2023年06月12日更新
パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却・譲渡!事例や動向、価格相場を解説!
当記事では、パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却や事業承継について、業界の動向や価格相場などを解説します。あわせて、パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却や事業承継を成功させるポイントについてもまとめました。
目次
1. パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却・譲渡・事業承継
パッケージソフト開発会社とは
パッケージソフト開発会社とは、個人や企業向けに汎用的なソフトウエアを開発している会社です。市販されている既製のソフトを開発しているといえば、わかりやすいでしょう。
パッケージソフト開発会社が提供する個人向けのパッケージソフトには、Microsoft・キングソフトのオフィスソフトや弥生会計の会計ソフト、ウィルスバスター・ノートンのセキュリティソフトなどの製品が挙げられます。
企業向けのパッケージソフトでは、在庫・顧客・業務・文書管理から製品テストのCAE・設計に用いられるCADなどの専門性の高い製品が開発されています。
このように、パッケージソフト開発会社は既製のソフトウエアを開発して市場で販売するため、特定の顧客に向けてソフトウエアを開発する受注開発会社とは異なるので注意が必要です。
特定の顧客が存在しないので、パッケージソフト開発会社が開発までの納期を定められ、利用者のニーズを正確に読み取れば、市場を通じた販売により売上を伸ばしていけます。
とはいえ、市場の動向をパッケージソフトに反映させないと売上の増加にはつながりません。
受託開発会社のように、顧客への納品を経て売上を得られないので、市場のリサーチや動向の把握を徹底し、利用者が求めるソフトウエアを開発するのが求められています。
M&A・譲渡・売却・買収とは
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・買収とは、自社のそのものやパッケージソフト開発の事業を他社に譲り渡す取引です。
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・買収では、株式譲渡や事業譲渡、分割、合併などのスキームが用いられています。
M&A・買収を選択すれば、対象企業・事業のノウハウや人材、知的財産などを獲得し、自社の成長を促したり企業価値の向上を図ったりするのが可能です。
譲渡・売却のケースでは、譲渡益の獲得・大手傘下への加入・資本の選択と集中などのために他社へ承継を行い、自社の存続や他事業への切り替えを進めていきます。
事業承継とは
パッケージソフト開発会社の事業承継とは、親族や役員・従業員、親族・社外の第三者から後継者を探し、自社の経営を引き継ぐ取引です。
親族や社内の人物に事業承継を行えば従業員からの反発が少なく、スムーズに経営の引き継ぎを行える点がメリットです。しかし、後継者を育てるために多くの時間を要したり、後継者候補が経営の引き継ぎを拒否したりするケースも少なくありません。
株式の取得に多額の資金を必要とするため、後継者がいても事業承継を進められないケースもあるため、このような場合は第三者への事業承継(M&A)が選択されています。
中小規模の案件を取り扱うM&A仲介業者が増えたため、中小企業でも第三者への事業承継(M&A)を利用した経営権の譲渡が頻繁に行われているのです。
第三者への事業承継(M&A)では、事業・雇用・取引の継続や個人保証・担保の解消、譲渡益の獲得などが実現できます。
2. パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却・譲渡・事業承継事例
どのようなパッケージソフト開発会社が、M&A・譲渡・売却・事業承継を行っているのでしょうか。ここでは、パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・事業承継事例を10個紹介します。
- Jach Technology SpAによるINTELIGENXIA S.A.のM&A
- アステリアと日本暗号資産市場の資本業務提携
- アバントとメタプラクシス社の資本業務提携
- ビーエスピーアセットによるKeepdataのM&A
- データセクションによるJach Technology SpAのM&A
- PCAによるドリームホップのM&A
- ソースネクストによるappArrayのM&A
- ソースネクストによるジェネシスホールディングスのM&A
- データセクションによるアルムのM&A
- プロシップとNSDのM&A
①Jach Technology SpAによるINTELIGENXIA S.A.のM&A
2021年9月、データセクションの連結子会社で、チリ法人の子会社であるJach Technology SpAは、INTELIGENXIA S.A.の全株式を取得して100%子会社化するのに成功しました。株式の取得価額は約3,500万円です。
Jach Technology SpAは、もともと店舗内カメラの画像解析ソリューションを18カ国に提供する企業で、INTELIGENXIA S.A.も店舗内カメラの画像解析ソリューションを小売店向けに提供している企業です。
M&Aによってシナジー効果を発揮し、新規顧客の獲得を目指しています。
②アステリアと日本暗号資産市場の資本業務提携
アステリアは、日本暗号資産市場へのAsteria Vision Fund(アメリカ・テキサス州、AVF)を通じた出資を2021年4月に完了し、ブロックチェーン技術を基盤としたステーブルコインやNFTの普及推進を図る資本業務提携に合意しました。
アステリア社は、グローバルな視野で注力投資領域である「4D」(Data, Device, Decentralized, Design)と合致した事業を展開する企業への投資を行い、成長戦略を加速させています。
具体的には、NFTを活用したデジタルデータの健全な価値管理に向けた活動の実施、地方創生を支える地域通貨コンサルティングを実施を予定しています。
日本暗号資産市場の「JPYC」やNFT関連事業が「4D」のうち、日本暗号資産市場への投資が「Decentralized」と合致するので出資を決定しました。
③アバントとメタプラクシス社の資本業務提携
アバントは、英国のソフトウェア会社であるメタプラクシス社と2021年1月に資本・業務提携を行うのを決定しました。
この資本業務提携によって、現在、メタプラクシス社が欧米市場で展開し、財務情報計画・分析・可視化を支援しているBIツールである「Metapraxis Empower(以下、エンパワー)」を、アバント社が日本において独占して販売する権利を獲得しました。
アバント社がメタプラクシス社の新たに発行する優先株式を取得して、第2位の大株主となる他、社外取締役2名を派遣しています。
④ビーエスピーアセットによるKeepdataのM&A
コンピューターソフトの開発および販売を行うピー・シー・エーは、連結子会社であったKeepdataの全株式をビーエスピーアセット社に2020年11月に譲渡しました。譲渡価額は非公表です。
ピー・シー・エーは、2019年にKeepdata社のノウハウを自社のサービスに応用して基幹業務ソフトの周辺サービスの拡充のために子会社化するのに成功しました。しかし、想定していたシステム連携やシナジー効果を得られないため、今回の株式譲渡へと至ったのです。
⑤PCAによるドリームホップのM&A
メンタルヘルス対策サービスを提供するドリームホップは、2020年10月に、業務用パッケージソフトベンダー大手であるPCAの連結子会社となりました。
ドリーム・ポップ社は現在、日本において、多数の法人にメンタルヘルスケア、健康経営領域に関するサービスを提供しています。
PCA社へ参画して、中堅、中小企業に向けた実効性のあるメンタルヘルス製品の強化を目指しています。具体的には、ICTとビッグデータの活用でより質の高いメンタルヘルス対策サービスを提供する予定です。
両者のシナジー効果を得て、さらなる事業の拡大が目的です。
⑥データセクションによるJach Technology SpAのM&A
6つ目に紹介するパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・事業承継事例は、データセクションによるJach Technology SpAのM&Aです。
マーケティングリサーチや画像解析事業を手掛けるデータセクションは、2019年の8月に小売店向けに店舗の画像解析ソリューションサービスを提供するチリの法人・Jach Technology SpAの株式取得について、株主と基本合意を締結しています。
データセクションは、Jach Technology SpAの17カ国(中南米・南アジアなど)へサービスを提供する点に着目し、買収により自社の画像処理技術を生かせると判断して新興市場への進出と事業の拡大を通じ、自社の成長を図るとしています。
⑦ソースネクストによるappArrayのM&A
7つ目に紹介するパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・事業承継事例は、ソースネクストによるappArrayのM&Aです。
POCKETALK(ポケトーク)などのハードウエアやアプリ・パソコンソフトなどのソフトウエアを提供するソースネクストは、2019年の7月に音声認識などの技術を用いたAI英会話アプリの企画・開発を手掛けるappArrayの株式を取得しています。
ソースネクストは、自社の製品・POCKETALK(ポケトーク)と対象企業のAI事業について共通した領域を見いだし、買収により他社製品との差を広げられ、中長期的な収益の拡大も見込めると判断したため、M&Aを実行に移しています。
⑧ソースネクストによるジェネシスホールディングスのM&A
8つ目に紹介するパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・事業承継事例は、ソースネクストによるジェネシスホールディングスのM&Aです。
POCKETALK(ポケトーク)などのハードウエアやアプリ・パソコンソフトなどのソフトウエアを提供するソースネクストは、2018年の8月にジェネシスホールディングスと譲渡契約を締結しています。
ジェネシスホールディングスは、IoT製品の製造・管理、カスタマーサポートなどを請け負う会社です。
ソースネクストは多くのパートナー企業が中国に製造子会社を置いているので、自社製品のPOCKETALK(ポケトーク)の製造・品質管理や素早い企画・新製品の製造につなげられると判断し、対象企業の株式取得により中長期的な収益の獲得を目指しています。
⑨データセクションによるアルムのM&A
9つ目に紹介するパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・事業承継事例は、データセクションによるアルムのM&Aです。
2018年7月、マーケティングリサーチや画像解析事業を手掛けるデータセクションは、独自のAIプラットフォームやAI映像解析技術を生かした問題解決サービスの開発を行うアルムから、事業を譲り受けています。
事業承継の対象は店内カメラの画像認識・解析を行うインテリジェンスツールであり、データセクションは自社のAI映像解析技術との共通した領域を見いだし、事業承継により当該事業の拡大を目指すとしています。
⑩プロシップとNSDのM&A
10例目に紹介するパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・事業承継事例は、プロシップとNSDのM&Aです。
企業向けにパッケージシステム開発や販売を行うプロシップは、2017年の10月にソフトウエア開発や関連するシステムソリューションなどのサービスを提供するNSDと資本提携を結んでいます。
両社は市場の変化・顧客のニーズに対応するために資本提携を実施し、経営リソースの一体化や新しい製品・サービスの共同開発、海外市場の開拓などを図るとしています。
3. パッケージソフト開発会社の業界動向
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却・事業承継を行う際は、業界の動向をしっかり把握しておくのが必要です。
ここでは、パッケージソフト開発会社の業界動向について、詳しく見ていきましょう。
- 最新技術の登場により業界再編の動きが活発
- 多重下請け構造の見直しが行われ始めている
- 深刻な人材不足解消を目的としたM&Aの増加
①最新技術の登場により業界再編の動きが活発
パッケージソフト開発会社の業界でも、クラウドコンピューティングやIoT・AI・ビッグデータなどの新しい技術を活用したビジネス展開が増えており、これら最新技術の登場によって業界再編の活発化が見られます。
パッケージソフト開発会社は、クラウドコンピューティングを利用した会計サービスや、AI技術を用いた基幹業務ソフトウエアなどを提供するために、技術とノウハウを持つ企業との資本・業務提携のほか、M&A・買収を実施しています。
②多重下請け構造の見直しが行われ始めている
総務省が発表した「平成30年情報通信業基本調査」によれば、資本金が高いほど元請けの数が多く、二次・三次の下請けが少なくなっています。
これは、パッケージソフト開発の内製化が進んでいるのを示しており、多重下請け構造の見直しが行われていると推測できるでしょう。
具体的には、不具合の対応に長けたアジャイル開発の導入やIT技術者の確保などにより、下請けにパッケージソフト開発を任せる機会を減らしていると見られています。
③深刻な人材不足解消を目的としたM&Aの増加
3つ目に紹介するパッケージソフト開発会社の業界動向は、深刻な人材不足解消を目的としたM&Aの増加です。IT業界における人材不足は、パッケージソフト開発会社の業界にも及んでいます。
そこでパッケージソフト開発会社では、人材の採用に力を入れたりM&A・買収によって人材を確保していたりします。このような現状によりパッケージソフト開発会社の業界では、M&A・買収の実施が増えているのがうかがえるでしょう。
パッケージソフト開発会社のノウハウの獲得と併せて必要な人材の確保にも力を入れ、深刻な人材不足の解消に努めています。
4. パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却・譲渡相場
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却には、明確な相場が設けられていません。というのも、対象企業の規模やノウハウ・技術・知的財産、所有する資産、営業利益などによって相場が異なるからです。
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却相場を知りたい場合は、対象企業の時価純資産額と営業権を基にして取引価格を算出するのがよいでしょう。
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却価格の算出方法
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却価格を導き出す場合は、以下のような算出方法が用いられています。
【パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却価格の算出方法】
- 時価純資産額×営業権(減価償却前の営業利益×4~9)
5. パッケージソフト開発会社をM&Aで買収・売却・譲渡する理由
パッケージソフト開発会社の譲渡・売却と買収では、どのような事情によって自社の譲り渡しや他社の承継を選択しているのでしょうか。ここでは、パッケージソフト開発会社の譲渡・売却と買収の理由を取り上げます。
譲渡・売却側の理由
パッケージソフト開発会社を譲渡・売却する側は、以下のような理由により自社や事業を譲り渡しています。
- 後継者問題の解決
- 人材不足の解消
- 従業員の雇用確保
- 下請け構造からの脱却
- 譲渡・売却益の獲得
後継者問題の解決
1つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を譲渡・売却する理由は、後継者問題の解決です。
パッケージソフト開発会社のなかには、親族・社内で後継者が見つからないケースはもちろん、後継者の育成が間に合わない・後継者が自社株を取得するための資金を用意できない・オーナーの急病や体調の悪化などの後継者問題を抱えています。
そこで、第三者への譲渡・売却を選択して経営を引き継いでもらい、後継者問題を解決しています。
人材不足の解消
2つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を譲渡・売却する理由は、人材不足の解消です。
下請けのパッケージソフト開発会社のなかには、短期間の納期への対応や終盤における設計の変更など、自社のみでは要求に応えられない企業も少なくありません。
大手や事業規模の大きな会社に譲渡・売却を実行して他社の傘下に入れれば、必要な人材が供給されるため、下請けのパッケージソフト開発会社は譲渡・売却を利用して人材不足を解消に努めています。
従業員の雇用確保
3つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を譲渡・売却する理由は、従業員の雇用確保です。廃業や倒産を選ぶと、従業員を解雇しなければなりません。
そのような事態を避けるため、従業員の雇用を引き継いでもらえる相手にパッケージソフト開発会社を譲渡・売却して、雇用の維持を図っています。
下請け構造からの脱却
4つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を譲渡・売却する理由は、下請け構造からの脱却です。
パッケージソフト開発会社のなかには、発注者から仕事を請けた元請けを通じて、二次・三次と下請けの仕事を請け負っている企業も少なくありません。
間に入る企業に中間マージンが取られたり、仕様の確認にも時間がかかってしまったりと、得られる売上は労力に見合っていないともいえます。
そこで下請けのパッケージソフト開発会社は、同業の下請け会社などへ自社の譲渡・売却を選択し、事業規模を拡大させて元請けへの転換を図っています。
譲渡・売却益の獲得
5つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を譲渡・売却する理由は、譲渡・売却益を獲得するためです。
会社を譲り渡す取引で会社または創業者が譲渡・売却益を獲得できるため、会社として事業を続けるケースでは他の事業に注力する・別の事業を新たに始めるなどの理由で譲渡・売却を行い、既存・新事業のために得た利益を活用しています。
経営者が退くケースでは譲渡・売却による利益を引退後の生活費などに充てるのも珍しくありません。
買収側の理由
パッケージソフト開発会社を買収する企業は、どのような理由で対象企業から事業を承継しているのでしょうか。ここでは、パッケージソフト開発会社の買収理由を取り上げます。
- 事業規模の拡大
- 技術者・人材の獲得
- 内製化に向けた動き
- 顧客データなどの取得
- 新規事業への参入
事業規模の拡大
1つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を買収する理由は、事業規模を拡大するためです。
下請けのパッケージソフト開発会社は自社のみで事業を続けるのが難しいため、同業者の買収や業務・資本提携を行い、事業規模の拡大を図っています。
新サービスの提供・サービス領域の拡大・新市場の開拓などを目的に、パッケージソフト開発会社を買収するケースも少なくありません。
このような企業は、AI・ビッグデータ・IoTなどの最新技術を持つ企業を買収し、事業規模の拡大を進めています。
技術者・人材の獲得
2つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を買収する理由は、技術者・人材の獲得です。IT業界では少子高齢化に伴い、技術者の不足が問題となっています。
そこでパッケージソフト開発会社は、技術者を抱えている企業を買収して優秀な人材を確保しています。
内製化に向けた動き
3つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を買収する理由は、事業の内製化です。パッケージソフトの開発を他社に任せていると、開発までに時間を要したりコストが高くなったりします。
パッケージソフト開発会社を買収して事業の内製化を行えば、意思疎通の速度を早めて開発の時間を短縮したり外注にかかるコストを削減したりするのが可能です。
内製化を通じてパッケージソフトを販売してヒットにつながれば長期的な売上にも期待できるため、パッケージソフト開発会社が買収の対象とされています。
顧客データなどの取得
4つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を買収する理由は、顧客データなどの取得です。
市場でのニーズに変化が見られ、顧客は受託開発からパッケージソフトやクラウドコンピューティングの活用にシフトしていくと推測されます。
そこで、関連業者はパッケージソフト開発会社を買収して、必要な顧客データなどを手に入れて市場での動きに対応し、顧客が求めるサービスの提供に力を注いでいます。
新規事業への参入
5つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を買収する理由は、新規事業への参入です。関連する業種からパッケージソフト開発に進出するには、事業のノウハウを蓄積したりIT技術者を確保したりするほか、事業を始めるための資金を用意するなど、時間とコストがかかります。
事業を営むパッケージソフト開発会社の買収を選択して新規事業への参入にかかる負担を軽減しています。
6. パッケージソフト開発会社のM&Aにおける積極買収企業3選
パッケージソフト開発会社は、どのような企業に買収されているのでしょうか。ここでは、パッケージソフト開発会社を積極的に買収する3社の企業を紹介します。
- 夢真ホールディングス
- データセクション
- ソースネクスト
①夢真ホールディングス
1つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を積極的に買収する企業は、夢真ホールディングスです。夢真ホールディングスは、IT技術者の不足やAI・IoT技術の革新に対応するため、派遣IT技術者の確保を進めています。
中期経営計画(2019年9月期~2021年9月期)では、2,000人以上のIT技術者を抱える体制を構築していくとしており、積極的な採用に加えて買収による人材の確保にも力を入れる予定です。
夢真ホールディングスが行った買収事例では、2019年の4月にIT技術者の派遣やソフトウエアパッケージの開発・販売・導入などを手掛けるインフォメーションポートの買収が挙げられます。今後も夢真ホールディングスでは、IT技術者を確保するためにこのような買収が増えていくと考えられます。
②データセクション
2つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を積極的に買収する企業は、データセクションです。データセクションは、AI・IoT・5Gやビッグデータ・ソーシャルメディアの分析、AI・自然言語処理技術などを基に、データビジネスを展開している最中です。
実装後の課題を克服するために、自社のノウハウを活用したり業務提携先の力を借りたりするほか、M&A・買収によるノウハウの獲得を通じて、実証実験とのギャップを埋めています。
データセクションは、これまでに以下のような企業を買収しました。今後も実証と実装の差を埋めるため、買収・M&Aを実行し、必要なノウハウを獲得していくと考えられます。
買収先 | 買収のスキーム | 買収先の事業内容 |
Jach Technology SpA | 株式譲渡 | 店舗向けの画像解析ソリューションサービス |
アルム | 事業譲渡 | 独自のAIプラットフォームAI映像解析技術 を生かした問題解決サービスの開発 |
③ソースネクスト
3つ目に挙げるパッケージソフト開発会社を積極的に買収する企業は、ソースネクストです。ソースネクストは、パソコン・スマートフォンのソフトウエアとハードウエア製品について、企画・開発・販売事業を展開しています。
ソースネクストでは、好調な売上を維持している翻訳機・POCKETALK(ポケトーク)のほかに、家族の居場所を知れる・Familydotを提供しています。
知的財産権の獲得やM&Aによる買収を通じて新製品を取得し、市場での優位性や普及スピードの速さを武器に、市場の変化に対応した成長を図る予定です。
ソースネクストは、appArrayやジェネシスホールディングスなどの企業を買収しているので、今後も積極的にパッケージソフト開発会社を買収していくと考えられます。
買収先 | 買収のスキーム | 買収先の業務内容 |
appArray | 株式譲渡 | 音声認識などの技術を用いた AI英会話アプリの企画・開発 |
ジェネシスホールディングス | 株式譲渡 | IoT製品の製造・管理、 カスタマーサポートなど |
筆まめ | 株式譲渡 | 筆まめなどパッケージソフトの 企画・開発・販売 |
7. パッケージソフト開発会社のM&A・売却・譲渡における成功ポイント
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却では、どのような点に注意すればよいのでしょうか。パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却を行う際は、以下のポイントを意識しておくのが大切です。
- M&Aを行う理由を明確にする
- 計画的にM&Aを行う
- 従業員・取引先への報告は慎重に行う
- 自社の強みを理解して資料を作成する
- 適切な手法を選ぶ
- M&Aの希望条件を決める
- M&Aの専門家に相談する
①M&Aを行う理由を明確にする
1つ目に挙げるパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイントは、M&Aの理由を明確にする点です。
M&Aの理由によって、対象となる買い手・M&Aの戦略・希望する条件などが異なります。M&Aの理由を不明確にしていると、交渉先が見つからなかったり交渉の決裂を招いたりと、M&Aの機会を逃しかねません。
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却では、M&Aの理由を明確にしてから実行に移すようにしましょう。
②計画的にM&Aを行う
2つ目に挙げるパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイントは、計画に沿ったM&Aの実施です。
M&Aでは、目的の明確化やアドバイザリー契約の締結、交渉先の選定・面談・各種契約の締結、デューデリジェンスへの対応など、成約までにいくつもの過程を経なければいけません。
立てた計画から逸れてしまうと、交渉先が見つからない・成約までに時間がかかる・訴訟沙汰に巻き込まれるなど、M&Aを失敗に導いてしまいます。
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却を成功させたいなら、計画に沿ってM&Aを進めるのが重要といえるでしょう。
③従業員・取引先への報告は慎重に行う
3つ目に挙げるパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイントは、従業員・取引先への慎重な報告です。交渉の段階でM&Aを進めているのを伝えてしまうと離職・取引の解消を招くため、報告するタイミングが重要といえます。
報告は基本合意のあとに役員や事業の核となる人物に伝え、すべての従業員へはクロージングを経てからがよいでしょう。取引先への報告では、M&Aに取り掛かる時期・基本合意前・基本合意後を目安にするとよいでしょう。
信頼関係が築けている取引先にはM&Aに取り掛かる時期に報告し、それ以外の取引先には基本合意の前後で伝えると、情報漏えいや取引中止を避けられます。
④自社の強みを理解して資料を作成する
4つ目に挙げるパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイントは、強みを理解した資料の作成です。
M&Aで買い手に興味を示してもらうためには、同業の売り手との違いを明確にしなければなりません。
まずは、自社の強みを理解したうえで他社との差別化を明記した資料を作成して、買い手の目に留まる確率を高めるようにしましょう。
⑤適切な手法を選ぶ
5つ目に挙げるパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイントは、適切な手法の選択です。
パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却では、株式譲渡・事業譲渡・吸収合併・吸収分割などの手法があります。
M&Aの目的や事業の規模、会社の形態などによって適した手法は異なるため、専門家に相談するなどして、適切な手法を選ぶのが重要です。
⑥M&Aの希望条件を決める
6つ目に挙げるパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイントは、希望するM&A条件の決定です。
自社の希望する条件によって、交渉先・交渉の進め方・交渉に要する期間などが異なります。
条件を定めていないと、交渉が難航する・不要な条件をのむなどの不利益が生じる可能性もあるため、パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却では、希望する条件を定めてからM&Aを進めるのが大切です。
⑦M&Aの専門家に相談する
7つ目に挙げるパッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイントは、M&Aの専門家に相談する点です。M&Aは自社のみで買い手を探すのは難しく、交渉や契約ではM&Aの専門知識を必要とします。
M&Aの経験がなかったり自社にM&Aの専門家を置いていなかったりする場合は、M&A仲介会社などの専門機関に協力を仰ぐようにしましょう。M&A仲介会社に依頼すれば、交渉先の紹介・適切な譲渡価格の提示・交渉や契約の代行など、さまざまなサポートを受けられるため、M&A・譲渡・売却が成功する確率も高くなります。
8. パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却におすすめのM&A仲介会社
パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業向けの案件を取り扱うM&A仲介会社です。
M&A総合研究所では、案件ごとに知識と経験が豊富なM&Aアドバイザーがクロージングまでフルサポートいたします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料ですので、初期費用を抑えたい場合も安心して相談可能です。
最短3カ月の成約実績を有するなど、機動力にも強みがあります。無料相談を随時お受けしていますので、パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却を検討されている場合は、お気軽にお問い合わせください。
9. パッケージソフト開発会社のM&A・買収・売却・譲渡まとめ
パッケージソフト開発会社のM&A・売却・譲渡について、パッケージソフト開発会社の概要や業界の動向、事例、相場などを紹介しました。
パッケージソフト開発業では、業界の再編や下請け構造の見直し、人材不足などが起こっているため、M&Aを実施する企業が増えています。
パッケージソフト開発会社のM&A・売却・譲渡を成功させるためには、ポイントを押さえて行うだけでなく、専門家のサポートを受けるのも不可欠といえるでしょう。
【パッケージソフト開発会社のM&A・譲渡・売却における成功ポイント】
- M&Aを行う理由を明確にする
- 計画的にM&Aを行う
- 従業員・取引先への報告は慎重に行う
- 自社の強みを理解して資料を作成する
- 適切な手法を選ぶ
- M&Aの希望条件を決める
- M&Aの専門家に相談する
10. システム開発業界の成約事例一覧
11. システム開発業界のM&A案件一覧
【東北エリア】経営支援ツール(ERP)のパッケージソフトウェア開発企業
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/東北案件ID:1270公開日:2023年09月21日売上高
1億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
中小企業向けの経営支援ツールのパッケージ開発・販売・保守運用
【大手取引先多数】ゲーム業界で多くの実績を有する3DCG制作事業
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/ウェブサイト/関東・甲信越案件ID:1234公開日:2023年09月06日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
4,000万円(応相談)
企業の成長発展のため本件検討
【首都圏/システム受託開発に強み有】総合広告業
IT・ソフトウェア/ウェブサイト/出版・印刷・広告/関東・甲信越案件ID:1232公開日:2023年09月05日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
希望なし
総合広告代理店
【稀少案件/第三者割当増資】ブロックチェーンのシステム開発
IT・ソフトウェア/関東・甲信越案件ID:1203公開日:2023年08月23日売上高
10億円〜25億円
営業利益
2.5億円〜5億円
譲渡希望価格
5億円~
ブロックチェーンのシステム開発 メタバース/NFT/ブロックチェーン/仮想通貨
【実質無借金経営・若手人材多数在籍】 SES事業・受託開発事業
SES・受託開発/関東・甲信越案件ID:1186公開日:2023年08月15日売上高
1億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
対象企業は東京都でSES事業・受託開発事業を展開されている企業様でございます。
【全国に販路保有】首都圏の理化学機械器具の製造業
IT・ソフトウェア/工業製品製造/その他の製造業/関東・甲信越案件ID:1169公開日:2023年08月08日売上高
1000万円〜5000万円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
3,000万円(応相談)
【全国への販路保有】首都圏の理化学機械器具の製造業
【実質借入無し】ゲームの受託開発・特殊CGを用いたコンテンツ開発業
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/関東・甲信越案件ID:1093公開日:2023年07月05日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
・ゲームの受託開発及び自社開発 ・インタラクティブコンテンツの開発
【東京/ベトナム】オフショア開発・自社CRMサービス開発
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/海外案件ID:1090公開日:2023年07月04日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
10億円〜15億円
ベトナムに現地法人を持つオフショア開発事業
【5G関連/EBITDA1億円超】無線ネットワークのコンサルティング事業
IT・ソフトウェア/関東・甲信越案件ID:0999公開日:2023年07月18日売上高
1億円〜5億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
応相談
無線ネットワークのコンサルティング
【大手取引先が中心】ソフトウェア&システムの設計・開発会社
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/近畿案件ID:0845公開日:2023年01月27日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
対象企業は、大手取引先を中心にした顧客基盤を持つシステム開発企業でございます。 エンドユーザーは公的機関が主であり、更新やメンテナンスなど、今後も安定受注が見込まれております。 また、東京...
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。