2021年03月03日更新
M&Aの流れ・手順を解説!進め方、手続きのポイントは?

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
M&Aにて事業継承(譲渡)を行うにはいくつかの手続きや手順(進め方)があります。M&Aの流れをある程度把握しておくと取引もスムーズに済みます。そこで今回はM&Aの流れ・手順を解説し、進め方や手続きに重要なポイントなどもまとめましたのでご覧ください。
1. M&Aの流れ・手順(進め方)を解説!
M&Aの基本的な流れ・手順(進め方)は、意思決定からコンサル会社との契約、経営者同士の面談などさまざまなプロセスがあり、最後に書類など手続きを済ませ、公表までするとM&A契約成立となります。今回はそのM&Aの流れを12の手順に分けてまとめました。
2. M&Aの手続き
M&Aの流れ・手順(進め方)を12のプロセスに分けて解説していきます。
- 事前準備
- コンサル会社との秘密保持契約
- 自社の分析
- アドバイザリー契約
- 買い手へのアプローチ
- 経営者同士の面談
- 条件交渉
- 基本条件の合意
- デューデリジェンス
- 最終的な条件交渉
- 売買成立
- M&Aの公表
基本的な流れは以上です。各プロセスで必要な手続きなどのポイントも説明していきます。
M&Aの手続き①事前準備
M&Aは将来の方向性や目標を決めることが手続きとして大事な一歩になるので、会社を譲渡することについて真剣に考え、本当にM&Aという選択で間違いないのかを検討するのも重要な手続きといえます。
そのときには第3者意見も受けられるコンサル会社に相談することが望ましいです。
相談の際にはM&Aが成立するかどうかやM&Aの売却価格の目安やメリット、買い手側としてはどのような企業がいいのかなどが挙げられます。
また、具体的なアドバイスを受けるために決算書などを持ち込み個別相談を受ける企業もあります。
どのような流れや手続きでM&Aを進めていくのかを決めていき、整理していくのが事前準備です。
M&Aの手続き②コンサル会社との秘密保持契約
M&Aの方向性や目標が決まったら、次の手順(進め方)としてコンサル会社との契約の手続きとなります。このときに必要な手続きが秘密保持契約を結ぶことです。
秘密保持契約は多数ある契約の手続きの中で最も重要な契約ともいえ、この契約を行うことでM&Aを進めていくうえで企業秘密の情報などが守られます。
特に譲渡する側の企業は情報管理を厳重に行う必要があります。M&Aの実行自体、周囲に知られない方がいいケースが多く、顧客などがいる場合には不安を抱く可能性も高くなるためです。
情報漏えいなど機密情報が流れるとM&Aの目的を達成できなくなる可能性もあるため、買収する側も譲渡する側にも大切な契約となります。
M&Aの手続き③自社の分析
次の手順(進め方)では、買収する側の企業に条件を提示する資料作成のために自社の分析をしていきます。
M&Aのコンサル会社との面談を基に提案資料の作成をしていくのですが、より具体的な内容にするために「決算書」や「企業概要書」などを用意します。
この資料は買収する企業を探す際に活用され、M&Aの方向性や将来の目標などを明確にします。
M&Aの手続き④アドバイザリー契約
M&Aの方向性や目標が決まったら次はコンサル会社とのアドバイザリー契約の手続きです。M&Aを進めていく手順で譲渡する側の企業と買収する側の企業の両方がこの契約を結びます。
譲渡する側の企業と買収する側の企業で利害が対立することもあるため、別の仲介会社と契約するのが原則です。しかし、中小企業の場合は一つの仲介業者が双方と契約することもあります。
その際にM&Aをどのような流れで進めていき、何を優先してどのような方針で進めるのかを細かく決めます。そして「自社分析」した資料などから会社の経営資源や資産、負債などを踏まえて、譲渡する売却価格なども決めていきます。
また、このアドバイザリー契約によって、仲介会社の業務範囲や報酬、免責なども決めます。
M&Aの手続き⑤買い手へのアプローチ
M&Aの手順や方向性が決まったら次の手続きは買収する側の企業へのアプローチです。譲渡先になりそうな企業をリストアップし、条件に合う候補を絞り込んでいきます。
ここで「ノンネームシート」という匿名の企業概要を譲渡先とする会社に提示して検討してもらい、買収を希望する企業から詳細な情報などを求められた場合は、秘密保持契約を交わし開示します。
また、買収する企業側に対して会社名や重要資料などを提示することを「ネームクリア」といいます。この段階で公開するべき情報とそうでない情報は明確にしておかなければ、リスクが生じる恐れがあるので仲介会社のアドバイザーと決めておきましょう。
M&Aの手続き⑥経営者同士の面談
現トップ経営者同士の面談も重要な手続きの一つです。通常では2、3度の面談が行われる流れです。
しかし、譲渡する企業と買収する企業のトップ経営者同士が、顔を合わせて話ができるのは、基本的な流れだとこの1度だけだと考えた方がいいでしょう。
話の内容としては、M&Aの方向性や将来性、M&Aの売却価格などです。1、2時間程度の限られた時間ですが、トップ経営者が譲渡する側と買収する側として話し合うのは貴重な機会であり、M&Aを成功させる影響のある手続きになります。
M&Aの手続き⑦条件交渉
M&Aの手続きを進めていく手順で重要な部分となるのがこの条件交渉です。トップの経営者同士面談では、信頼関係を築き理解を深めることが目的です。
一方、条件交渉の手続きでは経営者、役員、従業員などの処遇や最終契約までの手順、その期間に守らなければならない秘密事項、守秘義務について固めていきます。その後に、M&Aの細かい条件を決め、売却価格を決定します。
M&Aの手続き⑧基本条件の合意
トップ面談や基本条件が決まればM&Aにおける「意向表明書」を買収する側の企業から受け取ります。合意したら「基本合意契約書」を作成する手続きです。
この「基本合意契約書」には「M&Aの買収・売却価格」「M&Aの買収・売却方法」「M&Aの時期」「独占交渉権の付与」などが記載され、必要に応じて付け足したり外したりする場合もあります。
「独占交渉権の付与」は買収する側の企業が他社と競争せずにM&Aを実施できるため、重要視されるでしょう。
そして両者がこの基本合意書契約書に同意したら基本合意契約の手続きが完了です。
M&Aの手続き⑨デューデリジェンス
デューデリジェンスとは買収する側の企業から依頼を受けた公認会計士や弁護士が、売却する側の企業調査を実施することです。
基本的にはデューデリジェンスは買収する側の企業が行うことですが、情報提供を求められれば提示する義務があるので、こちらもM&Aにおける手続きの一つです。
ここで都合の悪い情報を隠してしまうと、後々のトラブルになりかねません。しっかりと情報の提示を行いましょう。
また基本的な流れとしてデューデリジェンスは基本合意契約書ができ、独占交渉権を得てから行う企業が多いため情報提供を求められるのはその後だと考えておきましょう。
M&Aの手続き⑩最終的な条件交渉
デューデリジェンスの結果も含め、M&Aの手続きを進めることに問題がなければ「最終譲渡契約書」の締結へと進みます。
これまでの流れで両社ともに得られた情報を基にM&Aを実行するか否かの最終決定をします。
このときに取締役会や株主総会での承認が必要となる場合があるため、自社内での準備もしておいた方がいいでしょう。
また、M&Aの方法によって名称が異なり、例えば、株式譲渡による方法でM&Aを行う場合には「株式譲渡契約書」が最終譲渡契約書となります。
この手続きを疎かにするとM&A成立後のトラブルになる可能性もあり、これまで費やした時間や手間が無駄になる恐れがあります。最後までしっかりと手続きを行いましょう。
M&Aの手続き⑪売買成立
基本的な流れでは「最終譲渡契約書」の締結が終わるとM&Aは完了となりますが、場合によっては最終譲渡契約書の締結が終わった後でもいくつかの手続きをしなければならないことがあります。
株券の引き渡しや会社代表印の引き渡しなどの手続きがあり、これらの手続きを終えると、「クロージング」となりM&Aの手続きが完了です。
最終譲渡契約書の締結からクロージングまで一定の期間を空けるケースが基本的な流れですが、契約書の締結とクロージングを同時に完了させるケースもあるため、クロージングの期間は両社で話し合い決めていきましょう。
大企業のような組織再編が目的のM&Aでは手続きに1ヶ月以上かかることが大半です。M&Aのスケジュールには余裕をもたせることも重要です。
M&Aの手続き⑫M&Aの公表
M&Aの流れ・手順(進め方)の最後は、関係者やマスコミへの公表です。中小企業では取締役や従業員、大企業ともなればマスコミなどにも大体的に公表する方法があるでしょう。
基本的な流れでは、最終譲渡契約書の締結など必要な手続きが全て終わってからになりますが、方法やタイミングを間違えると情報管理の部分として、M&Aが破談になることもあるので注意が必要です。
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3. M&Aの手続きに関する注意点
M&Aの手続きをするうえで、専門的なことや契約書などいくつか注意点があります。
それらの注意点をしっかりと理解して行わなければ、後ほどトラブルになるなど経営に支障が出ることもあります。ここではM&Aの手続きに関する注意点をまとめてみました。
M&Aの進め方の注意点①秘密保持契約書
まずは秘密保持契約書における注意点です。M&Aの取引の中で非常に重要な契約書の一つです。
M&A取引における情報管理が適切でない場合、それを基に株式の売買など当事者や関係者によるインサイダー取引や独占禁止法などの法令行為に惹起する可能性があります。
誤った情報により予定していた公開買い付け価格を株価が上回るなど、情報漏えいによって取引価格に影響が出る場合は対象会社に労働組合などの反対の動きがでて、取引がもつれる可能性があります。
M&Aの進め方の注意点②基本合意書
M&Aの進め方の中に「基本合意書」が出てきましたが、こちらも注意して手続きしなければなりません。
M&Aの基本的流れの中では、さまざまな法律を考慮して問題が出ないように進める必要があります。その中には「独占禁止法」が含まれています。
この基本合意書の締結の際には、市場集中規制や届出規制がチェックされる観点です。
「市場集中規制」とは市場など特定の取引分野で自由な競争を制限するような企業の結合を禁止するものです。
M&Aを行う場合には、公正取引委員会のサイトで「企業結合審査に関する独占禁止法の運用方針」をチェックする必要があります。
「届出規制」とは会社の分割・合併や事業の譲受や株式の保有、共同株式移転を行う際に一定の要件が満たされる場合には事前に構成取引委員会への届出が義務付けられています。
公正取引委員会のサイトで「運用制度」のページに詳細が載っていますので、チェックしておくといいでしょう。
M&Aの進め方の注意点③最終契約書
M&Aの基本的な流れの中で最後に注意するポイントは「最終契約書」です。M&Aの最終契約書には、譲渡内容(事業や株式)や譲渡価格を記載します。
また、M&A後のトラブルにならないために、互いにM&A取引を行えるだけの能力があることも確認し、デューデリジェンスで出た問題以外にも問題がないか確認し、記載するといいでしょう。基本的に承継会社の裁量になりますが、売買時に取り決めを行うことも可能です。
4. M&Aを始める前の確認事項
M&Aを行う際は、いろいろな手続きを行うことになります。そのため、事前の準備が重要です。準備を怠ってしまうと、M&Aによる対価、場合によってはM&Aにおける成功の可否にも影響をおよぼすことがあります。
そのため、M&Aの手続きの準備を行う前には、特に下記のことをしっかりと確認するようにしましょう。
- M&Aを行う目的の明確化
- 銀行への相談
- ファイナンシャルアドバイザーへの相談
5. M&Aの手続きの期間
M&Aの基本的な流れの期間は10ヶ月から1年超とされています。いろいろな条件が重なり早い場合だと1ヶ月〜3ヶ月という期間で終わるケースもありますが、早く取引を済ませたいと考えると不利な条件を飲まなければいけない場合も多いようです。
逆に売却希望価格が高かったり、条件を厳しく設定したりすれば、1年以上かかってしまうケースもあります。
どちらにしてもリスクがあるケースもあるため、アドバイザーと相談する際にしっかりと方向性を決めてからM&Aを進めていくのがいいでしょう。
6. M&Aの流れ・手順まとめ!
M&Aの基本的な流れや手順(進め方)の中には、いろいろな手続きがあります。そのような手続きの中で一番重要といえるのが情報管理の部分でしょう。M&Aを進めるうえで、これを失敗するとM&Aそのものが破断になりかねません。
また、ケースによっては手順が多少前後する可能性もありますが、基本的な流れとしては今回まとめた内容なので、上記の流れを参考にしながらスムーズにM&Aを進められるよう準備しましょう。
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