2022年06月06日更新
M&Aブーム到来?今回の特徴や事例まとめ!目的と課題やリスクも考察
2011年以降、日本ではM&A件数が増加傾向にあり、過去最大規模のM&Aブームが起こっています。その一端を担うのは、日本政府による事業承継支援政策やアウトバウンドM&Aの増加です。本記事では今回のM&Aブームの特徴や事例について解説します。
1. M&Aブームとは
M&Aブームとは、M&A件数や取引額が右肩上がりに増加している状態をいいます。日本では2011年以降、日本政府による中小企業の事業承継対策などが後押しとなり、M&Aブームが起こっています。
多くの中小企業がM&Aを積極的に実施するようになった結果、M&A件数も飛躍的に増加し、2019年のM&A件数は2011年と比較して2倍以上となりました。
過去、バブル期やいざなみ景気の時期にも同様のM&Aブームが起こりましたが、今回のM&Aブームは、以前のM&Aブームと比べてもM&A件数や取引額の伸びが大きく、過去最大のM&Aブームといえます。
2. 今回のM&Aブームの特徴
これまで日本では、その時代によってさまざまな特徴を持つM&Aブームが起こっていますが、今回のM&Aブームではどのような特徴があるのでしょうか。本章では、昨今のM&Aブームの特徴について解説します。
【今回のM&Aブームの特徴】
- クロスボーダー・アウトバウンドM&Aの増加
- 事業承継・後継者問題の解決
- コロナショックの影響
クロスボーダー・アウトバウンドM&A
クロスボーダーM&Aつまり海外企業を相手にしたM&Aが加速していることが、今回のM&Aブームの大きな特徴のひとつです。
特に日本企業が海外企業を買収するアウトバウンドM&Aが増加しており、取引額においては2000年代初頭には年間3~4兆円程度でしたが、2018年には8兆円以上にまで拡大しています。
一方、海外企業が日本企業を買収するインバウンドM&A件数は、今回のM&Aブームにおいてもそれほど増加しているとはいえません。
1999年頃から2018年まで緩やかな増加傾向にはありますが、その取引額は年間2兆~3兆円で推移しています。
事業承継・後継者問題の解決
超高齢化社会に突入していく日本では、経営者の高齢化や人材不足に端を発した中小企業の後継者不在が深刻な問題となっています。
今回のM&Aブームでは、後継者不在に悩む中小企業や小規模事業者による事業承継のためのM&Aが、増加傾向にあります。
中小企業の貴重な経営資源と地域経済を守るため、事業承継M&A支援が政府主導で行われているため、M&Aからは縁遠かった中小企業も積極的にM&Aを活用した事業承継を試みています。
コロナショック
新型コロナウィルスは、M&Aブームにも大きな影響を与えることが予想されています。例えば、高い技術力やノウハウを持つにも関わらず、新型コロナウィルスの影響で経営が厳しくなっている企業を、資金力のある企業が割安で買収できる機会が増加します。
また、近年のM&Aブームのひとつでもある、個人で買うことができるような低価格のスモールM&Aも新型コロナウィルスの影響で増加すると予想されています。
その一方で、コロナショックよりM&Aの買い手となる企業が減少していることから、これまでのM&Aブームが下火になる可能性も秘めています。
3. M&Aの歴史
昨今のM&Aブームにより、日本でもようやくM&Aが多くの人に認知されるようになってきましたが、その歴史は古く、財閥を中心として1800年代から行われていました。
その後も、財閥に加えて紡績業界や電力業界など、さまざまな業界でM&Aによる事業規模の急拡大が行われ、M&Aブームとなりました。しかし、第二次世界大戦後にGHQによって財閥が解体され、当時のM&Aブームは下火になります。
戦後のM&Aブームでは、高度経済成長期やバブル期には資金力を活かしたアウトバウンドM&A、バブル崩壊後にはコスト削減や経営基盤強化のためのM&A、2000年代に入ると敵対的買収を目的としたM&Aが行われ、時代の流れによってM&Aの内容や目的も変化してきました。
近年のM&Aブームでは、シナジー効果を狙ったM&Aや事業承継を目的にしたM&Aなどが多くなっており、資金力のある大企業だけではなく中小企業でも積極的にM&Aが行われています。
4. 今回のM&Aブームの事例まとめ
この章では、アウトバウンドM&Aや事業承継を目的としたM&Aが増加傾向にある今回のM&Aブームのなかで、実際に行われたM&A事例を紹介します。
【M&Aブーム下でのM&A事例】
- 武田薬品による日本最大のアウトバウンドM&A
- 株式会社アヤトの事業承継M&A
- 高級温泉旅館の事業承継M&A
武田薬品による日本最大のアウトバウンドM&A
武田薬品工業株式会社は、2019年にアイルランドの製薬会社シャイアーを約6兆8000億円で買収し、完全子会社化しました。
6兆8000億円という金額は、日本企業によるM&A取引額のなかで過去最高の金額であり、大きな注目を集めました。
本M&Aにより、武田薬品は世界トップ10の売上高を誇る巨大製薬会社になるとともに、シャイアーの強みである希少疾患や血液製剤の分野での技術共有を行い、さらなる事業拡大を目指しています。
株式会社アヤトの事業承継M&A
富山県にある株式会社アヤトは、地元広報誌の制作や一般商業印刷を行う印刷会社として親子3代で経営を続けてきました。
経営者の高齢化を機に、子供や社員に後継者となり事業承継することを打診しましたが、どちらも事業承継の意思はなく、後継者を決めることができませんでした。
そこで、M&A仲介会社を利用した第三者承継を試み、2020年に福井県の印刷会社であるスキャット株式会社に会社を売却しました。
スキャットは、事業拡大および売り上げの増加させるためにM&Aを検討していました。本M&Aにより、公共の仕事を多く扱うアヤトとのシナジー効果を期待しています。
高級温泉旅館の事業承継M&A
伊豆の高級温泉旅館として2006年に開業した桐のかほり咲楽は、2020年、経営者の高齢化と後継者不在を理由に、株式会社小野写真館に事業を売却しました。
当初は子供を後継者として事業を継続する予定でしたが、子供に事業承継の意思がなかったことから、M&A仲介会社を経由して、第三者承継を行うことを決意しました。
一方の小野写真館は、結婚式などの記念写真を撮影していますが、新型コロナウィルスの影響でビジネスが縮小することを懸念し、新しく事業展開することを検討していました。
ウィズコロナの時代を見据えて、4客室しかない高級旅館の咲楽と記念写真の撮影を行う小野写真館のシナジー効果を見出しての買収でした。
5. M&Aの目的
ここまで述べたように、今回のM&Aブームでは、アウトバウンドM&Aや事業承継M&A、新型コロナウィルスの影響によるM&Aなどが増加している傾向にあります。
これらのM&Aは、それぞれ異なる目的をもって実施されています。本章では、今回のM&Aブームを代表する3つのM&Aの目的について解説します。
クロスボーダー・アウトバウンドM&A
クロスボーダーM&Aのなかでも、日本企業が海外企業を買収するアウトバウンドM&Aの増加は、今回のM&Aブームの大きな特徴のひとつです。
アウトバウンドM&Aは、海外進出への足掛かりやコストの削減などを目的としています。その背景には、日本の少子高齢化や原油高によるコスト負担の増加などがあります。
事業の拡大や売上の確保、人件費・原材料費などのコスト削減を行うために、アウトバウンドM&Aを行い海外に拠点を移す日本企業が増加しています。
事業承継・後継者問題の解決
超高齢化社会に突入しつつある日本社会において、中小企業の経営者の高齢化とそれに伴う事業承継・後継者不在問題は非常に深刻です。
今回のM&Aブームで行われている中小企業の第三者承継の目的は、事業承継の後継者問題を解決し、雇用や地方経済を保護することです。
日本政府は中小企業の事業承継を支援するために、事業承継税制やM&A支援政策を実施しており、多くの中小企業がそれらの支援を利用して事業承継を行っています。
コロナショック
新型コロナウィルスの影響により、経営が厳しくなった企業による会社売却が増加していくことが予想されており、今回のM&Aブームにも影響を与えるとみられています。
コロナショックによるM&Aでは、悪化した経営の立て直しや、事業の選択と集中などが目的となります。M&Aで会社を売却することで、従業員や取引先を守ることができます。
買い手側は、ウィズコロナ時代に企業を成長させるための戦略として、M&Aを実施するケースが考えられます。
6. M&Aのメリット・デメリット
昨今のM&Aブームや日本政府によるM&A支援などのおかげで、中小企業でもM&Aに対するハードルが下がってきています。
しかし、実際にM&Aを検討するにあたっては、メリットやデメリットを十分に理解しておく必要があります。本章では、売り手目線でのM&Aのメリットおよびデメリットについて解説していきます。
M&Aのメリット
まずは、M&Aを行うメリットについて解説します。M&Aブームの中でM&Aを行うことで、以下のようなメリットを享受することができます。
【M&Aのメリット】
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用先確保
- 注力事業への集中
- 譲渡・売却益の獲得
1.後継者問題の解決
M&Aによる第三者への事業承継のメリットは、後継者問題を解決できることです。後継者問題は、高齢化社会が進む日本社会のなかでも深刻な問題として近年注目されています。
特に、地方の中小企業や小規模事業者では将来的に後継者不在による廃業が増加し、地域経済に大きなダメージを与えることが予想されています。
M&Aにより後継者問題を解決できれば、事業や会社の存続、雇用の維持などを実現できるため、日本政府も中小企業のM&Aによる事業承継をサポートしています。
2.従業員の雇用先確保
新型コロナウィルスなどの影響で売上が落ち、経営を継続できずに閉店や倒産ということになる店舗や企業が今後増加するとみられています。
閉店や倒産となれば、従業員は職を失ってしまいますが、M&Aで店舗や会社・事業を売却することができれば、従業員はそのまま働き続けることができるため、職を失わずにすみます。
経済的に厳しく、有効求人倍率が減少傾向にある状況において、従業員の雇用先を確保できるM&Aには大きなメリットがあるといえるでしょう。
3.注力事業への集中
不採算部門などを売却する事業譲渡では、戦略的に注力事業への集中を行うことができる点にメリットがあります。
事業譲渡はM&Aの一種であり、事業の選択と集中を目的として、運営する事業の一部または全部を他社に売却する手法です。
不要な部門を整理するなど、事業の取捨選択は経営戦略として非常に重要であり、さらに、事業売却で得られた譲渡益を他事業の展開や債務の返済などにあてることもできる点も事業譲渡のメリットです。
また、事業譲渡を行っても会社自体は経営を継続するため、従業員の雇用確保や取引先や顧客を守るためにも有効な手段です。
4.譲渡・売却益の獲得
非公開の中小企業やオーナー企業では、M&Aでの会社売却により、経営者が多額の売却益を得ることができる可能性を秘めています。
売却額は、経営状況や保有している設備・技術、知的財産などによって大きく左右されますが、昨今のM&Aブームにより会社を売却しやすくなっている状況にあるため、想定以上の額で取引できるケースもあります。
株式譲渡の場合には、一般的に、負債も買い手企業に引継がれるので、借金が残ることもありません。
事業譲渡の場合も同様にM&Aで譲渡益を得ることができますが、譲渡事業にかかわる負債であっても引継がれずに会社に残るので、もし負債があるのであれば譲渡益から払われるケースが多くなっています。
M&Aのデメリット
M&Aブーム中で行うM&Aには、メリットだけではなくM&Aにはデメリットがあることも忘れてはなりません。ここでは、M&Aを行うことで発生するデメリットについて解説します。
【M&Aのデメリット】
- 企業理念・経営方針の不一致
- 労働条件・待遇の不満
- 顧客や取引先からの反発・不満
1.企業理念・経営方針の不一致
企業理念や経営方針が全く異なる会社への売却となると、M&A後の企業融合に手間取り、シナジー効果を得るまでに時間がかかることもあります。
シナジー効果を効率的に得ることがM&Aの大きな目的でもあるため、企業理念や経営方針の不一致は、売り手側だけではなく買い手側にとっても大きなデメリットとなります。
また、企業文化の違いは、従業員に精神的な負担を強いることになりかねません。M&Aにより働き方が変わるだけでもストレスですが、社風の違いで従業員同士に軋轢が生じることがあればより負担となります。
M&Aの本来の目的やM&A後の従業員のことを考慮し、企業理念や経営方針が近しい企業への売却を検討することも大切です。
2.労働条件・待遇の不満
M&A後の労働条件や待遇に対する従業員の不満は、人材や技術の流出を引き起こすリスクをはらんでおり、現実のものとなれば経営の悪化やM&A失敗という最悪の結果となる可能性もあります。
そのため、M&A交渉において、売却後の従業員の労働条件や待遇の協議は非常に重要な項目とみなされています。
これまでと同じ条件で働き続けることも重要ですが、親会社となる買い手企業の従業員と待遇面で大きな差がでるようなことになれば、仕事のモチベーションにも影響が出かねません。
従業員・経営者ともによいM&Aにするため、売却先選定やM&A交渉が重要なポイントとなります。
3.顧客や取引先からの反発・不満
M&Aに不満を持つのは従業員だけではありません。顧客や取引先もM&Aに不満を持ち、反発してくるというケースもあります。
顧客や取引先の不満がM&A後の顧客離れや取引の停止などの原因となり、経営の悪化やM&A失敗を引き起こす大きなリスクになりかねません。
顧客や取引先との契約を守ることができるような交渉を行うこと、および、顧客や取引先が納得してくれるように、適切なタイミングでM&Aについて説明をすることが重要です。
7. M&Aの課題・リスクを考察
事業承継M&AやクロスボーダーM&Aが増加しているM&Aブームのなか、中小企業や小規模事業者がM&Aを成功させるためには、M&Aに潜むリスクや乗り越えるべき課題を明確にしていくことが重要です。
会社の置かれている状況や環境によって異なりますが、一般的なM&Aの課題やリスクについて、売り手側と買い手側に分けて解説します。
売り手の課題・リスク
まずは、売り手側からみたM&Aの課題およびリスクについてです。売り手側のポイントとなるのは、慣れないM&Aを実施することにあります。
これまでに経験のないM&Aを成功させるために抑えておくべき点を中心に、M&Aの課題とリスクについて解説していきます。
【売り手の課題・リスク】
- M&Aに対する理解不足
- M&Aのサポート・相談役が身近にいない
- 情報漏えいに対する恐れ
- M&A中の従業員の流出
- 希望通りのM&Aが行えない可能性がある
1.M&Aに対する理解不足
近年は過去最大のM&Aブーム下にあり、M&A件数も増加傾向にありますが、中小企業経営者の大半は過去にM&Aを行ったことがなく、M&Aに対する理解が乏しいところがあります。
代々続く会社であれば、親から子へ、子から孫へと承継されていくことが普通になっており、会社売却への知識や経験を身につけていないことが多いためです。
特に高齢の経営者では、M&Aに対する理解不足や知識不足は大きな課題となります。何も分からずにM&A仲介会社やアドバイザーに任せっきりでは、よいM&Aはなかなか成立しません。
会社のことを一番知っているのは経営者自身なので、事業を存続させて従業員や取引先を守るためには、M&Aへの理解と知識を深めることがM&A成功の第一歩といえるでしょう。
2.M&Aのサポート・相談役が身近にいない
中小企業の多くは、M&A経験が不足しています。経営者だけが経験不足なのではなく、周囲の人間もM&Aへの理解や知識がないことがほとんどです。
そのため、経営者がM&Aブームに乗って事業承継M&Aを検討したとしても、身近にサポートしてくれたり、相談に乗ってくれるようなM&Aの知識がある人がみつからないということもあります。
そのような環境でM&Aを成功させるためには、経営者が自ら積極的に動かなければなりません。取引金融機関やM&A仲介会社への相談、事業引継ぎ支援センターの利用など、社内外でM&Aに詳しい人物に働きかけることでM&Aへの道が開けます。
3.情報漏えいに対する恐れ
M&Aで会社売却をする際には、会社の収支や帳簿、保有設備などの機密情報を買い手企業に開示しなければならない場面もあります。
シナジー効果や営業エリア拡大の観点から、M&Aは同じ業界の企業同士で行われることも多く、機密情報の取扱いには慎重にならなければなりません。
開示した情報が相手企業を経由して、技術情報が別のライバル企業に流出したり、M&Aのことが漏れるなどのリスクもはらんでいます。
M&A交渉を行う際には、情報漏えいを防ぐために秘密保持契約を結び、さらに、交渉中は情報を開示する人物も最小限に抑えておくことが得策です。
4.M&A中の従業員の流出
M&Aにより会社が売却されるということは、従業員にとって大きなストレスとなります。売却後の待遇や勤務地、労働条件に不満や反発を持ち、会社から離れるという決断を下す従業員がいても不思議ではありません。
特に、人材の確保が目的のひとつとなっているようなM&Aでは、M&Aによる従業員の流出は大問題となります。
技術やノウハウ、経験豊富な従業員であればなおさら、流出しないように気にかけておかなければなりません。
従業員に向けてM&Aについての丁寧な説明を行い、理解を得ることが人材の流出を防ぐためには非常に重要です。
5.希望通りのM&Aが行えない可能性がある
M&Aを希望しても、希望通りの相手先やM&A価額で会社売却ができない可能性もあります。
経営難が続いている、事業の将来性が低い、保有設備が老朽化しているなどの要因で、会社としての価値が低くなり希望が通りにくくなるためです。
M&Aブームといえども、買い手にとって魅力のない企業であればなかなか買い手も見つからず、条件も悪くなっていきます。
よりよい条件で会社売却を行うためには、M&Aを見据えた経営戦略や事業展開、事業のブラッシュアップを行うことが求められます。
買い手の課題・リスク
次に、買い手目線でのM&Aの課題やリスクについて解説します。買い手のポイントは、M&A後の経営を見据えた買収を行う点にあります。
将来を見据えて、最大限のシナジー効果を得られるようなM&Aにするためには、M&Aの課題やリスクを把握しておく必要があります。
【買い手の課題・リスク】
- 簿外債務・予測しない債務の発覚
- M&A後の経営統合の失敗
- M&Aに必要な費用・コスト
- 高値づかみをする可能性
1.簿外債務・予測しない債務の発覚
簿外債務や偶発債務は、M&A後の経営に大きな影響を与える可能性があるため、買い手企業は、デューデリジェンスなどでしっかりと調査することが必要です。
簿外債務とは帳簿に記載されていない債務のことですが、簿外債務があること自体は違法ではないので、中小企業や小規模事業者では退職給付引当金や未払賞与を帳簿に記載していないケースもあります。
売り手企業の簿外債務や偶発債務のせいで経営が悪化し、既存の事業にもしわ寄せがいくようなことがあれば、M&Aは成功とはいえないので注意が必要です。
2.M&A後の経営統合の失敗
M&A後の経営統合では、買い手企業と売り手企業の両社の経営やシステム、業務などを融合させますが、統合がうまくいかなければシナジー効果を得るまでに時間がかかり、M&A後の経営に影響を与える可能性があります。
買い手企業は、M&A契約の成立を目標にするのではなく、経営統合後のビジョンを明確にしたうえで、円滑な経営統合ができるように、相手企業の経営方針や企業理念、企業風土なども考慮した適切なM&A計画を練ることが重要です。
3.M&Aに必要な費用・コスト
会社を買収するには経費がかかります。株式譲渡の場合は相手企業の株式を取得するためのコストが当然必要ですが、M&A仲介会社などとアドバイザリー契約を結べば、株式取得費用に加えて着手金や成功報酬などの手数料などを支払うことになります。
契約内容や仲介会社にもよりますが、デューデリジェンスを行うには別料金が必要となるケースもあります。M&A成約までには実際の取引額以上に費用がかかることを念頭に、コスト試算をしておくことが重要です。
4.高値づかみをする可能性
相手企業に関する調査の甘さや経営者の判断ミス、M&Aの経験不足などにより、買収額以上のM&A効果が得られず高値づかみをしてしまうことは、中小企業だけではなく大企業でも起こりうることです。
特に、M&Aブームで増加しているアウトバウンドM&Aでは、高値づかみしてしまう会社が多い傾向にあります。
本来の価値よりも高いプレミアム価格での買収となれば、それを取り戻すためにはより時間がかかります。
もし、相手企業が潜在的な品質問題を抱えていたり、市況が急速に悪化するようなことが起これば、たちまち、既存の事業の経営にも大きな影響を与えることになります。
8. M&Aの検討時におすすめの相談先
過去最大規模のM&Aブームが到来している中で、多くの中小企業も事業承継等のためにM&Aを活用するようになってきました。しかし、M&Aには専門的な知識が必要です。
そのため、M&A経験が乏しい場合は、専門家への相談がM&Aを成功させるためのキーポイントとなります。
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9. まとめ
本記事では、今回のM&Aブームの特徴やM&Aブーム中で行われたM&A事例、M&Aのメリット・デメリット、M&Aの課題やリスクなどを紹介しました。
2011年以降、事業承継やアウトバウンドM&Aを中心にM&A件数が増加傾向にあり、M&Aブームが到来しています。過去にも同様のM&Aブームはありましたが、今回のM&Aブームは取引額や件数で過去最大規模となっています。
【今回のM&Aブームの特徴】
- クロスボーダー・アウトバウンドM&Aの増加
- 事業承継・後継者問題の解決
- コロナショックの影響
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用先確保
- 注力事業への集中
- 譲渡・売却益の獲得
- 企業理念・経営方針の不一致
- 労働条件・待遇の不満
- 顧客や取引先からの反発・不満
【売り手の課題・リスク】
- M&Aに対する理解不足
- M&Aのサポート・相談役が身近にいない
- 情報漏えいに対する恐れ
- M&A中の従業員の流出
- 希望通りのM&Aが行えない可能性がある
【買い手の課題・リスク】
- 簿外債務・予測しない債務の発覚
- M&A後の経営統合の失敗
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