事業承継に関する課題と現状を徹底解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

中小企業の事業承継の現状を実態調査すると、後継者問題の厳しい現状と課題が見えてきます。本記事では事業承継に関する課題と現状について、実態調査による統計データと共に解説します。また、実態調査の統計データに基づいて、事業承継を円滑に進めていく方法もご紹介します。

目次

  1. 事業承継に関する課題
  2. 事業承継の現状
  3. 事業承継の課題の解決策
  4. 事業承継の相談先
  5. 事業承継に関する課題と現状まとめ
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1. 事業承継に関する課題

事業承継に関する課題

事業承継に関する課題は、人、お金、法律などさまざまな範囲に及びます。事業承継の際に起こり得る課題について解説します。

後継者問題

中小企業の後継者問題は大きな課題となっています。後継者となる意思を持った人間がいない、後継者としてふさわしい資質を持った人間がいないなど、多くの中小企業が後継者問題で悩んでいる現状があります。

見つからない

後継者問題の課題として、後継者が見つからないという課題があります。以前までは、中小企業の事業承継といえば経営者の子どもや親族が引き継ぐことがほとんどでしたが、近年は事業承継したがらない子どもが増えています

その理由として、仕事は自由に選ぶものという社会の風潮によって、経営者が無理に継がせようとしなくなったことや、子どもが家業に魅力を感じていないこと、経営者や子ども、親族が事業承継のリスクに不安を感じていることなどがあります。

社会の変化が早い現代では、今は事業が順調でも数年後にはどうなっているかわからないという不安があります。先行きの不透明さも事業承継をためらわせる要因となっています。

資質・能力不足

後継者の資質や能力不足によって事業承継ができないという課題もあります。中小企業基盤整備機構が行ったアンケートによると、後継者の育成に必要な期間は5年から10年と答えた経営者が半数を超えました。しかし、子どもや親族を後継者として育てる準備ができている企業は多くありません

日々の仕事に追われているうちに、後継者の育成を先送りにしている経営者も多くいます。近年は社内の優秀な従業員や役員を後継者として事業承継するケースが増えていますが、経営者としての資質がなかったために従業員や顧客からの信頼を失ってしまうという事例も多くなっています。

後継者の経営者としての能力をどうやって伸ばすかが後継者問題の課題となっています。

廃業件数が増えている

東京商工リサーチによると、企業の倒産件数は2008年以降減少し続けているのに対して、休業・廃業件数は増加傾向にあります。2016年には休業・廃業件数が過去最高となりました。2017年は前年と比べて休業・廃業件数が減少したものの、このまま減少を続けるかどうかは不透明な状態です。

理由

廃業件数が増えている理由として、経営者の高齢化があります。中小企業庁によると、中小企業経営者の平均引退年齢は67歳から70歳となっています。それに対して60代以上の中小企業経営者の割合は、東京商工リサーチの調査によると6割を超えています。

多くの中小企業経営者がまもなく引退年齢を迎えるか、すでに超えているという現状です。当初から自分の代で廃業しようと考えていたという経営者も多く、事業承継の課題は深刻な状況となっています。

税負担が大きい

事業承継で経営者が後継者に資産を引き継ぐと、後継者が贈与税や相続税を負担することになります。税負担を軽減する制度もありますが、さまざまな条件があるため、あらかじめ専門家に相談するなどしてしっかりと対策しておくことが課題となります。

しかし実際は、ぎりぎりまで対策していなかったことで、税金の支払いに苦しむことになるケースもよくあります。経営者が自分の子どもや親族に税金を負担させることを苦痛に感じたり、子どもが税負担を理由の1つとして事業承継を嫌がるという課題もあります。

事業承継税制のデメリット

事業承継税制とは、後継者が自社株式を相続や贈与で取得した際に、一定の条件を満たせば納税が猶予されたり免除されたりする制度です

適用されれば非常にメリットのある制度ですが、手続きが面倒なことや適用条件が厳しいという課題もあります。申請したものの、最終的に適用条件を満たすことができなかったという事例も多く見られます。

平成29年度の税制改正によって条件が緩和され、以前よりも適用条件を満たしやすくはなりましたが、それでも申請すれば確実に適用されるわけではないので、まだ課題の残る制度です。

【関連】会社売却、M&Aの税金まとめ!節税対策はできる?

個人保証の引き継ぎ

中小企業が銀行からお金を借りる際は、経営者が連帯保証人として個人保証をすることで、円滑に融資をしてもらえるというメリットがあります。しかしこの個人保証が、事業承継を妨げる課題にもなっています

事業承継の際に後継者にも個人保証が継続されるため、後継者が負債を抱えることになります。後継者に負債を抱えさせないように、経営者は銀行に事業承継の際に個人保証を外してもらえるようにお願いすることになります。しかし銀行としては後継者の信用度に不安があるため、個人保証の解除に消極的でした。

この課題を解消するために、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会が「経営者保証ガイドライン」を策定しました。経営者保証ガイドラインでは、中小企業の経営状況によっては個人保証を解除するように求めるものです。

経営者保証ガイドラインに強制力はありませんが、銀行が個人保証の解除に応じたり、解除はされなかったものの理由を具体的に説明してもらえるケースが増えています。まだ課題は残っていますが、以前よりは改善されています。

自社株買い取りのための資金不足

親族や従業員が事業承継する際は、相続や贈与によって自社株を取得します。しかし役員や従業員などが事業承継する場合は、現経営者から自社株を買い取る形がほとんどです。この買取資金の調達が後継者にとって課題となります

資金調達の方法は、多くが金融機関からの借り入れに頼ることとなります。しかし経営者の交代は会社の信用力低下につながるため、借り入れが難しくなるという課題があります。

この課題に対処するために、経営承継円滑化法を活用することができます。経営承継円滑化法とは、資金不足が原因で事業承継が困難になっている中小企業を対象に、都道府県知事の認定によって金融支援が受けられる制度です。

都道府県知事や金融機関などの審査は必要になりますが、これによって自社株買い取り資金の融資が受けやすくなります。

経営権の分散

事業承継する際は、前もって後継者に自社株式を集中させておかないと、さまざまな問題が生じるという危険性があります。少数株主から株式買取を要求されたり、突然経営者や役員に対して株主代表訴訟を起こされるなどのリスクがあります

あらかじめしっかりと自社株式の分散防止対策を打っておかないと、株式を後継者に100%集中させることは難しくなります。経営権を集中させるためにはさまざまな方法があります。自社株式の生前贈与や安定株主の導入、遺言の作成などが対策となります。

これらの対策には専門家のアドバイスが欠かせません。それにはお金も時間もかかります。そのうち準備するつもりでいながら、いつのまにか手遅れになってしまうことがあります。

株式が集まらない

前述したような、事業承継によって株式が分散してしまうという課題の他にも、株式が集まらないという課題もあります。平成2年以前に設立された株式会社の場合は、他人名義で取得した名義株の株主が存在する場合があります。

名義株主の所在が不明なまま放置していると、突然名義株主が現れて権利を主張し、トラブルになることもあります。株主名簿に名前はあっても現在の所在地がわからずに連絡がとれないということは、会社の設立が古いほど発生しやすい課題です。

所在不明の株主が多いほどリスクは高まります。5年以上連絡が取れない株主の株式は処分が可能です。しかし条件や手続きが複雑なので、弁護士への相談が必須となります。

従業員の雇用維持

近年は親族や社内の人間ではなく、M&Aを活用した第三者への譲渡も事業承継の別の形として受け入れられるようになってきました。経営者が第三者に会社を譲渡する際の心配事として、従業員の雇用が守られるかどうかは大きな課題となります

他の企業に事業承継することで、さまざまな課題が生まれます。労働条件の変化や業務内容の変更、経営方針の転換などによって、従業員がこれまでよりも悪い条件で働かされることになったり、会社を辞めざるを得なくなるという課題が残ります。

【関連】中小企業庁の事業承継マニュアルを徹底解説!

2. 事業承継の現状

事業承継の現状

中小企業の事業承継に関する厳しい現状は、統計データからも見て取ることができます。ここからは事業承継の現状と課題を、実態調査による統計データと共にご紹介していきます。

統計データで見る事業承継の実態調査

まずは事業承継の現状と課題を、実態調査による統計データと共に解説します。

経営者の平均年齢推移

統計データで見る事業承継の実態調査①

出典:東京商工リサーチ「2017年 全国社長の年齢調査」を再編

実態調査による統計データを見ると、経営者の平均年齢は年々上がっています。2017年には61.45歳となっており、今後5年から10年で引退することになると考えると、多くの経営者が今のうちから事業承継に向けて具体的に準備をしていかなければ、後継者問題に悩むことになるという課題があります。

中小企業経営者の年齢分布

統計データで見る事業承継の実態調査②

出典:中小企業庁委託調査「中小企業の成長と投資行動に関するアン ケート調査」を再編

中小企業経営者の年齢の統計データを見ると、さらに深刻な現状であることがわかります。実態調査によると、最も多い年齢層は年々高くなり、2000年には50代前半だった経営者年齢の山は、2015年に70歳まで迫っています。ほとんどの中小企業がすでに事業承継していなければ手遅れになるという課題を抱えています。

経営者の年齢別増減収率

統計データで見る事業承継の実態調査③

出典:東京商工リサーチ「2017年 全国社長の年齢調査」を再編

事業承継の実態調査による統計データでは、経営者の年齢と会社の増収率、減収率を見比べてみると、年齢が上がるほど増収率は下がり、逆に減収率は上がっています。東京商工リサーチはこの実態調査から、高齢の経営者ほど過去の成功体験にこだわり、現状に合った施策を打ち出せていない傾向があると分析しています。

また、後継者がいない場合は事業への投資が減少することも要因だとしています。後継者問題は会社の利益率にも影響しています。

経営者の年齢別事業承継準備状況

統計データで見る事業承継の実態調査④

出典:中小企業庁「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)」を再編

実態調査による統計データで年齢別の事業承継準備状況を見ると、60代以上の経営者の半数以上がまだ準備をしていない、準備をする予定がないと答えています。

別の統計データでは、中小企業経営者の平均引退年齢が67歳から70歳で、事業承継の準備に5年から10年かかるとされています。つまり、ほとんどの中小企業が準備不足のまま事業承継を進めることになるという課題を抱えています

事業承継の際のトラブルや事業承継後に円滑な会社経営ができなくなるリスクを考えると、会社の経営維持にとって深刻な課題です。そこには、日々の業務に追われていたり、まだ大丈夫だろうと事業承継の準備を後回しにしていたりするという課題も見えてきます。

後継者の決定状況

統計データで見る事業承継の実態調査⑤

出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」を再編

後継者の決定状況をアンケートした統計データでは、半数の企業が廃業を予定していると答えています。この実態調査では、廃業予定企業のうち、法人経営者の3割、個人経営者の7割が廃業予定と回答しています。

ここで課題となるのが、事業の将来性はあるのに後継者問題で廃業せざるを得ない中小企業が多いという点です。別の統計データでは、廃業を予定していると答えた中小企業の半数近くが、今後事業の継続と成長が可能な状態であると答えています

将来性があるにもかかわらず後継者問題によって廃業せざるを得ないという課題は、その企業だけでなく取引先企業や地方自治体、国にとっても大きな損失となります。

廃業理由

統計データで見る事業承継の実態調査⑥

出典:日本政策金融公庫総合研究所「『中小企業の事業承継に関するインターネット調査』の概要」を再編

実態調査による統計データを見ると、廃業を予定している理由として、「子どもに継ぐ意思がない」「子どもがいない」「適当な後継者が見つからない」といった、後継者問題が原因の中小企業は3割近くにまで及んでいます。また、統計データにある「当初から自分の代でやめようと思っていた」という中にも、後継者問題が理由の経営者がいることを考えると、割合はさらに高くなります。

事業承継によって出てくる課題や、事業承継後に後継者が会社を経営していく際の課題が容易に想像できるだけに、早い段階から廃業を決めている経営者も多くなります。

事業承継の3つの方法

事業承継は、誰に事業承継するかによって3つの方法に別れます。事業承継の方法の違いについて解説します。

親族内承継

親族内承継では、現経営者が子どもや親族などの後継者に自社株式や事業用資産を相続・贈与という形で事業承継することとなります。相続や贈与で親族に事業承継した場合は、後継者が多額の税金を払わなければならないという課題があります

自社株や事業用資産を経営者が生きているうちに事業承継する際は、贈与税がかかります。贈与税は、年間110万円までの基礎控除分までは課税されません。基礎控除分を超えると累進課税によって課税されます。

相続税は、亡くなった経営者の財産を取得した場合に課税されます。相続税の場合も、遺産の総額が基礎控除額を超えた分に対して課税されます。相続税の基礎控除額は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で算出されます。

事業承継に伴う相続税や贈与税の負担は、後継者にとって大きな課題となります。そこで、事業承継税制によって納税猶予や免除を受けることができます。事業承継税制を利用すれば、自社株式の贈与税は全額猶予、相続税は80%贈与を受けられます。事業承継税制を利用するには、5年間の事業継続要件を満たした上で届出をする必要があります。

親族外承継

会社の役員や従業員などに事業承継する親族外承継の場合は、後継者が経営者から会社の株式を買い取るケースがほとんどです。後継者は株式の買い取りに向けていかに資金調達をするかが課題となります。

資金調達の方法としては、銀行からの借り入れや、経営承継円滑化法に基づいて対象の金融機関から借り入れる方法などがあります。また、後継者候補となる役員の報酬を引き上げる方法も使われます。

成長性の高い大規模な中小企業の場合は、ファンドやベンチャーキャピタルの支援を得られる場合もあります。

M&Aによる事業承継

親族や社内に後継者候補がいない場合は、M&Aによって第三者に事業を引き継ぐことで後継者問題を解決する方法があります。M&Aを活用する場合は、いかに会社の価値を魅力的にするかが課題となります。そのためには、時間をかけて企業価値を上げておく必要があります。

M&Aは、基本的には株式譲渡か事業譲渡のどちらかで行われることがほとんどです。株式譲渡は株主が変わるだけなので、事業承継後もスムーズに事業を進めやすいというメリットがあります。一方で、会社をまるごと引き継ぐことになるので、思わぬ債務やリスクまで引き継ぐ可能性があるという課題もあります。

事業譲渡は、必要な資産を特定して事業承継を行います。事業承継のリスクは少なくなりますが、事業承継後のマネジメントをしっかりと行わなければいけないという課題があります。

M&Aを行う場合は専門家の協力が不可欠です。M&Aには、自社の企業価値評価や取引先企業の選定、取引先企業との交渉から取引先企業の調査と、多岐に渡る工程が必要です。

専門家には財務・税務知識や法務知識、コミュニケーション能力や誠実さなど、多くの能力が必要とされます。M&A専門家を選ぶ際は、よく調べてしっかりと話を聞くことが重要です。

M&Aを選択するならM&A仲介会社への相談がおすすめです。M&A総合研究所は無料相談を受け付けています。業界最安値・完全成功報酬制で、M&Aだけでなく事業承継という選択肢も残した上で数値比較します。担当は会計士資格を保有しているので安心です。

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事業承継の3要素

後継者問題を解決し、事業承継後も安定した経営を続けるには、3つの構成要素を計画的に進め、後継者に託す必要があります。事業承継の3要素とは「人的承継」「資産承継」「知的資産承継」のことを言います。事業承継に必要な3つの構成要素について解説します。

人的承継

中小企業庁は、人的資産を

  • 経営権
  • 後継者の選定・育成
  • 後継者との対話
  • 後継者教育
としています。

経営権を渡す後継者を選定する際は、しっかりとした経営ビジョンを持っているか、経営者となる覚悟はあるか、事業への意欲はあるか、実務能力はあるかなどの評価基準を満たすことのできる人間を見つけることが課題となります。

この基準をクリアしたうえで、社内でさまざまな部門の業務を担当させる、責任ある地位を任せる、現経営者のノウハウや理念を直接伝えるなどの教育をしていきます。また、他社での経験を積ませて人脈を増やさせたり自社以外の経営スキルを学ばせる経営者もいます。

資産承継

中小企業庁によると、資産とは

  • 株式
  • 事業用資産(設備・不動産など)
  • 資金(運転資金・借入資金など)
  • 許認可
のことを言います。

これらの資産が分散しないように、経営者は前もって個人資産や会社資産を整理しておくことが課題となります。特に個人事業主は事業用資産の分散リスクが大きな課題となります。対策していなかったために相続でもめたり事業承継後にトラブルとなる可能性が出てきます。

これらの資産をスムーズに引き継ぐには、遺言などを法律に従ってきちんとした形で残すなど、専門家に相談しながら対策をしておくことが大事です。

【関連】個人事業をM&Aで事業承継する方法と問題点まとめ!

知的資産承継

中小企業庁によると、知的資産とは

  • 経営理念
  • 経営者の信用
  • 取引先との人脈
  • 従業員の技術・ノウハウ
  • 顧客情報
などがあります。

会社の経営理念や経営者の信用などは数字として目に見えにくい部分ですが、事業承継後も会社を維持・成長させていくためには重要な課題となります。老舗企業では、新人研修で会社の歴史を学ばせる会社も少なくありません。

会社の知的資産を後継者へ目に見える形にして伝えることで、それまで会社が築いてきたものを活かすことができます。中小企業庁では、知的資産を後継者に伝える課題解決方法として、「知的資産経営報告書」や「事業価値を高める経営レポート」の作成を推奨しています。

経営者と後継者が一緒に作成することで、理念や思いを伝えることができます

事業承継の手順

経営者が事業承継を検討し始めたら、スムーズでトラブルのない事業承継を進めるためにやっておくべき課題があります。

事業承継に向けた心の準備

まずは、経営者が事業承継の準備をすることの必要性を実感することです。実態調査の統計データでも見て取れたように、日々の業務の忙しさや後継者問題に対する認識の薄さ、相談先がわからないなどの理由で、多くの経営者が事業承継の準備に取りかかれていないという課題があります。

そのため、早めに支援機関に相談するなどして、後継者問題の解決と事業承継の準備に向けた心構えを作ります。

経営状況や経営課題の把握

事業承継の準備を進めるにあたって、会社の現在の状況や課題を把握することが重要です。経営者が頭の中でわかっているだけでは不十分で、後継者や従業員とも共有するために現状と課題の見える化をします。

事業の強み・弱みを洗い出したり、会社の体質強化や改善に向けて現状と課題を把握します。また、会社の資産と経営者個人の資産を区別し、後継者に何が残せるかをしっかりと分類することで、後継者の不安が和らぎます

他にも、財務状況を詳細で明確なものにすることで、金融機関や取引先との信頼関係をさらに強化することも重要です。

企業価値の向上

会社の現状と課題が把握できたら、次は実際に企業価値の向上に努めます。会社の強みをさらに磨き上げたり、事業の弱みを強みに変える方法を見つけ出したり、業務の効率化を進めたり、従業員のモチベーションを上げたりと、やるべき課題はさまざまです。

ここまでが事業承継準備の前段階となります。ここからは実際に事業承継に取り組んでいきます。

事業計画立案策定

事業承継に向けて、事業承継計画を作成していきます。事業承継計画では、会社の10年後を見据えて経営方針を固めていきます。事業承継計画を作る際は、経営者が1人で考えるのではなく、後継者候補や従業員も巻き込んでいくことで効果が高くなります。
具体的には

  • 会社の中長期目標
  • 事業承継に向けた経営者の行動
  • 事業承継に向けた後継者の行動
  • 事業承継に向けた会社の行動
  • 関係者との事業承継計画の共有
という過程を踏んでいきます。

会社の中長期的な計画やビジョンを作る際は、大まかな方向性だけでなく具体的な数値も決めておきます。中長期の事業計画が決まったら、経営者が行動を起こします。具体的には、後継者の選定、専門家への相談、後継者の教育、関係者への公表などです。

事業承継計画は、取引先や金融機関などにも共有して、事業承継後の経営や後継者に対する信用を得られるようにします。

後継者選定・育成

経営者が後継者を選定して事業承継計画も完成したら、続いて後継者も行動を起こします。社内外でさまざまな知識や実務を学びながら、経営者としての能力と社内外の関係者の信用を得ていきます

地方自治体の経営者を育成するセミナーに参加することも効果があります。また、事業承継の際に発生する相続税や贈与税への準備を同時並行で進めます。

企業資産整理

企業資産の整理は、主に経営権の分散を防止するための準備を進めます。具体的には、定款を変更し、経営者へ退職金を支給するための資金準備も始めます。自社株の集約や、経営者の資産と会社の資産を明確に分ける作業も必要になります。

3. 事業承継の課題の解決策

事業承継の課題の解決策

事業承継に関する実態調査結果や課題をご紹介してきましたが、これらの課題を専門家の助け無しに解決することは難しいです。課題に応じて適切な専門家に相談することが必要となります。

経営者にとって身近なところで言えば、商工会議所や地元の銀行、顧問の税理士や弁護士、公認会計士が相談しやすい相手となります。国の支援機関では、各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターや、よろず支援拠点が相談に応じてくれます。

第三者にM&Aによって事業を引き継ぐ場合は、M&A仲介会社が課題を解決してくれます。専門家の力をうまく使っていくことが、事業承継の成功につながります。

4. 事業承継の相談先

事業承継の相談先

事業承継に関する課題は、それぞれ適切な機関に相談する必要があります。中小企業庁が出している事業承継マニュアルでは、課題ごとの相談先を紹介しています。
 

承継準備を始めるには 商工会・商工会議所、中央会、金融機関、 士業等専門家、よろず支援拠点
承継前の総点検をするには 商工会・商工会議所、中央会、士業等専門家、 よろず支援拠点
後継者に対する教育は 中小企業大学校
相続税・贈与税の相談 税理士
株価に関する相談 士業等専門家
資金調達(株買取)の相談 金融機関、信用保証協会
個人保証を外すには 金融機関、中小機構
債務を整理するには 金融機関、中小企業再生支援協議会、 弁護士
承継後の事業見直をするには 商工会・商工会議所、中央会、士業等専門家、 よろず支援拠点
後継者を探すには 事業引継ぎ支援センター
円滑に廃業するには 士業等専門家、商工会・商工会議所、 よろず支援拠点

5. 事業承継に関する課題と現状まとめ

事業承継に関する課題と現状まとめ

事業承継の課題と現状を、実態調査による統計データも見ながら、さまざまな面からご紹介してきました。

経営者の高齢化が進み、多くの中小企業が今すぐに事業承継の準備を進めなければ間に合わない状況です。しかし後継者がいないという深刻な課題もあり、中小企業の廃業件数は増え続けています。

経営者にとって事業承継の課題は大きな不安となります。大事に育ててきた会社を他の人に任せる不安や、子どもに会社を継がせる場合は経営者としての心配と親としての心配を抱えることになります。

事業承継には親族内承継、親族外承継、M&Aによる事業承継などさまざまな方法があります。それぞれの方法に合わせて事業承継計画を作成し、人的承継や資産承継、知的資産の3要素を後継者にしっかりと伝えることが必要です。

課題が山積みとなる事業承継は、1人で悩んでいてもうまくいきません。関係者や専門家などと協力しながら進めることが重要です。

M&A総合研究所では事業承継に精通したアドバイザーが揃っています。相談無料なのでぜひお気軽にご相談ください。

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