2024年06月28日更新
会社を売るメリット・デメリット!高額で売るためのポイントも解説
近年は会社を第三者へ売る中小企業が増加していますが、会社を売る際は成功するポイントを押さえながら、トラブルなどを避ける必要があります。本記事では、会社を売るメリット・デメリットや会社を売る流れ、会社を売る際のポイントなどを解説します。
目次
1. 会社を売るメリット・デメリット
会社を売る際はさまざまなメリット・デメリットが生じます。メリットを最大限享受しデメリットを極力回避するには、十分な準備が必要です。本章では、会社を売る際のメリット・デメリットを紹介します。
会社を売るメリット
会社を売る際に得られる主なメリットには、以下の6点が挙げられます。
【会社を売るメリット】
- 売却益が入る
- 保証や個人担保などの解消
- 後継者問題を解決できる
- 経営のプレッシャーからの解放
- 従業員の雇用を確保できる
- 会社の規模を大きくできる
売却益が入る
株式譲渡の場合、株主に売却の対価が入ります。多くの中小企業はオーナー経営者が大半の株式を保有しているので、売却益のほとんどはオーナー経営者が手にすることになるでしょう。
売却益の使い方は限定されないため、新たな事業に挑戦するシリアルアントレプレナーもいれば、経営から退いてまったく違った生活を送るオーナー経営者も見られます。どのような方向性を選ぶにしろ、会社を売ってまとまったお金が入ることはオーナー経営者にとって安心材料となるでしょう。
保証や個人担保などの解消
自己資金だけで事業を続けている企業は少なく、多くの場合は金融機関から借入を行うなどして事業を継続しています。しかし、個人保証や担保は、時にオーナー経営者にとって大きな精神的負担となります。
事業がうまくいかなくなれば経営者自身が返済することとなり、生活が困窮してしまう可能性もでてくるでしょう。会社を売ることによって個人保証を譲受企業に引き継ぐことができれば、オーナー経営者は個人保証や担保から解放されるだけでなく、精神的負担もなくなります。
後継者問題を解決できる
後継者問題には、親族・従業員に事業を引き継ぐ人物がいない、親族・従業員に適性がある人物がいない、後継者としての育成期間が足りないなど、さまざまな課題があります。
しかし、第三者へ会社を売る場合は、会社を売る相手が限定されることなく幅広い相手から探せる点や、はじめから適性のある相手を選べる点など、親族や従業員に会社を売る場合の課題を解決できます。
経営のプレッシャーからの解放
経営状態が悪くなくても、従業員を守っていかなければならないプレッシャーや将来の不安、モチベーションの低下など、精神的負担を抱えているオーナー経営者も少なくありません。
会社を第三者へ売ることで、会社をつぶすことなく経営のプレッシャーから解放されます。会社を売る相手によっては会社をさらに成長させてくれる可能性もあるので、経営のプレッシャーから解放されるだけでなく、会社の存続・成長も望めます。
従業員の雇用を確保できる
廃業の際、オーナー経営者が悩む点が従業員の雇用先です。従業員のことを考えてなかなか経営から引退できない、会社を廃業できないオーナー経営者も多くいます。
その結果、引退の平均年齢を過ぎても働き続けているオーナー経営者も少なくありません。しかし、会社を第三者へ売ることで、従業員の雇用も確保できます。
ただし、会社を売る際は、契約書に従業員の雇用・待遇を守る契約をしっかりと盛り込む必要があります。
会社の規模を大きくできる
大手・中堅企業へ会社を売ることでグループの子会社となれば、親会社の経営資源を活用して会社のさらなる成長が期待できます。以前までは、他社に会社を売ることにネガティブなイメージを持つオーナー経営者も多くいましたが、近年は抵抗感がなくなっているのが現状です。
近年は、大手・中堅企業の傘下に収まることで、自社の継続と成長を望むオーナー経営者も増えてきています。
事業が存続できる
続いての会社を売却するメリットとして挙げられるのは、会社を畳まずに事業承継できることです。会社を売却すれば、代わりに会社を運営してくれる会社を見つけられます。
廃業ではなく、事業を承継して会社が存続できれば、従業員が失業することもありません。後継者不足に加えて、債務超過や赤字などが原因となって、事業が継続できないケースは多々あります。会社を売却すれば、事業に関する権利や契約は買い手企業に移せます。
株式譲渡なら負債を譲受企業へ引き渡すことができますし、事業譲渡でも事業の一部を現金化することで財務状況に余裕が生じます。債務超過や赤字などの問題がある企業でも、倒産させることなく、従業員の雇用や取引先などの契約を維持できます。
会社を売るデメリット
一方で会社を売るデメリットも存在します。会社を売る主なデメリットには、以下の3つがあります。
【会社を売るデメリット】
- 競業避止義務がある
- ロックアップされる可能性
- 会社が持つイメージがダウンする可能性
競業避止義務がある
競業避止義務とは、売り手側が会社を売った後、同業種の事業を再び始めないようにするための取り決めです。
売り手側が会社を売った後に同地域で同業種の事業を始めると、買い手にとって不利益を及ぼす可能性があります。売り手側に競業避止義務を課すことで、同地域で一定期間同業種の事業を行えないよう義務化します。
しかし、会社を売る側からすると、新たに事業を開始しようと思っても、制限があることでなかなか次の事業が始められなくなるかもしれません。
会社を売った後、新たに事業を始めるつもりがないのであれば問題ありませんが、会社を売った後に事業を始めるつもりがある場合は競業避止義務に注意が必要です。
ロックアップされる可能性がある
ロックアップとは、売り手会社のキーマン(オーナー経営者など)がM&A後も一定期間買い手企業に残ることを指します。買い手側は買収した会社を統合していくプロセスが必要になりますが、その際は買収した会社の内情をよく知っている人物のサポートが必要となるケースもあるでしょう。
売り手会社のオーナー経営者などに一定期間会社に残ってもらうことで、統合作業をサポートしてもらいます。しかし、ロックアップは売り手企業のオーナー経営者などが一定期間拘束されることになるでしょう。会社を売った後、一定期間自由が制限されるという意味では、デメリットにもなります。
会社のイメージがダウンする可能性がある
会社を売って他社の傘下に入ることに対し、ネガティブなイメージを持っている人もいます。会社を売るほど経営が危ういのではないかなどのイメージを顧客から持たれてしまい、イメージダウンにつながる可能性があります。
買い手企業によるテコ入れでサービスや商品が変わったことが、イメージダウンにつながるケースも考えられるでしょう。会社を売る際は、売る相手や売った後のテコ入れをどのように行うつもりなのかなど、よく注意する必要があります。
2. 会社売却の動向・売却の主な理由
会社売却の動向・売却の主な理由を紹介します。
会社を売る経営者が増加している
中小企業施策「令和5年 中小企業の動向」の資料におけるレコフデータの発表によると、M&A件数は増加傾向です。2022年は過去最多の 4,304件で、2023年は4,015件と高水準を維持しています。中小企業は経営戦略の1つとして有効活用するケースが多くなっているというのがわかります。
後継者問題の解決
現在、中小企業の数は減少し続けています。その原因は、オーナー経営者の高齢化と親族内事業承継の減少です。職業選択の自由や個人の価値観が重視される現代では、親の会社を継ぐ子どもが減少し、オーナー経営者も子どもに事業を継がせないケースが増えています。
しかし、それでは長年育ててきた会社が失われてしまうことにもなるため、M&Aを活用して第三者へ会社を売ることで、会社を存続させるケースが増えています。
事業継続への不安
変化が速くなっている近年では、事業継続に不安を感じているオーナー経営者も少なくありません。事業継続の不安は、業界再編・技術革新などによる将来の不透明感や、オーナー経営者の年齢、体調、モチベーションなどさまざまです。しかし、現状では事業継続が十分可能な会社も多く存在します。
そこで、M&Aによって会社を第三者に売ることで、オーナー経営者の不安が解消されるだけでなく、会社を存続させることが可能になります。
廃業や倒産を免れるため
廃業や倒産に至ると、会社が失われる、従業員の雇用が失われる、取引先に迷惑がかかるなどさまざまな影響が生じます。中小企業が第三者に会社を売ることが浸透していなかった頃は、親族や従業員に事業承継できなければ廃業するしかないと考えるオーナー経営者も少なくありませんでした。
しかし、中小企業が会社を第三者に売るメリットが浸透し始めてきた現在では、廃業や倒産を免れるために第三者へ会社を売ることを選択するケースが増えています。近年は公的機関や金融機関などによる声かけなどもあり、会社を売ることを積極的に検討するオーナー経営者も増えています。
事業を拡大させるため
他社の子会社となることに抵抗を感じる中小企業経営者も以前は多かったですが、近年は積極的に他社の傘下に入り事業シナジー獲得を目指すオーナー経営者も増えています。
会社を売ることで他社の子会社となるメリットも多く、商品・サービスの質やラインアップ拡充、販売チャネルの獲得、技術・ノウハウ・人材・販売エリアの共有、ブランド・信用力の向上など、M&Aがうまくいけばさまざまなメリットを得られるでしょう。
3. 会社を売る方法
会社を売る際に用いる手法は案件によってさまざまですが、ここでは中小企業が会社を売る際によく用いられる3つの手法を解説します。
【中小企業が会社を売る際に多く用いられる手法】
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 会社分割
株式譲渡
株式譲渡とは、売り手会社の株主から買い手会社へ保有株式を譲渡し、買い手は対価として現金を支払う手法です。株式譲渡は、M&Aの際に会社の組織などに与える影響が少ない点がメリットですが、事業の一部を手元に残すといったことはできません。
株式譲渡によって買い手企業の子会社となるには、51%以上の発行済株式を譲渡する必要があります。買い手企業の完全子会社となるには100%の株式を譲渡する必要があります。
売り手側が株式を100%譲渡すると、売り手側のオーナー経営者などは自社に関する権利をすべて失うでしょう。売り手側のオーナー経営者が会社を売った後も会社の経営に何かしらの形で関わるつもりであれば、譲渡する株式の配分はよく検討しなければなりません。
事業譲渡
事業譲渡とは、事業部門や事業用資産の一部または全部を買い手会社へ譲渡する手法です。会社ごと売ることになる株式譲渡とは違い、特定の事業や事業用資産を選択して売ることが可能です。
買い手会社にとっても、不要な事業や負債を譲受しなくてよい点がメリットです。売り手会社の事業譲渡による対価は売り手会社が受け取ります。
しかし、事業譲渡は株式譲渡に比べて手続きに手間がかかるため、M&A後の統合作業に時間がかかったり、場合によっては事業に支障が出たりすることもあります。
事業譲渡は、譲渡する規模が大きいほど手続きの負担も大きくなりがちです。会社ごと譲渡する場合は、事業譲渡ではなく株式譲渡が採用されることがほとんどです。
会社分割
会社分割とは、会社を2つ以上の法人格に分け、各法人格に事業を移す手法です。会社分割には、新たに設立した会社に事業を移す新設分割と、既存の会社に事業を移す吸収分割があります。
会社分割後に買い手企業へ株式譲渡する方法をとることもあります。会社分割は、事業譲渡と同じく特定の事業を選択して得られる点がメリットです。しかし、事業譲渡よりも手続きが複雑になりがちです。
中小企業が事業を売る際は、会社分割よりも事業譲渡を採用することが多くなっています。
4. 会社を売るときの従業員への影響
会社を売却する際に最も不安要素となるのは、売却後のオーナーや経営者、そして従業員の状況です。本章では、会社を売却した際に起こるオーナーや経営者、そして従業員の変化について解説します。
会社の体質が大きく変わる
買い手会社は、買収後に買収した会社の企業文化や社内ルール、組織体制などを大きく変えることがあります。買収された会社の従業員は、以前までの方法に大きな変化を求められることになるので、戸惑うことも少なくありません。
実際に、買い手会社が買収後短期間で急激に買収した企業の組織体制にテコ入れした結果、M&A後の統合プロセスに支障がでたケースは多く見られます。会社の体質が大きく変わることに不安を覚える従業員も少なくありませんが、会社体質の変化がデメリットになるとは限りません。
買い手企業が適切なテコ入れを行えば、会社の体質がよい方向に向かうこともあり、従業員によっては変化後のほうが満足度も上がるでしょう。ただし、どのような体質改善を検討しているにしろ、売り手企業と買い手企業はM&Aの際に従業員に対してきちんと説明することが必要です。
人間関係やルールなど負担がかかる
会社の売却により、従業員には人事異動や社内ルールの変更など、それなりの負担がかかることがあります。特に、子会社となった側の従業員は、親会社に対して劣等感を抱く場合もあるでしょう。
これまで仕事の方法や価値観がまったく異なる会社が一緒になることは、どこかに摩擦が生まれる可能性もあります。そのような摩擦を軽減するためには、買い手会社と会社を売る側のオーナー経営者が協力して、慎重に社内体制を整えていくのが大切です。
M&A後の統合で多いのは、人事や企業文化などの人間関係に関連する失敗です。統合に失敗するケースでは、買い手会社はシステム面の統合などに意識が向きがちであり、人間関係への配慮が欠けていることが少なくありません。
売り手側もそのような事態が起こり得ることを考慮して、買い手側と交渉を重ねておく必要があります。
5. 会社を売る流れ
本章では、会社を売る際の一般的な流れを紹介します。一連の流れを把握しておくと、手続きや準備をスムーズに進められます。
【会社を売る流れ】
- 会社を売る計画を練る
- 専門家に相談する
- 会社を売る相手を選定・交渉する
- トップ同士の面談を行う
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスを行う
- 最終契約書の締結
- クロージング
①会社を売る計画を練る
会社を売るためには、綿密な準備が大切です。まずは会社を売る必要性を認識する必要があります。本当にそのタイミングで会社を売る必要があるのか、何のための会社を売るのか、他に最適な方法はないかなどを客観的に分析します。
その後は、会社の現状把握を行うのが重要です。感覚的にではなく会社の現状を詳細に数字に落とし込むことで、会社の現状に対して感覚的に感じていた状況と実際の状況のギャップを把握します。
そのうえで、会社を売るための経営改善を行っていきます。会社の現状によっては、経営改善に時間がかかることも考えられるため、会社を売る計画を練り始める時期は早いに越したことはありません。
②専門家に相談する
会社を売るには専門的なノウハウが必要です。会社を売る専門家のサポートを受けることが一般的です。M&Aを仲介する専門家を選ぶ際は、口コミの評判や過去の実績を参考にして選ぶとよいでしょう。
ただし、一般的な評判だけでなく、自社の業種・規模に合っているか、担当者との相性がよいと感じられるかなど、会社を売るオーナー経営者自身の感覚も大事にしなければなりません。
③会社を売る相手を選定・交渉する
会社を売る相手を選定する際は、オーナー経営者自身のネットワークから選べますが、その場合は情報漏えいや関係性に影響がでる可能性があることにも注意が必要です。
M&Aの専門家に依頼すれば、そのようなリスクはなくなるでしょう。思わぬM&A相手と相性がよく、意気投合するといったケースも決して少なくありません。
M&Aの専門家は交渉のスペシャリストでもあります。こちらの条件をしっかりと伝えてくれるだけでなく、M&A相手との関係性も考慮した交渉が可能です。
豊富な知識や高い営業力、交渉力を持った専門家に依頼することで、会社を売る成功率を高められるでしょう。
④トップ同士の面談を行う
トップ面談は、その相手に会社を売ることが本当に正解かどうかを判断する貴重な場です。特に中小企業同士のM&Aでは、オーナー経営者同士の信頼関係がM&Aの結果にも大きく影響します。
実際に、条件面では問題なかったものの、買い手側経営陣に誠実さが感じられなかった理由により、M&Aの話を断る売り手側オーナー経営者も少なからず見られます。
条件面の良し悪しだけでなく、会社を売る相手の人間性も見極め、会社を売った後も長く付き合っていけそうな相手かなどを基準に判断するとよいでしょう。
⑤基本合意書の締結
基本合意書は、最終契約書に向けて作成される、会社を売る手続き過程の中間的な位置付けの合意書です。基本合意書には法的拘束力がない項目が多いとはいえ、最終契約書の内容のベースとなる項目が多く盛り込まれています。
基本合意書には独占交渉権や秘密保持契約など、法的拘束力を持つ項目を盛り込むことも多くあります。あくまで中間的な位置付けの合意書ではありますが、専門家ともよく話し合ったうえで作成することが望ましいでしょう。
⑥デューデリジェンスを行う
デューデリジェンスは、会社を売る際のトラブルを未然に防いだり、適切な契約書を作成したりするために欠かせないプロセスです。多くの場合、デューデリジェンスは買い手から売り手に対して行われます。デューデリジェンスの結果、合意していたM&A価格やその他条件に変更が加えられる可能性があるでしょう。
デューデリジェンスを行う規模や方法にもよりますが、デューデリジェンスは実行する買い手側だけでなく、受け入れる売り手側も負担が大きく、情報漏えいなどのリスクを負うこともあります。デューデリジェンスを実施する際は、M&Aの経験豊富な専門家からのアドバイスをもらいながら、綿密に準備することが大切です。
⑦最終契約書の締結
最終契約書は、会社を売るに際して最終的な条件をまとめた正式な契約書です。しかし、最終契約書が完成すれば会社を売ることが完了したわけではなく、最終契約書の内容に基づいてその後の過程を進めていけるかどうかも重要になります。
もし、最終契約書の内容に違反するような行為があったり、事実が発覚したりすれば、違反金が発生してM&A自体が破棄されてしまうケースもあるでしょう。
最終契約書が締結されたから終わりではなく、その後の対応が買い手との信頼関係を築くことや、自社の従業員や取引先などを守ることにもつながります。
⑧クロージング
最終契約書の内容に基づいてクロージング手続きを終えたら、会社を売る手続きは完了します。しかし、クロージング後も売却側のオーナー経営者などが取締役や相談役といった形で会社に残り、買い手会社を一定期間サポートすることもあります。
契約書に定めがなかったとしても、定期的にサポートをしていくことで、クロージング後のトラブルを防ぐことが可能です。
6. 会社を売る際の相場
会社を売る際の相場は、規模によって大きく異なるでしょう。会社を売る場合はその会社が持っている全ての資産が買い手に移動するため、大企業であれば数十億円、国際的な企業であれば数百億・数千億に達するケースもあるでしょう。世界で実施されるM&Aでは、数兆円の買収価格がつくこともあります。
一方、中小企業が会社を売る場合は、数億円が相場でしょう。昨今、増加している個人事業主や小規模事業者によるスモールM&Aでは、さらに相場は低くなります。具体的には、スモールM&Aは数十万~数百万円ほどで買収できるでしょう。
売却価格の決まり方
売却価格は企業価値算定により求められた適正価値をもとにして決まります。
金額の折り合いがつかない場合は、対価の種類を変えたり、買収後の業績によって追加支払いを行う条項(アーンアウト条項)を契約に盛り込み調整することもあります。
7. 会社を売る際の8つのポイント
会社を売る際は、どのような点を意識して進めていけばよいのでしょうか。最後に、会社を売る際のポイントを解説します。
【会社を売る際のポイント】
- 会社の価値を上げる
- 会社を売る際の目的を決める
- 取引先・顧客などの関係性を安定させる
- 従業員の流出を防ぎ、質を向上させる
- 経営者としての影響力を下げておく
- 株式をまとめる
- 情報の漏えいに注意する
- 専門家に相談する
会社の価値を上げる
会社をよりよい条件で適切な相手に売ることを考えるのであれば、会社の価値を上げるのが大切です。会社の価値を上げるためには、まず会社を売る目的を明確にし、目的を達成するための最適な方法はどれなのかなどを分析します。
その後、会社の現状把握を客観的に行い、会社の現状を詳細に数字に落とし込むことで、会社の現状に対して感覚的に感じていた状況と実際の状況のギャップを埋めていきます。これらを終えたら会社を売るための経営改善を行っていきますが、日々の忙しさに忙殺され、会社の価値を上げる行為まで手が回らないこともあるでしょう。
そのような場合は、M&Aの専門家に早めにサポートしてもらいながら、余裕を持って準備していくことが大切です。
会社を売る際の目的を決める
会社を売る目的が明確に定まっていないと、会社を売る相手選びがあいまいになり、会社を売る相手との交渉の方向性が不明確なものとなってしまいます。会社を売る目的でM&Aを進めていくと、M&Aを成立させるといった手段が目的化しやすくなります。
そうならないためにも、なぜ会社を売る必要があるのか、会社を売ることで何を得たいのかを明確にし、目的に優先順位を付けることも重要です。オーナー経営者自身であっても、会社を売る目的や会社を売った後の身の振り方、会社を売る際に買い手にアピールする会社の強み・特徴などがあいまいなケースは少なくありません。
信頼できる第三者などに相談しながら、M&Aの計画書を作成するなどの対策を取ると効果的です。
取引先・顧客などの関係性を安定させる
会社を売る際に最終的な結果に大きな影響を与える要素のひとつが、取引先や顧客の流出です。買い手側は、売り手企業の取引先や顧客の質・数も含めて買収する価値を判断しますが、M&Aをきっかけに取引先や顧客などが流出してしまっては、買収する価値が減少してしまうことになります。
取引先や顧客のなかには、会社を売ることに対して不安を感じるケースもあります。M&Aの際は、主要な取引先・顧客にだけでも、適切なタイミングできちんと伝えておくことが大切です。
従業員の流出を防ぎ、質を向上させる
近年は、従業員の獲得が買い手の大きな目的であることも少なくありません。それだけ人手不足の会社は多く、特に優秀な人材の確保に苦戦しています。従業員教育をしっかりと行っていて質の高い従業員をそろえている場合は、会社を売る際の評価も高くすることが可能です。
しかし、会社を売る際に従業員が会社を辞めてしまっては、売り手・買い手ともに大事な財産を失うことになるので、従業員の流出には十分注意が必要です。売り手側も買い手側も、従業員に伝えるタイミングと伝え方には気をつけなければなりません。
経営者としての影響力を下げておく
中小企業で多いのは、オーナー経営者の影響力が強いせいで、会社を売る際に従業員のモチベーションが下がってしまったり、従業員が会社を辞めてしまったりするケースです。買い手が会社を買った後、統合作業がなかなかうまく進まないといった弊害が生じることもあります。
オーナー経営者の高いカリスマ性は、会社を経営していくうえでプラスに働くことも多いですが、会社を売ることを検討しているのであれば、仕事の権限を少しずつ他の従業員に振っていくなどして、経営者としての影響力を下げておく必要があります。
株式をまとめる
会社を売る際に問題となりやすいのが、株式の分散です。株式が分散したままであると集約するのに時間がかかることがあり、株主が会社を売ることに反対してくることも考えられます。売り手が中小企業の場合、買い手は他株主からの影響を排除するため、完全子会社化を求めることが多く見られます。
しかし、株式が分散していて反対する株主がいたら会社を売ることに支障がでるだけでなく、買い手が買収後に手続き負担を背負うことにもなりかねないため、会社を売る前に株式はまとめておくのが理想です。
情報の漏えいに注意する
会社を売る際の大きなリスクとなり得るのは情報漏えいであり、会社を売ることが従業員や取引先、顧客に伝わってしまうと、会社の信用を落とす恐れもあります。
競合他社に会社を売ることが伝わってしまうと、事業に支障がでる可能性もあります。情報の漏えいはささいなところから起きる可能性があるでしょう。
情報管理に関してもプロであるM&Aの専門家にアドバイスをもらうなどして注意することが重要です。相手の企業から契約や提示する情報の範囲などには十分注意するとともに、万が一相手企業から情報漏えいが起きた際は速やかかつ適切な対応ができるよう、M&Aの専門家と相談しましょう。
専門家に相談する
M&Aの専門家は、会社を売る手続きを手伝ってくれるだけではありません。会社を売る際の企業価値を高めてくれたり、会社を売る際に生じるさまざまなトラブルを未然に防いでくれたりと、M&Aに関する幅広い範囲のサポートを行ってくれます。
特に会社を売る際には買い手との情報格差や立場の格差が生まれやすいですが、M&Aの専門家はそのような格差を埋めながら対等なM&Aを実現することも可能です。
会社を売ることを検討し始めたら、まずはM&Aの専門家に相談し、準備の段階から適切に行う必要があります。現在はM&Aの専門家が数多く存在しており、どこに相談するか迷う状況です。専門家を選ぶ際は、自社の業種や規模に合っているか、オーナー経営者自身が専門家を信頼できるかなどを考慮して選ぶのがおすすめです。
8. 赤字会社を売る際の注意点
そもそも赤字会社は経営を続けることが困難である状況のため、財務基盤が強固な買い手に早く経営を託したいと考えているケースが多いでしょう。ここではベストな方法で会社売却ができるよう、赤字会社を売る際の注意点を2つ紹介します。
まず、理想的な買い手が見つからなければ、M&Aが失敗に終わってしまう可能性が高いです。M&Aの専門家であるM&A仲介会社などに依頼をして買い手を探すようにしましょう。
次に、M&Aでは、デューデリジェンスといった財務や法務、事業などの面から売り手の情報を確かめて、内容を精査し、買収にふさわしい企業かどうかを検証します。しかし、デューデリジェンスで必ずしもリスクが見つかるとは限りません。財務諸表にない簿外債務などをデューデリジェンスで見落としてしまうと、経営統合後にトラブルに発展する可能性が高いでしょう。
したがって、会社を売る際は、売り手と買い手の間で事前にリスクを共有しておくのが重要です。
9. 会社を売る際におすすめの相談先
会社を売る際には、M&Aの専門家にサポートを依頼するのがおすすめです。数多い専門家のなかから自社に適切な専門家を選べるかどうかが、会社を売る際の成否を分けるといっても過言ではありません。相談先を選ぶ際は、豊富な経験を持った専門家がそろっているか、信頼できる誠実なスタッフがそろっているかが重要なポイントです。
M&A総合研究所はさまざまな業種や規模のM&Aで成約実績を有しており、豊富な経験を持ったM&Aアドバイザーが丁寧にサポートをします。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。
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10. 会社を売るメリット・デメリットのまとめ
本記事では、会社を売るメリット・デメリットなどを解説しました。会社を売る際は、M&Aの方法や契約内容などによってメリット・デメリットも違ってくるため、自社に合った適切な方法を選ぶことが大切です。
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