2022年06月06日更新
SES事業は事業譲渡(事業売却)できる?譲渡の流れ・メリット・事例を解説
SES(システムエンジニアリングサービス)の事業譲渡や事業売却について、事例やメリット、注意点などを詳しく説明します。SES事業の売却価格の相場もわかるため、SESの事業譲渡(事業売却)を考えているなら必見です。ぜひ参考にしてください。
目次
1. SES業界の事業譲渡(事業売却)は可能!4つの理由を紹介
SES業界でも事業譲渡は可能といえます。なぜなら、ビジネスのデジタル化が進みさまざまな商品やシステムが生まれており、ITやソフトウェア関係の需要が拡大しているからです。
具体的に、SES業界の事業譲渡ができる理由は以下の4つがあります。
- AI・IoT技術など独自の強みがあれば買い手は見つかる
- 業界が人材不足のため需要が高い
- 同業の企業によるSES事業の買収が増加している
- 海外企業による国内SES事業の買収が増加している
1つずつ見ていきましょう。
①AI・IoT技術など独自の強みがあれば買い手は見つかる
会社に独自の強みがあれば買い手は見つかりやすいといえます。なぜなら、その強みによって譲渡後も競争に勝ち抜けると判断されやすく、買い手へのアピールがしやすいからです。
SES事業は自社の強みをはっきりさせて技術者を派遣しなければ、会社価値を低下させてしまいます。例えば、AI・Fintech・IoTなどを習得した技術者が多数在籍していれば、対象企業への派遣サービスの需要を高めることが可能です。
ですから、独自の競争力がある会社なら買い手は見つけやすいでしょう。
②SES業界が人材不足のため需要が高い
SES業界は事業譲渡の需要が高いといえます。なぜなら、慢性的な人手不足によりエンジニアの取り合いが続いているからです。
SES業界の技術者は若い人が少なく、人材確保と育成が課題として挙げられます。そのため、たとえ未経験者であっても採用して育成しようとする企業が多いです。
しかし、未経験者の採用から一人前の技術者まで育成するには、時間や金銭のコストがかかります。
一方で、SES事業を買収すれば、育成の手間を省いて経験やスキルを持った技術者の確保が可能です。そのため、SES業界の事業譲渡は需要が高いといえるでしょう。
③労働派遣事業が許可制になった
同業の企業がSES事業を買収する事例が増加しています。なぜなら、労働派遣事業が許可制に移行したからです。
平成30年9月30日に労働派遣法が改正されたことで、許可が得られていない事業者は派遣業ができなくなりました。許可を得るためには、一定の資産を確保したうえで現金預金を増やしたり、雇用管理を適切にしたり要件を満たす必要があります。
もし自社だけで要件を満たすことができなければ、事業譲渡や売却で自社を存続させるか、廃業して事業や会社をたたむことになります。そういった企業を資本力が高い大手SES事業社が買収して人材を確保することが多いです。
ですから、同業の企業によるSES事業の買収が増加しているといえます。
SES事業の譲渡事例について以下の記事で説明していますので、実例を知りたいという人は確認してみてください。
④海外企業による国内SES事業の買収が増加している
海外企業が日本国内のSES事業を買収する事例も増加しています。なぜなら、システム開発コストが抑えられる仕組みが作れるからです。
アメリカなど、日本に比べてシステムの利用規模が大きい国であれば、システムの開発や運用を外部委託すると多額の費用がかかります。そこで、SES事業を買収することで、開発費用を抑えられるのです。
SES事業を買収すれば、「情報漏えいのリスクが抑えられる」「システムの不具合にすぐ対応できる」などのメリットがあります。ですから、海外企業はスキルレベルの高い技術者がいるSES事業を買収するのです。
海外企業も含めてSES事業の買収ニーズが高いため、SESの事業譲渡は十分にチャンスがあるといえるでしょう。
2. SES業界における事業譲渡(事業売却)の準備から譲渡までの5ステップ
ここでは、SES業界における事業譲渡(事業売却)の進め方について紹介します。事業譲渡の流れは、以下の5ステップです。
- 事業譲渡(事業売却)の計画を立てる
- M&A仲介会社を決定する
- 基本合意契約を締結する
- デューデリジェンスを受ける
- 最終契約を締結する
1つずつ見ていきましょう。
①事業譲渡の計画を立てる
最初に事業譲渡の計画を立てます。期間やかけられる費用、会社の強みなどをリストアップしましょう。
主に以下の点について挙げてください。
- いつまでに完了したいか
- どのくらい費用をかけられるか
- ITパスポートなどの資格を持った従業員がいるか
- 取引先はどれくらいあるか
- 現在の収益はどれくらいか
- 今後の収益の見とおしはどうか
完了までの期間とかけられる費用を挙げて、事業譲渡を行うのかを検討しましょう。
そして、現在の経営における改善点やITパスポートなどの資格を持っている従業員の数についても挙げておく必要があります。事業譲渡の完了時の経営状態や優秀な従業員の数によって、譲渡の価格は上下するからです。
また、取締役会があれば立てられた事業譲渡計画の承認を取ってください。その際は、取締役会における過半数以上の承認が必要です。
ですが、事業調査や計画の決定は、経営者が一人で行うには負担がかかりすぎてしまいます。そのため、信頼できる役員などに相談して協力をしてもらいましょう。
②M&A仲介会社を決定する
事業譲渡の計画が立て終わったら、サポートを依頼するM&A仲介会社を決定しましょう。M&A仲介会社に依頼すると、専門家による事業譲渡のサポートが受けられます。
M&A仲介会社をお探しの場合は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には事業譲渡に精通したM&Aアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートいたします。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。
③基本合意契約を締結する
譲渡先と条件が決定した後は、基本合意契約書を作成してください。基本合意契約書とは、売り手と買い手が決めた譲渡の条件を記載した契約書のことをさします。
基本合意契約には、以下の内容を記載してください。
- 取引方法について
- 売却価格について
- 今後のスケジュールについて
- デューデリジェンスの協力義務について
- 独占交渉権の付与について
- 負債の引き継ぎについて
- 従業員の雇用について
事業譲渡であれば、譲渡する内容を指定できます。例えば、負債の扱いや従業員の処遇などを買い手と売り手が交渉し合って譲渡する内容を決定するのです。
ですから、買い手側が負債を引き継がない可能性があるので、売り手側に負債が残ってしまうことがあります。基本合意契約の段階で譲渡箇所を交渉しましょう。
基本合意契約が結ばれた後は、事業譲渡が本格的に進みます。デューデリジェンスで問題がなければ、基本合意契約の内容が最終契約まで続くので、譲渡内容は全て確認してください。
④デューデリジェンスを受ける
基本合意契約を結んだら、デューデリジェンスを受けてください。デューデリジェンスは、買い手側が売り手側に対して経営や人事に関する調査を行うことをさします。
調査する内容は以下のとおりです。
- 企業の沿革
- 直近の収益状況
- 取引先
- 役員・従業員の人数・年齢・スキル・給与
- 労働時間
- 残業手当の支給状況
- M&A後に削減できるコスト
- 事業上のトラブル
売り手側は、デューデリジェンスに対応するためにさまざまな資料を用意しなければなりません。デューデリジェンスを受ける際は、以下のような資料を用意しておけばスムーズに進められます。
- 定款
- 株主名簿
- 数年分の決算書・税務申告書
- 税金納付証明書
- 経営会議の議事録
- 就業規則
デューデリジェンスで問題が発見されてしまうと、譲渡価格が引き下げられる可能性があります。ですから、専門家も交えて対応をしてください。
問題がなければ、最終交渉のステップに入ります。また、デューデリジェンスについてさらに詳しい内容が以下の記事にありますので、興味のある人は確認してみましょう。
⑤最終契約を締結する
基本合意契約とデューデリジェンスの結果に基づき、最終契約をしてください。もし、デューデリジェンスで問題がある場合、譲渡価格や負債の引き継ぎに関する条件について、再度交渉される可能性があります。
条件に両者が納得すれば、最終契約を結びましょう。最終契約の際に記載する最終合意契約書には、以下の事項を含めてください。
- 譲渡する事業の部分
- 実行日
- 譲渡価格
- 支払い方法
- 従業員の取り扱い
- 株主総会での承認
- トラブル発生時の責任の所在
- 税金や保険料の負担者
- 守秘義務契約
最終契約を結んだ後、譲渡金を受け取り、引き継ぎの手続きをすると事業譲渡は完了です。
また、事業譲渡の流れは以下の記事でさらに詳しく紹介しています。気になる人はぜひ参考にしてみてください。
3. SES業界が抱えている問題点とは?
SES業界には慢性的に抱えている2つの問題点があります。
- 人材不足が深刻化している
- 労働環境が悪い傾向にある
事業譲渡を進めて行くうえで、買い手側のニーズを知るためにこの2つの問題は押さえておくべきです。
売り手と買い手が事業譲渡を成功させるために1つずつ見ていきましょう。
①人材不足が深刻化している
SES業界は人材不足が深刻化しています。現場では最新のAIやIoT技術が従業員に求められており、人材の取り合いが発生しているからです。
ソフトウェア業や情報処理業では競合が多いこともあり、専門性に特化したSEが必要とされています。SES事業は取引企業の希望に応えるため、技術を持った人材を多く確保する必要があるのです。
しかし、中小企業の多くは最新技術を教育する環境や企業を買収するだけの資金はありません。ですから、SES業では慢性的に人材が不足している状態にあるといえます。
②労働環境が悪い傾向にある
SES業は労働環境が悪い傾向にあります。SESの労働契約は指揮命令権の所在や責任が曖昧で、労務管理が雑になりやすいからです。
本来、指揮命令権は自社にありますが、SESは派遣先の企業に委ねられてしまいます。そのため、有給を取りたくても、自社と派遣先の企業に確認しなければなりません。
また、労働時間も派遣先に握られてしまいやすく、長時間労働を強いられることもあります。SES企業全ての労働環境が悪いわけではありませんが、長時間労働を強いられたら従うしかない状況に置かれてしまうので、SES業は労働環境が悪いといわれるのです。
4. SESの事業譲渡(事業売却)におけるメリットとは?
ここからは、SESの事業譲渡(事業売却)におけるメリットを紹介します。メリットは、以下の3つです。
- SES業界に精通した企業が見つけられる
- 自社の従業員の雇用が継続できる
- まとまった現金が入ってくる
順番に確認していきましょう。
①SES業界に精通した企業が見つけられる
事業譲渡をすれば、SES事業に精通した企業に事業を引き継げます。事業譲渡であれば、買い手の企業が業界知識についてどれだけ詳しいか調査したうえで、譲渡を決められるからです。
例えば、「最先端技術の教育ノウハウを持った企業へ譲渡したい」「従業員の労働環境が今より良い企業へ譲渡したい」という要望も叶えられます。
ですから、事業譲渡を利用すれば、SES業界に精通した企業が見つけられるのです。
②自社の従業員の雇用が継続できる
事業譲渡では、自社にいる従業員の雇用を継続することが可能です。もし、SES事業は継続できないからと事業を辞めてしまえば、担当していた従業員は職を失ってしまいます。
しかし、事業譲渡を利用すれば買い手企業に雇用を引き継いでもらえるため、従業員が職を失うことはありません。SES業界は人材不足が慢性的な問題として挙げられているので、事業とともに従業員の雇用も引き継いでもらいやすいです。
③まとまった現金が入ってくる
事業譲渡を行う場合、買い手企業からの譲渡金を現金で取引する手法を選べば、まとまったキャッシュを入手することが可能です。
事業譲渡でキャッシュが得られれば、注力したい他の事業や老後の生活資金に充てられます。
5. SESの事業譲渡(事業売却)で注意すること
SESの事業譲渡(事業売却)には注意点があります。注意点を知らなければ「思ったような形で事業譲渡ができなかった」ということになりかねません。
注意点は以下の4つです。
- 譲渡価格が想定よりも低いことがある
- 譲渡益に税金がかかる
- 負債を肩代わりしてもらえないことがある
- 従業員が離職する可能性がある
1つずつ見ていきましょう。
①譲渡価格が想定よりも低いことがある
譲渡価格が想定よりも低くなる場合があります。譲渡価格の下降原因は、以下のようなことが挙げられます。
- 隠していた負債がデューデリジェンスで見つかった
- 取引先との契約形式に二重派遣など問題がある
- 離職率が高い
- 情報セキュリティ違反などトラブルが多い
- 従業員を管理できる人材が少ない
- 技術者のレベルが買い手企業の想定よりも低い
以上の原因があれば譲渡価格が下がってしまうことが考えられます。問題点を隠して買い手からの信用をなくすようなことはせず、誠実に対応するようにしましょう。
問題点は必ず事業譲渡の前に解決するようにしてください。
②譲渡益に税金がかかる
事業譲渡をした場合、売り手側が得た譲渡益に対して税金が発生します。売り手が事業を譲ると法人税がかかるのです。
法人税は、法人住民税や地方住民税を含めると約30%になります。譲渡益の30%は税金で支払う必要があるため、譲渡価格の全ては手に入れられません。
ですが、税金は引き下げられている傾向にあります。税計算には税務の専門知識が必要なため、税理士や会計士に相談する方が良いです。
③負債を肩代わりしてもらえないことがある
事業譲渡の場合、売り手企業にある負債は買い手企業に引き継がれないことがあります。売り手企業の負債を引き継いで欲しければ、買い手企業の承諾が必要です。
ですから、買い手企業が拒否してしまうと、売り手企業には負債だけが残ってしまいます。譲渡益で負債を返済できれば良いものの、負債が残ってしまうこともあるでしょう。
もし、負債を引き継いで欲しければ、交渉時の段階で契約に含めるようにしてください。事業譲渡の負債について詳しく知りたい場合は、以下の記事で紹介していますので、気になる人は確認してみてください。
④従業員が離職する可能性がある
事業譲渡を行うことで、移籍した従業員が離職する可能性があります。勤務地や企業文化、社風が大きく変わることで、居心地が悪く感じる従業員もいるからです。
従業員が離職してしまうと、買い手企業は思ったようなシナジー効果が得られません。すると、予定していた経営戦略を大きく変更しなければならないのです。
しかしSES事業であれば従業員が資産ともいえるので、従業員の流出を防ぐ対策は交渉時の段階から行うことが多いといえます。ですから、従業員が離職するリスクは最小限に抑えられるでしょう。
従業員の引き継ぎ
SESを事業譲渡する場合、人材の引き継ぎにも注意が必要です。事業譲渡のスキームは、権利義務を包括的に承継しないため、転籍する人材からの同意が必要となります。
買収企業は人材獲得が目的であることが多いため、同意が得られなければクロージング条件が満たせないので、事業譲渡が成り立たないこともあるでしょう。
正式に事業譲渡が決定したときに、個別に転籍してから雇用条件・処遇について説明する機会を作るなどして、しっかりと対策を行うことが重要になります。
6. SESの事業譲渡(事業売却)における3つの事例
ここでは、SESの事業譲渡(事業売却)における事例について紹介します。事例を知れば、企業がどのような目的で事業譲渡をしたのか理解することが可能です。
- キャスレーコンサルティングによるISIDインターテクノロジーへの事業譲渡
- EPコンサルティングサービスによるシーズプロモーションへの事業譲渡
- トリニティコミュニケーションズによるスリープログループへの事業譲渡
1つずつ事例を見ていきましょう。
①キャスレーコンサルティングによるISIDインターテクノロジーへの事業譲渡
2020年6月、キャスレーコンサルティングは、電通国際情報サービスグループのシステム開発会社であるISIDインターテクノロジーとSESの事業譲渡をしています。
キャスレーコンサルティングが持つSES事業とISIDインターテクノロジーの経営資源が融合することになります。
事業に大きなシナジーを生み出せる可能性があることや、ISIDインターテクノロジーと電通国際情報サービスの理念・戦略がキャスレーコンサルティングと高い親和性があることなどから、事業譲渡によってさらなる経済的・社会的価値を生み出せると見込まれています。
②EPコンサルティングサービスによるシーズプロモーションへの事業譲渡
2015年1月、EPコンサルティングサービス(以下、EPコンサル)はシーズプロモーション(エヌジェイホールディングスの100%出資子会社)へSESを含んだスタッフィング事業を1億2,000万円で譲渡しました。
売り手のEPコンサルは、会計の請負事業やソフトウェアの受託開発事業を行っています。譲渡の目的は明らかにされていません。しかし、他事業も多く行っているのでそちらにリソースを割くためといわれています。
一方、買い手のシーズプロモーションは人材派遣業を行っている会社です。EPコンサルのスタッフィング事業を買収することで、人材を確保する目的があります。
シーズプロモーションのように、人材確保を狙ってSES事業を買収する企業は多いです。SES事業を買収すれば、スキルや経験を積んだ人材がすぐに獲得できます。
ですから、売り手企業は事業譲渡をしても従業員が離職しないよう、譲渡前に労働環境を改善しましょう。
③トリニティコミュニケーションズによるJPSSへの事業譲渡
2009年3月、トリニティコミュニケーションズ(以下、トリニティ)はJPSS(現:ギグワークス)へSES事業を2,500万円で譲渡しました。
トリニティは、コールセンターの運営を行うテレマーケティング事業の会社です。SES事業を譲渡して、テレマーケティング事業に絞った経営を行うのが目的です。
買い手のJPSSは人材派遣事業を営む会社です。トリニティの事業を取得したことで、首都圏におけるSES事業の基盤強化と事業拡大を狙っています。
以上の事例のように、複数の事業を行っている会社が他の事業へ注力したいため事業譲渡を行う場合が多いです。
7. SES業界の事業譲渡(事業売却)における相場はどれくらい?
「事業譲渡(事業売却)で自社はいくらで売れるの?」と気になる人もいるでしょう。SES事業の譲渡相場は約数千万円から数億円です。
事業規模や優秀な人材の数によっては、10億円以上の価格になる場合もあります。しかし、平均すると8,000万円~2億円程度で取引されるケースが多いです。
ここでは、SESの事業譲渡における譲渡価格について、以下の観点から説明します。
- 譲渡価格はどのようにして決まる?
- 譲渡価格を高める3つのポイント
1つずつ見ていきましょう。
譲渡価格はどのようにして決まる?
SESの事業譲渡における価格を決める要素は以下のとおりです。
- 人材の数
- 技術力
順番に説明します。
人材の数
SESの事業譲渡において人材の数は重要といえます。人材が少なければ収益が伸びず、買い手にとっても魅力的に映らないからです。
SES事業は、派遣する人材の数と期間で利益を得る事業ですから、人材の多さは収益に直結します。もし人材が少なければ、買収しても思ったように利益が出せません。
SESにとって、人材の数は重要なアピールポイントとなり得るので、事業譲渡の前に十分な数を確保する必要があります。
技術力
SESの事業譲渡には人材の技術力も大切です。人材が多くてもスキルが全くなければ技術者として使えないように、スキルや経験を持った技術者が多ければ譲渡価格は上がります。
SESの技術力は従業員に依存していることが多いです。ですから、会社として教育ノウハウを蓄積していたり、従業員のスキルを把握していたりすると事業譲渡の価格交渉材料に使えます。
従業員のスキルや経験を自社で管理することで、譲渡価格を高めることが可能です。
譲渡価格を高める3つのポイント
SESの事業譲渡において譲渡価格を高めるポイントを見ていきましょう。
- 経営の強みをはっきりさせる
- 収益を数値化する
- 離職率が低くなる環境を作る
それぞれのポイントを押さえて譲渡価格を高めましょう。
経営の強みをはっきりさせる
自社の経営における強みを明確化させましょう。自社の強みがわかれば、買い手企業にアピールができるので、譲渡価格を引き上げられるからです。
例えば、即戦力となる人材の数が多いことや、買い手企業のニーズに合った技術を持っている人材がいるとアピールしやすいといえます。アピールの際は、得意な分野や取引先では組み込み系か業務系のどちらが多いかなどを洗い出したうえで伝えましょう。
アピールポイントにならないと思っていた部分が買い手にとってのメリットとなるかもしれないので、個人のスキルや経験は可能な限りリストアップしてください。
収益を数値化する
事業譲渡の際は収益を数値化してみてください。現在の収益と将来的な収益性を計算しておくことで、不当に安い譲渡価格を提示されることを防げるからです。
もちろん、買い手企業も事業譲渡の前にあなたの会社に対して収益に関する調査を行います。もし、売り手企業が提示した利益と同等であれば、買い手企業との信頼も構築できるでしょう。
ですから、収益を数値化してみるべきといえるのです。
離職率が低くなる環境を作る
離職率が低くなるような環境作りを行いましょう。SESの事業譲渡において、従業員の数や質は重要な価格決定要素となるからです。
もし、優秀な技術者が離職してしまえば、自社の価値も下がってしまいます。SES業界は離職率が高く、若い技術者が少ないのが現状です。また、技術者を新たに育成するのにも時間とコストがかかります。
ですから、従業員が働きやすい環境を作って離職率を下げることが事業譲渡の価格を上げるために重要といえるでしょう。
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9. まとめ
人材不足が慢性化しているSES業界ですが、中小企業は人材確保が難しいため今後を生き残ることが厳しい状態となっています。
思ったように利益が出ない、人材が集まらないなどの悩みを抱えているなら、業績が良いうちに事業譲渡を行うべきです。
しかし、事業の買い手探しや交渉、契約を自社だけで進めていくのは専門知識がなければ危険といえます。
ですから、M&Aを利用した事業譲渡を検討している場合は、専門知識が豊富であるM&A仲介会社に相談しましょう。
10. SES業界の成約事例一覧
11. SES業界のM&A案件一覧
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1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
データ分析関連事業 (データサイエンティスト育成・データ分析の受託・データ分析人材の派遣)
システム開発・ソフトウエア業【SaaS系PMツール(業務・プロジェクト管理)】
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/関東・甲信越案件ID:2249公開日:2024年09月13日売上高
1000万円〜5000万円
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【自社エンジニア多数在籍】首都圏/SES業
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/関東・甲信越案件ID:2226公開日:2024年09月09日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
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【技術者30名以上】都内のSES・ソフトウェア受託開発業
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/関東・甲信越案件ID:2187公開日:2024年08月26日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
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【マレーシア】ソフトウェア開発・ITソリューションプロバイダー
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/海外案件ID:2100公開日:2024年07月30日売上高
10億円〜25億円
営業利益
2.5億円〜5億円
譲渡希望価格
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【EBITDA 45億円/システム開発】世界68か国に顧客基盤のある電磁波IDシステム開発
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/工業製品製造/海外案件ID:2013公開日:2024年07月04日売上高
500億円〜
営業利益
25億円〜50億円
譲渡希望価格
希望なし
半導体メーカー向けにRFID棟の技術製品を開発販売しております。
【技術力◎/圧倒的な開発実績】セキュリティシステム開発業
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/ウェブサイト/関東・甲信越案件ID:1866公開日:2024年05月16日売上高
1000万円〜5000万円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
5億円以上(応相談)
サイバーセキュリティコンサルティング・システム開発業 開発フェーズが終了し、取引先の拡大のフェーズに突入 過去大手金融機関との取引実績もあり今後更なる事業の拡大が見込める
【確かな技術と顧客基盤】ITインフラ構築
IT・ソフトウェア/SES・受託開発/金融・リース・レンタル/海外案件ID:1610公開日:2024年02月15日売上高
25億円〜50億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
希望なし
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