M&Aの企業価値評価とは?算出方法を詳しく解説!

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企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

M&Aの企業価値評価の算出方法は、基本的な企業評価にプラスして「のれん評価」をプラスする必要があります。そして、M&Aで企業を譲渡する評価方法の種類も複数あり、「DCF法」「収益還元法」「配当還元法」などがあります。ここでは、評価方法を詳しく解説します。

目次

  1. M&Aの企業価値評価とは
  2. 上場会社のM&A企業価値評価とは
  3. 非上場会社のM&A企業価値評価とは
  4. M&Aの企業価値評価の算出方法
  5. M&Aの企業価値評価の方法:インカム・アプローチ
  6. M&Aの企業価値評価の方法:マーケット・アプローチ
  7. M&Aの企業価値評価の方法:アセット(コスト)・アプローチ
  8. M&Aの企業価値評価は専門家に相談
  9. M&Aの企業価値評価まとめ
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1. M&Aの企業価値評価とは

M&Aの企業価値評価とは

M&Aの企業価値評価とは、企業を買収する際にその企業にどれくらいの価値があるのか算定し、その算定金額をもとに最終的な買収金額を決定するための交渉材料です。

M&Aを行ううえで、大変重要なプロセスの1つです。M&Aの企業価値評価には複数の評価方法があり、さらにその評価方法のなかにいくつもの正解があるのが特徴です。

また、それぞれにメリットやデメリットはあるものの、企業価値評価には何が駄目という方法はなく、詳細まで掘り下げていくとかなり複雑な内容です。

企業の買収を進める際に、買収する企業と買収される企業が金額的な条件を示しながらM&A交渉を進め、両者が納得する金額で売却金額が決定します。

最終的にM&Aで買収する企業、買収される企業の両者にとって最も重要となる項目が「売却金額」です。

買収する側の企業は、価値が低い企業に高い金額を算定してしまうと、今後自分自身の決算や収益などに変化が出てしまい、後に大変な悪影響をおよぼします。逆に買収される側の企業は、できるだけ高い値段をつけて自分の企業を売却したいのが本音です。

そもそも企業価値とは

企業価値評価とは、「会社の値段」です。「エンタープライズ・バリュー(Enterprise Value : EV)」とも呼びます。企業価値評価は、M&Aでの価格交渉における判断基準の土台として用いて、以下の2つを判断します。

  • 売り手が依頼する価格
  • 買い手が投資するかどうか

また、企業価値評価は次のシーンでも使われます。

  • ベンチャーキャピタルや金融機関が行う投資の判断
  • 株式を譲渡する事業承継の場面で使う相続税の評価
  • 経営戦略の策定

企業価値評価における価額とは

M&Aの譲渡での金額は、価額といいます。企業を譲渡する際は、企業規模や事業などに適した手法で企業価値を評価するので、企業譲渡での金額は価額であり価格ではありません。

売却側の企業価値を評価する際は、買収側から評価が得られないケースもあるので、売却側はできるだけ評価されるよう経営や事業の整理など譲渡への準備をしてください。

企業価値と株式価値の違い

企業価値と株式価値の違いを知ることは、企業価値評価を理解することにつながります。

企業価値はいわゆる企業の魅力で、貨幣価格で表します。つまり、企業が将来生み出すキャッシュフローを現在の価値に換算した金額です。

株式価値は、企業価値から有利子負債を控除した部分です。

企業価値評価が生かされるタイミング

M&Aでは、売却側と仲介会社の話し合い、そして売却側と買収側が行う譲渡価額のすり合わせの段階を経て最終の譲渡価額を決めます。売却側と仲介会社の話し合いで、仲介会社が売却側にどれほどの市場価値があるか算出します。

企業価値評価は、売却側が仲介会社との秘密保持契約・アドバイザリー契約を締結したときに実施します。

M&Aの交渉において売却側と買収側は、目安になる譲渡価額がなければ検討を開始できません。売却側にとって、M&A後に手元に残る金額は大きな関心ごとです。買収側も、M&Aによって動くお金を推定できれば、M&A後の事業計画を円滑に立てられます。

M&Aを前提とした企業価値評価は、ぜひM&A総合研究所へお任せください。M&A総合研究所には、M&Aに詳しいM&Aアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートいたします。一定の企業情報を開示していただければ、無料で企業価値評価を算出いたします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を行っておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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M&A時と相続時における企業評価の違い

会社の経営者が変わって相続が行われる場合の企業評価額は、国税庁が使用する評価方式「財産評価基本通達」が適用されます。そのため、一定の評価額を算出することが可能です。

企業の価値が算定者によって上下する心配はありません。相続する側は、安心して企業価値算定を任せられます。

一方、M&Aで企業買収を行う際の企業売却評価額は、会社が保有する資産に基づいた評価額だけでなく、今後生み出される収益や利益の見とおしを立てる「のれん評価額」を算出して、M&A評価額に追加します。

2. 上場会社のM&A企業価値評価とは

上場会社のM&A企業価値評価とは

M&Aにおける企業価値評価のなかで、証券取引所で株式が売買される上場会社の企業価値評価とはどのようなものでしょうか。

上場会社の企業価値評価は、企業そのものの価値と事業内容の価値、そして株式の価値が評価の基準に値します。そのなかで、上場会社の企業価値評価とは一般に開放された市場にて株価が決められるものです。

証券取引所などの市場で決められた株価に企業が保有する株式総数をかけることによって、時価総額は比較的シンプルに算出できます。

M&Aで企業の評価をする際は「純資産価格」が目安ですが、そのなかでも1株あたりの純資産が重要視されます。企業の価値は、その企業が持つ純資産を割り込むことはあり得ない考え方のもとに、1株あたりの純資産、イコール株価の底値としても考えられています。

株価と企業価値の関係

株価は会社の業績によってのみ決まるのではなく、ありとあらゆる市場の要因が関係します。政治なども含めた世界情勢や投資家の作戦・考え方によって株価が上下するケースもあるため、純粋にそのときの時価総額だけでM&A評価額を決定できません

そこで、株価だけで企業価値は算出せず、株式総数全体での価値を計算するために、将来的に発生する利益や収益を予測して加味し、事業内容の価値を付加する手法が必要です。

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3. 非上場会社のM&A企業価値評価とは

非上場会社のM&A企業価値評価とは

M&Aにおける企業の価値評価のなかで、非上場会社の企業価値評価とは、「市場に上場していない企業の価値をどのようにして算出するか」という評価です。上場企業のように「株価」という明確な指標がないため、独特の算出方法が取られるのです。

大きく分けて2つの算定方式によりM&Aの評価価値が算出されます。

非上場会社の企業価値評価とは、会社の資産をもとにM&Aの価値を算出する「資産方式」と、企業の収益をもとにM&Aの価値を算出する「収益方式」に分けられます。

この2つには大きな考え方の違いがあります。以下で詳しく解説します。

①資産方式

M&Aにおける非上場企業価値評価の1つ目は「資産方式」です。この方式は、企業の資産総額をもとに計算する方法です。現時点で企業が保有する資産をもとに算出します。

算出時点におけるM&Aの企業価値を測る方式としては非常にシンプルかつ公正で、客観的な考え方の算出方法です。

この資産方式は、一般的に対象となる企業の資産から負債を差し引いた「純資産」を基本に価値を決定する方法が主流です。企業が抱える負債を資産全体からしっかりと差し引くことで、市場で評価される数字に近い評価を算定できます。

資産方式のメリット

非上場企業価値評価における資産方式のメリットは、複雑な計算式が不要なことです。

どのM&Aアドバイザーが計算しても、企業価値の数字にばらつきが出ません。安定した評価価値が算出できれば、複数のアドバイザーに計算を依頼することなく、シンプルに計算を依頼できます。

特に、企業が保有する無形資産が評価の対象とならないケースであれば、有形資産のみを純粋に評価すれば良いため、資産方式は非常にシンプルでわかりやすい算出方式といえます。

資産方式のデメリット

シンプルでわかりやすい算出方式である一方、資産方式にもデメリットが存在します。

資産方式の算出方法には、将来的に企業の業績がどのようになるかといった予測的な観点は入りません。あくまでも現在の資産に基づいた算出方法であるため、企業の業績が良くなるか、または悪くなるかという未来の見とおしを立てて計算しないのです。

例えば、M&Aの企業価値を算出した後に会社内部での不正や粉飾決算、簿外負債などのネガティブな要素が見つかった場合、将来的に企業価値が下がる可能性が高いため計算し直す必要があります。

企業にはこのようなリスクが潜んでいる可能性が高いため、一度M&A評価を算出した後にリスクが表面化すると、今まで算出に費やした時間が完全に無駄になることがデメリットです。

また、資産が現金の場合は正確な評価が可能ですが、無形資産など絶対的評価ができない資産価値を計算する際は、市場の状況や算出するアドバイザーなどによって大きな差が生じる場合があります。

そのため、非上場企業でも比較的規模が大きい企業のM&Aを行う際は、正確な評価を算定しにくいでしょう。規模が小さければ、評価算定は正確な数値に近づきます。

②収益方式

M&Aにおける非上場企業価値評価の2つ目は、「収益方式」です。資産方式の欠点を補うために、企業における将来の収益と利益がどうなるかを予測して計算します。企業の現在と将来の価値両方を表せるため、評価方法として最も優れた方法でしょう。

ただ、この予測はアナリストによって全く違った算出結果が出ることもあります。過去の実績から判断した収益や利益の伸び率に基づいて計算されるため、客観性に欠けた算出結果が出ることもあります。

収益方式の算出方法で代表的なものは、2つあります。将来的に得られるキャッシュフローに資本還元率を当てはめて現在の価値に割り引く「DCF法」と、企業の事業計画書に基づいて将来どれくらいの収益をあげられるか計算して企業価値を算出する「収益還元法」です。

③併用方式

非上場企業価値評価で、企業の総資産に基づいた資産方式の算出方法と、収益・利益の予測に基づいた収益方式の算出方法を両方併用し、双方のメリットを生かしたM&Aの企業価値算出方法が「併用方式」です。

現在企業が保有する資産と今後将来的に生み出すであろうと予測される収益における複数の要素を検討材料に取り込むため、M&Aの評価算出結果が安定し算定結果の不安定さが少なくなるのがメリットです。

併用方式のデメリット

非上場企業の企業価値評価は、資産に着目するのか収益に着目するのかが曖昧で、どの部分を重要視して算出するかが課題の1つです。

また、M&Aアナリストによって資産や収益などの着目する項目が全く変わるため、客観性や公平性に欠けた算出方法がデメリットになる考え方もあります。

4. M&Aの企業価値評価の算出方法

M&Aの企業価値評価の算出方法

M&Aにおける企業価値評価にある算出方法のアプローチとして、「インカム・アプローチ」「マーケット・アプローチ」「アセット(コスト)・アプローチ」の3種類があります。

インカム・アプローチは「収益」、マーケット・アプローチは「市場」、アセット(コスト)・アプローチは「資産」をもとにしたアプローチです。

動画でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。

5. M&Aの企業価値評価の方法:インカム・アプローチ

M&Aの企業価値評価の方法:インカム・アプローチ

インカム・アプローチとは「将来見込まれる収益を予測して現在の企業価値に換算した算出方法」です。将来得られる利益や収益、配当などを現在の価値に計算して還元し、企業における価値・事業の価値を算定します。

このインカム・アプローチは、M&Aを行う際に最も標準的な企業評価基準アプローチの1つです。

将来得られると予測できる収益、利益、キャッシュフローから、起こりうる可能性のあるリスク項目を加味して割り引くことにより企業価値評価を行うのが基本的な方法です。

インカム・アプローチの代表的な算出方法には、将来的に得られるキャッシュフローを加味した「DCF法」と企業の事業計画書に基づいて算出する「収益還元法」があります。

①DCF法

DCF法とは「Discounted Cash Flow(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー)」の略称で、M&Aにおける企業価値評価の算出方法で最も代表的な評価基準です。

DCF法の企業価値評価とは、将来入るであろうと予測できる収益、利益、キャッシュフローを、企業における評価基準の計算式に使用する「資本還元率」により1株当たりの株価を計算する方法です。

DCF法での評価基準の算出方法は「平均収益の額÷資本還元率÷発行済株式の数」で株価を計算できます。

DCF法は、将来における収益の見とおしを、現時点での価値に置き直して企業の評価額を算出する方法です。

このような算出方法が必要な理由は、例えば同じ1,000円でも現在の価値と10年後の価値は違うため、時間の経過などによる価値の減少分を割り引く必要が出るからです。

DCF法での算出方法のステップ

DCF法の基本的な計算方法を簡単に解説します。将来的に得られるキャッシュフローを、資本還元率を当てはめて現在の価値に割り引くことで株式を評価する流れです。将来的に企業が生じる収益を基準に評価を行うので、事業計画は信ぴょう性の高いものが要ります。

まず、事業計画書を作成します。事業計画書は、将来発生する可能性のあるリスクや事業の成長性、設備投資計画などをきちんと客観的に予測できているかが重要です。いかに的確な事業計画書を作成するかによって正確な企業価値を算出できるかが決まります。

次に、フリーキャッシュフローを算出します。フリーキャッシュフローは企業が純粋な事業によって生み出すキャッシュフローで、経営者の判断によって自由な用途で利用できます。例えば株主への配当金や、事業拡大の資金などです。

フリーキャッシュフローは、「税引き後営業利益+減価償却費-運転資本増加額-設備投資額」で算出します。

次に、WACCを計算します。WACCとは、「Weighted Average Cost of Capital(ウェイテッドアベレージ コストオブキャピタル)」の略称です。日本語で「加重平均資本コスト」と訳します。

最後に割引率の計算を行います。割引率は、株主資本コストと負債資本コストを加重平均して求めた加重平均資本コストによって算出します。

これらの計算式は大変複雑なので詳細は割愛しますが、最終的にはフリーキャッシュフローをWACCで割り引いたものが企業価値として決定します。

DCF法におけるメリット

DCF法のメリットは、企業の将来的な利益、収益、キャッシュフローに基づいて計算されるため、基本的なM&Aの評価基準で最も理にかなった評価基準で安定した評価の計算ができることがあげられます。

M&A投資の採算性が明確になるため、現在評価基準で最もポピュラーに利用されています。

DCF法におけるデメリット

DCF法のデメリットは、企業における将来性の分析を正確に行う必要があるため、大変な労力と時間がかかることです。M&Aに要する時間があまりない場合は、じっくりと計算する余裕がなくなります。

また、将来得られる収益の算出方法が、M&Aアナリストによって予測されただけのものであることは非常に不確定な要素です。そのような不確定要素が取り入れられ、客観的な判断材料が乏しいこともDCF法のデメリットです。

②収益還元法

収益還元法における企業価値評価とは、企業の事業計画書に基づいて、将来どれくらい収益をあげられるか計算し、資本還元率を利用した算出方法によって現在の収益に還元して割り出すM&A評価方法です。

収益還元法のメリットとデメリット

収益還元法のメリットは、事業計画書が用意されているので将来どのくらい収益をあげられるかが簡単に計算できる点です。特に、M&Aにおける初期段階で企業価値の概算を算出するのに大変便利な方法です。

収益還元法のデメリットは、企業の収益が一定に成長することを前提として計算されるため不確定要素が多く、予測のみに基づいた算出方法は計算するM&Aアナリストの主観的な予測が入るため客観性に欠ける点です。

収益還元法とDCF法の大きな違い

将来発生するであろう企業価値を計算して、現在の価値に還元して割り出す考え方はDCF法と似ている部分があります。現にM&A以外の不動産投資などでは、DCF法と収益還元法は同じ意味で使われるケースもあります。

M&AにおけるDCF法と収益還元法の大きな違いは、DCF法の評価基準はキャッシュフローの変動性を予測するため、収益還元法よりもフレキシブルな計算ができる点です。

一方、収益還元法は、将来の利益が現在の収益と同じという仮説に基づいた評価基準のため、DCF法と比較するとフレキシブルな計算ができず、外的要因の変化が起こった際に対応できません。

③配当還元法

配当還元法は、過去2年間における株式の配当金額を10%の利率で還元し、株式の価格を求めるM&A評価基準です。配当還元法での企業価値評価は、基本的な考え方としては前述のDCF法と同じです。

ただ、一般的には経営者の采配によって配当金額に変動が生じます。企業の決算時における配当金額が自在に操作されるので、M&Aの評価基準として配当還元法が使用されることはほとんどありません。前述のDCF法を取り入れるのが一般的です。

6. M&Aの企業価値評価の方法:マーケット・アプローチ

M&Aの企業価値評価の方法:マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチとは、マーケット=市場が決めた企業価値に基づいて企業価値を算出するM&A評価基準方法です。

上場企業であれば、証券取引所で公開されている株価をもとに、M&Aで買収する企業と類似した企業を選定・比較して計算を行います。

できる限り近い条件の企業を選定するために、同じ業界における市場の評価をもとに企業価値を計算するケースが多いです。

マーケット・アプローチで代表的なものは、「市場株価平均法」「類似会社比準法」「類似取引比較法」です。

①市場株価平均法

市場株価平均法は、評価対象企業が上場会社の場合に利用する評価基準です。直近の株価だけでなく、過去3カ月程度の株価平均をM&A評価基準に取り入れます。これにより、市場の影響による株価の上下の影響を極力減らせます。

②類似会社比準法

類似会社比準法とは、M&Aを行う企業に類似した上場企業を選定し、それぞれの財務状態を比較する方法です。上場企業は株式市場で公開されている株価より時価総額を計算できます。

③類似取引比較法

類似取引比較法は「マルチプル法」ともいいます。M&A取引の類似した事例を用いた評価基準です。M&A取引事例が多い上場企業ではよく取り入れられます。

買収企業が非上場企業の場合は、決算報告などが一部のみの公開で同様のM&A事例が少ないことが多いです。そのため、中小企業のM&Aではあまり利用されない評価基準です。

また、選定するM&A事例によって、企業の評価基準が左右されるデメリットもあります。

具体的には以下のように算出します。

  • ポイント①:評価対象企業と類似している上場企業を複数ピックアップする
  • ポイント②:上記①の各社が現在どれくらいの企業価値・株式価値があると評価されているのか求める
  • ポイント③:上記②で導き出した値の平均値に関して計算式を使い、評価対象企業の財務指標やEBITDAをかけて、推定企業価値・推定株式価値を算定する

なお、ポイント②の「評価を求める」とは、現在の株価が各社の財務指標やEBITDAなど、主要指標における何倍の評価を受けているのかということです。

マルチプル法については、以下の動画と記事でも詳しく解説しております。参考にしてください。

【関連】マルチプルとは?マルチプル法による企業価値の算出方法を解説!

④類似業種比較法

国税庁が財産評価のために採用する類似業種比準方式は、類似業種比較法です。

評価する会社と事業内容が似た業種である複数の上場会社における株式価額の平均に、評価会社と似た業種の1株当たりにおける配当金額や年利益金額などの比準割合を乗じます。

算出結果にできるだけぶれがないよう評価できます。しかし、M&Aで用いる評価方法としては適しません。

7. M&Aの企業価値評価の方法:アセット(コスト)・アプローチ

M&Aの企業価値評価の方法:アセット(コスト)・アプローチ

「アセット・アプローチ(コスト・アプローチ)」とは、企業の純資産を基準に企業価値を決めるM&A評価基準です。アセットとは、一般的に資産や財産などを意味します。

企業の純資産が基準であるため、客観的なM&A評価基準として大変優れています。また、インカム・アプローチにおける「DCF法」のように事業計画の作成が不要なため、非常にシンプルなM&A評価基準です。

一方、アセット(コスト)・アプローチによる企業価値評価は、企業が将来生み出す収益は加味されません。今後も事業を継続する企業価値を算出する場合は、不向きな方法です。

アセット(コスト)・アプローチによる企業価値評価は、事業計画書の作成が難しかったり、正確性に乏しい事業計画書しか入手できなかったりするケースに適した方法です。

①簿価純資産法

簿価純資産法とは、企業の貸借対照表(バランスシート)をもとに純資産額を評価する方法です。中小企業などのM&A評価基準に使われることが多いです。

中小企業は株式の発行や売買がほとんど行われないため、先述したマーケット・アプローチを適用するのが難しく、貸借対照表の純資産額を基礎としたアセット(コスト)・アプローチが利用しやすいです。

ただし、実際のM&Aでは簿記に記載の数字を修正し、適正な簿価で純資産額を評価します。中小企業は銀行借り入れのために、実際の帳簿を粉飾して載せるケースも多いため、適切な簿価へ修正しなければなりません。

②時価純資産法

時価純資産法は、評価の対象となる企業の資産をもとに評価します。その際、負債も含めた有形無形全ての資産を時価に置き換えて純資産を算出します。

時価純資産方には、企業が今後生み出すであろう収益、利益、キャッシュフローなどの評価が含まれません。

再調達原価法について

再調達原価法は、企業の有形資産、無形資産、負債を現時点で取得する際の価格です。再調達原価法によって算出された時価純資産額は、買収する企業と同規模の資産の企業をもう1つ作る際に必要な金額です。

「M&Aを行うか新しく企業を設立するか」の検討材料として非常に重要です。

正味売却価額について

企業の売却価額は、企業が現状保有する全ての資産を処分して得られる金額から、負債を弁済する際の残余額をさします。

つまり、企業の清算時に株主が取得する金額の時価をさし、これを使った評価方法を清算価値法といいます。

清算価値法について

清算価値法とは、現在企業が保有する資産を全て処分することで入手できる金額を負債に当てて弁済する方法です。

つまり、企業を解散して全て清算した場合に株主が得られる金額です。これを利用した評価方法を清算価値法といいます。

アセット(コスト)・アプローチのメリットとデメリット

アセット(コスト)・アプローチにおけるM&Aのメリットは「評価基準が客観的に行えること」と「算出方法がシンプルであること」です。

一方、デメリットは、企業の資産価値は現在の状態に基づいて判断されるので将来的にどのように成長するかは検討しないため、M&Aを行う際に重要なポイントである「のれん」の価値が判断材料に含まれないことです。

「インカム・アプローチ」「マーケット・アプローチ」「アセット(コスト)・アプローチ」の違いまとめ

「インカム・アプローチ」「マーケット・アプローチ」「アセット(コスト)・アプローチ」の違いをまとめます。

「インカム・アプローチ」は将来の収益予測による企業価値算出方法で、M&Aにおける最も標準的な企業評価基準アプローチです。

「マーケット・アプローチ」は市場価値による企業価値算出方法で、似た条件の企業を選定して、その企業の評価をもとに企業価値を計算します。

「アセット(コスト)・アプローチ」は資産による企業価値算出方法です。現段階の資産をそのまま評価として使用し、評価が決まります。客観的な企業価値評価や概算の企業価値算出に大変便利な方法です。

3つのアプローチは、それぞれメリットもデメリットも持ち合わせています。そのため、企業の状態と市場の状況などによってどのアプローチを選択するか検討する必要があります。

8. M&Aの企業価値評価は専門家に相談

M&Aの企業価値評価は専門家に相談

企業価値評価を行う際は、専門家に依頼することをおすすめします。特に、「M&Aを検討していて企業価値が知りたい」という場合は、M&A仲介会社への相談がおすすめです。

M&A仲介会社へ依頼すれば、相手先探しや交渉サポートなどM&Aに関する一貫支援を受けられます。また、無料で企業価値評価を行う仲介会社も多いです。

M&A総合研究所では、M&Aに詳しいM&Aアドバイザーが案件をフルサポートしており無料で企業価値を算出いたします。

また、料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を行っておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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以下の記事ではさまざまなM&A仲介会社を紹介しています。特徴や報酬体系も解説しているので、あわせてご確認ください。

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9. M&Aの企業価値評価まとめ

M&Aの企業価値評価まとめ

企業価値評価とは、「会社の値段」を算出することです。企業価値評価は、以下3つの方法で算出できます。

  1. インカム・アプローチ
  2. マーケット・アプローチ
  3. アセット(コスト)・アプローチ

算出方法を詳しく知ることで、M&Aでどれくらいの売却価格になるか予想できます。また、売却価格を上げるためにどのような施策を打つべきか見えてきます。

企業価値評価の方法をしっかりと理解し、できるだけ高い価格で会社や事業を売却しましょう。

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