個人事業主の事業譲渡の手続き方法・注意点まとめ!税金や契約書の書き方も解説!

会計提携第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

近年は個人事業主が事業承継目的やリタイア目的で事業譲渡を行う件数が増えつつあります。本記事では、個人事業主の事業譲渡に関して、手続き方法・契約書の書き方・税務の注意点を紹介します。事業譲渡を行う際の注意点も解説しました。

目次

  1. 個人事業主とは
  2. 個人事業主による事業譲渡の手続き
  3. 個人事業主による事業譲渡の注意点
  4. 個人事業主による事業譲渡の税金
  5. 個人事業主による事業譲渡の成功ポイント
  6. 個人事業主による事業譲渡の契約書の書き方
  7. 個人事業主による事業譲渡の相談先・専門家
  8. 個人事業主の事業譲渡はM&A総合研究所に相談しよう
  9. 個人事業主の事業譲渡まとめ
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1. 個人事業主とは

個人事業主とは、法人登記を行っていない個人が経営する事業のことです。街中を見ると、法人登記をしていない雑貨屋・喫茶店・食堂・美容室・学習塾・税理士など、自営業とも呼ばれているさまざまな個人事業主がいます。

近年は店舗・事務所を持たないノマドワーカー、個人で仕事を受注するライター・プログラマーのようなフリーランス人口も増えています。そのほか、投資・アフィリエイト・転売などを個人事業主として行っている人もいるでしょう。

個人企業(個人事業主)と法人企業を合わせると、個人企業の数は約半数を占めているとする総務省の統計もあります。

個人事業主による事業譲渡とは

法人が事業を引き継ぐ方法には株式譲渡合併会社分割などさまざまな種類があり、事業譲渡も選択肢の1つです。しかし、個人事業主の場合は法人ではなく株式がないため、相続や贈与のほか、M&Aにおける事業譲渡を用いるケースが一般的だといえます。

事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲受側に引き継ぐ方法のことです。個人事業主の事業譲渡は、親族などへの事業承継や、事業を売却してリタイア資金を得る目的などに用いられています

ここからは、個人事業主による事業譲渡の方法として、3つを紹介します。

相続

例えば、個人事業主が亡くなった際、その長男が事業資産を相続し経営を引き継ぐケースが該当します。相続税の税率は事業資産の金額により変動し、事業を受け取る者に10〜55%の範囲で相続税が課される決まりです。

贈与

従業員などの第三者に事業を譲り渡す行為のことで、経営している事業資産を与えます。相続と同様、資産の金額に応じて事業を受け取る者に10〜55%の範囲で贈与税が課される決まりです。ただし、相続税と比較すると贈与税の税率は大きいでしょう。

贈与を通じて従業員に事業承継を行うケースは、贈与税の支払いが多額になりやすいことから、それほど現実的な選択肢とはいえません。

M&A

M&Aとは、第三者の会社または個人に事業を譲渡する方法です。前述した、株式譲渡・合併・会社分割・事業譲渡などの手法が該当します。

M&Aプロセスを仲介会社やアドバイザリー会社に依頼する場合、事業を買収・売却するために費用の支払いが求められる一方で、事業を取得する買手に相続税・贈与税などの税金が課されない点は魅力的なメリットです。税金面における買収側の負担は、買収の代金を支払う際に発生する消費税のみとされています。

個人事業主による事業承継とは

近年は個人事業主の高齢化が進んでいます。廃業件数、廃業予定件数は増加し続け、国もさまざまな対策を打ち出しています。個人事業主の事業承継の多くが親族への承継です。しかし、その数は年々減り続けています。

事業の将来性への不安や親族のモチベーション不足、税負担の大きさなどいろいろな理由から親族間承継は減少しています。一方で、起業目的で第三者が個人事業を買い取るニーズは増えており、環境も整ってきました。

後継者が見つからないならM&A総合研究所に相談しよう

もしも個人事業の後継者が見つからないなら、M&A総合研究所にご相談ください。このまま後継者が見つからなければ、廃業をしなくてはなりません。せっかく今まで築いてきた事業をなくしてしまうのはもったいないことです。

M&A総合研究所であれば後継者を探せますので、親族や知人に後継者がいなくても、事業譲渡を利用して事業を引き継いでもらうことも可能です。

M&A総合研究所では、個人事業主の事業譲渡に詳しいM&Aアドバイザーが案件をフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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2. 個人事業主による事業譲渡の手続き

個人事業主が事業譲渡を行う際は、譲渡側は廃業するための、譲受側は開業するための手続きがそれぞれ必要です。譲渡側と譲受側の手続きをそれぞれ解説します。

譲渡側

譲渡側では、以下の手続きが必要です。

  • 税務署へ廃業届を提出
  • 青色申告の取りやめ届出書を提出
  • 事業廃止届出書を提出
  • 所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書を提出
  • 取引先への連絡

それぞれの手続き内容を解説します。

税務署へ廃業届を提出

譲渡側は事業譲渡が決定したら、まず税務署へ廃業届を提出します。「個人事業の開業・廃業等届出書」に必要事項を記載し、管轄の税務署に提出します。都道府県税事務所へも廃業届を提出しなければなりません。

書類の書き方や期限は都道府県によって違うため、あらかじめ確認が必要です。

青色申告の取りやめ届出書を提出

青色申告をしていて青色申告を継続しない場合、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を管轄の税務署に提出します。

事業廃止届出書を提出

消費税の課税事業者だった場合、「事業廃止届出書」も税務署に提出します。提出期限は明記されていません。しかし、事業廃止後なるべく早めに提出することをおすすめします。

所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書を提出

廃業により昨年度の納税額よりも今年度の納税額が減少し、納税が厳しい場合は「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を提出することで予定納税額を減額できます。

所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書を税務署に提出する際は、申告納税予定額がわかる書類を添付して提出します。納税予定額は、大きな差額がなければ概算で問題ありません。

予定納税は7月と11月の2回行うため、両方とも減額申請する場合は7月1日から7月15日まで、11月分のみの場合は11月1日から11月15日までに申請します。提出期限が土日・祝日に当たっている場合は、翌営業日が提出期限です。

取引先への連絡を行う

個人事業主の場合、事業主の人間関係によって取引先との関係が続いていることも少なくありません。事業を引き継ぐ際は、譲受側のためにもしっかりと取引先への連絡、説明を行う必要があります。

譲受側が個人の場合

譲受側が個人の場合は、以下の手続きが必要です。

  • 税務署へ開業届を提出
  • 青色申告承認申告書を提出
  • 青色事業専従者給与に関する届出書を提出
  • 雇用契約書を提出
  • 商号(屋号)の引き継ぎを行う
  • 許認可の再申請を行う

それぞれの内容を解説します。

税務署へ開業届を提出

譲受側の個人が事業を引き継ぐには、管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出して開業します。開業届を提出することで、青色申告で確定申告ができたり屋号を持てたりと、税金面や信用面でメリットが得られます。

青色申告承認申告書を提出

「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで、確定申告の際に青色申告を行えます。青色申告をすることで、特別控除や繰越控除など、税金面でさまざまなメリットが得られるでしょう。

白色申告よりも青色申告の手間がかかるデメリットもあります。しかし、税理士などの専門家に任せたとしても税金面のメリットが上回るのが一般的です。

青色事業専従者給与に関する届出書を提出

家族と一緒に事業を行っていて、その家族に給与を支払っている場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することで支払い給与の全額を経費にできます

ただし、青色事業専従者と認められるには、届出書の提出以外にも条件があるため注意が必要です。

雇用契約書を提出

従業員を雇う場合は、雇用契約書を採用者と取り交わします。雇用契約書には、労働基準法で定められた項目を記載しなければなりません。採用者から雇用に関わる書類を提出してもらいます。他にも税金関係や保険関係の手続きが必要です。従業員の雇用手続きは、本記事で後述します。

商号(屋号)の引き継ぎを行う

屋号の引き継ぎは、開業届に引き継ぐ屋号を記載するのみで完了します。しかし、商号登記されている場合は、そのまま同じ所在地で同じ商号を使えません。法務局で名義変更をする必要があります。

許認可の再申請を行う

個人事業主の事業譲渡では許認可が引き継がれないため、譲受側はあらかじめ許認可を取得しておかなければなりません。許認可の中には取得条件があったり取得に時間がかかったりするものもあるため、管轄の行政機関に確認しながら早期に申請しておく必要があります。

譲受側が法人の場合

譲受側が法人の場合は、以下の手続きが必要です。

  • 事業譲渡契約書の締結
  • 許認可の再申請

事業譲渡契約書の締結

譲受側が法人の場合は、当事者間で事業譲渡契約を結びます。事業譲渡契約書には、譲渡事業の内容・譲渡日・譲渡金額・守秘義務・瑕疵担保責任など、必要に応じて契約内容を記載します。

事業譲渡契約書の記載内容は法令で定められているわけではないものの、後々のトラブルを防ぐためにもしっかりと作成しておくことが望ましいでしょう。

許認可の再申請

個人の場合と同じく、法人も事業譲渡の際に許認可は引き継がれません。もしも譲渡事業の許認可を持っていなければ、管轄行政機関に申請する必要があります。

3. 個人事業主による事業譲渡の注意点

個人事業主が事業譲渡をする際には、いくつか注意点があります。

  1. 自己破産する際のタイミング
  2. 雇用の引き継ぎ
  3. 取引先との関係
  4. 不動産など資産の引き継ぎ
  5. トラブルなく事業譲渡をするなら

これらのポイントを解説します。

①自己破産する際のタイミング

事業譲渡のタイミングが自己破産後や自己破産直前の場合は注意が必要です。事業譲渡が完了した後に破産管財人によって破産手続きが進むと、事業譲渡契約の内容によっては事業譲渡が否認されてしまうことがあります。

破産管財人の判断によっては、事業に必要な資産が処分されてしまう場合があるでしょう。

自己破産と事業譲渡を組み合わせる場合は早めに自己破産申請を行い、破産管財人に事業譲渡契約書の内容を確認してもらいながら、事業譲渡の必要性を説明することが望ましいです。

②雇用の引き継ぎ

個人事業主の事業譲渡では、従業員の雇用契約は引き継がれません。従業員を引き継ぐ場合は、あらためて雇用契約書を採用者と取り交わします。雇用契約書の手続き以外にも、保険関係の手続きや税金関係の手続きをし直す必要があります。

③取引先との関係

個人事業主と取引先の関係は、長い時間をかけた人間関係でつながっている場合も多くあります。事業譲渡によって人が代わってしまうと、取引もそこで終わりにする取引先も少なくありません

親族間の事業譲渡の場合は、数年間の事業承継計画を立てて後継者への技術承継を進めたり、取引先やなじみの顧客と後継者との信頼関係を築いたりすることが必要です。

第三者へ事業譲渡を行う場合は、どの取引先・顧客が残りそうか、離れていきそうかを分析・把握しておかなければなりません。

④不動産など資産の引き継ぎ

店舗のある事業を引き継ぐ場合、譲受側は不動産を買い取る資金も用意しなければなりません。しかし、個人が買い取る場合、買取資金不足が問題になります。その場合は賃貸契約か使用貸借の形を取るのが一般的です。

賃貸契約は有償で貸し出すことで、使用貸借とは無償の貸し出しのことです。親から子への使用賃借では贈与税は発生しません。

不動産を買い取るか、賃貸契約や使用貸借の契約にするかは、当事者の関係や状況によって変わるため注意が必要です。

⑤トラブルなく事業譲渡をするなら

個人事業主の事業譲渡では、さまざまな注意点があります。特に従業員や取引先の引き継ぎは、なかなか思うように引き継げないケースも多いでしょう。M&Aの成功率は通常3割から5割とされています。しかし、事業譲渡に精通したM&Aアドバイザーに協力してもらうことで、成功率を上げることが可能です。

M&A総合研究所には、個人事業主の事業譲渡案件の経験が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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4. 個人事業主による事業譲渡の税金

個人事業主が事業譲渡する場合、個別の資産によって税金が変動します。所得税は所得区分によって総合課税と分離課税に分かれ、消費税は譲渡する資産によって課税と非課税で分かれる仕組みです。

以下で、所得税の所得区分と消費税の課税、非課税資産を解説します。

所得税

個人事業主が事業を売却すると、譲渡益に対して所得税が課せられます。所得区分は譲渡所得です。

所得は、所得区分によって総合課税と分離課税に分かれます。所得区分が譲渡所得の場合は、同じ所得区分でも譲渡する資産によって総合課税になる場合と分離課税になる場合があります。

分離課税となる所得区分は、株式・建物・土地などの譲渡所得です。一方、総合課税となる所得区分は、株式・建物・土地を除いた譲渡所得です。

所得区分が分離課税に該当している資産は、譲渡所得にかかる税金を低くできる場合があります。一方、所得区分が総合課税に該当する資産は、分離課税と比べて税金が高くなることもあります。

消費税

事業譲渡は事業用資産の売買取引であるため、基本的には消費税が課せられます。しかし、資産によっては税金がかからないものもあります。土地・有価証券・債権の譲渡では消費税が非課税です。

生活用資産には、消費税が課せられません。譲渡資産に事業と日常生活両方で使っている動産(車や機械設備など)がある場合は、事業専用割合によって課税額も変わります

個人事業主も利用可能な事業承継税制

法人には事業承継税制がありますが、令和元年の税制改正で個人事業主にも事業承継税制が作られています。
 
税金を優遇して後継者に事業を承継しやすくするのが事業承継制度で、個人事業主が事業承継を行うときの贈与税・相続税を猶予あるいは免除するものです。一定要件を満たす必要がありますが、後継者は事業承継の際に納税資金を準備せずに済むため、事業承継を行いやすくなります。

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5. 個人事業主による事業譲渡の成功ポイント

本章では、個人事業主が事業譲渡を成功させるためのポイントから代表的な5つをピックアップし、順番に解説します。

収益の整理

個人事業の事業譲渡を成功させるうえで、資産価値と利益の把握は必要不可欠です。一般的に、個人事業主は、自身の事業に関する純粋な利益・経費の額を把握していないケースも多く見られます。売却の前には、実態に沿った事業の利益額がどれほどになるのか、綿密に計算しておくことが大切です。

事業内容のアピール

M&Aによる事業譲渡では、異業種企業を相手に売却するケースもあるため、業界やビジネスの内容を把握していない相手でも自身の事業内容を理解できるようにアピールしましょう。

M&A仲介会社やアドバイザリー会社に依頼している場合、専門家が事前に事業や財務に関してヒアリングし、買手に提案する際に用いる概要書を作成します。アドバイザーが作成した資料を業界・会社のことを把握していない人が見ても理解できる内容になっているか、チェックしておくことが大切です。

優秀な従業員の確保

個人事業主の場合、社長のリーダーシップでビジネスが成立しているケースも多いでしょう。社長なしでは事業が立ち行かなくなる場合、数年先を見据えてマネージャーを育成しておくことも重要です。事業譲渡を行っても事業が継続するよう、優秀な従業員の確保・育成を意識しましょう。

シナジー効果の得られる相手先の選定

M&Aによる事業譲渡では、一般的に買い手はシナジー効果の獲得を期待しています。シナジー効果の見込める会社と事業譲渡を行うと、その後に売上の増加が見込めるために、売却側・買収側の双方にポジティブな影響が及ぶ可能性が高いでしょう。

6. 個人事業主による事業譲渡の契約書の書き方

個人事業主が事業譲渡をする際に必要な契約書を本記事で前述しました。

  1. 廃業届出書
  2. 青色申告の取りやめ届出書
  3. 事業廃止届出書
  4. 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請
  5. 開業届出書
  6. 青色申告承認申請書
  7. 青色専従者に関する届出書
  8. 従業員を雇用する際の手続き
  9. 各種書類の提出時期について

以下でこれら各種契約書の書き方を解説します。

①廃業届出書

廃業届出書

国税庁「廃業届出書」

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

廃業届には以下の項目を書き入れます

  • 管轄の税務署名
  • 廃業届の提出日
  • 納税地・氏名・生年月日・職業・屋号など(個人事業の開業届出書と同じ内容を記入)
  • 届け出の区分:廃業に丸をして廃業事由を記入
  • 譲渡先の住所・氏名
  • 廃業日
  • 青色申告の取りやめ届出書、事業廃止届出書の提出:有・無に丸をする
  • 事業の概要
  • 給与などの支払いの状況があれば記入

②青色申告の取りやめ届出書

青色申告の取りやめ届出書

国税庁「青色申告の取りやめ届出書」

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200008.htm

青色申告の取りやめ届出書には、以下の項目を書き入れます

  • 管轄の税務署名
  • 青色申告の取りやめ届出書の提出日
  • 納税地・氏名・生年月日・職業・屋号など(個人事業の開業届出書と同じ内容を記入)
  • 令和何年分から青色申告による申告を取りやめるか記入
  • 青色申告を受けていた期間
  • 青色申告を取りやめる理由(廃業のため、など)

③事業廃止届出書

事業廃止届出書

国税庁「事業廃止届出書」

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/1461_06.pdf

事業廃止届出書には、以下の項目を書き入れます

  • 事業廃止届出書の提出日
  • 管轄の税務署名
  • 届出者の住所・氏名・個人番号など
  • 事業廃止年月日
  • 納税義務者となった年月日

④所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請

国税庁「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請」

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/r02gengaku.pdf

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請には、以下の項目を書き入れます

  • 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請に関する提出日
  • 管轄の税務署名
  • 住所・氏名・職業・電話番号
  • 予定納税通知書に記載の金額
  • 減額申請の理由(廃業のため、など)
  • 添付書類の名称
  • 申告納税見積額などの計算書
  • 予定納税額

⑤開業届出書

開業届出書

国税庁「開業届出書」

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf

開業届には、以下の項目を書き入れます

  • 管轄の税務署名
  • 開業届の提出日
  • 納税地・氏名・生年月日・職業・屋号など
  • 届け出の区分:開業に丸をして事業引継ぎを受けた先の住所・氏名を記入
  • 所得の種類
  • 開業日
  • 青色申告承認申請書、課税事業者選択届出書の提出:有・無に丸をする
  • 事業の概要
  • 従業員を雇う予定の場合は、給与等の支払いの状況に記入
  • 従業員を雇う予定の場合は、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無に丸をする

⑥青色申告承認申請書

青色申告承認申請書

国税庁「青色申告承認申請書」

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/10.pdf

青色専従者に関する届出書には、以下の項目を書き入れます

  • 管轄の税務署名
  • 青色専従者に関する届出書の提出日
  • 納税地・氏名・生年月日・職業・屋号など
  • 青色申告開始年
  • 事業所が複数ある場合は名称と所在地を記入
  • 所得の種類
  • 過去に青色申告承認の取り消しや取りやめがあるかの有無に丸をする
  • 個人事業の開業日
  • 相続による事業承継であれば「有」に丸をして相続開始年月日と被相続人の氏名を記入、相続による事業承継でなければ「無」に丸をする
  • 簿記方式:複式簿記に丸をする
  • 備付帳簿名:現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳、預金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳に丸をする

⑦青色専従者に関する届出書

青色専従者に関する届出書

国税庁「青色専従者に関する届出書」

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/13_14.pdf

青色専従者に関する届出書には、以下の項目を書き入れます

  • 届出に丸をする
  • 管轄の税務署名
  • 青色専従者に関する届出書の提出日
  • 納税地・氏名・生年月日・職業・屋号など(個人事業の開業届出書と同じ内容を記入)
  • 給与の支給に関して定めた年月
  • 専従者給与に関する項目を記入

⑧従業員を雇用する際の手続き

従業員を雇用する際の手続きには、主に下記の事項が必要です。

  • 雇用契約書の取り交わし
  • 社会保険や労働保険の加入手続き
  • 所得税や住民税に関する手続き

それぞれの手続きを解説します。

雇用契約書の取り交わし

従業員を雇用する際は、雇用契約書を取り交わします。雇用契約書の記載事項は、以下のように法令で規定されています。

  • 契約期間
  • 就業の場所
  • 従事すべき業務の内容
  • 始業、終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定時間外労働の有無に関する事項
  • 休日
  • 休暇
  • 賃金
  • 退職に関する事項

パートやアルバイトの雇用契約の場合は、上記に加えて、昇給・賞与・退職手当を設けるかどうかも記載する決まりです。

社会保険や労働保険の加入手続き

社会保険は、従業員を常時5人以上雇っている個人事業所に適用されます。適用事業所で従業員が一定の条件を満たしている場合は、社会保険の加入手続きが必要です。

雇用保険は31日以上雇い続ける予定であり、所定労働時間が週20時間以上になることが見込まれる場合は加入手続きが必要です。

所得税や住民税に関する手続き

雇用した従業員には、前職の「給与所得等の源泉徴収票」があれば提出してもらいます。「令和〇〇年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入し提出してもらいます。提出してもらったら、個人事業主は「給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」を作成する段取りです。

住民税に関する手続きは、従業員が雇用前に納税通知書によって自ら納付していた普通徴収か、給与から天引きして納付していた特別徴収かによって手続き方法が異なります。

普通徴収だった場合は、住民税の納付書や領収書とともに「特別徴収への切替申請書」を提出します。特別徴収だった場合は、「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を提出する決まりです。

⑨各種書類の提出時期について

本記事で紹介してきた各種書類の提出期限を以下にまとめました。

開業届出書

開業届出書は、事業の開業等の事実があった日から1カ月以内に所轄の税務署長に提出します。

廃業届出書

廃業届出書は、事業の廃止などの事実があった日から1カ月以内に所轄の税務署長に提出します。

青色申告の取りやめ届出書

青色申告の取りやめ届出書は、青色申告書による所得税の申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出します。

事業廃止届出書

事業廃止届出書では、期間は定められていませんが、提出すべき事由が生じた場合に速やかに提出します。

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請は、7月分と11月分両方減額申請する場合は7月1日から7月15日まで、11月分だけの場合は11月1日から11月15日までに申請します。提出期限が土日・祝日に当たっている場合は、翌営業日までに提出します。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は、最初に青色申告をしようとする年の3月15日までに提出します。1月16日以降、新たに事業を開始したり不動産の貸付けを行ったりした場合には、事業開始日か2カ月以内に提出します。

青色専従者に関する届出書

青色専従者に関する届出書は、給与を経費にする年の3月15日までに提出します。1月16日以降、新たに事業を開始したり年の途中から事業専従者が働きだしたりした場合は、その日から2カ月以内に提出します。

7. 個人事業主による事業譲渡の相談先・専門家

事業譲渡を行うためには、膨大な作業と専門知識が必要です。そこで、事業譲渡に関して相談すべき専門家を確認しておきましょう。

事業譲渡で相談すべき専門家は以下のとおりです。

  1. 税理士
  2. M&Aコンサルタント

それぞれの業務内容を紹介します。

①税理士

事業譲渡を行う場合、税理士に相談することが望ましいでしょう。どのような方法で事業譲渡をする場合でも、税金対策は必須です。

税務相談は税理士のみに認められた独占業務であり、資格がなければ行えません。事業譲渡やM&Aに強い税理士に相談し、節税を行ってください。

②M&Aコンサルタント

M&AコンサルタントやM&Aアドバイザーなど、M&Aの知識が豊富な専門家に相談することもおすすめです。事業譲渡先の相談や事業譲渡の戦略策定、条件交渉などのアドバイスをしてくれます。

特に周囲にふさわしい譲渡先が見つかっていない場合、譲渡先探しから始めなければなりません。

税務に関する相談は行えませんが、最適な専門家を紹介してもらえます。事業譲渡・M&Aの専門家にも事前に相談しておくことで、スムーズに契約が進められるため、早めに声をかけておきましょう。

8. 個人事業主の事業譲渡はM&A総合研究所に相談しよう

個人事業主の事業譲渡をお考えの際は、M&A総合研究所にご相談ください。個人事業主の事業譲渡は、法人同士の事業譲渡とは違って事業主の負担が大きいでしょう。事業譲渡にかかりっきりになってしまうことで、肝心の本業が立ち行かなくなることも考えられます。そうなれば、売り上げが落ちてしまい、譲渡価格も下落しかねません。

M&A総合研究所では、さまざまな業界のM&A・事業承継を成約させてきたM&Aアドバイザーが案件をフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談は電話・Webより随時受け付けていますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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9. 個人事業主の事業譲渡まとめ

個人事業主の事業譲渡は、事業を売却してリタイア資金を得る目的で行われます。最近は、親族への事業承継が少なくなり、後継者に悩んだ末に第三者へ事業を売却するケースも多いです。

ただし、個人事業主の事業譲渡は複雑です。所得税や税金などの取り扱いにも注意しなければなりません。引き継ぎがうまくいかなかったことで、事業譲渡後の事業が失敗に終わったり、トラブルになったりする事例もあります。

事業譲渡を検討するのであれば、M&Aに精通しているM&Aアドバイザーに相談することをおすすめします。

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