2021年09月26日更新
事業承継ガイドライン(要約版)について完全解説!20問20答の内容は?
2016年に中小企業庁によって策定された事業承継ガイドラインは、中小企業の事業承継におけるガイドブックとして成立したものです。ここでは事業承継ガイドライン要約版とともに、冊子「事業承継ガイドライン20問20答」からの抜粋もあわせて完全解説を試みます。
1. 事業承継ガイドライン(要約版)を完全解説
中小企業庁が、2016(平成28)年に「事業承継ガイドライン」を発表しました。そのガイドラインに基づき、さまざまな事業承継対策が行われるようになっています。ここでは、中小企業庁が示した事業承継ガイドラインについて簡単に解説しますので、ご覧ください。
中小企業庁について
中小企業庁は、経済産業省の外局に当たります。国内における中小企業の育成や発展などを所掌している機関です。
背景・経緯
事業承継ガイドラインが中小企業庁によって策定された背景としては、経営者の⾼齢化が進んでいる中、中小企業の事業承継が円滑に進んでいないことがあります。
事業承継が円滑に進まず廃業するケースが増えると、地域産業や技術、ノウハウなどが損失され、地域経済にとって大きなダメージです。こうしたことのないように、事業承継ガイドラインにより、円滑に事業承継を行うことを目的としています。
内容
ここからは、事業承継ガイドラインに基づき、事業承継ガイドラインの要約版を記載します。要約版では、実際の事業承継ガイドラインと章番号が一致していない部分もあるのでご注意ください。
第一章:事業承継対策の大切さ
事業承継ガイドラインでは、まず事業承継対策の大切さを訴えています。要約版として解説すると、中小企業における事業承継の深刻な課題は、担い手不足です。さらには、中小企業の日本における重要性も同時に説いています。
そして、中小企業の事業承継の準備が十分でないことで廃業になってしまうなど、経営者が一人で悩んでいる現状を訴えかけている内容です。
第二章:中小企業の事業承継に潜む問題点
次の論点は、中小企業の日本における位置づけです。中小企業は日本の企業数の約99%を占めており、従業員数も約70%も占めています。これは、地域の雇用を支えている重要な受け皿です。
しかしながら、経営者の交代率が1975(昭和50)年から1985(昭和60)年までは平均5%だったのに対し、2011(平成23)年には2.46%まで落ち込んでいると、事業承継ガイドラインでは危惧しています。
また、後継者難のために経営不振ではない中小企業が廃業することも数多く、そこが問題点であるという指摘です。
第三章:事業承継計画の必要性
事業承継ガイドラインにおいては、事業承継計画の必要性を訴えています。
まずは、事業承継に向けて自社を知り、そして自社を強くすることが重要です。そのためには、会社の10年後を見据えた計画が重要としています。さらには、「いつ、どのように、何を、誰に承継するのか」といった具体的な計画立案が必要であるとしました。
第四章:事業承継を円滑に進めるためのステップ
事業承継ガイドラインでは、事業承継を円滑に進めるステップも紹介しています。そのステップは5段階です。ここでは要約版として、ステップの表題のみ触れます。
- 事業承継に向けた準備の必要性の認識
- 経営状況・経営課題等の把握(見える化)
- 事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)
- 事業承継計画の策定、M&Aなどのマッチング実施(社外への引継ぎの場合)
- 事業承継の実行
第五章:社会的に経営者をサポートする仕組み
そして、事業承継ガイドラインは経営者のサポートの仕組みにも触れています。ガイドライン要約版として解説すると、国による支援制度整備と歩調をあわせ、地域の各支援機関において支援していくことです。
すでに支援を行っている商工会議所や商工会の経営指導員、金融機関、税理士、弁護士、公認会計士、事業引継ぎ支援センターなどに加えて、地域に密着した支援機関をネットワーク化することで、より強力なバックアップ体制を整備するとしました。
第六章:おわりに
そして、おわりとして事業承継ガイドラインは次のように結んでいます。要約版として紹介すると、中小企業における事業承継の早期取り組みは重要とし、このガイドラインがスタンダードとなるよう、支援強化を図っていくとしました。
チェックリスト
また、事業承継ガイドラインでは、最後に「事業承継診断票(相談用)」と「事業承継診断票(自己診断用)」というチェックリストが設けられています。チェックリストでは、事業承継の進捗具合や危機感などについてチェックが可能です。
ここまで、事業承継ガイドラインの要約版を紹介しました。事業承継ガイドライン要約版では割愛した部分にも、重要な項目は数多く記載されています。
事業承継ガイドラインは中小企業庁のホームページで閲覧することが可能です。この要約版で気になった点や、要約版では理解しきれなかった箇所などは、事業承継ガイドラインにおいて再度確認をお願いいたします。
2. 「事業承継ガイドライン20問20答」とは
次に、「事業承継ガイドライン20問20答」について解説します。この「20問20答」は、中小企業庁が策定した冊子です。「事業承継ガイドライン20問20答」を読むことで、事業承継ガイドラインをより容易に理解できるようになっています。
さらに、「事業承継ガイドライン20問20答」は、今まで事業承継が難しくて興味がなかったというような方にも、わかりやい内容です。ここでは、事業承継ガイドライン「20問20答」について、要約した内容を解説します。
目的
この「事業承継ガイドライン20問20答」は、2016年12月に中小企業庁によって策定された事業承継ガイドラインを、中小企業経営者にわかりやすく理解をしてもらうために、中小企業庁により作成されました。
構成
「事業承継ガイドライン20問20答」は、事業承継ガイドラインを基に、中小企業の経営者に理解を深めてもらうために1問1答形式により構成されています。「事業承継ガイドライン20問20答」によって、事業承継についてわかりやすく学ぶことができるでしょう。
内容
それでは「事業承継ガイドライン20問20答」について、その中でもポイントとなる、以下の項目について解説します。内容がさらに気になる方は、中小企業庁で閲覧可能な「事業承継ガイドライン20問20答」もあわせてご覧ください。
- 事業承継対策ってしなきゃいけないの?
- 事業承継計画ってどんなものなの?
- 親族内の事業承継を円滑に行いたい!
- 従業員などに事業を承継したい!
- M&Aを検討したい!
- 事業承継計画を作ってみたい!
- 事業承継をサポートしてくれる専門家に相談したい!
事業承継対策ってしなきゃいけないの?
中小企業の現状は、日本における少子高齢化によって、後継者の確保が困難な状況となっています。また、事業承継に失敗すると、紛争が生まれたり、会社の経営が落ち込んでしまったりといった、目をつぶることができないトラブルになりかねません。
そのため、日本においては、中小企業の事業承継は非常に重要な課題です。中小企業経営者の平均年齢は約60歳まで上昇しており、経営者の子供が事業承継する割合は20年前の約半分になっています。
このような状況ですから、事業承継の対策はしっかりと行っておく必要があるというわけです。
事業承継計画ってどんなものなの?
事業承継を行うとき、事業承継計画の策定が重要です。それでは事業承継計画とはどのようなものなのでしょうか。事業承継計画は、中期的・長期的な計画を見込み、事業承継の時期や対策などを記載したものです。
中小企業庁が公表している「事業承継ガイドライン20問20答」では、以下の画像で計画の例を紹介しています。
親族内の事業承継を円滑に行いたい!
親族での事業承継は、3つのステップを考えます。まず、関係者の理解から開始です。関係者とは社内や取引先、そして金融機関なども含まれています。
事業承継について関係者から理解を得られたら、後継者候補を後継者として教育することが重要です。教育は、社内や社外でも行われます。
さらには、株式や財産の分配においては、後継者への株式などの事業用資産を集中させることが重要です。
そのため、株式の買い取りを実施しておくことが必要となります。また、後継者以外の相続人へ配慮を検討するべきでしょう。
従業員などに事業を承継したい!
親族外で事業承継したい場合は、「役員や従業員など社内の承継」と「取引先や金融機関などの外部へ承継」という2つのパターンが考えられます。
社内承継の場合は、役員や優秀な人材などが考えられ、社風や会社業務などに長けている場合が多く、円滑に事業承継を行えるでしょう。一方で、社外から後継者を入れる場合は、社内の反発などが考えられます。
M&Aを検討したい!
M&Aとは、合併と買収を意味しています。親族や社内に後継者となる人材がいない場合、雇用の継続や取引先への配慮などを考えM&Aを行う場合もあり、最近の中小企業においては、事業承継の選択肢としてM&Aの件数が増加中です。
M&Aでは会社の全事業を引き渡したり、一部事業を引き渡したりなど、さまざまな手法があります。また、M&A特有の専門的な手続きもあり、経営者が独力で行うのは難しいでしょう。
M&Aを成功させるためのポイントとしては、検討段階では外部に漏らさない、専門家に相談する、売却金額の希望を仲介機関に早期に伝える、会社の実力を上げるといったことがあります。
事業承継計画を作ってみたい!
事業承継計画の作成にあたっては、「経営理念の明確化」や「事業の中長期目標の設定」を行うとよいとされています。また、経営者と後継者が共同で作業を行うことで、価値観を共有しておくことも大切なポイントです。
まず、経営理念として経営者の思いや価値観、態度などを明確に示します。これは事業承継において重要なことで、事業承継の機会に従業員まで経営理念を浸透させることで、さらに先を見据えた事業承継が可能となるでしょう。
次に、事業の中長期目標の設定ですが、目標の設定は、数値など具体的に目に見てわかるものにした方がよいとされています。目標に向かって、経営陣と従業員が一致団結しやすいものがよいわけです。
事業承継をサポートしてくれる専門家に相談したい!
事業承継を行うにはいろいろな方法があります。自分1人で進めることは、あまりおすすめしません。それは、事業承継においては、法律や税金など各種の専門知識が必要となるからです。
事業承継を相談できる専門家は、弁護士や税理士のほか、公認会計士、司法書士、中小企業診断士、金融機関、商工会議所・商工会、独立行政法人中小企業基盤整備機構や自治体の関係部署など、官民の相談窓口があります。
そして、特にM&Aでの事業承継を目指す場合には、実績あるM&A仲介会社を選ぶようにしましょう。
M&A総合研究所は中小企業のM&Aに携わっており、豊富な知識と経験を持つアドバイザーがM&Aを徹底サポートします。
完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系です。 安心でリーズナブルなM&Aで事業承継が目指せます。随時、無料相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
3. あわせて読みたい事業承継資料
さて、ここまで事業承継ガイドラインを解説してきました。しかし、内容的に難しい部分もあるでしょう。
実は、事業承継ガイドラインにはガイドブック的な存在があります。ガイドブックでは、より内容が簡易的に解説されており、理解に一役となるでしょう。ここでは、事業承継ガイドラインのガイドブック的に扱える資料などについて紹介します。
「事業承継マニュアル」
まずは、中小企業が発刊している、事業承継の計画の立て方や後継者の育成方法などを紹介しているガイドブック「事業承継マニュアル」があります。こちらは、電子媒体のみのガイドブックです。
「事業承継マニュアル」の内容は、事業承継計画の立て方をはじめとして、後継者の育成方法、経営権の分散防止や税負担、資金調達などの課題への対策などについてわかりやすく解説しています。
「会社を未来につなげる−10年先の会社を考えよう−」
次に紹介してするガイドブックも、中小企業庁が作成したものです。このガイドブックは、事業の見える化と事業承継の準備を促している「会社を未来につなげる-10年先の会社を考えよう-」というパンフレットになっています。
ガイドブックでは、10年後に事業の運営を担っていくのは誰か、といった考え方も必要であると強調されていました。さらには、事業承継についてのノウハウなど、経営者の悩みを解決してくれるガイドブックとなっています。
中小企業庁ホームページから閲覧可能です。
さらに学習するなら書籍がおすすめ
中小企業庁が作成したガイドブックだけでも、事業承継については十分理解できます。しかし、ガイドブックからさらに踏み込んだ内容を知りたいという場合もあるでしょう。そこで、ここでは中小企業庁のガイドブック以外の書籍を2冊紹介します。
- 事業承継ガイドラインを読むー国の中小企業政策とその活用に向けてー
- 図解でわかる 中小企業庁「事業承継ガイドライン」完全解説
「事業承継ガイドラインを読むー国の中小企業政策とその活用に向けてー」
最初に紹介する書籍は、「事業承継ガイドラインを読むー国の中小企業政策とその活用に向けてー」です。この書籍では、親族内承継や従業員承継、さらには社外への引継ぎなど、事業承継で気になる部分の対応策やポイントについて解説しています。
また、中小企業への事業承継支援として行われている国の施策や制度などの全体像についても、この書籍を通して知ることができるでしょう。
「図解でわかる 中小企業庁『事業承継ガイドライン』完全解説」
次に紹介する書籍は、「図解でわかる中小企業庁『事業承継ガイドライン』完全解説」です。この事業承継ガイドライン完全解説は、公認会計士で税理士でもある岸田康雄氏と、中小企業診断士と行政書士である村上章氏が著者となっています。
事業承継ガイドライン改訂小委員会にも参加した著者が手掛ける事業承継ガイドライン完全解説は、事業承継ガイドラインをわかりやすく、そして実例も交えた完全解説版です。この事業承継ガイドライン完全解説を読めば、事業承継ガイドラインについて理解を深めることができます。
また、事業承継ガイドライン完全解説の中で参考になるのは、掲載されている成功事例です。事業承継ガイドライン完全解説で成功事例を見ることで、事業承継の際の道しるべとなるでしょう。事業承継ガイドライン完全解説は、事業承継のバイブルともいえます。
4. 事業承継ガイドライン(要約版)まとめ
事業承継ガイドライン要約版として解説しました。事業承継は日本の中小企業において重要な課題であり、また、事業承継には計画策定が重要です。
さらに、現在は各自治体の中で、中小企業の事業承継支援事業も積極的に行われています。事業承継に悩みがある場合には、遠慮せずに各種専門家・専門機関に相談し、事業承継の実現を目指しましょう。
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