2020年09月30日更新
事業売却とは?会社売却との違いやメリット・デメリットを解説!

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事業売却とはどういったものなのか、会社売却との違いやメリット、デメリットなども含めて解説を行っていきます。事業売却の際には事業譲渡や株式譲渡といった認識も持っておく必要があります。その考え方も含めて、事業売却とは何か細かくご紹介していきます。
1. 事業売却とは?意味を理解しよう
事業売却とはどういったものなのかについて焦点を当てて、そのメリットやデメリット、仕組みについて具体的にご紹介していきます。
事業売却とは
事業売却とは、会社や組織として行っている事業の一部や全部を第三者に譲渡する方法です。そのため、事業譲渡ともいいます。
事業売却は、譲渡するものを選択するのが可能なため、全部を売却する「全部売却」、一部を売却する「一部売却」があります。
売却する事業は、財産である権利だけではなく、仕入れ先や取引先、販路、運営組織などを含む場合もあります。他にも技術などの無形財産も譲渡されるため、時価純資産に「のれん」を含めるケースが多いです。
また事業売却した場合に発生した利益に関しては、売却元の会社に還元されます。オーナーが利益を手にできるわけではないので、注意しておきたいところです。
大企業のオーナー社長など、利益を目的とした事業売却を検討する場合はデメリットになりえるので注意しましょう。
2. 事業売却と会社売却との違い
事業売却とは何かを確認していくうえで、事業売却と会社売却の違いを理解しておくことも大切なポイントです。事業売却については、特定の事業や複数の事業を他の会社に譲渡する仕組みのこと。この場合、会社自体がなくなるわけではありません。
一方で、会社売却の場合は会社が持つ全ての株式を他社に譲渡します。その会社に関わるあらゆる事業や資産を他社へ譲渡するのが会社売却の考え方です。つまり、会社の経営権を手放すという考え方ができます。
3. 事業売却と会社売却の相場
事業売却と会社売却において、売買金額の相場を比較すると「事業売却<会社売却」です。同じ事業規模の売却で比較した際に、「会社の一部」を売却するのか、もしくは「会社の全部か」によって相場が異なるため、当然ながら会社売却の方が高額になります。
対して事業売却は、会社の一部事業を売却するため、会社売却よりも相場は低いです。しかし、相場が高いからといって必ずしも会社売却を選択するのではなく、それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで検討していきましょう。
また、売却側はできるたけ高く事業・会社を売却したいと考えるのが大切です。事業売却と会社売却は高く売るためのポイントもあり、以下の記事で詳しく紹介しているためぜひ確認してみてください。
4. 事業売却のメリット
事業売却とは何か把握していくためには、会社売却との違いを押さえたうえで理解を促進するのが求められます。そのうえで、事業売却のメリットについて確認していくのも大切なポイントです。
事業売却をすると、売り手としても買い手としてもさまざまなメリットを享受できます。そのメリットについて具体的に確認しておきましょう。
売り手側のメリット
まずは、事業売却をした場合の売り手側のメリットについて確認を進めていきます。事業売却とは何か理解して実際に行動に移すためには、売り手側のメリットを理解しておくのが大切です。
メリットを理解しているからこそ、実際の行動に移っていけます。売り手側のメリットは以下のとおりです。
- メリット①売却益を得る
- メリット②従業員を残せる
- メリット③資産はそのままにできる
- メリット④不要な事業を譲渡できる
- メリット⑤債権者への通知や公告は不要
以上の5つのメリットを確認していきましょう。
メリット①売却益を得る
まず、事業売却による売り手側のメリットとして売却益を得られます。事業売却とは会社売却とは異なり、売買契約によって成立するのです。契約成立によって売却益を得られるところに大きなメリットがあります。
事業売却によって、負債を抱えている他の事業や新規事業への投資などを行うことで経営改善につなげることもできるでしょう。
メリット②従業員を残せる
また、事業売却のメリットとして従業員を残せるのも挙げられます。会社売却や株式譲渡とは異なり、事業売却の場合でも、会社自体は存続するのです。
そのため、それまでと変わらない従業員体制で仕事に取り組めるのが大きなメリットとなるでしょう。
メリット③資産はそのままにできる
さらに、事業売却のメリットとして資産をそのまま残せる点も見逃すことはできません。M&Aや会社売却、株式譲渡といったケースでは、資産ごと会社を売却するため、売却益以外に残るものではないのです。
一方で、事業売却のケースでは資産を残したまま事業を継続できるのが大きなメリットといえるでしょう。
メリット④不要な事業を譲渡できる
事業売却とはメリットの多い行いでもありますが、そのメリットとして不要な事業を譲渡できるところも挙げられます。
会社として好調な事業をわざわざ事業売却する必要はありません。何か問題を抱えている場合、不要な事業を譲渡し、さらに経営を安定的に促進していけます。
メリット⑤債権者への通知や公告は不要
また、事業売却の場合は債権者への通知や公告が不要となる点もメリットとして挙げられます。余計な手続きや公告せずに事業売却を進められるところは、会社としてのメリットです。
買い手側のメリット
続いては、事業売却による買い手側のメリットについて確認していきます。売り手側と同様に、買い手側にもメリットがあるのが事業売却の特徴です。
買い手側のメリットは以下のとおりです。
- メリット①求める資産や事業を選べる
- メリット②簿外責務の引き継ぎ不要
- メリット③無駄なリスクを負わない
- メリット④のれん償却が損金扱いとなる
- メリット⑤債権者への通知や公告は不要
メリット①求める資産や事業を選べる
事業売却の際には、買い手側が求める資産や事業を自発的に選定できるのが大きなメリットとなります。不要と感じる事業や資産は引き継がないことも可能になります。
売り手と買い手側のニーズがマッチした際に事業売却が成立し、買い手側のメリットにつながります。
メリット②簿外責務の引き継ぎ不要
買い手としては、簿外責務の引き継ぎが不要となる点もメリットとして考えられます。簿外責務を引き継ぐことで事業運営に支障が出ることもありますが、その引き継ぎが不要なので安心して事業を買えるでしょう。
メリット③無駄なリスクを負わない
事業売却とは、買い手と売り手のニーズがマッチした際にのみ成立する契約事項です。したがって、買い手としては無駄なリスクを負う必要がありません。
不要と感じたものは買う必要もなく、一部の事業のみを買収しても問題ないのです。無駄なリスクを負わないのが、買い手としてのメリットといえます。
メリット④のれん償却が損金扱いとなる
また、事業買収をした後5年間に関しては、のれんの相当額を償却の損金扱いできます。そのため、節税につながる意味でも買い手としてのメリットです。
メリット⑤債権者への通知や公告は不要
事業売却の際は買い手側も債権者への通知や公告が不要となります。事業売却をする売り手側のメリットにもつながりますが、買い手としても同様のメリットが得られるのです。
不要な手続きや通知を省くことで、お互いにスムーズな形で事業売却を進めていくのが可能となります。
売却側はできるだけ高く事業・会社を売却したいと考えるでしょう。しかし事業売却を進めるには、専門的な知識や経験が必要となってきます。そのため事業売却を検討しているのであれば、M&A総合研究所にご相談ください。
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また、一般的なM&A取引は交渉から成立までに半年から1年程度かかりますが、M&A総合研究所ではスピーディーなサポートを実践しており、最短3ヶ月で成約を実現します。
相談料は無料ですので、まずはお気軽にM&A総合研究所にお問い合わせください。
5. 事業売却のデメリット
事業売却とは何か、株式譲渡や会社売却との違いも含めた中で理解を促進していくのがポイントです。その中で、事業売却を行うことのデメリットについても確認していきます。
メリットとともにデメリットも把握すれば、事業売却についてより一層理解できるようになるはずです。売り手側・買い手側の立場からデメリットを確認していきましょう。
売り手側のデメリット
まずは、事業売却による売り手側のデメリットとはどういったものなのか確認を進めていきます。
事業売却のデメリットにも目を向けたうえで、慎重に事業売却を進めることも大きなポイントです。売り手側のデメリットは以下のとおりになります。
- デメリット①株主総会での特別決議が必要
- デメリット②負債の取り扱い
- デメリット③売却益には税金がかかる
順番に3つのデメリットについて確認していきましょう。
デメリット①株主総会での特別決議が必要
事業売却や事業譲渡をするデメリットとしては、株主総会での特別決議が必要となる点を挙げられます(売却する資産が売却会社における総資産の5分の1を超える場合)。事業譲渡に際しては株主からの賛同が必要になる点が、売り手側のデメリットです。
そのための根回しや手続きを行うことも必要となり、時間的な制約が取られます。
デメリット②負債の取り扱い
売り手側のデメリットは、事業譲渡に際して負債が発生する場合にその取り扱いをどのようにするか検討する必要があることです。
利益が出ている事業であれば問題ありませんが、負債を抱えている事業については慎重に検討を重ねるのが求められるでしょう。
デメリット③売却益には税金がかかる
事業売却や事業譲渡のメリットとして売却益を得られることは先述しましたが、その売却益には税金がかかることも忘れてはいけません。
また後述になりますが、事業売却に際して発生する税金について種類や相場を詳しく紹介しています。自社の売却に際して税金がどれほど発生するのか知りたい人は、確認してみてください。
デメリット④売却後の事業内容に制限がかかる
事業売却した後、会社法によって売り手側は20年間、同一市町村の区域内および隣接する市町村の区域内で、売却をした事業と同じ事業を行えないとされています。
この制限がかかる競業避止義務については、当事者間が同意したうえで特約を付けた場合、その期間を拡大・縮小できます。また、競業避止義務の排除も可能と解釈されています。
買い手側のデメリット
続いては、事業売却や事業譲渡による買い手側のデメリットについて確認していきます。株式譲渡やM&Aなどとは異なる点や似た点も含めて、事業売却のデメリットを理解しておく必要があるのです。買い手側のデメリットは以下のとおりです。
- デメリット①各種移転手続きが必要
- デメリット②許認可の新たな取得
- デメリット③従業員や取引先との契約
以上の3つのデメリットについて、順番に確認していきましょう。
デメリット①各種移転手続きが必要
M&Aや株式譲渡、会社売却の際もそうですが、事業売却や事業譲渡の際には各種移転手続きが必要となるところが買い手側のデメリットです。それだけの時間的制約や物理的制約がかかることになり、事業売却時には多くの労働力が割かれます。
デメリット②許認可の新たな取得
また、事業売却や事業譲渡に際しては許認可の新たな取得が求められることもデメリットとして挙げられます。許認可の種類にもよりますが、M&Aや株式譲渡の際には、許認可は基本的に承継されます。
ところが事業譲渡に際しては、新たに行政上の手続きを進めることが必要です。そのため事業譲渡は、すでに許認可権を取得している、いわば同業者間により行われるケースが多いようです。
デメリット③従業員や取引先との契約
また、事業売却や事業譲渡を進めるにあたり、該当事業に従事していた従業員をそのまま雇用する場合、買い手側は従業員との雇用契約を結ぶ必要があります。
取引先との契約も同様に締結し直さねばなりません。
もちろん、それぞれの同意を取り付ける必要があり、その手続きや同意の取り付けにかかる労力も大きなデメリットです。
6. 事業売却の手続き
事業売却や事業譲渡とは何か、株式譲渡や会社売却といった手段との違いに着目して理解を深めていくのがポイントです。
さらに、事業売却の手続きについて解説を行っていきます。事業売却とは何かを理解するうえでは、手続き方法を確認しておくのも大切です。
事業売却・事業譲渡の流れは以下の9つのステップに分けられます。
- 売却先を探す
- 買収側からの基本条件提示
- 基本合意をする
- デューデリジェンス
- 取締役会で決定
- 事業譲渡契約書を締結
- 報告書の提出と届け出
- 株主への通知・公告と株式総会で説明
- 監督官庁の許認可と各種手続き
それぞれ詳しく確認していきましょう。
①売却先を探す
事業売却や事業譲渡を進めるうえでは、最初に売却先となる企業や組織を探すのがポイントです。いくら事業売却をしたくても、売却先がなければ話を前に進められません。
取引先やM&Aなども視野に入れつつ、どこにどの事業を売却するかを検討するのが最初の段階です。
②買収側からの基本条件提示
実際に事業の買い手を見つけられたら、意向表明書の提出によって事業売却をする買収側の基本条件の提示を受けることになります。事業売却とは買い手と売り手の希望を擦り合わせていくのも大切な部分です。
まずは買収側の条件を確認し、事業売却を進めるのか否かを検討します。
③基本合意をする
買い手側の買収に関する基本条件に納得できたら、基本合意書の締結によって事業売却に向けての基本合意をします。基本条件に納得ができない場合は基本合意を進めてはいけません。後から揉め事になるのは避けておきたいところです。
売り手と買い手の双方のニーズに叶う条件を折りこめた段階で、基本合意の手続きを進めていくことになります。
④デューデリジェンス
事業売却に向けて基本合意を取り付けた後、デューデリジェンスの段階に進んでいきます。デューデリジェンスとは、ビジネスや法務、会計や税務といった分野に分けて売り手側に資料の提出を求めることです。専門家による買収調査が行われることもあります。
事業売却に向けた細かい部分の資料作成との考え方もできます。デューデリジェンスによって、買い手側としてはリスク管理やリスクヘッジにつなげられるでしょう。
⑤取締役会で決定
事業売却とはどういったものなのか、デューデリジェンスとは何かも含めて理解をして手続きを進めていくのが求められます。デューデリジェンスまで終えた後、続いての手続きとして取締役会で事業売却を決定していきます。
会社役員の決議を取り、最終的な事業売却に向けて本格的な契約を進める段階に入っていき、この時点で書類や契約事項に不備がないように最終確認をしておくことも大切です。
⑥事業譲渡契約書を締結
取締役会での決定を終えた後、事業譲渡契約書を締結する手続きへと移行していきます。取締役会の承認を得た後で、事業譲渡契約書の締結によって事業譲渡の契約は完了です。
ここまでの流れに留意して、ひとつひとつの手続きを確実に進めていくのがポイントとなるでしょう。書類に関しても人数分用意して、1人1人が適切に内容確認できるようにしておくのが求められます。
⑦報告書の提出と届け出
事業譲渡契約書の締結を終了後、報告書の提出と届出を行うことになります。社内で事業売却に関しての情報を保管しておくためにも重要な書類です。また、この段階で臨時報告書の提出と公正取引委員会への届け出も行うことになります。
事業売却に関しては1回だけで終了するとは限りません。今後の事業売却の際にも過去の記録を参照できるように、社内で事業売却に関する報告書を適切に管理しておくのがポイントです。
⑧株主への通知・公告と株式総会で説明
事業売却とは株主総会での決議が必要な行為でもあります。会社や事業の方針を株主に説明するのと同様に、事業売却に関しても株主への通知と公告が必要です。
基本的には、議決権の過半数の株主が出席したうえで、3分の2以上にあたる賛成が必要とされています。万一、事業売却に反対した株主から株式の買い取り請求がなされた場合は、その株式を買い取る必要があるでしょう。
⑨監督官庁の許認可と各種手続き
株主への事業売却の説明を終了して賛成を取り付けた後、最後に監督官庁への許認可と各種手続きを行うことになります。ここでは、会社の財産や権利、債務や契約といった事項を移転する手続きも求められるのです。
また、雇用契約の手続きや事業のノウハウ、のれんなどの譲渡手続きも済ませたうえで、最終的な事業売却の完了となります。
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8. まとめ
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メリットや手続きの流れ、注意点を知ったうえで、本当に事業売却をするべきか検討しましょう。また、事業売却を決めたのであれば、M&A仲介会社に相談するべきです。
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