IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡事例10選!案件や価格相場も紹介

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

近年は、IT企業やソフトウェア業界においてM&Aによる会社売却、買収、事業譲渡などが活発化しています。当記事では、IT企業やソフトウェア業界のM&Aについてまとめます。また、IT企業やソフトウェア業界におけるM&Aの売却価格相場や事例も紹介します。

目次

  1. IT企業・ソフトウェア業界の現状
  2. IT企業・ソフトウェア業界の「SIer」を詳しく解説!
  3. IT企業・ソフトウェア業界でM&A・譲渡が増えている理由
  4. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡事例10選
  5. IT企業・ソフトウェア業界がM&Aを行うメリット
  6. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡価格の相場
  7. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡価格の計算方法
  8. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡で高く売るコツ
  9. IT企業・ソフトウェア業界のM&A仲介会社3選
  10. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡まとめ
  • IT会社のM&A・事業承継

1. IT企業・ソフトウェア業界の現状

IT企業・ソフトウェア業界の現状

当記事では、「IT企業・ソフトウェア業界のM&A」についてまとめます。IT企業・ソフトウェア業界で活躍されている経営者や、IT業界・ソフトウェア業界への参入に興味を持つ方の中には、以下の悩み・希望を抱えている人もいるでしょう。

  • 別の新規事業に特化するため、現在のIT・ソフトウェア事業を売却したい
  • システム開発などができる技術者を集めたい
  • IT市場・ソフトウェア市場における自社のポジションを確立したい
  • 事業を継いでくれる後継者に事業譲渡したい
  • システム開発など自社が持たないノウハウを持つ会社を買収したい
  • IT業界・ソフトウェア業界における今後の動向を知りたい

当記事では、上記の悩み・希望を抱えた方のために、IT企業・ソフトウェア業界のM&A動向や相場価格、M&A事例などについて解説します。

それでは、M&Aの話をする前にまずはIT・ソフトウェア業界の基本的な事柄から確認しましょう。

IT企業・ソフトウェア業界の基本情報

まずは、IT企業・ソフトウェア業界の基本情報からまとめていきます。

「そもそもIT企業・ソフトウェア業界とはどのような業界か」「IT企業・ソフトウェア業界の主要プレイヤーはどの企業か」などを理解してからM&Aについて考えるとわかりやすいです。
 

  • IT企業・ソフトウェア業界の定義
  • IT企業・ソフトウェア業界の構造
  • 商流・事業の特性
  • IT企業・ソフトウェア業界の事情状況

それぞれ順番に見ていきましょう。

IT企業・ソフトウェア業界の定義

IT業界は、情報技術に関わる事業を展開する業界です。ちなみに、ITは「Information Technology」の略称です。

ただ、単純にITや情報技術といっても、近年の技術発展に伴い非常に多くの業態が生まれたことから、IT業界と簡単に一言でまとめるのが難しくなっています。

IT業界と聞いてイメージするのは、システム開発などを行うソフトウェア系と、パソコンやスマートフォンの開発を行うハードウェア系ではないでしょうか。

しかし現在では、この他にも以下のものがあります。
 

  • 情報処理系
  • 通信インフラ系
  • インターネット・Webサービス系
  • クラウドサービス系

通信インフラ系は、インターネットを利用するための環境構築や運営を行うサービスです。

インターネット・Webサービス系は、インターネット広告やオンラインショップ、決済システム、SNSの運営システムを提供するサービスのことをさします。

クラウドサービス系は、ブログやSNSなどを作動させるサーバーシステムやウェブメール、会計システム、ファイル転送・保管システムなどを提供するサービスです。

IT企業・ソフトウェア業界の構造

IT業界の構造を簡潔に整理すると以下4つに大別できます。
 

  • インターネット・Webサービス業務
  • 情報処理サービス業務
  • ハードウェア業務
  • ソフトウェア業務

「インターネット・Webサービス業務」は、企業向けにWebサイトを開発・制作したり、ネットワーク構築を行ったり、個人向けにSNSやショッピングサイトを展開したりする業種です。

「情報処理サービス業務」は、企業が情報システムを社内に導入する際に必要なサービスを提供する業種で、ソフトウェア業界とハードウェア業界を補完する役割を持ちます。

「ハードウェア業務」は、パソコン本体機器や、キーボード・マウス・プリンター・モニターなどパソコン周辺機器の開発・制作を行う業種を意味します。

以前は、「ハードウェア=パソコン」でしたが、現在は技術の発展に伴い、スマートフォンやゲーム機、家電の開発も「ハードウェア」という業種の一つと考えることが可能です。

そして、「ソフトウェア業務」は、パソコンやスマートフォンなどのハードウェア製品を制御する命令をまとめたプログラムを開発する業種です。

スマートフォンでよく耳にするAndroidやiOSは、ソフトウェアの業種で活躍するシステム開発者によって開発されています。IT業界における売上のおよそ半分は、ソフトウェア業務のシステム開発が占めています。

商流・事業の特性

IT業界・ソフトウェア業界の商流は、何層にも分けられます。

基本的に、IT業界・ソフトウェア業界の顧客となる企業や会社は、システム開発などの依頼を「システムインテグレーター」に発注します。

システムインテグレーターとは、情報システム開発やハードウェア製品開発などにおいて、戦略立案から設計、開発、テスト、運用・管理までを一括して請け負う情報通信企業のことです。「SIer(エスアイヤー)」と呼ばれることが多いです。

システム開発などの依頼が大手SIerに発注されると、SIerはさらに「IT・ソフトウェアの中小・零細企業(システム開発の下請け事業を行う中小企業など)」に発注します。

銀行の金融システムなどの「大規模なシステム開発」は、大手SIerが仕事を受注して、それらがさらにIT・ソフトウェア中小企業に発注される流れです。

IT業界・ソフトウェア業界の主要プレイヤーは主にSIerです。SIerとは、システムインテグレーションを行う業者を意味します。

システムインテグレーションとは、ユーザーの利用目的に合わせて、さまざまなハードウェアやソフトウェア、メディア、通信ネットワークなどをうまく組み合わせ、コンピューターのシステムを作り上げることです。

SIerは「メーカー系SIer」「ユーザー系SIer」「独立系SIer」に分かれます。

ハードウェア製造を得意とするメーカー系SIerは「日立製作所、NEC、富士通、IBM」などがあります。

ユーザー企業の情報システム子会社となっているユーザー系SIerには「野村総研、新日鉄住金ソリューションズ、伊藤忠テクノソリューションズ」、資本的に独立した独立系SIerには「ITホールディングス、大塚商会、オービック」などがあります。

ちなみに、業界動向サーチの「IT業界 売上高&シェアランキング(2019年-2020年)」によると、首位に立つのは富士通(テクノロジーソリューション事業)です。

また、日立製作所や野村総研、大塚商会といった大企業の子会社として活躍するIT企業やソフトウェア企業も多くあります。

IT企業・ソフトウェア業界の市場状況

IT業界・ソフトウェア業界の動向は、国内景気の回復に伴って好調に推移しています。また、近年の「マイナンバー導入」や「金融機関のシステム更新」といった大型案件の需要も伸びています。

さらに、データをインターネット上に管理する「クラウドサービス」の発展や、「ビッグデータ解析における重要度の増加」「モノのインターネット化と呼ばれる『IoT』」「AI(人工知能)」も、IT・ソフトウェア業界に良い波をもたらしています。

【関連】システム開発会社のM&A・買収・売却の完全マニュアル【成功事例6選あり】

2. IT企業・ソフトウェア業界の「SIer」を詳しく解説!

IT企業・ソフトウェア業界の「SIer」を詳しく解説!

ここでは、IT企業・ソフトウェア業界の「SIer」について、詳しくまとめます。日立製作所や大塚商会のようなIT企業・ソフトウェア業界の大企業は、「システムインテグレーション事業」を展開しています。

大塚商会などは、ITにまつわる提案を顧客から受注したあと、その顧客のニーズを満たすために、「システム設計・開発、環境構築、総合的なソリューション」を提供します。

ここからは、「大塚商会」を例にします。例えば、大塚商会の顧客が「PC・複合機器を導入・設置したい」「社内にスマートデバイスを導入したい」「セキュリティの導入・設置をしたい」といった要望を抱えているとします。

この要望を受けた大塚商会は、顧客の課題分析や最適な機器・システムの開発・企画・構築などを請け負います。ただし、大塚商会が、システム開発や導入などをすべて社内で行うわけではありません。

「コピー機を導入したい」という要望が大塚商会に届いたら、大塚商会は子会社や複数のメーカーを比較して、顧客にとって最適なコピー機を選定し、顧客に提供します。

このように、IT企業・ソフトウェア業界は、大手のSIerが顧客から受注をし、その後SIerが選んだ最適な下請け業者に各仕事を発注する流れです。

それではIT業界・ソフトウェア業界に話を戻して、M&Aについて見ていきましょう。

3. IT企業・ソフトウェア業界でM&A・譲渡が増えている理由

IT企業・ソフトウェア業界でM&A・譲渡が増えている理由

今後のIT・ソフトウェア業界の動向としては、需要がますます高まっていくと考えられるため、IT・ソフトウェア業界のM&A動向に注目することが大切です。

最近では、IT企業やソフトウェア業界の企業によるM&Aが増加傾向にあります。IT企業・ソフトウェア業界のM&Aが増加している要因は、以下です。

  1. SIerの統廃合
  2. 人材獲得
  3. 技術獲得
  4. 事業規模の拡大

これらの要因で、IT企業・ソフトウェア業界のM&Aが増えていると考えられます。それぞれについて、順番に見ていきましょう。

①SIerの統廃合

IT・ソフトウェア業界は、大手SIer(日立製作所・野村総研・大塚商会など)から二次請負や三次請負の中小企業へ仕事が段階的に発注される仕組みだと説明しました。IT・ソフトウェア業界は「多重請負構造」です。

多重請負構造の場合、商流の最も裾野側・最下層の中小企業は、競争力が軟弱化してしまい、少ない利益しか生み出せない仕事を受注せざるを得ない状態です。

この多重請負構造の問題を解決するために、競争力の低い中小企業による同業との資本提携や、大手SIer傘下になるためのM&Aが進んでいます

②人材獲得

近年、ますますIT・ソフトウェア業界に対する需要が高まっていることから、IT・ソフトウェアに関する知識・ノウハウ・技術を持った人材不足が進んでいます。

今後、日本の人口は減っていくと考えられ、それによって市場規模や人材人数も減っていく見込みです。

また、2021年のGLOBAL HR MAGAZINEの情報によると、2030年にはITの人材が78.9万人不足するとなっています。このように、IT・ソフトウェア業界の人材不足は非常に深刻です。これは、今後も加速するでしょう。

近年ではシステム開発ができる「システムエンジニア」や「プロジェクトマネージャー」など、専門的知識を持つ人材を獲得する目的で、M&Aが行われるケースが増えています。そして、これからもM&Aを活用して優秀な人材を争奪し合うと考えられます。

③技術獲得

IT・ソフトウェア業界では、AI(人工知能)を利用したサービス・製品の開発や、IoT製品の需要拡大、インターネット・Webサービスを取り巻く環境の変化などが要因となって、専門的で最先端な「IT・ソフトウェア技術」が求められます

このような技術を、社内で一から作りだしていくには、多くの時間と資金が必要です。そのため、M&Aを活用して、すでに技術を持った企業・会社を買収することで、自社の成長・発展に必要な技術獲得を目指す企業が増えているのです。

自社でIT・ソフトウェア事業を立ち上げることが必ずしも成功するとはいえないので、M&Aで技術獲得したいと考える経営者が多いのは当然だといえます。

今後もさまざまな技術革新が進む見込みなので、M&Aは増え続けるでしょう。

④事業規模の拡大

IT業界・ソフトウェア業界の需要が高まっている動向から、自社の事業規模拡大が急務な企業が多いです。

自社が現在抱えている「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源だけでは、スピーディーな事業規模拡大は難しいのが現状です。

そのため、同業他社や自社にない技術を持った企業をM&Aによって買収することで、事業規模の拡大を図る企業が増えています。

  • IT会社のM&A・事業承継

4. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡事例10選

IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡事例10選

ここからは、IT・ソフトウェア業界のM&A事例を紹介します。今後のIT・ソフトウェア業界のM&A動向を確認したい方や、IT・ソフトウェア業界の譲渡・売却価格が気になる方は、M&A事例を参考にしてください。

  1. 「デジタルハーツホールディングス」によるM&A
  2. 「TOKAIコミュニケーションズ」によるM&A
  3. 「ヒューマンクリエイションホールディングス」によるM&A
  4. 「エージェント」によるM&A
  5. 「Fujitsu Australia」によるM&A
  6. 「SHIFT」によるM&A
  7. 「サイバーリンクス」によるM&A
  8. 「ジーニー」によるM&A
  9. 「クレスコ」によるM&A
  10. 「メタップス」によるM&A

それぞれの事例を確認して、自社のM&Aを実施する際に役立てましょう。

①「デジタルハーツホールディングス」によるM&A

デジタルハーツホールディングスは、2021年5月にアイデンティティーの全株式を取得することで子会社化することを決めています。

デジタルハーツホールディングスグループは、エンジニアをはじめとする人材・技術力強化、サービスの拡充などに努めており、アイデンティティーは、IT人材を対象に人材サービスを顧客企業に提供するITリソースサポート事業を行っています。

デジタルハーツホールディングスグループは、高成長を継続するためにはさらにエンジニアが必要になると見込み、このM&Aを実施しています。

②「TOKAIコミュニケーションズ」によるM&A

TOKAIホールディングス傘下のTOKAIコミュニケーションズは、2021年5月、クエリを子会社化したことを発表しています。株式取得日は、2021年4月30日です。

クエリはITシステムやソフトウェアなどの受託開発、ウェブ制作・運用などを行っています。

TOKAIコミュニケーションズはこの子会社化により、クラウド・ネットワーク領域におけるインテグレーションの相乗効果を発揮し、体制を強めサービス提供の領域を広げることを図っています。

③「ヒューマンクリエイションホールディングス」によるM&A

ヒューマンクリエイションホールディングスは、2021年5月、ヒューマンクリエイションホールディングス100%出資連結子会社のアセットコンサルティングフォースが、グローステクノロジーズが行う一部の事業と事業に関する資産を譲受する事業譲渡契約の締結について発表しています。

ヒューマンクリエイションホールディングスは、ITエンジニア企業グループで、アセットコンサルティングフォースは、最上流工程のコンサルティング・要件定義に特化した受託専業会社です。

グローステクノロジーズは、DX分野における高度なソリューションを有するので、アセットコンサルティングフォースのコンサルティング機能や受託機能強化に有益と判断し、事業譲渡契約を締結しています。

④「エージェント」によるM&A

エージェントは2021年4月に、三浦宙也氏からオンラインスクールである「本気のパソコン塾」の事業を譲受したことを公表しました。

エージェントは、未経験から最先端のエンジニアを目指せる人材紹介サービスの「Next Career」を展開しています。

この事業譲受で、エージェントでキャリアチェンジを目指す求職者の顧客へ新たにITスキルを学ぶ場所を提供でき、「本気のパソコン塾」の利用者には転職の機会を提供できるので、双方における事業価値向上が見込めます。

⑤「Fujitsu Australia」によるM&A

Fujitsu Australiaは、2021年4月、Versor Proprietary Limitedの買収を発表しています。

Versor社は、AIと機械学習技術によるデータエンジニアリングや高度なデータ分析・データサイエンスサービスを提供するなどしています。

このM&AでFujitsu Australiaは、データ分析の領域において顧客・パートナーへさらなる価値を提供し、経験豊かなデータサイエンティストやデータエンジニアで構成されたVersor社の人員により、専門組織をより強める見込みです。

⑥「SHIFT」によるM&A

SHIFTは、2020年9月に、ITコンサルティングやシステム開発などのサービスを行うホープスを買収するとしています。

2009年にソフトウェアテスト事業を始めて以来SHIFTは、さまざまな業界でソフトウェアの品質保証サービスを行っており、ホープスは、ERPシステムに関する多様な経験やノウハウがあります。

このM&AによりSHIFTは、顧客により高い価値を提供できると見込んでいます。

⑦「サイバーリンクス」によるM&A

サイバーリンクスは2018年8月、関西のシステム開発会社である南大阪電子計算センターの全株式を取得することで子会社化する決議を出しました。株式取得日は2019年8月です。

このM&Aによって、両社の営業基盤やシステム開発ノウハウを生かしたシナジー効果が期待されます。

⑧「ジーニー」によるM&A

2018年4月、ジーニーは、「ちきゅう」からシステム開発・販売事業を承継しました。この事例におけるM&Aスキームは「会社分割」で、会社分割にかかる割当として、ちきゅうに「238百万円」の金銭が交付されています。

このM&Aは、両社のシステムを連携させることで生まれるシナジー効果を期待して実施されました。

⑨「クレスコ」によるM&A

ITサービスを提供するクレスコは2018年1月、システム開発にかかる総合的サービスを提供するネクサスの全株式を買収し、子会社化しました。

このM&A事例は、クレスコがシステム開発の拡大を図り実施しています。

⑩「メタップス」によるM&A

オンライン決済プラットフォームやeコマースにおけるコンテンツ管理などの事業を展開しているメタップスは、2016年6月に、ショッピング検索サイトを運営するビカムを子会社化しました。

このM&A事例の株式取得価格は「3億2千万円」におよびます。

5. IT企業・ソフトウェア業界がM&Aを行うメリット

IT企業・ソフトウェア業界がM&Aを行うメリット

M&A動向に注目が集まる「IT・ソフトウェア業界」ですが、IT企業やソフトウェア業界の企業がM&Aを実施するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、IT・ソフトウェア業界がM&Aを行うメリットについてまとめます。

売り手のメリットと買い手のメリットに分けて、それぞれ見ていきましょう。

譲渡側のメリット

まずは、M&Aにおける売却側のメリットを解説します。M&Aを実施して、自分の企業・会社を売却したり、事業を他社に譲渡したりすることを検討している方は、この売り手のメリットを確認しましょう。

売却側のメリットは、以下です。それぞれ詳細に解説します。

  • 従業員の雇用を守れる
  • 譲渡・売却によって後継者問題を解消できる
  • 大手企業のグループ傘下となり、利益を改善できる

これらのメリットに興味があるなら、IT業界・ソフトウェア業界でM&Aを行うのが良いでしょう。それぞれについて、見ていきます。

従業員の雇用を守れる

まず考えられる売却側のメリットは、「従業員の雇用を守れる」です。

先述したとおり、IT・ソフトウェア業界では、多重請負構造が一般的であるため、請負構造の最下部に位置する中小企業などは獲得できる利益も小さく、会社自体を守っていくことが難しい状況になることも少なくありません。

M&Aによって会社を大手企業に売却することで、「従業員の雇用」を守れます。

大手企業に会社を売ることに抵抗がある経営者は少なくありません。しかし、大手企業に売却すれば、今までの事業が大手企業の資本力を支えにより発展することも多いです。

自社でがんばってきてくれた従業員に、落ち着いて仕事に取り組める環境を与えるためにも、M&Aは非常に有効な手段です。

譲渡・売却によって後継者問題を解消できる

M&Aによって、会社を譲渡・売却することで、「後継者問題」を解決できます。最近では、特に中小企業において、「経営者の高齢化」と「後継者となる人物の不在」によって、事業を承継したくてもできない状況にある会社が多いです。

M&Aを利用して、会社や事業を譲渡・売却できれば、これまで育ててきた会社・事業を継続でき、後継者問題を解消できます。

IT業界・ソフトウェア業界に詳しい会社に売却をすれば、後継者の実力不足で経営難になることもないでしょう。

身近に後継者がいなくてIT・ソフトウェア会社を廃業しなければならないと悩んでいる場合は、まずはM&Aで事業承継ができないかどうか考えてください。

大手企業のグループ傘下となり、利益を改善できる

M&Aによって、株式売却・譲渡をして大手のIT・ソフトウェア系企業に仲間入りをすると、大手企業が持つ営業力・信用力を生かして、自社の利益を拡大することが可能です。

特にIT・ソフトウェア業界においては、大手企業であればあるほど受注できる仕事の量や、その仕事から得られる利益も大きくなる傾向にあります。

「このままの状態では経営を持続させるのが困難」という中小企業は、M&Aで利益を改善できるM&Aは魅力的といえます。

例えば、大塚商会には、大塚商会と「連結子会社」の事業系統があります。大塚商会は、顧客から受けた依頼の種類によって、最適な子会社に仕事を受注する流れです。

このように、大手企業のグループ傘下・子会社になることで、自社の利益を確保できます。

以上が、IT業界・ソフトウェア業界でM&Aをする売り手側のメリットでした。続いて、買い手側のメリットも見ていきます。

譲受側のメリット

次に、M&Aによって会社を買収する側のメリットをまとめます。M&Aによる買収側のメリットは、以下です。

  • 専門的な技術を持った人材を確保できる
  • 自社にない技術やノウハウを獲得できる
  • 売却側の会社が持つ顧客網やネットワークを取り入れられる

これらのメリットに興味があるなら、IT業界・ソフトウェア業界でM&Aを行うのが良いでしょう。それぞれについて、見ていきます。

専門的な技術を持った人材を確保できる

M&Aによる買収側のメリットとして、「専門的技術を持つ人材の確保」が挙げられます。近年のIT・ソフトウェア業界は、目まぐるしく動向が変わっており、求められる技術が日々進化しています。

例えば、AI技術、クラウドサービス技術、IoT技術などがこれに当たります。これらの専門的技術をすでに身に付けている人材を確保できれば、スムーズに新規市場に参入できたり、既存事業で市場規模を拡大したりすることが可能です。

「人材の確保」は、M&Aで会社・事業を買収することで実現できます。今後の市場動向からも、この「人材確保」は非常に重量なポイントと考えられます。

人材をゼロから教育していくのは時間がかかるため、M&Aで効率よく人材を集めるのは経営戦略として非常に有効でしょう。

自社にない技術やノウハウを獲得できる

M&Aで会社・事業を買収する側のメリットには、「自社が持っていない技術・ノウハウを獲得できる」というものがあります。

前述のとおり、近年、IT・ソフトウェア業界の動向は目まぐるしく変化しているため、市場の流れについていくには、最新技術やその技術を使いこなすためのノウハウが必要です。

M&Aによって会社・事業を買収すれば、自社が持たない・開発できない技術やノウハウを獲得でき、既存事業とのシナジー効果(相乗効果)が期待できます。また、自社が苦手な部分をM&Aによって補完できるかもしれません。

例えば、自社のシステム開発部が他社企業よりも劣る場合は、システム開発が得意な会社を買収したり、事業の一部を買収したりすることで、自社にとって弱い部分を補完できます。

売却側の会社が持つ顧客網やネットワークを取り入れられる

M&Aの買収側が得られるメリットの一つに、「売却側が持つ顧客網やネットワークの獲得」があります。売却側の企業・会社がすでに持つ顧客網を取り込むことで、自社の既存事業をスピーディーに展開させたり、拡大させたりできます

既存事業をより強いものにするために、M&Aは有効な手段です。

【関連】IT企業の事業承継はどうやれば良い?方法・メリット・成功のポイントを紹介

6. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡価格の相場

IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡価格の相場

IT業界・ソフトウェア業界のM&Aでよく見られる売買価格は、ほかの業界よりも高額です。

IT・ソフトウェア業界は、動向の目まぐるしい変化と最新技術の発達、技術者不足の解消、需要の増加などから、M&Aが頻繁に行われています。IT・ソフトウェア業界M&Aの「相場価格」は、ほかの業界・業種と比較するとかなり高いです。

もちろん、売却・譲渡会社の規模や、M&Aスキームによって価格に差は出ますが、IT企業やソフトウェア企業のM&A価格は、「億を超える」ケースも多く、IT業界・ソフトウェア業界のM&Aは高額になりやすいです。

事業規模が小さくても買い手にとって魅力的なら、最終的な売買価格は高額になるのです。

これは、「技術者不足」や「AI技術・IoT技術の革新」「ビッグデータ解析の重要度の高まり」などによって、比較的高いお金を使ってでも「技術確保」「人材確保」したいと考える買収企業が多いことが要因と考えられます。

できるだけ安くIT業界・ソフトウェア業界のM&Aで企業を買収したい場合は、小規模な会社ではあるものの自社に大きなメリットをもたらす相手をうまく見つけることが大切です。

例えば、売り手側が、「金額よりも自社を大切にしてくれるところに譲りたい」と考えているなら、最終的な売買価格は相場よりも抑えられるでしょう。

【関連】会社売却、M&Aの相場を解説!企業評価とは?

7. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡価格の計算方法

IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡価格の計算方法

ここでは、IT企業・ソフトウェア業界におけるM&A・譲渡価格の計算方法を紹介します。

計算方法は、以下です。

  • コストアプローチ
  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

コストアプローチは、現在の企業における純資産をベースに企業価値を評価する計算方法です。企業の財務諸表を基に企業価値を計算するため、譲渡価格を客観的に計算できます。

インカムアプローチでは、対象企業の将来期待される収益やキャッシュフローを加味し、譲渡価格を出します。インカムアプローチのDCF法は、M&Aの手続きで使われることの多い譲渡価格の計算方法です。

マーケットアプローチは、市場により決定した価格をベースに企業価値を計算し、譲渡価格を客観的に計算できます。マーケットアプローチは、市場株価法と類似会社比準法に分けられます。

8. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡で高く売るコツ

IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡を行う際に、高値で売るコツがあります。

IT企業・ソフトウェア業界における会社のM&A・譲渡を検討しているときは、以下のコツを押さえましょう。

  • 競合と比べて自社の強みを明確化
  • 事業に必要な資料・データ・会計などをまとめる
  • 収益性と予測値を明確に提示
  • 従業員の離職を防ぐ
  • IT企業・ソフトウェア業界の動向把握

また、M&A・譲渡には専門的な知識などが必要です。そのため、できるだけ高値でM&A・譲渡を実施したい場合は、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。

9. IT企業・ソフトウェア業界のM&A仲介会社3選

IT企業・ソフトウェア業界のM&A仲介会社3選

M&Aの買収側企業は、今後の市場動向を踏まえたうえでも、M&Aを成功させて「技術確保」「人材確保」を実現させたいところです。売却側もM&Aを成功させて、自社をより発展させたいと考えます。

M&Aを成功させるためには、「M&A仲介会社」の利用が必須です。

M&A仲介会社とは、「売買相手のマッチング」から「M&Aの交渉仲介」「必要な契約書の作成」「デューデリジェンス」など、M&Aを成功させるために必要な手続きを仲介するM&A専門会社のことです。

M&A仲介会社を利用すれば、専門的知識が必要なM&A手続きを安心して進められます。ここでは、IT・ソフトウェア業界のM&Aに強い「M&A仲介会社」を紹介します。
 

  1. M&A総合研究所
  2. 事業承継センター
  3. フォーバル

それぞれのM&A仲介会社について、順番に見ていきましょう。

①M&A総合研究所

M&A総合研究所

M&A総合研究所

出典:https://masouken.com/

M&Aを進めるうえでは、「簿外債務が譲渡されてしまった」「会社や事業の買収・売却後、税務上の問題が発生した」などのリスクが伴います。リスクを抑えつつM&Aを進めていくためには、M&A専門家のサポートが必要です。

M&A総合研究所は、M&Aの実績・知識が豊富なM&Aアドバイザーが在籍するM&A仲介会社です。案件ごとにM&Aアドバイザーがつき、M&A成立に向けて親身になって案件をフルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談を行っておりますので、M&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にご連絡ください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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②事業承継センター

事業承継センターは、M&Aはもちろんのこと、ほかにもいろいろな事業承継のコンサルティングを行っています。経営者にとって理想的な承継が実現できるでしょう。

経営革新等支援機関認定のM&A仲介会社なので、社会的な信頼性も高いです。

また、経営に欠かせない相続、マーケティング、ITなどさまざまな要素もサポートしており、多角的な経営支援を行っています。

③フォーバル

「フォーバル」は、中小企業・零細企業の事業承継など、「スモールM&A」を得意とするM&A仲介会社です。

フォーバルは30年以上の運営実績を誇り、多くの事業譲渡・事業承継のM&A実績があるため、特にIT・ソフトウェア業界の事業譲渡・事業承継を検討している方におすすめです。

フォーバルは、M&A仲介サービス以外に、情報通信機器やOA機器の保守メンテナンスサービスも適用しており、これまでの実績をつうじて、多くの相談顧客を有しています。

この相談顧客を利用した独自の経営サービスによって、経営者のニーズに適したM&A売買相手のマッチングが可能です。

10. IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡まとめ

IT企業・ソフトウェア業界のM&A・譲渡まとめ

当記事では、IT・ソフトウェア業界のM&A動向や事例、おすすめ仲介会社などについて解説しました。IT・ソフトウェア業界において、事業譲渡や事業承継、企業買収などを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

IT・ソフトウェア業界は最新の業界動向を知らなければ、M&Aを成功させるのは難しいです。そのため、M&Aをご検討の際は、IT・ソフトウェア業界に強い専門家に相談するのが良いでしょう。

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