SES会社の会社譲渡(株式譲渡)が増える背景とは?事例やメリットを解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

近年SES(システムエンジニアサービス)の会社譲渡(株式譲渡)が増介しています。今回は、会社譲渡の増加するSES業界動向や事例、メリットを詳しく解説!SES会社ならではの視点で会社譲渡wp成功させるポイントも説明しています。SES会社の会社譲渡を成功させましょう。

目次

  1. SES業界で会社譲渡(株式譲渡)が増えている背景
  2. SES業界の会社譲渡(株式譲渡)の3つの事例
  3. SES会社が会社譲渡(株式譲渡)するメリット
  4. SES会社の会社譲渡(株式譲渡)における2つの心配ごと
  5. SES会社の会社譲渡(株式譲渡)の流れ
  6. SES会社の会社譲渡(株式譲渡)を成功させるポイント
  7. まとめ
  • SES会社のM&A・事業承継

1. SES業界で会社譲渡(株式譲渡)が増えている背景

SES業界で会社譲渡(株式譲渡)が増えている背景

近年SES(サービスエンジニアサービス)会社に会社譲渡(株式譲渡)が増えています。

会社譲渡とは、売り手側企業の保有株式を買い手企業に売却するM&Aの手法のことです。株式譲渡をする場合は、M&Aを行うということになります。

SES会社の会社譲渡は、近年増えています。後継者不在や他事業への集中のためSES事業を売却したい企業が増えていることと、SES事業を買いたい企業が増えていることが原因です。

買い手企業増加の背景には、以下のような状況があります。

  • 背景1.システムエンジニアの人手不足
  • 背景2.企業のIT投資拡大による売却のしやすさ
  • 背景3.海外企業による日本のSES会社の買収の増加

それぞれ順番に詳しく確認しましょう。

背景1.システムエンジニアの人手不足

システムエンジニアの人手不足によって会社譲渡が増えています。SESではシステムエンジニアの数によって売り上げの大きさが決まる部分が大きいです。しかし、労働環境がよくないゆえに離職率も高くなっています。

そのため、SES業界内でエンジニアの取り合いになってしまっているのが現状です。中小企業・中堅企業はなかなかエンジニアの採用ができず、会社の将来性を見出せなくなってしまいます。

そこで、会社譲渡を考える経営者が多いのです。

そこで、IT業・人材派遣業による買収が多くなっています。IT業と人材派遣業のSES会社の買収は、人材不足による人材確保という側面が大きいです。

IT業では若い技術者が少なく、技術者の養成と確保が喫緊の課題となっています。そのため未経験者でも採用して、技術者として育てようとする企業が多いのです。

しかし、人材を採用して一から技術者として育てるには、採用や教育のコストがかかります。SES会社を買収することで、簡単にある程度経験を持った技術者を確保できるのです。

人材派遣業は、人材不足解消のためSES会社を買収しています。人材派遣業は、人材の確保を怠ることはできません。

しかし、労働人口の減少などが原因で人材確保は年々厳しくなっています。そのため、人材派遣業の大企業が、SES会社や人材派遣業の中小企業を買収しているのです。

このような理由から、SES会社の買収は増えています。人材確保のためSES買収は、さらに増える見込みです。

背景2.企業のIT投資拡大による売却のしやすさ

近年、企業のITに対する投資が拡大しており、SES会社が売却しやすくなっています。

どんな会社でもクラウドやIoTなどが活用されるようになってきたのです。ITによる業務の効率化はめざましく、社内外の業務にも欠かせないものになりました。

日本の労働人口が減少していく中で生き残るためには、できるだけIT化をして人材不足でも乗り越えられるような仕組みを作っていかなければなりません。

また、金融業界やEC業界など、サービス提供にITの欠かせない業界も増えています。そのため、あらゆる業界においてITへの投資が拡大し、それに伴ってシステムエンジニアも必要となっているのです。

自社でIT事業を設ける企業も増加しており、SES会社をそのまま買収して採用し、自社のシステム構築を任せるケースも増えてきています。

このような背景から、SES会社の需要は高まってきているのです。

背景3.海外企業による日本のSES会社の買収の増加

海外企業による日本のSES会社の買収も増加しています。海外企業がSESを買収する理由は、優秀な技術者を確保しシステム開発・運用を節約するためです。

海外企業のシステムは規模が大きく、開発や運用を外部に委託すると費用がかかります。そこでSES会社を子会社にして、システム開発・運用を任せるのです。

そうすることで、外部委託よりもコストが抑えられます。子会社化することで、外部に委託した場合に考えられる情報漏洩や不具合への対応遅れの心配がありません。

システム開発・運用のために買収することから、海外企業によるSES会社の買収の条件は技術者のレベルが高いこととなります。

このような海外企業によるSES会社の買収は、今後も増加するでしょう。

SESの事業承継については、『SESの事業承継におけるメリット・注意点・事例など詳しく解説』でも説明しています。ぜひ参考にしてください。

2. SES業界の会社譲渡(株式譲渡)の3つの事例

SES業界の会社譲渡(株式譲渡)の3つの事例

SESが業界における会社譲渡(株式譲渡)は、実際にどのような事例があるのでしょうか。ここで、3つの事例をご紹介します。

  1. ネプラスによる夢真ホールディングスへの株式譲渡
  2. ビクタスによるナレッジスイートへの株式譲渡
  3. エヌジェイホールディングスによるDELTA Holdingsへの株式譲渡

順番にどのような事例か確認し、株式譲渡/会社譲渡を行う際の参考にしてください。

事例1.ネプラスによる夢真ホールディングスへの株式譲渡

  売り手企業 買い手企業
会社名 ネプラス 夢真ホールディングス
事業内容 ネットワーク機器レンタル事業
SES事業
建設技術者派遣事業
SES事業
従業員数 92名 8,187名(連結)
目的 事業の譲渡 人材確保
技術力強化
顧客基盤拡大
譲渡価格 20億9,300万円

2018年10月、ネプラス株式会社は株式会社夢真ホールディングスへ株式譲渡されました。譲渡価格は、20億9,300万円です。

売り手企業のネプラスは、ネットワーク機器のレンタル業やSES事業を手掛けています。50名以上のエンジニアは、高度な知識を必要とする上流工程をメインに派遣されておりベテランが多く在籍している会社です。

買い手企業で建設業とSES業を営む夢真ホールディングスは、この買収によって若手や未経験者の多い自社のSESを強化したい狙いがあります。また、ネプラスの持つ顧客を取得し、顧客基盤の拡大も買収の目的です。

高額な譲渡価格には、次の2点が大きく影響しています。①ネプラスが優秀な技術者を上流工程へ派遣していたこと、②夢真ホールディングスの派遣していない複数の顧客を持っていたことです。

SESにとって技術のレベルや顧客は、買い手企業への重要なアピールポイントとなります。SESの譲渡を考えるなら、自社の従業員や取引先について見直してみましょう。

事例2.ビクタスによるナレッジスイートへの株式譲渡

  売り手企業 買い手企業
会社名 ビクタス ナレッジスイート
事業内容 SES事業 クラウドソリューション事業
SES事業
従業員数 45名 139名(連結)
目的 事業の譲渡 人材確保
育成基盤強化による収益の拡大
譲渡価格 3億円

2018年10月、ビクタス株式会社はナレッジスイート株式会社へ株式譲渡を行い、ナレッジスイートの子会社となりました。譲渡価格は、3億円です。

売り手企業のビクタスは、SES事業を行っています。買い手企業のナレッジスイートは、営業活動における生産性向上のためのクラウドソリューション事業やSES事業を行っている会社です。

ビクタスの買収後、ナレッジスイートが有する技術者は100名を超えました。ナレッジスイートはビクタスの他、SES事業を行うフジソフトサービスを買収するなど、今後不足すると予測される技術者の確保を行っています。

このようにナレッジスイートはM&Aを繰り返すことによって、2018年だけで社員数は3倍となり、売り上げ規模も3倍と急成長しました。ナレッジスイートと同じように人材確保のためのSES事業買収は、さらに増えるでしょう。

事例3.エヌジェイホールディングスによるDELTA Holdingsへの株式譲渡

  売り手企業 買い手企業
会社名 トーテック(親会社:エヌジェイホールディングス) DELTA Holdings
事業内容 SES事業 総合人材派遣事業
従業員数 162名 105名
目的 人材不足解消
事業価値向上
人材確保
譲渡価格 1億2,600万円

2018年7月、株式会社エヌジェイホールディングス(以下、エヌジェイHD)は連結子会社である株式会社トーテックの株式70%を、株式会社DELTA Holdingsへ株式譲渡しました。譲渡価格は、1憶2,600万円です。

売り手企業のエヌジェイHDは、2015年に技術者確保のためにSES事業を行うトーテックを買収したものの人材確保に苦戦していました。今回トーテックを売却することで、事業価値を向上させ人材確保を行いたいと考えています。

買い手企業のDELTA Holdingsは、東北エリアから九州エリアで総合人材派遣業を行う会社です。トーテックを買収することにより、人材の確保を行うことができました。

このように株式を全て売却するのではなく一部を売却して、資本業務提携が行えることも株式譲渡の特徴です。今回の買収のようにお互いの人材不足解消など、資本業務提携をすることでパートナー企業による支援が期待できます。

SESのM&A事例は、『【2019年最新】SES事業会社のM&A・買収・売却・譲渡!成功ポイントは?事例20選!』で20個も掲載しています。SESのM&Aについても詳しく説明しているため、ぜひ参考にしてください。

3. SES会社が会社譲渡(株式譲渡)するメリット

SES会社が会社譲渡(株式譲渡)するメリット

ここまでSES業界の会社譲渡(株式譲渡)について確認してきました。しかし、実際に会社譲渡をするとどのようなメリットを得られるのかわからない経営者もいるでしょう。

SES会社を会社譲渡するメリットは以下の3つです。

  • メリット1.システムエンジニアが働きやすくなる
  • メリット2.まとまった資金が手に入る
  • メリット3.事業承継問題が解決する

順番に確認していきましょう。

メリット1.システムエンジニアが働きやすくなる

SES会社を会社譲渡することで、自社で契約しているシステムエンジニアが働きやすくなる可能性があります。

なぜなら、集中してプロジェクトに参加できたり、雇用が安定する可能性が高いからです。SES会社はシステムエンジニアの派遣業なので、システムエンジニアの必要な会社へ派遣されます。

そのため、一時手にプロジェクトに参加するのでプロジェクト終了時までメンバーでいることはほとんどなく、仕事をしてもあまり達成感を得ることができません。また、契約内容もさまざまで『派遣社員』として雇用しているケースも多いでしょう。

しかし、買い手企業によってはシステムエンジニアの働き方が変わります。最初から最後までプロジェクトのメンバーとして参加したり、正社員として働くこともできるでしょう。

もちろん、買い手企業によってどのような働き方になるかは変わります。会社譲渡するときに、システムエンジニアの働き方も考慮して買い手企業を選ぶとシステムエンジニアから喜ばれるでしょう。

メリット2.まとまった資金が手に入る

会社譲渡をすると、買い手企業から譲渡価格が支払われます。株式譲渡というM&Aの手法を使うと、現金で取引されるため現金を手に入れられるのです。

取引して得た現金を老後資金に充てたり、他事業を経営しているなら他事業への資金に充てたり、新規事業の元手にしたりすることができます。

ただし、親族や従業員への事業承継で株式を譲る場合は、資金力の面から無償で譲渡することが多いです。しかし第三者に株式譲渡をすれば、必ず金銭取引が発生するため現金を手に入れられます。

資金を獲得したい経営者は、第三者への会社譲渡を行いましょう。

株式譲渡についてもっと詳しく知りたい場合は、『M&Aの手法・株式譲渡の手続きを徹底解説!』も参考にしてください。

メリット3.事業承継問題が解決する

株式譲渡/会社譲渡を行うことで、後継者不在を解決できます。中小企業の場合、事業を継ぐ親族が減りやむなく業を行う企業があるでしょう。しかし、会社を譲渡することで、廃業は回避できて現金も手に入れられます。

廃業も検討しているなら、専門家に相談して会社を他者へ譲渡しましょう。事業を存続でき、従業員も雇用し続けられます。

SESの事業譲渡については、『SESの事業譲渡・事業売却におけるメリット・事例・流れを徹底解説』で詳しく説明しています。

4. SES会社の会社譲渡(株式譲渡)における2つの心配ごと

SES会社の会社譲渡(株式譲渡)における2つの心配ごと

SES会社の会社譲渡(株式譲渡)を進めるにあたって、契約しているシステムエンジニアや取引先のクライアント・ベンダーの反応が気になると思っているかもしれません。

たしかに、SES会社はシステムエンジニアやクライアント・ベンダーがいるからこそ成り立つ会社です。心配であるなら、事前に不安を払拭しておくべきといえます。

そこで、システムエンジニアやクライアント・ベンダーの反応を確認しておきましょう。

4ー1.システムエンジニアの反応

システムエンジニアなどの従業員にとって、会社譲渡は嬉しいことです。なぜなら、システムエンジニアは安心・安定を求めているからです。

大手会社の傘下になったり、大手会社のIT事業を任されることで、今よりも良い労働環境になることが予想されます。

長時間労働問題の解消されたり待遇が良くなるのであれば、システムエンジニアたちも喜んで会社譲渡を受け入れてくれるでしょう。

4ー2.クライアント・ベンダーの反応

クライアント・ベンダーは、あまり会社譲渡について気にしないようです。

IT業界では頻繁に会社譲渡や事業譲渡が行われています。そのため、会社譲渡することは珍しくありません。

ただし、会社譲渡によってサービス提供の内容が変わったり、サービス提供ができなくなるのであれば、早めにお伝えする必要があるでしょう。

クライアントがあなたの会社からのエンジニア派遣を頼りにしていたのであれば、急に「派遣料が上がった」「派遣できなくなった」という事態に困るはずです。

買い手企業のグループ会社によって人材を補填してもらったり、クライアントに別のSES会社を探してもらわなければなりません

とはいえ、IT業界における会社譲渡はよくあることです。そのため、非難される心配はないでしょう。

情報を解禁して良いタイミングで早めに会社譲渡の事実を伝えることが最大の対応といえます。

5. SES会社の会社譲渡(株式譲渡)の流れ

SES会社の会社譲渡(株式譲渡)の流れ

ここまで読んでみて、「SES会社の会社譲渡(株式譲渡)をしたい」と思った経営者も実際には何から始めたら良いか分かりませんよね。

SES会社を会社譲渡するときには、準備を含めて以下の8つの流れに分けることができます。

  • 流れ1.会社譲渡の準備
  • 流れ2.M&A仲介会社とアドバイザリー契約
  • 流れ3.相手企業の選定と交渉
  • 流れ4.基本合意契約の締結
  • 流れ5.デューデリジェンスの対応
  • 流れ6.株式譲渡契約の締結
  • 流れ7.株式名簿の書き換え・証明書の交付請求
  • 流れ8.統合作業

事前に流れを把握しておくことで、スピーディーに会社譲渡を実行することができます。詳しく確認していきましょう。

流れ1.会社譲渡の準備

まずは、SES会社を会社譲渡する準備を始めましょう。準備をするときには、以下のようなことを洗い出していきましょう。
 

  • 会社譲渡の目的
  • 譲渡先の企業像
  • 譲渡完了したい日
  • 譲渡にかけられる費用・期間
  • アピールポイント
  • 従業員のスキル・年齢・給与・派遣先・単価
  • 取引先
  • 現在の収益
  • 今後の収益予想
  • 経営上の問題点

SES会社は売り手市場です。そのため、どんな会社からも「買収したい」と手を上げるでしょう。しかし、会社譲渡の目的をはっきりさせ、目的にあった譲渡先を選ばなければなりません。

たとえば、より会社を拡大したいのであればブランド力のある同業者がおすすめです。一方、システムエンジニアの労働環境をよくするためには、大企業の傘下に入って資金力をつけたり、IT部門の一員として働くことを目指すべきでしょう。

このように会社譲渡の目的と、目的にあった譲渡先の企業像を明確にしていくべきです。

これらが決まったら、スケジュールや自社の特徴や事業の強みを洗い出してまとめておきます。そうすることで、買い手企業の候補にアピールしやすくなります。

経営者一人で行うのではなく、社内のキーパーソンと一緒に準備をしていきましょう。

流れ2.M&A仲介会社とアドバイザリー契約

社内での準備が調ったら、M&A仲介会社とアドバイザリー契約を結びましょう。

M&A仲介会社は、スペシャリストによる会社譲渡のサポート業務を行ってくれます。アドバイザリー契約を結ぶことで、本格的に業務を依頼することとなるのです。

たしかに、M&Aの仲介業務は銀行などの金融機関や、弁護士・公認会計士などの専門家にも依頼することができます。しかし、結局はM&A仲介会社と連携をしたり、紹介されたりするケースが多いのです。

それであれば、最初からM&A仲介会社に依頼した方がスピーディーに会社譲渡することができます。もちろん、その分費用も抑えることができるのです。

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流れ3.相手企業の選定と交渉

続いて、相手企業の選定と交渉を行っていきましょう。

相手企業の選定は、M&A仲介会社が行ってくれる業務です。社内で決めた会社譲渡の目的や譲渡先の理想像を伝えることで条件に合う会社をピックアップしてくれます。

自分たちでは思いつかなかったような業種の会社を提案されることもあるかもしれません。その場合、頭から否定せずメリット・デメリットをよく聞いて他の候補と比較をすべきです。

気になる会社があれば、M&A仲介会社を通してアプローチをしていきます。このとき、名前を伏せた会社の概要書(ノンネムシート)を送ることになります。魅力点をしっかりとアピールしましょう。

相手企業が前向きに買収したいと意思表明したら、初めて面会を行います。まずはお互いを知ることから始め、徐々に具体的な譲渡条件について話していきましょう。

このとき、システムエンジニアの働き方や待遇がどのように変わるのか必ずチェックをしてください。システムエンジニアの労働環境や待遇がよくならなければ、会社譲渡をきっかけに離職してしまう恐れがあります。

必ず確認し、基本合意契約を結びましょう。

流れ4.基本合意契約の締結

交渉で譲渡条件やスケジュールがまとまってきたら、基本合意契約の締結を行いましょう。

基本合意契約とは、売り手企業と買い手企業が話し合って決めた内容で合意を取る契約です。基本合意契約書には、次のような内容を記載します。

  • 取引方法
  • 譲渡価格
  • 今後のスケジュール
  • デューデリジェンスの協力義務
  • 独占交渉権の付与
  • その他諸条件

署名・捺印をする前に、話し合った条件が反映されているのかを確認しましょう。

基本合意契約には法的拘束は発生しません。しかし、この後行われるデューデリジェンスでもんだいがなければほとんど会社譲渡は決まったようなものです。

また、ここで約束した内容よりも最終的に条件が良くなることはほとんどありません。できるだけ条件をよくした状態で締結するようにしましょう。

流れ5.デューデリジェンスの対応

基本合意契約統合作業の締結後は、買い手企業によるデューデリジェンスの対応を行いましょう。

デューデリジェンスとは、買い手企業による売り手企業の最終調査のことです。経営や財務状況、人事など、あらゆることを調べられます。

このとき、買い手企業からさまざまな資料の提出が求められるでしょう。専門家の力を借りながら、丁寧に対応すべきです。

特に、SES会社のデューデリジェンスではシステムエンジニアの能力や経歴、契約状況などを詳しく確認されます。なぜなら、SES会社の最大の資産はシステムエンジニアだからです。

できるだけ詳しい内容を記載したリストを作成し、買い手企業へ渡しましょう。

流れ6.株式譲渡契約の締結

デューデリジェンスの後、最終的な条件調整を行った上で株式譲渡契約を締結しましょう。

株式譲渡契約は一度契約してしまうと撤回することができません。そのため、必ず弁護士やM&A仲介会社などの専門家に内容の確認をしてもらいましょう。

もしかすると基本合意契約のときよりも申告期限が下がっているかもしれません。これは、デューデリジェンスの結果を受けてマイナス面があったということが示されています。

納得のいくよう、譲渡価格の根拠を説明してもらうことも忘れないようにしてください。ほかにも条件が変わっている可能せもあるので、必ず内容を詳しくチェックし納得した上で株式譲渡契約を結びましょう。

流れ7.株式名簿の書き換え・証明書の交付請求

株式譲渡契約を結んだ後は、後日株式名簿の書き換えや証明書の交付請求を行います。

株式譲渡契約を結んだからといって、会社の経営者が自動的に変わるわけではありません。株式名簿の名前を買い手企業に変えるため、会社に対して株式名簿の書き換え請求を行うのです。

また、株式名簿が書き換わったことを証明するためにも、株主名簿記載事項証明書を発行しましょう。

流れ8.統合作業

最後に、買い手企業と売り手企業の統合作業を行います。統合作業とは、両従業員の社風や社内システムを統合していくことです。

具体的には、会社の経営者が変わることで発生する従業員やシステムエンジニアの労働環境の変化をサポートしていきます。

買い手企業によっては、行う業務が変わるシステムエンジニアもいるでしょう。そういった業務の慣れや、社内で使うシステムや社風に慣らしていかなければ、「働きにくい」と感じさせてしまいます。

せっかく会社譲渡をしたのに「働きづらい」と感じさせて離職させることはもったいないです。しっかりと売り手企業の経営者もサポートし、働きやすい環境を提供しましょう。

以上が、SES会社の会社譲渡の8つの流れでした。

人手不足であるSES会社が自力でここまでの手続きを行うことは難しいでしょう。M&A仲介会社に相談し、サポートしてもらうことでスムーズな会社譲渡を実現することができます。

M&A仲介会社は『M&A仲介会社・企業ランキングTOP25!大手上場企業あり!』でも詳しく説明しているので参考にしてください。

6. SES会社の会社譲渡(株式譲渡)を成功させるポイント

SES会社の会社譲渡(株式譲渡)を成功させるポイント

最後に、SES会社の会社譲渡(株式譲渡)を成功させるためのポイントを確認しておきましょう。

  • ポイント1.ホワイト企業を買い手企業に選ぶ
  • ポイント2.システムエンジニアの評価を適切に行う
  • ポイント3.離職の少ない環境を整える
  • ポイント4.SES業界に精通したM&Aコンサルタントに相談する

以上、4つのポイントについて詳しく確認しましょう。
 

ポイント1.ホワイト企業を買い手企業に選ぶ

かならずホワイト企業を買い手企業に選びましょう。

会社譲渡を考えているSES会社の多くは労働問題や人材不足に課題を抱えています。それらの課題を解決するためにはホワイト企業へ譲渡しなければなりません。

会社譲渡をするときは、必ず買い手企業の情報もしっかりと調査しましょう。転職の口コミサイトを見たり、通常の求人情報を見ることで、労働環境が見えてきます。

買い手企業の見極めを間違えてしまうと、システムエンジニアがひどい待遇を受けることになりかねません。自社のシステムエンジニアを守るためにも、しっかりと調査した上で買い手企業を選びましょう。

ポイント2.システムエンジニアの評価を適切に行う

システムエンジニアの評価を適切に行いましょう。

SES会社にとっての最大の資産はシステムエンジニアの質と数です。買い手企業は、システムエンジニアを確保するためにSES会社を買収します。

そのため、買い手企業はどのようなシステムエンジニアと契約しているのかをできるだけ知りたいと考えているのです。優秀なシステムエンジニアが多ければ多いほど、会社譲渡の対価は高くなるでしょう。

評価をしてもらうためには、以下のような内容を個人ごとにまとめておくべきです。

  • 年齢
  • 過去の経歴や実績
  • 年収
  • 一人あたりの利益
  • 可能な勤務体系(夜間対応可能など)

これらをまとめておき、客観的な評価ができるように準備しておきましょう。

ポイント3.離職の少ない環境を整える

離職の少ない環境に整えましょう。

残念なことにSES会社はブラック業界と呼ばれて久しく、離職率が高いことが問題です。離職率の高い企業を、買い手企業も買収したくありません。

離職率が高いことを理由に、譲渡価格を引き下げてくる可能性もあります。そのため、離職率を譲渡までに下げるようにしましょう。

離職率を下げるには、従業員の労働環境を改善してください。なぜなら、離職する理由の1位と3位が人間関係である中、労働環境が2位に入っているからです。

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)

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人間関係をすぐに解決することは難しいです。しかし、企業として離職率を下げるため、従業員の働く環境を見直すことはできます。

従業員の労働時間、残業時間、現場の環境をしっかりと把握して、改善するよう努力しましょう。

ポイント4.SES業界に精通したM&Aコンサルタントに相談する

SES業界やIT業界に精通したM&Aコンサルタントに相談しましょう。

なぜならIT業界の価値は、システムエンジニアの持つ技術力や数で決まるからです。しかし、それを正当に評価できるM&Aコンサルタントは多くありません。

IT以外の会社であれば、会社の持っている資産が大きいので時価に直すことである程度の譲渡価格になるでしょう。しかしSES業界では、システムエンジニアの持つ技術力を金額に換算しなければならないのです。

システムエンジニアの価値は、単純な利益で決まるわけではありません。年齢(これから働き続けられるか否か)や技術の希少性(扱える人が多いか少ないか)なども、譲渡価格に反映されなければならないからです。

そのためSES業界に精通していなければ、自社を安い価格で売却しようとしたり、価値が低いと判断されて良いとはいえない買い手候補を紹介されてしまうことになるでしょう。

SES会社を適切に評価してもらい、より良い買い手候補を紹介してもらうためにも、必ずSES業界に精通したM&Aコンサルタントに相談しましょう。

もし、「どこに相談すべきか分からない」とお悩みであれば、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所であればSESやIT業界に精通しており、買い手情報もたくさん持っています。

また、弁護士や公認会計士もいるので安心してお任せいただけますよ。相談・着手金・中間報酬は一切不要です。まずはお気軽にご相談ください。

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7. まとめ

SES会社の会社譲渡(株式譲渡)について解説しました。SES事業の売買は需要があり、今後も伸びていくでしょう。

しっかり買い手企業と交渉し、システムエンジニアをアピールすることが大切です。良い条件で取引するには、必ずSES業界に精通したM&Aコンサルタントにサポートを依頼しましょう。

M&A総合研究所では、SES会社の会社譲渡を会計士がフルサポートいたします。ご相談は無料です。SES会社の会社譲渡をご検討の方は、気軽にM&A総合研究所へご相談ください。

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