組織再編税制とは?平成30年の税制改正を解説!適格要件は緩和?

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

組織再編税制を知ることで、企業の事業展開は大きく変わります。組織再編税制によって税務上有利になりやすい適格要件も改正により緩和されてきました。平成30年の組織再編税制改正をベースとして、適格要件に着目しながらチェックしていきましょう。

目次

  1. 組織再編税制とは
  2. 組織再編税制の適格要件とは
  3. 税制改正とは
  4. 平成30年の組織再編税制の税制改正をわかりやすく解説
  5. 平成30年の組織再編税制の税制改正のメリット
  6. 平成30年の組織再編税制の税制改正の問題点
  7. 平成31年の組織再編税制の税制改正案の中身
  8. 税制改正により組織再編税制の適格要件は緩和されている?
  9. まとめ
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1. 組織再編税制とは

組織再編税制とは

組織再編を考える場合、組織再編税制と税制改正を理解しておくことは重要です。ここでは税務に関わる組織再編税制についてわかりやすく解説させて頂きます。

そこでまずは、組織再編税制の範囲と分類について簡単に解説します。

組織再編税制について

組織再編税制とは、組織を再編した時に課税される税金のことを表しています。わかりやすく言えば、組織を組み替えた時に発生する税ということです。

組織の再編をするにあたり、さまざまな手法があり、その手法により税務上で取り扱われる税金が変わります。この税金こそが、組織再編税制なのです。

組織再編は組織の活性化には不可欠です。しかしながら、組織再編税制を含む税制というのは正直わかりやすくはありません。それはポイントを掴んで把握をしていないからです。

そこで、組織再編税制についてわかりやすくポイントだけを絞り出して話を進めていきます。

組織再編税制を知るべき要因

組織再編税制を改正法案も含めて知っておくべき要因として言えるのが、事業展開の拡大や基盤の盤石化に有益だからです。

組織再編税制を知らなければ、組織の再編成はリスクが高くなってしまいます。ましてや改正税制まで知らなければ、組織再編で不利益を被ると言われているのです。

組織再編税制の改正法案まで知っておくことで発生するメリットは、税制改正の解説などを見れば理解できるはずです。そのためにも、ここで紹介している組織再編税制および改正税制についてチェックしておくことが大切なのです。

組織再編税制の範囲

組織再編税制が適用される範囲とは、以下における組織再編に関する手法があります。

  • 合併
  • 分割型分割
  • 分社型分割
  • 株式交換
  • 株式移転
  • 現物分配
  • 現物出資

また、事業譲渡についても対象外ではあるものの規定されている部分もあります。

【関連】組織再編とは?種類や各々のメリット・目的を解説【事例あり】

組織再編税制の分類

組織再編税制には「適格要件」と「非適格要件」の2つの分類があります。わかりやすく言えば、資産や負債を簿価で引き継ぐのか、それとも時価で引き継ぐのかの違いです。

適格要件

適格要件とは税制適格とも呼ばれ、資産や負債の支配関係が継続しており、譲渡損益が認識されない状態のことを表しています。

資産や負債を帳簿上の簿記会計の価格で表す、いわゆる簿価で評価する場合に適用される要件となります。また、含み損益に対する課税は繰り延べとなっています。

適格要件を満たすには以下の組織再編が対象となっています。

  • 完全支配関係内(100%グループ内)の組織再編
  • 支配関係内(50%超グループ内)の組織再編
  • 共同事業を形成するための組織再編

それぞれの組織再編に対する適格要件事項は後ほど紹介します。

ちなみに課税の繰り延べとは、当期に支払うべき税金のことを指しています。組織再編税制に関わる課税対対象金額を翌年に持ち越せるという意味合いとなります。

非適格要件

一方で非適格要件とは税制非適格とも呼ばれ、資産や負債を移転するために課税が発生します。資産や負債の評価方式は時価としており、譲渡損益に対する課税・みなし配当課税・株式譲渡益課税が発生します。

2. 組織再編税制の適格要件とは

組織再編税制の適格要件とは

組織再編税制の適格要件を満たすには、以下の3つの組織再編に対して、これから紹介する全ての要件を満たしている必要があります。

  • 完全支配関係内(100%グループ内)の組織再編
  • 支配関係内(50%超グループ内)の組織再編
  • 共同事業を形成するための組織再編

完全支配関係内(100%グループ内)の組織再編

完全支配関係内(100%グループ内)の組織再編税制における適格要件は以下の通りです。

  • 金銭及び同等の支払いがない
  • 支配率100%の継続

支配関係内(50%超グループ内)の組織再編

支配関係内(50%超グループ内)の組織再編税制における適格要件は以下の通りです。

  • 金銭及び同等の支払いがない
  • 支配率50%以上の継続
  • 主だった資産や負債の引き継ぎ
  • 従業員の内およそ8割程度の引き継ぎ
  • 移転した事業の継続

共同事業を形成するための組織再編

共同事業を形成する組織再編税制における適格要件は以下の通りです。

  • 金銭及び同等の支払いがない
  • 主だった資産や負債の引き継ぎ
  • 従業員の内およそ8割程度の引き継ぎ
  • 移転した事業の継続
  • 移転した事業の関連度合い
  • 発行済の株式を8割以上継続して保有
  • 事業規模がおよそ5倍以上または特定役員が継続して就任されている

迷ったら相談がベスト

組織再編において、税務の関係で迷うことなどがあった場合、専門家に相談するべきだと言えます。それは、税務における失敗は大きなリスクを背負っているからです。

リスクを回避しトラブルを発生させないために、組織再編税制にも詳しいM&Aの専門家は強い味方となります。悩みの解決だけではなく、組織再編面においても税務においてもメリットの生まれる手法などを検討できるでしょう。

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3. 税制改正とは

税制改正とは

組織再編税制なども含まれる税制改正というのは、毎年度ごとに行われているものです。この年度ごとに税制が改正されるがために、改正後の税制がわかりやすくないという意見がでてくるのです。

ちなみに、税制改正については、夏頃に各省庁から改正に対する要望が提出されます。もちろん、この改正要望の中には組織再編税制の改正要望も含まれているのです。

夏頃に改正案が提出された後、秋から冬にかけて検討そして発表が行われます。その後閣議決定などを経た上で、税制改正が決定されるというわけです。

4. 平成30年の組織再編税制の税制改正をわかりやすく解説

組織再編税制は例年改正が行われています。税務に係ることですから、改正されたポイントを理解しておくことが大切です。ここでは、平成30年に行われた組織再編税制の税制改正についてわかりやすく以下の2点について解説していきます。

  1. スピンオフ手法を用いた組織再編に関する適格
  2. スクイーズ・アウト手法の組織再編税制への導入

①スピンオフ手法を用いた組織再編に関する適格

まず最初に紹介する改正ポイントは、スピンオフ手法を用いた組織再編です。

そもそもスピンオフ手法とは何かをわかりやすく説明すると、事業の切り出しです。既存子会社や事業の切り出しによって新設された子会社の株式を、持分割合に対応した株式を株主に対して配分する方法です。

このスピンオフの組織再編税制の適格要件が、先に述べた条件となっているのです。この条件を満たすことにより、税務上で課税を繰り延べることが可能となった税制改正というわけです。

スピンオフのわかりやすく有名な事例が電子マネーを取り扱うPayPalです。PayPalはもともとeBayの事業でしたが、2015年にスピンオフを手法として切り離しを行いました。

②スクイーズ・アウト手法の組織再編税制への導入

とある企業に対して、少数株主に金銭等を交付し排除し、大株主だけを株主とする方法が、スクイーズ・アウトという手法です。スクイーズ・アウトをすることにより、100%株式保有を促し、完全子会社化を実現します。

スクイーズ・アウトの手法としては、合併・株式交換・全部取得条項付種類株式・株式併合・株式譲渡請求といった方法があります。これらの税制について平成29年に改正され税制関係が統一されることとなりました。

そして、平成29年度の税制改正を踏まえた上で、スクイーズ・アウト手法においても組織再編の適格要件を満たせば、繰り延べとなる税制が適用されることとなりました。

【関連】スクイーズアウトにおける税制改正や課税関係を徹底解説!

5. 平成30年の組織再編税制の税制改正のメリット

平成30年の組織再編税制の税制改正のメリット

平成30年の組織再編税制の税制改正について、どういったメリットが生まれるか見てみます。

一番大きなメリットとして考えられるのが、税制改正において税務上でも扱いやすくなったスピンオフです。この手法に組織再編税制改正が差し伸べられたことにより、より活発な事業の切り出しを行うことができるようになりました。

その結果、企業が事業再編を軸とした攻めの営業や投資が行いやすくなったと言われています。

説明すると、平成29年度に行われた税制改正により、税務上でもスピンオフが可能となったものの、親会社からの事業を会社分割でスピンオフした場合は、新設分割だけが利用可能という課題がありました。

わかりやすく言えば、どんな分割方法であったとしても、事業を切り出しての会社分割は、税務により新設分割を必要とされていたということです。

しかしながら、新設分割は事業許可などが必要となるため、事前に準備をすることが必要で、実務の観点から考えると、非常に難しい運用方法を求められていたのです。

こういった状況を改善するため、平成30年度の税制改正で100%となる完全支配関係である企業においては、組織再編成の適格要件のうち、完全支配関係の継続が適格株式の分配直前までと改正されたのです。

これにより、スピンオフを行う場合において、まず先に100%支配の新設子会社を設立しておき、将来的にスピンオフをして事業の切り出しを行うことが可能となり、よりスピンオフを活用しやすくなりました。

6. 平成30年の組織再編税制の税制改正の問題点

平成30年の組織再編税制の税制改正の問題点

組織再編税制の税制改正は常に行われるものです。それは、組織再編税制には問題や課題が多いと言われているからです。

特に課税が繰り延べできる適格要件については、適用範囲のさらなる位置づけが必要だとされています。しかしながら、従来の税制改正に比べると税務レベルでの改正が積極的に行われており、評価すべき改正だとも言われているのです。

【関連】株式交換の適格要件とは?適格要件の税制改正に関しても解説!

7. 平成31年の組織再編税制の税制改正案の中身

平成31年の組織再編税制の税制改正案の中身

それでは平成31年度の組織再編税制の税制改正案についてはどういった要件が見られるでしょうか。

実はそこまで大きな改正はないとされています。そこで、以下の2点においてわかりやすく簡単に解説させて頂きます。

  1. 株式交換等の逆さ合併に関する適格要件の見直し
  2. 株式を対価とした組織再編時の適格要件の見直し

①株式交換等の逆さ合併に関する適格要件の見直し

事業規模が小さな会社を存続させる「逆さ合併」が、株式交換等が実施された後に見込まれる場合、従来であれば税制非適格要件とされていましたが、税制適格に限って今回の改正で適格要件に組み込まれました。

②株式を対価とした組織再編時の適格要件の見直し

株式を対価とした組織再編における対価要件が拡充されます。

合併や会社分割などを行う場合、対価要件とする組織再編成時は親会社株式のみが適格要件とされていました。しかし、今回の税制改正では間接保有の完全親会社であっても対価要件を満たすとし、組織再編成の適格要件としています。

8. 税制改正により組織再編税制の適格要件は緩和されている?

税制改正により組織再編税制の適格要件は緩和されている?

これまで税制改正に対して解説しましたが、組織再編税制は税制改正により緩和されているように感じているはずです。実際はどう見れば良いのかというところです。

適格要件は緩和されている

先にも少し紹介しましたが、適用要件というのは緩和されている傾向があります。税務的にメリットの高い制度ですから、要件の緩和は喜ばしい部分とも言えるでしょう。

適格要件を緩和する目的

適格要件を緩和する目的はズバリ事業再編の円滑化です。税制改正によって緩和された適格要件により、事業再編が機動的で柔軟に行うことができ、経営者の事業拡大や安定に選択肢が増えたと言えるでしょう。

また、適格要件の緩和を求める声もあるとされており、社会情勢や経済のグローバル化などの観点から、産業の国際競争力を強化も期待できるとされているのです。

9. まとめ

まとめ

組織再編税制とは以下の項目に着目する必要があることが理解できたはずです。

  • 組織再編税制の分類は「適格要件」と「非適格要件」2つ
  • 適格要件には満たすべき条件がある
  • 適格要件は緩和の流れ

適格要件を満たすべき組織編成について、以下の表でまとめました。
条件 100%グループ内 50%グループ内 共同事業
支配率の継続  
金銭及び同等の支払いがない
主だった資産や負債の引き継ぎ  
従業員の内およそ8割程度の引き継ぎ  
移転した事業の継続  
移転した事業の関連度合い    
発行済の株式を8割以上継続して保有    
事業規模がおよそ5倍以上
または
特定役員が継続して就任されている
   

また、平成31年の組織再編税制については以下の項目に着目する必要があることも分かりました。
  1. 株式交換等の逆さ合併に関する適格要件の見直し
  2. 株式を対価とした組織再編時の適格要件の見直し

組織再編をするには、M&A専門家の知恵は不可欠です。M&A総合研究所であれば、多種多様な事例や経験から、状況にマッチした組織再編へのスキームを提供してくれるでしょう。

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