事業譲渡の登記は必要?不要?免責登記のやり方・注意点も解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業譲渡では商号や不動産などの登記は不要なのでしょうか。必要になる場合、どういった書類が必要なのでしょうか。事業譲渡される側を不利益から守ってくれる免責登記とはどういった手続きなのでしょうか。事業譲渡における登記の必要、不要や免責登記について解説します。

目次

  1. 事業譲渡とは?
  2. 事業譲渡のメリット
  3. 事業譲渡には登記が必要?不要?
  4. 事業譲渡で登記が必要となる場合
  5. 免責登記とは?
  6. 事業譲渡での免責登記のやり方
  7. 免責登記を活用する上での注意点
  8. まとめ
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1. 事業譲渡とは?

事業譲渡とは?

事業譲渡とは、会社が保持している事業を他の会社に譲渡する事を意味しています。事業譲渡については、事業を譲渡する側の会社と、される側の会社合意に至った契約のみが譲渡されるものです。

そのため、包括的に業務の権利を引き継ぐ会社分割や合併とは、事業を引き継ぐ点では似ている物の、手続きや法的拘束が異なります。

事業譲渡における譲渡業務契約は、事業の全てを譲渡する事も可能ですし、譲渡される側、する側の合意の基に不要必要な事業を選択して譲渡する事も可能です。そのため、会社分割や合併などと同じように、組織再編手法として活用される事があります。
 
会社分割や合併などの他の事業再編手続きに比べると、債権者保護手続きが不要などメリットが多くあります。以下に、事業譲渡を行う際の手続きを紹介します。

事業譲渡の手続き

事業譲渡の手続きについては、以下の流れで一般的には行われます。

  1. 事業譲渡の契約
  2. 取締役会や株主総会における承認
  3. 事業譲渡通知や公告
  4. 事業譲渡実行
また、事業譲渡の内容などにより、秘密保持契約の締結や公取への書類届出などがあります。さらに、簡易事業譲渡や略式事業譲渡などは、条件により株主総会の承認が不要となっています。

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2. 事業譲渡のメリット

事業譲渡のメリット

ここで事業譲渡におけるメリットについて触れおく必要があります。先の事業譲渡の説明と重複する場面もありますが、事業譲渡におけるメリットを、売り手側、買い手側それぞれについて解説します。

事業譲渡における売り手側のメリット

まずは、事業譲渡における売り手側のメリットを、以下の項目に注目して解説します。

  • 利益を得る事ができる
  • 譲渡したい事業を選択できる
  • 従業員や資産を残す事ができる

利益を得る事ができる

事業譲渡により考えられるメリットの一つが、利益を得る事ができる事です。事業譲渡では、事業を譲渡した対価として現金を売り手側が得られます。事業の譲渡によってもたらされた現金は、会社の運営資金や、新規事業にあてる事ができます。

会社売却に比べてしまうと、どうしても事業譲渡における現金収入は低くなってしまいますが、それでもまとまった現金が入ってくるメリットは見逃す事ができません。

譲渡したい事業を選択できる

先の事項でも触れましたが、事業譲渡では、会社の一部事業を譲渡する事が可能です。譲渡する事業を選択できる所が大きなメリットとなります。

事業譲渡では、採算が合わない事業を譲渡したり、メインとなる事業に人員や費用を集中させるなどといった、経営方針にあわせた事業展開を行う事ができます。既存会社が存続しながら、現金を手にできる事業譲渡は魅力的な手法なのです。

従業員や資産を残す事ができる

事業譲渡のメリットの一つに、従業員や資産を残すことができる事があります。これは、残したい資産や従業員を残すことができるのです。合併などでは、既存会社は無くなってしまいますから、事業譲渡の大きなメリットになっています。

このように、売り手側の事業展開や経営判断に合わせた展開を、事業譲渡に行えることが、事業譲渡を行う際の売り手側のメリットといえるでしょう。

事業譲渡における買い手側のメリット

事業譲渡における売り手側のメリットを見てきました。売り手は、必要としている事業を残し、不要としている事業を譲渡できる事がわかりました。それでは、買い手側における事業譲渡のメリットは、どういった点があるのでしょうか。

ここでは、以下の項目について、事業譲渡する際の買い手側のメリットを解説させて頂きます。

  • リスク回避
  • 税金対策

リスク回避

事業譲渡における、買い手側の一番大きなメリットは、リスクがある事業や資産は継承する必要がないことでしょう。売り手側が必要な事業を残し、不要な事業を譲渡するように、買い手側も不要な事業や資産は、譲渡される必要がないのです。

そのため、売り手側がどんなに不要だからと、事業譲渡をしたいといったとしても、買い手側がその事業に対して必要性を感じない場合は、事業譲渡を契約する必要がありません。事前にリスクを回避する事ができるのです。

事業譲渡以外に事業を継承する方法として用いられる、合併や株式譲渡の場合、買い手側に不要な事業や資産についても継承する必要があります。しかし、事業譲渡であれば契約をする必要がないのです。

M&Aによる事業の継承では、買い取りをした後に債務が見つかるなどの、見えないリスクが後を絶ちません。こうしたリスクから守る事ができるのも事業譲渡の強みでしょう。

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3. 事業譲渡には登記が必要?不要?

事業譲渡には登記が必要?不要?

ところで、事業譲渡においては、登記が必要となるのでしょうか。事業譲渡と同様に組織再編に用いられる事の多い、会社分割や合併とは違い、事業譲渡は当該会社の間で交わされる契約に沿った権利のみが事業譲渡として、移転する事となります。

そのため、事業譲渡における登記は会社分割や合併などとは異なった扱いが必要となるようです。

事業譲渡で活用される登記の種類

①商業登記

事業譲渡における商業登記は、事業譲渡では必要なのでしょうか。結論から申し上げると、事業譲渡における商業登記は、会社合併などの場合と違い、必要ではありません。事業譲渡を行うと、資産には変更がありますが、事業譲渡の対価として現金を受け取るからです。

事業譲渡における、資産の変更および対価として受け取った利益は、貸借対照表での処理のみ必要です。一方で、事業譲渡にあわせて、会社の登記内容を変更したり、会社の商号を変えるなどした場合は、当然の事ですが、登記が必要となります。

②不動産登記

それでは事業譲渡によって不動産登記は必要となるのでしょうか。これは、事業譲渡の資産に不動産が含まれている場合のみ、対象の不動産に対しての所有権移転登記の申請が必要となります。

言い換えれば、事業譲渡の契約の中に、不動産にか関わる契約が存在しなければ、不動産登記は不要という事になるのです。こうした点が、事業譲渡の処理が簡単だと言われる部分となります。

事業譲渡で登記をしない問題点

事業譲渡で登記をする必要が無いため、商号や屋号は基本的には引き継ぐことがありません。そのため、外部からは事業譲渡により、事業が移転した事がわかりにくく、不透明さを生んでしまう問題点があります。

会社合併では登記が必要

合併を行うことが決まり、その法的効力が発生した場合、合併によって被合併会社は解散することになります。つまり、解散登記をしなければなりません。一方、合併会社でも登記が必要となり、会社の事業内容などの変更の登記をすることになります。

事業譲渡での登記に関するご相談はM&A総合研究所まで

事業譲渡では登記が必要な場合、不要な場合と対象により変わります。忙しい事業譲渡の最中では、確認も不十分となり必要な登記をし忘れることも

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4. 事業譲渡で登記が必要となる場合

事業譲渡で登記が必要となる場合

基本的には事業譲渡により、登記は不要という事を解説しました。一方で、登記が必要になる場合も存在します。ここでは、事業譲渡により登記が必要となった場合について解説します。

事業譲渡で商号を引き継ぐ場合

事業を譲渡された会社が、商号などを譲渡されていないものの、屋号などを使う場合があります。こうした場合、商号は使用していないので、登記する必要は確かにありません。しかし、将来的にはトラブルの原因となります。

そこで、こうした場合は、後程の説明にも出てきますが、譲渡をされた側の会社にとって不都合が生じる可能性があるため、免責登記を認める必要があります。

事業譲渡で不動産を移転する場合

事業譲渡により、不動産など有形資産を譲渡する場合について解説します。まず、不動産の登記を移転する場合の注意点として、添付書類である「登記原因証明情報」を確認することがあげられます。

「登記原因証明情報」というのは、登記権利の移転を、その権利移転の原因などに基づき証明をする情報です。登記が移転する事になる要因などを、登記官に理解してもらえるように、正確かつ分かりやすく登記原因証明情報を作る必要があります。

この添付書類である「登記原因証明情報」は、2004年以前に一戸建てなどの不動産を売買した事がある場合は、登記を申請する時に「登記原因証書」という形で、売買契約書などに添付書類として扱われています。

不動産登記の終了と合わせて、その添付書類も登記済とハンコが押され、登記後の権利者に「登記済証」として手渡される事で、登記済が証明される権利証となります。しかし、添付書類である「登記原因証書」は法務局に保管されていませんでした。

しかし、2005年から施行された改正不動産登記法により、それ以前に行われていた添付書類である登記原因証書が廃止されると、「登記原因証明情報」を添付書類として、申請書に添付する事となりました。

こうした結果、法務局で添付書類である「登記原因証明情報」が保管されるようになり、「登記原因証明情報」は、対象の不動産により利益を被るなど、不動産に関係をする人であれば、誰でも閲覧が可能となっており、取引における安全性も確保されたわけです。

ですから、2004年以前の場合、「登記原因証明情報」と同様の「登記原因証書」が添付書類として、権利書と一緒に権利者に保管されています。

「登記原因証明情報」の代わりとなる「登記原因証書」を添付書類から見つけ出し、しっかりと「登記原因証明情報」を作成するようにしましょう。

不動産登記の際に必要な書類

不動産登記には、「登記原因証明情報」や「登記原因証書」の添付書類が必要であると解説しました。それでは、実際に不動産登記を行う時には、どのような書類が必要となるのでしょうか。必要な以下に書類を示します。

  1. 登記申請書
  2. 登記識別情報
  3. 印鑑証明書
  4. 住民票
  5. 固定資産税評価証明書

①登記申請書

まず、必要な書類は、登記申請書です。登記申請書は、司法書士などに依頼する事もできますが、法務局のウェッブサイトに書式がありますので、オンライン申請をする事をおすすめします。

②登記識別情報

必要な書類に、登記識別情報があります。登記識別情報とは、登記されている名義人を識別するもので、12桁の英数字で表されています。この登記識別情報も、オンラインで取得する事が可能です。

③印鑑証明書

印鑑証明書は、印鑑登録が行われている印鑑であれば、市区町村役所などから誰でも取得する事ができます。また、コンビニなどでもマイナンバーカードか住民基本台帳カードがあれば、取得する事が可能です。

④住民票

住民票は、住民登録をしている市区町村役所で申請します。また、郵送や電子申請も可能です。

⑤固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書は、登記対象の不動産を所管している市区町村の市民税課などに申請する事で取得できます。

免責登記制度の活用

事業譲渡により、事業譲渡をされた側に不利益が生じる場合があります。こうしたリスクから守るために、免責登記制度の活用をおすすめします。免責登記制度については次の事項で詳しく解説します。

5. 免責登記とは?

免責登記とは?

先にも簡単に触れましたが、事業譲渡によって商号の不利益など、想定外の債務を事業譲渡された側に生じるリスクを避けるために、債務の責任を請け負わないという登記をする事が可能となっています。これが「免責登記制度」と言うものです。

事業譲渡による免責登記制度の活用には、譲渡する側の同意が必要です。ただし、債権者などの同意は不要となっています。

6. 事業譲渡での免責登記のやり方

事業譲渡での免責登記のやり方

事業譲渡における免責登記とはどうような手順で行うのでしょうか。以下の項目で手続きを行います。

  • 申請書類を用意する
  • 免責登記の登録免許税
  • 免責登記の適用範囲

申請書類を用意する

①譲渡会社からの承諾書

免責登記を行う場合、譲渡会社からの承諾書が必要となります。承諾が取れていない場合は、免責登記を行う事ができません。

②譲渡会社の登記簿謄本

事業譲渡を行う会社と、事業譲渡を受け入れる会社の法務局の管轄が違う場合は、譲渡会社の登記簿謄本が必要となります。

③譲渡会社の印鑑証明書

譲渡会社の登記簿謄本と同様に、事業譲渡を行う会社と、事業譲渡を受け入れる会社の法務局の管轄が違う場合は、譲渡会社の印鑑証明書

免責登記の登録免許税

免責登記には登録免許税が櫃王となります。免責登記における登録免許税は3万円となっています。

免責登記の適用範囲

ところで、事業譲渡における免責登記の適用範囲はどういった事項になるのでしょうか。商業登記においては、判例などを踏まえて、事業譲渡における事業譲渡される側の会社が屋号のみを続用する場合において、免責登記が可能としています。

ちなみに、会社分割においても、分割会社の商号または屋号を承継した会社か新たに設立された会社が、続用する場合に、免責登記が可能としています。

7. 免責登記を活用する上での注意点

免責登記を活用する上での注意点

事業譲渡における商号のみに適用される、免責登記ですが、免責登記を活用する場合、以下の点に注意する必要があります。

事業譲渡の際に店舗名を承継した場合は注意

過去の事例では、事業譲渡された企業が、登記を行わずに店舗名を引き継ぎによって、事業譲渡した側の債務も請け負う責任があると認めらえた判例があります。このような事態にならないように、同じ商号や類似した商号を引き継ぐ時は免責登記を行うと良いでしょう。

ただし、免責登記には法務局の判断に左右される事が多いのが現状です。免責登記を考えている場合は、事前に法務局と打合せを行うなどして、円滑に進めるようにしましょう。

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事業譲渡の際に頭を悩ませる免責登記。債務などのリスクを回避するために必須となる手続きですが、申請書類の用意や法務局での打ち合わせなど労力がいります。

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8. まとめ

まとめ

事業譲渡における登記について解説しました。基本的には事業譲渡において、登記を必要としていません。しかし、譲渡内容によっては登記が必要となりますので、どの事業や資産を移転するか考えて、事前に登記の準備をしておきましょう。

M&A総合研究所に相談

事業譲渡における登記の必要性や、免責登記の活用は、自身の判断だけでは難しい所があります。また、登記時に添付書類としている「登記原因証明情報」などの作成も発生する可能性があります。

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