2023年11月02日更新
スクイーズアウトとは?少数株主の排除手法や手続きを解説【事例あり】
スクイーズアウトは、同意を得ることなく少数株主を排除できる手続き方法です。本記事では、スクイーズアウトとはどのような手法なのかについて、スクイーズアウトで用いられる手法の種類や手続き方法などを解説し、スクイーズアウトの事例も紹介します。
目次
1. スクイーズアウトとは
スクイーズアウトとは、支配株主が少数株主の同意を得ることなく、すべての株式を取得できる方法です。スクイーズアウトの手法は複数あり、状況に応じて手法を使い分けます。
スクイーズアウトは、少数株主の同意を得る必要がないといった大きなメリットがある方法です。しかし、手法の用い方や株式の買い取り価格などに少数株主が不満を持った場合は裁判となり、買い取り価格の引き上げやスクイーズアウト自体の差し止めとなる可能性もあります。
スクイーズアウトの目的(メリット)
スクイーズアウトを行う目的は、主に以下の4つです。
- M&Aのために持ち株比率を100%にするため
- 経営を円滑に行う際に支障をきたす恐れのある株主を排除するため
- 支配権を強化して会社の意思決定をスムーズに行うため
- 連結納税などのタックスメリットや上場廃止を行うため
①M&Aのために持ち株比率を100%にするため
M&Aによって企業を買収する際、買収側は持ち株比率を100%にするため、スクイーズアウトの手法を用いることがあります。グループ企業ではない相手を完全子会社化する際に、相手企業の株主全員から同意を得るのは、簡単ではありません。
そのため、まずはTOBなどの手法によって3分の2以上の議決権を手に入れ、スクイーズアウトの手法によって持ち株比率100%を目指します。
②経営を円滑に行う際に支障をきたす恐れのある株主を排除するため
持ち株比率が2分の1以上や3分の2以上あっても、少数株主が抵抗すれば円滑な経営が行えません。特に中長期の視点で事業を育てたい場合は、少数株主の存在が障害となることがあります。
そのため、経営陣や支配株主は、スクイーズアウトの手法によって少数株主を排除し、計画どおりの経営が行える体制を作るのです。
③支配権を強化して会社の意思決定をスムーズに行うため
意思決定をスムーズに行うには、支配権を強化する必要があります。議決権比率が半分を超えると通常の意思決定をとおせ、議決権比率が3分の2を超えると重要な意思決定もとおせます。
100%になると、すべての意思決定を自由に決められるのです。買収側は意思決定をすべて自由に行うため、スクイーズアウトの手法によって完全支配権の取得を目指します。
④連結納税などのタックスメリットや上場廃止を行うため
スクイーズアウトの手法を用いることによって、連結納税制度を適用したり、子会社を上場廃止にしたりすることが可能です。連結納税制度とは、完全親子関係にあるグループ企業が利用できる税制で、さまざまな税制上のメリットが得られます。
また、経営陣によるMBOや親会社によるスクイーズアウトで子会社を上場廃止にすると、目先の業績や株主などの声に振り回されず、じっくりと事業を育てることが可能です。
MBOとは、経営陣が自社株を買い集めることで上場廃止にする方法です。スクイーズアウトと組み合わせて利用することで、効率的に株式を集められます。
少数株主の排除方法
少数株主の排除方法には、株主の同意を得て行う方法と、同意を得ずに行うスクイーズアウトの方法があります。
株主の意思を尊重した任意の買取
すべての株式を買い集めたい場合に、株主から個別に同意を得たうえで買い取る方法があり、同意を得ているので後々のトラブルになりにくいメリットがあるでしょう。しかし、同意を得られない可能性や、同意を得る時間がかかるデメリットがあります。
同意を得て買い取る方法の場合は、どの株主とどのような交渉を行い、買い取り価格をどのように設定するかなど、事前に綿密な準備が必要です。
スクイーズアウト
株主から個別に同意を得て買い取る方法に対して、スクイーズアウトの手法を用いて同意を得ずに買い取る方法があります。
スクイーズアウトでは、まずTOB(株式公開買付)などによって株式を買い集め、残りをスクイーズアウトによって集める方法が一般的です。
TOBとは、公開市場外で株式を買い付ける方法です。株主に対して買付価格や買付株式数、買付期間などを提示し、同意した株主から買い付けます。
ただし、最終的にスクイーズアウトの手法を用いるとしても、まずは少数株主に対して丁寧に説明をし、できるだけ多くの株主から同意を得る戦略を取るのが一般的です。
強引にスクイーズアウトを進めると、少数株主の訴えによって裁判となり、差し止められる可能性もあります。
2. スクイーズアウトと株価の関係
スクイーズアウトを実施する際は、少数株主から買い取る株式の株価が公正妥当である必要があります。
スクイーズアウトで株式を買い取る大株主は、できるだけ安価に買い取れるよう設定したいと考えるものです。しかし、買取価格があまりにも低いケースでは、裁判所から売却価格決定の申立てをされるでしょう。
そのため、少数株主も納得できる適正な方法で算定した株価を用いることが重要です。
3. スクイーズアウトが使用されるケース
スクイーズアウトの手法が用いられるケースは、以下があります。
- 会社設立に発起人7名が必要だった時代の名残で経営者以外が株主を保有しているケース
- 相続により相続人が株式移転を行うケース
- 従業員・取引先の株式を保有させているケース
- M&Aを行うために必要なケース
①会社設立に発起人7名が必要だった時代の名残で経営者以外が株主を保有しているケース
会社設立の発起人が7名必要だった頃に起業している企業の場合、名義だけで経営には実質参加していないため、所在が不明になっているケースがあるでしょう。
所在不明の株主を排除する方法はいくつかありますが、スクイーズアウトの手法を用いて比較的簡単に排除することも可能です。
②相続により相続人が株式を保有しているケース
中小企業のオーナー社長などが亡くなったため、複数の親族に株式が分散しているケースがあります。
突然親族が経営に参加する権利を主張してくるなどの親族間トラブルが起こり得るので、スクイーズアウトの手法を用いることによって排除しましょう。
③従業員・取引先に株式を保有させているケース
前経営者などが、従業員のモチベーションを高めるためや取引先との関係を深めるために株式を保有させているケースがあります。
個々の株式保有割合は少数でも、集まることによって経営に支障が出る可能性がある場合はスクイーズアウトの手法によって排除しておく必要があります。
④M&Aを行うために必要なケース
M&Aを行うには、株主総会での承認が必要です。しかし、100%議決権を持っていれば、株主総会の省略が可能です。M&Aによる買収戦略をスムーズに進めたい場合に、スクイーズアウトの手法を用いて少数株主を排除しておくケースがあります。
4. 任意買取の手続き
株主から任意の買取手続きを行う際は、以下の手順で進めます。
- 買取株式数の確認
- 買取相手の選定・交渉戦略
- 買取の検討
- 買取価格の決定
①買取株式数の確認
まずは株主から何株集める必要があるかを確認しましょう。スクイーズアウトの手法によっては、3分の2以上の議決権が必要であったり、9割以上の持ち株比率が必要であったりします。
最終的にスクイーズアウトの手法による手続きが必要になったときのために、買取株式数を確認したうえで手続きを進めるのです。
②買取相手の選定・交渉戦略
必要株式数が決まったら、どの株主と交渉するかを決めます。買取相手の選定は、支配株主との関係性などを踏まえて選び出します。
効率良く買取を進めるには、できるだけ保有株式数の多い株主から順番に交渉したり、友好的な株主との交渉を優先したりする必要があるでしょう。
③買取の検討
買取計画が固まったら、目的や資金状況に合わせて、誰が買い取るかなどを決めます。MBOによって経営陣が買い取るのか、支配株主が買い取るのか、買収用の特別目的会社を設立して買い取るのかなど、最適な買い取り方法を選ぶのです。
④買取価格の決定
買取価格は、企業価値評価や市場の状況などを踏まえ、最終的には交渉によって決定します。買取価格が高すぎると資金を圧迫し、買取価格が安すぎると株主の同意が得られません。
5. スクイーズアウトの手法
スクイーズアウトには以下の手法があります。
- 特別支配株主の株式等売渡請求制度
- 株式併合
- 現金対価株式交換
- 全部取得条項付種類株式
それぞれの特徴をまとめると以下です。
特別支配株主の株式等売渡請求制度 | ・株主総会が必要ないので手続きが簡単 ・90%以上の議決権が必要 |
株式併合 | ・スクイーズアウト以外の目的でもよく用いられる ・会社法改正後から利用しやすくなった |
現金対価株式交換 | ・株式交換により子会社の少数株主を排除 ・会社法改正後利用しやすくなった ・非上場企業には向かない |
全部取得条項付種類株式 | ・手続きに大きな手間がかかる ・現在はほとんど用いられない |
①特別支配株主の株式等売渡請求制度
特別支配株主の株式等売渡請求制度とは、特別支配株主が少数株主の同意を得ることなく株式を買い取れる手法です。
特別支配株主とは、議決権を90%以上持っている支配株主のことをいいます。株式等売渡請求制度の場合、株主総会の手続きが必要ないので、比較的簡便に短期間での手続きが可能です。
特別支配株主の株式等売渡請求制度は、会社法改正によって最もよく使われるようになったスクイーズアウトの方法です。
②株式併合
株式併合とは、株式数を圧縮することで、少数株主の株式を端株にしてしまう手法をいいます。端株とは1株以下の株式のことで、議決権や優待を受ける権利などがありません。
株式併合は、会社法改正前までは株主保護がされていないことなどから使いにくい手法でした。しかし、会社法が改正されメリットが大きくなったので、現在はスクイーズアウト以外の目的でもよく用いられる手法となっています。
③現金対価株式交換
現金対価株式交換とは、株式交換の特徴を利用したスクイーズアウト手法です。株式交換とは、株式の交換によって相手企業を完全子会社化する手法です。
株式交換は現金も対価にできるため、相手企業の株主を排除できます。現金対価株式交換は、上場企業が子会社の少数株主を排除する際に効果的な手法です。
④全部取得条項付種類株式
全部取得条項付種類株式とは、発行会社から請求された場合強制的に発行会社へ売却しなければならない株式のことです。種類株式とは通常の株式とは違った権利が付与されている株式で、全部取得条項付種類株式はその1つになります。
全部取得条項付種類株式の発行には株主総会の特別決議で承認を得て定款に定める必要があり、効力を発揮する際も株主総会の特別決議が必要です。
会社法改正前は利用事例もありましたが、非常に手間がかかる手法なので、会社法改正後の現在はあまり用いられていません。
6. スクイーズアウトに関する会社法改正による注意点
スクイーズアウトの手法は、会社法改正によって変わってきました。平成26年の会社法改正前までは、全部取得条項付種類株式の手法を用いるケースが多かったですが、会社法改正後は特別支配株主の株式等売渡請求制度や、株式併合が多用されています。
事例としてはまだ多くありませんが、平成29年度の会社法改正からは、現金対価株式交換も有効な方法の1つとなりました。
会社法改正により、以前よりもスクイーズアウトを行いやすい環境となりましたが、同時に少数株主の権利保護も重視されるようになっています。
原則少数株主の同意が必要ないとはいえ、今後は少数株主を尊重した対応をしなければなりません。
7. 株式併合を用いたスクイーズアウトの手続き・手順
スクイーズアウト手法の中でもよく用いられるようになった、株式併合の手続き方法は以下のとおりです。
- 取締役会決議
- 株式併合に関する事前開示書類の備置
- 株主総会の招集通知発送
- 株主総会による株式併合の承認
- 株主への個別通知
- 株式併合の効力発生
- 株式併合に関する事後開示書類の備置・開示
①取締役会決議
取締役会がある場合は、取締役会で株式併合を行う承認を得ます。取締役会では、株式併合を行う理由を検討します。
②株式併合に関する事前開示書類の備置
株式併合を行う会社は、事前開示書類を株主への通知・公告を行った日から、株式併合の効力発生日以降6カ月間、本店に備え置かなければなりません。
事前開示書類とは、株主などが株式併合について判断材料とするための書類のことです。
③株主総会の招集通知発送
株式併合を行う会社は、株主に対して株主総会の招集通知を送付します。このとき同時に、株式併合を行う旨の通知や、反対株主からの株式買取請求を受け付ける旨の通知を行うことも可能です。
④株主総会による株式併合の承認
株式併合を行う会社は、株主総会で株式併合を行う理由を説明したうえで、会社法で定められた事項を決議しなければなりません。
株式併合の承認には、総株主の半数が出席し、3分の2以上における議決権割合の承認が必要です。株式併合で承認を得なければならない事項は、以下のとおり会社法で定められています。
- 株式を何株から何株に圧縮するか
- 株式併合の効力発生日
- 種類株式を発行している場合、株式併合を行う株式の種類
- 株式併合後の発行可能総株式数
⑤株主への個別通知
株式併合を行う会社は株主に対して、端株を買い取る旨や株式の買取価格、反対株主からの株式買取請求を受け付ける旨などを個別通知します。
なお、反対株主が買取請求を有効にするには、株主総会前に反対の意思を表明したうえで、株主総会で反対票を投じなければなりません。
⑥株式併合の効力発生
株式併合の効力発生日を迎えたら、少数株主からの株式買取や反対株主からの買取など、各種必要な手続きを進めていきます。
⑦株式併合に関する事後開示書類の備置・開示
株式併合を行った会社は、効力発生日から6カ月間、事後開示書類を本店に備え置かなければなりません。事後開示書類とは、株式併合の内容や反対株主からの買取請求の進捗などを記載した書類のことです。
8. スクイーズアウトへの対抗策
スクイーズアウトは少数株主の同意がなくても行われるので、スクイーズアウトの方法が不当である場合には、会社法によって少数株主に対抗手段が与えられています。
- 買取価格への不服申立
- 株式併合の差止請求
- 株主総会特別決議の無効申立
- 株式併合の無効申立
- 株式買取請求
これらの対抗手段は、スクイーズアウトの手法によって、使用できる方法が変わってきます。
例えば、特別支配株主の株式等売渡請求制度をスクイーズアウト手法として用いている場合、株主総会の決議が必要ないため、③の方法を利用できません。代わりに④の方法を、対抗手段として利用します。
これらの対抗手段は、会社法上明らかに不当と認められる場合にのみ有効となるので、スクイーズアウトに反対という理由だけで対抗手段を用いても、裁判で棄却されてしまいます。
9. スクイーズアウトが行われた事例
ここからは、実際にスクイーズアウトの手法が用いられた事例を見ていきましょう。
- パイオニアのスクイーズアウト事例
- エナリスのスクイーズアウト事例
- 光製作所のスクイーズアウト事例
- 雪国まいたけのスクイーズアウト事例
- 株式会社ジュピターテレコムのスクイーズアウト事例
- 日本生命のスクイーズアウト事例
- カネボウのスクイーズアウト事例
- 丸山工業のスクイーズアウト事例
- 関西汽船のスクイーズアウト事例
- AS-SZKiのスクイーズアウト事例
①パイオニアのスクイーズアウト事例
音響機材大手のパイオニアは、プラズマテレビやカーナビ事業などの不調によって長く業績不振に陥ったことから、2018年12月に上場廃止を発表しました。
アジア系投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアが支配株主となり、さらに株式併合によるスクイーズアウトでパイオニアを完全子会社化し、2019年に上場廃止としました。
上場を廃止することによって、パイオニアは目先の業績に左右されず、中長期計画での経営再建を目的としています。
②エナリスのスクイーズアウト事例
電力卸事業を主事業としていたエナリスは2019年、電力事業に力を入れるKDDIとJパワーによって買収されました。
KDDIとJパワーはTOBを宣言して株式を買い集め、3分の2以上の議決権を得たことからスクイーズアウトによってすべてのエナリス株を取得しています。エナリスは2018年に不正会計が発覚したことから株価が大幅に下落しました。
一方、電力自由化による電力事業のシェアを獲りたいKDDIは、この機会に提携関係にあったエナリスを傘下に収め、電力事業を本格化させています。
③光製作所のスクイーズアウト事例
家具販売や不動産賃貸業を行う光製作所は2019年、親会社である光商、久光、久伸、松栄の4社によってスクイーズアウトが実施され、上場廃止となりました。親会社4社は株式併合の方法を用いて少数株主を排除しています。
家具業界と不動産賃貸業界は、ともに市場が縮小傾向にあり、光製作所の業績も厳しい状態にありました。そこで、親会社4社はスクイーズアウトによって上場廃止とし、経営の立て直しを図る決断に至っています。
④雪国まいたけのスクイーズアウト事例
雪国まいたけは2015年、米投資ファンドのベインキャピタルよるTOBとスクイーズアウトで完全子会社化され、上場廃止となりました。
雪国まいたけは、経営陣による不適切会計の告発で、創業者が経営から退きましたが、新経営陣の間でも衝突が続きます。
経営陣のトラブルに乗じて、ベインキャピタルは買収を仕掛け、買収に成功しました。ベインキャピタルはその後、米卸大手の神名に保有株式の約半分を売却し、利益を得ています。
⑤株式会社ジュピターテレコムのスクイーズアウト事例
ケーブルテレビ事業などを行うジュピターテレコムは2013年、住友商事とKDDIによって共同買収が行われました。
全部取得条項付種類株式を利用したスクイーズアウトの方法で、2014年にはジュピターテレコムを住友商事とKDDIが折半出資の形で、完全子会社化しています。
住友商事とKDDIは、ジュピターテレコムの主導権を争ってきましたが、折半出資によって落着しました。ジュピターテレコムの子会社化によって、両社はメディア事業を展開しています。
⑥日本生命のスクイーズアウト事例
日本生命は2015年、三井生命に対して買収交渉を進めた結果、経営統合の合意に至ったことを発表しました。
日本生命はTOBで三井生命株式を買い集め、その後優先株式の転換や株式等売渡請求の方法によるスクイーズアウトで三井生命を完全子会社化しました。
優先株式とは、普通株式よりも優先的に利益を受け取れる株式で、転換することにより普通株となります。
日本生命は統合によるスケールメリットや、長い間深い関係にあった三井生命を救済する意味もあって完全子会社化に至っています。三井生命は2019年4月に、大樹生命と商号を変更しました。
⑦カネボウのスクイーズアウト事例
業績悪化と粉飾決算から、2004年に産業再生機構による支援を受けることとなったカネボウは、カネボウ化粧品を切り離し、花王に売却しました。
その後カネボウは消滅し、カネボウ化粧品は花王の完全子会社となりましたが、企業文化の違いやカネボウ美白化粧品の白斑被害などによって業績は伸びず、組織再編などのテコ入れを繰り返しています。
⑧丸山工業のスクイーズアウト事例
繊維製品製造の丸山工業は2008年、スクイーズアウトによって筆頭株主である泉製作所の完全子会社となり、上場廃止しました。
丸山工業は、全部取得条項付種類株式を用いた方法により、少数株主から株式を取得しています。
泉製作所は丸山工業の主要取引先であったことから、完全子会社化により事業を泉製作所向け1本に絞りました。その後2011年には、泉製作所の子会社であるシンコー工業に吸収合併され、解散しています。
⑨関西汽船のスクイーズアウト事例
海運業を営んでいた関西汽船は2009年、商船三井のTOBによって子会社となりました。さらに全部取得条項付種類株式を用いた方法によるスクイーズアウトで完全子会社化されています。
関西汽船はフェリー事業が軌道に乗らず、商船三井に支援要請を行っていました。商船三井は、支援の効果を発揮しシナジー効果も得るには完全子会社化することが効率的と判断し、TOBとスクイーズアウトに至っています。
⑩AS-SZKiのスクイーズアウト事例
建設事業を営むAS-SZKiは2011年、創業家が全部取得条項付種類株式の方法を用いたMBOによってすべての株式を買い集め、上場廃止としました。
AS-SZKiは株主構成などが上場基準を満たしていなかったことから、条件を満たすための施策を行っていました。しかし、上場基準を満たすのは厳しいと判断し、スクイーズアウトによる上場廃止を決断しています。
10. スクイーズアウト関連の裁判判決事例
スクイーズアウトでは、過去に少数株主の訴えによって、裁判になった事例があります。スクイーズアウトの実行に関して、裁判となった3つの事例を見ていきましょう。
- ジュピターテレコム事件
- サイバードホールディングス事件
- レックス・ホールディングス事件
①ジュピターテレコム事件
スクイーズアウトの事例で紹介した、ジュピターテレコムに対する住友商事とKDDIのTOBとスクイーズアウトについて、ジュピターテレコムの海外株主は、買付価格が安すぎると訴えて裁判になりました。
しかし、最高裁判所は、住友商事とKDDIが提示したTOB価格とスクイーズアウト価格は適正である、との判決を下しています。
②サイバードホールディングス事件
モバイルコンテンツ事業などを行うサイバードは2007年にTOBによるMBOを実施し、投資会社の子会社であるCJホールディングスの子会社となりました。
その後2008年には、全部取得条項付種類株式を用いた方法によって、スクイーズアウトを実施しています。
しかし、株主から買い付け価格が安すぎると訴えられ、東京地裁では価格に問題はないと判決が出たものの、東京高裁では不当な価格が提示されているとして、プレミア価格を上乗せした買い付け価格を提示するよう求められています。
③レックス・ホールディングス事件
外食事業を行うレックス・ホールディングスは、2006年MBOによる上場廃止計画を実行するため、買収用企業を設立しTOBを実施するなどして、レックス・ホールディングスの株式を90%以上買い集めました。
その後、全部取得条項付種類株式の方法を用いたスクイーズアウトを実行しました。しかし、買い付け価格の発表が、レックス・ホールディングスの業績下方修正が発表された直後だったことから、株主から買い付け価格が安すぎるのではないかと訴えられます。
東京地裁は、スクイーズアウトの買い付け価格は不当といえないとし、東京高裁でも違法性があるとはいえないとしました。結果的に、レックス・ホールディングスは、当初の買い付け価格にプレミア価格を上乗せして、買い付けを行っています。
11. 少数株主はスクイーズアウトに対抗可能か
スクイーズアウトについて、会社側には、経営上の異なる意見を持つ少数株主を排除する利点がありますが、株を売らざるを得ない少数株主にとっては不本意な制度かもしれません。特に、家族や友人、事業を始めた仲間など、個人的な関係が絡む中小企業では、このような手続きにより人間関係に亀裂が入ることがあります。
もし買い取られる株の価格が適正でないと感じた株主がいれば、その不満が法的な争いに発展するリスクがあります。たとえば、「ジュピターテレコムの事件」では、会社が設定した株の買取価格が市場価格よりも明らかに低かったため、問題になりました。
公平な方法で株価を算定し、正式な手続きを守ることで、少数株主がスクイーズアウトに反対することは難しくなりますが、裁判になって会社が勝訴しても、大きな争いは会社の評判を落とすことになります。トラブルやイメージダウンを避けるためには、株主としっかり話し合い、適切な手続きを踏むことが何より重要です。
12. スクイーズアウトの相談先
スクイーズアウトを円滑に進めるには少数株主に納得してもらう必要があり、そのためには、M&Aに関する幅広い知識や実務経験・交渉力などが必要です。
M&A総合研究所では、実績豊富なM&Aアドバイザーが案件をフルサポートいたしますので、円滑で迅速なスクイーズアウトが可能になります。
料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
13. スクイーズアウトのまとめ
スクイーズアウトとは、少数株主の同意を得ることなく排除できる方法のことです。
スクイーズアウトは、会社法改正によって以前よりも利用しやすい方法となりましたが、少数株主の権利保護も会社法改正によって重視されるため、スクイーズアウトの手続きには慎重で綿密な計画が必要といえます。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。