事業承継アドバイザーとは?認定試験の難易度・合格率、テキストを徹底解説

企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

近年、中小企業の事業承継の重要性が叫ばれるのに合わせ、事業承継アドバイザー資格の需要が高まってきました。本記事では、事業承継アドバイザー認定試験(BSA)、事業承継アドバイザー3級、金融業務2級について、難易度や合格率、通信講座などの解説をします。

目次

  1. 事業承継アドバイザーとは
  2. 事業承継アドバイザー(BSA)認定試験とは
  3. 事業承継アドバイザー3級とは
  4. 金融業務2級とは
  5. 事業承継アドバイザー資格のおすすめ認定試験
  6. 事業承継アドバイザー資格の勉強法
  7. 事業承継アドバイザーのまとめ

1. 事業承継アドバイザーとは

まずは、事業承継アドバイザーの概要を説明します。

概要

事業承継アドバイザーは、近年、注目が高まっている中小企業の事業承継について、専門的なアドバイスを行う専門家としての資格です。現在、後継者不在で事業承継の問題を抱えている中小企業は、日本全国で120万社を超えているといわれています。

後継者難による事業承継問題は、当事者だけでは解決できない深刻な課題であり、国や地方自治体も支援対策に力を入れている状況です。そのような中小企業を対象に、事業承継実現のためのアドバイスと支援ができる専門家として、事業承継アドバイザーが誕生しました。

業務内容

事業承継アドバイザーの業務は多岐に渡ります。まず行うのは、事業承継を目指す会社の企業価値や現状を把握したうえでの、事業承継計画の立案です。事業承継の相手が決まっていなければ、後継者候補探しをサポートします。

後継者が決まっている場合、後継者が個人であればヒアリングによる状況確認、M&Aによる事業承継であれば相手企業の調査などをして後継者の適性判断を行うでしょう。その後、個人が対象であれば、後継者教育のサポートから事業承継実現までの手続きのサポートをします。

M&Aによる事業承継であれば、M&A手続きのサポートを行いつつ、M&A後の経営引継ぎなどのフォローも行うのです。

資格取得のメリット

事業承継アドバイザーの資格を取得するメリットについて、2点、解説します。

肩書の信用力

事業承継は、会社やオーナー社長、従業員の今後を大きく左右します。だからこそ、事業承継を検討し始めると、大きな不安を感じる経営者がほとんどです。そのような重要な判断を進めるのであれば、信用できる専門家に任せたいと考えます。

現在、事業承継を専門に扱う国家資格は存在しません。つまり、民間資格ではあるものの、事業承継アドバイザー資格は、需要に対しアドバンテージとなるのです。士業や金融機関職員が、事業承継アドバイザー資格を取得するケースも増えてきています。

知識習得

事業承継アドバイザー資格を得るために学ぶと、税務や法務、M&Aの戦略など幅広い知識を身につけられます。近年、事業承継に関する相談が増えている金融機関や士業にとって、事業承継アドバイザーを取得する際に習得できる知識は必須といえるでしょう。

事業承継アドバイザーの知識は、事業承継を検討している会社に必要です。事業承継は、専門家に任せきりだけでは進められません。納得のいく結果を得るには、オーナー社長や会社で事業承継に関わる社員も知識を身につける必要があります。

実際に、M&Aアドバイザーや事業承継アドバイザーの資格取得を目指す経営者は増えていて、経営者向けの事業承継講座も盛況です。

資格の種類

事業承継アドバイザーの資格、複数の種類があります。詳細は後述しますが、まずは各資格の概要を見てみましょう。

事業承継アドバイザー(BSA=Business Succeed Advisor)

事業承継アドバイザー(BSA)は、一般社団法人の金融検定協会が認定団体となって運営している資格です。金融検定協会は、主に金融機関の職員向け資格を運営しています。

事業承継アドバイザー(BSA)は、銀行の支店長や役職のある行員をはじめ、金融機関の職員が中小企業経営者に事業承継のアドバイスができるようになることを目的として開始されました。

事業承継アドバイザー3級

事業承継アドバイザー3級は、株式会社経済法令研究会が認定団体として運営しています。経済法令研究会は、銀行員が受験する各種銀行業務検定試験を運営し、事業承継アドバイザー3級もそのうちの1つです。金融機関における渉外業務や窓口業務の際に増えている、事業承継の相談にも対応できる資格です。

金融業務2級(事業承継・M&Aコース)

金融業務2級は、一般社団法人の金融財政事情研究会が認定している資格です。金融財政事情研究会は、多様化する金融機関の役割に対応して、金融業務に関する数多くの能力検定を実施しています。

事業承継の場合は、金融業務2級(事業承継・M&Aコース)が事業承継アドバイザー対応資格です(金融業務2級には、さまざまなコースがあります)。

2. 事業承継アドバイザー(BSA)認定試験とは

ここからは、事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の詳細を紹介します。

概要

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験は、5択問題が50問(各2点)です。合格基準は60点以上ですが、試験結果を踏まえて試験委員会で最終決定となっており注意が必要です。試験時間は150分で、試験日は毎年5月と11月の2回行われています。

難易度

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験を受ける前に、事業承継アドバイザー(BSA)認定試験専用の講座を受けて勉強します。3カ月の講座学習をこなせば試験に合格可能です。講座をきちんと受講すれば、難易度はそれほど高くありません。

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の試験内容は、暗記系ではなく理解を求める内容が大半です。テキストだけでは理解が難しいところも多いので、講座を受講して理解を深める必要があります。

合格率

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の合格率は下記のとおりです。

  • 2011(平成23)年春:受験者数57人中、合格者数39人、合格率68.4%
  • 2011年秋:受験者数77人中、合格者数44人、合格率57.1%
  • 2012(平成24)年春:受験者数80人中、合格者数34人、合格率42.5%
  • 2012年秋:受験者数126人中、合格者数74人、合格率58.7%

受験者数が少ないので合格率にバラつきがありますが、毎年の合格率を平均すると55%程度です。

受験料

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の受験料は7,400円(税込)です。

試験科目

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の試験科目は。以下の3部構成です。

  • 事業承継の基礎知識
  • 親族内承継
  • 従業員・役員・外部への承継とM&A

幅広い知識だけでなく、しっかりと意味を理解していることが求められます。

法務

  • 相続法務
  • 会社法
  • 経営承継円滑化法
  • 経営承継円滑化法による金融支援

税務

  • 相続税
  • 贈与税
  • 非上場企業の株式評価
  • 相続税・贈与税の納税猶予制度
  • 税務対策

企業価値評価

  • 事業承継とデューデリジェンス
  • DCF法による評価
  • 不動産の評価
  • その他資産・負債の評価

事業承継アドバイス

  • 後継者がいないケース
  • 外部からの後継者受入
  • 承継計画
  • 事業承継アドバイザーとコンプライアンス

戦略的承継対策

  • M&A(株式譲渡
  • M&A(会社分割)
  • M&A(その他)
  • MBOによる対策
  • MBO時の資金調達
  • その他の承継対策

合格基準

事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の合格基準は基本的には60点以上です。しかし、試験結果を踏まえて試験委員会で決定という特殊な合否設定となっています。

申込方法

事業承継アドバイザー(BSA)試験の申込は、個人であればWEBまたは郵送で行います。いずれも金融検定協会のホームページから申込、または申込書のダウンロードができ、申込をすると受験料の請求書とコンビニの支払表が送られてくる仕組みです。

受験料は前払いなので、先に受験料を支払わなければ受験できません。なお、WEBで申込をした場合に限り、クレジットカードでの支払いが可能です。

おすすめテキスト

金融検定協会が指定している事業承継アドバイザー(BSA)認定試験専用の講座を受講しながら、問題集をしっかりと解いていれば合格できます。本試験では暗記よりも理解が大事なので、問題集や過去問題は丸暗記ではなく、内容の理解に努めましょう。

事業承継アドバイザー講座

事業承継アドバイザー講座は、3カ月間の通信講座です。3冊のテキストが付いてきて、3カ月間に3回の添削を提出します。添削はテキストを見ながら解答できるので、ほぼ満点を取れるでしょう。価格は14,400円(税込)です。

事業承継アドバイザー検定試験模擬問題集

事業承継アドバイザー検定試験模擬問題集は、本試験と同じく5択問題が掲載されています。この問題集には過去問題とよく似た問題も多く載っているので、この問題集を繰り返し解きながら理解を深めておくと、本試験でも解答が容易でしょう。価格は2,860円(税込)です。

3. 事業承継アドバイザー3級とは

ここからは、事業承継アドバイザー3級の試験内容詳細を紹介します。

概要

事業承継アドバイザー3級は、2016(平成28)年に始まった資格で、毎年10月に試験が行われます。始まってからの歴史が浅めなので、試験の難易度がまだ安定していません。情報が少ないことで対策がしにくい状態です。

出題形式は、4択マークシート式 (一部事例付)50問(各2点)となっています。試験時間は120分、合格基準は満点の60%以上ですが、こちらも試験委員会にて最終決定という規定です。

難易度

事業承継アドバイザー3級の難易度は、2016年に行われた第1回目の試験はかなりやさしかったのですが、2017(平成29)年には、記述式問題(3問×10点)が加わるなど難易度が一気に上がりました。

しかし、2022(令和4)年には、全50問の4択方式となり、試験時間も180分から120分に短縮されています。いずれにしろ、推奨されている通信講座や模擬問題集などをこなして、試験対策を取ることが有効です。

合格率

2016年10月に実施された第1回事業承継アドバイザー3級試験の結果は、2,785人の受験者中、合格者は1,536人で合格率は55.15%です。平均点は60.26点です。資格試験としては高い合格率といえるでしょう。

しかし、2017年の事業承継アドバイザー3級試験は、受験者数1,530人中、合格者数は505人、合格率は33.01%と、急激に難易度が上がりました。

受験料

事業承継アドバイザー3級試験の受験料は5,500円(税込)です。

試験科目

事業承継アドバイザー3級試験の試験科目は、銀行員が実際に事業承継のアドバイザー業務を行うことを想定した内容です。

事業承継の基本知識

  • 事業承継対策の基本と必要性
  • 承継方法の決定と計画の立案
  • 後継者教育

事業承継と金融実務

  • 取引先の現状把握と課題の認識
  • 各承継方法共通の基本知識
  • 親族内承継に関わる基本知識
  • 親族外承継(従業員)に関わる基本知識
  • 親族外承継(第三者)に関わる基本知識
  • その他

その他関連知識など

  • 他の機関などの事業承継関連の制度など
  • 事業承継に関わるコンプライアンス

合格基準

事業承継アドバイザー3級の合格基準は基本的に60点以上なのですが、試験委員会によって最終決定されるシステムなので注意が必要です。

申込方法

事業承継アドバイザー3級の申込は、個人であればインターネットまたは郵送で行えます。インターネットで申込する場合、経済法令研究会のホームページから手続きしていき、コンビニの支払票やペイジーなどで受験料を支払えば申込完了です。

郵送で申込する場合は、受験願書を経済法令研究会のホームページや問題解説集の巻末、郵送のいずれかの方法で入手します。必要事項の記入と受験料の銀行振込を行い、受験願書と振込した際の明細書を指定先へ郵送すれば申込完了です。

おすすめテキスト

事業承継アドバイザー3級は、通信講座で理解を深めながら、問題集や過去問題でしっかりと演習することが必要になります。

営業店の事業承継支援コース

営業店の事業承継支援コースは、事業承継アドバイザー3級に対応した通信講座です。受講料は13,860円(税込)で、受講期間は3カ月間です。3冊のテキストが付いてきて3回の添削を受けられます。

事業承継アドバイザー3級問題解説集

事業承継アドバイザー3級問題解説集には、これまでの過去問題がポイント解説付きで掲載されています。通信講座で理解を深めた後に過去問題を繰り返し解くと効果的でしょう。価格は2,970円(税込)です。毎年、10月の試験時期に合わせて7月頃に最新版が発売されています。

4. 金融業務2級とは

ここでは、金融業務2級事業承継・M&Aコースの試験内容を紹介します。

概要

金融業務2級は、2017年まで「金融業務能力検定事業承継・M&Aエキスパート試験」という名称でしたが、2018(平成30)年度から「金融業務2級事業承継・M&Aコース」に変わりました。しかし、試験内容はほぼ変わっていません。

CBT-Solutionsというシステムを用いて、PCを捜査し解答します。試験内容は、総合問題10問と4択30問です。試験時間は120分で、合格基準は100点中70点以上となっています。

難易度

難易度はそれほど高くなく、専用の試験対策問題集を繰り返し練習すれば合格可能です。本試験では、対策問題集と似たような問題が多く出題されます。

しかし、専門的な用語が多く問題文の理解が難解なところもあるので、ただ暗記するのではなく、解説をよく読み込んだり、用語を調べたりしながら勉強する必要はあるでしょう。

合格率

合格率は5割から7割であり、合格者のほとんどが金融機関の職員です。

受験料

金融業務2級事業承継・M&Aコースの受験料は7,700円(税込)です。

試験科目

金融業務2級事業承継・M&Aコースの試験内容・範囲は下記のとおりです。

  • 事業承継関連税制など
  • 事業承継関連法制など
  • M&A基礎知識・関連会計 
  • M&A関連法制など
  • 総合問題

合格基準

金融業務2級事業承継・M&Aコースの合格基準は100点満点の70点以上です。事業承継アドバイザー(BSA)や事業承継アドバイザー3級のように、試験委員会が最終決定するといったシステムではありません。純粋に70点以上を取れば合格です。

申込方法

金融業務2級事業承継・M&Aコースの申込は、金融財政事情研究会のホームページから「CBT-Solutions」へアクセスして手続きを行います。受験料の支払いはクレジットカード、コンビニ、ペイジーの3つから選択可能です。

コンビニとペイジーの場合は、事務手数料として別途308円(税込)が発生します。

おすすめテキスト

金融業務2級事業承継・M&Aコースの試験対策は、専用の試験対策問題1冊で基本的には対応できます。金融業務2級事業承継・M&Aコースの本試験は過去問題と似た内容が多いので、過去問題対策がポイントになります。

金融業務2級事業承継・M&Aコース試験対策問題集

金融業務2級事業承継・M&Aコースのテキストは、基本的にはこの1冊を繰り返し解いて解説を読み込むことで合格できます。価格は1,980円(税込)です。しかし、解説自体が難解な問題もあるため、合格を目指すのであれば調べながらの勉強になります。

事業承継のツボとコツがゼッタイにわかる本(第2版)

問題集と並行して、あるいは問題集に取りかかる前に、事業承継の基礎知識を得るために適した解説本です。中小企業の経営者を対象に、弁護士・税理士・公認会計士が、Q&A形式で事業承継をわかりやすくっ説明しています。1,980円(税込)です。

5. 事業承継アドバイザー資格のおすすめ認定試験

今回、紹介した認定試験の中では、事業承継アドバイザー(BSA)認定試験の認知度が最も高く、市場での評価も高くなっています。一般的に事業承継アドバイザーとだけいえば、BSAをさしているケースがほとんどです。

6. 事業承継アドバイザー資格の勉強法

事業承継アドバイザーの認定試験は、主催している認定団体によって内容が異なっていて、独自の問題も多いです。テキストは、資格認定団体が推奨しているテキストや問題集を使用するのが最も効率的に勉強できます。

ただし、分野によって専門用語が多かったり文章が難解だったりして、理解が難しく感じる場合もあるでしょう。本試験では理解の深さを判定する内容が多いので、理解を深めるために通信講座を活用すると勉強がスムーズに進めやすくなるはずです。

どの団体の試験も過去問題が非常に重要であり、過去問題を繰り返し解くことが必須となります。その際には、過去問題を丸暗記するのではなく、解説をしっかりと読みながら理解することが必要です。

7. 事業承継アドバイザーのまとめ

事業承継アドバイザー認定試験は、しっかりと勉強すれば数カ月で取得可能です。事業承継アドバイザー資格があれば信用が高まり、自信にもつながります。受験者は金融機関の職員が多いですが、受験資格に制限はありません。誰でも受験できます。

事業承継アドバイザーの資格を取得して、事業承継に関する知識と実務能力を磨きましょう。

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