会社とその子会社が事業譲渡を行う場合、株主総会を開催しても承認されることは間違いないため、略式事業譲渡として株主総会での決議を省略できます。

⑤株式買取の請求

事業譲渡に反対する株主は、会社に保有株式の買取を請求できます。事業譲渡を行う会社は、反対株主に対して株式の買取請求ができることをあらかじめ通知しなければなりません。反対株主は事業譲渡の効力発生日前日までに、買取請求権を行使できます。

⑥事業譲渡の効力発生

上記までの手続きが済んで効力発生日を迎えると、無償事業譲渡が成立します。譲受会社は効力発生日までに名義変更手続きや許認可手続きを進めておくことで、スムーズな事業の引き継ぎが可能です。

事業譲渡の効力発生日以降も、業務を円滑に引き継ぐために、譲渡会社の経営者などが譲受会社にしばらくの間、協力するケースもあります。

【関連】事業譲渡の手続き・流れやスケジュールを徹底解説!期間はどれぐらい?

5. 事業譲渡の無償譲渡の際の注意点

事業譲渡の無償譲渡の際の注意点

無償で事業譲渡を行う際には、事業譲渡契約書の作成に関してや、有償譲渡と無償譲渡の選択など、いくつか注意点があります。後々のトラブルや損失を防ぐためにも、事前の対策を知っておきましょう。

無償事業譲渡契約書は締結すべき

事業譲渡契約書の作成は会社法で規定されているわけではありません。そのため、親から子への事業譲渡など親族間の無償事業譲渡の場合は、事業譲渡契約書を作成しないこともあります。また、事業譲渡契約書を作成するケースでも、対価が伴わないことから事業譲渡契約書の内容が簡素になりがちです。

しかし、後々のトラブルを防ぐためにも、事業譲渡契約書はしっかりと作成しましょう。特に親族間だからこそトラブルが泥沼化しやすい面もあるので、専門家にも監修してもらいながら契約書を作成することをおすすめします。

有償譲渡の方が得な場合がある

親族間では無償の事業譲渡を選ぶケースがよくありますが、譲渡資産の内容に応じて、有償の事業譲渡と無償の事業譲渡、どちらが有益かを検討することが大事です。

例えば、不動産を引き継ぐ際の選択肢として、買取りにするか賃貸契約にするか、それとも使用貸借にするかによって、税金などの負担が変わってきます。

無償で事業譲渡する場合は、使用貸借にすることで贈与税は課税されません。しかし、相続税も考慮する必要があるので、どの方法を選択するか、状況に合わせて事前によく検討する必要があります。

債権者保護の必要性

事業譲渡では、債務を引き継がない場合は債権者保護手続きが必要ありません。しかし、無償の事業譲渡では、譲渡側は事業を無償で引き渡すので対価が得られず、事業を譲渡したことで収益力が低下する可能性があります。

もし、無償事業譲渡によって債権者に不利益が生じると判断された場合、事業譲渡手続きの完了後に契約を取り消されてしまう可能性もあるのです。

債務を引き継がない場合、債権者保護の必要がないとはいえ、状況によっては事前に債権者へ個別の説明をしておく必要があります。

【関連】事業譲渡における債権者保護の手続き!債権者の個別同意は必須?

公認会計士に相談すべき

上述のようなリスク以外にも、事業譲渡は手続きに手間がかかるため、事業譲渡完了までに時間がかかり、取引先や従業員が離れるリスクがないとはいえません。

また、無償の事業譲渡は税務面が複雑になるため、専門家のサポートが必要です。税務面のリスクを減らすためにも、まずは会計・税務の専門家に相談することをおすすめします。

特に公認会計士の資格を持ったM&Aアドバイザーであれば、会計や税務だけでなく、法務や労務に関しても一貫して業務を請け負えます。まだ譲渡先が決まっていない場合などは、幅広いネットワークから最適な相手のマッチングも可能です。

おすすめは、M&A総合研究所です。M&A総合研究所では、公認会計士と連携し数々のM&Aを成約させてきたM&Aアドバイザーがそろっています。無償事業譲渡の経験も豊富なので、スムーズに事業譲渡を進めることが可能です。

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6. まとめ

まとめ

無償の事業譲渡について、税金や手続き方法などを解説してきました。

適正な時価で有償の事業譲渡を行う場合、譲渡側には所得税や法人税が課税されます。譲受側が資産によって課されるのが消費税です。

無償の事業譲渡の場合は、譲渡側には所得税や法人税が課税されます。譲受側に課されるのは所得税や法人税、贈与税です。

無償事業譲渡の手続きは以下の流れで進みます。
 

  1. 取締役会の決議
  2. 無償事業譲渡契約を締結
  3. 事業譲渡の通知・公告
  4. 株主総会決議
  5. 株式買取の請求
  6. 事業譲渡の効力発生

無償の事業譲渡では、事業譲渡契約書を作成しなかったために後々トラブルになることがあります。また、無償の事業譲渡によって、債権者とのトラブルが起きる可能性も否定できません。さらに、不動産などの資産譲渡では、有償か無償かでメリット・デメリットが変わるものです。

これらのさまざまなリスク要因を極力抑えて無償に事業譲渡を円滑に進めるためにも、専門家に協力してもらうことをおすすめします。

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