2023年08月17日更新
人材派遣会社は会社譲渡(株式譲渡)すべき!成功事例と仲介会社も紹介
今後も伸びが予想される人材派遣業界ですが、法改正の対応で経営が難しい会社も少なからずあります。この記事では、人材派遣会社が会社譲渡(株式譲渡)を行うメリットや高額売却を狙える理由を解説します。会社譲渡(株式譲渡)を検討している方は、ぜひチェックしてください。
目次
1. 人材派遣会社は黒字の間に会社譲渡(株式譲渡)を検討しよう!
人材不足を深刻な経営課題として掲げる企業が多い中、人材派遣会社の需要は高まっています。
しかし中小の人材派遣会社の場合、業界内の激しい競争を生き残るのが難しく、経営に不安を抱えているケースも少なくありません。
ここからは人材派遣会社の今後の動向と、会社譲渡(株式譲渡)の傾向について解説していきます。ぜひ最初にチェックし、自社の抱える問題について考えてみましょう。
人材派遣会社の今後と会社譲渡(株式譲渡)
人材派遣会社の場合、経営に不安があるなら早めに会社譲渡(株式譲渡)を行うことで課題を解決できる可能性が高いです。
現在はどの業界でも人材の需要が高く、今後も人材派遣会社は多くのシーンで求められるでしょう。人材派遣会社は景気の影響を受けやすく、リーマン・ショック以降は人材派遣会社の需要がいったん落ちたものの、現在は持ち直し今後市場規模はさらに大きくなると予想されています。
しかし中小の人材派遣会社の場合、取引先が限られていることから特定業界の景気の影響を受けやすく、一気に売上が縮小するケースもあります。
例えば建設業向けの人材を派遣している会社の場合、東京オリンピック後は業界全体で需要が縮小するといわれており、建設業に人材を派遣する会社の売上は下がってしまうでしょう。
また大手人材派遣会社が急速に拡大していく中、知名度の低い中小企業は人材を集めるのが難しくなっています。経営の資本となる人材が集まらない状態では、適切なタイミングでの人材配置ができません。
人材派遣業界全体の競争が厳しくなっている中、中小の人材派遣会社は今後の経営について一度考える必要がでてくるでしょう。
中小の人材派遣会社と会社譲渡(株式譲渡)
今後経営が厳しくなる中小の人材派遣会社であっても、黒字であれば会社譲渡による高額売却のチャンスが大いにあります。
人材派遣会社が経営課題を抱えている場合、M&Aによって会社譲渡する選択をする会社が増えてくると考えられます。
今後売上が下がっていくかもしれない会社を持つより、今まで育ててきた会社を高額で売り、人材派遣業を強化したいと考えている買い手に渡すのが賢明なケースもあるでしょう。
M&A市場において人材派遣業界全体は好調ですから、会社譲渡の相手を見つけやすい状態ともいえるので、今後の経営に不安を抱えている方は、会社譲渡でのM&Aを検討するのもよいタイミングかもしれません。
会社譲渡を検討中の方はぜひ、M&A総合研究所へご相談ください。知識・支援実績豊富なM&Aアドバイザーがつき、丁寧にサポートいたしますので、ますは無料相談をご利用ください。
2. 人材派遣会社にとって会社譲渡(株式譲渡)がチャンスな理由
今いる人材を最大限活用するため、そして新しい人材を得るため、人材派遣会社にとって会社譲渡(株式譲渡)は大きなチャンスです。
数あるM&A手法の中で、なぜ人材派遣会社は会社譲渡(株式譲渡)を選ぶべきなのでしょうか。もちろん中小企業の多くが株式譲渡による会社売却を選択している理由もあります。
しかし以下5つのように、人材派遣業界特有の事情で株式譲渡、会社譲渡を選択する企業は少なくありません。
- 譲渡成立までの手続きが簡単で人材への負担が少ない
- 従業員との雇用契約を変える必要がない
- 新しいビジネスにチャレンジしやすい
- 買い手の持つ人材を活用できる
- 知名度が上がり人材を確保しやすくなる
ここからはそれぞれの理由について、解説していきます。人材派遣会社のM&A手法にお悩みの方、株式譲渡のメリットを知りたい方はぜひ参考にしてください。
①譲渡成立までの手続きが簡単で人材への負担が少ない
事業譲渡、会社分割、吸収など他のM&A手法に比べ、会社譲渡(株式譲渡)なら譲渡成立までの手続きに時間がかかりにくいです。最短3カ月で会社譲渡成立までのフローが終了する場合もあるため、通常の業務でも忙しい人材派遣会社でも負担になりにくいといえます。
特に人材不足が深刻化している現在、会社譲渡に長い時間をかけるのは難しいことです。会社に所属している人材や従業員にとっても、手続きが簡単な株式譲渡の方がありがたいでしょう。
さらに非上場企業の場合、株式譲渡では特別決議や債権者保護手続きが不要です。基本的には、買い手に対価を支払ってもらい、株式を渡すだけで済むので株主を無理に集める手間はかかりません。
売却にベストなタイミングで、人材に大きな負担を掛けずスピーディに人材派遣会社を譲渡できるのは大きなメリットでしょう。
②従業員との雇用契約を変える必要がない
会社譲渡(株式譲渡)の手続きは、大まかにいえば譲渡先を見つけて会社を引き継ぐものなので、会社として結んだ従業員との雇用契約をそのまま継続できます。
また会社名の変更なども原則ないので、所属している社員の混乱を最小限に抑えられるはずです。
M&Aをきっかけに社内が混乱し、従業員が大量に離職するケースは少なくありません。人材が資本の人材派遣会社でそのようなトラブルが起これば、会社の経営そのものが危うくなってしまいます。
しかし会社譲渡なら、社員とのトラブルを防ぐことも可能です。人材を多く抱える人材派遣会社にとって、雇用契約を変えずに経営を続けられるメリットは大きいでしょう。
③新しいビジネスにチャレンジしやすい
会社譲渡(株式譲渡)では負債を解消できるので、新しいビジネスにチャレンジしやすくなります。
会社譲渡(株式譲渡)で会社を売却する場合、会社全てを買い手に譲渡するケースがほとんどです。そのため人材、設備、拠点などだけでなく、負債も買い手に渡せます。
人材派遣会社の開業費用は大きくありませんが、これまで経営を行う中で投資などにお金を使い負債を負っている会社は少なくありません。しかし会社譲渡をすれば、そうした負債を買い手が引き受けてくれるので返済のストレスから逃れられます。
人材派遣会社の経営者は各業界の事情に詳しくなりやすく、業界全体の課題を見通す力が高いため、退職後に別の形で新事業を始める方も珍しくありません。
新しい事業を始めたい人にとって、廃業後も残る負債は大きな負担になってしまいます。今後の生活やビジネスを重視するなら、株式譲渡で負債を解決しておくのがベストです。
④買い手の持つ人材を活用できる
会社譲渡(株式譲渡)後も会社に残る場合、譲渡してからは買い手の人材を活用するのもできます。各業界で人材不足が叫ばれる中、人材派遣会社も深刻な労働力不足に見舞われています。
特に中小企業は以下の理由から、大手と比べ人材を集めにくくなっています。
- 知名度が低い
- ブランド力がない
- 人材を集める拠点が少ない
- 企業同士のネットワークが狭い
しかし中小企業であっても、会社譲渡でM&Aを行えば買い手との関わりは自然と深いものになり人材の相互活用もしやすくなります。
特に買い手も人材派遣事業を行っている場合、買い手も人材のやり取りを目的としている場合が多いため、人材不足解消に向け相互に協力しあうのが可能です。
今後も会社を残していきたいと考えているなら、買い手の人材を活用できる会社譲渡の選択によって、大きなメリットを得られるでしょう。
⑤知名度が上がり人材を確保しやすくなる
会社譲渡(株式譲渡)により知名度が上がれば、多くの人材が会社のことを知ってくれるようになるため人材確保が今よりも容易になります。会社に引き続き残って業務を続ける場合、知名度アップによって経営を改善させる大きなチャンスを得られるでしょう。
会社譲渡の場合、M&A後に買い手の子会社になるケースがほとんどです。大手企業の子会社になれば、ブランド力がアップし人材も集めやすくなるでしょう。
また、大手人材派遣会社のネットワークを使い、拠点のなかったさまざまなエリアから人材を集めることも可能になります。人材派遣業界では、人材の豊富さが会社の価値につながります。人材不足で悩んでいる中小の人材派遣会社は、会社譲渡で買い手とともに課題を解決していきましょう。
ここまでが、人材派遣会社が会社譲渡をするべき理由でした。人材が第一の会社で、従業員に負担をかけるようなM&Aはなるべく避けるべきです。手続きが負担になりにくく、負債まで全て渡せる会社譲渡なら、短期間での成約も可能ですから人材流出の危険は少ないでしょう。
しかし人材派遣会社の会社譲渡では、人材に関するトラブルを防ぐだけでなく譲渡価格を少しでもアップさせるのが大切です。
次は、人材派遣会社の会社譲渡での売却価格相場を紹介します。会社譲渡をご検討中の方はぜひ事前にチェックしてください。
3. 人材派遣会社の会社譲渡(株式譲渡)における価格相場
人材派遣会社の会社譲渡(株式譲渡)の売却相場は、会社の規模、経営状況などによって大きく変わります。
人材派遣会社の売却価格を決定する要因は、例えば以下のとおりです。
- 人材の質・専門性
- 人材の数
- 経営実績
- 直近の売上
- 事業を展開する地域
- 派遣事業の許認可の有無
人材派遣業界では、認定条件の厳しい「一般労働者派遣事業」の許可を持つ企業に対するニーズが急速に高まっています。
一般労働者派遣事業の許可を持ち、更新を続けている場合には会社譲渡で大きな価値を持つので、売却金額アップの可能性もあります。
譲渡事例
関東・甲信越エリアでIT、WEB、ゲーム業界への派遣・業務委託実績多数の人材派遣会社です。従業員数は20名以下で、経営者が単体での事業発展に限界を感じたため、会社を譲渡するとしています。
譲渡希望価格は20億円前後です。売上高は10億円〜25億円となっています。エンジニア・デザイナー・プランナーの人材情報を多く抱えています。IT、WEB業界に特化しているため、今後売り上げアップも見込めます。
全てに当てはまるわけではありませんが、譲渡希望額として売上高とほぼ同じ額を提示する企業が多いです。したがって売上が1,000万円以上あれば、1,000万円超での売却も見えてくるでしょう。
しかし業績が赤字であれば、高めの金額設定は難しくなります。一方需要の高いIT事業などに関わる人材を多く有している場合、売上高より高額な金額で売却できることもあります。
また人材派遣業界は買い手が多く再編の進んでいる業界ですから、早いうちに売却する方法を選択すると、金額アップのチャンスも増えるでしょう。
4. 人材派遣会社の会社譲渡(株式譲渡)成功事例4選
ここから紹介する、人材派遣会社の会社譲渡(株式譲渡)成功事例は以下のとおりです。
- アバンセホールディングスがアウトソーシングへ会社譲渡した事例
- ルフト・メディカルケアが総合メディカルホールディングスへ会社譲渡した事例
- 富士ゼロックス総合教育研究所がパーソルホールディングスへ会社譲渡した事例
- C4がウィルグループへ会社譲渡した事例
人材派遣業界におけるM&Aの目的、会社の特徴などを理解すれば自社に合う買い手が見つかりやすくなります。
昨今の人材派遣業界のトレンドをもっと具体的に理解するためにも、ぜひ参考にしてください。
①アバンセホールディングスがアウトソーシングへ会社譲渡した事例
アバンセホールディングスとアウトソーシングの会社譲渡(株式譲渡)した事例です。
アウトソーシングは2020年10月に、アバンセホールディングスの株式を43%追加取得し、既存分8%と合わせて51%の保有となり、子会社化しました。
アウトソーシングは、グループの事業領域である人材ビジネスに特化しています。アバンセホールディングスは、主にブラジル日系人の人材派遣や業務請負を手がけています。
今回のM&Aにより、海外人材のネットワーク確立と、グループの成長基盤の強化を図ります。
②ルフト・メディカルケアが総合メディカルホールディングスへ会社譲渡した事例
総合メディカルホールディングスとルフト・メディカルケアの会社譲渡(株式譲渡)事例です。
医療経営のサポート業務を行う総合メディカルホールディングスは2019年4月、医療系人材派遣のルフト・メディカルケアの株式を全取得し、買収を行いました。取得価格は数十億円だったと見られています。
総合メディカルケアはこれまでも、医療現場の働き方改革を進めるため病院内のコンビニエンスストア運営などを行う会社を買収してきました。
今回のM&Aで、総合メディカルケアは人材派遣事業に進出し医療現場で高まる効率的な人材活用のニーズに応えるのが可能になりました。またルフト・メディカルケアは総合メディカルホールディングスのネットワークを活用し、より広範囲の医療現場への人材派遣に成功しています。
この事例のように、関連事業として人材派遣に進出したいと考える買い手は多くいます。自社の特徴を生かし、関連する会社に人材派遣事業を売却できれば大きなシナジー効果が見込めるでしょう。
③富士ゼロックス総合教育研究所がパーソルホールディングスへ会社譲渡した事例
パーソルホールディングスと富士ゼロックス総合教育研究所の会社譲渡(株式譲渡)事例です。
2019年4月、人材派遣・紹介会社大手のパーソルホールディングスは富士ゼロックスの子会社である富士ゼロックス総合教育研究所の全株式を譲り受けました。譲渡価格は、非公開となっています。
パーソルホールディングスは人材派遣・紹介のみならず求人メディアの運用など人材に関わる多様な業務を展開する大手企業です。また富士ゼロックス総合教育研究所は、人材教育や人事支援などを行ってきました。
今回のM&Aでパーソルホールディングスは、人材教育分野への本格参入に成功しました。富士ゼロックス総合教育研究所も、パーソルホールディングスが持つ豊富な人材・ノウハウを生かしさらに質の高い教育サービスを実現するとしています。
この事例のように、人材への需要が高まる中で人材教育へも注目が集まっています。質の高い人材を多数持つ企業であれば、人材育成のノウハウにも高い価値があるといえるでしょう。
人材教育に強みを持つ会社であれば、会社譲渡を行い買い手とともにさらなるサービス拡大を目指すのも良いでしょう。
④C4がウィルグループへ会社譲渡した事例
ウィルグループとC4の会社譲渡(株式譲渡)事例です。
国内外で人材派遣、人材紹介などの業務を行っていたウィルグループは2018年6月に、東日本大震災の復興を支援する建設技術者派遣を中心に事業を拡大してきたC4の全株式を取得し、子会社化しました。取得価格は、約34億円と発表されています。
ウィルはこれまで、大手人材派遣事業者としてさまざまなエリアで人材派遣・紹介業を行ってきた会社です。
今回の会社譲渡で、復興支援などで成長が見込まれる建設業界での人材派遣サービスに参入に成功しました。またC4もウィルの持つネットワークを生かし、より広範囲で人材派遣業を展開するのが可能になったといえます。
この会社譲渡により、相互に人材と拠点、ネットワークを活用したさらなる事業拡大に成功しました。特定業務での人材不足、業務可能エリアの狭さに悩む会社は、会社譲渡で人材派遣会社などと協力していくべきでしょう。
人材派遣会社における会社譲渡の成功事例は多数あり、中小企業であっても、需要の高い人材派遣事業なら買い手が見つかる可能性は十分あるといえるでしょう。
「自分の会社も本当に売却できる?」「ちゃんとした買い手が見つかるか不安」など、心配な方は、M&A仲介会社や、M&Aマッチングサイトに公開されているM&A案件をみると参考になる場合もあります。
M&A総合研究所のホームページにはさまざまな業界の会社譲渡事例が掲載されています。また、仲介サポートはM&Aアドバイザーが専任でいたしますので、スムーズなM&A進行が可能です。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
ここからは、人材派遣会社が会社譲渡で失敗するパターンを解説していきます。人材や従業員、取引先とのトラブルを防ぎ経営課題をスムーズに解決するためにも見ていきましょう。
5. 人材派遣会社が会社譲渡(株式譲渡)に失敗するパターン
M&Aが活発な人材派遣業界ですが、うまく交渉がまとまらず失敗してしまうケースもあります。
人材派遣会社に多い失敗パターンは、以下のとおりです。
- 時間がかかりすぎて法律改正に対応できない
- 税金の支払額を考えずに譲渡金額を決めてしまう
- 未払い賃金が後で発覚する
- 会社文化を理解できず人材育成が進まない
- 譲渡の話が出た後に人材のモチベーションが下がる
会社譲渡には確かに失敗パターンがありますが、人材派遣会社のM&Aニーズは非常に高い状態です。
事前に起きやすいトラブルを知っておけば失敗の可能性はかなり防げるので、会社譲渡を考えている方はぜひ事前にチェックしてください。
①時間がかかりすぎて法律改正に対応できない
買い手探しや交渉に時間をかけすぎると、法律改正などの大きな動きに対応できず議論が振り出しに戻ってしまう可能性もあります。
人材派遣業界は、派遣に関する法律の改正があると、業務形態などが大きく変化するケースが多いです。そのため新しい法律の施行などで業界が大きく動く可能性もあります。
もちろん会社譲渡を行ううえで、丁寧に議論するのは必要です。しかし買い手選定や交渉に1年以上を費やしていると、業界を取り巻く状況が変わり買い手との関係、会社の価値が変化するかもしれません。
せっかく短期間成約を目指せる会社譲渡(株式譲渡)でM&Aを行うなら、売却のチャンスを逃さず早めに意思決定をしましょう。
②税金の支払額を考えずに譲渡金額を決めてしまう
せっかく会社譲渡の話し合いがまとまっても、想定以上の税金が発生し十分なお金が得られないパターンもあります。変化の激しい人材派遣業界では、会社を売却したあと別のビジネスを始めたいとする前向きな方も多いはずです。
新しい挑戦をするにあたって少しでも手元に多くお金を残せるよう、税金の支払額は常に意識しておく必要があるでしょう。
会社譲渡によるM&Aの場合、基本的に税金は譲渡金額の20.315%です。この20.315%の中には、以下の税金が含まれています。
- 所得税
- 住民税
- 特別復興所得税
株式を個人で保有している場合、基本的にM&Aによる株式譲渡で必要なのはこの20.315%の税金のみです。
一方法人で株式を所有している場合は、譲渡益の約30%を法人税として支払う必要があります。株式を所有しているのが、個人か法人化によって税金の支払額は異なるので、おおよその支払額を頭に入れて会社譲渡を進めましょう。
③未払い賃金が後で発覚する
未払い賃金が後で発覚すれば、買い手が支払いの義務を負うことになり深刻なトラブルは避けられません。特に短期雇用を中心とした人材派遣会社の場合、未払い賃金、未払い保険料が発生していることは十分考えられます。
株式譲渡で会社を全て譲渡すれば、債務は買い手の負担となります。そのため会社譲渡後、未払いのお金があれば買い手との契約違反として賠償を求められるケースもあるでしょう。
未払い賃金・保険料を自覚しつつ、黙っているのは悪手です。賃金や保険料の支払いに関して不安があれば、税理士・会計士などの専門家に確認してもらいましょう。
④会社文化を理解できず人材育成が進まない
売り手と買い手が双方の会社文化を理解し、歩み寄らなければ社内のコミュニケーションが取れず、人材育成に悪影響を及ぼします。
人材が中心の会社では、会社文化の違いによってトラブルが起こるのが多いです。
特に社員教育の方針については考え方の違いが出やすいところですから、トップ面談などで会社の理念や雰囲気について確認しておくのが良いでしょう。会社の雰囲気が合うところであれば、会社譲渡によるトラブルも少なくなります。
またポジティブな人材育成を行えるよう、買い手企業の社員と話をする機会を設けるなどお互いの文化を理解しようとする雰囲気を作るのが大切です。
しかし会社譲渡発表後、社内で反発する従業員が多いようであれば一定期間、業務をなるべく別々に行うなどの対処が必要かもしれません。また人材育成について、社内が落ち着くまで外部に委託するのも手です。
⑤譲渡の話が出た後に人材のモチベーションが下がる
会社の譲渡が決まった後、「どうせ会社が身売りするから仕事は手を抜いて大丈夫」と考え仕事のモチベーションが下がる人は少なくありません。
特に出世や正社員雇用を目指し意欲的に働いている社員の場合、会社譲渡をきっかけに昇進の道が閉ざされたと思い仕事への意欲を失う場合があります。
一方で会社譲渡が決定した後であっても、従業員の意欲とともに業績が大きく下がるようであれば買い手とのトラブルは避けられません。
特に人材派遣業界では、売上の減少は人材の質の低下とみなされます。優秀な人材を求め会社買収をする買い手は多いため、業績が下がれば提示されていた条件と異なるとして賠償を求められるかもしれません。
従業員のモチベーションが一気に下がってしまわないよう、会社譲渡の決定までは情報を公開せず、譲渡決定後は今後も昇進のチャンスがあると説明しましょう。また経営陣も最後まで仕事のモチベーションを保つよう、業績が下がったときのリスクを伝えるべきです。
6. 人材派遣会社が会社譲渡(株式譲渡)で成功するには?
人材派遣会社だけでなく、どの会社であっても大きな経営判断にはトラブルがつきものです。
しかし以下のポイントを押さえて会社譲渡(株式譲渡)を進めることで、円滑に経営課題を解決できる可能性が高まります。
- 人材のタイプに合わせたM&A手法を検討する
- 人材の価値を高く見積もってくれる買い手を選ぶ
- 人材派遣会社のM&Aに詳しい仲介会社に相談する
以下ではそれぞれのポイントを解説していくので、少しでも早く会社譲渡をしたい方、高額売却を狙っている方はぜひチェックしてください。
①人材のタイプに合わせたM&A手法を検討する
M&A手法を選ぶときは、会社譲渡(株式譲渡)だけでなく他の手法と改めて比較・検討するのが必要です。従業員の考え方、会社文化によって適切なM&A方法は異なります。
会社の体制を残すのが優先であれば不要な事業だけ売却する事業譲渡も可能ですし、経営者の持病などが問題であれば、後継者人材バンクで後継者探しをする方法もあります。
後継者人材バンクとは、都道府県運営の事業承継センターなどが、事業承継を希望する経営者と起業希望の方をマッチングさせるサービスのことです。
M&Aをせず事業承継ができるので、後継者に継いでもらう形で会社を残したい方は各都道府県の事業承継センターに問い合わせてみましょう。
人材派遣会社は人材が資本です。M&Aをきっかけに従業員が離職してしまえば、経営を続けること自体が難しくなってしまいます。
成約までのスピード、手続きの簡単さ、買い手の見つかりやすさなどから考えて人材派遣会社には会社譲渡がおすすめですが一度専門家に相談し、事業承継、事業譲渡など他の手段も考えてみましょう。
②人材の価値を高く見積もってくれる買い手を選ぶ
人材派遣会社のM&Aでは、買い手が複数現れることも少なくありません。そのような場合は、自社に属する人材の価値を高く評価してくれるところを選ぶべきです。
人材や、人材育成のノウハウが最も大きな資本である人材派遣業界では、人材の価値評価がそのまま会社の価値になります。人材派遣会社を少しでも高く売却したいなら、会社、人材の価値や将来性を少しでも高く見積もってくれる買い手を選びましょう。
M&A仲介会社によっては、複数の買い手から買収希望価格の最も高い買い手を選定してくれるところもあります。買い手候補があまりにも多い場合は、仲介会社など専門家の意見も聞きつつ、人材の価値を最大限生かしましょう。
③人材派遣会社のM&Aに詳しい仲介会社へ相談する
株式譲渡の手続きは他の手法と比べ簡単ですが、専門家の知識がなければ書類を一から作成するのは難しいといえます。また人材派遣業界の会社譲渡(株式譲渡)では、業界の動向に詳しい専門家への相談が欠かせません。
人材派遣会社は、法律改正や景気変化の影響を受けやすい業界です。業界全体のトレンドに詳しい専門家でなければ、適切な買い手選びや交渉、価格設定をお願いできません。
以下の見出しでは、人材派遣会社の会社譲渡に強いM&A仲介会社を紹介しています。業界事情を良く知る専門家のもとで、スピーディーな会社譲渡を成功させましょう。
7. 人材派遣会社の会社譲渡(株式譲渡)はM&A総合研究所
中小の人材派遣会社の今後は、さらに厳しくなると予想されています。経営に苦しさを感じているのであれば、需要の高い内に会社譲渡(株式譲渡)をしておくのが良いでしょう。
- 後継者がいない
- 早めにリタイアしたい
- まとまった資金が欲しい
- 人材不足で経営が苦しい
- 派遣単価の下落で売上が伸びない
- 派遣契約を切られ始めた
上記のような課題を抱えている場合は会社譲渡を検討すべきタイミングかもしれません。人材派遣業界でのM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所では、支援実績豊富なアドバイザーが丁寧にフルサポートいたします。また、最短3カ月の成約実績を有するなど機動力にも強みがあります。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっており、着手金は完全無料です。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
8. まとめ
今後拡大が見込まれる人材派遣業界ですが、大手が市場を占有しており中小企業が今後も生き残るのは難しくなっています。
人材が集まらない、派遣先企業の売上が下がっている、持病があり経営が不安、そのようなお悩みを抱えているなら、業績が良いうちに株式譲渡で会社を売却しましょう。
9. 人材派遣業界の成約事例一覧
10. 人材派遣業界のM&A案件一覧
【営利4,000万円/負債引継なし】首都圏の人材派遣業
人材派遣・アウトソーシング/関東・甲信越案件ID:2511公開日:2024年12月18日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億2,000万円
首都圏にて事務の人材派遣業を営む
【独自開発の営業ツール所有】3,000社以上の実績があるDX営業代行・人材派遣業
IT・ソフトウェア/人材派遣・アウトソーシング/関東・甲信越案件ID:2486公開日:2024年12月10日売上高
5億円〜10億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
DX営業代行・人材派遣業
【事業の安定性◎】中部北陸のWEB制作・職業訓練事業
IT・ソフトウェア/人材紹介/中部・北陸案件ID:2482公開日:2024年12月06日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
8,000万円
WEB制作・職業訓練事業
【2社譲渡案件】健康診断サービス業・クリニック運営
介護・福祉・医療/関東・甲信越案件ID:2288公開日:2024年09月27日売上高
5億円〜10億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
健康診断に特化した医療サービスを手掛ける企業
【首都圏】高収益の留学支援業
人材派遣・アウトソーシング/人材紹介/教室・教育・ノウハウ/関東・甲信越案件ID:2200公開日:2024年08月29日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
短期留学や海外の大学へ進学したい方の支援を行っている。
【東北】施工管理技士 / 建設系人材派遣業
建設・土木・工事・住宅/人材派遣・アウトソーシング/東北案件ID:2103公開日:2024年07月30日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
地元の大手建設会社への取引をメインに行う、建設系人材派遣会社。 施工管理技士や、事務等の派遣業を手掛ける。
【近畿地方/売上20億円超/純資産以下で譲渡可能】保有トラック300台以上の運送事業
倉庫・物流・運送・宅配/近畿案件ID:1516公開日:2024年01月09日売上高
25億円〜50億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
20億円(応相談)
売上:20億円以上 業歴:50年以上 業種:一般貨物自動車運送業、自動車整備業、人材派遣業 トラック台数:300台以上
【西日本・複数法人同時譲渡】就労継続支援業(図面チェック)、製作図業
IT・ソフトウェア/介護・福祉・医療/住宅・不動産・ビルメンテナンス/中国・四国案件ID:1463公開日:2023年12月14日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
5億円〜7.5億円
①図面製作図業 ②就労継続支援A型
【海外/売上約20億円/日系顧客多数】人材派遣会社
人材派遣・アウトソーシング/人材紹介/海外案件ID:1430公開日:2023年12月06日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1億円〜2.5億円
譲渡希望価格
希望なし
人材派遣サービス、人材(正社員)紹介サービス
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M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
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- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
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