人材派遣会社は株式譲渡/会社譲渡のチャンス!メリットと留意点を徹底解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

人材派遣会社の株式譲渡/会社譲渡についてお調べですね。人材派遣会社を引き継ぐ手段の中で株式譲渡は比較的簡単なため、中小企業同士のM&Aで行われることが多いです。 この記事では、株式譲渡/会社譲渡のメリットと成功のポイントについて解説しています。

目次

  1. 人材派遣会社における株式譲渡/会社譲渡の特徴
  2. 人材派遣会社がM&Aで株式譲渡/会社譲渡を選ぶべき理由
  3. 人材派遣会社における株式譲渡/会社譲渡の成功事例
  4. 人材派遣会社が株式譲渡/会社譲渡を行う手順
  5. 人材派遣会社が株式譲渡/会社譲渡の前に確認すべきポイント
  6. 株式譲渡/会社譲渡にかかる税金
  7. 人材派遣会社の株式譲渡/会社譲渡は専門家に相談しよう
  8. まとめ
  • 人材派遣会社のM&A・事業承継

1. 人材派遣会社における株式譲渡/会社譲渡の特徴

人材不足が問題となる中、人材派遣会社に対する需要は大きな状態にあります。しかし今後の経営や自身の年齢などのことを考え、会社を譲渡したいと考える経営者もいるでしょう。

ここからは株式譲渡と他の手法との違い、人材派遣会社が株式譲渡を行う目的について解説していきます。

株式譲渡に興味を持っている方、会社を何らかの手段で譲りたいと考えている方はぜひチェックしてください。

1-1.株式譲渡/会社譲渡とは?

M&A手法は大きく分けて以下の3つです。

  1. 買収
  2. 合併
  3. 分割

合併は複数の会社が1つの会社としてまとまること、分割は会社を複数の法人格に分けることを指します。

M&A手法の中でよく使われるのが「買収」で、株式譲渡は買収という手法です。買収の中には他に事業譲渡がありますが、会社の資産や経営権を渡す株式譲渡に対し、事業譲渡が渡すのは特定の事業のみとなっています。

会社全てを渡すのが株式譲渡、会社の中にある事業のみを渡すのが事業譲渡だと考えておけば良いでしょう。

事業譲渡では譲渡する事業の範囲や渡す資産の内容を細かく決めなければいけないのに対して、株式譲渡は株式を買ってもらうだけなのでより短期間でM&Aを成立させることができます。

また新たに法人格を取得し新会社としてスタートする合併と比べ、従業員や取引先の反発が起こりにくいと言えるでしょう。

1-2.人材派遣会社が行う株式譲渡/会社譲渡の特徴

景気の影響を受けやすいのが、人材派遣会社です。現在景気は回復傾向にあるものの、リーマンショックの影響がまだ残っている会社もあります。

今後も売上の回復が見込めない企業が経営陣を変えたり、会社譲渡を考えるケースは多いでしょう。

また人材への需要自体は東京オリンピックを前に高まっていますが、派遣できる人材が少ない状況にあるためM&Aなどによる統廃合は行われやすいと言えます。

株式譲渡などのM&Aを行うべき経営者のイメージは、以下の通りです。

  • 業績が伸びないため会社を譲渡したい
  • 早めにリタイアして残りの生活を楽しみたい
  • 経営者としてまとまった利益が欲しい
  • 経営を続けたいが、年齢的に不安

事業承継の方法は多数ありますが、中小の人材派遣会社では比較的手続きの簡単な株式譲渡/会社譲渡を行うことが多いです。

上記のような状況にある方は、まず株式譲渡で課題が解決できないか考えてみましょう。株式譲渡/会社譲渡のことはM&A仲介会社に相談可能です。

ここからは、人材派遣会社が株式譲渡/会社譲渡を選ぶべき理由について解説していきます。今後の経営に不安を感じている方は、ぜひチェックしてください。

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2. 人材派遣会社がM&Aで株式譲渡/会社譲渡を選ぶべき理由

中小企業の場合、数あるM&A手法の中で株式譲渡を選ぶ理由は多数あります。

ここから解説していく株式譲渡/会社譲渡のメリットは以下の5つです。

  1. 後継者がいなくても買い手を見つけられる
  2. 雇用関係や契約を変える必要がない
  3. まとまった売却資金が得られる
  4. 他のM&A手法と比べ手続きが簡単である
  5. 買い手企業のブランド力を得られる

小さな企業であっても、株式会社であれば株式の譲渡は可能です。株式譲渡を行い、スピーディに会社を引き継ぎましょう。

理由1.後継者がいなくても買い手を見つけられる

株式譲渡を行うことで、後継者がいない場合の会社引継ぎもできます。人材派遣会社をはじめ社会全体で人手不足が問題となっている現在、会社を残したいのに後継者候補がおらず困っているという経営者は多いでしょう。

そこで有効なのが、株式譲渡による会社売却です。株式譲渡なら、親族や社内の後継者だけでなく外部の人にも簡単に会社を譲り渡すことができます。

現在後継者が見つかっていないならアドバイザリーやM&A仲介会社に相談し、新たな買い手を探すことも可能です。特に現在は東京オリンピックを前に人材の需要が高まっているので、相場より高い金額で株式を買い取ってもらえることもあります。

「後継者はいないけれど会社を残したい」という場合、M&A仲介会社などに相談し早めに買い手を見つけることが大切です。

理由2.雇用関係や契約を変える必要がない

株式譲渡の場合、株主が変わるだけなので雇用関係や契約が大きく変化するわけではありません。

他のM&A手法では雇用の契約を結び直す必要がありますが、株式譲渡なら関係そのものは変わらないので従業員や契約先全てを変更する必要がなく簡単です。

多くの人材を扱う人材派遣会社にとって、契約変更の手間があまりかからないのは大きなメリットでしょう。

実務に関しても株式譲渡で変わるのは基本的に経営者だけになりますので、焦って買い手の体制に合わせる必要もありません。株式譲渡なら、これまでの会社の良さをうまく生かすこともできます。

雇用の継続に関しては従業員の同意が必要となるので、今後の雇用に関する説明は必須です。今後の待遇や雇用条件などをしっかり説明し、働き続けてもらえるようにしましょう。

ただし新経営者が株式を買ったのち、雇用を継続するかは定かではありません。新経営者が経営権を持った後は、ある程度会社の人事や方針を変えることが可能になってしまいます。

「譲渡後も従業員の雇用は変わらず続けて欲しい」「会社のこの部分は変えないで欲しい」などの希望があるのであれば、譲渡前に話し合っておくべきです。

理由3.まとまった売却資金が得られる

株式譲渡を行うことで、株式の対価としてまとまった現金が得られます

親族や社内の後継者に会社を引き継ぐ場合、譲受人が会社の株すべてを買えるだけのお金を持っていないことが多いです。その場合自社の株式の引き下げを行わねばならず、手続きが大変です。

一方仲介会社などに相談し、株式を市場価格のまま買い取ってくれる会社を見つければまとまった資金が手に入ります。もちろん税金が引かれるため満額貰えるわけではありませんが、現金があればリタイア後の暮らしにも役立ちます。

さらに株式譲渡/会社譲渡で得た利益をもとに、新たな事業を始めることも可能です。少しでも多くの現金が欲しいという場合、人材派遣会社の価値が高い今のうちに譲渡手続きを進めるのが良いでしょう。

理由4.他のM&A方法と比べ手続きが簡単である

株式譲渡で必要な手続きは、株式に関するものだけです。そのため事業譲渡や合併といった他のM&A手法と比べ、手続きは簡単になっています。

特に引き継ぐ事業の範囲を話し合いで細かく決めていく事業譲渡と比べ、会社丸ごと引き渡す100%の株式譲渡は短時間で完了するでしょう。

また譲渡に伴い、債権者保護手続きなどを行う必要もないため細かな手続きも不要になります。複数の業務を少人数で行う中小企業の場合、他の承継方法と比べ時間的コストを減らせることは大きなメリットです。

理由5.買い手企業のブランド力を得られる

M&A仲介会社などに相談して別の会社に株式を売却し、子会社として会社を残せば買い手企業のブランド力を得ることができます。

会社の知名度が低く、なかなか希望する人材を確保できないと悩む企業は多いはずです。しかし大手企業のブランド力があれば、人材の確保は以前よりも容易になるでしょう。

また人材派遣会社が多数ある現在、派遣先企業を増やすためにも知名度は重要になってきます。様々な企業が人材の囲い込みを始める中、買い手企業傘下で得られるブランド力は自社をアピールするための大きな武器となるでしょう。

以上が、株式譲渡/会社譲渡のメリットでした。

株式譲渡/会社譲渡の手続きは簡単ですが、買い手探しや今後の経営方針に関する話し合いなどにはしっかり時間をかける必要があります。株式譲渡を行う際はM&A仲介会社など専門家のアドバイスを聞くようにしましょう。

ここからは、人材派遣会社における株式譲渡の成功事例を解説していきます。成功のポイントに注目し、自社の譲渡計画に生かしてください。

3. 人材派遣会社における株式譲渡/会社譲渡の成功事例

人材派遣会社では多くのM&Aが行われています。

事業拡大のため、または人材確保のため会社を買いたいと考えている経営者は多くいるので、実際の事例から成功のポイントを見ていきましょう。

ここからは、以下2つの人材派遣会社の株式譲渡/会社譲渡成功事例を解説していきます。

  1. ウィルとC4株式会社
  2. 総合メディカルHDとルフト・メディカルケア

成功のポイントや目的をチェックし、自社のM&A戦略に生かしていきましょう。

成功事例1.ウィルとC4株式会社

人材派遣・アウトソーシング事業大手のウィルグループは2018年6月、C4株式会社の株式を取得し子会社化しました。

このM&Aの目的は、事業範囲の拡大とシナジー効果の創出にあります。

C4株式会社は日が日本大震災の復興支援を目的に立ち上げられた、建設人材の派遣会社です。

ウィルグループはこれまで、様々なスキルを持つ人材の派遣を行ってきました。今回の株式譲渡では、建設土木事業に関する専門的な人材やノウハウ、経営資源を得てシナジー効果を得ることができます。

C4株式会社もウィルグループの持つ人材育成ノウハウや営業拠点を生かし、より広い範囲で人材派遣業を展開することが可能です。

この例のように、人材派遣業界では専門的な人材やノウハウの獲得をめざす買い手が積極的に株式の取得を進めることもあります。

成功事例2.総合メディカルホールディングスとルフト・メディカルケア

医療経営のサポートを行う総合メディカルホールディングスは2019年4月、株式会社ルフト・メディカルケアの株式を取得し子会社化を行いました。

総合メディカルHDは、医療経営のサポートに加え医療・介護関連施設の企画、施工などを行っています。

一方株式会社ルフト・メディカルケアは、医療機関向け人材派遣サービスを主軸に様々な人材サービス業を展開してきた会社です。

2社の主軸としてきた事業は異なるものの、お互い医療支援事業に強みがありお互いの資源を生かせると判断し、株式譲渡が行われることになりました。

今後はお互いが専門的な人材やノウハウを生かし、新しい価値提供を行うとしています。

この例のように、人材派遣事業を行っていない買い手が事業拡大のため株式の買い取りを検討するケースも少なくありません。人材派遣会社以外と譲渡を進める場合、お互いの持つ強みを生かして行くことが重要です。

4. 人材派遣会社が株式譲渡/会社譲渡を行う手順

株式譲渡の手続きは事業譲渡などと比べ簡単ですが、譲渡を成立させるまでには複数の手順を経ることが必要です。

ここからは以下の通り、人材派遣会社が株式譲渡/会社譲渡を行う際の手順を簡単に解説していきます。

  1. 譲渡株式を確認する
  2. 株式譲渡承認請求を行う
  3. 株式譲渡承認決議を行う
  4. 株式譲渡契約を結ぶ
  5. 株式名簿の書き換え請求を行う
  6. 株式名簿記載事項証明書の交付請求を行う
  7. 引き継ぎ内容に応じたケアを行う

株式譲渡/会社譲渡の基本的な流れを押さえ、スムーズに譲渡を行いましょう。

手順1.譲渡株式を確認する

株式譲渡/会社譲渡を行うと決めたら、まず株式が「譲渡制限株式」であるか確認する必要があります。譲渡制限株式とは、会社の承認が無ければ自由に売買できないという制限の付いた株式のことです。

制限が付いているかどうかは、定款で定められているので必ずチェックしてください。

ちなみに譲渡制限株式が無い、もしくは一部しかない会社は公開会社、株式すべてが譲渡制限株式である場合は非公開会社と呼ばれます。

手順2.株式譲渡承認請求を行う

中小企業の多くは、会社に不利な売買が無断で行われないよう譲渡制限を設けているケースが多いです。株式が譲渡制限株式となっている場合、株式を譲り渡す人物(譲渡人)は会社に対して株式譲渡承認請求書を提出します。

株式譲渡承認請求書には、以下の記載が必要です。

  • 譲渡する株式の数
  • 株式の種類
  • 譲渡先の氏名・名称

一方株式が譲渡制限株式ではない場合、承認請求は不要ですので自分の希望する譲渡先との話し合いを進めてください。

手順3.株式譲渡承認決議を行う

そして会社は請求を受け取った後、株主総会を実施し株式を譲り渡して良いかを決定します。もし承認されなかった場合、株式譲渡の手順は終了です。

「どうしても株式を買い取ってもらいたい」という場合は不承認の際、会社または会社が指定する譲渡先に株式を買い取ってもらうという条件を請求の段階で付けておきましょう

自分で指定した譲渡先には株式を引き継いでもらえませんが、条件を付けておけば会社または会社指定の譲渡先に株式を譲渡することができます。

また株式譲渡請求から2週間が経過しても会社から通知が来ない場合、対象の会社は譲渡を承認したとみなされるので承認時の手続きを進めましょう。

以下では、株式譲渡請求が株主総会で承認された場合の手順を説明していきます。

手順4.株式譲渡契約を結ぶ

株主総会で株式の譲渡が承認されたら、具体的な譲渡契約に進みましょう。株式を譲る人と受け取る人との間で株式譲渡契約を結ぶことで、譲渡が成立します。

通常は有償での契約となっており、この段階で株式の対価をもらうことが可能です。株式譲渡契約にそれぞれ記名、押印をして契約を成立させましょう。

株式の値段は譲渡人と譲受人の間で決めることができます。後継者が株式すべてを譲り受けるだけの資金を持っていない場合、評価額より値段を下げて譲渡するケースも少なくありません。

しかし低額譲渡の場合、適正時価との差額が贈与とみなされ贈与税が追加で課税されるリスクがあります

特にこの後に見出しで説明する「みなし贈与」の対象になってしまうと課税額が大きくなる可能性もあるので、適正価格と同じ額で譲渡するのが基本です。

株式の価格については、M&A仲介会社に相談しながらお互い納得できる形で決めましょう。

手順5.株式名簿の書き換え請求を行う

株式譲渡契約を行えば、譲渡人と譲受人の間では株式の受け渡しが成立することになります。しかし株式譲渡契約を行っただけでは、第三者に対して株式を取得したことを証明できません。

そこで譲渡人と譲受人が共同で会社に対して株式名簿の書き換え請求を行うことが必要です。株式名簿を書き換えることで、外部の人から見ても譲受人が確かに株式を受け取ったと分かるようになります。

手順6.株式名簿記載事項証明書の交付請求を行う

請求に応じて、会社は請求通り株式名簿を書き換えます。

そしてその後、株式を取得したという証明を行うため株式記載事項証明書の請求を行いましょう。株式名簿記載事項証明書は、買い手が請求を行い取得するものとなっています。

しかし証明書の交付には会社の代表取締役による捺印が必要となるので、場合によっては買い手と協力して動くことも考えられるでしょう。仲介会社などに相談しながら、早めに交付請求を行ってください。

手順7.引き継ぎ内容に応じたケアを行う

株式譲渡の手続きは他のM&A手法と比べ簡単ですが、全ての株式を渡し経営者が入れ替わった場合、従業員が反発する恐れも少なくありません。事業の引継ぎや後継者教育を終えるまで、元経営者が残った方が良いケースも多いです。

リタイアまでの時期は会社によってそれぞれですが、従業員や取引先の混乱を防ぐため1~2年ほどは前任の経営者がアドバイスなどを行った方が良いでしょう。

以上が、株式譲渡/会社譲渡の基本的な手順でした。会社が公開会社の場合、手順1~3は不要になりますので注意してください。

株式譲渡の手続きは譲受人と協力して行う必要があります。手順は簡単ですが、価格やスケジュールなどについて事前にきちんと話し合っておくことが大切です。

以下では、人材派遣会社がスムーズに株式譲渡会社譲渡を行うためのポイントについて解説していきます。譲渡前や譲渡後にトラブルが起きないよう、ポイントを押さえたうえで手続きを進めましょう。

5. 人材派遣会社が株式譲渡/会社譲渡の前に確認すべきポイント

株式譲渡/会社譲渡は他の引き継ぎやM&A手法と比べ手続きが簡単ですが、行政機関のチェックを通さないためトラブルが起きることも多々あります。

特に多くの人材を扱う人材派遣会社では社員の離職リスクが非常に大きいため、なるべくスムーズに譲渡を行うことが重要です。

人材派遣会社が、株式譲渡/会社譲渡を行う際に気を付けるべきポイントは以下の5つです。

  1. 所在不明の株主はいないか
  2. 従業員の処遇はどうなるか
  3. 譲渡する株式の割合について合意しているか
  4. 未払い賃金など労働債務が発生していないか
  5. 人件費や広告宣伝費が大きくなっていないか
社内外の混乱を防ぐため、今までの経営状況や譲渡後の対応についてきちんと確認しておきましょう。

ポイント1.所在不明の株主はいないか

所在の分からない株主がいる場合、株式をきちんと受け取れるとは限らなくなるため譲受人にとってはリスクです

親族に株式を譲渡する場合でも、不明株主が複数人いると自社株式がきちんと扱われているのか疑問を抱き後継者が不安になってしまいます。

株式がしっかり管理されているとアピールするためにも、所在不明の株式については早めに対処しておくべきでしょう。

通知や催告が5年以上届かない場合、株式を競売にかけて処理することもできます。株主からのアクションが全くない場合、仲介会社などからアドバイスをもらい競売に出すことも考えましょう。

またM&Aで買い手が完全子会社化を目的としている場合、売り手の持つ株式を強制的に取得する「スクイーズアウト」を行うことも可能です。

スクイーズアウトでは、株主に対価としてキャッシュが支払われ全ての株式が買い手のものとなります。株式を100%譲渡することで社内外の合意が得られているなら、検討しても良いでしょう。

ポイント2.従業員の処遇はどうなるか

従業員の働き方を無理に変えさせたり、希望しない職に就かせたりすれば株式譲渡前に大きな反発が起こる可能性もあります。

株式譲渡では雇用関係は新たな経営者へとそのまま渡されますが、新経営者が株式を買ったのち雇用を終了させるケースも少なくありません。社内のトラブルを防ぐためにも、不安なら譲受人と確約を取り付けておくべきでしょう。

また待遇がほとんど変わらない場合でも、社内の環境が一気に変われば大量離職の可能性があります。離職の影響が大きい業界ですので、株式譲渡/会社譲渡の際には処遇について従業員に希望を聞いておきましょう

ポイント3.譲渡する株式の割合について合意しているか

譲渡する株式の割合について譲受人と認識の違いがあると、今後の経営方針にも影響が出てしまいます。譲渡する株式の割合は、経営に対する発言力の大きさです。

中小企業の場合譲受側が100%株式を買い取り経営権を手に入れる場合が多くなっているものの、株式の一部をまとめて譲受人に渡すケースもあります。

割合が多いほど譲受側の発言権は大きくなるため、リタイア後も影響力を残したい場合はある程度自分で株式を持っておかなければいけません。

株式譲渡の場合、株を過半数取得すると経営権が譲受人に移ります。譲渡後のライフスタイルや今後の会社のことを考えつつ、M&A仲介会社などの専門家と共に譲渡割合について考えておきましょう。

ポイント4.未払い賃金など労働債権が発生していないか

未払い賃金や保険料の払い忘れがあると、債務があるとして株式譲渡の価格が低くなってしまう可能性があります。

株式譲渡/会社譲渡で未払いが特に大きな問題となるのは、

  • 賃金・賞与
  • 退職金
  • 社会保険料
などです。入れ替わりの激しい人材派遣会社では賃金の未払いなどが起こりやすく、買い手はデューデリジェンスなどで会社の体制を念入りにチェックします。

債務を負っている場合会社の評価が大きく下がり、株式譲渡/会社譲渡自体が成立しないケースも少なくありません。未払いの賃金、保険料などはもちろん、これまでの会計に問題点がないか公認会計士などの専門家と共にチェックしていきましょう。

ポイント5.人件費や広告宣伝費が大きくなっていないか

M&A手法として株式譲渡を行う場合、会社の支出が適切であるか専門家と買い手がチェックします。会計はもちろん、会社の投資が今まで適切に行われているかどうかも評価の対象となるでしょう。

人材派遣会社では人件費に掛ける割合が多くなりがちですが、過度にコストをかけると売上につながらないとして評価が下がってしまうこともあります。人材の登録、派遣に関して無駄な手順を踏んでいないか確認しましょう。

また人材を集めるため広告を出す必要はあるものの、効果の無い広告を多数出していは経営方針に問題があると思われるかもしれません。

譲渡価格が下がってしまわないよう、人件費、広告宣伝費などが適切かつ効果的に支出されているか、株式譲渡を行う前にチェックすることが大切です。M&A仲介会社なら経営に関するアドバイスもしてくれるので、一度相談してみると良いでしょう。

ここからは、株式譲渡/会社譲渡でかかる税金について解説していきます。税金の内容を知ることで価格についての話し合いも進みやすくなるので、ぜひチェックしてください。

6. 株式譲渡/会社譲渡にかかる税金

株式を買い取ってもらうことで利益が出るため、税金の支払は避けられません。税金の内容は株式を渡すのが個人の場合、法人の場合によって異なります。

経営者個人が非上場株式を譲渡する場合にかかる税金の中で影響が大きいのは以下の3つです。

  • 譲渡所得税
  • 相続・贈与税
  • みなし贈与課税
法人でかかるのは、基本的に
  • 法人税

のみとなっています。法人の方がかかる税金が少なく見えますが、法人の売上によっては法人税がかなり大きくなるケースも少なくありません

ここからは各税金について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

6-1.譲渡所得税

個人が株式譲渡で利益を出した場合、譲渡所得税が課されます。

譲渡所得税とは、以下の3つをまとめたものです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 特別復興所得税

これらは節税できず、利益に関わらず所得税で15%、住民税で5%、特別復興所得税で0.315%が課税されます。3つ全て合わせると20.315%の課税額となっており、譲渡で1億円の利益を得た場合約2,000万円を税金として支払わなければいけません。

最低でも利益に対して20%程の税金がかかると覚えておきましょう。

6-2.相続・贈与税

非上場株式を相続、贈与する場合には税金がかかります。

相続税の税率は、以下の表の通りです。
 

控除後の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 控除なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円


表にある「控除後の取得金額」とは相続の際に課税対象となる金額のことで、

3,000万円+600万円×法定相続人の数

で計算される基礎控除額を引いたものになります。実際に税率を計算する場合は、相続する株式の価格から基礎控除額を引いた金額で税率を考えましょう。

例えば1億円(10,000万円)分の株式を1人で相続する場合、

10,000万円-3,600万円=6,400万円

が課税対象となり、税率は30%です。

実際に支払う相続税には表右端の控除額が適応されるので、1億円を相続するときの相続税は以下の通りです。

6,400万円×30%-700万円=1,220万円

贈与税は、以下の表で確認できます。
 
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 控除なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円


贈与税の計算方法は相続税と同じで、取得金額から基礎控除額を引いたものが課税対象です。譲渡税については、1年間の贈与額に対して110万円の基礎控除があります。

例えば1年間で1,000万円分の株式を譲渡する場合、

1,000万円-110万円(基礎控除)=890万円

が課税対象となり、税率は30%です。

実際に支払う相続税には表右端の控除額が適応されるので、1,000万円を相続するときの贈与税は

890万円×30%-90万円=177万円

となります。

以上の計算で分かる通り、相続税、贈与税の額は大きなものです。

しかし税金に関する制度を上手く使えば、株式譲渡時に支払う額を減らせるかもしれません。株式譲渡を考えている方は、以下の制度もチェックしてください。

6-2-1.事業承継税制

事業承継税制とは事業承継を行う時の相続税、贈与税の納付を猶予してくれる制度のことです。この制度を使えば、相続税が100%、贈与税が80%が5年間支払い猶予の対象となります。

現在は特例措置により相続税、贈与税共に100%が支払い猶予となるので(2028年まで)、株式譲渡を考えるなら早いうちが良いでしょう。

課税対象が1億円の企業の場合、相続時には約3,000万円、譲渡時には5,500万円もの納税が猶予されることとなり、手元に大きな資産がない場合でも事業承継が可能です。ただし適応条件が複雑なので、一度専門家に相談した方が良いでしょう。

6-2-2.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、贈与税に関連する制度の一つです。この制度を使うことで、贈与額から2,500万円が控除されます。

もし制度を利用しない場合、贈与額が3,000万円の場合55%の課税で、支払う額は1,650万円です。しかし相続時精算課税制度を利用することで贈与額が500万円になり、支払う税金は100万円になります。

多額の贈与を行う場合、非常にお得な制度だと言えるでしょう。

特に今後価格が上昇しそうな資産を持っている場合、相続の時に課税される相続時精算課税制度を使うのが効果的です。

ただしこの制度の対象となるのは、60歳以上の父母、祖父母から子・孫に対する贈与のみとなっています。親族ではない人に株式を渡す場合には利用できないので注意してください。

6-3.みなし贈与課税

株式を受け取った個人に発生する税金が、みなし贈与課税です。みなし贈与課税とは、個人が株式を適正価格より低い価格で取得する場合、利益分に対して課される税金のことを指します。

例えば株式の適正価格が1,000万円の場合、適正価格より低い750万円で譲受人が株式を買うと250万円がみなし贈与課税の対象です。

みなし贈与の課税割合は通常の贈与税と同じで、課税対象が250万円であれば税率が10%なので25万円の税金がかかります。

ただしみなし譲渡となるケースがはっきり定められていないので、一度税理士などの専門家に相談することが大切です。

6-4.法人税

法人から個人または法人に株式を渡す場合、会社が利益を得たと考えられるため法人税が発生します。法人税の額は利益の大きさによって異なりますが、平均的には譲渡益の約30%を支払わなくてはいけません。

法人の場合、

  • 売却価格-取得費=譲渡益 
として計算されます。

取得費は個人で株式譲渡を行う時と同じく株式を最初に取得した際の費用、つまり資本金です。譲渡益が1億円の場合約3,000万円が法人税となりますので、税金の支払いのことを頭に入れて譲渡額を決めましょう。

以上が、株式譲渡/会社譲渡でかかる税金でした。株式を売って利益を受け取る以上、税金の支払いは発生するものです。

無理に節税を行うと、会社が信用を失うだけでなく追加の税金が発生することもあります。税金に関しては必ず公認会計士や税理士などの専門家に相談しましょう。

ここからは参考として、非上場企業の株価算定方法について解説していきます。「何を基準に株価を把握すればいいのか分からない」という方は、ぜひ一度チェックしてください。

7. 人材派遣会社の株式譲渡/会社譲渡は専門家に相談しよう

株式譲渡/会社譲渡を行いたいと考える電気工事会社は多数ありますが、買い手探しから契約まで全て自社で行うのは非常に難しいことです。特に異業種とのM&Aの場合、お互いの業務に対する認識の違いからトラブルが起こってしまうことも少なくありません。

M&Aに少しでも興味があるなら、最初にM&A仲介会社に相談するのが良いでしょう。

M&A仲介会社はM&Aの専門家で、買収相場や手続きに関する知識も豊富です。また買収価格がアップするよう経営に関するアドバイスも行ってくれるので、「少しでも高く会社を高く売りたい」という方は事業承継に向けて動き出す前に相談しましょう。

相談は基本的に無料となっており、仲介会社によっては着手金なしで買い手探しを行ってくれるところもあります。自社の経営について不安のある方、M&Aに興味があるという方は仲介会社の利用を検討するのが良いです。

M&A仲介会社をお探しなら、M&A総合研究所にご依頼ください。

M&A総合研究所は相談料、着手金、中間報酬無料となっており、少額のM&Aにも対応しています。小さな会社であってもM&Aは可能なので、まずは相談してみることが大切です。

事業承継について少しでも不安があるなら、M&A総合研究所で仲介の手数料や成功事例などを詳しくチェックしてみてください。

8. まとめ

廃業コストの少ない人材派遣業界ですが、会社を無くせば今までの雇用や取引を失ってしまいます。

会社に思い入れがあるなら、M&A手法の中で比較的手続きが簡単な株式譲渡を行い会社をさらに成長させていくのがおすすめです。

株式譲渡を行う際には、M&A仲介会社などの専門家に相談し買い手探しから引継ぎまでしっかりアドバイスをもらいましょう。

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