2020年09月14日更新
会社売却の手続きってどうするの?M&Aの流れを解説!

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
中小企業の経営課題解決法の一つとして会社売却があります。M&A手法である会社売却には手続き上、さまざまな流れがあり、M&A未経験の中小企業にとって不安も多いでしょう。会社売却を進めるうえで必要となる知識として、手続きの流れを中心に解説します。
目次
1. 会社売却とは
会社売却を端的にいえば、会社を売ることです。より具体的には、一般の非上場の中小企業であれば、オーナー経営者が自己の所有する自社株式を他の個人または法人に売却し、会社の経営権を譲渡することになります。
会社を売却するには、それぞれの事情があるものですが、会社売却を実行した場合のメリット、デメリットについて考えてみましょう。
会社売却のメリット
会社売却で考えられる主なメリットは、以下の4点です。
- 売却益の取得
- 後継者問題の解決
- 従業員の雇用確保
- 会社発展の可能性
売却益の取得
会社の経営成績が一定の状況であるなら、それ相応の金額で会社売却は成立するはずです。したがって、会社売却した経営者は多額の売却益を取得できます。新たな事業資金にもなるでしょうし、老後の豊富な生活資金としても有効です。
後継者問題の解決
引退間近の経営者に後継者がいないことが、全国の中小企業で経営課題となっています。会社売却によって会社は新たな経営者に引き継がれるわけですから、後継者問題はこれで決着です。
従業員の雇用確保
仮に後継者が見い出せず経営者の引退とともに会社が廃業となってしまったら、働いていた従業員は職を失い路頭に迷うことになります。しかし、会社売却が成立すれば会社は存続していくわけですから、従業員の雇用は守られて安泰です。
会社発展の可能性
会社売却において、買収側は経営上の思惑があってM&Aを実施しています。その経営戦略のもと、新たな経営体制と資本力によって、会社が大きく発展する可能性に期待が持てるでしょう。
会社売却のデメリット
会社売却を実施する場合、デメリットというよりも売却する経営者が注意しておくべきことが2点あります。
ロックアップ
会社売却後、新たな資本体制で経営が行われていくとしても、事業の運営などを新体制に引き継ぐには一定の期間が必要です。
どの程度の期間になるかは会社売却時の契約内容次第ですが、その間、会社売却を実行したにもかかわらず、前経営者として引き継ぎのための拘束を受けることになります。この拘束がロックアップと呼ばれているものです。
競業避止義務
M&A手法の中には、会社売却に類するやり方として事業譲渡という方法があります。これは、会社を丸ごと手放さずに、事業や資産を単位に外部に譲渡(売却)する手法です。この事業譲渡を採用した場合に注意したいのが、競業避止義務になります。
競業避止義務とは、事業譲渡によって譲渡した事業と同一の事業を、同一の市町村およびその隣接市町村域で20年間行ってはならないという法令です。事業譲渡を用いる場合は注意しておきましょう。
2. 会社売却の手続きに必要な書類
会社売却の手続きを見る前に、手続きに必要な書類から確認しておきましょう。会社売却の際には、その方法によって必要な書類が異なりますが、主なものを挙げると以下のようになります。
- 自社のPR資料
- 基本的資料
- 財務資料
- 人事資料
- 契約関連の書類
複雑な法律がからむM&Aは交わす契約や書類の数が多く、不備があった場合は法的な責任問題にもつながりかねません。専門家に必ずチェックをしてもらい、リスクを最小限にしましょう。
会社売却に必要な書類の主なものを以下の表に簡単にまとめました。
自社PR資料 | 自社をアピールできる資料 | 話題になった商品や雑誌の掲載、新聞記事など |
事業計画書 | 今後3か年分の見通し(中期計画書) | |
基本的資料 | 商業登記簿謄本 | 履歴事項全部証明書 |
定款 | - | |
株主名簿 | - | |
会社案内 | ||
印鑑証明書 | 法人・代表者各1通 | |
財務資料 | 決算書など財務資料一式 | 税務申告書、決算書、勘定科目内訳書(直近3期分)、納税証明書や借入金の詳細状況など |
月次試算表 | 月単位の収支予測を事業ごとに用意 | |
土地・借地権台帳 | 最新の借地権の路線価図 | |
人事資料 | 組織図 | 本社・支店・子会社・関連会社 |
役員の経歴書 | 部門長含む | |
従業員名簿 | 氏名・年齢・勤続年数・役職・給与 | |
就業規則などの規則や退職金などの規定 | - | |
契約関連書類 | 取引先との契約書 | - |
賃貸借契約書 | ||
リース等の契約書 | ||
保険契約書 | ||
許認可等の写し | ||
その他の契約書 |
3. 会社売却手続きの流れ:概要
会社売却にはさまざまな手続きが必要です。手続きの流れは以下の6つのステップに分けられます。
- M&A準備
- トップ面談
- 意向証明書の提示
- 基本合意の締結
- デューデリジェンス
- 最終譲渡契約の締結とクロージング
次項以降で、上記の会社売却手続きの流れ6ステップについて、細かく解説していきます。
M&Aである会社売却を進めるにあたって、重要なのは専門家の存在です。会社売却などM&Aの手続きの中では、法務、財務、会計、労務などそれぞれ幅広く専門的な知識が要求される場面があります。おそらく社内だけで対応するのは難しいでしょう。
そんなとき頼りになるのがM&A仲介会社です。たとえば、全国の中小企業のM&Aに携わっているM&A総合研究所が挙げられます。豊富な経験と知識を持つスタッフがM&Aを徹底サポートするM&A総合研究所は、国内最安値水準の完全成功報酬制です。
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4. 会社売却と手続きの流れ①:M&A準備段階
M&A会社と契約
複雑な手順の会社売却を自社だけで行うことはほとんど不可能でしょう。まずはM&Aを円滑に行うため、M&A仲介会社と契約することが肝心です。
M&A仲介会社を通すと、譲渡する企業や事業に興味を持っている買い手企業を多くの選択肢の中から探せるので、会社売却に関する一連の流れが有利かつスムーズに進められます。
自社を診断する
契約をしたM&A仲介会社とともに、売却企業の診断をします。自社の価格、価値、適切なスキームや流れなど綿密な診断が肝要です。
この診断結果は、その後の買い手企業候補に提示する資料として大切になります。買い手企業を探す前に改善すべき点などもしっかり洗い出しておきましょう。
買い手企業をリストアップする
自社診断を終えて資料を作成したら、買い手企業のリストアップをします。仲介会社の豊富なパイプとデータの中から、条件に合う買い手候補をピックアップして打診実行です。
この段階では売り手企業の社名などは公表せず、大まかな条件だけを提示して交渉の余地があるかを判断します。交渉の余地があるか判断するうえで、M&Aの専門家である仲介会社の手腕が発揮されるところともいえるでしょう。
そして、手ごたえのあった企業の中から数社~10社程度に絞り込み、「守秘義務契約」を結んだうえで、あらためて売り手企業の具体的な情報を開示します。
これらはすべてM&A仲介会社を通して行われ、この段階での法的拘束力は発生しません。多くの業種にパイプを持つM&A仲介会社の特性が非常に有利に働く段階です。
5. 会社売却と手続きの流れ②:トップ面談
M&A仲介会社によるマッチングを行い、買い手候補を絞り込めたら、売り手企業と買い手候補企業のトップ面談をします。このトップ面談で複数の事項を確認しますが、この段階では法的拘束力は発生しません。
M&Aを結婚にたとえると、トップ面談はまさに「お見合い」のようなもので、双方のフィーリングや経営に対する理念や考え方を確認し合い、価値観を共有できるか確かめ合う段階です。
主な確認事項は、会社のどこに興味を持ったのか、買収後どのように運営していくのか、経営方針はどのようなものか、買収資金はどのくらいかなどがあります。
お互いに会社の印象を確認したり、プレゼンテーションのような感覚で質疑応答したりします。店舗があれば見学や商品のデモンストレーションなども必要です。売り手企業の商品や技術などもアピールします。
トップ面談は希望があれば複数回行うもので、契約書のように1度交わせば終わりというわけではありません。また、複数の買い手企業とトップ面談を行うこともあります。
6. 会社売却と手続きの流れ③:意向証明書の提示
トップ面談後、双方が納得したらM&A仲介会社が間に立って「意向表明書」の提示を受けます。別名LOI(Letter of intent)とも呼ばれるもので、買取を具体的に検討する意思があるという意向を伝える提案書です。
「意向表明書」は、その時点においてのM&Aスケジュールや流れ、M&Aによって想定されるシナジー効果、そして企業をなぜ譲り受けたいのか、どのような経営展望があるのかなどを買い手企業が売り手企業側に伝える書類になります。
この段階では、M&Aがどの方法で行われるのか、どの企業と契約すればいいのか、複数の買い手企業と交渉している場合もあり、売り手側はどの企業とM&Aを進めていくのかを判断する材料として精査します。
意向表明書は、今後M&Aを実施する流れの中で交渉材料になることもあるので、非常に大切です。基本合意書の合意事項も、この書面を参考に作られます。
ただし、意向表明書はM&A手続きの流れにおいて必須事項ではありません。意向表明書が提出されないケースもあります。したがって、意向表明書に記載されている事項に法的拘束力はありません。
7. 会社売却の手続きと流れ④:基本合意の締結
意向表明書を確認して双方にM&Aの意思があれば、基本合意に向けた合意条件の確認に移ります。主な合意条件は業種やM&Aを実施する方法により違いもありますが、一般的には以下の点を確認します。
- 譲渡価格
- 今後のスケジュール
- 取引形態(M&Aのスキーム、株式譲渡・事業譲渡など)
- デューデリジェンスの協力
- 独占交渉権の付与
- その他の合意事項
これらについて双方で確認したら「基本的合意契約書」を交わします。これは最終的な契約に向けた直前段階の契約書です。
「基本的合意契約書」には、M&A契約予定日や大まかな条件、法的拘束の範囲などが記載されます。双方でこの合意がなされれば、会社売買の成立を目指す本格的な流れに向けて一直線です。
8. 会社売却と手続きの流れ⑤:デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、法務、財務、会計、労務など各部門の専門家が、さまざまな角度から企業を調査し、M&Aの内容を検討する作業です。買い手企業が売り手の経営実態や問題点、リスクなどを把握するために行います。
デューデリジェンスでは、権利や許認可、M&Aスキーム、売買価格などの観点だけでなく、過去の税務申告書や財務諸表などから企業の財政状態もチェックします。
また、契約書などの重要書類から、資産の所有権やさまざまな契約の妥当性、労働関連法令の順守状況、許認可関連、訴訟の有無など細かくチェックすることが必要です。
売り手企業側はデューデリジェンスを受ける立場になりますので、速やかで誠意ある対応をし、提出を求められた書類を不足なく迅速に提出しなければなりません。
デューデリジェンスには、複雑な書類を速やかにそろえられる各部門の専門知識が必要なので、専門家のサポートを受けられるM&A仲介会社の存在が不可欠となります。
9. 会社売却の手続きと流れ⑥:最終譲渡契約の締結
デューデリジェンスが終了し、双方ともにM&Aの意思が固まったら「譲渡契約書」を作成します。この契約書は売り手、買い手双方の最終的な責任者が締結し、さらに弁護士などの専門家に内容をチェックしてもらうことが必要です。
クロージングとは株式譲渡や事業譲渡を完了するための手続きと、M&Aにより発生する代金の支払いを完了することを意味します。
これまでに締結した各契約書に規定された条件がすべて満たされたのちに、手続きが完了したことを確認して行われるのがクロージングです。
したがって、通常は最終譲渡契約の締結後、数週間から数か月後にクロージングが行われ、会社売却は終了します。
会社売却の契約書
会社売却の際に買い手企業と交わす契約書にはさまざまなものがあります。まずはじめに締結する必要があるのは、M&A仲介会社との業務委託契約です。
そして、トップ面談までに複数の買い手候補企業と「秘密保持契約」を結び、M&Aについての基本的な合意がなされれば「基本合意契約書」を交わします。
基本合意後、デューデリジェンスを経て「最終譲渡契約書」締結の運びとなりますが、これは、それぞれのM&Aのケースにより内容・項目はさまざまです。会社法上の取り決めは特にありません。
この「秘密保持契約書」「基本合意契約書」「最終譲渡契約書」の契約書は、各種の法規制を押さえて交わす必要があるため、不備がないよう専門家のチェックが必要です。
会社売却を円滑に進めるためには、この3つの契約書を正確に作成しなければならず、信頼できるM&A仲介会社を探すことが会社売却成功の第一歩といえるでしょう。
M&A仲介会社の選び方のコツは、その実績に着目することです。実績のあるM&A仲介会社ほど、その情報網も充実しており、会社売却の相手企業探しにも有効な手立てを持っています。
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10. 会社売却の方法と種類
M&Aには「株式譲渡」「株式引渡」「合併」「事業譲渡」「株式交換」「会社分割」などの種類があります。一般に会社売却といえば株式譲渡のことです。また手法としては異なるのですが、事業譲渡も会社売却に準じたM&Aとしてよく用いられます。
株式譲渡と事業譲渡の違いやそれぞれのメリット、デメリットについて、その概要を確認しておきましょう。
株式譲渡
株式譲渡とは、株式を売却することによってその会社の経営権を移す方法です。この場合、売却する会社の資産、事業などすべてが対象になります。
メリットは、株主が主体で行えることや、創業者の利益が守られること、他のM&A手法に比べて手続きが比較的簡便であることなどです。
ただし、会社を丸ごと引き継ぐので、隠れたリスクなども合わせて譲渡される可能性があります。よくあるのが偶発債務などです。
しかし、近年行われているM&Aの半数以上が、この株式譲渡であるとされています。
事業譲渡
事業譲渡とは、会社が行っている事業を切り出して個別に譲渡する方法です。売り手側の株式はそのままですから、会社自体は経営者も変わらず、そのまま存続します。
売り手と買い手、双方のメリットとしては、譲渡・譲受する事業や資産を選別できることです。売り手としては不要となった事業や資産の換金化となり、買い手としては新規事業の獲得や既存事業の拡大が望めるとともに、不要な負債などの譲渡を拒めます。
しかし、それらを個別に契約するため、事業譲渡は手続きが煩雑という点がデメリットです。また、事業に必要な許認可などは一緒に移転できないため、譲受側が新たに許認可手続きを行わなければなりません。
11. 会社を売却するための準備期間
ここまで、会社売却における手続きと流れを紹介してきましたが、具体的に会社売却にはどれくらいの期間を要するのでしょうか。もし、できるだけ良い金額や条件で会社を売却しようと考えている場合、一般的に2年は必要であるといわれています。
十分な準備期間を設けず会社を売り急いでしまった場合、買い手が見つからず倒産してしまったり、買い手が見つかっても不利な条件を提示されてしまったりするかもしれません。
買い手が欲しがるような魅力を増すためにも準備期間を十分確保し、M&A仲介会社とともに会社の内容を整理し、希望する条件や金額で会社売却することを目指しましょう。
12. まとめ
会社売却手続きの流れは、以下の6つのステップに分けられます。
- M&A準備
- トップ面談
- 意向証明書の提示
- 基本合意の締結
- デューデリジェンス
- 最終譲渡契約の締結とクロージング
それぞれのステップごとに注意点がありますので、気をつけながら手続きを進めていきましょう。
初めての会社売却であれば、会社売却の専門家であるM&A仲介会社に相談すると一貫してサポートを受けられます。上手に専門家を頼りながら会社売却を成功させましょう。
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