2023年07月25日更新
事業承継の選択肢5つを徹底解説!後継者がいない社長は事業承継で会社を引継ぎする必要がある?
後継者がいないと悩む中小企業・有限会社の経営者は少なくありません。本記事では、後継者問題解消の方法・事業承継方法などを解説します。後継者募集中の会社経営者・後継者がいない状況を解消したい社長の方への、選択肢5つも紹介しましょう。
目次
1. 後継者がいない社長がとる事業承継の選択肢5選
ここからは、後継ぎ不在で悩んでいる・後継者問題に直面している・後継者募集中の社長がとる必要がある「事業承継の選択肢5選」を順に解説します。
それぞれの選択肢をとった際の、メリット・デメリットも解説します。
【後継者不在の社長がとる必要がある事業承継の選択肢】
- 親族・従業員への承継
- M&Aにて承継
- 上場することで承継
- マッチングサイトで後継者募集
- 廃業を選ぶ
①親族・従業員への承継
後継者問題に直面している会社経営者・社長がとる必要がある選択肢の一つが「親族・従業員への承継」です。
「後継ぎにしたかった子供に資質がないと判断した」「後継ぎになることを断られた」場合でも、配偶者や親戚といった他の親族や、一緒に働いている従業員を後継ぎにする選択肢があります。
親族・従業員を後継者にするメリット
親族・従業員を後継者にするメリットとしては、会社の事業内容・普段の業務内容を理解しているため、引き継ぎにかかる時間が少なくすむ点が挙げられます。事業承継後の会社経営に支障をきたすことがないでしょう。
後継ぎとして教育する期間を短縮できるため、その分のコストも削減できます。親族を後継ぎとする事業承継を行う際には、手続きを簡略化でき、事業承継手続きにかかる時間も短縮できます。
親族・従業員を後継者にするデメリット
親族や従業員を後継ぎ候補とするデメリットには、会社の経営権を引き継ぐだけの資金が必要になる点が挙げられます。経営権を保持するために、会社が発行する株式の多くを買い取る必要があり、後継ぎとなる親族・従業員はまとまった資金を用意しなければいけません。
親族間での事業承継では、「相続税」や「贈与税」などの税金の負担が大きくなってしまうデメリットもあります。専門家の協力を得ながら、税務上の特例を活用するなどの対策が必要となるでしょう。
中小企業が後継ぎ不在による後継者問題に直面した場合、まず「親族内承継」を検討することが一般的でした。しかし、最近ではこの親族内承継の割合が減少してきています。
②M&Aにて承継
後継ぎ不在の結果、後継者問題に直面している社長がとる必要がある選択肢として、「M&Aにて事業承継を行う」があります。親族や従業員の中から後継ぎを決める方法とは異なり、会社外部から後継ぎを探し出すことで、後継者問題の解消を図ります。
M&Aにて承継するメリット
M&Aを実施して事業承継を行うことで、後継ぎ不在による「後継者問題を解消できる可能性」が大いに高まります。このM&Aによる事業承継では、主に「事業譲渡」や「株式譲渡」といったM&A手法が多く選択されます。
事業譲渡や株式譲渡などの手法を利用してM&Aを実施することで、M&Aの買収側の経営陣による事業の引き継ぎが可能です。これにより、従業員の安定した雇用も確保できます。
事業譲渡や株式譲渡によるM&Aを実施すると、会社売却の対価として現金を受け取れる点もメリットです。特に、中小企業の会社経営者は、まとまった資金を手に入れられます。これは「創業者利益」とも表現されます。
M&Aにて承継するデメリット
M&Aによる事業承継を実施する場合には、専門知識が必要なため、基本的に「M&A専門家」に仲介を依頼する必要があります。「M&A専門家」とは、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーのことです。
このM&A仲介業務を依頼する際に、業者によっては高い「仲介手数料」が必要になるケースがあります。M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーによって、報酬体系に違いがあります。
仲介業務を依頼する際には、「着手金や中間手数料が必要か」「料金体系はどのようになっているか」「最低報酬額は設定されているか」などを細かくチェックすることが重要です。
③上場することで承継
後継者問題に直面している社長がとる必要がある選択肢として、「上場する」方法があります。「上場する」とはすなわち「株式公開をする」ことを意味します。
「株式公開」は、公開取引市場に株式を公開し、誰でも自由に株式を売買できるようにすることです。株式公開を行うことで、中小企業が直面している後継者問題を解決できる可能性があります。「有限会社(特例有限会社)」は、そもそも上場できないので注意が必要です。
上場することのメリット
株式公開を行って上場をすることで、会社の透明性と信頼性が高くなります。M&Aを実施したときに買い手が付きやすくなるメリットがあります。
非上場の中小企業の場合、その多くが「株式譲渡制限」を定款で定めているため、株式を自由に売買できません。株式公開をすることによって株式の流動性が高くなると、後継ぎに事業承継する際の手続きなども容易になります。
上場することのデメリット
上場することは、上記のようなメリットがありますが、多くの中小企業にとってこの方法は現実的ではありません。その理由は、上場を達成するためには「厳しい条件」を満たす必要があるからです。
株式公開することを決めたとしても、実際に公開するまでには多くの手続きが必要となります。株式公開までにたくさんの時間とコストがかかってしまいます。
④マッチングサイトで後継者募集
後継者募集中の中小企業経営者がとる必要がある選択肢として、「マッチングサイトで後継者募集を行う」方法をご紹介します。「マッチングサイト」とは、会社や事業を「買いたい人・会社」と「売りたい人・会社」をつなぐためのプラットフォームのことです。
最近では、「M&Aに特化したマッチングサイト」が数多く誕生しています。このマッチングサイトをうまく活用して後継者募集を行うことで、会社に適した後継者を見つけられたり、事業譲渡先を見つけられたりします。
マッチングサイトで後継者募集するメリット
社外から適した後継者を見つけるには、多くの時間や労力が必要です。M&Aマッチングサイトでは、自分の会社情報を登録することで、自社を買いたいと思ってくれる人をネット上で見つけられます。
そのままマッチングサイト上で売買交渉なども進められます。後継者探し・交渉・M&A手続きなどのすべてがマッチングサイト上で完結するので、あまり労力をかけずに簡単に後継者問題を解決できる点がメリットです。
マッチングサイトに登録さえすれば、各地で会社の買収を検討している人や企業の目に留まるチャンスが増えるでしょう。後継ぎ不在による後継者問題に直面している会社経営者の方は、マッチングサイトで後継者募集してみることをおすすめします。
事業承継を検討されている方はぜひ、M&A総合研究所の無料相談をご利用ください。
マッチングサイトで後継者募集するデメリット
マッチングサイトで後継者募集をしたからといって、必ず後継者が見つかるわけではありません。事業内容や、会社の規模、希望売買価格、従業員のスキルなどの条件によって、スムーズに後継者が見つからないケースも考えられます。
M&Aマッチングサイト自体は、特別な資格を持っていない人でも作成・運営できます。運営者情報がしっかりと掲載されていないマッチングサイトや、登録者数が少ないマッチングサイトの利用は避けるようにしましょう。
各マッチングサイトによって「会員登録時に料金が発生」したり、「仲介業務を依頼する場合には料金が発生」したり、「そもそも仲介業務を提供していない(マッチング機能しかない)」など、提供するサービスに違いがあります。
後継ぎ不在のために、マッチングサイトで後継者募集を試みる場合には、そのマッチングサイトが「どのようなサービスを提供しているのか・料金体系はどうなっているのか」を事前に確認しておく必要があります。
⑤廃業を選ぶ
後継者不在に悩まされている中小企業の経営者がとる必要がある選択肢には、「廃業する」もあります。「廃業」とは、会社経営を経営者の判断で清算することです。
借入金などを法的に清算する「倒産」と異なり、掛け金や借入金といった「会社が抱えている負債を完済」することが廃業するための条件です。廃業を決めた際には、計画を立てて廃業手続きを進めていく必要があるでしょう。
廃業することのメリット
廃業することの最大のメリットは、「後継者不在に悩まされることがなくなる」点です。後継者問題を解消するために、親族や従業員を説得する必要はありません。マッチングサイトなどを利用して、後継者募集しなくてもいいでしょう。
後継者に事業承継した後に、会社・事業が問題なく経営されているか心配する必要もなくなります。後継ぎが不在だからといって、子どもや親戚を無理やり後継ぎに指名して、リスクを負わせる必要もありません。
会社経営者自身の心配事はなくなり、精神的に安心できるでしょう。
廃業することのデメリット
廃業する際には、「従業員を解雇しなければいけない」点が最も大きなデメリットとして挙げられます。これまで一緒に働いてきた従業員の職を奪う、大きな決断が伴います。
後継者不在を解決するための対策を十分に講じないまま廃業している中小企業が多いのが現状です。中小企業庁の調査では、廃業を予定している企業の約4割が、事業の継続性・成長性が見込めるにもかかわらず、廃業を選択していることがわかっています。
継続可能な事業を持つ会社が廃業することで、従業員や取引先、顧客、会社がある地域に不利益が及んでしまいます。後継者不在に直面した経営者は、すぐに廃業を選択するのではなく、他の対策を試みて慎重に判断するとよいでしょう。
2. 事業承継の選択肢と後継者不在の動向
現在、後継ぎがいないことで生じる「後継者問題」に直面している会社がたくさんあります。特に、地方を拠点に活動する中小企業では、この後継者問題が深刻化しており、対策が必要です。
後継者問題は、「人材不足」と「社長の高年齢化」が原因です。近年は、少子化の影響もあって、多くの会社で「若い人材不足」が顕著化しています。優秀で若い人材を確保することが非常に困難な状況です。
加えて、中小企業の社長の多くが「高年齢化」しており、後継ぎとなる人材を求める会社が多くあります。しかし、後継ぎとなる人材の獲得が難しいことから、納得のいく事業承継ができず、結果として「会社の廃業」を余儀なくされるケースも増えてきています。
後継者がいない会社でも事業承継は可能?
後継者問題に直面した結果、会社が廃業に追い込まれてしまうと、その会社で働く従業員は職を失ってしまうことになります。これまで一生懸命成長させてきた会社を廃業することは、社長にとっても心苦しいことです。
このような状況を打破するためには、後継者を見つけ出し、事業承継を成功させる必要があります。「後継者候補がいない会社でも事業承継は可能なのか?」と疑問に思う経営者・社長の方もいるのではないでしょうか。
もちろん、会社に後継者候補がいない場合でも、事業承継を行うことは可能です。具体的には、「M&Aによる事業承継」を実施することで、後継者募集中の会社でも事業承継を実現し、会社の存続・従業員の雇用確保が可能となります。
事業承継とは
そもそも「事業承継」とは、会社が保有する「事業」やその「経営権」を後継者に引き継がせることです。「事業」には、会社が保有している個別資産の他にも、会社の経営権やブランド、取引先、負債などが含まれます。
基本的に、事業承継を実施する相手は、大きく3つに分類できます。以下の3つにつき解説しましょう。
- 親族内承継
- 従業員への承継
- 親族外承継(M&A)
親族内承継
事業承継を実施する方法として、親族に対して事業を承継する「親族内承継」があります。特に、家族や親戚などの親族間で経営が行われている小さな会社などでは、この親族内承継が行われるケースが多いでしょう。
社長との関係性も深く、普段から一緒に会社経営を行っているため、事業承継後もスムーズに事業運営・会社経営を進められます。しかし、親族内に後継者に必要な資質が備わった人材がいない場合、うまく事業承継ができないケースがあります。
従業員への承継
親族内承継が難しい場合、親族ではなく、同じ会社で働いている「従業員」に対して事業承継を実施できます。親族内承継と同様、事業承継が完了した後も、複雑な業務引き継ぎをすることなく、スムーズに普段通りの事業運営が行えるでしょう。
「従業員への事業承継」を事前に計画しておくことで、会社の社長は、普段の仕事ぶりを見ながら、後継者の資質があるかを判断できます。あらかじめ、後継者となり得る人物を決めておき、事業承継前から後継者になるための教育ができます。
このように事前に計画しておくと、事業承継後も安定した会社経営が期待できるでしょう。ただし、「従業員への事業承継」にもいくつか問題点があります。
一つ目は、従業員の中に「後継者になるための資質」を持っている人材がいない場合、後継者問題に直面してしまう点です。二つ目の問題は、資金面です。
中小企業の場合、会社の所有者が「経営者・社長」自身である場合が多いでしょう。後継者となる人物は、会社の経営権を獲得できるだけの対価を社長に支払う必要があります。
会社の従業員に、事業の経営権を獲得できるだけの資金を持っている人はなかなかいません。たとえ事業を引き継ぐ意思があったとしても、資金面の問題から事業承継を断念せざるを得なくなるケースがあります。
親族外承継(M&A)
親族内承継・従業員への承継ができなかった場合でも、「親族外承継」という選択肢が残されています。親族外承継とは、文字通り、親族以外の人物に会社の事業を引き継がせることです。
従業員への承継も、この「親族外承継」の一種といえます。親族外承継を実施するうえで主流の方法は、「M&A」を実施して、会社の外部から後継者を見つけ出し、事業承継を行う方法です。
つまり、親族内や会社内に後継者としての資質を持った人材がいなくても、M&Aを実施して外部から適任の後継者を見つけることで、事業承継を実施できるでしょう。
事業承継を行う要素
事業承継は、会社が保有する「事業」を後継者に引き継ぐことです。後継者に引き継がれるものは多岐にわたり、大きく分けて次の3つの要素に分類できます。以下、3つの要素につき順に解説します。
【事業承継を行う要素】
- 経営権の承継
- 株式や不動産の承継
- 従業員やノウハウの承継
経営権の承継
事業承継が実施されると、「経営権」が後継者に引き継がれます。これまでの会社経営者・社長が保有していた経営権は後継者に移行され、事業承継後、後継者が会社経営や事業運営を行っていくことになります。
事業承継時には経営権を引き継ぐ必要があるため、会社や退任を考えている社長は、事業承継後もきちんと事業運営を行っていけるような人材・後継者を探し出さなければいけません。親族内承継や従業員への承継を検討している場合は、十分な時間をかけて「後継者の育成・教育」を行う必要があります。
株式や不動産の承継
事業承継を実施した際には、株式や不動産といった「資産の承継」が行われます。経営権の承継を行うためには、経営権を握るために必要な数の株式を後継者に引き継ぐことが必要です。
株式の承継を行う方法には、譲渡・売買・相続といったものがあります。株式を承継する場合には、「株式の取得資金の用意」や「税金発生などの問題」が絡んでくるので注意しましょう。
従業員やノウハウの承継
事業承継を実施すると、「従業員」や「ノウハウ」といった、決算書・貸借対照表などの書類上には表れない「知的財産・無形の資産」も引き継ぐことになります。その他、「技術」「ブランド」「経営理念」「取引先」「顧客」「ネットワーク」などもこれに当たります。
中小企業の場合、このような知的財産は経営者・社長個人に帰属していることが多いでしょう。知的財産を後継者へ引き継ぐ際には、じっくり時間をかける必要があります。
「経営権」や「株式」の引き継ぎだけでは、承継されないので注意が必要です。
中小企業は後継者不足
先述している通り、中小企業は近年「後継者不足」に直面しています。後継者不足にもかかわらず、親族内・社内から後継者を見つけ出そうとすることは非常に困難です。
結果的にうまく事業承継が進められず、廃業となってしまう可能性も考えられます。
後継者を確保することが難しい
業界・業種に限らず、ほとんどの中小企業では「後継者問題」に直面しています。当記事をご覧の方の中にも、現在、後継者募集中の方がいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、若い人材の確保がますます難しくなっています。建設業界・土木業界・電気工事業界といった業界では、業界・業種全体の負のイメージが影響して、若い人材を獲得することが困難な状況です。
このような理由からも、無理に親族内・社内から後継者を選ぼうとするのではなく、M&Aによる事業承継を行うことをおすすめします。
経営者の高齢化が進んでいる
人材確保が困難になってきているのと同時に、中小企業の経営者・社長の「高年齢化」が進んでいます。ご自身が高齢となってきて、そろそろ会社経営から身を引くために、事業承継を行いたいと考えている社長の方もいるのではないでしょうか。
何も準備をせずに、自分が思ったタイミングで事業承継を実施することは非常に難しいでしょう。特に、特定の後継者候補がいない場合、自ら後継者を見つけだし、事業承継を完了させて、社長としての職を辞すためには、非常に時間が必要です。
後継者となり得る人物が見つからなかった場合、これまで一生懸命育ててきた会社を廃業しなければいけなくなる可能性もあります。このような場合、M&Aによる事業承継が必要です。
M&Aによる事業承継であれば、スムーズに会社外部から後継者候補を探し出せます。事業承継の手続きも素早く完了させられるので、自分の会社を廃業させることもありません。
中小企業の廃業は増加
近年は、中小企業の廃業が増加傾向です。「資金繰りが困難になった・経営難に陥った」という理由で廃業を行うケースも多いでしょう。それに加え、中小企業経営者の高齢化も、廃業数の増加に影響していると考えられます。
「経営者の高年齢化」と「後継ぎとなる人材の不在」が相まって、廃業を余儀なくされる中小企業が増加している現状を打破するためには、M&Aによる事業承継の実施が必要不可欠です。
廃業により資産を失う可能性
後継者不在によって事業承継がうまく進められず、廃業を決定してしまうと、資産を失ってしまうことになります。廃業時には、会社が保有していた資産を売却する必要があるからです。
廃業により企業価値を失う可能性
廃業を実施すると、従業員を解雇しなければなりません。これまで築き上げてきた取引先や顧客との関係・ネットワークも終わってしまいます。このように、廃業を実行した会社は、その企業価値を失うことになるでしょう。
従業員の解雇を実施すると、その従業員たちは職を失うことになります。これまで一緒に働いてきた従業員を解雇することは、非常に心苦しいことです。
このような状況に陥らないためにも、「後継ぎ不在」で悩んでいる会社経営者の方にとって、M&Aによる事業承継が必要不可欠となります。
3. 後継者がいない社長が事業承継に成功するためのポイント
後継者不在に悩んでいる社長は、「M&Aによる事業承継」を実施することで、後継者問題を解決できる可能性が高まります。
ここからは「事業承継を成功させるためのポイント」を、以下の順で解説します。
【事業承継を成功させるためのポイント】
- 事業承継の準備を早めに行う
- 会社の資産や株式価値などを把握する
- 後継者候補がいない社長は専門家に相談
①事業承継の準備を早めに行う
事業承継を成功させるためには、「事業承継の準備を早めに行う」ことを意識する必要があります。
事業承継を実施する場合、「会社の資産や価値を把握する」「M&A専門家に相談する」「事業承継相手を見つけ出す」「事業運営の引継ぎ・後継者の教育」など、やらなければいけないことがたくさんあるでしょう。
事前準備をおろそかにしていると、いざという時にスムーズな手続きができなかったり、後継者となる人物の選定が遅くなったりします。その結果、必要以上に事業承継に時間がかかってしまいます。
特に「親族内承継」や「従業員への承継」を希望されている方は、事業承継を実施したいタイミングの数年前から、「後継ぎ候補の教育期間」を設けておくとよいでしょう。教育期間を設けないと、事業承継後の会社経営・事業運営に悪影響が及ぶ可能性があります。
②会社の資産や株式価値などを把握する
事業承継を成功させるために、「会社の資産や株式価値などを把握」しておく必要があります。会社の資産や株式価値を把握しておくことで、後継者候補に対して事業を承継するメリットを提示できます。
M&Aによる事業承継を実施する場合には、会社の価値を把握しておかなければなりません。本来の価値よりも過小評価された価格で会社売却・事業譲渡してしまう危険性があるためです。
会社の資産や株式の価値を自分で算定することは難しいので、M&A仲介会社などのM&A専門家に算定依頼してみましょう。M&A総合研究所では、会社売却・事業譲渡を一括サポートします。まずはお気軽にご相談ください。
③後継者候補がいない社長は専門家に相談
後継者問題に直面している・後継者募集中の社長は、事業承継を成功させるために「M&A専門家に相談する」ことをおすすめします。M&A・事業承継を進めていくためには、税務・財務に関する専門的知識が必要です。
社長自らがM&A・事業承継の手続きを進めることは難しく、時間もかかります。M&A仲介会社にM&A・事業承継の仲介業務を依頼することで、後継者候補をスムーズに見つけられるメリットがあります。
適切な相談時期
後継者候補がいない中小企業の場合、社長が「経営を引退するために事業承継を実施しよう」と考え始めてから動くのでは、タイミングが遅いでしょう。後継者が見つからないまま時間が流れ、うまく事業承継が行えず、結果「廃業」に追い込まれるかもしれません。
事業承継の詳しい内容を何も決めていない状況で、社長・経営者の身に「不慮の出来事」が起きてしまうと、従業員に混乱が生じてしまいます。会社経営がストップしてしまうケースもあるでしょう。
後継者がいまだに決定していない会社は、社長・経営者が活動的に事業運営・会社経営できているうちに、M&A専門家に相談することをおすすめします。
相談はM&A総合研究所がおすすめ!
事業承継を成功させるコツは、「M&A・事業承継の専門家」に相談・仲介依頼することです。専門家に仲介依頼することで、後継者をスムーズに見つけられ、安心して事業承継の手続きを任せられます。
M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、専門的知識を豊富に持つスタッフがM&A・事業承継手続きを一から専任でサポートします。
4. 後継者がいない社長が行う事業承継の手続き
ここからは、後継者問題に直面している会社の社長が行う必要がある「事業承継の手続き」を順に解説します。事業承継を検討されている方は、以下に説明する手続き・手順を参考にしてみてください。
【後継者がいない会社の社長がとる必要がある「事業承継の手続き」】
- 会社の資産・価値・問題点を把握
- 専門家などに相談
- 事業承継の方法を決める
- 親族や従業員などに説明を行う
- 事業承継の作業を実行
①会社の資産・価値・問題点を把握
後継者問題を解消するために、「M&Aによる事業承継」の実施を検討されている会社経営者の方は、「会社の資産・価値・問題点」を把握しておくことが大切です。
あらかじめ把握しておかないと、本来の価値よりも過小評価された価格でM&Aが実施されてしまう危険性があるからです。事前に会社の問題点・課題を洗い出し、改善できる点は改善しておくよう心掛けましょう。そうすれば、事業承継手続きをよりスムーズに行えるはずです。
②専門家などに相談
事業承継を実施することを決めたら、M&Aの専門家に相談することをおすすめします。M&A・事業承継の専門家は、その会社に適した「事業承継方法(親族内承継・従業員への承継・M&Aによる承継)」を教えてくれたり、業者によっては会社の「企業価値算定」を実施してくれたりします。
後継ぎ不在による後継者問題に直面している方・事業承継に不安がある方は、専門家に相談することで、安心して事業承継手続きを進められるでしょう。
③事業承継の方法を決める
事業承継の実施を決定し、自分の会社の資産や価値などの把握を行ったら、「事業承継の方法」を決める必要があります。具体的には、家族や親戚を後継者とする場合は「親族内承継」です。
それ以外には、従業員を後継者とする「従業員への承継」「事業譲渡」や「株式譲渡」による「M&Aを利用した事業承継」があります。その中から、自分の会社に適した方法を選択しましょう。
「親族や従業員の中に後継者がいない・跡継ぎをすぐに見つけられない」場合には、「M&Aによる事業承継」の実施が必要となります。この場合は「M&A・事業承継の専門家」に相談することや、仲介業務を依頼することをおすすめします。
④親族や従業員などに説明を行う
事業承継を進めていく中で、必ず親族や従業員に対して説明を行うようにしてください。事業承継を実施することを伝えないまま、突然新しい後継者を迎え入れたり、社長・経営者が退任したりすると、親族や従業員を混乱させてしまいます。
何の説明もないまま勝手に事業承継を進められると、会社関係者は不信感を抱きます。多くの従業員が退職してしまう問題が発生するケースもあるでしょう。
⑤事業承継の作業を実行
会社の価値算定や、自社にとって適切な事業承継方法の決定、親族や従業員への説明などを行ったら、事業承継の作業を実行していきましょう。ここで実行される事業承継作業は、選択した事業承継方法によって異なるものです。
親族や従業員を後継者とする場合は、主に株式売買による手続きが実施されます。M&Aによる事業承継を選択した場合は、事業譲渡や株式譲渡などの手続きが必要です。
5. 有限会社(特例有限会社)の事業承継
「有限会社(特例有限会社)」が事業承継を行う場合は、株式会社の事業承継と少々異なる部分があります。ここでは、有限会社(特例有限会社)の事業承継をまとめましょう。
有限会社(特例有限会社)が事業承継を実施する際には、「出資持分がまだある状態」か「株式が発行されている状態」かで流れが異なります。
出資持分がまだある有限会社の場合
株式が発行されておらず、まだ「出資持分」がある有限会社が事業承継を実施する場合、「出資持分」の承継が行われることになります。具体的には、事業承継を行う際に「出資持分の名義変更」が必要です。
「出資持分」の評価は、会社の規模によって異なります。適切な手法を用いて評価を行う必要があるでしょう。評価を行うには専門知識が必要になるため、M&A・事業承継の専門家に出資持分の評価を依頼することをおすすめします。
株式が発行されている有限会社の場合
有限会社が株式を発行している場合、株式会社の事業承継時と同様、株式を後継者に譲渡し「経営権を移転」する必要があります。有限会社の場合、会社の定款に定めがなくても、発行する株式は「譲渡制限株式」と見なされることになります。
有限会社は「株式への譲渡制限」を廃止できません。つまり、有限会社の社長・経営者が事業承継を実施するために後継者に株式譲渡する際には、「株主総会」で譲渡承認請求の承認を得なければいけません。
6. 事業承継の際のトラブル
ここでは、事業承継を実施した際によくある「トラブル」をまとめます。実際に事業承継を検討されている方は、以下で順に説明するトラブルの内容3つを確認して、対策を講じておくとよいでしょう。
【事業承継の際によくあるトラブル】
- 遺産トラブルの可能性
- 負債などを抱える可能性
- 会社乗っ取りの可能性
①遺産トラブルの可能性
このトラブルは基本的に「親族内承継」による事業承継が実施された際に発生します。親族内承継の場合、後継者となる人物は「相続人」でもあります。
この相続人が一人だけであれば特に問題は生じません。しかし、家族や親せきが多く、「相続人」となる権利を持つ人物が複数人いる場合には、「遺産トラブル」・「相続問題」が発生してしまいます。
後継者となる人物に経営権を渡すことが難しくなってしまうケースもあるので注意が必要です。
②負債などを抱える可能性
「株式譲渡」「株式売買」といったスキームを用いて事業承継を行った場合、新しく後継者となる人は「負債などを抱えてしまう可能性」があります。事業承継手続きを実施する前に「デューデリジェンス」などを行って、事前に会社の資産・問題点などを把握しておきましょう。
多額の負債や簿外債務などを引き継いでしまう危険性があるため、デューデリジェンスは必須といえます。
③会社乗っ取りの危険性
事業承継を実施する際、「会社乗っ取りの危険性」があることを理解しておきましょう。特に、非公開会社である中小企業や有限会社の事業承継時に、このトラブルは発生しやすいでしょう。
非公開会社の発行する株式には「譲渡制限」が設けられています。会社にとって望ましくない人物に株式が渡りそうになると、取締役会や株主総会の決議によって「株式譲渡請求を拒否」し、会社が対象株式を買い取れます。
つまり、後継者に指名された人物を好ましく思っていない株主や親族、役員などが結託し、後継者への株式譲渡請求を拒否できるでしょう。後継者候補とされた人物は「経営権確保に必要な株式数」を保有できず、会社を乗っ取られてしまうケースがあります。
7. 後継者がいない社長におすすめの事業承継相談先
ここまで説明したように、後継者が不在で困っている・できるだけスムーズに事業承継を実施したいと考えている社長は、「M&A・事業承継の専門家に相談する必要がある」といえるでしょう。
M&A仲介会社であるM&A総合研究所は、M&A・事業承継の実績が豊富なスタッフが事業承継手続きを一から専任サポートします。「企業価値算定サービス」を無料で提供しているので、「自社の価値がどのくらいなのか」把握しておきた会社経営者の方にもおすすめです。
M&A総合研究所への相談は「無料」です。後継者問題を解消したい・事業承継を成功させたい会社経営者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
8. 事業承継の選択肢まとめ
今回は、後継者がいない会社がとる必要がある「事業承継」について、留意すべき3つの要素、5つの選択肢を順を追って詳しく解説しました。
【事業承継を行う要素】
- 経営権の承継
- 株式や不動産の承継
- 従業員やノウハウの承継
【後継者不在の社長がとる必要がある事業承継の選択肢】
- 親族・従業員への承継
- M&Aにて承継
- 上場することで承継
- マッチングサイトで後継者募集
- 廃業を選ぶ
後継者がいない会社の社長は、上記5種類の選択肢の中から、会社のためにとる必要がある方法を選ぶ必要があります。多くの中小企業では、まだ経営能力があるにもかかわらず、後継者を見つけることが難しいため「廃業」を選択するケースが多いでしょう。
しかし、「廃業」は「従業員を解雇しなければいけない」といったデメリットがあるため、避けたいところです。事業承継を成功させるためには、次の3つのポイントを順に意識する必要があります。特に、「事業承継に対する準備」はできるだけ早めに行うことが大切です。
【事業承継を成功させるためのポイント】
- 事業承継の準備を早めに行う
- 会社の資産や株式価値などを把握する
- 後継者候補がいない社長は専門家に相談
「後継者が不在で事業承継できない」「事業承継の準備をしていない状態で、会社経営者・社長の身に不慮の出来事が起きてしまった」場合、従業員・親族はもちろんのこと、取引先や顧客にも迷惑を与えてしまいます。
そのような場合は、M&A・事業承継の専門家に相談をして、「M&Aによる事業承継」を検討してみましょう。後継者がいない会社の社長がとる必要がある手続きは以下の5つの順で検討すると良いでしょう。
【後継者がいない会社の社長がとる必要がある「事業承継の手続き」】
- 会社の資産・価値・問題点を把握
- 専門家などに相談
- 事業承継の方法を決める
- 親族や従業員などに説明を行う
- 事業承継の作業を実行
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