【2020年最新】事業承継補助金とは?採択率や申請書を解説!事例あり

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企業情報第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

事業承継補助金とは、後継者が事業承継に要する経費の一部に充てられる補助金を得られる制度です。本記事では、事業承継補助金の募集要項や採択率、申請書の書き方や手続きの流れ、注意点やおすすめの相談先などを事例とともに解説します。

目次

  1. 事業承継補助金とは
  2. 事業承継補助金の採択率とは
  3. 事業承継補助金の募集要項まとめ
  4. 事業承継補助金の申請書について
  5. 事業承継補助金の申請の流れ
  6. 事業承継補助金の事例
  7. 事業承継補助金申請の注意点
  8. 事業承継補助金の申請におすすめの相談先
  9. その他の事業承継関連補助金制度
  10. まとめ
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1. 事業承継補助金とは

事業承継補助金とは

事業承継補助金とは、事業承継を契機に新たな取り組みをする中小企業・小規模事業者を対象とした補助金制度です。

昨今、中小企業では、主として後継者不足を原因として、やむを得ず廃業するケースが目立つようになりました。そうした状況下、国としても事業承継を支援する数々の取り組みが行われており、事業承継補助金もその流れの中で誕生しています。

事業承継補助金は、親族内事業承継を行った場合でも、M&Aで事業承継を行った場合でも、中小企業の後継者が積極的に投資を行って事業を存続・発展させようとする試みを応援する制度なのです。

事業承継補助金は2種類ある

事業承継補助金には、Ⅰ型「後継者承継支援型」とⅡ型「事業再編・事業統合支援型」の2種類があります。以下では、その内容と補助金の額について説明します。

Ⅰ型「後継者承継支援型」

Ⅰ型「後継者承継支援型」は、経営者交代後、後継者が新商品開発などの新たな取り組みに要する経費の一部を補助するものです。この場合の経営交代とは、親族内事業承継や社内事業承継、外部人材招聘などを指しています。補助金の内容は、以下のとおりです。

【Ⅰ型】後継者承継支援型 補助率 補助上限額 上乗せ額
原則枠 1/2以内 225万円 +225万円(合計上限額450万円)
ベンチャー型事業承継枠
または生産性向上枠
2/3以内 300万円 +300万円(合計上限額600万円)

特別な要件を満たせば、原則枠を超えた補助が認められます。具体的には、以下のとおりです。

ベンチャー型事業承継枠】※以下3要件全てを満たすことが必要

  • 新商品の開発または生産、新役務の開発または提供、もしくは事業転換による新分野への進出を行う計画である
  • 事務局が定める期間において従業員数を一定以上増加させる計画である
  • 補助事業実施期間内において補助事業に直接従事する従業員を1名以上雇い入れた事実が確認できる(ただし有期の雇用契約は対象とならない)

生産性向上枠

  • 後継者が2017(平成29)年4月1日以降から交付申請日までの間に、申請する補助事業と同一の内容で「先端設備等導入計画」または「経営革新計画」のいずれかの認定を受けている

また、上乗せ額とは、事業転換により廃業登記費、在庫処分費、解体・処分費が発生する場合に、補助金の上限額が上乗せされるものです。ただし、廃業登記費、在庫処分費、解体・処分費のみの交付申請はできません。あくまでも、新たな取り組みを行うことが前提です。

なお、事業転換とは、少なくとも一つの事業所、または事業の廃業・廃止を行うことを意味します、後継者が承継しなかった事業がある場合において、被後継者がその残りの事業を廃業・廃止した場合も申請可能です。

Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」

Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」は、M&Aによる事業再編・事業統合の後に新たな取り組みを行った場合に、その経費の一部を補助するものです。事業再編・事業統合を具体的にいうと、事業譲渡株式譲渡合併・会社分割・株式交換・株式移転などが該当します。

ベンチャー型事業承継枠や生産性向上枠の要件は、Ⅰ型「後継者承継支援型」と同様です。ただし、上乗せ額については、廃業登記費、在庫処分費、解体・処分費に加えて、原状回復費および移転・移設費がⅡ型「事業再編・事業統合支援型」に限って認められています

Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」の補助金の内容は、以下のとおりです。

【Ⅱ型】事業再編・
事業統合支援型
補助率 補助上限額 上乗せ額
原則枠 1/2以内 450万円 +450万円(合計上限額900万円)
ベンチャー型事業承継枠
または生産性向上枠
2/3以内 600万円 +600万円(合計上限額1,200万円)

事業承継補助金の補助対象者

事業承継補助金の補助対象者は、以下の7つの要点と、事業承継の要件を満たす中小企業および個人事業主と定められています。

  • 日本国内で事業を営む者
  • 地域経済に貢献している
  • 暴力団などの反社会的勢力ではない、あるいはその関係性もない
  • 法令順守上の問題を抱えていない
  • 経済産業省から補助金指定停止措置が講じられていない
  • 匿名性を確保しつつ公表される場合があることに同意する
  • 補助事業の調査やアンケートなどに協力できる

また、補助金の対象となる中小企業の定義は、中小企業基本法第2条に準じて以下のとおりに定められています。

  資本金の額または出資金の総額 常勤従業員数
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下

ただし、以下の業種については、個別で定義がなされています。
 
  • ゴム製品製造業:資本金3億円以下または従業員900人以下
  • 旅館業:資本金5,000円以下または従業員200人以下
  • ソフトウエア業・情報処理サービス業:資本金3億円以下または従業員300人以下

【関連】【平成30年度改正】事業承継補助金とは?【採択率・募集要項・申請書】

2. 事業承継補助金の採択率とは

事業承継補助金の採択率とは

2017(平成29)年よりスタートした事業承継補助金制度ですが、初年度は予算も少なく採択率は13%という結果に終わっています。認知度も低く申請数も少ない中、採択された企業はたった1割強でした。

2018(平成30)年では、補助金の種類や募集期間などの改正とともに大幅な予算増額が図られ、予算は50億円まで上がっています。その結果、採択率は70%超えとなり、多くの企業が事業承継補助金を受け取りました。

参考まで、以下が2018年分の申請数、採択数、採択率です。

2018年事業承継補助金採択状況 募集時期 申請数 採択数 採択率
Ⅰ型「後継者承継支援型」 1次募集 481 374 77.8%
2次募集 273 224 82.1%
3次募集 75 55 73.3%
Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」 1次募集 220 119 54.1%
2次募集 43 25 58.1%

さらに翌年2019(令和元)年は、前年度と同じ予算50億円でした。結果は下表のとおりですが、1次募集分はⅠ型が採択率73.7%、Ⅱ型が53.4%と前年度とほぼ同じ採択率です。しかし、2次募集分はⅠ型が41.0%、Ⅱ型が24.7%と前年よりも大きく下がる結果となってしまいました。

前年度の採択率が高かった影響と認知度が上がったことにより、Ⅰ型は1次募集の時点で申請数・採択数ともに約1.5倍となりました。この時点で前年の全体採択数の8割相当が採択されることとなり、2次募集は予算の関係もあり厳選されることになったと考えられます。

2019年事業承継補助金採択状況 募集時期 申請数 採択数 採択率
Ⅰ型「後継者承継支援型」 1次募集 710 523 73.7%
2次募集 329 134 41.0%
Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」 1次募集 204 109 53.4%
2次募集 121 30 24.7%

2020(令和2)年の事業承継補助金の公募は、一度しか行われませんでした。ただし、コロナ禍の影響もあり、公募期限は延長されるなどの措置はされています。そのコロナ禍が原因で事業承継が進まなかったのかどうかは定かではありませんが、申請数は前年度よりも減少しました。

2020年事業承継補助金採択状況 申請数 採択数 採択率
Ⅰ型「後継者承継支援型」 455 350 77.7%
Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」 194 118 60.8%

なお、採択決定後、Ⅰ型「後継者承継支援型」では2社、Ⅱ型「事業再編・事業統合支援型」では1社から辞退(交付決定取下げ届け)がありましたが、上表はその数を含めた数値です。

また、採択決定時には、全ての採択決定企業について、会社名・代表者名・所在地(市区町村名)・申請事業内容・申請を認定した経営革新等支援機関名が、ウェブ上で公表されます。

経営革新等支援機関とは、中小企業等経営強化法で定められた制度です。中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う個人、法人、中小企業支援機関などを、中小企業庁が経営革新等支援機関として認定します。機関名は中小企業庁ホームページで公表されていますので、いつでも確認可能です。

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3. 事業承継補助金の募集要項まとめ

事業承継補助金の募集要項まとめ

事業承継補助金の申請が認められるには、公表されている募集要項の各条件を満たしていなければなりません。対象期間内に事業承継が行われることは大前提ですが、その他の要件についても細かい規定があるので、以下に説明します。

  1. 事業承継と認められる承継形態
  2. 補助対象となる事業内容
  3. 補助対象となる経費
  4. 補助金申請の公募期間
  5. 補助金対象事業の実施期間
  6. 申請時点で事業承継が完了していない場合の要件

①事業承継と認められる承継形態

事業承継補助金の募集要項では、認められる事業承継の形態として13種の類型が示されています。
 

  • 個人事業主から個人事業主への事業譲渡
  • 個人事業主から個人事業主への事業譲渡後、譲受した個人事業主が法人成りする
  • 個人事業主から法人への事業譲渡
  • 法人から個人事業主への事業譲渡
  • 法人から個人事業主への株式譲渡
  • 同一法人内の代表者交代
  • 法人から法人への事業譲渡
  • 法人から法人への株式譲渡
  • 法人間での株式交換による事業再編
  • 法人間での株式移転による事業再編
  • 法人間での吸収合併による事業統合
  • 法人間での新設合併による事業統合
  • 法人間での吸収分割による事業統合

②補助対象となる事業内容

上述した事業承継が実施されたうえで、後継者(承継者)が経営革新などを意図して行う取り組み(事業)が補助金の対象です。具体的には、以下のような例示があります。
 

  • 新商品の開発、または生産
  • 新役務の開発、または提供
  • 商品の新たな生産、または販売方式導入
  • 役務の新たな提供方式導入
  • 事業転換による新分野進出 
  • その他の新たな事業活動による販路拡大や新市場開拓、生産性向上など事業の活性化につながる取り組み

ただし、公序良俗に反する事業、風俗営業法に規定されている事業、国の他の助成金や補助金の交付が確定している事業は対象外です。

③補助対象となる経費

事業承継補助金の申請対象となる経費は、以下の3条件全てを満たしていなければなりません。
 

  • 使用目的が対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  • 後継者(承継者)が交付決定日以降、補助事業期間内に契約・発注を行い支払った経費(原則として、被承継者が取り扱った経費は対象外)
  • 補助事業期間完了後の実績報告で提出する証拠書類などによって金額・支払いなどが確認できる経費

また、以下の費用は対象外として明示されています。
 
  • 交付決定日以前に発注(契約)を行った費用
  • 売上原価に相当すると事務局が判断する費用
  • M&A(事業再編・事業統合)費用、M&A(事業再編・事業統合)仲介手数料、M&A時のデューデリジェンス費用・コンサルティング費用

募集要項では、具体的な費用名とその概要も示されていますので、以下にそれを掲示します。

事業費

事業承継補助金の対象経費は、大別して事業費と廃業費があります。まず、事業費について、詳細は以下のとおりです。
 

  • 人件費:補助事業に直接従事する従業員に対する賃金および法定福利費 
  • 店舗等借入費:国内の店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費・仲介手数料
  • 設備費:国内の店舗・事務所の工事、国内で使用する機械器具などの調達費用
  • 原材料費:試供品・サンプル品の製作に関わる経費
  • 知的財産権等関連経費:補助事業実施における特許権などの取得に要する弁理士費用
  • 謝金:補助事業実施のために謝金として依頼した専門家などに支払う経費
  • 旅費:販路開拓などを目的とした国内外出張に関わる交通費、宿泊費
  • マーケティング調査費:自社で行うマーケティング調査に関わる費用
  • 広報費:自社で行う広報に関わる費用
  • 会場借料費:販路開拓や広報活動に関わる説明会などでの一時的な会場借料費
  • 外注費:業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費
  • 委託費:業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費

なお、人件費・店舗等借入費・設備リース費・レンタル料および広報費の展示会などの出展申込みについては、交付決定日より前の契約であっても、交付決定日以降に支払った補助事業期間分の費用は、例外的に対象となります。

廃業費

事業承継補助金の上乗せ分として申請が認められているのが、廃業費です。廃業費の詳細は、以下のようになっています。
 

  • 廃業登記費:廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士などに支払う作成経費
  • 在庫処分費:既存の事業商品在庫を専門業者に依頼して処分した際の経費
  • 解体・処分費:既存事業の廃止に伴う建物・設備などの解体・処分費
  • 原状回復費:借りていた設備などを返却する際に義務となっていた原状回復費用
  • ※移転・移設費用:効率化のため設備などを移転・移設するために支払われる経費

なお、※印の移転・移設費用は、Ⅱ型(事業再編・事業統合支援型)の場合のみ計上が可能です。

④補助金申請の公募期間

2020年11月現在において、2020年の公募は終了しています。また、現段階では、2021(令和3)年の公募時期に関するアナウンスはありません。例年、公募開始の前月に、公募期間を含めた詳細が発表されています。

過去の公募期間から考えると、2021年3月頃に、何らかの発表がなされると予測されますので、その時期になりましたら、事業承継補助金の専用ウェブサイトを小まめにチェックするとよいでしょう。

以下に参考のため、過去2年間の事業承継補助金公募期間を掲示しておきます。

2019年事業承継補助金の公募期間
1次募集 2019年4月12日~2019年5月31日
2次募集 2019年7月5日~2019年7月26日
 
2020年事業承継補助金の公募期間
2020年3月31日~2020年6月5日17時
※申請受付は2020年4月10日開始

⑤補助金対象事業の実施期間

補助金の申請が採択された場合、その対象事業を実施する期間も定められています。2020年の場合でいうと、交付決定日(2020年7月15日)から2020年12月31日までの間に実施しなければなりません。

また、該当事業の完了日から30日以内に実績報告を行う必要もあります。

⑥申請時点で事業承継が完了していない場合の要件

事業承継補助金は、その制度の規定上、申請時にはまだ事業承継が完了していない可能性もあるでしょう。その場合、事業承継をして代表者となる予定の人物について、以下のいずれかの条件を満たすことが定められています。
 

  • 3年以上の経営経験:対象企業以外の役員も可、個人事業主としての経験も可
  • 同業種での実務経験:対象企業では継続6年以上、他企業では通算して6年以上
  • 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業の交付を受けた者
  • 地域創業促進支援事業(2017年度以降は潜在的創業者掘り起こし事業)の認定を受けた者
  • 中小企業大学校の実施する経営者・後継者向けの研修などを履修した者

なお、経営経験、実務経験の年数については、2020年の申請の場合、2020年12月31日までの間に基準を超えればよいとされています。

事業承継補助金の募集要項詳細について

過去から判断すると、毎年、制度改正も施されてきているので、2021年度の事業承継補助金に申請をする場合には、公募発表時に公開される、その年度の募集要項の内容をよく確認してください。

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4. 事業承継補助金の申請書について

事業承継補助金の申請書について

事業承継補助金を申請にするにあたっては、必要書類を用意しなければなりません。この章では、必要になる書類をタイミング別に分けて解説します。なお、事業承継補助金の申請方法は電子申請のみです。募集要項など含めて全ての資料も、ウェブサイトからダウンロードできるようになっています。

事業承継補助金申請に必要な書類

事業承継補助金申請では、応募時に提出する書類と採択後に提出する書類があります。

応募に必要な書類

応募段階で必ず提出する書類は以下のとおりです。法人形態によって、必要な書類は変わります。

応募に必要な書類
法人 履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)
直近事業年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)
事業承継後の場合は役員変更の官報公告、
または役員などの専任決議の議事録
個人事業主 税務署の受領印が押印された確定申告書B
所得税青色申告決算書の写し
特定非営利活動法人 直近事業年度の確定申告書
直近事業年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)
履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)
定款

法人の議事録は、専門家からの助言内容がよくわかる資料でもあります。議事録には助言・指導された内容を可能な限り具体的に記載しましょう。

また、事業承継後の申請である場合は、役員が変わったことを伝える官報公告も必要です。官報公告は国民と政府をつなげる公的な伝達手段であり、公告された情報は誰でも閲覧できます。

特定非営利活動法人の定款は、社員総会における議決権の1/2以上を中小企業者が有していることを示すために必要となる書類です。会社で保管している定款のコピーをとり、提出しましょう。

万が一、定款を紛失している場合は、公証役場に赴いて定款の謄本を発行してもらう必要があります。

その他に必要な書類

こちらは状況に応じて必要となる書類です。

  • 補足説明資料
  • 住民票
  • 認定経営革新等支援機関による確認書
  • 申請資格を有していることを証明する後継者(承継者)の書類
  • 承継に関する書類
  • その他(公募要領の加点事由に該当する書類)

Ⅰ型(後継者承継支援型)の申請に必要な書類

Ⅰ型(後継者承継支援型)を申請する際に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 申請資格を有していることを証明する後継者(承継者)の書類
  • 個人事業主:税務署の受領印が押印された確定申告書B・所得税青色申告決算書の写し
  • 法人:履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)・直近事業年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 特定非営利活動法人:直近事業年度の確定申告書・直近事業年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)・履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)

Ⅱ型(事業再編・ 事業統合支援型)の申請に必要な書類

Ⅱ型(事業再編・ 事業統合支援型)を申請する際に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 条件を満たしたことを示す書類
  • 法人:履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)・直近事業年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)
  • 特定非営利活動法人:直近事業年度の確定申告書・直近事業年度の決算書(貸借対照表・損益計算書)・履歴事項全部証明書(発行から3カ月以内)
  • 経営計画書の認定書

事業承継補助金の申請書

ここまでの書類を用意して申請を行うと、事業承継補助金事務局によって厳正な審査が行われ、結果が出たら採択結果が送付されます。

そして、採択の結果が通知されたら、一定期間内に補助金交付申請書に下記の種類も添えて事業承継補助金事務局へ提出することが必要です。

  • 補助金交付申請書
  • 申請事業の経費明細
  • 事業計画書
  • 交付申請書類のチェックシート

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5. 事業承継補助金の申請の流れ

事業承継補助金の申請の流れ

ここまでで、事業承継補助金申請の概要については網羅しましたので、実際に申請を行い、これが採択され補助金を受領した場合のプロセスについて、4段階に分け説明します。

  1. 事前準備
  2. 事業承継補助金の交付申請
  3. 事業承継補助金の交付決定
  4. 事業承継補助金の受領

①事前準備

事前準備の第一段階は、事業承継補助金専用サイトで必要な情報を得て、その内容をよく把握しましょう。提出用の資料のひな型なども全てウェブサイトから入手するようになっていますので、くまなく各ページをチェックするのを怠らないでください。

次は、認定経営革新等支援機関への相談を行います。中小企業庁のホームページに認定経営革新等支援機関の一覧がありますので、最寄りの機関を探し、計画書の内容の相談・確認をしましょう。相談後は、必ず確認書を発行してもらうのも忘れないでください。

事前準備の最後は、GビズIDのアカウント取得です。事業承継補助金は電子申請で行いますが、その際、このGビズIDのアカウントが必ず必要になります。アカウントの取得方法は、事業承継補助金サイトで説明されていますので、指示どおりに取得しておきましょう。

②事業承継補助金の交付申請

全ての必要書類がそろったら、公募期間内に電子申請を行います。採択結果に関わらず、事務局より申請マイページを通して通知が届くようになっていますので、結果を待ちましょう。

また、採択された場合には、中小企業庁のホームページや事業承継補助金サイト上の一覧表でも公表されます。

③事業承継補助金の交付決定

採択となったら、補助金の受領が確定します。注意したいのは、補助金が受け取れるのは、対象事業の完了後であることです。つまり、後払いです。対象事業実施時の支払い全額分は、自前で支払っておく必要があります。

採択決定通知を得たら速やかに対象事業を開始し、それが完了したら30日以内に実績報告をしなければなりません。対象事業自体も、2020年の場合は、2020年12月31日までに終了させる必要があります。

実績報告を提出すると、事務局で確定検査が行われますので、それが完了次第、補助金交付手続きをしましょう。

④事業承継補助金の受領

補助金交付手続きの2~3カ月後を目安に、事業承継補助金事務局より補助金が交付されます。時間的な目安は、その都度、自分で確認しましょう。

なお、補助金交付後5年間は、事業化状況報告などを行うことが義務づけられています。補助金を受領して終わりではないので、注意しましょう。

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6. 事業承継補助金の事例

事業承継補助金の事例

中小企業庁の事業承継補助金事務局で公開されている、事業承継補助金を受け取った事例を抜粋して紹介します。

  1. 鈴木酒造店長井蔵
  2. 黒木鉄工所
  3. 今澤アソシエイツ
  4. カラーズジャパン
  5. 小麦家

①鈴木酒造店長井蔵

鈴木酒造店長井蔵は、酒類の製造・卸販売を営む企業です。地域の人口減少とインターネット環境の充実という時代背景から、市場形態の変化が激しく、消費者ニーズの把握やブランド力向上という課題を抱えていました。

新たな取り組みは、商品の魅力と銘柄の認知度を上げるための印刷作業と並行してラベル貼付ができる新型のボトルラベラーの導入です。

消費者は印刷された二次元コードをスマートフォンなどで読み取ることで、簡単に商品の詳細な情報をチェックできるようになりました。時代の流れに沿った、新たな取り組みといえるでしょう。

新たな取り組みの標題 新規格ボトルラベラーの導入
業種 製造業(酒類)
資本金 3,000万円
従業員数 12名
承継者との関係 子ども

②黒木鉄工所

黒木鉄工所は、産業機械部品製造の企業です。切削機械を利用して金属・ステンレス・樹脂などを削り、部品加工を行っています。従業員の高齢化や経営状態悪化による負債などから、事業承継へと至りました。

新たな取り組みは、事業内容に産業機械制作とそのメンテナンスも加えるというものです。これまでは部品製造に特化していましたが、消費者からの「機械が壊れて困っている」「メンテナンスの仕方がわからない」という意見に耳を傾け、実施することとしました。

新たな取り組みの標題 産業機械づくりとメンテナンス
業種 製造業(産業機械)
資本金 300万円
従業員数 7名
承継者との関係 子ども

③今澤アソシエイツ

今澤アソシエイツは、就職支援、採用支援事業を手掛けている企業です。事業承継前は、収益性と安定性という財務問題や、業務効率化と生産性向上という業務プロセス問題などの経営課題を抱えていました。

新たな取り組みは、在学中から大学・企業協同型のインターンによってキャリア形成ができるプログラムを確立するというものでした。具体的な内容としては、大学・学生・企業が協同で取り組むコミュニティ「人材育成研究会」を設立・運営です。

地方の人口減少という課題を解決する点で、企業の人員不足と若者のキャリア生成という両面において有効な取り組みであるといえるでしょう。

新たな取り組みの標題 教育機関と連携した学生と地域企業との雇用ミスマッチ解消支援事業
業種 サービス業
資本金 800万円
従業員数 4名
承継者との関係 子ども

④カラーズジャパン

カラーズジャパンは、ヘア・ネイル・アイサロンを運営する企業です。競争の激しい美容業界において新たな差別化要素を生み出すことが必要だと考え、M&Aによってアイラッシュ専門店である「アスクレア」の全株式を譲り受けました。

新たな取り組みは、既存店にカフェを併設するというものです。居心地の良い空間を作り出すことで競合店との差別化を図るとともに、従業員の定着率向上という経営課題のクリアも目指します。

どちらもサービス業ではあるものの、全く違う職種の2つが共存することで新たな相乗効果を期待する取り組みです。

新たな取り組みの標題 内面からの美しさづくりによる差別化と働き方の多様化
業種 生活関連サービス(美容業)・娯楽業
資本金 900万円
従業員数 147名
承継者との関係 その他の親族外

⑤小麦家

小麦家は、外食(カフェ、レストラン、ホテル)を対象とした、パンの製造および卸売を行っている企業です。

現在の抱えている顧客だけでは、今後、売上が減少していくことが想定されており、新たな販売経路の開拓が急務とされていました。

新たな取り組みは、最新鋭のオーブンや冷凍設備を増強して美味しい冷凍パンの開発がしやすい環境を整えることです。完成した冷凍パンは、首都圏の展示館に出展して積極的に新規顧客の獲得を目指します。

新たな取り組みの標題 高級冷凍パンの生産性向上および販路開拓
業種 製造業
資本金 1,000万円
従業員数 50名
承継者との関係 子ども

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7. 事業承継補助金申請の注意点

事業承継補助金申請の注意点

事業承継補助金を申請するにあたっては、注意しておかなければならないポイントがあります。採択に大きく関わってくるものもあるので、しっかり確認しておきましょう。

  1. 事業承継補助金の申請には加点ポイントがある
  2. 申請要件を満たしていること
  3. 事業の発展や新規取り組みなどがあること
  4. 審査に関する条件を満たしていること
  5. 補助金は後払いとなる

①事業承継補助金の申請には加点ポイントがある

加点ポイントは、採択率や受け取る補助金の金額に大きく影響します。該当するポイントがあるならば、それを証明することができる参考資料を添付して提出しましょう。

【事業承継補助金の加点ポイント】

  • 債権放棄等の抜本的な金融支援を含む事業再生計画を策定している
  • 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けている
  • 交付申請時に経営力向上計画の認定を受けている
  • 地域経済への貢献(料内容から貢献度を計測)

②申請要件を満たしていること

事業承継補助金事務局が定める申請要件は、必ず満たさなければいけません。対象となる事業承継・補助対象者・事業承継の要件などの各要件を確認し、自社が条件を満たしていることを確認しておきましょう。

また、要件を満たしていても記載すべき事項や資料漏れがあると、採択されなくなってしまうこともあり得ます。申請前には、何度も確認しておくことが大切です。

③事業の発展や新規取り組みなどがあること

採択が決まったとしても、即座に補助金を受け取れるわけではありません。実際に補助金を受け取るための条件に、事業の発展や新規取り組みというものが設けられています。

採択が決まった後、新しい取り組みを実施して、その成果がわかる資料を事業承継補助金事務局に提出しなければなりません。それが受領されることで、初めて補助金が交付されます。

しかし、「新しい取り組みをするために補助金がほしいのに」という意見もあります。その際は、補助金が交付されることを前提とした、融資を受けることも可能です。取引先の銀行などに、融資してもらえないか相談してみてください。

④審査に関する条件を満たしていること

事業承継補助金事務局の審査は、「資格審査」と「書面審査」の2段階に分けられて行われます。

資格審査では、主に補助対象者の条件を満たしているかという点が審査対象です。資格審査に通ると、書面審査へ移ります。

書類審査は、事業承継補助金事務局が提携している外部専門家により提出された各資料を、以下のポイントを踏まえた審査です。

【書面審査の着眼点】

  • 独創性技術やノウハウを保有していること
  • 商品・サービスのプロセスが明確となっていること
  • 事業全体の収益性の見通しに妥当性と信頼性があること
  • 事業実施スケジュールが明確になっていること

⑤補助金は後払いとなる

補助金交付は後払いです。まずは、自社が新しい取り組みの成果を見せなければ、補助金は交付されません。

また、成果を提出してから実際に補助金を受け取るまでに、2~3カ月程度の期間が空きます。事業承継を実施してから補助金を手にするまでには、かなりの時間を要する点に注意してください。

【関連】【平成30年改正】事業承継税制のメリット・デメリットまとめ!

8. 事業承継補助金の申請におすすめの相談先

事業承継補助金の申請におすすめの相談先

事業承継補助金は、申請したら必ず受け取れるわけではありません。採択率を上げるためには、事業承継後の事業内容・コンセプトを事務局にわかりやすく伝えられる資料作りが必須です。

そのためには、M&Aや事業承継に関わりが深い専門家に相談することをおすすめします。

M&A総合研究所では、M&A・事業承継の仲介を数多く請け負っており、M&Aや事業承継によって得られる事業展開や取り組みに関しても無理のないコンセプト・スケジュールの提案が可能です。

随時、無料相談を受け付けておりますので、事業承継補助金の申請を考えたM&A・事業承継なら、M&A総合研究所にお気軽にお問い合わせください。

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9. その他の事業承継関連補助金制度

その他の事業承継関連補助金制度

国(中小企業庁)が行っているのが、ここまで解説してきた事業承継補助金ですが、各都道府県においても類似する名称で、同様のコンセプトの補助金・助成金制度があります。ここでは一例として、東京都の「事業承継支援助成金」を紹介するので、ご覧ください。

また、2020年の場合は、コロナ禍によって多くの中小企業が大きなダメージを受けています。そこで、国は補正予算において、「経営資源引継ぎ補助金」事業を実施することを決定し実行しました。

両者の特徴は、事業承継補助金では補助の対象外となっている、M&A仲介手数料などM&Aに関わる費用も対象であることです。以下に、その2つの助成金・補助金制度について概要を記します。

令和2年度 第2回事業承継支援助成金(東京都)

この事業承継支援助成金は、公益財団法人東京都中小企業振興公社が都内の中小企業向けに行っています。概要は以下のとおりです。
 

  • 助成対象事業A:M&Aなどによる第三者への事業承継に向けた取り組み
  • 助成対象事業B:後継者への事業承継に向けた取り組み
  • 助成対象事業C:令和元年度の企業継続支援を受けて実施する事業承継・経営改善などの取り組み
  • 主な要件A・B:東京都中小企業振興公社の「事業承継・再生支援事業」、または東京都商工会議所・町田商工会議所・東京都商工会連合会の「地域持続化支援事業(拠点事業)」の支援を受けた都内中小企業者で、なおかつ代表権を有する現経営者が60歳以上で今後10年以内に事業承継を予定している
  • 主な要件C:令和元年度に東京都中小企業振興公社が実施した企業継続支援を受けている
  • 助成対象経費:事業承継、経営改善に関わる外部への委託費
  • 助成限度額:200万円(申請下限額20万円)
  • 助成率:2/3以内

なお、2020年の申請エントリーは、11月13日までで終了しています。

経営資源引継ぎ補助金

別称でM&A補助金とも呼ばれる経営資源引継ぎ補助金も専用のウェブサイトがあり、各種資料の閲覧・ダウンロードも、そこで全て行えます。ただし、2020年の申請は、二次申請が10月24日で締め切られており、終了しました。2020年11月現在で、2021年の申請などに対する発表は出ていません。

経営資源引継ぎ補助金は、「買い手支援型(Ⅰ型)」と「売り手支援型(Ⅱ型)」の2タイプがあります。それぞれの概要を以下に記すので、参照してください。

【買い手支援型(Ⅰ型)】

  • 対象費用:謝金、旅費、外注費、委託費​、システム利用料​
  • 補助率:3分の2
  • 下限額:50万円
  • 上限額①:100万円(経営資源の引継ぎを促すための補助金​)
  • 上限額②:200万円(経営資源の引継ぎを実現させるための補助金​だが、補助事業期間内に補助対象事業が完了しない場合は上限額100万円)

【売り手支援型(Ⅱ型)】

  • 対象費用:謝金、旅費、外注費、委託費​、システム利用料​、​廃業費用(廃業登記費、在庫処分費​、解体費、原状回復費​)
  • 補助率:3分の2
  • 下限額:50万円
  • 上限額①:100万円(経営資源の引継ぎを促すための補助金​)
  • 上限額②:650万円(経営資源の引継ぎを実現させるための補助金だが、補助事業期間内に補助対象事業が完了しない場合は上限額100万円。また、廃業費用の上限額は450万円だが、廃業費用を活用しない場合の上限額は200万円)

【関連】M&A補助金制度でコロナ対策!

10. まとめ

まとめ

事業承継補助金は、最大1,200万円の補助金を受け取ることが可能な承継者にとって心強い制度です。事業承継を契機に経営や既存事業を見直し、業績拡大のために新たな取り組みをするのであれば、ぜひとも事業承継補助金を活用しましょう。

なお、事業承継補助金の採択を目指すうえで、以下の注意点は念入りにチェックしてください。

【事業承継補助金申請の注意点】

  • 事業承継補助金の申請には加点ポイントがある
  • 申請要件を満たしていること
  • 事業の発展や新規取り組みなどがあること
  • 審査に関する条件を満たしていること
  • 補助金は後払いとなる

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