2023年11月21日更新
金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継の現状は?事例や動向から事例も解説!
本記事では、金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継・譲渡・売却の現状や事例から動向まで解説します。金属加工・金属製品製造におけるM&A・事業承継・譲渡・売却の譲渡事例やM&A・事業承継を成功させるポイント、売却相場を紹介します。M&Aを検討中の方は必見です。
目次
1. 金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継・譲渡・売却の現状
金属加工・金属製品製造業は、ものづくりの根幹を成す重要な産業で、M&A・事業承継・譲渡・売却も活発に行われています。
経営者の高齢化が進むなか、廃業せず技術を次世代に伝えるためにも、M&A・事業承継・譲渡・売却は今後ますます重要です。
金属加工・金属製品製造とは
金属加工・金属製品製造とは、金属を加工してさまざまな機械や部品を作ることです。金属加工は製造業の根幹となる産業で、これがなければものづくりが成り立たない重要な分野といえます。
自動車の部品など、加工した金属がそのまま製品となるものだけでなく、携帯電話や家電などのプラスチック部品も、ほとんどが金属の金型から作られています。
金属加工業とは
金属をダイレクトに加工して自動車部品を作ったり、金属を加工してできた金型でプラスチックなどの素材を成形したりするなど、金属加工は製品や部品を作るうえで必要不可欠です。
金属加工は下記に分けられます。
- プレス加工:大量生産に最も向いており、プレス設備と金型の設計における技術力で強みが変化
- 切削加工:切って削る加工で、パラボラアンテナのように曲げるのが切削加工に近い
- 鋳造加工:溶けたものを鋳型に流して形にし、複雑な形のものを大量生産
金属製品製造業とは
金属製品製造業とは、大規模な事業者であるユーザー企業の必要性に合う製品を製造する受注生産型主体の製造業のことです。
金属製品製造業は多層産業構造で、ユーザー企業での金属製品設計関与などが行える一次メーカー、そして一次メーカーから二次メーカー、二次メーカーから三次メーカーへと発注が届きます。
鉄鋼業とは
鉄鋼業とは、さまざまな機械や部品の材料となる鋼材を生産する業種のことです。「産業の米」とも呼ばれ、製造業の根幹を成す重要な産業です。
金属加工・金属製品製造業界に見られる特徴
日本の製造業全体は、海外生産へと移動しています。しかし、金属加工・金属製品製造業界は、ユーザー企業の細かい必要性に応じ、外国企業より優位性を保つために、金属製品を国内で造るケースが少なくありません。
ただし、これから金属製品会社が国内製造で生き残るには、ユーザー企業の生産ニーズを判断して、それに対応するものづくりの経営力を整えることが重要です。
金属製品の技術力は、各技術者の経験や勘などで支えられる部分が多くを占め、積み重ねた長年の技術や技能の承継をどのように後継するかが金属加工・金属製品製造業界の課題といえます。
金属加工・金属製品製造業界の市場規模
経済産業省が公表している2020年確報の「工業統計調査」によると、2019年における金属製品製造業(金属加工業)の市場規模(製造品出荷額など)は約15兆9,653億円(従業者4人以上の事業所)の結果となりました。事業所数は25,094、従業員数は612,427人です。
金属製品業界は、国内の経済動向に大きく比例する傾向があります。
プレス部品やアルミサッシなどは、自動車業界や建設業界などの影響を強く受ける構造です。素材が金属から樹脂へ移るケース、金属製品加工の切削・板金などが3Dプリンターに代わるケースなど、市場規模は現状維持できないと考えられ、技術革新に対応する経営が要求されます。
参照:経済産業省「工業統計調査(2020年)」
市場規模の推移
工業統計調査によると、2008年から2012年にかけて、金属加工業の市場規模は縮小傾向にありました。この時期はリーマンショックなどの影響で市場規模の縮小を余儀なくされたものの、それ以降はアメリカ市場の回復。株価上昇。消費マインド回復などの影響により市場に再び活気が戻っています。実際に、2014年から2018年にかけて市場規模は拡大傾向となりました。
金属加工・金属製品製造業界の課題と展望
近年は、海外でも日本製の金属製品工作機械が一般的になり、日本製の金属製品工作機械で製造すると製品精度が上がると好評です。しかし、外国製の安い金属製品工作機械の性能も少しずつ進んでいるので、海外の金属製品製造業も機械的な点から見ると進歩しているといえます。
これからは対話式プログラミングや自動プログラミングでのサポートが要求されるため、ヒルトップは自社でヒルトップシステムを開発し、新入社員も半年でプログラミングできるサポートシステムを築きました。各技術者が持つ勘どころのノウハウをソフトウェアで自動化すれば、技術の蓄積と生産性の向上を見込めます。
M&Aとは
M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の頭文字をとった言葉で、日本語に訳すと「合併と買収」となります。
企業や事業を売買したり、合併・分割したりする行為全般をさす言葉で、株式譲渡・事業譲渡・吸収合併・会社分割などは、すべてM&A手法の1つです。
事業譲渡・売却とは
事業譲渡、事業売却とは、会社の事業を他の会社に譲り渡し、その対価として現金などを受け取る取引のことです。会社全体を譲渡するのではなく一部を譲渡するのが特徴で、不要な事業を切り離してコア事業に集中したいときなどに使われます。
事業承継とは
事業承継とは、会社の事業を後継者に譲り渡すことです。現金や不動産などの資産に加え、会社の経営権やブランドイメージ、取引先とのネットワークなど、事業に関するすべての財産・負債を後継者に引き継ぎます。
事業承継は誰に事業を引き継ぐかによって、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3種類に分類されるので、順番に解説します。
- 親族内事業承継
- 親族外事業承継
- M&Aによる事業承継
親族内事業承継
親族内事業承継は、自分の子供など親族に事業を引き継がせます。親族であれば人間性や能力を見極めやすく、従業員からも受け入れられやすいメリットがあります。
一方、事業を承継してくれる親族がいるとは限らないことや、資産の相続に関して他の親族とトラブルになる可能性があることがデメリットです。かつては事業承継といえば親族内事業承継が主流でしたが、近年はその割合が減少しています。
親族外事業承継
親族外事業承継は、親族でない人間に事業を引き継がせます。会社の従業員や役員を後継者にするのが一般的ですが、取引先など社外の人間を後継者に据えることも可能です。
M&Aによる事業承継も親族外の事業承継ですが、親族外事業承継といえば、自社の従業員などを後継者にすることをさすのが一般的になります。
社内の人間は会社のことをよくわかっているのがメリットですが、財産の相続に関して親族とトラブルにならないよう気をつけなければなりません。
M&Aによる事業承継
M&Aによる事業承継は、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなどに相談して、親族でも社員でもない第三者へ引継ぎます。
豊富な承継先候補から最適な相手を選べるのがメリットですが、今まで面識のなかった第三者へ事業承継するので、会社への思いや経営方針などをしっかり伝えることが重要です。
近年は、M&Aによる事業承継に政府が力を入れており、事業承継・引継ぎ支援センターなどの行政機関を設置して支援しています。
2. 金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継の譲渡事例16選
この章では、金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継の譲渡事例を解説します。
- 三陽工業による太田工業所の買収
- アルコニックスによるソーデナガノの買収
- 戸上メタリックスによる三協製作所の買収
- 岡谷鋼機による旭精機工業の買収
- アミタHDと大平洋金属による資本業務提携
- 大同キャスティングスによる中国子会社の譲渡
- CKサンエツが日立アロイの事業取得
- 藤井産業がサンユウを子会社化
- TBKがサンテックを子会社化
- FUJIがファスフォードテクノロジを子会社化
- 瀧上工業がケイシステックニジューサンを子会社化
- 日本電産がGenmark Automation, Inc.を買収
- 新東工業がオメガ社を子会社化
- イチネンホールディングスが昌弘機工を子会社化
- マルカキカイが北九金物工具を子会社化
- アイダエンジニアリングがRASを子会社化
①三陽工業による太田工業所の買収
2022年6月、三陽工業は太田工業所の全ての株式を取得し、子会社化しました。
三陽工業は、研磨を主軸とした「製造業」と「製造派遣事業」を行っているものづくりの会社です。対象会社の太田工業所は、鉄・ステンレスのパイプ材の切断・曲げ・磨き・溶接加工などを行う企業です。
今回のM&Aにより、両社の磨き工程の強化を目指します。一貫加工の強みを活かした他分野への進出、技能承継解決を図ります。
②アルコニックスによるソーデナガノの買収
アルコニックスは2022年4月、ソーデナガノの株式を取得し、子会社化しました。アルコニックスは、レアメタル、レアアースなどの製品、製品に関連する原材料などの輸出、輸入、国内販売を行っている会社です。対象会社であるソーデナガノは、長野県に拠点を構える金属精密プレス部品の製造、金型設計製作などを行っています。
今回のM&Aにより、アルコニックスグループ内の国内外の子会社と「総合プレス加工グループ」を形成し、不得手分野における補完体制をミックスし、顧客からの多様なニーズに対応可能となるでしょう。そして、技術交流やノウハウの共有により、グループ全体でのコスト削減、生産効率性向上を目指します。
③戸上メタリックスによる三協製作所の買収
戸上電機製作所は2022年2月、連結子会社の戸上メタリックスを存続会社とし、同様に子会社である三協製作所を消滅会社とする吸収合併を行いました。
戸上メタリックスは、建設機械部品や産業用配電機器部品の金属加工を行う総合精密板金加工メーカーです。対象会社の三協製作所は、産業用配電機器部品の亜鉛メッキ加工をメインとした事業を行っています。
今回のM&Aにより、グループ内における金属加工事業の経営資源の集約で、事業環境整備のための設備投資を推進し、付加価値を高め、収益力の向上を目指します。
④岡谷鋼機による旭精機工業の買収
岡谷鋼機は2021年12月、旭精機工業と資本業務提携契約を締結しました。これにより、旭精機工業の自己株式処分による、第三者割当増資を岡谷鋼機が引き受けます。引受額は約1億5,700万円でした。
岡谷鋼機は、世界23カ国で鉄鋼、電機、産業資材、生活産業などの商品販売を展開する会社です。一方、対象会社の旭精機工業は、自動車や情報通信、家電の精密金属加工品の製造・販売事業を行う会社です。
今回のM&Aにより、両社が有する経営資源や経営ノウハウを有効活用した事業活動効率化や販売拡大、さらなる連携・協力関係の強化を目指します。
⑤アミタHDと大平洋金属による資本業務提携
2021年4月、アミタホールディングスは大平洋金属と資本業務提携契約を結ぶことを決めています。アミタホールディングスは、2021年2月に公表の中期3か年計画で、「他社との事業連携による新規顧客の獲得や利益率の向上」を重な施策の1つとし、協業・共創による相乗効果を発揮できるパートナーを検討していました。
両社はこの資本業務提携で、両社が持つ経営資源やノウハウによりシナジーを創出し、企業価値を最大化することを狙っています。
⑥大同キャスティングスによる中国子会社の譲渡
2020年9月、⼤同特殊鋼の連結子会社大同キャスティングスはDCCの100%子会社大同凱思英鋳造有限公司を譲渡しました。事業譲渡の手法で、中国事業を清算しました。
⼤同特殊鋼グループ中期経営計画で、ポートフォリオの改革、事業基盤を強めること、事業の再構築を行動方針としているため、この事業譲渡で「選択と集中」によるグループ経営の強化をより促進するとともに、継続的な事業成長の加速を狙います。
⑦CKサンエツが日立アロイの事業取得
2020年6月に、CKサンエツは子会社であるサンエツ金属を通じて、日立金属傘下の日立アロイが展開している黄銅棒事業(製造設備を含む)と加工品事業を取得することを発表しています。2021年1月15日が取得予定日です。
サンエツ金属は、生産規模の拡大による競争力の向上を進めているため、今回の事業取得に至りました。
⑧藤井産業がサンユウを子会社化
2018年12月に、藤井産業がサンユウの全株式を取得し、完全子会社化しました。
藤井産業は、電設資材を中心に太陽光発電や産業機器を取り扱う会社で、サンユウは制御盤や分電盤の設計・製作を手掛ける会社です。
今回の買収は、お互いの強みを生かしたシナジー効果の獲得や、取扱商品の充実・仕入れの効率化などが目的です。
⑨TBKがサンテックを子会社化
2018年11月、TBKはサンテックの株式を取得し子会社化しました。TBKは東証一部上場の自動車部品メーカーで、サンテックは自動車や電気設備の工作機械を手掛けるメーカーです。
今回の買収で、サンテックの優れた技術者獲得による技術力の強化、互いの顧客共有による事業規模の拡大を見込んでいます。
⑩FUJIがファスフォードテクノロジを子会社化
2018年8月に、FUJIがファスフォードテクノロジの全株式を取得し、完全子会社化しました。FUJIは産業用ロボットのメーカーで、ファスフォードテクノロジは産業用ロボットの関連機器を手掛けるメーカーです。
今回の買収は、半導体や電子部品の生産ライン強化、次世代技術の提案力強化を目的としています。
⑪瀧上工業がケイシステックニジューサンを子会社化
2018年6月に、瀧上工業がケイシステックニジューサンの全株式を取得し、完全子会社化しました。瀧上工業は橋梁(きょうりょう)や鉄塔などの設計・制作を行う会社で、ケイシステックニジューサンは自動車部品など工作機械の設計・製造を手掛ける会社です。
瀧上工業は、高い技術力を持つケイシステックニジューサンを傘下に収め、事業ポートフォリオを拡大するために本買収を行いました。
⑫日本電産がGenmark Automation, Inc.を買収
2018年4月に、日本電産はアメリカのGenmark Automation, Inc.(GS社)の全株式を取得し完全子会社化しました。日本電産はモーターや光学部品などの製造・販売会社で、GS社は輸送用ロボットや自動化ソフトウェアの会社です。
日本電産の子会社である日本電産サンキョーは、輸送用ロボットの製造・販売を行っており、当該事業の強化が買収の目的です。
⑬新東工業がオメガ社を子会社化
2018年2月に、新東工業はイギリスのオメガ社における株式の90%を取得し子会社化しました。新東工業は鋳造装置や表面処理装置などの製造・販売メーカー、オメガ社は鋳造設備の製造・販売メーカーです。
新東工業はイギリス以外にも世界各地に子会社を有しており、今回の買収も鋳造事業の拡大が目的です。
⑭イチネンホールディングスが昌弘機工を子会社化
2018年1月に、イチネンホールディングスは昌弘機工の全株式を取得し、完全子会社化しました。イチネンホールディングスは機械工具や合成樹脂事業などを展開する持株会社で、昌弘機工は自動梱包機などを製造・販売している会社です。
昌弘機工におけるブランド力のある機器をラインアップに加えて、販売力を強化することが買収の目的です。
⑮マルカキカイが北九金物工具を子会社化
2017年12月に、マルカキカイは北九金物工具の全株式を取得し、完全子会社化しました。マルカキカイは自動車・家電・農機具などの製造機械を販売するメーカーで、北九金物工具は機械工具や切削工具の消耗品を販売している会社です。
今回の買収は、シナジー効果の獲得および山口地域への進出が目的です。
⑯アイダエンジニアリングが日本リライアンスを子会社化
2017年10月に、アイダエンジニアリングは日本リライアンスの株式80%を取得し子会社化しました。アイダエンジニアリングはプレス機械を中心に生産ライン全体を提供する総合メーカーで、日本リライアンスは産業機械用自動制御装置の開発・販売メーカーです。
アイダエンジニアリングが提供するシステムに日本リライアンスの自動化システムを取り入れて、技術力・開発力を高めるのが買収の目的です。
3. 金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継の動向
金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継動向には、主に以下の特徴がみられます。順番に解説します。
- 後継者問題の解決を目的として増加傾向
- 景気に強く影響を受けるので将来的な不安があるためM&A
- 中小企業のため、競争力がなく経営が厳しくM&Aを検討
- M&Aではなく廃業する事例も見られる
①後継者問題の解決を目的として増加傾向
金属加工・金属製品製造業は、高い技術力を持つ多くの中小企業によって支えられています。しかし、金属加工・金属製品製造業の経営者は年々高齢化し、後継者に事業を引き継がなければならない中小企業が増えている状況です。
近年は、昔のような親族内事業承継は難しいケースが多く、廃業を避けるためにM&A・事業承継で後継者を探す事例が増加傾向にあります。
金属加工・金属製品製造が後継者問題を抱える背景
金属加工・金属製品製造業は、社員数人程度の中小企業が、高い技術力を持って専門的な機器を製造することが多いです。経営者や職人が高齢化していても、その技術を伝える若い世代がいないため、黒字にもかかわらず廃業に追い込まれる製造業者が増えています。
金属加工・金属製品製造業の中小企業は日々の仕事が忙しく、事業承継を考える時間的・精神的な余裕がないことも、後継者問題に拍車をかけている状況です。
②景気に強く影響を受けるので将来的な不安があるためM&A
金属加工・金属製品製造業に限らず、一般的に製造業は景気の影響を受けやすいです。事業自体は堅調なものの、景気に振り回されることに将来的な不安を抱いた経営者が、M&Aで早めに事業承継してアーリーリタイアするケースも考えられます。
③中小企業のため、競争力がなく経営が厳しくM&Aを検討
金属加工・金属製品製造業は中小企業が多く、専門性の高い特定の製品のみで経営を成り立たせることがよくあります。中小企業はユーザーの細かいニーズに答えられるかが重要になりますが、近年は海外企業の追い上げもあり、競争力がなく厳しい経営を強いられる企業が多いです。
そういった企業が資金力や競争力のある大手・中堅企業とのM&Aを検討するケースは、今後も増えると考えられます。
④M&Aではなく廃業する事例も見られる
金属加工業界は厳しいため、ほかに目を向けるきっかけとしてM&Aが手段となり得ます。ただし、パソコンやIT系の入る精密系を除いて、金属加工業界はM&Aの対象となりにくいくらい危機感のある状態です。M&Aではなく廃業する事例もみられます。
生き残る会社もあるといえますが、ガソリンを使う車がなくなると部品メーカーは全滅で、ボディの材料が鉄板からCFRT製に移ると金属加工業界の規模は小さくなるでしょう。そして、売れなくなると値段が下がるので、さらに厳しくなります。
中小企業の後継者問題については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
4. 金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継を行う流れ
この章では、金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継を行う流れを解説します。
M&A仲介会社への相談・依頼
まずは、M&A仲介会社への相談・依頼です。M&Aを行う理由や目的の明確化など戦略を練ったら、相手を探すためにM&A仲介会社を選択します。M&A仲介会社へ依頼すれば、幅広いネットワークが活用できてM&Aの選択肢が増加します。
相手先企業とのマッチング
次は、相手先企業とのマッチングです。
M&Aの大きな目的は、売却側と買収側のシナジー効果を最大限に引き出すことです。M&Aの候補となる相手企業の強みや弱みを理解したり、相手企業の業界におけるメリットやデメリットを調査したりして、最適な相手を見つけましょう。
秘密保持契約の締結・情報開示
次は、秘密保持契約の締結・情報開示です。
M&Aの相手候補が見つかり次第、ノンネームシートを買い手企業へ提示します。ノンネームシートを見て具体的な情報を開示して欲しいと要望があれば秘密保持契約の締結をして、情報を開示します。
トップ面談・交渉
次は、トップ面談・交渉です。
情報開示が終われば、本格的に売り手と買い手のトップ同士が面談を行います。面談後、M&Aの意思が固まればM&Aの交渉を行っていきます。面談では企業価値算定やM&Aスキームの内容までを話すのが一般的です。
デューデリジェンスの実施
基本合意書の締結が完了したら、買い手企業のデューデリジェンスが実施されます。
デューデリジェンスは売り手企業の税務・法務面などで問題がないかを確認するために必要なプロセスです。非常に専門性が高いプロセスになるため公認会計士や税理士、弁護士などに相談しましょう。
契約締結・交渉
トップ同士が面談を行ったら、次は契約締結・交渉です。
買収側は譲り受ける意思表示を示すために、買取方法や価格などを記載した意向表明書を売却側へ提出します。そして、両社の合意条件を書いた基本合意契約書を締結する流れです。締結すると、相手とのM&Aにおける独占交渉権が生じます。
クロージング・PMI
M&Aが完遂したあとは、クロージング・PMIを行います。
M&Aそのものが完了しても、想定しているM&Aシナジーがうまく創出できないことがあります。そのため、クロージング・PMIを行いM&Aのシナジー効果を大きく得る必要があります。
5. 金属加工・金属製品製造をM&A・事業承継する際の相談先
金属加工・金属製品製造をM&A・事業承継する際の相談先は、以下の選択肢があります。順番に解説します。
- 地元の金融機関
- 地元の公的機関
- 地元の弁護士・税理士・会計士など
- マッチングサイト
- M&A仲介会社
①地元の金融機関
地方銀行や信用金庫など地元の金融機関で、M&A・事業承継の相談を受け付けています。ただし、金融機関のスタッフはM&A・事業承継に詳しくないことがあるので、専門の部署を設置した金融機関を利用すると良いでしょう。
②地元の公的機関
政府は近年の後継者問題を受けて事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関を設置し、中小企業の事業承継を支援しているので、金属加工・金属製品製造業に関するM&A・事業承継を相談できます。
ただし、公的機関は安心感がありますが、民間の仲介会社に比べて実績が少なく、希望どおりのサポートが受けられない可能性もあります。
③地元の弁護士・税理士・会計士など
地元の弁護士・税理士・会計士などに、金属加工・金属製品製造におけるM&A・事業承継の相談もできます。
ただし、すべての弁護士・税理士・会計士が必ずしもM&A・事業承継に詳しいとは限らないので、M&A・事業承継の実績が豊富な弁護士・税理士・会計士を選ばなければなりません。
④マッチングサイト
マッチングサイトは、事業を買いたい人と売りたい人が案件を掲載し、自分で売買相手を探せるサイトです。自分だけで交渉から成約まですべて行うことも可能ですが、トラブルになったり交渉が長引いたりする可能性があることも念頭に置いてください。
マッチングサイトによっては、M&Aアドバイザリーにサポートしてもらいながら交渉することも可能です。
⑤M&A仲介会社
金属加工・金属製品製造業をM&A・事業承継する際の相談先として、最も一般的なのがM&A仲介会社です。M&Aの専門家によるサポートが受けられ、仲介会社が持つネットワークの豊富な案件から売買相手を選べます。
ただし、M&A仲介会社は非常に数が多いので、そのなかから自社に合う仲介会社を選ぶことが重要です。
M&Aの相談相手については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
6. 金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継・譲渡・売却の相場
金属加工・金属製品製造業のM&A・事業承継・譲渡・売却相場は、会社の強みを理解し評価してくれる買い手に出会えると、売却価格が跳ね上がることもあります。
一般的に、小規模な会社の売却価格は数百万円から1,000万円程度が多いです。しかし、金属加工・金属製品製造業では、自社の強みを生かしたM&A戦略によって、1億円以上の価格で売却に成功した例もみられます。
中小企業でも、個々の会社が独自の強みを持つことが多い金属加工・金属製品製造業は、売却相場が他業種より高くなることも十分あり得ます。
7. 金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継を成功させる6つのポイント
金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継を成功させるポイントは以下の6つです。順番に解説します。
- M&A・事業承継計画を決める
- 適切なスキームを選択する
- 自社の強みを正確に把握する
- 事業承継の場合、後継者の教育を行う
- M&A・事業承継確定後に従業員・取引先などに報告する
- M&A・事業承継・譲渡・売却の専門家に相談する
①M&A・事業承継計画を決める
M&A・事業承継は、何の準備もなくいきなり始めてもうまくいきません。事前にしっかりと準備をし、計画を立てて手続きに進む必要があります。
事業承継の準備段階として、事業承継計画表を作成するのが一般的です。事業承継計画表とは、現経営者と後継者、会社が行うべきことを年単位で表にしたもので、現経営者が完全に引退するまでの数年間における流れを大まかに書き記します。
②適切なスキームを選択する
M&A・事業承継には多くのスキームがあるので、そのなかから適切なものを選択しなければなりません。例えば、会社をまるごと譲渡するなら株式譲渡などを選択し、事業の一部を譲渡するなら事業譲渡を選択します。
どのスキームが適切かは専門家でないと判断が難しい部分もあるので、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーと相談しながら進めましょう。
M&Aスキーム・手法別でメリット・デメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
③自社の強みを正確に把握する
金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継では、自社の強みを正確に把握することが大切です。金属加工・金属製品製造業は、中小企業でも独自の強みを持つことが多いので、それを生かしたM&A戦略を練りましょう。
④事業承継の場合、後継者の教育を行う
事業承継は契約が成立したら終わりではなく、後継者の教育をしっかりと行うことが大切です。後継者教育は基本的な経営・財務の知識を教えることはもちろん、現場における事業内容の理解や社内外における人脈の構築、経営者としてのリーダーシップや経営理念など、教えることは多岐にわたります。
後継者教育は、場合によっては約10年かかることもあるため、長期的な視点で粘り強く行うことが重要です。
⑤M&A・事業承継確定後に従業員・取引先などに報告する
M&A・事業承継では、最終契約書を締結してM&A・事業承継が確定するまで、従業員や取引先に報告しないことが望ましいです。
事前に事業承継の情報がもれると、不安を感じた従業員が辞めてしまったり、取引先が撤退したりすることがあります。契約が確定して安心できる状態になるまで、従業員・取引先への報告は控えてください。
⑥M&A・事業承継・譲渡・売却の専門家に相談する
M&A・事業承継を成功させるためには、M&Aに関する知識以外に会計・税務などの幅広い知識が必要となるので、専門家に相談しましょう。
専門家に相談すると知識面でのサポートを得るだけでなく、手続きを任せることで本業への支障を最小限に抑えるメリットもあります。
8. 金属加工・金属製品製造をM&A・事業承継する際におすすめの仲介会社
金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、幅広い情報と独自AIのマッチングシステムによる豊富な選択肢から、最適な売買相手を探します。知識や実績が豊富なM&Aアドバイザーが案件をフルサポートします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継をお考えの際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
9. 金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継のまとめ
金属加工・金属製品製造業は、自社の強みをアピールすれば、より高い価格でM&A・事業承継できる業種といえます。M&A仲介会社など専門家のサポートを受けつつ、適切なスキームを選択してM&A・事業承継を進めることが大切です。
金属加工・金属製品製造のM&A・事業承継を成功させるためには、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けることをおすすめします。
10. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
11. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
【四国地方/財務良好】制御設計・盤製作および電気工事
工業製品製造/建設・土木・工事・住宅/中国・四国案件ID:1407公開日:2023年11月22日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
5000万円〜1億円
譲渡希望価格
3億円
・各種制御盤の設計・制作を行い、計装盤から高圧配電盤まで幅広い分野に対応可能 ・第1種電気工事士1名、第2種電気工事士8名、2級電気工事施工管理技士1名在籍
【カーボンニュートラル新工法特許保有】生産設備メーカー / 特許多数保有
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1405公開日:2023年11月22日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
応相談
東日本の生産設備メーカー 生産設備の設計・製造・ロボットティーチングまで一貫して対応可能 【安川電機、ファナック、三菱等のロボットティーチング】対応可能
【関西地方】大物サイズの板金・製缶・塗装
工業製品製造/工業製品卸・小売/近畿案件ID:1379公開日:2023年11月10日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
・製缶・板金処理及び塗装を行う
【東海地方/オーダーメイド開発】装置検証・産業用機器製造
工業製品製造/中部・北陸案件ID:1374公開日:2023年11月09日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
譲渡希望価格
希望なし
各種装置や部品の耐久性・耐用年数の試験代行(試験装置は自社でオーダーメイド製造)及び、産業用機器の製造販売を展開している
【首都圏/クリーンルーム保有】スイッチ製造・一般成形品製造業
工業製品製造/その他の製造業/関東・甲信越案件ID:1342公開日:2023年10月23日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
各種スイッチ類の製造・一般成形品の製造。自社製品のカタログオーダー、OEM製造を行い大手取引先との安定した受注を確保。
【東海エリア・業歴70年以上】生産用機械器具製造業
工業製品製造/中部・北陸案件ID:1307公開日:2023年10月10日売上高
1000万円〜5000万円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
応相談
産業機械部品加工や各種ロール製造
【西日本・財務良好】電子基板製造業
工業製品製造/近畿案件ID:1305公開日:2023年10月06日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
16億円以上(応相談)
・電子デバイスの試作から実装・完成品のサポートまで一貫した体制を有する ・製造・開発能力が高く、安定した受注・顧客基盤がある
【ハーネス&電子機器基盤の製造】北関東で工場3拠点を構える会社
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1281公開日:2023年09月27日売上高
1億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
2,800万円(純資産アンダーでの譲受が可)
北関東で自動車を中心としたハーネスや電子機器の製造を展開されている企業様です。
【関東・実質無借金経営】工業用精密ゴム製造業
工業製品製造/工業製品卸・小売/関東・甲信越案件ID:1254公開日:2023年09月13日売上高
1億円〜5億円
営業利益
損益なし
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
対象企業は、関東圏にて工業用精密ゴム製品の製造・販売を手掛ける企業でございます。 この度は、将来的な後継者不在、事業の更なる発展のため、企業譲渡を検討しております。 健全な財務体質で、品質に...
【実質無借金/自走可能】甲信越の打ち抜き・プレス加工
工業製品製造/関東・甲信越案件ID:1175公開日:2023年08月09日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
希望なし
抜き打ち・プレス加工事業を手掛けており、20年以上の実績を擁する。経験豊富な従業員を擁するため、生産性に定評がある。
【中部地方 / 高収益体質】機械部品の卸売業
工業製品卸・小売/その他の卸・小売/中部・北陸案件ID:1135公開日:2023年08月01日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
7,000万円(応相談)
協力工場を多数保有する機械部品の卸売業
【株価=Net Cashでの買収可能】東海地方の金属熱処理業
工業製品製造/中部・北陸案件ID:1044公開日:2023年06月06日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
高周波誘導加熱による焼き入れ焼き戻し加工
【中国地方・業歴50年以上】金属のメッキ加工業
工業製品製造/中国・四国案件ID:1023公開日:2023年05月24日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
金属のメッキ加工業
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。