2022年08月02日更新
LOI(レターオブインテント)とは?MOUとの違いは?作成方法を解説【契約書サンプル/雛形あり】
M&A契約の過程で用いられるLOI(レターオブインテント)とは意向表明書のことです。LOI(レターオブインテント)の役割とは何なのか、MOU(基本合意書)との違いを対比させながら解説するとともに、サンプル・雛形作成に必須の情報も掲示します。
目次
1. LOI(レターオブインテント)とは?
LOI(レターオブインテント)とは、意向表明書のことです。LOI(レターオブインテント)はM&Aの交渉途中で交わされます。M&Aを実施するのであれば、LOI(レターオブインテント)の位置づけや役割などは、把握しましょう。
レターオブインテント(意向表明書)とは?
LOI(レターオブインテント=意向表明書)とは、買い手が売り手に対し、事業譲受・会社買収などの意思を示す書類です。英語表記では、Letter of Intentとなります。
ただし、LOI(レターオブインテント=意向表明書)は、M&Aのプロセスの中で必須のものではありません。したがって、省略されるケースもあります。買い手は、誠意を見せて早く正式交渉のテーブルにつきたい場合などに用いることが多いでしょう。
レターオブインテント(意向表明書)の形式
LOI(レターオブインテント)とは、どのような形式を持つのでしょうか。LOI(レターオブインテント)は、大きく3つの形式に分けられています。
【LOI(レターオブインテント)の形式】
- 互いに署名を行う
- レター形式で連署を求める
- どちらかが書類を送る
互いに署名を行う
1つ目のLOI(レターオブインテント)の形式は、互いに署名を行う方法です。両者が署名することで、買い手が一方的に意思表示するだけでなく、交渉内容、今後のスケジューリング、契約におけるルールなどを相互に確認できます。
レター形式で連署を求める
2つ目のLOI(レターオブインテント)の形式は、レター形式で連署を求める方法です。レター形式の書面を送るのは買い手であり、手紙のような簡易な書類に署名し、売り手に送付して連署を求めます。
売り手は受け取った書類に連署し、コピーした書類を買い手へ送り返します。これで、売り手と買い手の双方が、これから詰めていく交渉内容の確認書を所持できるでしょう。トラブルが起きた際の覚え書きとして、手元に残しておくのが大切です。
どちらかが書類を送る
3つ目に挙げるLOI(レターオブインテント)の形式は、一方による書類の送付です。取引を望む相手にLOI(レターオブインテント)を送ることで、こちらの意向を伝えられるので、基本的に送り主は買い手に多く見られるでしょう。
譲渡や売却を考えている売り手に、M&Aのオファーが殺到している場合、売り手がこちらを交渉相手に選んでくれるように促すため、LOI(レターオブインテント)を送り、買収の意思を示します。
LOIのポイント
意向表明書の言葉が示すとおり、基本的にLOI(レターオブインテント)には法的拘束力はありません。しかし、書面の書き方によっては、記載している一部に法的拘束力を持たせることも可能です。
すでに条件交渉がまとまっているのであれば大きな支障はないでしょうが、これから本格的な交渉を進めるようなフェイズの場合、署名する前に法的拘束力の有無に関する精査が必要になります。
「LOI=基本合意書」と略されるのはなぜ?
M&Aで必須となる契約書は、初期に結ぶ秘密保持契約書(CAまたはNDAともいう)と、成約時に締結する最終契約書(DAともいう)です。
途中段階で提示や締結するものとしてLOI(レターオブインテント)、MOU(基本合意書)、覚書などがありますが、いずれも必須ではありません。
したがって、それらM&Aの途中段階で提示・締結される契約書類は、覚書がLOIの内容を兼ねていたり、LOIが基本合意書の意味を持っていたりなど、フレキシブルなものとなっています。
そのような実態を鑑み、LOI(レターオブインテント)について、単に意向表明書とせず覚書、基本合意書の説明が併記されている記述も少なくありません。
しかしながら、本記事では、意向表明書と基本合意書では、明らかに内容も役割も違うものである現実を重視し、LOI=意向表明書、MOU=基本合意書の線引きを明確にして記述を進めます。
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2. MOU(メモランダムオブアンダースタンディング)とは?
MOU(基本合意書)とは、Memorandum of Understandingの略です。了解覚書ともいわれます。一般的にMOU(基本合意書)は、最終契約の前に結ばれるでしょう。MOU(基本合意書)には、最終契約に関わる内容が盛り込まれます。
MOU(基本合意書)を取り交わすことは、契約の内容は大筋、合意できたことを意味するものでしょう。
内容によっては意思表示に留まる
前述したとおり、MOU(基本合意書)とはM&A成約に必須の契約書ではありません。取引によっては、省略されることもあるほどです。
したがって、それぞれのケースによって、MOU(基本合意書)の内容もまちまちとなり、LOI(レターオブインテント)のような意思表示の書類の場合もあります。
適時開示義務の対象となるケース
上場企業は、金融商品取引所の定めにより、交渉相手とMOU(基本合意書)を取り交わしたときには、情報を開示しなければなりません。M&Aで情報公開が求められるのは、発行している株式数のほか、事業譲渡、会社売却、合併・会社分割の事実などです。
上場企業のM&Aは、株主と投資家の利益に影響を及ぼします。MOU(基本合意書)を締結したときに、企業の意向が固まっていれば、取引に関わる情報(取引価額・取引する株式数など)は公開義務の対象となります。
3. LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)の違い
LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)の違いとは、どのような点でしょうか。両者の違いには、次の3つが挙げられます。
【LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)の違い】
- 取り交わす順番
- 内容
- 合意の有無
①取り交わす順番
1つ目の違いとは、取り交わす順番です。M&Aでは最初にCA(またはNDA、秘密保持契約書)が交わされ、次にLOI(意向表明書)、そのあとにMOU(基本合意書)が結ばれ、最後にDA(最終契約書)が締結されます。
もう少し具体的にいうと、CA(秘密保持契約書)締結後、トップ会談が行われ、買い手候補が買収意思を示す場合に提示されるのがLOI(意向表明書)です。それを受け本格的な交渉が行われ、大筋で条件に合意できたときにMOU(基本合意書)を結びます。
その後、買い手からデューデリジェンス(売却企業の精密監査)が行われ、大きな問題が出なければMOU(基本合意書)の内容に基づいてDA(最終契約書)が締結される運びです。
②内容
2つ目の違いとは、取り交わす内容です。LOI(意向表明書)は一般的に、M&Aの取引を行う意思のほか、大まかな条件(取引額・譲受資産・M&Aスキーム(手法)など)が盛り込まれます。
一方、MOU(基本合意書)で結ばれる内容は、最終契約に順じた取引条件や、独占交渉権・秘密保持義務・デューデリジェンスの実施などです。
もちろん、取引によってはLOI(意向表明書)で、独占交渉権や秘密保持義務が結ばれるケースもありますが、LOI(意向表明書)からMOU(基本合意書)へと段階を踏むなら、上記のような違いが一般的といえます。
③合意の有無
違いの3つ目とは、合意です。LOI(意向表明書)は、買い手が売り手に意思表示のため提出する書類です。売り手は、交渉先の絞り込みを行うために、LOI(意向表明書)の提出を求めるだけに留まります。
一方、MOU(基本合意書)は、売り手と買い手の両者が合意したことを証する書類です。DA(最終契約書)に近い内容に両者が合意したことを確かめるために、取り交わされます。
このように、LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)とは、合意の有無に違いがあるでしょう。なお、最終契約書とは便宜上の呼称であり、実際には株式譲渡なら株式譲渡契約書、事業譲渡なら事業譲渡契約書の契約書名になります。
4. LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)の重要性
LOI(意向表明書)の重要性は高いといえます。買い手は、M&Aを成立させるための第一歩として、売り手に買収の意思を伝えなくてはいけません。買収を希望する相手が多ければ、交渉先として選ばれない事態が想定されるからです。
そこで、LOI(意向表明書)を売り手に提出します。おおよその買収額や譲受・買収の流れ、M&Aのスキームなどの考えを伝えるためです。M&Aでは、互いの認識を合わせる必要があります。
売り手がLOI(意向表明書)を求めずに、交渉を進めてしまうと、取引価額や譲渡資産・権利義務などの内容にずれが生じかねません。無駄な交渉を避ける意味でも、LOI(意向表明書)で買い手の意思を確認するのは重要なプロセスです。
MOU(基本合意書)は、買い手と売り手がある程度交渉を進めていく中で、双方が合意に達した段階で書面化したものです。MOU(基本合意書)には、LOI(意向表明書)よりも確定的な情報が記載されるでしょう。
MOU(基本合意書)は基本的な事項に関する確認書であり、記載されている買収価格や条件に関して、法的拘束力はありません。したがって、デューデリジェンスの結果や交渉を進める段階によって、MOU(基本合意書)の内容が変更された場合や、M&Aが破談した場合でも、損害賠償の請求はできないでしょう。
しかしながら、法的拘束力を付与すべき条項では、MOU(基本合意書)に独占交渉権や秘密保持義務を設定するのが重要です。
LOI(意向表明書)を省略するケースとは?
LOI(意向表明書)は、状況に応じて省略されることがあります。LOI(意向表明書)の提示を受けずに交渉を行い、MOU(基本合意書)締結まで進める流れです。
CA(秘密保持契約書)締結後のトップ会談で基本事項の合意に至っているなら、LOI(意向表明書)を省いて次の段階に進み、MOU(基本合意書)を結びます。一例としては、買い手を以前から知っている場合や小規模企業同士のM&Aの場合などです。
MOU(基本合意書)の重要性
MOU(基本合意書)は、締結を通じ、買い手と売り手ともに基本合意のうえで見える化できる点でしょう。MOU(基本合意書)に記載されている内容は、基本合意後に買い手と売り手の交渉のよりどころとなるのが最大のメリットです。
最終契約日のめどや基本合意の有効期間などのスケジュールを記載されるケースが多くあります。基本合意書の重要性として、主に以下が挙げられるでしょう。
- 重要論点の合意を形成できる
- M&Aの成立を目指した心理的拘束力の確立
- クロージングまでのスケジュールの明確化
- 買収価格の上限の設定
- 独占交渉権の設定や公表によって買い手の交渉力を強化する
MOU(基本合意書)は最終的な合意に近いケースや、大きく変更されることを想定したうえで当事者間の確認に過ぎないケースもあります。
5. LOI(意向表明書)が提示されるタイミング
LOI(意向表明書)が提示されるタイミングは、トップ同士の会談を終えたあとです。買い手と直接話し企業の方針に賛同すると、取引価額などの交渉に移ります。その後、買い手にLOI(意向表明書)の提出を要求し、契約相手としての見極めを行います。
一般的に、取引価額などの条件交渉と、LOI(意向表明書)の提出は同時進行で行われるでしょう。仲介に入るM&Aアドバイザーがいれば、いいにくいことも代弁を頼めるので、こちらの希望をはっきりと伝えられるので、うまく活用しましょう。
M&A仲介会社に心当たりがない場合には、全国の中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所にご相談ください。実績豊富なM&Aアドバイザーがいつでも無料相談に対応しています。
6. LOI(意向表明書)に記載される内容
買い手が提出するLOI(意向表明書)とは、どのような内容が書かれているのでしょうか。売り手と買い手は、それぞれの立場から、LOI(意向表明書)に記載される項目・内容を理解しておく必要があります。よく見られる記載内容は、次のとおりです。
- 買い手の概要
- 提携形態(M&Aのスキーム)
- 買収金額
- クロージングまでのスケジュール
- デューデリジェンスの実施
- 各種費用負担
- クロージングまでの秘密保持
- 法的拘束力
①買い手の概要
買い手の概要とは、買い手の紹介のことです。買い手が企業であれば、商号や代表者名、展開する事業の種類・内容、これまでの経緯、グループ企業、資本金などの財務もLOI(意向証明書)に記載します。
②提携形態(M&Aのスキーム)
希望する提携形態とは、事業譲渡や株式譲渡などのどのM&Aスキームによる取引を考えているかです。買収を希望する事業、譲受する株式数などをLOI(意向表明書)に記載します。
③買収金額
希望する買収金額とは、最終契約を見すえた現段階の想定金額のことです。買取額を記載する場合は、「○○円~○○円」の書き方が一般的とされています。下限額を希望価額にすえ、場合によっては、それ以上の金額でも交渉に応じる提示の仕方です。
これなら、ライバル企業がいても交渉を優位に進められます。なぜなら、売り手は、より高い値段で事業や会社を売却しようとするからです。
複数の買い手候補がほぼ同じ条件と取引価額を提示していたら、交渉次第で取引額を上げてくれる企業を選ぶため、買取価額に上限を設けた方が選ばれやすいといえます。
④クロージングまでのスケジュール
クロージングとは、主としてDA(最終契約書)締結後の譲渡対象の引き渡しとそれに対応する対価の支払いのことです。クロージングまで具体的にどのような流れでM&Aを進めるのかを記載します。よく見られるスケジュールは、以下のとおりです。
【クロージングまでのスケジュール例】
- LOI(意向表明書)の提出・条件のすり合わせ
- MOU(基本合意書)の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング
そのほかにも、買い手が企業の場合、意思決定を行う会議(取締役会・株主総会)や、独占交渉の期限などを明記しておくと、スケジュールに対する共通の認識が持てます。
⑤デューデリジェンスの実施
本来、デューデリジェンスとは、MOU(基本合意書)締結後になされます。しかし、LOI(意向表明書)の段階でも、デューデリジェンスの概要を記しておけば、その後の交渉で共通認識を形成するのに役立つでしょう。
⑥各種費用負担
実施するデューデリジェンスについて、買い手が負担する旨を記載します。デューデリジェンスの実施期間も明記しておくと、売り手も応対する計画を立てやすくなるからです。
そのほかに、最終契約にかかる費用も記載します。両者の拠点が離れた場所にある場合には、契約を結ぶための移動費などを明記します。そして一方の会社だけで負担をするのか、折半をするのかを記載するのが重要です。
⑦クロージングまでの秘密保持
LOI(意向表明書)には、クロージングまでの秘密保持の項目も盛り込みます。売り手は、会社の情報が外にもれることがないように注意が必要です。デューデリジェンスで企業の内部情報が外へもれてしまうと、事業の存続さえ危ぶまれるでしょう。
買い手は買収の意思があることを示すために、LOI(意向表明書)にも秘密保持義務を含めるようにしましょう。M&Aでは、交渉開始時にCA(秘密保持契約書)を結ぶのが常ですが、交渉が進むとカバーしきれない情報が出る可能性もあります。
したがって、LOI(意向表明書)やMOU(基本合意書)も、念のためにあらためて秘密保持を言及するのが望ましいでしょう。
⑧法的拘束力
LOI(意向表明書)は、買い手が売り手に対して、想定している条件などを含めて買収意思を示す表明書です。したがって、そこに法的拘束力を記載することは基本的にありません。ただし、LOI(意向表明書)がMOU(基本合意書)の役割を兼ねる場合は違います。
MOU(基本合意書)を締結することは、交渉が最終段階に近い状態であり、条件内容その他の法的拘束力を持たせることは欠かせません。
7. LOI(意向表明書)の確認
売り手は、LOI(意向表明書)を受け取ったときに、次のような点に気をつけましょう。1つは、買取金額の妥当性です。買い手は、売り手との交渉を優位に進めるために、あえて高い買取金額を提示することがあります。
買い手は、交渉を進めてデューデリジェンスの企業価値評価を理由に、妥当な金額まで下げることを狙いとしているでしょう。LOI(意向表明書)を受け取ったときは、買い手の思惑に踊らされないように、M&A仲介会社による金額の評価を受けましょう。
もう1つの確認事項は、独占交渉権の記載です。独占交渉権が明記されていれば、一定期間はほかの買い手候補との交渉を禁じられます。買い手は、高い買取金額と合わせて、売り手の興味が外へ向かないように独占交渉権を含めることがあります。
このようなケースでは、独占交渉権に例外事項を盛り込んでもらいましょう。交渉期間を定めると、ほかの買い手と交渉する余地を残しておけます。
8. LOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)に盛り込む事項
LOI(意向表明書)やMOU(基本合意書)を作成する場合、盛り込むべき事項があります。LOI(意向表明書)やMOU(基本合意書)を受け取ったときに着目すべきポイントを知っておきましょう。
この章では、中小企業のM&Aで多く用いられるスキームである事業譲渡と株式譲渡の場合、LOI(意向表明書)に盛り込むべき事項を掲示します。そして、MOU(基本合意書)に盛り込むべき一般的な内容を紹介しましょう。
各事項におけるLOI(意向表明書)、MOU(基本合意書)の具体的な文面は、インターネット上の各種サイトでサンプル・雛形が閲覧またはダウンロードできますので、それを参考にするのもよいでしょう。
事業譲渡時のLOI(意向表明書)に盛り込むべき事項
事業譲渡を実施しようとする際のLOI(意向表明書)には、次のような事項を盛り込むとよいでしょう。
- 買い手の概要
- 事業譲渡の譲受価額
- その他の条件・提案
- 対価の支払い方法・譲渡の方法
- 従業員の承継や処遇
- 契約完了後の事業計画
- 独占交渉権
- デューデリジェンス
- クロージングまでのスケジュール
- LOI(意向表明書)の法的拘束力・有効期間
個々のケースにより、盛り込むべき事項は変える必要があります。M&A仲介会社に相談し、そのアドバイスに沿って内容を定めましょう。M&A仲介会社であれば、LOI(意向表明書)のサンプル・雛形も用意されているはずです。
株式譲渡時のLOI(意向表明書)に盛り込むべき事項
株式譲渡の場合のLOI(意向表明書)も、事業譲渡時と比べ大きな違いはありません。一般的に以下のような内容が盛り込まれます。
- 買い手の概要
- 株式譲渡の譲受価額
- その他の条件・提案
- 対価の支払い方法・譲渡の方法
- 従業員の承継や処遇
- 契約完了後の事業計画
- 独占交渉権
- デューデリジェンス
- クロージングまでのスケジュール
- LOI(意向表明書)の法的拘束力・有効期間
繰り返しますが、買い手におけるLOI(意向表明書)の作成では、M&A仲介会社のアドバイスは必須です。場合によっては、LOI(意向表明書)の作成そのものをM&A仲介会社に依頼してもいいでしょう。
売り手の場合、LOI(意向表明書)を受け取った際に内容を見誤ることのないよう、やはりM&A仲介会社に各事項をチェックさせ、説明を受けることがおすすめの方法です。
MOU(基本合意書)に盛り込むべき事項
MOU(基本合意書)は、LOI(意向表明書)の記載内容をより具体的に記載されます。例えば、買収価格は、双方の最低限の合意がある金額が記載されるでしょう。M&Aスケジュールは、売り手と買い手の同意がある予定日を記載します。
一般的に、MOU(基本合意書)は、一般的に買い手が作成します。MOU(基本合意書)の締結する際は、法的拘束力を持つ項目とそうでない項目を確認することが大切です。MOU(基本合意書)に記載される内容は主に以下です。
- 取引価格と対象
- M&A手法
- スケジュール
- 表明および保証の内容
- 独占交渉権の付与
- デューデリジェンスを行う範囲
- 公表
- 法的拘束力の適用範囲
9. LOI(意向表明書)提示の際の注意点
LOI(意向表明書)を提示するときは、以下のような注意点を押さえておきましょう。
- 提出期限を守る
- LOI(意向表明書)提示前の交渉
- PRはLOI(意向表明書)に盛り込む
- 記載する価額を慎重に決める
- 価額判断に迷ったらアドバイザーに意見を求める
①提出期限を守る
LOI(意向表明書)の提出に期限が設けられている場合は、決められた期日を守りましょう。期日を過ぎた提出では、売り手の心証を損ないます。ただし、自社を含めて複数の買い手が買収に名乗りを上げている場合には、注意が必要です。
あまり早い時期に提出をしてしまうと、買取価額などの情報が外にもれてしまう恐れがあります。高い買取価額や好条件の提示など、他社が優位に立ってしまいかねません。
ライバルの存在を認識している場合には、定められた提出日当日にLOI(意向表明書)を提出するように調整しましょう。
②LOI(意向表明書)提示前の交渉
LOI(意向表明書)を提出する前には、トップ同士の面談に力を入れましょう。いくら取引価額や条件が合致していても、次のステップに進まないことがあります。
売り手は交渉相手を選ぶ場合に、買い手候補の企業理念や事業に対する考え、自社との相性、経営者の人柄なども参考にしています。
したがって、トップ同士の面談では包み隠さずに、会社のことや経営者自身の胸の内を明かしましょう。真摯な態度が、最終契約にこぎつけるポイントといえます。
③PRはLOI(意向表明書)に盛り込む
指定された事項だけでは、自社のPRが不足していると感じることがあるかもしれません。その場合は、交渉にかける思いを伝えるために、LOI(意向表明書)に自社のPRを盛り込みましょう。
トップ会談で伝えもらしたと感じた点を中心に、自社のPRを伝えます。それにより、その後のMOU(基本合意書)から最終契約への締結にもつながりやすくなるでしょう。
④記載する価額を慎重に決める
LOI(意向表明書)に記載する取引額は、買収を実施できる価額でなければいけません。売り手と交渉したいがために支払えない価額を提示し、デューデリジェンスのあとに価額を下げることは相手の信用を失います。
独占交渉を飲んでもらうために、不当な価額を提示することは控えてください。取引価額に幅を設ける場合には、価額の上限を高くしないようにしましょう。売り手と買い手の間で、取引価額の認識に差が生じてしまうかもしれません。
LOI(意向表明書)に、「通常は下限の価額を取引額とする」などと、認識がずれないように説明を加えると、契約前に破談となる事態を避けられます。
⑤価額判断に迷ったらアドバイザーに意見を求める
設定する価額が決められなければ、M&A仲介会社などのアドバイザーに意見を求めましょう。妥当な提示価額のほかにも、記載事項のもれなどを調べてくれます。
M&Aの契約は、相性が重要視されるといっても良いでしょう。売り手の好みを理解して、どのような条件を求めているかを知っておくのが大切です。
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10. LOIのまとめ
LOI(意向表明書)は、文字どおり買い手の意思を表す表明書です。真摯な態度が最終契約への近道であり、売り手との成約を望むなら、買い手のありのままをLOI(意向表明書)に記しましょう。
LOI(意向表明書)のサンプル・雛形は、M&A仲介会社が保有しているはずです。それを活用して、売り手に選ばれるLOI(意向表明書)を作成しましょう。
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