給食会社の事業譲渡のメリットとは?M&A動向と事例・今後の業界展望を解説

会計提携部 部⻑
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

給食会社は、決まった取引先に調理した食事を供給するのが主な事業です。本記事では、給食業界の展望とともに、給食業の事業譲渡にフォーカスし解説します。事業譲渡のメリットや注意するポイントなどを紹介するので、最新事例と合わせてご覧ください。

目次

  1. 給食会社・業界とは
  2. 給食会社・業界の事業譲渡のポイント
  3. 給食会社の事業譲渡のメリット
  4. 給食会社の事業譲渡の注意点
  5. 給食会社の事業譲渡のM&A価格を算出する方法
  6. 給食会社の事業譲渡のM&A事例
  7. 給食業の事業譲渡時におすすめの相談先
  8. 給食会社の事業譲渡のメリットまとめ
  9. 給食業・給食サービス業界の成約事例一覧
  10. 給食業・給食サービス業界のM&A案件一覧
  • セミナー情報
  • 経験豊富なM&AアドバイザーがM&Aをフルサポート まずは無料相談
  • 給食業・給食サービス会社のM&A・事業承継

1. 給食会社・業界とは

給食事業には、営業給食と集団給食の2種類があります。営業給食とは、飲食店(食堂・レストラン・そば屋・うどん屋・中華料理屋・寿司屋・その他の専門料理店など)や宿泊施設(旅館・ホテルなど)の食事や宴会料理を提供するサービスのことです。

一方、集団給食とは、学校・保育所・病院・福祉施設・企業・官公庁などと契約し、特定数の利用者に継続的に調理した食事を提供するサービスをさします。本記事でいう給食会社は、この集団給食事業を行っている企業のことです。

給食会社・業界の現状

一般社団法人・日本フードサービス協会の「外食産業市場規模推計について」によると、給食業界の推計市場規模は、下表のように推移しています。
 

営業給食 集団給食 合計
2017 17兆3,116億円 3兆3,791億円 20兆6,907億円
2018 17兆3,941億円 3兆3,606億円 20兆7,547億円
2019 17兆6,987億円 3兆3,534億円 21兆521億円
2020 12兆7,175億円 2兆8,280億円 15兆5,455億円
2021 11兆9,639億円 2兆9,409億円 14兆9,048億円
出典:一般社団法人・日本フードサービス協会の「外食産業市場規模推計について」

昨今、営業給食は増加傾向にある一方、集団給食は微減傾向にあります。これは、少子化による人口減少により、保育所や学校からの給食需要が減りつつあるためと推察されます。

一方で、超高齢化によって病院や福祉施設からの給食需要は変わらないため、今後も集団給食の市場規模は微減または横ばいで推移すると考えられていました。

しかし、2020(令和2)年から続くコロナ禍により、給食会社の事業環境は変化し、大幅な減少が続いています。今後の動向も予断を許さない状況です。

給食会社・業界の事業譲渡のM&A動向

給食事業は、規模の優位性(スケールメリット)を得やすい事業です。仕入れ食材の値段や輸送費用の引き下げなどを目的として、同業の給食事業者による事業譲渡や近隣業種による参入、大手企業が抱える食堂事業の切り離しなどの動きがみられます。

給食業界の事業譲渡では、食の安全性が徹底されていないアジアエリアへの進出や、海外企業が保有する事業ノウハウ・商圏の確保を通じた業容の拡大などを目的とされるケースも多いのが特徴です。

給食事業は、規模の大きな会社ほどスケールメリットが働きやすいため、中小規模の会社は価格面での競争に打ち勝てず、事業譲渡を選ぶこともあります。しかし、価格面の競争は大手同士でも厳しくなっており、今後に見切りをつけて給食事業を手放す大手企業も少なくありません。

給食事業は一定の業界規模が維持されていますが、今後は事業譲渡の活発化が予想される事業と考えられます。

また、給食業界は市場が底堅く、大手による寡占も生じないので、業界再編的な動きはありませんが、異業種や給食業とかかわりがある業界から新規参入の手段に、M&Aを活用するケースも見られます。

食品や食品卸、介護事業などを手掛ける上場企業などが、シナジー効果を狙って未上場の給食事業者を買収する動きが、今後活発化する可能性もあるでしょう。

【関連】新型コロナで事業承継・譲渡が急増?買い手はいる?【失敗事例あり】

2. 給食会社・業界の事業譲渡のポイント

給食会社の事業譲渡は、業界動向を把握しているだけで成功させるのは難しいでしょう。この章では、給食会社が事業譲渡を行う際のポイントを解説します。

給食会社の業界ランキング(大手)

給食事業を営む会社の売上高ランキングは下記のとおりです。
 

順位 会社名 売上高 決算期
1位 日清医療食品 2,570億200万円 2021年3月
2位 エームサービス 1,612億9,700万円 2021年3月
3位 グリーンハウス 1,315億円 2021年3月
4位 シダックス 1,101億4,800万円 2021年3月
5位 LEOC 950億円 2021年9月
6位 富士産業 823億9,800万円 2020年度
7位 魚国総本社 606億円 2021年3月
8位 メフォス 570億円 2021年3月
9位 一冨士フードサービス 532億円 2021年3月
10位 日本ゼネラルフード 349億4,000万円 2021年8月
※各社ホームページ掲載データより作成
※日清医療食品、富士産業、メフォス、一冨士フードサービス、日本ゼネラルフードは単体売上高。エームサービス、シダックス、LEOC、魚国総本社は連結売上高。グリーンハウスはグループ全体売上高。

その他の主要プレイヤー

上記以外におけるその他の主要プレイヤーを見ていきましょう。

事業者向け給食では、コンパスグループ・ジャパン、ニッコクトラスト、日清医療食品子会社の一冨士フードサービス、ハーベストなどが挙げられます。

病院・福祉施設向け給食ではナリコマグループなど、教育施設向けでは東洋食品などです。

市場の展望と戦略

給食事業の事業譲渡を行う際は、市場の展望と戦略も十分考慮して進めていくことが大切です。

  • 高齢化への対応
  • 学校給食外部化の高まりに合わせた対応
  • 増加する病院給食への対応
  • 増加する在宅配食への対応

高齢化への対応

1つ目に挙げられる市場の展望と戦略は、超高齢化の進行と給食施設の供給強化になります。日本は高齢者の割合が多く、今後も超高齢化が進むといわれており、給食事業も超高齢化に対応したサービス提供先の転換が始まっているのです。

厚生労働省が取りまとめた「令和4年度衛生行政報告例の概況」では、給食施設における介護老人保健施設の数が2,813施設、老人福祉施設の数が5,109施設でした。2015年度からの推移を見ると施設数が増えていることがわかります。
 

年度 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
介護老人保健 2,811 2,823 2,865 2,853 2,860 2,877 2,858 2,813
老人福祉 4,672 4,753 4,832 4,899 4,946 4,984 4,991 5,109
出典:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例の概況」

給食事業とは、人口の割合に応じて給食サービスの供給先・注力する対象が変わる事業であるため、サービスの供給先を高齢者向けの施設とする給食事業なら買い手もつきやすいです。

参照:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例の概況

学校給食外部化の高まりに合わせた対応

2つ目の市場の展望と戦略では、市場の展望に学校給食における外部委託上昇の継続を目的とした学校給食業会社の確保が挙げられます。文部科学省がまとめた「学校給食実施状況等調査」をみると、公立学校で提供される給食は年々、外部の給食事業者が担う割合が増加中です。
 

外部委託状況(公立)  
年度 2010 2012 2014 2018 2021
調理 31.1% 35.8% 41.3% 50.6% 54.7%
運搬 40.7% 41.2% 43.9% 46.4% 47.3%
出典:文部科学省「学校給食実施状況等調査」

学校側が給食を外部の給食事業者に任せれば経費削減が見込めるため、今後も学校給食の外部委託が増えると予想できます。給食事業とは市町村の方針により需給が上下する業種といえるので、外部化の進行により学校給食の事業譲渡を望む買い手も増加するでしょう。

増加する病院給食への対応

3つ目の市場の展望と戦略では、市場の展望に超高齢化による病院給食の需要拡大を、戦略には老人ホームに的を絞った事業展開が挙げられます。公益社団法人日本メディカル給食協会に登録するメディカル向けの給食施設数は上昇傾向です。
 

年度 2006 2011 2015 2019 2020 2021
受託登録の施設数 9,820 10,983 13,181 13,667 13,753 13,847


2015年~2021年にかけては13,000台で推移していますが、老人ホームに対する給食事業は飽和状態に達していません。したがって、今後の需要増加が見込めるため、給食事業は同業・関連業種への事業譲渡が期待できると考えられます。

増加する在宅配食への対応

4つ目の市場の展望と戦略には、市場の展望に弁当給食事業からの切り替えを、戦略には営業範囲の拡大が挙げられます。弁当給食事業は工場・従業員数の減少や、手軽に食事を調達できるコンビニエンスストアなどの台頭により、社員食堂を持たない会社からの需要は減少している状況です。

しかし、弁当給食を営む事業者は、自宅住まいの高齢者・介護施設・保育園などに弁当給食の供給先を広げることで売上を補完できます。

給食事業は食材・調理法を提供先によって変えられるので、変更を実現できるノウハウ・調理技術を備えている事業者は、事業譲渡の売り手としてニーズがあるのは確実です。

業界の事業特性

調理した食事を供給する給食業界の事業特性には、以下の4つがあります。

  • 指定先への供給量が多い
  • 設備費用を抑えられる
  • 給食の提供先によって契約内容が異なる
  • 費用のほとんどが人件費と食材費

指定先への供給量が多い

1つ目の事業特性は、決まった相手に多くの食事を供給する点です。学校や病院、福祉施設、企業の工場などへ日々の食事を提供するため、来店者に食事を提供するレストランとは一線を画しています。

給食を依頼する側は多くの利用者を抱えており、継続的なサービスの供給を求めているので、取引先と契約を結ぶことで安定した売上を得ることが可能です。人口割合の変化に対応できれば、需要低下による売上の減少も避けられます。

設備費用を抑えられる

2つ目の事業特性は、依頼側の施設利用によって設備にかける費用を抑えられる点です。依頼側の設備を借りて調理を行うケースでは、必要な設備を自社でそろえなくて済むので、設備費の出費を抑えられます。

すでに給食事業に取り組んでいる企業は、調理に使う設備を保有している(セントラルキッチン)ため、新しい設備を導入せずに新規顧客へのサービス供給が可能です。

給食の提供先によって契約内容が異なる

依頼先ごとに契約の内容には違いがあり、契約で取り決めるのは設備の用意・食材の購入・人材の派遣・給食メニューに対する要望などです。

給食メニューは、給食を口にする対象が、学校では生徒、病院では患者、福祉施設では入居者、企業では社員といったように、栄養の割合・食材の大きさ・飲み込みやすさなどが異なるので、給食事業者は依頼先の求めに応じる必要があります。

費用のほとんどが人件費と食材費

必要な設備は、すでに自社で確保していたり依頼先が用意してくれたりするケースが多く、給食事業にかかる費用は従業員に支払う賃金と食材の購入費用が大半を占めます。

人件費と食材費を抑えられる仕組みを形成していれば利益を上げられますが、非効率的なシステムを採用し続けていたり食材の価格が高騰したりすれば、人件費と食材費の圧迫により利益の低下は免れません。

給食事業とは、適切な人材の配置・効率のよい作業システム・食材の一括購入などの対策が求められる事業といえます。

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3. 給食会社の事業譲渡のメリット

ここでは、給食会社の事業譲渡で得られるメリットを、売り手・買い手それぞれの立場から見ていきましょう。

売り手のメリット

給食事業の事業譲渡を行った際、売り手が得られるメリットは以下の3つがあります。

  • 取引・雇用契約の継続
  • 将来性に感じる不安を払拭できる
  • 後継者を探さずに済む

取引・雇用契約の継続

事業譲渡では取引・雇用契約は引き継がれませんが、契約者の同意を得て買い手が契約を結べば、事業譲渡後も取引・雇用契約は継続できます給食事業の事業譲渡を選ぶと、関係者への影響を最小限に抑えて、経営からの引退や事業からの撤退が可能です。

将来性に感じる不安を払拭できる

事業譲渡の買い手に食材を取り扱う事業者を選ぶと、食材の購入費用を抑えられます。食材にかかるコストを削減できれば、これまでよりも他社との価格競争に打ち勝て、低価格化が進行する状況にあっても事業の継続が見込めるでしょう。

後継者を探さずに済む

事業譲渡を選ぶと、買い手が引き続き事業運営を行ってくれるので、後継者を探す必要がありません。同業・新規参入を図る異業種・近隣業種などは、給食事業の継続を目的に事業譲渡に応じることが多いため、買い手を新しい経営者と考えれば自社で後継者を探さずに済みます。

買い手のメリット

給食事業の買い手に見られる事業譲渡のメリットは、以下の3つです。

  • コスト・賃金の削減
  • 顧客の獲得
  • 人手不足の解消

コスト・賃金の削減

事業譲渡で給食事業を獲得できれば、事業の規模が大きくなり、これまでよりも多くの食材を購入します。すると、大量購入により仕入れ値を安くできるため、食材にかけるコストを削減できるでしょう。

事業譲渡では売り手が持つ設備とノウハウも一緒に獲得できるので、作業効率が向上します。技術力を持った従業員にしかできなかった作業も、獲得した設備を活用してアルバイトなどでもこなせるようになれば賃金の削減も見込めるでしょう。

顧客の獲得

給食事業は同じ事業者と長く契約を続ける傾向が見られ、新規の顧客を探すには手間と労力を伴います。しかし、事業譲渡で給食事業を買収すると、売り手が抱える顧客の引き継ぎが可能です。事業譲渡を活用すれば、事業の譲受とともに新しい顧客を得られるので、早急に事業規模を拡大できます。

人手不足の解消

給食事業は、安い賃金と負担の大きい労働から、人手不足が問題視されています。給食事業者によっては、食事の供給先に合わせて早朝・深夜・週末の出勤などが必要になるため、入れ替わりの激しい業種です。

人材不足は慢性的に続いており、募集をかけても人材が集まりにくいため、買い手は事業譲渡で給食事業を獲得し、売り手からの人材確保で人手不足を解消しています。

【関連】事業譲渡のメリット・デメリット30選!手続きの流れやリスクと税金についても解説!
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4. 給食会社の事業譲渡の注意点

ここでは、給食会社の事業譲渡の注意点として、業界全体で課題の人材不足にフォーカスして説明します。

人手不足

給食会社では、厳しい労働環境により離職率の高さが問題です。給食会社は常に人手不足の状況にあり、超高齢化の進行に伴い需要が増えている業種ではあるものの、需要に見合った従業員数が確保されているとはいえません。

事業譲渡で給食事業を譲り受けるなら、人手不足への対応が求められます。売り手側も人手不足の状況が改善されていなければ、買い手がつかないかもしれません。

売り手が給食会社の事業譲渡を進めるなら、雇用環境を改善して従業員の定着率を上げ、人手不足の解消に努める必要があるでしょう。

買い手は最低限の人材が確保されている点を確かめ、事業譲渡後も自社に留まってくれる環境を整えると、譲受後も離職率を下げることにつながります。

【関連】人手不足問題の理由は?影響と対策や業種別の動向と展望も解説!

5. 給食会社の事業譲渡のM&A価格を算出する方法

会社を高値で売却するためには、売却価格の相場やその決め方を理解し、それに応じた効果的な戦略を知っておくことが重要です。この章では、会社を高値で売却するために必要な知識をご紹介します。

簡易的な算出方法

会社を売却する際の価格の目安は、年買法(年倍法)を使って簡単に計算できます。年買法では、「時価純資産+営業利益×2〜5年」という式を用いて価格を見積もります。

「営業利益×2〜5年」の部分は営業権(のれん)と呼ばれ、これは会社の経営状況や業種に応じて決められます。

例えば、時価純資産が7,000万円で、年間の営業利益が2,000万円、営業権を3年分とする場合、売却価格の目安は次のようになります。

  • 売却価格の目安 = 7,000万円 + 2,000万円 × 3 = 1億3,000万円

代表的な3つの算出方法

会社の売却価格は、企業価値評価やデューデリジェンスの結果をもとに、最終的には買い手企業との交渉によって決まります。そのため、事前に算出した価格とは大きく異なる場合もあります。

企業価値評価(バリュエーション)の方法は、「インカムアプローチ」、「マーケットアプローチ」、「コストアプローチ」の3つに分類されます。

インカムアプローチは、将来的な収益性を基に企業価値を評価する方法です。具体的には、「DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)」、「配当還元法」、「残余利益法」などがあります。

マーケットアプローチは、市場取引や類似会社のデータを基に企業価値を評価する方法です。具体的には、「類似取引比較法」、「類似会社比較法」、「市場株価法」などがあります。

コストアプローチは、売り手企業の純資産(貸借対照表)を基に企業価値を評価する方法です。具体的には、「時価純資産法」や「簿価純資産法」などがあります。

6. 給食会社の事業譲渡のM&A事例

この章では、実際に行われた給食会社の事業譲渡事例を紹介します。

  1. ベストから富士産業への株式譲渡
  2. ヨシケイ両毛からオーシャンシステムへの事業譲渡
  3. 新東京食堂から東京ケータリングへの株式譲渡
  4. 三給からトーカンへの株式譲渡
  5. マシモからレパストへの事業譲渡
  6. タイリョウからACA Nextへの事業譲渡
  7. ミツウロコプロビジョンズからシダックスへの事業譲渡
  8. フンドーダイ五葉から京都ケータリングへの事業譲渡
  9. 味彩から木下の台所への事業譲渡
  10. さいたま給食からヤマト食品への事業譲渡
  11. アメリカのRBCからサッポロホールディングスと豊田通商への事業譲渡

①ベストから富士産業への株式譲渡

まずは、弊社M&A総合研究所がサポートしたM&Aの事例をご紹介します。

【譲渡企業:株式会社ベスト】

  • 創業:約40年
  • 本社:山形県鶴岡市

給食受託、介護食の製造販売、食事宅配を主な業務とし、地元で高い知名度を誇ります。地域密着の食事提供サービスと全国展開を目指す介護食の製造販売を両輪に事業拡大を図っています。

【譲受企業:富士産業株式会社】
  • 創業:約50年
  • 本社:東京都港区

医療機関や介護・福祉施設、学校、企業など幅広い分野で食事提供業務を受託しています。レストラン経営や食材販売などの周辺事業も展開しており、全国的に事業を広げる業界のパイオニアです。

譲渡側の経営者は、事業を始めてから37年が経過し、以前から事業承継について考えていました。社内には優秀な人材が多かったものの、経営者になりたいという人はいませんでした。事業を引き継ぐにふさわしい、強い意志を持った人物に経営を任せたいと思い、M&Aを検討し始めました。

希望条件としては、以下の2点がありました。
  • 社員を有効活用し、雇用をより発展的に継続してくれること
  • 取引先のお客様に対して誠実に対応してくれること

これらの条件を大切にしてくれる企業を探し、その結果、自社と企業文化が非常に似ていると感じた富士産業に譲渡を決めました。

【関連】M&A成約インタビュー | M&A総合研究所

②ヨシケイ両毛からオーシャンシステムへの事業譲渡

2023年4月、ヨシケイ両毛はオーシャンシステムへ株式譲渡を行い、連結子会社となりました。

オーシャンシステムは、新潟県三条市に本社を置く食品関連企業で、業務スーパーの運営、食材宅配、お弁当の配達など、食にまつわる多彩なサービスを展開しています。

一方、対象会社であるヨシケイ両毛は、夕食材料セットの宅配を行う会社です。今回のM&Aにより、対象会社がグループに加入することで食材宅配事業の群馬県や栃木県の営業エリア拡大とキャッシュフローを軸とした創出を図り、企業価値の向上を目指します。

③新東京食堂から東京ケータリングへの株式譲渡

2022年9月、新東京食堂から東京ケータリングへの株式譲渡を行いました。東京ケータリングは、大和PIパートナーズが投資している東京ケータリング・ホールディングスの子会社であり、カフェテリア&レストラン事業を手掛けています。

対象会社である新東京食堂は、東京都・群馬県を中心に企業や学校などの食堂運営および給食の製造・配達を行う会社です。今回のM&Aにより東京ケータリングは給食事業の業務拡大を目指します。

④三給からトーカンへの株式譲渡

セントラルフォレストグループの傘下の食品卸会社トーカンは2021年4月、三給の全株式を取得し、子会社化しました。三給が保有するヒカリもグループとなりました。

トーカンの親会社であるセントラルフォレストグループは、食品・酒類の卸売業を行う会社の経営管理や、それに付随する一切の業務を行っています。トーカンは、食品卸売業を行う会社です。

対象会社の三給は、外食・給食事業者の業務用食材料の卸売業を行う会社です。三給の子会社ヒカリは、スーパーの惣菜・外食などに関わる顧客への営業、メニュー企画・売場提案、オリジナル商品発売を行っていました。

今回のM&Aにより、三給が強みとする給食市場に新たに参入するとともに、中食・総菜向けの売上拡大、企業価値向上を目指します。

⑤マシモからレパストへの事業譲渡

2020年11月、レパストは、マシモから食品工場部門の事業譲渡を受けました。レパストは、給食事業・食事宅配事業を行っている企業です。マシモは、寿司・弁当などの製造、販売を行っています。

レパストは、食品工場とその従業員を引き継ぐことによって、技術・ノウハウを獲得するとともに、中食事業(テイクアウト用弁当・総菜の提供など)への参入を図る考えです。

⑥タイリョウからACA Nextへの事業譲渡

2020年3月、ACA Nextは、タイリョウから給食事業の一部の譲渡を受けました。譲渡価額は公表されていません。ACA Nextは、給食事業、ソリューション事業、メディカルサービス事業などを行っています。タイリョウも給食事業を行っている会社です。

ACA Nextが譲受するのは、タイリョウの介護施設などへの給食・配食サービスであり、これによりACA Nextは競争力強化と販路拡大が図れるとしています。

⑦ミツウロコプロビジョンズからシダックスへの事業譲渡

2019年3月、学校・医療施設などを対象とした給食事業をはじめ、バス・自家用車による運送事業や、各種施設の管理・事務事業などを営むシダックスは、子会社をつうじて、ミツウロコプロビジョンズから事業譲渡を受けました。

ミツウロコプロビジョンズは、飲食に関する直営の販売店と給食事業の事業などを展開している会社です。

シダックスは、今回の事業譲渡によりおよそ50店舗を譲り受け、既存の給食事業とのシナジー効果を得るほか、独立店舗が形成するチェーン事業に倣った新しい事業への取り組みを進めます。

給食事業に関するシダックスの動き

シダックスは、事業譲渡以外のM&A手法でも給食事業へのかかわりを強めています。一例として、過去にシダックスが行った事業譲渡以外の事例を見てみましょう。

2013(平成25)年3月、シダックスは、ベトナムの給食事業会社ギャラクシーと資本提携を結び、ギャラクシー社の代表取締役が持つ株式のうち35%をシダックスが買い取りました。

シダックスは、50年を超える給食事業での実績を持ち、提供する食事を安全に届けられる体制を確立しています。進出を目指すアジアエリアの給食業界は、提供する食事の質が日本よりも劣る点に目をつけ、資本提携に踏み切りました。

シダックスは、食事の質を高めることで、栄養不良問題の事業特性を抱えるベトナムを足がかりに、アジアエリアへの進出を図る考えです。

⑧フンドーダイ五葉から京都ケータリングへの事業譲渡

2018(平成30)年6月、ACA Nextの100%子会社である京都ケータリングは、フンドーダイ五葉からソフトフーズ事業(ムース食の製造・販売)の譲渡を受けました。京都ケータリングは、医療機関・介護施設などへの給食・配食サービスを行っています。

フンドーダイ五葉は、しょうゆ・みそ事業、ソフトフーズ事業を行ってきました。京都ケータリングは、ソフトフーズ事業の獲得で競争力強化や販路拡大が実現すると判断しています。

⑨味彩から木下の台所への事業譲渡

2017(平成29)年4月、木下グループの子会社である木下の台所は、味彩の全ての営業権を事業譲渡によって受けました。譲渡価額は公表されていません。木下の台所は、有料老人ホームなどへの給食提供事業を行っています。

味彩は、有名割烹(かっぽう)弁当のOEM生産やケータリング事業を行ってきました。木下の台所は、介護給食事業との間でシナジー効果得られると判断した模様です。木下の台所は、2020年9月にキングランの子会社となり、社名はグラン・グルメに変更しています。

⑩さいたま給食からヤマト食品への事業譲渡

2017年1月、CSSホールディングスの100%子会社ヤマト食品は、さいたま給食から高齢者福祉施設の給食事業の譲渡を受けました。譲渡価額は公表されていません。ヤマト食品は、献立つき食材販売および受託給食事業を行っています。

さいたま給食は、埼玉県内3カ所の老人ホームにおける受託給食と埼玉県内1カ所の特別養護老人ホームにおける給食サービスコンサルティングを行ってきました。それらの事業全てを譲渡しています。

ヤマト食品は、受託給食事業の取得により、安定した収益確保が狙えるでしょう。なお、ヤマト食品は、2019年9月、CSSホールディングスからケイエフに株式譲渡され、ケイエフの完全子会社となっています。

⑪アメリカのRBCからサッポロホールディングスと豊田通商への事業譲渡

2016(平成28)年5月、サッポロホールディングスの子会社・サッポロインターナショナルと、豊田通商のグループ会社である豊田通商アメリカは、出資を行うアメリカのCPFをつうじて、RBCのシャーベット事業の譲渡を受けました。

RBCは、北アメリカで学校向けの給食事業を営み、シャーベット製品の供給を行っています。今回の事業譲渡により両社は、対象会社の商業エリア・技術を確保し、北アメリカでの給食事業を広げて、教育事業に関連づけたシナジー効果を得る狙いです。

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7. 給食業の事業譲渡時におすすめの相談先

給食会社の事業譲渡をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、給食事業のM&Aなど、多くの実績を持つM&A仲介会社です。

M&A総合研究所では、給食事業のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

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8. 給食会社の事業譲渡のメリットまとめ

給食会社はコンスタントな需要が見込める事業です。しかし、人口割合に合わせた供給先の変更や他社との価格競争などを強いられる面もあります。人材不足が顕著であり、従業員の確保が課題です。

給食会社の事業譲渡を行う際は、M&A仲介会社など専門家にサポートを依頼するとスムーズに進められるでしょう。

9. 給食業・給食サービス業界の成約事例一覧

10. 給食業・給食サービス業界のM&A案件一覧

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