事業承継と廃業(清算)を比較!どちらが得する?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

経営者が企業の運営から撤退を考えた場合、会社を継続する事業承継か会社を閉じる廃業(清算)を選択する必要があります。また、最近では後継者問題の解決としてM&Aを活用した事業承継の件数が増えています。そこでここでは事業承継と廃業(清算)について解説します。


目次

  1. 事業承継と廃業とは?
  2. 毎年2万社を超える会社が廃業や休業をしている
  3. 事業承継と廃業(精算)を比較
  4. 事業承継先の3種類
  5. 事業承継5ヶ年計画
  6. 廃業・事業承継について学べる書籍
  7. 事業承継での後継者問題解決まとめ
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1. 事業承継と廃業とは?

事業承継と廃業

経営者が経営から身を引くには色々な方法が存在します。ここでは事業承継と廃業について説明を行い、どちらを選択する方が賢い選択になるかを考えながら後継者問題などの対応方法について解説していきます。

事業承継の意味

事業承継とは、会社の事業や経営などを後継者に受け継ぐことを意味しています。今後も長い間、会社を存続させるためにも事業承継は非常に重要な問題です。親族から探す場合や役員や社員から適任者を探す場合、そして外部の人材を登用する方法などがあります。

廃業の意味

廃業というのは、会社の経営を経営者判断で清算することです。資金繰りが困難な状況に陥った時に借金などを法的に清算する方法の倒産と違い、廃業は掛け金や借入金などの会社が抱えている負債を完済し清算する事が条件となります。

そのため、廃業は倒産と違い計画を立てて進めていくため、取引先や従業員などに対しても負担がかかる事が少なくなります。

2. 毎年2万社を超える会社が廃業や休業をしている

廃業や休業は意外に多い

中小企業の廃業数の推移

東京商工リサーチ2016年調べ

出典: http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/h29/html/b1_2_1_3.html

中小企業庁が発表したデータによると、2006年以降から廃業や解散などで事業を清算する傾向が増加してきているといいます。廃業などで事業を清算した件数は毎年2万件を超えています。特に2003年を境に清算などによる廃業や休業が倒産の件数を超えています。

業種別では2007年から2015年までで、建設業の廃業が最も多いもののサービス業他でも廃業の件数は、2017年には10年前の2倍となっているようです。

休廃業の年齢層

出典: http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/h29/html/b1_2_1_3.html

また、廃業や休業をした企業の経営者の年齢を見てみると、経営者の高齢化が進んだことによる廃業などが多くある様子が見て取れます。

廃業してしまう理由

せっかく運営した事業をなぜ廃業してしまうのでしょうか。従業員や地域社会へ対するデメリットも考えられる廃業を選択するのには複数の理由が考えられます。それらについて簡単に解説をさせて頂きます。
 

  1. 後継者不在のため
  2. 後継者候補の意識の問題
  3. 事業承継の資金がないため
  4. 経営者の時間的・体力的限界

理由①後継者不在のため

事業の継続性はあるものの後継者問題などから事業を廃業する場合があります。地方の中小企業などにはこうした廃業が多く見受けられます。これは、昨今の人手不足などから人材が不足している事が原因となっているようです。

理由②後継者候補の意識の問題

後継者として事業承継を行いたいものの、後継者の候補者が経営者として不向きであったり、経営に対する意識や意欲がないためにやむなく廃業に陥る場合があります。

日々の経営や事業に追われるがあまり人材教育まで手が回らないなどの要素があり、後継者問題としては非常に大きな課題となっています。

理由③事業承継の資金がないため

知的財産や技術力、さらには地域とのコネクションはあるものの事業承継するための資金不足により事業を廃業するケースがあります。

こういった場合は知的財産や技術を武器に銀行から資金を調達する事も可能ですが、やはり後継者が経営に対する意識に差があった場合にはリスクを負わずに事業を清算して廃業するという選択肢を選ぶ傾向があります。

理由④経営者の時間的・体力的限界

経営者が高齢な場合は、年齢的な観点から見て事業を承継する時間や体力が乏しいといった場合があります。事業承継には教育などを含めると10年弱かかると言われていますので、長い期間をかけられない状況になった経営者が廃業を選択するようです。

廃業のデメリットとは?

廃業を行うメリットは、短時間で事業を停止する事ができることや事業を清算する事で後継者問題に悩む必要がありません。また、事業悪化などのリスクを避けられるところにあります。一方で廃業のデメリットには以下の事が考えられます
 

  1. 従業員を解雇しなければならない
  2. 関係各社との関係が終わってしまう
  3. 資産売却で低く見積もられる

デメリット①従業員を解雇しなければならない

経営者としては一番の心苦しい所が廃業による従業員の解雇です。従業員の家族の生活まで背負っているといっても過言ではない経営者にはとって従業員を解雇するということは重大な決断です。

お付き合いのある業者や取引会社などに従業員を引き取ってもらえる人材もいますが、中には再就職先がなかなか決まらない従業員も存在します。

こうした従業員の生活を破綻させてしまう事を背負ってしますことが廃業のデメリットとして考えられます。

デメリット②関係各社との関係が終わってしまう

廃業によるデメリットの一つとして考えられるのは、今まで築き上げた関係各社との関係も終了を迎えてしまうという事です。中には人間的に付き合いが残る人もいるかもしれませんが、基本的には構築された人間関係は全て終了します。

それは廃業により関係各社が少なからずデメリットを被る事や、日常的な関係性がどうしても薄れてしまう事が原因だと見られます。また、地域社会との関係性も薄れていきますので、廃業による関係性の修了は覚悟しなければならない問題です。

デメリット③資産売却で低く見積もられる

廃業を決めた時に、自社が保有していた所有物などの資産を売却する事になります。事業を経営している状態であれば、今後の付き合いなどの関係性もあるのですが、廃業となると商売に義理を残す必要もありませんので、どうしても低く見積もりをとられてしまいます。

もちろん、相場通りの見積もりが多いかと思いますが、あと一歩といったところで売却価格を抑えられる事は、廃業という性質上致し方ないのかもしれません。

【関連】事業承継に関する課題と現状を徹底解説!
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3. 事業承継と廃業(精算)を比較

事業承継と廃業(精算)を比較

後継者問題で事業を継続できない場合においては、M&Aによる事業承継と廃業といった選択肢が残ります。そこでM&Aによる事業承継と廃業ではどういった違いが出てくるのでしょうか。ここでは2点に絞って比較を行いました。
 

  • 手取り価額の違い
  • 従業員・取引先の関係

比較①手取り価額の違い

事業を廃業やM&Aによる事業承継をするにあたり、経営者の手元にいくら資産が残るかは非常に重要な事です。それは、事業から手を引くわけですから今まで手に入れてきた収入がなくなるからです。少しでも多くの資産を手にしたいと誰もが思うものです。

それでは、M&Aによる事業承継と廃業によって経営者にどれぐらいの金額が入ってくるか考えてみます。

事業承継の手取り価格

M&Aによる事業承継を行った場合は純資産の価格に営業権を加えた額面で取り引きが行われます。営業権の額面は種別や業績による所もありますが、取引価格は利益の3年から5年分が一般的です。

例えば、税金などの諸経費を引いた利益が2,500万円の場合、M&Aで事業承継による取引で4年分の営業権で計算すると営業権だけで1億円、加えて会社などの資産を加えた額面で取引されます。

廃業の手取り価格

廃業の場合は、会社を清算するにあたりどうしても評価額が下がってしまいます。保有している不動産などは半額になる事が多く、建築物や機材などは資産価値が無い場合も良くあります。

また廃業するにあたり借り入れ金などが残った場合は経営者が返済していく必要があり、当初目論んでいた資産価格まで到達できずに借金を背負う事もあり、廃業によって手取り価格がマイナスになる場合もあるのです。

比較②従業員・取引先の関係

廃業した場合、従業員の就職先を斡旋してあげる必要があります。また、取引先に迷惑をかけるだけではなく地域社会への影響も考えなくてはいけません。

M&Aによる事業承継であれば、従業員はそのまま事業を支えてくれますし、取引先や地域社会への影響も最小限に抑える事ができるわけです。

結論としては、廃業(清算)より事業承継の方が、手取りや従業員・取引先との関係的に良さそうですね。

4. 事業承継先の3種類

事業承継先には3種類ある

廃業にはメリットもあるものの、数々のデメリットがある事がわかりました。では事業承継をする場合にはどういった方法があるのでしょうか。事業承継にはM&A以外にも親族への承継や従業員の承継があります。そこで、それぞれの承継について簡単に解説しました。

①親族への承継

中小企業が事業承継を行う場合にまず考えられるのが親族への承継です。経営者の親族であれば、前社長にも意見をいえますし、従業員も納得できる場合が多いです。

また、会社の資産や財産などを経営者一族が所有する事ができますので、経営者は今後も安定した生活が見込めるわけです。

しかし、親族に後継者に相応しい人材がいるかというところや、子供に事業承継する場合には兄弟などの存在に気を利かせなければいけないなど、親族だからこその後継者問題が存在しています。

②従業員への承継

従業員への承継も一つの方法です。従業員であれば業務内容はもちろんのこと社風や会社の流れなどを理解しているので、経営者になっても戸惑う事は少ないからです。

一方で従業員を後継者にする場合には教育する時間などが問題になります。人材育成は非常に時間がかかるもので、数年から10年以上かかる場合もあります。そのため早めに計画的に進めていく必要があります。

さらには、後継者として見込んでいた人材が相応しくなかった場合は、また新たな人材を教育しなければならなくなり、その時間の分だけ事業承継が遅れてしまいます。

③M&Aによる承継

日本でM&Aによる事業承継というと今まではマイナスなイメージがありました。それは、経営がうまくいかなかった企業が最後の手段として外部の経営者に手助けをしてもらうといった印象があるからです。

しかし、昨今の高齢化社会による担い手不足は深刻で、後継者となる人材を見つける事が困難な状況となっています。中小企業や零細企業などではその傾向が顕著です。そこで、最近では後継者問題を解決する手法としてM&Aによる事業承継の需要が伸びているようです。

後継者問題の解決策

実は後継者問題の解決手法としてM&Aの事業承継が伸びている理由です。親族にも従業員にも経営者に値する人材が見つからない場合には有効な手段といえます。また、人材育成に要する時間も短縮されますので効率的な承継方法といえます。

M&A相談ならM&A総合研究所

M&Aで事業承継する場合は専門の仲介業者を活用する方法をおすすめします。というのも、専門の仲介業者であれば数々のM&Aの実例を経験しているからです。M&Aは慣れていないとトラブルになりやすい部分もありますので、信頼できるM&A専門の仲介業者を利用しましょう。

個人事業から中小企業以上まで数々のM&Aの実績が豊富なM&A総合研究所であれば、M&A以外の事業承継も含めて会計士が専属でサポートしてくれます。相談は無料ですので事業承継や廃業の可能性を含めながら相談するとよいでしょう。

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5. 事業承継5ヶ年計画

中小企業庁が策定した事業承継5ヶ年計画とは

事業承継5ヶ年計画というものがあります。これは中小企業庁が事業承継ガイドラインに基づいて2017年に策定したものです。これにより、期間内に今まで以上に事業承継を推進していく事となりました。そしてその施策として5つの項目を掲げています。

  • 「経営者の『気付き』の提供」
  • 「経営者が継ぎたくなるような環境を整備」
  • 「後継者マッチング支援の強化」
  • 「事業からの退出や事業統合などをしやすい環境の整備」
  • 「経営人材の活用」

経営者の「気付き」の提供

事業承継に早めに取り組むことの重要性を伝えるだけではなく、事業承継診断などを通じて事業承継のニーズを引き出すとしています。

後継者が継ぎたくなるような環境を整備

事業承継5ヶ年計画によると、安心して後継者が事業承継できるよう経営改善支援と新事業への挑戦を支援するとしています。

後継者マッチング支援の強化

各都道府県に整備されている事業引継ぎ支援センターを強化して後継者のマッチング支援を促進するとともに小規模M&Aマーケットの構築を目指すとしています。

事業からの退出や事業統合などをしやすい環境の整備

事業が廃業すると地域社会への影響が大きいとされています。そうした状況にならないようサプライチェーンや事業統合、共同化の支援を行うとしています。

経営人材の活用

事業承継をした後継者の課題を取り除くために、サポートとして経営経験豊富な人材を経営幹部として紹介したり社外アドバイザーの活用を促進するような環境を構築するとしています。

【関連】中小企業庁が事業承継の5ヶ年計画を策定!その内容を簡単解説!

6. 廃業・事業承継について学べる書籍

おすすめの書籍

廃業や事業承継についてはインターネットなどでも調べる事ができますが、書籍などでじっくりと時間をかけて勉強する必要もあるでしょう。

廃業や事業承継については多くの書籍が存在していますが、内容が難しいものが多いのが難点です。ポイントや用語が分かりやすいなどの点を踏まえた書籍を選ぶと良いでしょう。

失敗しない廃業・事業承継のしかた事典

数多くある書籍の中でおすすめの一つが「失敗しない廃業・事業承継のしかた事典」です。難しい部分を分かりやすく解説してあるだけではなく、いつまでに何を実行すればよいのかをポイントを押さえながら解説されています。

廃業や事業承継に関わりの深い会計士や税理士についても触れていますので、この一冊で廃業や事業承継について理解を深められると人気です。

【関連】事業承継がわかる本のおすすめランキングTOP20

7. 事業承継での後継者問題解決まとめ

事業承継で後継者問題解決

事業承継と廃業について解説しました。後継者問題などで事業の継続が難しい場合は、廃業(清算)する企業が増えてきています。しかし、事業承継と廃業(清算)を比較すると、事業承継の方がおすすめできます。

また、後継者問題には適任ではない親族や従業員などを登用するよりも、M&Aによる事業承継を視野にいれるべきです。ぜひ今回の解説を参考にして、自身にあった後継者問題の対処法を検討しましょう。

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