事業譲渡のメリット・デメリット30選!手続き方法や税務リスクも解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲渡するM&Aの方法の1つです。事業譲渡にはさまざまなメリット・デメリットがあります。本記事では事業譲渡のメリット・デメリットや株式譲渡・会社分割との違い、事業譲渡の手続き方法や税務・税金のリスクについて解説します。


目次

  1. 事業譲渡とは?
  2. 事業譲渡のメリット18選
  3. 事業譲渡のデメリット12選
  4. 事業譲渡が向いているケースと不向きなケース
  5. 事業譲渡の手続きの流れ
  6. 事業譲渡の税務リスク
  7. まとめ
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1. 事業譲渡とは?

事業譲渡とは?

事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲渡するM&Aの方法の1つです。事業譲渡では、譲渡する財産を個別に選択できる点が大きな特徴です。

売り手側は、経営資源の集中やグループ企業の再編、経営再建や事業承継などの目的で事業譲渡を用います。買い手側は、事業規模の拡大や新規事業の獲得、人材や技術の取得などの目的で事業を買い取ります。

株式譲渡との違い

株式譲渡は、買い手企業が売り手企業の株式を取得して経営権を得るM&Aの方法です。株式譲渡は、譲渡企業の子会社化やグループ再編などに用いられます。株式譲渡は中小企業のM&Aで最も多く使われています。

会社分割との違い

会社分割とは、会社の事業を切り離して引き継ぐM&Aの方法です。会社分割には、既存の買い手企業に引き継ぐ吸収分割と、新たに会社を設立して事業を引き継ぐ新設分割があります。

会社分割も事業譲渡と同じく事業を選択して引き継ぐことができますが、会社分割の場合は事業を包括的に引き継ぐため、債務だけ切り離すなどの選択はできません。

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2. 事業譲渡のメリット18選

事業譲渡のメリット18選

事業譲渡のメリット・デメリットについて、まずは事業譲渡で得られるメリットをご紹介します。

事業譲渡をする売り手側のメリット8選

事業譲渡で売り手側が得られるメリットについて

  1. 売りたい事業だけを譲渡できる
  2. 従業員の雇用を確保できる
  3. 必要な事業の集中ができる
  4. 事業譲渡は必要な資産は残せる
  5. 事業譲渡なら法人格を残せる
  6. 譲渡利益を得ることができる
  7. 後継者問題を解決できる
  8. 中小企業のメリット
これらの項目をそれぞれ解説します。

①売りたい事業だけを譲渡できる

事業譲渡では、売り手側は譲渡する事業を選択することができます。経営していくことが手一杯の事業を譲渡して経営に余裕を持たせたり、生活していく資金が得られる最低限の事業だけを残したりと、事業譲渡後の目的に合わせて調節が効くところがメリットです。

②従業員の雇用を確保できる

包括的に事業を引き継ぐ場合はその事業に従事している従業員も引き継ぐことになりますが、事業譲渡の場合は個別に引き継ぐので、事業は譲渡しても従業員は残すことも可能です。

コア事業に経営資源を集中させたい場合に、残った従業員もコア事業に回すことができるメリットがあります。

また、買い手企業に従業員を引き継ぐ場合は、買い手企業が欲しい人材だけを譲渡するので、包括承継よりも引き継いだ後に解雇される可能性は低くなります。

③必要な事業の集中ができる

複数の事業経営をしていると、不採算事業から撤退して成長事業に投資するという経営戦略に切り替える場合があります。その際、事業譲渡で得た資金を成長事業に回したり、売却した事業に使われていた資金を成長事業に回したりすることができるメリットがあります。

④事業譲渡は必要な資産は残せる

個人事業や小規模な事業をしていると、現在の事業を売却して新しい事業を始める場合があります。事業を丸ごと売却すると次の事業はまたゼロからのスタートですが、事業譲渡によって次の事業を始めるために必要な資産を残しておくことができるメリットがあります。

⑤事業譲渡なら法人格を残せる

事業譲渡では法人格を残すことができます。事業譲渡して新たに事業を始める際に、新会社設立の手間を省くことができます。

また、経営者がその法人格に思い入れがあって手放したくない、その法人格で得たブランド価値を残したいなど、さまざまな事情で法人格だけは残したいという場合に事業譲渡のメリットが生かせます。

⑥譲渡利益を得ることができる

事業譲渡では、譲渡する事業の現在の価値に、今後数年間の営業価値などを加えて算出した価額を現金で受け取ることができます。

買い手企業が譲渡する事業に将来性を感じれば、現在の価値よりも大きな譲渡益が得られるメリットがあります。ただし譲渡益には税金が課せられるデメリットもあるので、どのくらいの税金がかかるかあらかじめ算出しておくなど、税務面に気を付ける必要があります。

⑦後継者問題を解決できる

現在後継者不足に直面している中小企業は120万社以上とも言われています。親族が事業承継するケースは年々減っています。しかし事業譲渡によって後継者問題を解決できる可能性があります。会社オーナーは事業譲渡でリタイア資金を得ることもできます。

ただし、赤字企業の場合はなかなか買い手が付かなかったり、交渉が難航する可能性も高くなります。事業譲渡前に事業の分析・整理をして企業価値を上げておく必要があります。

⑧事業譲渡は中小企業にはメリットが大きい

事業譲渡は、会社の規模が大きいほど、株主総会の手間や、取引先・従業員との契約のし直し、許認可の取得や税務面など、手続きの手間と税金の負担が大きくなります。

しかし小規模の中小企業であればそれらのデメリットは小さくなり、メリットを大きく生かせます。そのため事業譲渡は大企業ではあまり用いられることはなく、中小企業や個人事業でよく採用されています。

事業譲渡をする買い手側のメリット10選

売り手側のメリットに続いて、買い手側のメリットについて

  1. 買収する事業の選択ができる
  2. 必要な従業員を取得できる
  3. 必要な取引先を取得できる
  4. 必要な技術などを取得できる
  5. 事業譲渡で自社の弱い事業を強化できる
  6. 新規事業を低コストで始められる
  7. 事業譲渡なら節税することができる
  8. 事業譲渡は債務や負債を引き継がない
  9. 債権者へ通知せずに事業譲受可能
  10. 事業譲渡は把握していないリスクを防げる
これらの項目を解説します。

①買収する事業の選択ができる

売り手側と同様、買い手側にとっても事業を選択できる点はメリットとなります。買い手側に必要な事業だけを引き継ぐことで、事業譲渡後の計画が立てやすく、効率良く事業を進めていくことができます。

②必要な従業員を取得できる

M&Aでは優秀な人材を取り込むことも大きな目的のひとつですが、事業譲渡では欲しい人材を獲得できるメリットがあります。ただし事業譲渡は譲渡企業の従業員と個別に雇用契約をし直すことになるため、人材の流出には気を付けなければいけません。

③必要な取引先を取得できる

取引先を引き継ぐことができるのも大きなメリットのひとつです。しかし従業員の場合と同じく、取引先を引き継ぐ際も契約をし直すことになります。

④必要な技術などを取得できる

必要な技術を取得できるのも事業譲渡のメリットです。

特に新技術や最先端技術の場合、ゼロから研究開発を始めると多大な時間とコストがかかりますが、ある程度研究開発が進んでいる技術を手に入れることで時間の短縮と初期段階で失敗するリスクを減らせるメリットがあります。

⑤事業譲渡で自社の弱い事業を強化できる

事業譲渡によって、買い手企業は弱い部分の事業を効率よく補完できることもメリットです。

例えば男女のマッチングサービスに強みを持った企業が、マッチング後のサービスで競合に負けている場合、ブライダル事業を買い取ることで、出会いから結婚まで一貫したサービスができるようになり、大きな事業シナジー効果が得られるメリットがあります。

⑥新規事業を低コストで始められる

新規事業は立ち上げてから軌道に乗るまでがとても大変です。しかしすでにある程度軌道に乗っている事業を買い取ることで、時間とコストを大幅に削減することができます。

アメリカでは企業だけでなく個人でも、すでに立ち上がっている事業を買い取って起業する方法が当たり前になっています。事業を売却した人も、その資金を元にまた事業を立ち上げ、ある程度育ったらまた売却するというシリアルアントレプレナーが多く存在します。

日本ではまだ自分で事業を立ち上げるという人がほとんどですが、近年は徐々に、事業を買い取ってビジネスを始める人が増えてきています。

⑦事業譲渡なら節税することができる

買い手側は税務面でもメリットが得られます。

買い手側は事業を買い取る際、事業の現在の価値に加えて、将来生み出すであろう価値を買取金額に上乗せします。この上乗せ分の金額は「のれん」と呼ばれ、損金算入することができます。こののれんの償却を利用して税金を削減することができます。

一方で、買い手側は消費税や不動産取得税、登録免許税などの税務が発生します。株式譲渡などに比べて税務の負担は大きくなります。

⑧事業譲渡は債務や負債を引き継がない

事業譲渡では、買い手側は債務を引き継ぐ必要がありません。事業の良い部分だけを引き継ぐことができるというメリットがあります。売り手側との交渉次第では債務を引き継ぐこともあり得ます。その場合は、引き継ぐ債務の範囲を特定できます。

⑨債権者へ通知せずに事業譲受可能

事業譲渡では債権者保護手続きについて会社法で規定されていません。ただし、債権者保護の必要がないというわけではありません。債務を引き継ぐ際は債権者に説明が必要です。

また、債権者に不利益が生じる可能性がある場合は、事業譲渡手続きが止められてしまう場合があります。事業譲渡を進める際は、債権者への配慮も必要です。

⑩事業譲渡は把握していないリスクを防げる

事業譲渡は簿外債務を引き継ぐリスクを防げるメリットがあります。簿外債務とは、会計の数字上に表れない債務のことです。

簿外債務は売り手側が意図的に隠すケースだけでなく、売り手側も気づいていないケースが多々あります。事業譲渡であれば債務自体を引き継がないので、簿外債務リスクを回避できるメリットがあります。

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3. 事業譲渡のデメリット12選

事業譲渡のデメリット12選

事業譲渡のメリットをご紹介してきましたが、事業譲渡のデメリットについても、売り手側、買い手側に分けてご紹介します。

事業譲渡をする売り手側のデメリット7選

まずは売り手側のデメリットについて

  1. 事業譲渡には株主総会が必要
  2. 事業譲渡完了までには複雑な手続きが必要
  3. 従業員への対応が必要
  4. 取引先への対応が必要
  5. 事業譲渡は負債や債務が残る可能性が高い
  6. 譲渡会社の競業が会社法で禁止されている
  7. 事業譲渡による譲渡益に課税される
これらの項目について解説します。

①事業譲渡には株主総会が必要

事業譲渡の手続きでは、特例の場合を除いて原則株主総会の特別決議が必要です。株主が多いほど手間とコストがかかるため、小規模の企業ではそれほどデメリットになりませんが、規模の大きい企業ほどデメリットが大きくなります。

②事業譲渡完了までには複雑な手続きが必要

株式譲渡や会社分割など他のM&A手法は包括的に引き継ぎますが、事業譲渡は個別に取り引きするので手続きも複雑になりがちです。特に大企業になるほど事業譲渡手続きは大きな負担となります。

③従業員への対応が必要

事業譲渡で従業員を引き継ぐ際は、個々の従業員ごとに承認を得る必要があります。引き継ぐ従業員数が多かったり交渉が難航するほど手間と時間がかかることになります。個別交渉が必要な点は株式譲渡や会社分割などのM&A手法と比べて大きなデメリットです。

④取引先への対応が必要

 従業員の場合と同じく取引先の場合も、対象の取引先に対して個別に説明をし、承認を得る必要があります。こちらも数が多かったり交渉が難航した場合は大きなデメリットとなります。

中小企業や個人事業の場合は経営者の人間関係で取引関係が続いていることも多いので、取引を続けてもらえるかどうかの確認は事前にしっかりとしておく必要があります。

⑤事業譲渡は負債や債務が残る可能性が高い

事業譲渡は株式譲渡や会社分割などのM&A手法と違い、買い手側に債務を引き継ぐ必要がありません。そのため売り手側に債務が残ることになります。

交渉によっては引き継ぐ債務の範囲を定めて譲渡することも可能ですが、その際は手続きがさらに煩雑になるデメリットがあります。

⑥譲渡会社の競業が会社法で禁止されている

事業譲渡には競業避止義務があります。競業避止義務とは、事業譲渡後に譲渡した事業と同じ事業はやらないという契約を結ぶものです。

競業避止義務には法的拘束力があるため、違反すると罰則があります。事業譲渡契約の際に競業避止義務を課さない方法を取ることもできます。

⑦事業譲渡による譲渡益に課税される

事業譲渡では、売り手側の譲渡益に対して法人税が課せられます。約30%ほどの法人税が課せられるので、譲渡益が多いほど税金の負担は大きくなります。

事業譲渡をする買い手側のデメリット5選

続いて買い手側のデメリットについて

  1. 買収するための資金が必要
  2. 契約を承継するための対応が必要
  3. 事業譲渡は許認可を引き継げない
  4. 譲渡後の社員疎通が上手くいかない可能性
  5. 大企業のデメリット
これらの項目を解説します。

①買収するための資金が必要

事業譲渡では株式を用いた取引ができないため、事業を買い取る資金を用意する必要があります。事業を買い取る資金がない場合は資金調達をしなければならないデメリットがあります。

②契約を承継するための対応が必要

株式譲渡や会社分割などの方法とは違い、事業譲渡の場合は引き継いだ従業員と個別に雇用契約をし直す必要があります。引き継ぐ従業員がいない場合や少数の場合は手間になりませんが、従業員数が多いほど手間が大きくなります。

また、取引先を引き継いだ場合も、契約をし直す必要があります。契約数が多く契約内容が複雑なほどデメリットが大きくなります。

③事業譲渡は許認可を引き継げない

事業譲渡では許認可を引き継ぐことができません。そのため、引き継ぐ事業の許認可を持っていない場合は監督官庁に許認可申請等をする必要があります。

事業譲渡の効力発生日までに許認可を持っていなかった場合、事業譲渡が完了しても事業を開始できない事態になります。許認可取得にかかる期間を逆算して、あらかじめ取得しておかなければなりません。

④譲渡後の社員疎通が上手くいかない可能性

株式譲渡や会社分割などM&A全般に言えることですが、事業譲渡で引き継いだ従業員が買い手企業に馴染めないことがあります。社内風土の違いや待遇の違いなどによって不安や不満を持つケースは非常に多いです。

M&Aの成功率は3割~5割ほどと言われますが、その原因のほとんどがM&A後の統合マネジメントの失敗にあります。事業譲渡で従業員を引き継ぐ際は、事前に事業の統合計画をしっかりと立てて、従業員と密にコミュニケーションを取ることが重要です。

⑤事業譲渡は大企業にはデメリットが大きい

これまで解説してきたように、事業譲渡は手続きや税務・税金面など、さまざまな面で大企業ほどデメリットが大きくなります。そのため事業譲渡は大企業ではほとんど用いられず、大半が小規模の中小企業で採用されています。

逆に言うと、小規模の中小企業であるほど事業譲渡の手続きや税務のデメリットは小さくなり、相対的にメリットが大きくなります。

4. 事業譲渡が向いているケースと不向きなケース

事業譲渡が向いているケースと不向きなケース

ここまで事業譲渡のメリット・デメリットでご紹介したように、事業譲渡を用いた方が良いケースと事業譲渡では不向きなケースがあります。株式譲渡や会社分割といった他の方法とメリット・デメリットを比較しながら、事業譲渡の向き・不向きなケースを解説します。
 

  メリット デメリット
事業譲渡 ・譲渡事業の選択ができる
・簿外債務を回避できる
・手続きが多い
・税金の負担が大きい
株式譲渡 ・手続きが容易
・譲渡後も会社が存続する
・簿外債務リスクがある
・株式の買い集めに苦労する場合がある
会社分割 ・買収資金が不要
・事業譲渡よりも手続きが容易
・簿外債務リスクがある
・税務面が煩雑

中小企業のM&Aで最も多く採用されている方法が株式譲渡です。株式譲渡は他の方法に比べて手続きが簡便というメリットがありますが、会社の経営権は買い手側のものになります。

また、事業譲渡と似たような方法に会社分割があります。会社分割は事業譲渡よりも手続きが簡便ですが、事業譲渡のように引き継ぐ事業の内容を選別することはできません。そのため、簿外債務が生じる可能性があります。

株式譲渡や会社分割との比較から、事業譲渡は、売り手の独立性を保ったまま事業を売却したい場合に向いています。買い手側は、簿外債務などのリスクを極力減らしたい場合に向いています。

一方事業譲渡は必要な手続きが多く税負担も大きいことから、大企業が用いる方法としてはデメリットが大きくなるので向いていません。

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5. 事業譲渡の手続きの流れ

事業譲渡の手続きの流れ

事業譲渡の手続きは大まかに以下のような流れで進んでいきます。それぞれの詳しい内容についてこの後解説していきます。

事業譲渡の手続きの流れ①

①取締役会での決議

売り手側は、自社の譲渡価額見積もりや事業譲渡のスケジュールなどを準備したら、取締役会で承認を得る必要があります。取締役会の決議は、2人以上の取締役のうち過半数以上の承認が必要です。

②事業譲渡契約の締結

事業譲渡契約書を作成して内容に合意することで、事業譲渡契約が締結されます。事業譲渡契約書には、譲渡財産の内容や価額、譲渡日などを記載します。

譲受側はデューデリジェンスを行う

買い手側は売り手側のデューデリジェンス(事業の監査)を行います。デューデリジェンスによって得られた事業価値やリスクを基に事業譲渡契約書を修正し、買い手側の取締役会で承認を得られれば、事業譲渡契約が締結されます。

③臨時報告書の提出

有価証券報告書の提出義務がある会社は、一定の要件に該当する場合は内閣総理大臣に臨時報告書を提出することが会社法で定められています。

  • 事業譲渡または譲受によって、資産額が最近事業年度の末日現在の純資産額よりも30%以上増減する場合
  • 事業譲渡または譲受によって、売上高が最近事業年度の実績に対して10%増減する場合
これらの要件に該当する場合は届け出が必要です。

④公正取引委員会への届け出

譲受会社は会社法で定められた一定の条件を超えている場合、公正取引委員会への届け出が必要です。

国内売上高合計額が200億円を超えていて

  • 国内売上高が30億円を超える会社の全ての事業を譲受する場合
  • 譲受する一部事業の国内売上高が30億円を超える場合
  • 譲受する事業の固定資産による国内売上高が30億円を超える場合
これらの要件に該当する場合は、公正取引委員会への届け出が必要です。

⑤株主への通知・公告

事業譲渡の当事会社は、株主に対して官報公告や電子公告、個別通知で事業譲渡を行うことや株主総会の開催を周知します。株主への周知は効力発生日の20日前までに行います。また、反対株主には株式の買取請求権があることも伝えます。

⑥株主総会での特別決議

事業譲渡の当事会社は、株主総会で株主の承認を得る必要があります。株主総会の特別決議は効力発生日前日までに行います。議決権の過半数以上を持つ株主が出席し、2/3以上の賛成が得られれば事業譲渡が承認されます。

ただし、簡易事業譲渡や略式事業譲渡に該当する場合は株主総会の特別決議は必要ありません。簡易事業譲渡は、譲渡資産の帳簿価額が譲渡会社の総資産の20%を超えない場合や、譲受会社の純資産の20%を超えない場合に該当します。

また、譲受会社が、議決権のある株式を9/10以上保有している特別支配会社である場合は、略式事業譲渡に該当します。

⑦財産などの名義変更や許認可手続き

事業譲渡では名義が変わり、許認可は引き継がれないので、名義変更手続きと許認可申請手続きを行う必要があります。速やかに進めておかないと、事業譲渡完了後に事業が開始できないことにもなり得ます。

⑧事業譲渡の効力発生

効力発生日までに上記の手続きが済んでいれば、事業譲渡手続きは完了です。しかし本当に重要なのは効力発生日以降です。引き継ぎ後の事業運営、管理を的確に行わないと、事業譲渡の効果が十分に得られなくなります。

【関連】事業譲渡の手続き・流れやスケジュールを徹底解説!期間はどれぐらい?

6. 事業譲渡の税務リスク

事業譲渡の税務リスク

事業譲渡では、債務に関するリスクや税務・税金に関するリスクを考慮する必要があります。これらのリスクに対して適切に準備せず事業譲渡を進めると、思わぬ損害を被る可能性があります。

債務や負債に関するリスク

譲渡会社が債務超過の場合は注意が必要です。事業譲渡によって会社の収益力が下がり、債務の返済能力が下がってしまった場合、債権者に不利益が生じます。そのため、事業譲渡が差し止められる可能性があります。

また、事業譲渡価額が不当に安かった場合や、特定の債権者に返済する目的で事業譲渡を行った場合も、債権者は事業譲渡契約の取り消しを求めることができます。

経営不振の企業と事業譲渡契約を結ぶ際は、このようなリスクも考慮しなければなりません。

税金に対するリスク

事業譲渡は優遇税制が無いため、不動産取得税や登録免許税などの税務が発生し、税金の負担が大きくなります。

また、売り手側の税金は譲渡益にかかる法人税、買い手側の税金は引き継いだ財産に消費税がかかります。事業譲渡では税務・税金の負担リスクを考慮する必要があります。

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7. まとめ

まとめ

事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲渡するM&A手法のことです。事業譲渡は、譲渡する事業の財産ごとに選択できる点が他のM&A手法と違うところです。

売り手側の主なメリットは、特定の財産だけを売却したり残したりできるので、事業譲渡後の目的に応じて調整がしやすい点です。

買い手側の主なメリットは、必要な財産だけを取得し、債務を引き継ぐ必要がないので、効率の良い事業経営ができ、リスクを極力減らすことができる点です。

しかし事業譲渡は手続きが非常に煩雑で、税務・税金の負担も大きいので、大企業にとってはデメリットが大きくなります。事業譲渡は小規模の企業にとってメリットの大きい手法です。

事業譲渡で重要なのは、譲渡後の事業運営です。事業譲渡後思うように事業シナジーが得られなかったり、人材の流出が起きてしまったりと、事業譲渡が失敗に終わってしまうことがあります。

M&Aの成功率は3割から5割程度と言われています。事業譲渡を成功させるには、M&Aアドバイザーなどの専門家の協力が欠かせません。

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