2023年11月01日更新
事業譲渡の手続きやスケジュール・流れを徹底解説!期間はどれぐらい?
事業譲渡とは、事業の一部または全部を引き継ぐ手法です。事業譲渡の手続きは手間がかかるので、スケジュールも長くなります。本記事では、事業譲渡の手続きの流れ・スケジュールや期間を詳しく解説していますので、事業譲渡の流れと注意点を知り戦略を立てましょう。
目次
1. 事業譲渡とは
事業譲渡とは、売り手企業の事業の一部または全てを、買い手企業に譲渡するM&A手法です。事業のどこまでを譲渡するのかは、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まります。具体的には、人材、店舗・工場などの設備、権利義務などのどこまでを対象にするか話し合いをしなければなりません。
これらの譲渡範囲は、M&Aの目的によっても変わってきます。例えば、売り手の目的は経営の合理化や経営再建、事業承継など、買い手の目的は事業規模拡大や新規事業の獲得、人材や技術の取得などさまざまです。
このように事業譲渡では、目的に合わせて範囲を決めて、買い手と売り手でメリットを得ます。しかし、事業譲渡は、原則、株主総会の特別決議が会社法で定められていたり、各種契約や許認可取得をやり直す必要があったりなど、手続きが煩雑です。
税金面やコスト面でも他のM&A手法に比べて不利な面があり、大企業で事業譲渡を利用するケースはそれほどありません。一方、規模の小さい中小企業の場合は、事業譲渡のメリットが多くデメリットが少なくなるため、主に小規模事業者で事業譲渡は積極的に利用されています。
事業譲渡の意義
売り手の事業譲渡の意義は、会社組織・経営権はそのままに、事業とそれに関連する資産・権利義務などを売却できることです。経営者の手元に法人格が残ることで、譲渡した会社はそのまま存続できることから、別事業の継続や新規事業の立ち上げ、あるいは税金対策などができます。
買い手の事業譲渡の意義は、必要なものだけを譲受対象に選別できる取引形態です。他のM&A手法にみられるような包括承継では、不要な負債を引き継いだり、後日、経営にダメージを与える可能性のある簿外債務などを引き継ぐ可能性があったりします。
これを排除できる事業譲渡の意義は、買い手にとって大きいです。
事業譲渡と会社分割の違い
事業譲渡と類似してみえるM&A手法が、会社分割です。会社分割とは、会社の事業部門を丸ごと外部の会社に譲渡します。事業譲渡のような譲渡対象の選別は行われず、売り手側の事業を複数の会社に分ける手続きです。
会社分割は、事業部門単位での包括承継となるので、事業譲渡では引き継げない許認可も買い手側は引き継げます。ただし、事業の種類によっては、新たに取得が必要な許認可もあるので確認が必要です。
会社分割には、既存の会社が買い手となる「吸収分割」と、新設会社が買い手となる「新設分割」の2種類があります。一方、事業譲渡は、売り手側の持つ人材や拠点、設備などの資産を個別に譲渡する手続きです。
譲渡する範囲を売り手と買い手との間で話し合って決められるので、事業や資産の一部を残しておきたい場合に有効といえます。事業譲渡と会社分割、どちらを選ぶとよいかは、会社の状況や規模によって変わってきますので、M&A仲介会社などの専門家に相談するのが得策です。
事業譲渡と合併の違い
合併は、複数の会社を1つに統合する企業組織再編行為です。法人格を1つに統合するため、存続する法人格(存続会社)以外の企業は消滅します(消滅会社)。合併の分類は、既存企業間で実施する吸収合併と、新設企業が存続会社となる新設合併の2種類です。
ただし、新設合併は手間が非常に煩雑であるため、実際のM&Aで行われているのは吸収合併となります。事業譲渡と吸収合併の違いは以下のとおりです。
- 会社の消滅の有無
- 権利義務が包括承継か個別承継か
- 従業員の承継方法
- 競業避止義務の有無
- 債務の承継
事業譲渡で売り手の法人格は消滅しませんが、合併では存続会社以外は消滅します。権利義務は、事業譲渡の場合、契約により債権債務を個別に引き継ぎますが、合併の場合、消滅会社の権利義務は包括的に引き継ぐのが特徴です。
従業員の承継は、事業譲渡の場合、売り手・買い手の合意の他に従業員の合意が必要となります。合併では、消滅会社の労使関係も包括的に引き継がなければなりません。競業避止義務は、事業譲渡にのみ課せられている会社法の規定です。
内容は、当事者間で合意しない限り、事業譲渡側は、譲渡した事業と同一の事業を同一区市町村・隣接区市町村で20年間にわたり行えません。債務の承継は、事業譲渡の場合、債権者の承諾を得て譲受側が免責的債務引受をしない限り責任を免れませんが、合併は債務も包括的に引き継ぎます。
事業譲渡は個人事業主も売り手になれますが、合併は法人に限られる点も相違点です。
事業譲渡と株式譲渡の違い
株式譲渡とは、売り手企業の過半数の株式を買収することで、その経営権を取得するM&A手法です。事業譲渡と株式譲渡では、手続きにかかる手間が大きく違います。株式譲渡は株式の移転のみで成立するため、比較的、手続きは簡易です。
しかし、事業譲渡は、取引先や従業員などの同意と再契約締結を全て個別に行う必要があり、煩雑な手間がかかります。中小企業のM&Aで最も多く用いられているのは、株式譲渡です。
経営者が考える事業譲渡の目的
事業譲渡を利用する目的は、経営者や会社の状況によってさまざまです。ここからは、事業譲渡を行う売り手側・買い手側それぞれの目的を紹介します。
売り手側の目的
売り手の事業譲渡の代表的な目的は、以下です。
- 経営資源の集中
- グループ企業の再編
- 経営再建
- 子会社の事業整理
- 事業承継
不採算のノンコア事業を事業譲渡することで、売却金額を手に入れられて、主要事業に投資できるようになります。これにより、経営状態の悪化を改善して安定化できるでしょう。子会社の事業を整理する目的で事業譲渡が使われるケースも少なくありません。
事業譲渡で得た譲渡益を使って、経営再建を目指すのも可能です。後継者不在の中小企業では、事業承継のために事業譲渡が採用されることもあります。こうした売り手側の目的から、中小企業の事業譲渡は増加傾向にあるでしょう。
買い手側の目的
買い手側の事業譲渡の主な目的には、以下のようなものがあります。
- 事業拡大
- 新規事業の獲得
- 人材や技術の確保
- エリア拡大
事業譲渡は、同業種の事業の買収により、事業を拡大しスケールメリットを得る・上場を目指すなどの目的でも行われるケースがあります。事業譲渡での新規参入では、ゼロから新規事業を始めるよりも時間を短縮できるうえ、低リスクでの事業開始が可能です。
人材確保や技術獲得を目的とする事業譲渡もよく行われています。
2. 事業譲渡のメリット・デメリット
事業譲渡はさまざまな目的で使われますが、手続きが複雑なためメリット・デメリットがわかりにくい面もあります。ここでは、事業譲渡のメリット・デメリットに関して、売り手側と買い手側に分けて解説するので、1つひとつ確認しましょう。
売り手側のメリット
事業譲渡の売り手側の主なメリットを紹介します。
- 譲渡資産を選択できる
- 現金が手に入る
- 負債があっても相手先企業がみつかりやすい
譲渡資産を選択できる
事業譲渡の大きなメリットは、譲渡する事業資産を選択できることです。事業譲渡の手法であれば、事業譲渡後の目的に合わせて譲渡資産を調節できるメリットがあります。それにより、事業のスリム化や効率化が可能となるでしょう。
業績が良く継続したい事業は残し、負担の事業を売却するなど、経営に余裕を持たせるのも可能です。
現金が手に入る
事業譲渡での対価は、現金です。対価が株式となる他のM&A手法に比べれば、株式の現金化リスクを抱えません。対価で債務を返済したり、コア事業に使ったりなど、経営の安定化につながります。
負債があっても相手先企業がみつかりやすい
事業譲渡であれば、負債があっても相手先企業がみつかりやすいメリットがあります。株式譲渡では会社のすべてを引き継ぐため、仮に負債があった場合、買い手は引き継がなければなりません。
事業譲渡であれば、買い手企業は譲渡対象を選別しリスクを回避できるため、譲渡できる可能性が高まります。ただし、譲渡する事業に直接、ひもづいている借入金などの債務を譲渡対象にしない場合には、その債権者の同意を得ることが必要です。
売り手側のデメリット
事業譲渡の売り手側の主なデメリットは、以下です。
- 譲渡益に税金がかかる
- 債務が残る
- 手続きに多くの手間・時間がかかる
譲渡益に税金がかかる
事業譲渡の譲渡益は法人税の課税対象です。ただし、事業譲渡益単独に課税されるわけではなく、同一年度内の全ての損益を通算した利益額に対して課税されます。損益通算後、仮に赤字であった場合、課税は受けません。
債務が残る
事業譲渡は譲渡資産を選択できる点がメリットですが、デメリットになる場合もあります。買い手側が債務を引き継がないケースとなった場合、売り手側には債務が残るからです。
手続きに多くの手間・時間がかかる
事業譲渡は、株式譲渡や会社分割など他の手法に比べ、手続きに多くの手間や時間がかかります。対象事業が関わる全ての契約に関して、それぞれ相手方の同意が必要です。売り手の企業規模が大きいほど、契約の数が多くなり負担となるでしょう。
買い手側のメリット
事業譲渡の買い手側には、主に以下のメリットがあります。
- 簿外債務リスクを回避できる
- 節税ができる
簿外債務リスクを回避できる
事業譲渡では、買収する財産を選択できるので、買い手側は簿外債務を引き継いでしまうリスクを回避できます。売り手自体が気づいていないことが多い簿外債務は、株式譲渡のような包括承継では避けようがありません。譲渡対象を選別できる事業譲渡だからこそ、回避できるでしょう。
節税ができる
売り手側の事業資産を時価で買い取る際は、現在の事業価値に加えて将来の価値(一般的には3~5年分)を加えて評価するため、簿価と差額が生じます。この差額をのれんといい、損金算入しなければなりません。こののれんを5年に渡って償却することで、節税が可能です。
買い手側のデメリット
事業譲渡の買い手側の主なデメリットを紹介します。
- 手続きが煩雑になりやすい
- 消費税がかかる
手続きが煩雑になりやすい
事業譲渡では許認可や従業員との雇用契約などは引き継げないので、必要な手続きが多くなります。引き継ぐ事業規模によっては大きな負担になるため、売り手の事業お規模が大きい場合、事業譲渡はそれほど活用されません。
思わぬ足止めにならないように、許認可の取得や従業員との雇用契約は計画的に行う必要があります。
消費税がかかる
事業譲渡の譲渡対象に消費税課税資産が含まれている場合、消費税が発生します。対価の支払い時に消費税額を合わせて売り手に渡さなければならないため、その分の資金繰りも必要です。主な消費税課税資産は、以下のようになります。
- 有形固定資産(土地を除く)
- 無形固定資産(ソフトウェア、商標、特許権、意匠権など)
- 棚卸資産
- のれん
3. 事業譲渡を選ぶべきケース
事業譲渡を選ぶべきケースは、目的やメリット、デメリットに応じて変化します。例えば、どのような目的で行うのか、どのメリットを優先し、どのデメリットを極力避けたいかなど、状況に応じて選択することが必要です。
一度、事業譲渡をしてしまえば、売り手は引き渡した事業を取り戻せませんし、引き渡した事業と同じ事業を、譲渡先企業と同じ地域で行うことも原則できません。事業再編にあたって、事業譲渡を選択すべきかどうかは慎重に判断する必要があります。
さまざまなM&A手法のメリットやデメリットを比較・考慮して、事業譲渡が最適であると考えた場合に、事業譲渡を選択するべきです。
ここでは、代表的なM&Aの手法である事業譲渡、株式譲渡、会社分割の目的や特徴、メリット・デメリットを比較しながら、事業譲渡を選んだほうが良い状況を解説します。
目的・特徴の比較
まずは、M&Aの手法別に目的と特徴を表にまとめました。
事業譲渡 | 株式譲渡 | 会社分割 | |
目的 | ・経営資源の集中、組織再編 ・経営再建、事業承継 ・事業規模の拡大、新規事業の獲得 ・人材や技術の取得 |
・協力関係の強化 ・事業承継 ・経営権の獲得 |
・経営再建、組織再編 ・株主関係解消 ・事業承継 ・人材、技術の取得 |
特徴 | ・譲渡する事業を個別に選択できる | ・中小企業で多く採用 | ・事業を包括で引き継ぐ |
表を見ると、それぞれの手法で目的と特徴が異なります。事業譲渡を選ぶときは、目的に合っているかどうかの判断が大切です。
メリット・デメリット比較
次に、M&Aの手法別にメリット・デメリットを表にまとめました。
メリット | デメリット | |
事業譲渡 | ・譲渡事業の選択ができる ・簿外債務を回避できる |
・手続きが多い ・税負担が大きい |
株式譲渡 | ・手続きが容易になりやすい ・譲渡後も会社が存続する |
・簿外債務リスクがある ・株式の買い集めに苦労する |
会社分割 | ・買収資金が不要である ・事業譲渡よりも手続きが容易 |
・簿外債務リスクがある ・税務面が煩雑になりやすい |
株式譲渡は手続きが簡便なため、中小企業で最も多く採用されている手続き方法です。事業譲渡と会社分割は事業を切り分ける点では似ていますが、事業譲渡は個別に引き継げます。一方、会社分割は包括的に事業を引き継ぐ手法です。
これらの特徴やメリット・デメリットから、売り手側は、譲渡後も独立性を保ったまま事業を継続したい場合に事業譲渡を用いるとメリットが得られます。買い手側は、偶発債務などの簿外債務リスクを極力なくした取引をしたい場合には事業譲渡が合っています。
4. 事業譲渡の手続き・法務とは
事業譲渡の手続きは非常に手間がかかるため、売り手・買い手にかかわらず他のM&A手法の手続きに比べて期間が長くかかってしまうケースが多いでしょう。そこで、なぜ期間が長くかかるのかわかりやすくするために以下3つに分けて説明します。
- 売り手の手続き
- 買い手の手続き
- 個人事業主の手続き
①売り手の手続き
売り手側の事業譲渡の手続きでは、多数の承認を得る流れが多いため、時間がかかります。例えば、株主総会を開催して承認を得る必要があるケースでは、その準備や手間が多大です。債務も譲渡する場合は、債権者に個別で承諾を得なければなりません。
こうした手続きは、譲渡する事業の規模が大きいほど、負担も大きくなります。なるべくスムーズに進むように戦略を立てて、手続きを進めていく必要があるでしょう。
②買い手の手続き
買い手側の手続きでは、売り手側よりも負担が大きいものが多くあります。例えば、売り手側から事業を買収して今後の経営を進めていくため、引き継ぎから許認可の取得、取引先・従業員との再契約などの手続きを多く必要とするでしょう。
おおまかなスケジュールは売り手と変わりませんが、必要とする細かい手続きが多く出てきてしまいます。他にも、手続きが完了した後に円滑に事業を進められるようになるまで時間もかかるでしょう。
③個人事業主の手続き
法人登記をしていない個人事業主がM&Aを行える方法は、事業譲渡のみとなります。しかし、個人事業主が事業譲渡を行う場合、法人とは手続きが大きく異なるので注意が必要です。例えば、個人事業主が事業を譲渡するとき、税務署に廃業届を提出し事業の廃止を行います。
買い手側の場合では、新たに開業手続きが必要です。屋号または商号の引き継ぎも必要ですので、個人で事業を譲り受ける場合は早めに動き出しましょう。個人事業主のM&Aや事業譲渡は、規模が小さいため全てのM&A仲介会社やアドバイザリーが対応しているわけではありません。
専門家に相談する際には、小規模案件にも対応しているか、事前確認が必要です。もし、小規模案件の仲介会社をお探しでしたら、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所には、M&Aに精通したM&Aアドバイザーが在籍しており、個人事業主の事業譲渡もフルサポートします。
随時、無料相談を行っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
5. 事業譲渡の手続き完了までのおおまかな流れ
ここでは、事業譲渡の手続きのおおまかな流れを説明します。事業譲渡の実施を決めたら、まず自社の分析や今後のプランなどの検討です。そして、取締役会で承認が得られれば、買い手を選定し交渉を始めましょう。
交渉が大筋でまとまったら基本合意書を締結し、買い手側はデューデリジェンス(買収監査)を開始します。デューデリジェンスで問題がなければ、取締役会での決議を経て事業譲渡契約の締結です。
その後、株主総会の特別決議で承認を得て効力発生日を迎えれば、事業譲渡契約の手続きの流れは完了となります。効力発生日以降は、事業の引き継ぎです。完全に引き継ぎができれば事業譲渡の完了です。流れを簡潔に説明しましたが、それぞれの注意点や細かい点など次章で説明します。
6. 事業譲渡の手続き完了までの詳細なスケジュール
事業譲渡の効力発生日までの詳細なスケジュールを解説します。売り手側、買い手側の内容はほとんど同じですが、ここでは売り手側を主軸とした流れとしました。
- 事業譲渡の準備開始
- 取締役会での決議
- 買い手企業の選定と接触
- 基本合意書の締結
- 買い手によるデューデリジェンス
- 事業譲渡契約書の締結
- 各所への届け出
- 株主への通知・公告
- 株主総会での特別決議
- 財産などの名義変更や許認可手続き
- 事業譲渡の効力発生
①事業譲渡の準備開始
売り手は、事業譲渡の手続きに入るための準備を開始します。具体的には、自社の現状や強み、市場価値を分析し、それを踏まえて事業のどの部分をどのくらいの価額で売るべきか、効力発生日までの手続きの流れなどの譲渡計画を立てる必要があるでしょう。計画を立てられれば、取締役会へと移行します。
②取締役会での決議
売り手企業は、事業譲渡をする際、取締役会で承認を得なければならないと会社法で定められています(会社法第362条第4項)。
この条文では、会社の業務・財産に重大な影響を及ぼす事項について、取締役会に慎重に判断させて、代表取締役などの独断専行を抑制するのを目的として、事業譲渡の際の決議を取締役会の専決事項であると定めています。
事業譲渡を決断したら、速やかに取締役会に対して通知を行い、事業譲渡の目的や理由を説明して承認を得る必要があるでしょう。取締役会での決議は、取締役会を構成する取締役の過半数以上の承認が必要です。
③買い手企業の選定と接触
取締役会の承認を得られれば、売り手企業は買い手企業を探します。個人で譲渡先を探して交渉もできますが、金融機関やM&A仲介会社に依頼して探すのが一般的です。こうして、買い手候補が決まったら、経営者同士の面談やM&Aの専門家を仲介しての交渉など、条件交渉の手続きを進めます。
マッチングを経て、より具体的な交渉に進むためには、双方で秘密保持契約を結びます。M&Aの交渉時に社外に機密情報が漏れてしまうと風評被害などにつながる可能性があるためです。
交渉の際は金額だけでなく、経営者の理念や相性、事業譲渡後もパートナーとなり得るかなど、さまざまな視点から交渉に臨むとよいでしょう。
④基本合意書の締結
大筋で条件合意できたら、基本合意書の締結です。基本合意書の締結前に、買い手企業が意向表明書を提示してくるケースもあります。ここで簡単に、基本合意書と意向表明書を解説しておきます。
意向表明書
意向表明書とは、基本合意書締結前の段階で、買い手企業が「どのような内容・条件で事業譲渡を行いたいか」その意向を伝える提案書です。事業譲渡交渉がスムーズに進められることを念頭に提示されます。
意向表明書はあくまで提案書なので、会社法で提出が定められているわけではなく、手続きとして必要はありません。したがって、しばしば省略されます。
基本合意書
基本合意書とは、売り手企業と買い手企業の交渉で合意した内容をまとめたものをいいます。条件やデューデリジェンスの実施予定、独占交渉権や今後の手続きスケジュールなど、さまざまな事項が記載されます。基本合意書は現時点での合意内容確認書の位置付けであり、法的拘束力を持ちません。
事業譲渡が約定されたわけではなく、基本合意後、破談した事例もあります。ただし、独占交渉権は例外的に法的拘束力があり、これによって売り手は一定期間、他の買い手候補との交渉が禁じられています。
⑤買い手によるデューデリジェンス
基本合意書が締結されたら、買い手は売り手にデューデリジェンス(買収監査)を行います。デューデリジェンスとは、財務・法務・税務労務・IT・事業などの分野ごとに、士業などの専門家を起用して行う売り手企業の内部調査です。
ここで得た情報と結果によって、事業譲渡価額を修正したり、リスクを把握したりしながら事業譲渡契約書に盛り込みます。買い手は、デューデリジェンスの結果を基に取締役会で承認を得なければなりません。事業譲渡契約書の内容に両社が合意すれば、事業譲渡契約書は締結されます。
⑥事業譲渡契約書の締結
事業譲渡契約書の締結で、両社の最終的な合意が得られます。事業譲渡契約書には一般的に以下のような事項を記載します。
事業譲渡契約書の記載事項 | 内容 |
目的・譲渡日 | 譲渡する事業の部分に関して・効力発生日の日付 |
譲渡財産 | 譲渡する財産の概要 |
譲渡価額・支払い方法 | 譲渡対価の具体的価額・支払い方法 |
引渡時期 | 譲渡財産の引渡時期 |
善管注意義務 | 管理者の注意義務に違反した場合の対応など |
守秘義務 | 業務上の秘密を保持し開示しない契約 |
従業員の取扱い | 従業員の引き継ぎ時期や待遇など |
事情変更 | 特別な事情があった場合の事業譲渡契約書内容の変更 |
承認 | 株主総会での承認 |
瑕疵(かし)担保責任 | 譲渡財産に瑕疵があった場合の責任 |
競業避止義務 | 事業譲渡後の競業避止義務 |
公租公課などの負担 | 税金や保険料の負担者 |
協議事項 | 事業譲渡契約書に規定していない事項は協議する旨 |
事業譲渡契約書の記載内容は会社法で定められているわけではありませんが、法的拘束力があるので注意が必要です。
契約書は安易にひな形を使用しない
さまざまな契約書のひな形はインターネット上で入手でき、事業譲渡契約書も手軽にダウンロードが可能です。しかし、事業譲渡のようなM&Aは案件ごとに違いがあるため、記載すべき事柄が載っていないケース、不必要な項目があるケースもあります。
ひな形を安易に使ってしまうと、トラブルが生じる可能性もあるので注意が必要です。事業譲渡契約書は重要なので、M&A仲介会社に相談して検討し、作成することをおすすめします。
⑦各所への届け出
事業譲渡を行う企業は、会社法によって、公正取引委員会へ届け出が必要になったり、臨時報告書の提出が必要になったりする場合があります。各所への届け出をしておかなくては、正常に経営を続けていくのが難しくなるケースもあり得ますので、確認しましょう。
ここでは、代表的な2つの届け出を説明します。
公正取引委員会への届け出
国内売上高合計額が200億円を超えていて、かつ、下記の要件に該当する企業が事業譲渡を行うケースで、買い手となる企業は原則として、事前に公正取引委員会へ計画届出書の提出が必要です。
- 国内での売上高が30億円を超える会社の全ての事業を譲受する場合
- 譲受する一部事業の国内売上高が30億円を超える場合
- 譲受する事業の固定資産による国内売上高が30億円を超える場合
公正取引委員会が計画届出書を受け取ってから、原則として30日が経過するまで事業譲渡をしてはならないといった規定がありますので注意しましょう。
臨時報告書の提出
有価証券報告書の提出義務がある企業は、下記の要件に該当する場合、財務局に臨時報告書を提出するのが会社法で定められています。
- 事業譲渡または譲受により、資産額が最近事業年度の末日現在の純資産額よりも30%以上、増減する場合
- 事業譲渡または譲受により、売上高が最近事業年度の実績に対して10%以上、増減する場合
⑧株主への通知・公告
後述する例外を除き、株主総会の特別決議で承認されなければ事業譲渡の効力は発生しません。事業譲渡の当事会社は、効力発生日の20日前までに、事業譲渡を実施する内容や株主総会を開催する内容を、株主に対して官報公告や電子公告で周知します。
反対株主には株式の買取請求権があるのも周知しなければなりません。株主が少ない場合は、個別通知だけですませるケースもあります。大企業の場合は、公告と個別通知の両方を行うのが一般的です。
⑨株主総会での特別決議
事業譲渡を行う当事会社は、効力発生日前日までに株主総会の特別決議で承認を得るのが会社法で定められています。例えば、以下の事業譲渡のケースです。
- 売り手側の全事業を譲渡
- 事業の重要な一部を譲渡
- 別の会社である事業の全てを譲り受ける
- 事業全部の賃貸、経営委託、損益全部に共通する契約、その他これらに準ずる契約の締結、変更、解約
事業譲渡の特別決議は、議決権の過半数以上を持つ株主が出席をし、その3分の2以上からの賛成が必要です。ただし、会社法では簡易事業譲渡または略式事業譲渡とみなされると、株主総会での特別決議は必要ありません。
簡易事業譲渡
会社法では、譲渡資産の帳簿価額が譲渡会社の総資産の20%を超えない場合は、簡易事業譲渡に当たるとされています。この場合、事業譲渡によって株主の利益に損害を与える可能性はないとみなされるので、株主総会での特別決議は必要ありません。買い手企業の純資産の20%を超えない場合も、会社法では株主総会での特別決議は必要ないとされています。
しかし、例えば、株主総会を開催した際に、譲り受けの決議が否決されるような議決権を持っている反対株主から反対の意思の通知があった際は、事業譲受の効力発生日の前日までに株主総会の特別決議による承認が必要です。
略式事業譲渡
契約相手が特別支配会社である場合、会社法では略式事業譲渡に当たります。株主総会を開催しても間違いなく承認されるので、株主総会での特別決議は必要ありません。特別支配会社の定義は、議決権のある株式を90%以上保有している会社、と会社法で決められています。
反対株主の株式買取請求
株主総会の特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席しているなかで、出席株主が持つ議決権の3分の2以上の承認が得られた場合に決議されます。可決された場合、反対株主には利益保護のため、会社に対する株式の買取請求権が与えられるでしょう。
事業譲渡の当事会社は、反対株主に対して株式の買取請求権があるのを周知し、反対株主はあらかじめ反対の意思を示したうえで、株主総会で反対票を投じます。その後、効力発生日前日までの期間に買取請求権を行使できる、と会社法で定められています。
⑩財産などの名義変更や許認可手続き
売り手・買い手企業のどちらも、名義変更手続きや許認可の手続きを行わなくてはいけません。事業譲渡前に確認しておかないと、事業譲渡は完了したのに事業が開始できない可能性も出てきます。
財産などの名義変更手続き
事業譲渡では、買い手企業へ譲受された財産で売り手企業の名義のものは買い手企業へ名義変更をしなければなりません。
許認可手続き
事業譲渡では許認可が引き継がれないので、買い手企業が許認可を取得していない場合は、管轄の監督官庁で許認可手続きをする必要があります。許認可手続きは業種によって時間がかかるものや、取得条件が存在するものもあるため注意が必要です。
取得に時間がかかるのがあらかじめわかっている場合は、契約手続き期間の間に申請手続きを進めておきます。
⑪事業譲渡の効力発生
事業譲渡の効力発生日を迎えて契約手続きの流れは完了しますが、効力発生日以降も事業の引き継ぎ作業に時間を要します。特に従業員の引き継ぎも伴う場合は、効力発生日以降のマネジメントが重要です。この経営統合プロセスをPMI(Post Merger Integration)と呼びます。
7. 事業譲渡の手続きやスケジュールが完了するまでの期間
事業譲渡が完了するまでの手続き期間は、譲渡先の選定や会社の規模、譲渡する事業内容にもよりますが、早くても3カ月、長ければ6~12カ月程度です。買い手企業の選定期間や両社の交渉期間が長引くほど負担が大きくなり、成功率も下がってしまう傾向があります。
信頼できるM&Aの専門家に依頼できるかどうかも重要なポイントです。以下に、効力発生日までの参考例として、5カ月程度でクロージングする前提のスケジュールと期間を掲示します。
売り手側 | 買い手側 | |
6月 | ・M&A仲介会社と契約 ・譲渡資産の精査、スケジューリング |
|
7月 | ・譲受会社の選定・交渉 | ・M&A仲介会社との打ち合わせ ・譲渡会社との交渉 |
8月 | ・基本合意書の確認 ・基本合意書の締結 ・従業員、取引先への説明など |
・基本合意書の確認 ・基本合意書の締結 ・譲渡会社のデューデリジェンス |
9月 | ・事業譲渡契約書の内容検討 ・事業譲渡契約締結 ・株主への通知・公告 |
・事業譲渡契約書の内容検討 ・事業譲渡契約締結 ・許認可の取得準備など ・株主への通知・公告 |
10月 | ・株主総会開催 ・引渡準備 ・譲渡資産引渡 |
・株主総会開催 ・譲渡対価の支払い |
8. 事業譲渡にかかる消費税などの税金
事業譲渡で発生する可能性がある税金は、以下のとおりです。
- 売り手側:法人税
- 買い手側:消費税、不動産取得税、登録免許税
事業譲渡の税金に関する留意点
売り手側の法人税の対象となるのは、譲渡対価から譲渡対象の簿価純資産額を引いた譲渡益です。ただし、事業譲渡益は、法人のその他の損益と通算されるため、年度決算の段階になるまで納付する法人税の金額がわかりません。
買い手側では、譲受する事業に関わる資産や負債は、個別に時価で受け入れます。そして、退職給付債務などに相当する負債を確認したうえ、事業譲渡の対価から事業にかかる時価純資産を引き、資産調整勘定または差額負債調整勘定として5年で均等償却することが大切です。
譲受資産のなかに消費税課税資産が含まれていれば、消費税が発生します。以下の資産は消費税非課税資産であり、課税を受けません。
- 土地
- 有価証券
- 債権
- 売掛金
9. 事業譲渡の手続きやスケジュールを進める際の注意点
事業譲渡での注意点は以下の3つです。
- 競業避止義務がある
- 守秘義務は守る
- 債権者保護を知っておく
①競業避止義務がある
事業譲渡の売り手に対し、会社法で競業避止義務が定められています。競業避止義務とは、譲渡した事業と同一の事業を、譲受した企業と同一および隣接する区市町村で20年間、行えないとした義務です。買い手側の経営に悪影響を及ぼすことを避けるために定められました。
ただし、事業譲渡契約締結時に、買い手が競業避止義務放棄に同意すれば、法規制を受けません。
②守秘義務は守る
事業譲渡でやり取りする情報のなかには、外部に漏れてしまうと経営に打撃を与えるものも含まれます。したがって、秘密保持契約書などを用いて、外部への情報漏えいを徹底的に守らなければなりません。
信頼している従業員であっても、つい口走ってしまうケースはありますから、M&Aを伝えるタイミングには十分注意すべきです。守秘義務を守れなかった場合、最悪、事業譲渡は破談になる可能性があります。
③債権者保護を知っておく
債権者保護を考慮せずに事業譲渡を進めると、トラブルになる場合があります。事業譲渡では、債権者保護に関して会社法で定められていません。債権者保護が必要となるのは、買い手が債務を引き継ぐ場合です。この場合、債権者保護の観点から、個々の債権者から承諾を得る必要があります。
しかし、債権者保護手続きが必要ないからといって、債権者保護をしなくてもよいわけではありません。例えば、事業譲渡価額が不当に安かった場合や、特定の債権者に返済する目的で事業譲渡を行った場合は、債権者保護の観点から事業譲渡契約を取り消せます。
破産宣告を受ける前の売り手が事業譲渡を行い、それによって債権者保護が行われなかった場合は、事業譲渡の効力を否認できます。こうした効力を持つからこそ、債権者保護は検討しておくべき事項といえるでしょう。
④譲渡側における債務の免責について
譲受側は、事業譲渡の事業譲渡契約で決められた範囲の債務を負います。しかし、だからといって譲渡側が債務に関して責任を負う必要もあります。譲受側だけが債務者となり譲渡側が免責されるためには、債権者の個別の同意を得る必要がある点に注意しましょう。
⑤譲渡側の商号を継続使用する場合の譲受側の弁済責任
譲受側が譲渡側の商号を継続して使用する場合は、譲渡側の事業によって生じた債務を譲受側は原則として弁済責任を負う必要があります。
商号を継続して使用しつつ弁済責任を免れるためには、事業の譲受後に遅滞なく、譲渡側の債務を負担しない旨の登記を行う必要があるでしょう。あるいは、譲受側および譲渡側が第三者に対し、個別にその債務を負担しない旨の通知をしなければなりません。
商号使用しないケースでは、譲渡側の事業によって生じた債務を引き受ける旨の公告をすると、譲受側が弁済の義務を負うことになります。
⑥譲渡側における財産の承継について
譲渡側における財産の承継に関して、それぞれ紹介します。
不動産
事業譲渡の財産に不動産が入っている場合、譲受側は不動産取得を第三者に対抗するために、双方で所有権移転登記を申請する必要があるでしょう。
不動産移転に関わる税金は以下です。
- 登録免許税
- 不動産取得税
動産
事業譲渡の財産の中に機械、器具備品などの動産が入っている場合、第三者へ対抗するために、事業譲渡日に引渡しを実施するのが大切です。法人が行う動産の譲渡は、動産譲渡登記制度を使用するケースもあります。
金銭債権
事業譲渡の財産の中に金銭債権などが含まれている場合は、債務者や第三者に対抗するために、債務者に対して通知をする、債務者の承諾を得るなど、手続きを確定日付のある証書によって実施する必要があります。
具体的には、以下が挙げられます。
- 内容証明郵便で債権譲渡通知書を債務者に送付する
- 公証人が確定日付を記載した債権譲渡通知書を債務者に送付する
- 債権譲渡に同意する旨の債務者の承諾書に、公証人の確定日付をもらう
法人が行う金銭債権の譲渡は、登記によって債務者以外の第三者に対する対抗要件を取得できます。債権譲渡登記制度を利用するのも可能です。ただし、この方法はあくまでも債務者以外の第三者のみになります。債務者に対して債権譲渡を主張するためには、登記事項証明書の交付を受け、通知するのが重要でしょう。
10. 事業譲渡の手続きに必要な費用
ここでは、事業譲渡の際の対価がどのように決まるのか、そして、売り手・買い手それぞれに課される可能性のある税金を説明します。
譲渡金額の計算方法
事業譲渡を含めM&Aでは、売り手・買い手の交渉によって対価が決まります。交渉で双方が希望額を伝え合うだけではらちが明かないので、売り手企業や事業の価値評価を行い、それを交渉の基準値とするのが一般的です。この評価をバリュエーション(企業価値評価)といいます。
バリュエーションには、専門的で複雑な算定方法が数多く確立されており、M&A仲介会社や公認会計士などの専門家に依頼することで、複数の算定方法を組み合わせて算定結果を得るのが常です。事業譲渡の算定結果で得られる金額を簡易的に表現すると以下のとおりです。
- 事業時価純資産額+のれん代(営業権)
事業時価純資産額は、貸借対照表に記載されている譲渡対象事業に関する資産を時価で評価した金額から、譲渡対象事業に関する負債を時価で評価した金額を差し引きます。のれん代(営業権)とは、譲渡対象事業に関する無形資産への評価額を示します。無形資産とは、以下です。
- 技術
- ノウハウ
- 人材の持つ資格
- 特許権
- 商標権
- 意匠権
- 顧客・取引先リスト
- 販売・営業ネットワーク
- ブランド力
無形資産の評価は簡単には行えないため、専門家による専門の算定方法が必要です。
売り手に課される税金
売り手に課されるのは、事業譲渡益に対する法人税です。ひとことで法人税とくくられていますが、実際には以下の4種類があります。
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
- 地方法人税
この4種の法人税を総合して換算した実効税率は、2022(令和4)年6月現在、約31%です。法人税は事業譲渡益単独に課されるのではなく、当該年度における売り手の全損益を通算し、その益金に対して課されます。したがって、他に大きな損金があり決算が赤字だった場合、法人税は課されません。
買い手に課される税金
譲渡対象に消費税課税資産が含まれている場合、買い手に消費税が発生します。2022年6月現在の消費税率は10%です。事業譲渡の対価支払い時に消費税分を加算して売り手に渡します。つまり、消費税の税務署への納付は売り手が行う必要があるでしょう。
買い手としては、譲渡内容によっては高額の消費税となる可能性もあり、資金繰りに注意が必要です。事業譲渡によって引き継いだ資産の中に不動産が含まれる場合には、不動産取得税の納税が必要です。不動産取得税は不動産の評価額に対して4%の課税となります。
不動産の取得時は登記の書換が必要となり、その際に発生するのが登録免許税です。登録免許税の税率は、引き継ぐ不動産の固定資産税評価額×2%となります。
11. 事業譲渡の手続きはM&A総合研究所にご相談を
事業譲渡をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。事業譲渡は手続きが煩雑なので、時間がかかってしまうケースもあります。財産を個々に選別するので、交渉が進みにくくなる場面もあるでしょう。事業譲渡をスムーズに進めるためには、M&Aの専門家への依頼がおすすめです。
M&A総合研究所であれば、M&Aアドバイザーがトラブルを未然に防ぎスムーズな事業譲渡のアドバイス・サポートをします。随時、事前相談を無料で受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
12. 事業譲渡の手続きやスケジュールまとめ
事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲渡するM&A手法です。事業譲渡によって、売り手は経営資源をコア事業に集中させ、組織再編や経営再建、事業承継に利用できます。買い手はスケールメリットを得られるうえに、新規事業を始めるのも可能です。
事業譲渡の手続きの流れ・スケジュールは、3~12カ月ほどの間で進みます。スケジュールは、会社の規模や譲渡する事業の規模などによっても変わりますが、事業譲渡の実施では、守秘義務や競業避止義務、債権者保護に注意することが肝要です。
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