2021年10月03日更新
会社売却とは?メリット・デメリット、売却相場までを徹底解説!
会社売却とは、第三者に会社を売ることです。「会社を売ってしまっても良いのか」「会社の売りどきがわからない」という経営者は多いです。今回は会社売却のメリット・デメリットとは具体的にどのようなものなのか、また、会社売却の手法や相場についても解説します。
目次
1. 会社売却とは
会社売却とは、文字どおり会社を売ることです。会社の持つあらゆる資産・負債を他社や経営者へ承継させます。
例えば、会社が持つビルや工場、顧客・取引先との契約関係、従業員なども他社へ承継させるのです。経営者が会社売却を考えるきっかけは大きく4つあります。
- 後継者不足問題を深刻に考え出した
- 業界全体の市場が縮小して、会社の先行きが不安になった
- 会社や事業への情熱がなくなってしまった
- 違う事業を立ち上げたいため資金が必要となった
このように、会社売却を行うきっかけはさまざまです。もし、これらの状況に当てはまるのであれば会社売却を検討してみましょう。
会社売却をするとどのようなメリットがあるのか、次の章で説明していきます。
2. 会社売却をする4つのメリット
会社売却をするメリットは、以下の4つです。
- 事業承継問題を解決できる
- 創業者利益が得られる
- 売却先とのシナジー効果で事業を拡大できる
- 連帯保証からの解放
1つずつ詳しく確認していきましょう。
①事業承継問題を解決できる
帝国データバンクの2019年の情報では後継者不在率が65.2%となっており、経営者は後継者不足に悩まされていますが、会社売却をすることで事業承継問題を解決できるのです。
創業時は自分が引退したときのことなど真剣に考えられません。自分の子どもや従業員に引き継げば良いと思っているでしょう。
しかし、少子化が進む今なかなか引き継いでくれる子どもはいません。また、経営者になって欲しいと思う従業員がいないケースもあるでしょう。
そこで会社売却をすれば、すでに経営者として活動している人に経営権を引き継ぐことができます。特に同業者に売却すれば、ノウハウもあるため安心して任せることができます。
後継者がいなくて困っていても、会社売却をすれば会社を継続できるのです。
②創業者利益が得られる
会社売却をすると、創業者利益を得ることができます。創業者利益とは、創業者が会社設立時から持っていた自社の株を第三者に売却して得ることのできる利益のことです。
どのような会社でも創業時の株価は低いです。しかし、経営をしながら会社を大きく育てることで株価も高くなっていきます。
株価が高くなっている状態で売却をすれば、当然利益が発生します。その利益は創業者が手に入れることができます。
今後引退をしても、新しい事業を始めるための資金にしたり、老後を暮らすための資金として活用したりできるでしょう。
③売却先とのシナジー効果で事業を拡大できる
会社売却をすると、売却先とのシナジー効果で事業拡大が期待できます。
シナジー効果とは、買い手企業の強みと売り手企業の強みが組み合わさることによって、より大きな強みが生まれることです。例えば、関東エリアにしか顧客がいなくても、売却先が全国展開していれば全国に顧客が広がります。
そうすれば、自分の会社がより拡大していくのです。経営から引退しても、自分の子どものように育てた会社が成長していく姿を見ることは嬉しいものです。
このように、経営から引退をしようと考えている経営者には3つのメリットがあります。一方でデメリットもありますので次の章で確認していきましょう。
④連帯保証からの解放
中小企業の経営者で、連帯保証の悩みを抱えている人は少なくありません。連帯保証のために、子どもや幹部、外部の人材などに会社を継がせにくいというケースもあります。
しかし、会社を上場企業に売却できれば、ほとんど確実に連帯保証から解放されるというメリットがあります。また、非上場企業に売却した場合でも、一般的には買い手が引き継ぎます。
3. 会社売却をする3つのデメリット
会社売却を検討するなら、事前に知っておきたいデメリットが3つあります。
- 譲渡益に税金が発生する
- 経営者にロックアップがかけられる
- 新事業の領域が制限される
大切なことなので、会社売却をする前に確認しておきましょう。
①譲渡益に税金が発生する
会社売却で得た利益に対して税金が発生するので注意しましょう。税金は譲渡益に対して発生します。譲渡益とは、会社売却の価格から経費や会社の純資産を差し引いた金額のことです。
同じ譲渡益であっても、株主が誰なのかによって税金の種類や額(税率)が変動します。株主が個人だったときの税金と法人だったときの税金に分けて詳しく確認しておきましょう。
株主が個人だったときの税金の額
株主が個人のとき会社売却で発生する税金の額は、譲渡益×20.315%です。
経営者である個人が売却対価を受け取るとき、譲渡益は譲渡所得として扱われます。譲渡所得は、所得税と住民税の課税対象です。
所得税が15.315%(復興特別所得税分含む)、住民税が5%となっています。結果として、譲渡所得の20.315%の税金を払う必要があります。
株主が法人だったときの税金の額
株主が法人のとき会社売却で発生する税金の額は、譲渡益×15%~23.2%です。法人によって税率は変わります。
株主が法人のとき、対価を受け取るのは会社です。譲渡益は通常の営業による利益として扱われるため、法人税の対象となります。
各企業によって税率は異なるため、自社の場合の税率を調べておく必要があります。
②経営者にロックアップがかけられる
会社売却をすると、経営者や役員に対してロックアップをかけられる可能性があります。ロックアップとは、会社売却後の一定期間買い手企業で働くと決められることです。
ロックアップをすることで、買い手は売り手企業の経営者から引き継ぎをスムーズに行うことができます。ロックアップは2〜3年とすることが多いです。
会社売却後すぐに引退を考えているのであれば、できるだけロックアップの期間を短くしてもらえるよう交渉しましょう。
③新事業の領域が制限される
会社売却をした後、経営者や役員に対して新事業や今後の就職先の領域が制限されるかもしれません。このように今後携わる事業に制限を設けられることを競業避止義務といいます。
競業避止義務は、買い手が利益を守るために売り手企業に課すものです。せっかく高い費用を支払って手に入れた事業に対して競業となる事業を同じ経営者が立ち上げると利益を損なうことにつながります。
競業避止義務は通常10年〜20年と長く設定されます。もちろん、期間は交渉できるので、今後事業立ち上げを検討している場合には買い手と話し合いをしっかり行いましょう。
4. 会社売却をするための3つの手法
会社売却をするには、3つの手法があります。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 合併
それぞれ特徴があるので、確認しましょう。
①株式譲渡
株式譲渡とは、自社の株式を譲渡することで会社の経営権を渡すことをさします。株主が変わって経営権が移るだけのシンプルな会社売却の方法です。
株式譲渡は、対象企業の資産・負債を全て買い手企業が引き継ぐことになります。会社自体は存続するため、従業員や顧客、取引先への影響はほとんどありません。
株式を譲渡すると、売り手企業の経営者は現金を手に入れることが可能です。
②事業譲渡
事業譲渡とは、会社の事業の一部、または全てを譲渡することです。株式譲渡と違って売却する資産・負債を選ぶことができます。
「会社売却」というと会社の全てを譲り渡すように感じますが、事業譲渡で会社売却を行うことで指定の資産を残せます。優秀な従業員や手元に置いておきたい不動産などは譲渡範囲に含めないことができるのです。
しかし、譲渡範囲を決めるために相手との交渉が長引いたり、資産ごとに所有権移動の手続きを行ったりするなど、デメリットが多いです。そのため、どうしても残したい資産がない限りは、株式譲渡を選ぶ経営者が多い傾向となっています。
③合併
合併とは、2つ以上の会社が1つの会社になることです。合併には、「吸収合併」と「新設合併」があります。
実際に活用されるのは「吸収合併」です。吸収合併は1社が残り他の企業が解散して消滅しますが、新設合併は合併する全ての企業を解散して新しく会社を設立することになります。
そのため、合併する企業同士が共同で製品を開発するなど、2社で何か1つのことを生み出したいときに吸収合併がよく選ばれます。
株式譲渡と同様に、会社の資産・負債をすべて引き継ぐ方法となります。しかし、会社は存続しないため、社名が変わり、従業員や取引先への影響は大きくなります。
このように会社売却をするときには、2つの手法を検討しなければなりません。それぞれの特徴を把握し、しっかりと検討しましょう。
5. 会社売却をしたときの売却相場
会社売却をしたとき、「一体どれくらいで売れるのだろう?」と不安になるものです。結論からいうと、会社売却をするときの売却相場ははっきり「○円」といい切ることができません。
なぜなら、会社の規模や売り上げの大きさ、業界の将来性によって大きく売却価格が変わるからです。また、手法によっても売却価格は変動します。
そこで会社売却をしたときに売却価格を決める方法を確認しましょう。売却価格を決める方法は、主に以下の3つです。
- DCF法
- 収益還元法
- 類似会社比較法
順番に確認しましょう。
①DCF法
DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)とは、会社売却後のキャッシュフローを現在の価値に割り引いて企業価値を算定する方法です。
会社の将来性も会社価値に換算されるので、M&Aの売却価格算出に適しています。会社の将来性は3年〜5年程度の事業計画を元に計算を行うため、事業計画が重要な資料となるのです。
DCF法を計算するときには、株価が必要です。そのため、上場企業がM&AするときにDCF法がよく用いられます。
②収益還元法
収益還元法は、企業の収益フローを元に企業価値を算定する方法です。DCF法と同じように将来の利益を決算数値から予想し、現在価値に割り引いて計算します。
将来生み出す利益を企業価値に含めることができるため、M&Aの売却価格算出に適しています。ただし、DCF法と違って事業計画を反映することはありません。
あくまでも成長率は一定の数字に決めて将来の利益変動を計算します。そのため、大きな施策が実施される場合、正確な評価はできないことに注意しましょう。
③類似会社比較法
類似会社比較法とは、売却する会社と似ている上場企業の株価を元に比較して企業価値を算定する方法です。マルチプル法と呼ばれることもあります。
たとえば、売却する会社が食品の小売業であれば上場企業から同じような商品を取り扱う小売業の会社を選出します。その会社の売り上げと自社の売り上げを比較し、比率を計算するのです。
比較した上場企業の0.1倍であれば、その比率をかけて企業価値を算出します。非上場企業のM&Aで類似会社比較法はよく使われる算出方法です。
会社売却時の売却価格を計算することは、とても難しいです。そのため、自分で予測せず必ず専門家に相談しましょう。
頼れる専門家がいない場合は、M&A総合研究所におまかせください。M&A総合研究所には、M&Aアドバイザーが在籍しており、会社売却をフルサポートいたします。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
6. 会社売却を成功させる3つのポイント
続いて会社売却を成功させるためのポイントを確認しましょう。会社売却を成功させるには、3つのポイントをおさえる必要があります。
- 従業員の待遇を明確にする
- 経営者の考え方や思いを理解してくれる買い手を選ぶ
- 売却の期限を決める
順番に確認していきましょう。
①従業員の待遇を明確にする
会社売却をするときには、従業員の待遇を明確にしたうえで契約を結びましょう。多くのケースにおいて、従業員はそのまま労働契約が引き継がれます。待遇も買い手に合わせて良くなることが多いです。
しかし、経営者が変わったことで不当な人事配置があったり、雇用条件が悪くなったりする可能性も否定できません。会社売却で経営者が変わったとしても、従業員には今までどおり心地よく働ける環境を提供できるようにしましょう。
買い手との条件交渉の場では、必ず従業員の待遇についての話し合いを行い、会社売却の契約書にも従業員の待遇について明確に記載しておくことも大切です。
②経営者の考え方や思いを理解してくれる買い手を選ぶ
自分の考えや思いを理解してくれる買い手を選びましょう。経営者によってビジネスの考え方は違うからです。
もし、大切にしていることが全く違う経営者に会社を売却してしまうと、今まで大切にしてきたことがないがしろにされる恐れがあります。「ヒト」を大切にしてきた会社が利益先行の考え方に変わってしまうこともあり得るでしょう。
買い手を選ぶときには、トップ面談という経営者同士が話し合う場が設けられます。トップ面談では、お互いの会社に対する考え方や思いを話し合うようにしましょう。
自分と似た考え方を持って経営している経営者であれば、安心して会社を任せることができます。
③売却の期限を決める
会社売却をするときは、売却の期限をしっかりと決めておきましょう。「1年後に会社売却する」と決めておくことで、逆算して計画を立てることができます。
「いつか会社売却をしよう」と思うだけでは、やるべきことを後回しにしてしまい、売りどきを誤ってしまう恐れがあります。できるだけ短期決戦で早く会社売却をすべきです。
期限を決めたり、計画を立てたりすることは会社売却が初めてだと難しいため、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。
その理由を次の章で確認していきましょう。
7. 会社売却ならM&A仲介会社に相談しよう
会社売却を検討しているのであれば、M&A仲介会社に相談しましょう。M&A仲介会社とは、会社売却の検討から成立までをコンサルタントしてくれる存在です。
具体的には、以下のような業務を任せることができます。
- 売却価格の算定
- 買い手企業探し
- 買い手企業との交渉立ち合い
- 専門家の紹介
- 契約書作成のサポート
初めて会社売却をするのであれば、自社だけで会社売却の業務を行うことは危険です。なぜなら、交渉で不利になることが多いからです。
必要な専門知識が多いため、基本知識を学ぶだけでも時間と労力がかかってしまうでしょう。
しかし、M&A仲介会社に相談すればほとんどの業務を任せることができます。経営者は本業を怠るわけにはいかないため、M&A仲介会社の存在は心強いです。
もし、M&A仲介会社をお探しの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には経験豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートいたします。
費用は完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)です。無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
8. まとめ
会社売却とは、文字どおり会社を売ることです。会社の持つあらゆる資産・負債を他社へ承継させます。
会社売却を考えるきっかけは経営者にとってさまざまですが、考えるべきことは同じです。手続きの流れや注意点を把握したうえで、会社を売却するべきかしっかりと検討しましょう。
また、会社売却を決めたのであればM&A仲介会社に必ず相談してください。上手くM&A仲介会社を頼りながら、心残りのない会社売却を実現させましょう。
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