2020年11月24日公開
事業承継支援機関・サービス一覧!メリット・デメリット、選び方を解説

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。
事業承継支援機関・サービスは豊富に存在するため、どれを利用するか迷うことも多いでしょう。自社に合う機関・サービスを選ぶためには、それぞれの特徴を知っておく必要があります。本記事では、事業承継支援機関・サービスを利用するメリット・デメリットや選び方を解説します。
1. 事業承継支援機関・サービス一覧!
帝国データバンクの全国・後継者不在企業動向調査によると、2019年の中小企業の後継者不在率は65.2%であることが判明しました。
さらに、60歳以上の経営者のうち50%超えが将来的な廃業を予定しており、後継者不足が与える影響が広がっていることが分かります。
後継者不足による廃業を回避するためには、企業が独自で事業承継に取り組むことも大切ですが、外部の支援機関・サービスの支援を受けながら事業承継進める方法もあります。
事業承継の支援を受けられる機関・サービスは多く、公的・民間の両方が行っているので、各機関・サービスの特徴を押さえておくと、事業承継の選択の幅を広げることができます。
公的な事業承継支援機関・サービス
まずは、公的な事業承継支援機関・サービスの特徴を紹介します。積極的な支援を行っているのは以下の5つです。
【公的な事業承継支援機関・サービス】
- 事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター
- 後継者人材バンク
- よろず支援拠点
- 事業承継ガイドライン
- 農林水産省の手引書
①事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター
全国の認定機関(産活法に基づいた認定を受けた商工会議所等)に設置された相談窓口では、事業承継に関する情報提供・助言などを行っています。
事業引継ぎ支援センターは、事業承継に関する無料相談ができる支援機関であり、民間の支援機関を利用する際のセカンドオピニオンとして活用されることも多いです。
事業開始時は、設置地域も限定的だったため相談数も伸び悩んでいましたが、現在は全国中に拡充されており、地方の中小企業の相談先として認識が広まりつつあり、中小機構の事業引継ぎポータルサイトの情報によると、令和元年の相談件数は48,000件を超えています。
②後継者人材バンク
後継者人材バンクは、事業引継ぎ支援センター内に設置されているマッチング支援システムです。後継者不在の事業者と創業希望者を引き合わせることで、廃業を回避させること目的としています。
後継者に求める情報を登録しておくと、近い条件の創業希望者が現れた時に自動でマッチングしてくれます。登録する創業者も事業に意欲のある人材ばかりなので、経営を任せられる適任者である可能性も高くなります。
なお、支援範囲はマッチングまでとなっており、後の交渉に関しては当事者同士で進めなくてはなりません。進行に不安がある場合は、センターに相談して専門家の紹介を受けるなどの対策が必要になります。
③よろず支援拠点
よろず支援拠点は、国が全国に設置する中小企業・小規模事業者の経営相談所です。多様な分野に精通した専門家が在籍しており、経営者の悩みに耳を傾けて、根本的な課題解決を支援しています。
支援範囲は幅広く、チーフコーディネーターによるヒアリング、アドバイザーによるフォローアップなど、充実した内容になっています。事業承継に限定されていないため、気軽に相談することができます。
公式サイトに公開されている活動実績では、令和元年の相談件数は326,584件となっています。平成26年の利用件数と比較すると約5倍の件数になっており、多くの事業者の間で認識が広がっていることが分かります。
④事業承継ガイドライン
事業承継ガイドラインは、中小企業庁が公式サイトで公布している事業承継に関する手引書です。後継者問題が深刻化するなか、各事業者に早期かつ計画的な準備着⼿を促すために公布されています。
全6章で構成されており、事業承継対策の必要性や取り組み方が盛り込まれています。事業承継の大まかな方針を立てる際に役立つので、事業承継計画を立てる前に一度は目を通しておきたい手引書です。
また、事業承継の類型ごとの解説も行われています。親族への承継・従業員承継・M&Aによる事業承継の3タイプの特徴や取り組み方など、目的に合わせた事業承継を選ぶ際にも参考になる情報が載っています。
⑤農林水産省の手引書
農業経営者に向けた事業承継の手引書です。法人経営の事業承継を前提として作成されていますが、家族経営や個人事業主でも事業承継のタイミングは訪れるため、参考になる情報が多く記載されています。
農業の事業承継は、農地や農機具などの有形資産や技術・ノウハウなどの無形資産を引き継ぐ必要があります。
規模が大きくなる傾向にあり、事業承継の準備に10年前後かかることも珍しくないため、計画的に取り組まなくてはなりません。
民間の事業承継支援機関・サービス
続いて、民間の事業承継支援機関・サービスの特徴を紹介します。公的の支援機関と比較すると事業者数が多いため選択肢が広がりますが、特に精力的に活動している民間の支援機関・サービスは以下の3つです。
【民間の事業承継支援機関・サービス】
- M&A仲介会社
- 弁護士・公認会計士・税理士など
- M&Aマッチングサイト
①M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&Aの専門家による仲介支援を提供している支援機関です。譲渡企業と譲受企業の間に入り、中立的な立場から情報提供・助言等を行い、M&Aの成約を目指します。
アドバイザリー型とよばれる、依頼者の利益最大化を優先するタイプもあります。一般的な仲介型と比較すると手数料が高くなる傾向にありますが、事業承継に求める条件を通しやすくなるメリットがあります。
特徴としては、相談から成約までの一貫した支援が挙げられます。多くの仲介会社は幅広い分野の専門家が在籍していて一貫した支援体制を確立しているので、依頼者の立場としては複数の支援機関を介さなくても成約しやすいメリットがあります。
また、仲介会社は事業承継支援も手掛けていることが多く、M&Aの仲介支援で培われたノウハウは事業承継の後継者探しにも活用されています。
②弁護士・公認会計士・税理士など
弁護士・公認会計士・税理士などの士業も事業承継支援を手掛けています。事業承継を進めるためには幅広い分野の知識が必要になるので、各士業の支援は不可欠ともいえます。
弁護士は、法務リスクの調査や各種契約書のチェックなどの役割を持ちます。法務面のチェックを怠ると事業承継の正当性が失われてしまうこともあるため、大変重要な役割です。
公認会計士は、財務デューデリジェンスや企業価値評価を担当します。適正な価格を算定するために、客観的な視点からの調査や評価が求められます。
税理士は、税金対策や確定申告処理などを行います。親族への事業承継の場合は相続税・贈与税、M&Aによる事業承継の場合は法人税が課せられるので、税務の知識が必要になります。
③M&Aマッチングサイト
M&Aマッチングサイトは、オンライン上でM&A・事業承継案件をチェックできる支援サービスです。譲渡・譲受の双方が気軽にチェックできるので、事業承継の第一歩として活用されることが多いです。
支援範囲はマッチングする場の提供に留めているサービスが多いため、手数料が比較的割安になることが多いです。費用面の負担が心配な事業者も利用しやすく、小規模事業者や個人事業主も積極的に活用しています。
なお、仲介支援や提携先の専門家を紹介するサービスを提供しているサイトもあります。詳細な支援範囲はサイトによって違いがみられるので、利用の際は複数のサイトを比較検討することが大切です。
2. 事業承継支援機関・サービスを利用するメリット・デメリット
事業承継の支援機関・サービスは、得られる効果に着目しながら決めることが大切です。この章では、公的・民間の事業承継支援機関のメリット・デメリットを解説します。
公的な事業承継支援機関・サービスを利用するメリット・デメリット
後継者問題を解消して日本経済の健全化を図るために、公的な支援機関・サービスが充実しています。まずは、公的であることから生じるメリットとデメリットを解説します。
公的な事業承継支援機関・サービスを利用するメリット
公的な事業承継支援機関・サービスを利用する利点は、費用負担を軽くできることです。公的な支援機関は利益をあげることを目的としていないため、ほとんどのサービスを無料で受けることができます。
事業承継では、計画策定や税金、専門家の相談費用等で出費が多くなる傾向が強いため、無料で助言を受けられて大まかな方針を立てられることは大きな利点です。
また、情報流出リスクが限りなく低い利点もあります。円滑な事業承継の実現を活動目的としているため、利益目的で情報がやり取りされる可能性はほとんどゼロといえます。
公的な事業承継支援機関・サービスを利用するデメリット
公的な事業承継支援機関・サービスを利用するデメリットは、認知度の広がりが限定的であることです。
事業開始から数年が経ち利用者数・相談件数は飛躍的に増加していますが、依然として支援機関の存在や支援内容について知らない事業者も多いです。
地域によっては利用者が限定的になり、後継者探しが全くマッチングしないという事態も起こりえます。そもそも相手がみつからないと事業承継を進めることもできないので、大きなデメリットといえるでしょう。
また、事業承継における一貫したサポートを受けられない点もデメリットの1つです。支援内容は助言・マッチング・専門家の紹介などに留まっているので、直接的な交渉や契約書の締結は自社で進めるか、ほかの専門家に相談・依頼する必要があります。
民間の事業承継支援機関・サービスを利用するメリット・デメリット
M&A・事業承継の需要の高まりに応じて、民間の事業承継支援機関・サービスも充実してきています。民間の支援機関を利用することで生じるメリットとデメリットを紹介します。
民間の事業承継支援機関・サービスを利用するメリット
民間の事業承継支援機関・サービスを利用する利点は、全体的に支援内容の質が高いことです。
民間の支援機関は利益を出すことを目的としているので、質の高い支援を提供して高い成約率を維持しなければ、業績を向上させることができません。
近年の民間の料金体系は、成約まで手数料が発生しない完全成功報酬制が主流です。事業承継の交渉が途中で破断にでもなると、支援機関が受ける被害も大きいため、成約に向けた支援や努力を惜しまない傾向が強いです。
また、民間ならではのネットワークも魅力的です。民間の支援機関の中には特定の業界に通じる独自のネットワークを有する専門家もいるため、早期の事業承継成約が実現することも珍しくありません。
民間の事業承継支援機関・サービスを利用するデメリット
民間の事業承継支援機関・サービスを利用する欠点は、高額の仲介手数料がかかることです。民間の支援機関の仲介により成約した場合、事業承継の譲渡価格をベースにした成功報酬が発生します。
事業承継対象の規模に応じて高くなるので、小規模事業者は数十万円で済むこともありますが、中小企業の場合は数千万以上かかることもあります。事業承継後の資金運用に支障がでる恐れもあるので、事前に大まかに試算しておく必要があります。
また、支援機関によっては中立性を欠いた支援を行うことがあります。仲介を謳いながら片方に利益を集中させるように交渉を進行させる場合があるので、自分自身で判断する力も求められます。
3. 事業承継支援機関・サービスの選び方
複数の事業承継支援機関・サービスがある中で自社に合う支援機関・サービスを見つけるためには、選び方を押さえておくことが大切です。特に重要なポイントは以下の5つです。
【事業承継支援機関・サービスの選び方】
- まず事業承継の目的を明確にする
- 事業の分野が得意所を選ぶ
- 実績や経験などをよく聞く
- 手数料・相談料などの費用
- 担当した人間との相性
1.まず事業承継の目的を明確にする
事業承継の目的は事業者によってさまざまです。「親族に引き継がせたい」「事業の存続を最優先にしたい」など、初期段階で目的を明確化することで事業承継の方向性を定めることができます。
親族への引継ぎであれば、後継者候補に経営者のスキルを身につけさせておく必要があります。経験を積ませるために数年以上かかることも珍しくないので、早期に後継者育成を支援してくる支援機関・サービスに相談して取り組んでおかなければなりません。
また、後継者不在の状態で事業存続を優先する場合は、M&Aの専門家の支援が必要不可欠です。後継者の選定・交渉や契約書の締結などを行うので、計画策定段階からM&Aの専門家に相談しておくことが望ましいでしょう。
2.事業の分野が得意所を選ぶ
事業承継の支援機関・サービスは、それぞれに得意とする事業分野があります。特定の業種に特化して事業承継支援を行っている機関・サービスもあるので、相談の前に確認しておくようにしましょう。
得意な事業分野を確認する方法は、過去の実績確認が手早く済みます。民間の事業承継支援機関・サービスは自社サイト上で実績を公開していることで多いので、参考にするとよいでしょう。
3.実績や経験などをよく聞く
事業承継という大掛かりな取引を支援してもらうことになるので、支援機関・サービスの実績や経験は重要なポイントです。実績や経験が多いほど、多くの事業者から信頼を獲得していることを意味するので、安心して相談することができます。
支援機関・サービスの実績や経験は、直接尋ねて確認する方法があります。相談の際に自社の規模・業種と類似する実績や経験などを質問しておくとよいでしょう。
4.手数料・相談料などの費用
事業承継支援機関・サービスは、公的は無料で利用できるところが多いですが、民間は手数料・相談料が必要になることが一般的です。
近年の主流はレーマン方式を用いた完全成功報酬制ですが、一般的とされる1~5%から大きく乖離した料率が設定されていることもあります。
着手金や中間金などの料金体系についても、支援機関・サービスによって異なります。事前確認を怠ると思わぬ箇所で高額の手数料が発生することもあるので、アドバイザリー契約を締結する前に確認しておくことが大切です。
5.担当した人間との相性
事業承継の支援機関・サービスに支援を依頼すると専属の担当者がつきます。事業承継の準備から成約まで一貫してサポートしてもらうことになるので、担当者との相性のよさも重要なポイントです。
M&A・事業承継の経験が豊富でサポート力の高い担当者であっても、相性が悪いと事業承継に求める条件や要望に耳を傾けてくれないなどの事態も起こりえます。
事業承継が成約するまで付き合うことになるので、事業承継全体の進行に支障がでる可能性もあります。相性が悪いと感じたら、担当者の交代を申し出るか、ほかの支援機関・サービスの利用も検討したほうがよい結果を繋がることもあります。
事業承継のご相談はM&A総合研究所へ
事業承継を進めるうえでは各所で幅広い分野の知識が必要になるので、M&A・事業承継の専門家に相談することをおすすめします。
M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介事業を手掛けているM&A仲介会社です。特に中堅・中小規模の案件を得意としており、幅広い業種における事業承継の仲介実績を保有しています。
M&A・事業承継の経験豊富なアドバイザーが事業承継の仲介サポートを担当します。過去のM&A仲介で培ったノウハウをフル活用することで、円滑な事業承継の実現に向けて全力サポートします。
無料相談は24時間体制でお受けしています。事業承継に関してお悩みの際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。経験豊富なスタッフが親身になって対応いたします。
4. まとめ
公的・民間の事業承継支援機関・サービスのメリット・デメリットや選び方を解説しました。複数存在する支援機関・サービスにはそれぞれ特徴があるため、事業承継の目的に合わせて相談先を選ぶことが大切です。
また、円滑な事業承継を実現するためには入念な準備が必要です。綿密な計画が求められるので、早期から相談先を選定しておき、準備を進めておくことが望ましいです。
【公的な事業承継支援機関・サービス】
- 事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター
- 後継者人材バンク
- よろず支援拠点
- 事業承継ガイドライン
- 農林水産省の手引書
【民間の事業承継支援機関・サービス】
- M&A仲介会社
- 弁護士・公認会計士・税理士など
- M&Aマッチングサイト
【公的な事業承継支援機関・サービスを利用するメリット】
- 費用負担を軽くできる
- 情報流出リスクが限りなく低い
【公的な事業承継支援機関・サービスを利用するデメリット】
- 認知度の広がりが限定的
- 事業承継における一貫したサポートを受けられない
【民間の事業承継支援機関・サービスを利用するメリット】
- 全体的に支援内容の質が高いこと
- 民間ならではのネットワークが魅力的
【民間の事業承継支援機関・サービスを利用するデメリット】
- 高額の仲介手数料がかかること
- 支援機関によっては中立性を欠いた支援を行うことがある
【事業承継支援機関・サービスの選び方・ポイント】
- まず事業承継の目的を明確にする
- 事業の分野が得意所を選ぶ
- 実績や経験などをよく聞く
- 手数料・相談料などの費用
- 担当した人間との相性
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