2021年03月03日更新
会社売却のメリットとデメリット!ポイントを知って会社を高く売ろう

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
会社売却とは、さまざまな方法で他の企業や個人に会社を売ることです。会社を売ることは大変な出来事であると同時に、大きな可能性を秘めたことでもあります。今回は、会社売却とは何かなど基本的な知識と併せて、メリットとデメリットをまとめました。
目次
1. 会社売却とは?
会社売却とは、対価を受け取って会社の所有権を売却することです。従業員や取引先なども含めて考えると非常に多くの要素が関わってくる大きな出来事であり、そう簡単に行えることではありません。
そのため、会社の売却についてよく知ったうえで検討する必要があります。ここでは、会社売却とは何かその概要とその種類、事例について確認しましょう。
会社売却とは何か?
会社売却とは会社の所有権を売却し対価を得ることです。会社を売却する経営者には、さまざまな理由があります。
例えば、ノンコア事業から撤退し選択と集中を行って、本業に専念するといった戦略的な理由もあれば、大企業の傘下に入ることでより大規模に事業を展開できる環境を整えたり、ベンチャー企業のイグジット手法として行ったりすることもあります。
このような理由は比較的前向きな攻めの姿勢ですが、そうでない場合もあります。債務を抱えている、従業員が不足しているといったことから、事業再編に迫られて売却するケースもあります。
ネガティブな理由として人材不足の他に、後継者不在で企業譲渡を行う会社も増えています。
会社売却における後継者不在問題
現在の日本で会社を売却する特徴的な理由として「後継者不在」があります。
M&Aマーケットの情報によると、日本では1年間に約7万社が後継者不在を理由に廃業しており、日本経済を支えている活力が失われていると指摘されています。事実、後継者不在のために企業売却を行う経営者も多くなってきました。
特に中小企業における後継者不在は深刻で、後継者不在のために企業売却をする中小企業は今後さらに増加していくと考えられます。
会社売却における周りへの影響
会社は多くの人たちを巻き込んで事業活動をしています。例えば、従業員はその最たるものであり、給料をもらいながら会社の活動を行い、家族を養っています。そのような中で会社が売却されるとなれば、少なからず環境の変化に不安を感じることでしょう。
企業売却において、取引先も重要な関係者です。取引先にしてみれば、取引している相手が第三者へ売却されることによる売り上げへの影響を気にするでしょう。
このように企業売却をするということは、日本経済、会社の従業員やその家族、取引先などさまざまな相手に影響を与える非常に重要なことでもあります。
会社を売りたいときにおすすめの相談先
会社売却・会社を売る手段や手続きに不安がある場合は、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。
M&A総合研究所では企業売却に精通した実績・経験豊かなM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたします。
また、料金体系は完全成功報酬(中間金のみ買手側の企業様より頂戴しております)を採用しております。無料相談をお受けしておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。
会社売却の種類は?
このように企業売却の方法は複数の種類があり、状況に適切なものを選択することが必要になります。
どの種類を選択するかは、非常に専門的な内容です。具体的な企業売却の現場ではM&A仲介会社などの専門家のアドバイスを受けながら決めていくことをおすすめします。
株式譲渡
まず、会社売却の種類に株式譲渡という方法があります。株式譲渡とは、会社の株式を保有している株主が他の企業や個人に株式を譲り渡すことです。
通常、株式は会社が保有しています。株式を第三者に譲り渡すということは、会社の経営権を譲ることになります。
合併
会社売却の種類には、合併という方法もあります。合併は、2つ以上の異なる会社が一つになることです。
一方の会社が吸収するものと、全く異なる第3の会社を設立するものがあります。
マネジメントバイアウト(MBO)
会社売却の種類には、マネジメントバイアウト(MBO)という方法もあります。マネジメントバイアウト(MBO)とは、会社の社員や従業員、親族に対して会社売却が行われることです。
それまでの企業文化や企業風土をよく知っている人が会社を買うことになるので、スムーズに移行できるメリットがあります。
会社の清算
会社の清算という方法もあります。会社の清算とは、究極的に会社の法人格そのものをなくしてしまう方法です。会社の清算は、後継者がいない場合や破産したときなどに行われます。
会社売却の成功事例一覧!
日本国内でもM&Aは数多く行われています。以下の表は、その一例を一覧にまとめたものですが、老舗からベンチャー企業まで、多くの企業が実際に会社を売却していることがわかります。
売り手企業 | 買い手企業 | 設立から売却までの期間 |
---|---|---|
日本テレコム | ソフトバンク | ー |
RJRナビスコ | 日本たばこ産業(JT) | ー |
因幡うどん | 力の源ホールディングス | 約65年 |
ブレーン・コーポレーション | エコフィット | ー |
向井珍味堂 | ヒガシマル | 約70年 |
億万両本舗和作 | 中日本氷糖 | ー |
3ミニッツ | グリー | 約3年 |
クラビス | マネーフォワード | 約5年 |
三光アド | じげん | 約17年 |
上記で一覧にした事例は、業界も規模もM&Aの目的も異なります。しかし共通していることは、どの事例も大変な手続きや交渉プロセスを経て、成功に行き着いたことです。
売り手企業は、長い歴史のある会社を売却する葛藤と戦ったり、ベンチャーとして血のにじむ努力を続けてきたりと、それぞれ並々ならぬ想いを持って売却に取り組んでいました。
会社の売却は、売り手企業と買い手企業の双方がうまく噛み合うことで、初めて成功するものともいえるでしょう。
2. 会社売却で会社を売るメリット・デメリット10選!
会社を売却することは、非常に大きな決断であり大変なことであるとすでに紹介しました。では、そこまでして売却をするメリットはどこにあるのでしょうか。また、それによるデメリットは何でしょうか。
会社売却のメリットとデメリットを理解しておけば、いざ企業売買を行う際に決断しやすくなるでしょう。ここでは、会社売却におけるメリットとデメリットをそれぞれ5つずつ紹介します。
会社売却のメリット
会社を売るメリットは、次の5つです。それぞれのメリットを順番に確認しましょう。
- 創業者・株主が利益を得られる
- M&Aをしたアントレプレナーとして評価される
- 個人保証や連帯保証から解放される
- 事業承継により休める
- 買い手企業とのシナジーや企業基盤の強化が期待できる
創業者・株主が利益を得られる
まず、創業者や株主が大きな利益を得られるというメリットがあります。
会社売却は大きな金額が動く取引です。そのため、もともと株式を保有していた創業者や株主は、大きな利益を得られます。
M&Aをしたアントレプレナーとして評価される
2つ目は、M&Aをしたアントレプレナーとして評価されるというメリットです。アントレプレナーとは、事業を立ち上げて経営を始める人のことをいいます。
会社が価値のある事業を行っており、その事業が評価されてから売却した際、創業者に経営手腕があったという証明にもなります。
個人保証や連帯保証から解放される
3つ目は、個人保証や連帯保証から解放されるというメリットです。会社を経営していくうえで、銀行から多額の借り入れをしていることもよくあります。その際、創業者や役員が保証人になることが一般的です。
会社を売却する場合、一般的に保証人を買い手企業が引き継ぐので、売り手企業の経営者は保証人から外れます。
事業承継により休める
4つ目は、事業承継ができることで休めるというメリットです。事業を引き継いでもらえることで、それまで会社を引っ張ってきた役割から解放されます。
事業承継することによって休みの時間が得られ、家族との時間や趣味に多くの時間を使えるようになります。
買い手企業とのシナジーや企業基盤の強化が期待できる
最後は、買い手企業とのシナジーや企業基盤が強化されるというメリットです。ここでいうシナジーとは、会社が単独で事業を行うよりも組み合わさることでより大きな成果が出る効果のことです。
会社が単独で事業を行っているとどうしても頭打ちになる時期がやってきます。そのときに他社に会社を売却することで、買い手企業の事業とうまく相乗効果を出せることが期待できるのです。
また、それによって会社の基盤が強化され、より安定した経営が可能になることも期待できます。
このように、大きな利益を得ることができたり、会社単体では成し得ないことが可能になったりすることが会社売却の最大のメリットといえるでしょう。
会社売却のデメリット
一方、会社売却のデメリットは以下の5つです。デメリットについても、順に確認しましょう。
- 意思決定が遅くなる
- 売却先の企業に拘束されるリスクがある
- 売却後に事業領域が制限される
- モチベーションの低下を招く
- 買い手企業ともめる可能性がある
意思決定が遅くなる
1つ目のデメリットは、経営の意思決定を買い手企業と相談する必要があることです。
会社を売却する際に特に重要なことは、今後の意思決定について買い手企業と齟齬のないようにすることです。なぜなら、買い手企業と認識がずれていると、思いもよらぬトラブルに見舞われるリスクがあるからです。
そのため会社売却後の意思決定は、買い手企業に随時報告しながら行わなければなりません。
売却先の企業に拘束されるリスクがある
2つ目は、買い手企業に拘束されるリスクがあることです。売却してしまうと会社の所有権は売却先に移ります。
しかし、譲渡条件によっては、ある程度の期間を子会社の社長として勤務しなければいけないなど拘束されるケースもあります。
売却後に事業領域が制限される
3つ目は、売却した後に事業領域が制限されることです。
売却後に事業領域が制限されることを、競業避止義務といいます。競業避止義務があると、売却後数年間は売却した事業に関われなくなります。
モチベーションの低下を招く
4つ目のデメリットは、ロックアップ中にモチベーションが維持できなくなることです。
ロックアップとは、売り手企業のキーマンが抜けることによって事業が頓挫しないように、売却から数年間は決められた対象者(キーマン)は辞められないというものです。
多くの場合キーマンは、CEOなど会社の重要な役職についている人となります。ロックアップ期間中は、キーマンのモチベーションを維持することが難しくなりやすいのも注意点です。
買い手企業ともめる可能性がある
5つ目のデメリットは、買い手企業ともめるリスクがあることです。
2つ以上の異なる文化を持つ会社同士のやりとりなので、うまくコミュニケーションができなくなるというリスクを避けてとおれません。また、事前の契約事項の解釈が異なることでトラブルになる事例もあります。
このように、会社を売却する場合は、買い手企業とのコミュニケーションや創業者の関わり方など、さまざまな課題を解決していかなければなりません。
3. 会社売却・会社を売るポイント5選!
会社を売却するメリットとデメリットを理解したうえで、会社売却の何に気をつければいいのでしょうか。ここでは、会社売却のポイントである次の5つを詳しく紹介します。
- 会社売却のタイミングが良いこと
- 会社の強み・弱みを明確にできていること
- シナジー効果のある買い手企業を見つけること
- 買い手企業の経営者と人間的に合うこと
- 会社売却に良いM&A仲介会社を見つけること
①会社売却のタイミングが良いこと
何かを売りに出す際には、タイミングが非常に重要です。特に会社を売却するなら、企業価値が最大になるタイミングで売却することが理想的です。
例えば、技術系の業界だと、最新技術や独自技術が社会の潮流として必要とされれば、会社を高値で売ることが可能になります。
しかし、すでに廃れた技術や規制緩和によって免許も必要なくなる場合などでは、企業の価値が途端に低くなるケースも多いです。
会社を担っている人たちについても、同じことがいえます。日本の中小企業は高齢化が進んでおり、事業承継のために会社を売却しようと考えたとしても、役員や従業員が高齢だと将来性がないとみなされ売却価格は下がってしまいます。
このように、企業価値が高いタイミングは会社によって異なるので、会社売却を考えたら専門家に相談して、売却に一番良いタイミングを逃さないようにしましょう。
②会社の強み・弱みを明確にできていること
買い手企業が売り手企業を買収するインセンティブの1つに、「自社にない強みを手に入れたいから」ということがあります。そのため、売り手企業は売却前に自社の持つ強みを明確にしておくことが必須です。
強みだけでなく、弱みも明確にしておきましょう。弱みを明確にすることは企業の評価を下げることにはつながらず、企業の強みを際立たせる説得力にもつながります。
弱みのない企業など存在しません。弱みを明確にすることで、よく自社を分析していると高評価を受けることも期待できます。また、買い手企業に対して今後の意思決定や、事業計画に対するヒントを与えることにもつながります。
③シナジー効果のある買い手企業を見つけること
会社を売却することは、非常にコストと手間のかかることです。事前の準備やコミュニケーションが大変なうえ、売却した後も継続的にやりとりを続けなければなりません。
これほどの手間をかけて行うのですから、それと同じかそれ以上のシナジー効果を発揮しなくては意味がありません。
そのため、シナジー効果を発揮できる事業や組織文化を持った買い手企業を見つけられるかが、会社売却を成功させる大きなポイントになります。
買い手企業は、自力で探すこともM&A仲介会社など専門家に探してもらうことも可能です。M&A仲介会社などの専門家に依頼すれば、自社とシナジー効果を期待できる買い手企業がみつかる可能性も高くなります。
④買い手企業の経営者と人間的に合うこと
会社の売却とはいえ、本質的には人間対人間のコミュニケーションでしかありません。そのため、買い手企業の経営者や従業員と人間的に合うかどうかも大きなポイントになるでしょう。
人間的に合えばコミュニケーションをスムーズに行え、売却後も滞りなく事業を進められます。M&Aを進める中での面談で、しっかりと話して会社を任せられるかを判断しましょう。
⑤会社売却に良いM&A仲介会社を見つけること
会社を売却することに関わるさまざまな手続きや準備を全て自分だけで行うことは、非常に困難です。専門的な知識やネットワークが必要になるうえに、社内外での調整も必要となります。そのため、M&A仲介会社に協力してもらうことが一般的です。
しかし、M&A仲介会社はピンからキリまであります。自社の抱える案件と相性の良いM&A仲介会社を見つけることが重要です。
すでに紹介したとおり会社を売却する方法は複数ありますが、M&A仲介会社によって、得意な売却方法、業界などが分かれています。何をどこまで行うかについても異なるため、自社に適したM&A仲介会社を見つけましょう。
もし、M&A仲介会社をお探しでしたら、M&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は会社売却のお手伝いをしており、企業売買に詳しいM&Aアドバイザーが、会社の売却をフルサポートいたします。
また、料金体系は完全成功報酬(中間金のみ買手側の企業様より頂戴しております)を採用しております。無料相談をお受けしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
4. 会社売却において高い価格で会社を売るには?
会社を売却する際により高い価格で売るためには、自社が持っている事業や技術、人材、文化が高く評価される必要があります。そのためには、何よりもまず誠実であることが必要です。
一般的に企業の売買が行われる際には、デューデリジェンスと呼ばれる企業価値を判断するための調査が入ります。デューデリジェンスは、法務や財務、ビジネスモデル、人事、環境などさまざまな切り口から行われます。
自社の強みと弱みを明確にしておくことが企業を売却するうえでのポイントであると紹介しましたが、強みも弱みもデューデリジェンスによって明確になります。
その際、引け目を感じてネガティブ要素を隠していることが判明すると、買い手企業への印象が非常に悪くなり、信用を失うことにもなってしまいます。
以上のことを踏まえて会社をより高く売却するためのポイントをまとめると以下のとおりです。
- 特許や技術を持っていること
- 業界が成長していること
- シェアを持っていること
- 優秀な従業員が定着していること
- 取引先などの顧客リストが充実していること
- 誠実に対応すること
これらはどれも重要なポイントで、会社の価格を決める際に大きな影響を与えます。
買い手企業の心理を考えれば、充実した顧客リストや独自の技術などを持っており、優秀な従業員が定着しているシェアを押さえている会社となれば、非常に魅力的に映るはずです。
5. 会社売却の相場・企業価値の算出方法!
会社売却に当たって、企業価値はどのように計算され、相場はどの程度なのでしょうか。
実際には会社を売却する金額は、買い手企業との交渉次第とされているので交渉によって上下し、自社が持っている強みや弱みによっても評価金額が変わってきます。
最もわかりやすい会社の価格は、「自社が保有している純資産の価格」です。貸借対照表にあらわれる最もわかりやすい会社の価格となります。
しかし、すでに紹介したとおり自社が保有している強みや弱みによってこの金額はいくらでも変わってしまいます。そのため、会社売却の現場では主に次の2つの手法が用いられます。
- ディスカウントキャッシュフロー法
- マルチプル法
①ディスカウントキャッシュフロー法
まず、ディスカウントキャッシュフロー(Discount Cash Flow)法と呼ばれる手法があります。ディスカウントキャッシュフロー法は、将来的にどの程度の価値になるのかを計算しそこから逆算して現在の企業の価格を評価する方法です。
ディスカウントキャッシュフロー法でポイントとなるのは、将来にわたってキャッシュフローを生み出すのか、キャッシュフローは成長するのかといった点です。そのため、事業計画や戦略が最も重要な評価の要素になります。
②マルチプル法
また、マルチプル法もよく使われます。マルチプル法は、よく似た企業をピックアップしてその企業と評価対象の企業を比較することで、企業価値を評価する方法です。
具体的には、類似企業の企業価値が特定の指標(当期利益や一株当たりの利益など)の何倍になっているかを算出し平均を求めます。その後、評価対象の企業にその倍率を掛けることで企業価値を評価します。
マルチプル法のポイントは、類似企業のピックアップにあります。いうまでもなく全く違う業種や財務体質だと倍率の計算に狂いが生じてしまうので、慎重に選ぶ必要があります。
実際の現場ではこのような難しい方法を駆使して会社の価格を評価しますが、一般的には経常利益の5倍が企業価値の目安とされています。いい換えれば、会社がどの程度稼ぎ出せるのかが重要な評価基準になっているといえるでしょう。
以下の動画でM&Aアドバイザーが計算例を用いてマルチプル法について解説しておりますので、是非ご覧ください。
複雑な企業価値の算出はM&A専門のアドバイザーにお任せ
会社売却の際には数多くの複雑な手続きが待っています。企業価値価額の算出は最たる例でしょう。
「どういった算出方法で企業価値を導き出せばいいのかわからない」というときは、M&A専門のアドバイザーによるサポートがおすすめです。
M&A総合研究所には、会社売却に関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しております。難しい企業価値価額の算出はもちろん、契約書の作成や手続き、買収先への仲介までお任せいただけます。
無料相談を行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
6. 会社売却前に必要な準備
会社の売却に移る前にどのような準備が必要になるでしょうか。ここでは、会社を売る前に必要な準備を順番に解説します。
- 会社売却の譲渡スケジュールを決める
- 会社の業績、取引先を整理しておく
- 不透明な取引をまとめておく
- 会社を売る条件を明確にしておく
それぞれ詳しく確認しましょう。
①会社売却の譲渡スケジュールを決める
何事もスケジュールは肝心で、会社を売却するときも例外ではありません。特に、大変な作業だからこそしっかりとしたスケジュール感のもとで進めていくことが求められます。
スケジュールは、あまりにも短すぎると調整が忙しくなり大変です。しかし、長く取りすぎると業界を取り巻く状況が変わってしまうリスクが高くなり、好条件で売却することが難しくなる可能性があるので注意が必要となります。
M&A仲介会社の中には、成立までの時間が早いことを売りにしている会社もあるので、早く成立させたい場合はこの観点から探すとよいでしょう。
②会社の業績、取引先を整理しておく
デューデリジェンスや交渉に備えて、自社のこれまでの業績を整理し、現在どの程度の売り上げや純資産があるのかを整理しておきましょう。整理した内容が、買い手企業が確認する第一の情報となります。
理想的には3期以上の赤字が続かない財務体質があり、過度な税金対策を行わないことが求められます。
売り上げの大きさよりも利益を重視した経営を行い、できれば利益が伸びている状況を作っておくと成長できる会社として高く評価される可能性が高くなるでしょう。
また、中長期的にしっかり売り上げを作れる状態を整えておく必要もあります。これにより、売却した後にもある程度稼ぎを出せる企業として評価が大きくなります。
会社の価格は現在どの程度稼ぎ出せる力があるかが大きな要素となります。また、将来的なキャッシュフローも企業価値評価に大きな影響を与えるので、この段階でしっかりと準備しておきましょう。
③不透明な取引をまとめておく
不透明な取引があれば、まとめて整理しておく必要があります。不透明な取引とは、詳細がよくわからない取引や税務上問題のある取引、取引先が反社会的な関わりがあるものなどです。
このような取引が交渉段階で明らかになれば、確実に心証が悪くなり、最悪のケースでは売却の話がなかったことになりかねません。
事前に詳細を明確にしておくことで、税理士や会計士などにアドバイスを求めるといった対策をとることも可能です。
また、不可抗力で税制面や法律面で不透明な取引が行われていた場合は、事前に買い手企業に伝えられるようにしておくことも重要です。
④会社を売る条件を明確にしておく
交渉ごとでは当然のことですが、どこまで譲歩できてどこからは譲歩できないのかを事前に明確にしておく必要があります。そのためには、売却後にどのように事業を進めていきたいのかをしっかりと考えておきましょう。
売却の金額やロックアップ、雇用条件に関しては、丁寧に考えておく必要があります。また、売却額についても、自社のデューデリジェンスによってある程度は決定しますが、算段をつけておくようにしましょう。
また、ロックアップの期間については、どの程度なら許容できるのかを整理しておくと交渉しやすいでしょう。従業員の待遇や雇用についても売却条件にするならば、整理しておく必要があります。
7. 会社売却の際に準備すべき資料
会社を売却する際に必要な資料は多岐にわたり、状況によっても左右されます。しかし、主に自社の業績をPRする資料、基本的な情報をまとめた資料、財務書類、人事資料、契約書関連などに整理することが可能です。
具体的には、以下のとおりです。
- 自社をアピールできる資料や材料
- 事業計画書(今後3カ年程度の売上・利益の見とおし)
- 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や定款、株主名簿
- 会社案内
- 財務資料や決算書関係一式
- 事業ごとの月次試算表
- 組織図や役員・部門長の経歴書、従業員名簿
- 規則をまとめた各種規定
- 取引先や賃貸借、リース、保険などの契約書
- 許認可などの写し
中には役所に行けば手配できる資料も多いですが、自分たちで作成しなければならない資料もあります。
このような資料を作るのは大仕事なので、M&A仲介会社や税理士、弁護士などの専門家のアドバイスをもらいながら作成すると良いでしょう。
8. 会社売却の方法と手続き・流れ!会社売却のその後も解説!
実際に会社売却の流れがどのようになるのか、見ていきましょう。
- 会社を売る準備
- M&A仲介会社と契約
- 買い手企業候補の選定と打診
- トップ面談
- 基本合意契約の締結
- デューデリジェンスの対応
- 最終契約の締結とクロージング
会社売却の流れの中で、手続きについても詳しく確認しましょう。
①会社を売る準備
会社売却を行う際、初めにすることは従業員としっかりと意思疎通を図ることです。きちんと説明をして、売却にあたってどのような流れになるのかを共有しておきましょう。
もし従業員の理解を得られずに会社を売却すると、従業員の不満を招いて離職につながります。会社売却前だけでなく、売却を進めるうえで決まったことは随時話しておくと、従業員も会社売却に対して心の準備ができるでしょう。
自社の強みや弱みを明確化し、資料も集めておくとスムーズに会社売却に移行できます。
②M&A仲介会社と契約
次に、M&A仲介会社と契約します。M&A仲介会社は多くあり、それぞれに得意分野があります。自社の状況や希望に合ったM&A仲介会社を選ぶことが重要です。
M&A仲介会社によって、手数料やM&A成立までのスピードも異なります。自社に適したM&A仲介会社を選ぶためには、複数のM&A仲介会社を比較することが大切です。
③買い手企業候補の選定と打診
M&A仲介会社と契約した後、自社の分析を行ってもらいます。なかなか自社の強みや弱みを自分で分析することは難しいので、専門家であるM&A仲介会社と一緒に行うのが確実です。
そして、買い手企業候補を探します。買い手企業候補を見つける際は、M&A仲介会社のネットワークも活用しながら探すことが必要です。M&A仲介会社に依頼すれば、複数の買い手企業候補をピックアップしてくれます。
気に入った買い手企業候補を見つけたら打診し、買い手企業候補が関心を示せば面談を行います。
④トップ面談
買い手企業候補に打診したら、トップ面談を行います。トップ面談とは、売り手企業と買い手企業の経営者が直接話し合うことです。
主に以下のようなことを話し合います。
- 経営方針
- 経営理念
- 企業文化
- M&Aへの考え方
- 今後のビジョン
互いの会社を理解するために、相手の会社や工場に出向くこともあります。トップ面談で買い手企業に会社を売却して良いと思えれば、本格的な交渉を行いましょう。
売り手企業の経営者一人では、自社の希望を伝えられないこともあります。交渉は、M&A仲介会社などM&Aに詳しい専門家に同席してもらって行いましょう。
⑤基本合意契約の締結
買い手企業と売却の条件を決めたら、基本合意契約を締結します。基本合意契約とは、買い手企業と話し合った条件でM&Aを進めていくことを約束する契約のことです。
基本合意契約は非常に重要な契約で、大きな問題が生じない限りは、基本合意契約の内容が最終契約書になることもあるのです。そのため、しっかりと確認しましょう。
基本合意書には、取引の基本的条件、価格、売買までのスケジュール、契約予定日、デューデリジェンスに関する事項、独占交渉権、当該基本合意文書の有効期限と法的拘束力の範囲などの内容を記載します。
また、独占的交渉権が付与されることで、基本合意契約を締結した後に、売り手企業は買い手企業以外の相手と売買交渉ができなくなることも多いため注意が必要です。
⑥デューデリジェンスの対応
基本合意書を締結した後は、デューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスの結果によって自社の価値が判定され、最終的な契約書の参考情報になるのです。
すでに紹介しているような準備した資料をもとに審査されます。デューデリジェンスはたくさんの観点がありますが、案件によって特に重要とされる切り口が異なります。そのため、普通は優先順位をつけて行われます。
デューデリジェンスは膨大な資料を求められることもあるため、M&A仲介会社など専門家に協力してもらうとスムーズに進められるでしょう。
⑦最終契約の締結とクロージング
デューデリジェンスが滞りなく終われば、いよいよ最終契約書の締結です。デューデリジェンスに問題がなければ、基本合意書の内容がほぼそのまま反映されることになります。その後、譲渡が実行され入金が行われてクロージングとなります。
9. 会社売却の専門家6社を紹介!
M&A仲介会社は会社売却を行う際に重要です。M&Aに関わる複雑でデリケートな調整や情報整理を行うためには、専門家の力を借りるのが一番です。
しかし、M&A仲介会社といっても国内だけでも相当の数があります。ここでは、会社売却の際に力になってくれる専門家を確認しましょう。
ここでは、以下のM&A仲介会社を紹介します。
- M&A総合研究所
- 日本M&Aマネジメント
- かえでファイナンシャルアドバイザリー
- インテグループ
- クラリスキャピタル
- コーポレート・アドバイザーズM&A
それぞれのM&A仲介会社は、独自の特徴や強みを持っており、得意な業界も異なります。また料金体系も、扱っている案件の規模も違います。
どのM&A仲介会社に相談するかを検討する際は、自社の特徴や案件の規模などとM&A仲介会社の特徴を見極めておく必要があります。
①M&A総合研究所
M&A総合研究所の魅力は、相談料・着手金・月額報酬無料といった手数料体系です。完全成功報酬制(中間金のみ買手側の企業様より頂戴しております)となっており、成功報酬に関しても国内では安値水準を設定しています。
多くの経営者が初めて経験する会社売却・事業承継ですが、M&A総合研究所は大きな不安要素の一つである価格設定を明確にすることにより、第一歩を踏み出しやすくしております。
もちろんM&Aに関する知識・経験も豊富で、会社売却や事業承継のさまざまなお悩みに本気で寄り添います。
個々の案件に対して、M&Aアドバイザーが専任でフルサポートいたしますので、ご利用される経営者様に成約までの期間も安心して、会社経営に勤しんでいただけます。
②日本M&Aマネジメント
日本M&Aマネジメントは、戦略的なM&Aに関わる各種支援を行うM&A仲介会社です。他にも企業再生支援も合わせて行っており、事業や業界の再編を広範囲にカバーしています。
M&Aの支援では、M&Aや事業提携などの仲介・あっせんや提携戦略の構築、企業評価や条件交渉、統合に関わるアドバイスなどを行っている会社です。
飲食業界から不動産、印刷会社、人材派遣会社、銀行などさまざまな業界でのM&Aに成功した実績があり、国内トップレベルの仲介会社といえるでしょう。
③かえでファイナンシャルアドバイザリー
かえでファイナンシャルアドバイザリーは、事業承継M&Aだけでなく、事業再生M&Aやベンチャー企業M&A、株価算定などM&Aに関わる多くのサービスを展開しているM&A仲介会社です。
報酬は着手金や月額報酬、中間報酬を無料にして成功報酬のみになっております。また、2005年の創業から、成約案件は300社以上という実績があります。
④インテグループ
インテグループは、完全成功報酬型の料金体系のM&A仲介会社です。マクロミルが2018年5月に実施した「M&A仲介会社のブランド認知度等に関する調査」では、認知度や相談したことがある会社、相談したい会社の各部門で1位にランクインしています。
最大の売りは、M&Aの成立までの時間が早いことです。一般的に半年から1年ほどかかるM&Aを、インテグループは3ヶ月から半年で行っています。
他のM&A仲介会社のほぼ倍のスピードで話が進むので、業界の変化が早い案件にも柔軟に対応できるでしょう。
⑤クラリスキャピタル
クラリスキャピタルは、事業承継に関わる総合的なアドバイスやあっせんを行うM&A仲介会社です。
手数料は完全成功報酬制で、成功報酬のみで200万円からとリーズナブルです。小規模案件にも積極的に取り組んでいます。
また、M&Aアドバイザリー顧問サービスも展開しており、月額顧問料を支払うことでM&Aの基礎知識や注意点などに関するレクチャーからM&A戦略に関するアドバイス、案件のセカンドオピニオンといったサービスを受けられます。
⑥コーポレート・アドバイザーズM&A
コーポレート・アドバイザーズM&Aは、M&Aの仲介やアドバイザリー、事業継承のコンサルを行うM&A仲介会社で、グループ企業にデューデリジェンスなどを行う会社や税理士・社会労務士法人などがあります。
会社売却の相談から成約までのサポートだけでなく、成約後の統合業務や相続対策などにも対応しています。
また、マーケティングを駆使した交渉相手の発掘にも強いので、シナジーを生み出す会社との高率的な交渉ができるでしょう。
10. 会社売却を成功させよう!M&A仲介会社選びのチェックポイント
M&A仲介会社を選ぶ際、簡単なポイントをチェックすることでリスクの少ない会社売却・事業承継が行えます。
最低限チェックするべき項目は、全部で5つです。
- 相談料・手数料・報酬をわかりやすく伝えていること
- さまざまな業種を取り扱った実績があること
- 専門的分野のM&A実績を持っていること
- M&Aに関する総合的な知識を持っていること
- 相談した際に親身になって寄り添ってくれること
早速確認しましょう。
①相談料・手数料・報酬をわかりやすく伝えていること
まず1つ目は、相談料・手数料・報酬をわかりやすく伝えていることです。
M&A仲介会社へ会社売却に関する依頼をしたあとで、相談料や各種手数料を請求されるケースもあります。もしくは法外な成果報酬を提示されることもあるので注意しましょう。
そうした被害に遭わないため、相談料・手数料・報酬がわかりやすく伝えていることが重要です。
②さまざまな業種を取り扱った実績があること
続いて2つ目は、さまざまな業種を取り扱った実績があることです。
M&Aの交渉において、経験が豊かであることは大きな強みとなります。さまざまな業種を取り扱った実績は、安心して任せられる一つの基準となるのです。
③専門的分野のM&A実績を持っていること
3つ目は、専門的分野のM&A実績を持っていることです。近年では数多くの業界でM&A・会社売却が行われていますが、医療関係や教育関係といった特殊な業界もあります。
もし会社が一般的ではなく専門性のある業種であった場合、同じ業種を扱ったことのあるM&A仲介会社に任せることをおすすめします。
④M&Aに関する総合的な知識を持っていること
4つ目は、M&Aに関する総合的な知識を持っていることです。
特に初めてM&A・会社売却を行う経営者にとってみれば、M&Aはわからないことの方が多いでしょう。
「○○とはどのような意味なのだろうか?」「△△するとどうなるんだろう?」といった疑問や悩みを聞いたら、すぐに返答してくれるM&A仲介会社が良いでしょう。
⑤相談した際に親身になって寄り添ってくれること
5つ目は、相談した際に親身になって寄り添ってくれることです。
M&A・会社売却・事業承継の決断は大きな人生の岐路となります。不安や悩みに対して親身になって寄り添ってくれるようなサポートも、M&A仲介会社の重要なポイントといえるでしょう。
ほとんどのM&A仲介会社で相談は無料です。まずは相談をし、担当者との相性を確認することをおすすめします。
11. 【参考】会社売却では節税対策もしておこう
会社売却の際に大きな金額が手に入ることが多いですが、多くの場合税金が発生します。納めなければならない税金は、売却の手法によって異なります。
例えば、株式を譲渡する場合は、最も大きいものは所得税や住民税です。この場合の税率は、所得税15%と住民税5%の20%です。
創業者や社長が受け取る役員報酬にもよりますが、役員報酬へかかる税金が40%近くになることを考慮すると、上記の20%は安くなっていることがわかります。
そのため、最初から会社売却を目指すのであれば、役員報酬を低めに設定しておくと最終的に節税になります。
他にも、退職金によって節税することも可能です。退職金とは、役員退職慰労金のことをさします。
株式を譲渡した後に受け取る金額を退職金として受け取る方法で、譲渡所得と退職金で異なる税金がかかるので、金額を調整すれば節税につながるのです。
また、会社を分割することで課税される所得を減らすという方法もあります。売却に関わる資産以外の不要な資産を別会社に移し、必要資産を持った会社を売却することで課税される金額を圧縮でき、結果として節税につながるのです。
以上のように節税にはさまざまな方法があります。自社の状況に合わせた節税方法を利用して、お金を手元に残しましょう。
12. まとめ
今回は、会社売却のメリットとデメリット、そして売却に関わる知識をさまざまな角度から紹介しました。
会社を売却するメリットとデメリットをよく理解したうえで、より良い結果が出るよう努めましょう。
また、会社売却をしたくてもM&Aを自力で進めることは困難です。自社に合ったM&A仲介会社を利用することをおすすめします。
会社の売却は以下のようなメリットがあります。
- 創業者・株主が利益を得られる
- M&Aをしたアントレプレナーとしての評価される
- 個人保証や連帯保証からの解放される
- 事業承継により休みができる
- 買い手企業とのシナジーや企業基盤の強化を期待できる
一方、会社売却のデメリットは以下のとおりです。
- 意思決定が遅くなる
- 売却先の企業に拘束されるリスクがある
- 売却後に事業領域が制限される
- モチベーションの低下を招く
- 買い手企業ともめる可能性がある
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