M&Aのために資金調達する方法は?融資と増資、返済期間を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

M&Aの資金調達は、大まかに直接金融(増資)と間接金融(融資)の2つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社に適切な方法を選択することが重要です。本記事では、M&Aの資金調達方法や返済期間について解説します。

目次

  1. M&Aのための資金調達とは
  2. M&Aのために資金調達する方法
  3. M&Aのために資金調達した際の返済期間
  4. M&Aのために資金調達した際の注意点
  5. 日本でM&Aを行う際に現実的な資金調達方法
  6. M&Aのために資金調達する上での相談先
  7. まとめ
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1. M&Aのための資金調達とは

M&Aのための資金調達とは

出典:https://pixabay.com/ja/

M&Aは、得られる効果が大きい一方で、実施するためには高額な費用が必要になります。買収やデューデリジェンスの際に必要な費用は非常に高額であるため、会社のプール金で全てを補うのは非現実的です。

そのようなケースでは、M&Aのために資金調達が行われるのが一般的です。適切な方法で資金調達することにより、会社の背負う負担・リスクを軽減しながら資金問題を解決することができます。

資金調達の方法には、直接金融(増資)と間接金融(融資)の2つがあります。ここではそれぞれの特徴について解説します。

直接金融(増資)とは

直接金融(増資)とは、株式や社債を発行して直接的に資金を獲得する方法です。増資であるために明確な返済期間が存在せず、会社が抱えるリスクが少ない特徴があります。

投資された資金は、M&A後の企業成長がうまくいき利益が出たら、配当という形で還元します。

かつて、企業の資金調達は間接金融(融資)が一般的でしたが、1996年から2001年度にかけた金融ビッグバンなどの影響もあり、直接金融(増資)が主流となりつつあります。

さらに、投資家個人でも企業情報を十分に取得して投資判断ができる、情報社会になっていることも影響していると考えられます。

【関連】第三者割当増資の株価への影響の理由や事例を紹介!メリット・デメリット、算出方法も解説!

間接金融(融資)とは

間接金融(融資)とは、銀行など金融機関の第三者の介入を経て借入を受ける方法です。借入であるため、借り手に利息の支払いと元本の返済義務が課せられます。

この際、融資に使われているお金は預金者のものです。銀行は必ず資金を回収しなければならないため、借り手の返済能力について厳しい審査を行います。

借り手は返済能力があることを証明するために、M&AやM&A後の事業戦略について具体的な提案をして融資を受けます。

2. M&Aのために資金調達する方法

M&Aのために資金調達する方法

出典:https://pixabay.com/ja/

M&Aの資金やその後の事業資金を確保するために資金調達が欠かせません。この章では、M&Aの際に資金調達する方法とメリット・デメリットを解説します。

直接金融(増資)

まずは、増資によって投資家から資金調達する直接金融(増資)から解説します。直接金融(増資)には、以下3つの方法があります。

【直接金融(増資)】

  1. 公募増資
  2. 株主割当増資
  3. 第三者割当増資

1.公募増資

公募増資とは、新株式を発行して広く一般の投資家から投資を受ける方法です。この際の株式単価は、時価よりも若干低めに設定して決定されることが多くなっています。

あまり下げすぎると既存株主の利益を害する可能性があるため、調整が重要です。ただし、株主総会の特別決議において出席した株主の議決権数の2/3以上が得られれば、株式単価を大きく変更することも可能です。

メリット

公募増資のメリットは、大規模な資金調達が可能な点です。広く一般の投資家から投資を受けるため、短期間で効率的に資金調達することができます。

また、新たな株主の増加や株式市場の流通性の底上げというメリットもあります。流通性が高い株式は換金性が高くさらなる株主の増加が期待できます。

これは本来の目的である資金調達とは異なりますが、企業として好ましい状態といえるでしょう。

デメリット

公募増資のデメリットは上場企業しか活用できない点です。上場していない中小企業は知名度も低く、一般の投資家から投資を受けるのは非現実的であるといえるでしょう。

また、株価の下落というデメリットもあります。既存株主にとっては、自分の資産価値が下がることを意味するため、反発を受けることも少なくありません。

2.株主割当増資

株主割当増資は特定の既存株主に新規発行株式の取得権利を与えて資金調達する方法です。新規に発行する株式数は、既存株主が保有する株式割合に応じて決められます。

メリット

株主割当増資のメリットは株主構成の比率がほとんど変わらない点です。会社の経営への影響を微量に抑えることができます。

また、既存株主が増資に応じやすいメリットもあります。時価と比べて低価格で設定することが多いため、株主がリスクを取りやすくなっています。

デメリット

株主割当増資のデメリットは、既存株主が株式取得権利を行使するとは限らない点です。

株式単価が時価より安く設定されているとはいえ、会社の将来性が危ういと判断された場合、資金調達はできません。

また、資金調達できる資金が限定されるデメリットもあります。時価より安く設定する差額は会社の負担となり、M&Aに必要な資金を調達しきれない可能性も存在します。

3.第三者割当増資

第三者割当増資とは、ある特定の第三者に新規発行株式の取得権利を与えて資金調達する方法です。

対象者に制限はなく、既存の株主を対象とすることもあれば、普段から付き合いのある取引先や役員に新規株式の発行権利を与えることもあります。

メリット

第三者割当増資のメリットは、利用者に制限がないことです。会社と関係性の深い第三者に権利を与えるため、増資の方法として安定性に優れており、会社の規模に関係なく実施できます。

また、売り手のM&Aの手段として利用することも可能です。割当者の株式保有率が過半数を超えるように割当することで、買い手に経営権を移転させることができます。

デメリット

第三者割当増資のデメリットは株式の希薄化です。1株あたりの相対的な価値が下がることで、既存株主の不利益に繋がる可能性があります。

株式時価の90%を下回る有利発行による割当の場合、既存株主に事前通知を行い、第三者割当増資の差し止め請求の機会を与えなければなりません。

間接金融(融資)

次は、銀行など金融機関の第三者が介入する借入によって、資金調達する間接金融(融資)の解説です。利息の支払いと元本の返済義務が伴うため、計画的な借入を行う必要があります。

借り入れ

借り入れは、預金者のお金を銀行を介して使わせてもらう方法です。万が一、資金回収が不可能となった場合は銀行が責任を持たなければならないため、融資の際は事業の計画性や将来性をみて厳しい審査が行われます。

メリット

借り入れのメリットは、M&Aの融資制度が充実している点です。昨今のM&A需要の高まりを受けて、銀行が積極的にM&A支援を行うようになってきています。

銀行は、融資以外にもM&Aアドバイザリー事業を手掛けていることが多く、M&Aの際は大手中小問わず銀行に協力を仰ぐことが多いです。

デメリット

借り入れのデメリットは、中小企業は個人保証・担保を必要とする点です。大手企業と比較して信頼性で劣る中小企業は、借り入れの際に担保を提供しなければなりません。

M&Aは、長期的な事業計画を見据えて行われることが一般的であるため、即座に資金回収することは困難です。

事業が軌道にのって全額返済するまでは、個人保証・担保の存在が経営者を悩ませる要因ともなります。

MBOの実施

MBOは、企業の経営陣が企業のオーナーや株主から株式を譲り受けることによって、独立を果たすM&A手法の1つです。

そのほかのM&A手法との大きな違いは買い手が内部者であるという点であり、主に経営と所有を一致させることで経営の意思統合を目的に実施されます。

メリット

MBOのメリットは、取得対価が現金で支払われる点です。株式を換金する手間がないため、資金をそのままM&A資金に当てることができます。

デメリット

MBOのデメリットは、売り手が会社の経営権を失う点です。既存の会社を成長させる目的で行われるM&Aの資金調達方法としては、使うことができません。売却益を活用して新事業を手掛ける場合は、新しく会社を設立する必要があります。

【関連】MBO(マネジメント・バイアウト)とは?方法・目的、メリットを解説【事例15選】

LBOの実施

LBOは、被買収企業の資産や将来的価値を担保として、銀行などの金融機関から資金調達して買収するM&A手法の1つです。

一般的な借入との大きな違いは、買収企業ではなく被買収企業の資産を担保にする点です。

メリット

LBOのメリットはローリスク・ハイリターンの実現です。借入金の返済は被買収企業が行うため、買収企業のリスクを抑えつつ、将来的な見返りを確保することができます。

また、節税効果にも期待できます。被買収企業の所得と利息の返済を相殺することで、納税の大幅な軽減が可能です。

デメリット

LBOのデメリットは、リターンを得られない可能性もある点です。被買収企業の将来的な収益を前提としているため、想定した事業成長が見られない場合、負債だけが残ってしまうことになります。

また、利息・金利が高いというデメリットもあります。LBOは金融機関もリスクを背負うことになるため、金利を高く設定することが一般的です。

M&Aのための資金調達方法の比較

  メリット デメリット
公募増資 ・大規模な資金調達
・株式市場の流通性
・中小企業は非現実的
・株価下落リスク
株主割当増資 ・株主構成比率の無変化
・株主が投資しやすい
・株主が権利行使しない可能性
・時価との差額は会社が負担
第三者割当増資 ・会社の規模に影響されにくい
・M&Aに発展することがある
・株式の希薄化
金融機関からの借入 ・銀行の積極的なM&A支援 ・中小企業は担保が必要
MBO ・取得対価が現金 ・売り手の会社の経営権の喪失
LBO ・ローリスク・ハイリターン
・節税効果
・リターンを得られない可能性
・利息・金利が高い

3. M&Aのために資金調達した際の返済期間

M&Aのために資金調達した際の返済期間

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M&Aのために借入で資金調達した場合、一定の期限までに全額返済する必要がありますが、返済に法的に定められた期間はありません。金融機関によって変動するため、借り手と貸し手の間で返済期限を設けて契約するのが一般的です。

返済期限の目安

返済期限の目安は何を目的とした資金であるかに左右され、主に「設備資金」か「運転資金」で大きく変わります。

【M&Aの際の借入金の返済期限の目安】

  1. 設備資金
  2. 運転資金

1.設備資金

設備資金とは、土地や建物など企業の長期的な活動に必要なものに関わる一時的な支出金のことをいいます。

M&Aの買収やデューデリジェンスにかかる費用はこの設備資金に該当します。設備資金は高額投資となるため、毎月の返済負担を減らす目的で長期間に設定されることが一般的であり、目安は10~15年です。

2.運転資金

運転資金とは、人件費など企業を運営していくために必要である継続的な支出金のことをいいます。

継続的にかかる支出に借入が必要な状況が続くと、経営が圧迫していくのは明らかであるため、できるだけ早期の改善を目指して返済できる事業計画を立てます。設備資金より短く設定されることが多く、目安は5~7年です。

返済期限を決めるポイント

前述の目安を元に借り手の事情を加味して返済期限を調整します。返済期限を決めるポイントは以下の2つです。

【M&Aの際の借入金の返済期限を決めるポイント】

  1. 収益を生み出すタイミング
  2. 現実的な返済プラン

1.収益性を生み出すタイミング

M&Aの際の借入金の返済期限を決めるポイント1つ目は、収益を生み出すタイミングです。M&A後の事業が軌道にのって、収益性を発揮するであろうタイミングを元に返済期限を設けます。

M&A後の統合プロセスを何年かけて行うのか、成功した場合はどのくらいの収益性があるのか、総合的に判断して返済可能である期間を見定めます。

2.現実的な返済プラン

M&Aの際の借入金の返済期限を決めるポイント2つ目は、現実的な返済プランです。総合的に払う利息や金利を抑えようと返済を急ぐと、毎月の負担が大きくなり事業計画に支障が出る可能性もあります。

収益性を実現させるための事業に支障が出ない程度に返済期限を定める必要があります。

【関連】M&Aでの資金調達の方法・スキームを解説!銀行融資のポイントや返済期間は?

4. M&Aのために資金調達した際の注意点

M&Aのために資金調達した際の注意点

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M&Aを実施する際、資金面で問題に衝突することがあります。しかし、計画性の欠いた資金調達は非常に危険です。この章では、M&Aのために資金調達した際の注意点を解説します。

【M&Aのために資金調達した際の注意点】

  1. 資金調達によるコストがある
  2. 資金調達が上手く進まない

資金調達によるコストがある

M&Aのために資金調達した際の注意点1つ目は、資金調達によるコストがあることです。資金調達に関連して発生するコストのことをさす言葉であり「株主資本コスト」と「負債コスト」に分けられます。

株主資本コスト

株主資本コストは、直接金融(増資)による資金調達で発生するコストです。主に利益率に応じて株主に分配する配当金のことをさし、株主によって配当率が変わるため、正確な金額の計算が難しい特徴があります。

【株主資本コストの計算方法】

  • 株主資本コスト = リスクフリーレート + β × マーケット・リスク・プレミアム

  • リスクフリーレート:銀行預金などの安全な資産の収益率
  • β:資産の市場に対するリスク(数字が高いほどハイリスク)
  • マーケット・リスク・プレミアム:安全な資産からリスクのある資産に向ける際の超過収益率

負債コスト

負債コストは、間接金融(融資)による資金調達で発生するコストです。銀行などの金融機関からの借入金の利息・金利が該当し、利子率が明確になっているので簡単に計算することができます。

【負債コストの計算方法】

  • 負債コスト = 利子率 × (1−法人税率)

資金調達が上手く進まない

M&Aのために資金調達した際の注意点2つ目は、資金調達が上手く進まない可能性があることです。資金調達する方法はさまざまですが、いずれの方法も必ず成功するわけではありません。

直接金融(増資)で資本を増やそうとしても、投資家の目に止まるような魅力あるいは将来性がなければ、資本を増やすことができず、手続きコストを費やすだけに終わることもあります。

また、間接金融(融資)の場合も同様であり、銀行はリスクを極端に嫌うため、厳しい審査で返済能力の有無をチェックされます。返済能力がないもしくは事業計画に欠陥があると判断されれば、融資を受けることができません。

M&Aの資金調達をスムーズにするには、投資・融資することで十分な見返りが期待できることを効果的にアピールする必要があります。

5. 日本でM&Aを行う際に現実的な資金調達方法

日本でM&Aを行う際に現実的な資金調達方法

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様々なM&Aの資金調達方法を紹介してきました。大手企業は自社の事情に合わせた方法を利用することで効率的な資金調達が可能です。しかし、中小企業の場合は実行が非現実的な方法があるのも事実です。

中小企業のM&Aの際に現実的な資金調達方法

公募増資は広く一般の投資家から募る特徴があるゆえ、上場企業のように知名度がなければ満足に資金を調達することができません。

株主割当増資は対象者が自社を除く既存株主のため、社外の繋がりがない企業は限定的になってしまいます。

このような特徴から、中小企業のM&Aの際に現実的な資金調達方法は「第三者割当増資」と「銀行からの借入」になります。

【中小企業のM&Aの際に現実的な資金調達方法】

  1. 第三者割当増資
  2. 金融機関からの借入

第三者割当増資

第三者割当増資は割当の対象者に制限がありません。自社内の役員や従業員、付き合いのある取引先などに株式の発行権利を与えることができます。知名度が低い中小企業でも友好的に活用することが可能です。

金融機関からの借入

第三者割当増資による資金調達も難しい場合、金融機関からの借入が現実的です。個人保証や担保を提供する必要はありますが、資本が少ない中小企業もM&Aに必要な資金を調達できます。

【関連】M&Aでの銀行の役割まとめ!相談先になる?

6. M&Aのために資金調達する上での相談先

M&Aのために資金調達する上での相談先

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M&Aのために資金調達する際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所には、会計・財務の専門家である公認会計士が在籍しています。

さまざまな企業の会計・財務に携わってきた公認会計士が、あらゆる可能性を模索したうえで最適な資金調達プランを提案します。

また、M&Aに明るいアドバイザーと弁護士も在籍しているため、M&A全体の一貫したサポートが可能です。

料金体系は資金調達を含めて完全成功報酬制となっていますので、まずはお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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7. まとめ

まとめ

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昨今は大手・中小企業問わずM&Aが活性化しており、業界のあちこちで企業再編の動きが見られています。生き残り戦略をかけたM&Aは必ず成功させなければなりません。

しかし、M&Aは買収やデューデリジェンスに高額な費用がかかってしまい、資金調達に苦労するケースが多く見受けられます。

スムーズに資金調達するには、資金調達の特徴や方法を把握した上で、自社に適切なものを選択する必要があります。

【M&Aのために資金調達した際の注意点】

  1. 資金調達によるコストがある
  2. 資金調達が上手く進まない

【中小企業のM&Aの際に現実的な資金調達方法】

  1. 第三者割当増資
  2. 金融機関からの借入

M&Aの資金調達にお悩みの際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&Aに明るい公認会計士が財務状況やM&A後の経営戦略を踏まえたうえで最適な資金調達プランを提案いたします。

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