空調工事会社は廃業よりも事業承継すべき!動向や手続きの方法を詳しく解説

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

後継者不足による事業承継問題が増加しており、それは空調工事会社でも同様です。そこで、廃業以外の選択肢として注目されている、空調工事会社をM&Aで事業承継させる手立てについて、業界動向や注意点、事例などを交えて解説します。

目次

  1. 空調工事会社が事業承継するときの3つの選択肢
  2. 空調工事会社を廃業するのはもったいない!
  3. 空調工事業界の未来は明るい!気になる業界動向
  4. M&Aを活用した空調工事会社の事業承継の3つの事例
  5. M&Aを活用して空調工事会社を事業承継するときの流れ
  6. 空調工事会社の事業承継では管工事の建設業許可の取り扱いに注意しよう
  7. 空調工事会社の事業承継ならM&A総合研究所へ!
  8. まとめ
  9. 空調設備工事業界の成約事例一覧
  10. 空調設備工事業界のM&A案件一覧
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1. 空調工事会社が事業承継するときの3つの選択肢

空調工事会社の事業承継を考えるとき、一般的には経営者の子供を後継者と連想することが多いでしょう。

しかし、事業承継の後継者は、親族も含めて3つの選択肢があります。

  1. 親族内事業承継
  2. 社内事業承継
  3. M&Aによる第三者への事業承継

もし、親族への事業承継が難しい場合も安心してください。それぞれの承継方法の特徴やメリット・デメリットを確認し、自社にふさわしい事業承継方法を選びましょう。

①親族内事業承継

まず考えられるのが、親族内での事業承継です。実際、空調工事会社を親から受け継いで経営している人も多いでしょう。

従来、日本の中小企業では、子供や配偶者などの親族を後継者とする事業承継が多く行われてきました。会社の従業員や役員も、「経営者の親族であれば」と受け入れやすいのもメリットといえます。

ただし、親族への承継を考えているのであれば、できるだけ早めに自社に勤めてもらうべきでしょう。なぜなら、業務や社風を体に染み込ませる必要があるからです。

スムーズに親族へ事業承継するのであれば、最低でも5年〜10年ほどは育成期間としてかかるとされています。

また、空調工事事業を行うには、以下のような技術の資格も必要です。

  • 電気工事士
  • ボイラー技士
  • 管工事施工管理技士

1人で全てを持っている必要はありませんが、現場の状況を把握するためには欠かせない資格です。

早めに資格取得の勉強をさせながら、自社で業務や社風を学ぶ時間をしっかりと取ることが、親族内事業承継成功の秘訣といえるでしょう。

②社内事業承継

社内事業承継とは、会社の従業員や役員を後継者として事業承継することです。

従業員や役員の場合、長年、自社で働いているため、業務や社風をわざわざ引き継ぐ手間はありません。すでに空調工事会社の内情をよく知っているので、引き継ぎやすい相手です。

よくも悪くも、今の経営者が作ってきた会社の雰囲気を継続してくれるでしょう。

ただし、従業員や役員を後継者に選ぶのであれば、事前に親族への許可を取っておくべきです。親族の中には、「いずれ自分が引き継ぎたい」と思っている人がいるかもしれません。

また、通常であれば親が経営する会社の株式は、遺族が相続します。つまり、経営者になりたいかはともかく、「財産を相続したい」と考えることは当然です。

社内事業承継を実施する場合、親族とは事前に話し合いの場を持ち、従業員を後継者に選んだ理由を説明し納得してもらうようにしましょう。

また、社内事業承継の場合は、後継者に会社の株式を譲渡します。このとき、譲り渡す株式に対する費用を、後継者が負担できない可能性もあるでしょう。

その場合、無償で株式を譲り渡せますが、残念ながら経営者には資金が残りません。後継者も贈与を受けたと見なされるため、贈与税が発生します。

親族であれば心理的に「無償で譲る」ことに抵抗がなくても、従業員や役員であれば対価がほしいと考える経営者もいるはずです。

したがって、社内事業承継が実現できるかどうかのポイントは、株式譲渡への対価や贈与税の負担を後継者が負えるかどうかということにつきます。

③M&Aによる第三者への事業承継

従来、多数を占めていた親族内事業承継は、少子化と価値観の多様化により減少傾向にあります。次善の策である社内事業承継の場合、上述したような後継者側の資金の問題が大きなネックです。

この2つの事業承継が暗礁に乗り上げた場合、廃業しか選択せざるを得ないという空調工事会社も少なくありませんでした。

しかし、近年になって台頭してきたのが、M&Aによって会社または事業を第三者に売却し、その買い手を後継者とする事業承継です。

以前は、M&Aというと大企業間で行われるようなイメージでしたが、昨今は中小企業においても、経営戦略の手段として、あるいは事業承継問題の解決策としてなど、活発に用いられています。

また、第三者といっても、同業者、または関連業者に譲渡すれば、安心して経営を任せられるでしょう。従業員はそのまま働き続けられ、取引先に迷惑をかけることもありません。

そして、M&Aであれば、空調工事会社を譲渡する対価を正当に受け取れます。一般的に、空調工事会社の会社譲渡(株式譲渡)であれば、会社の時価+営業利益×2〜3年分が相場です。

もちろん、事業規模や従業員の数、売上高によって相場は大きく変わります。親族内事業承継・社内事業承継では受け取れない金額となる確率が高く、老後の資金として十分に活用できるでしょう。

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2. 空調工事会社を廃業するのはもったいない!

ふさわしい後継者が身の周りにいないからといって、空調工事会社を廃業することはとてももったいないことです。廃業を決意する前にM&Aでの事業承継の道を探ってみましょう。

その理由は、以下のとおりです。

  1. 従業員が働き続けられる
  2. 取引先に迷惑がかからない
  3. 廃業費・清算費がかからない
  4. 負債や個人保証を引き渡せる
  5. 空調工事会社がより成長する可能性が生まれる

このように、廃業よりも事業継続した方がよい理由は多くあります。詳しく確認していきましょう。

①従業員が働き続けられる

廃業を免れると、従業員が働き続けられます。これは大きなメリットです。

会社を廃業すると、従業員は路頭に迷うことになります。もちろん、転職はできますが、今の職場になじんでいる従業員であれば、できるだけ転職は避けたいと考えるはずです。

特に中小企業の場合、経営者の考えが会社の社風につながります。別の会社に行っても、今までと同じように働けるとは限りません。

M&Aで事業承継できれば、従業員の雇用も守られます。中小企業ならではの、家族のような温かい会社を今後も存続させることが可能です。

②取引先に迷惑がかからない

M&Aで事業承継すると、取引先に迷惑をかけず、今後も取引を継続できます。

廃業してしまうと、取引先に迷惑がかかるのは必定です。懇意であった取引先ほど、相手方が廃業すると事業にダメージが出ます。

新しく契約する空調工事会社を探したり、依頼する空調工事会社が変わったりすることでサービス内容の見直しをしなければなりません。

しかし、M&Aで事業承継すれば、取引先に迷惑はかかりません。それどころか、譲渡先によっては、サービス内容を高めたり、サービスの幅を広げたりすることも可能です。

今まで信頼関係を構築してきた取引先に迷惑をかけないためにも、M&Aで事業承継する道を選ぶことをおすすめします。

③廃業費・清算費がかからない

廃業という選択肢を選ばずに事業継続すれば、廃業費や清算費がかかりません。

廃業費・清算費とは、設備を廃棄する費用、事務所のテナントを入居時に戻す原状回復費用などのことです。空調工事会社には大きな設備はないので、その部分のコストはあまり発生しないかもしれません。

しかし、出張用の車を廃車にしたり、工事に必要な道具類を廃棄したりするなど事務所の閉鎖費用をはじめとする最低限のコストはかかるでしょう。

低くても100万円以上の廃業費・清算費が発生しているケースが少なくありません。廃業するだけでも、それだけの費用が発生することを覚えておきましょう。

一方、M&Aで事業承継すれば、当然ながら廃業費・清算費はありません。コストがかからないどころか、会社の売却によって、経営者(株主)は売却金を得られます。

このように、廃業をせずM&Aを活用した事業承継を行うと金銭的なメリットが大きいのです。

④負債や個人保証を引き渡せる

M&Aで会社譲渡(株式譲渡)すると、負債や個人保証も買い手に引き継がれます。

もし、空調工事会社を廃業してしまうと、手元に今までの負債や個人保証が残ってしまうでしょう。つまり、廃業費・清算費を支払ったうえに、負債の返済まで行わなければならないのです。

親族内事業承継や社内事業承継の場合も、原則的には負債や個人保証を引き継いでもらいます。しかし、個人への負担が多いことを配慮し、後継者に引き継がせず経営者自身で返済をするケースも少なくありません。

しかし、M&Aを活用すれば、承継先は資金力のある企業です。譲渡対価に一定の影響は出るでしょうが、基本的に負債や個人保証も合わせて買い手に引き継がれます。

なお、その場合には、事業譲渡ではなく株式譲渡というM&A手法を用いることが必須です。

⑤空調工事会社がより成長する可能性が生まれる

M&Aを活用した事業承継をきっかけに、空調工事会社がより成長する可能性があります。

なぜなら、M&Aをするメリットは、後継者の確保だけではないからです。M&Aをすることによって、買い手企業のブランド力を使えたり、販路を活用して売上拡大が狙えたりします。

買い手企業の持つサービスと合わせて販売する一方で、逆に、自社のサービスを買い手企業にも売ってもらうことで顧客も増えていくでしょう。

このように、M&Aで相互に売上を拡大していくことを、シナジー効果(相乗効果)といいます。シナジー効果の感じられる企業へ事業承継することで、空調工事会社はより発展していくでしょう。

自分の引退後も、会社が成長していく姿を見るのは嬉しいものです。従業員もさらに生き生きと働くようになるでしょう。

以上の理由から、廃業ではなくM&Aでの事業承継を選ぶことをおすすめします。結論として、身近に後継者がいないからといって、簡単に事業承継を諦めるのはもったいないことです。

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3. 空調工事業界の未来は明るい!気になる業界動向

空調工事業界は、まだまだ成長していくと見込まれています。これから成長する空調工事会社を廃業してしまうのはもったいないことです。

現在の空調工事業界の主な動向は、以下のようになっています。

  1. まだまだ成長していく業界
  2. サービスのワンストップ化
  3. 高齢化による職人不足

順番に確認していきましょう。

①まだまだ成長していく業界

空調工事業界は、建設業の中でも、まだまだ成長していく業界だと認識されています。

現在、東京オリンピック、大阪万博、被災地の復興工事、都市部の再開発など工事ラッシュが続いている状況です。新しい建物が多く建てられ、その建物には空調工事も発生します。

このように、新しい建物が建つたび空調工事の仕事が生まれますし、新築以外にも入れ替え工事もあるので、想像している以上に仕事は多くあるのです。

エアコンの誕生が40年ほど前で、空調工事業界はまだ歴史の浅い業界です。今後、空調設備がなくなることはありえませんし、エアコンも省エネに対応するなど、ますます進化しています。

このような理由から、まだまだ空調工事業界は成長していく業界といえるでしょう。

②サービスのワンストップ化

空調工事会社は、サービスのワンストップ化が進んでいます。ワンストップとは、一社で一括したサービスを提供することです。

ワンストップ化することで、取引の注文に柔軟に応じたり単価を割り引いたりできます。そのため、大手企業は取引先や下請け企業の事業を譲り受け、ワンストップ化を実現しようとするのです。

会社を買収すると、ゼロから事業を始めるよりも時間や労力がかかりません。簡単にワンストップ化を実現できます。

その中でも重宝されているのは、取り付け工事・保守管理維持・修理工事などサービスを幅広く展開している空調工事会社です。

③高齢化による職人不足

空調工事業界は成長しているものの、高齢化による職人不足という課題があります。

空調工事を実際に行う職人になるためには、一定以上のスキルや資格が必要です。少し前であれば、多くの従業員が資格を取っていました。

しかし、現在は、労働人口の低下とIT業界など新しい業界の市場拡大にともなって、職人が不足してきているのです。

先に述べたように、空調工事の仕事がなくなることはありません。むしろ、市場は拡大していくと見られています。

したがって、現場では職人が重宝されるのです。大手企業ほど多くの職人を確保し、さらに事業拡大していきたいと考えています。

そこで、新しく職人を採用するのではなく、空調工事会社を買収して複数の職人をまとめて確保しようとする大手企業が増えているのです。

以上のように、空調工事業界はまだまだ伸びる業界だといえます。一方で、ワンストップサービス化や職人不足によって、業界構造が変わりつつある点も見過ごさないようにしましょう。

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4. M&Aを活用した空調工事会社の事業承継の3つの事例

M&Aを活用した空調設備会社の事業承継は、珍しいものではありません。代表的な以下の3件の事例を掲示します。

  1. 空調企業からユアテックへの事業承継
  2. 佐藤建設工業から関電工への事業承継
  3. アンテレックからきんでんへの事業承継

では、一つずつ見ていきましょう。

①空調企業からユアテックへの事業承継

①空調企業からユアテックへの事業承継

ユアテック

出典:http://www.yurtec.co.jp/

売り手企業 買い手企業
空調企業 ユアテック
・空調管設備工事および関連機器類販売が主事業
・岩手県に本社、宮城県に事務所、東京に首都圏事業部を持つ
・総合設備エンジニアリング企業(グループ会社14社)
・空調管設備事業のさらなる強化による受注拡大が主要施策の一つ

2020(令和2)年9月、ユアテックは、空調企業から全株式の譲渡を受け事業承継しました。ユアテックは、グループとして電気、空調、給排水、情報通信設備工事から土木・建築工事・リニューアルまで行う総合設備エンジニアリング企業です。

空調企業は、東北地方を中心に関東地方でも空調管設備工事および関連機器類販売を行っています。地域経済の一翼を担っている空調企業では、事業承継が課題となっていました。

一方、ユアテックとしては、空調企業を傘下に加えることで、空調工事施行体制の強化が図れ、営業面でもシナジー効果が得られることを期待しています。

②佐藤建設工業から関電工への事業承継

②佐藤建設工業から関電工への事業承継

関電工

出典:https://www.kandenko.co.jp/

売り手企業 買い手企業
佐藤建設工業 関電工
・送電線建設を行う企業
・情報通信工事や環境エネルギー工事
において豊富な施工実績
・情報通信や空調工事等を実施する総合設備企業
・事業領域の拡大と電力安定供給への貢献を図る

2016(平成28)年9月、関電工は、佐藤建設工業から全株式の譲渡を受け事業承継しました。関電工は、情報通信や空調工事等を実施する総合設備企業です。

佐藤建設工業は、送電線工事事業などを行っています。この事業承継の目的は、営業基盤の強化や事業領域の拡大、電力安定供給への貢献です。

そこで、関電工は情報通信工事や環境エネルギー工事において豊富な施工実績を持つ佐藤建設工業の株式を取得しました。この事業承継によって関電工は、総合設備企業グループとして、より一層の機能強化を図ります。

③アンテレックからきんでんへの事業承継

③アンテレックからきんでんへの事業承継

きんでん

出典:https://www.kinden.co.jp/

売り手企業 買い手企業
アンテレック きんでん 
・インド本社の電気設備工事会社
・創業以来数多くのインド企業、
および国外企業を顧客としている
・関西電力グループの総合設備工事会社
・本社は大阪府大阪市

2016年5月、きんでんは、インドのアンテレックの株式49%を取得した後、2018(平成30)年5月に残りの株式51%も取得して完全子会社化し、事業承継しました。

きんでんは、関西を基盤とする総合設備工事会社です。アンテレックは、インドの電気設備工事会社で創業以来、数多くのインド企業および国外企業の顧客を持っています。

この事業承継の目的は、インドへの事業拡大です。きんでんとアンテレックの特性を融合した事業体制を構築していき、営業網の拡大を図っています。また、インド市場へ進出する日系企業に対しても、国内と同様の品質・サービスを低価格化することも目指しているのです。

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5. M&Aを活用して空調工事会社を事業承継するときの流れ

ここからは、M&Aを活用した空調工事会社の事業承継の流れを確認していきましょう。流れは、以下の7つのプロセスに分けられます。

  1. 自社の現状把握・分析
  2. 承継先の理想像の検討
  3. 承継先の決定
  4. 承継先との条件交渉
  5. 承継先による内部調査
  6. 事業承継の実行
  7. 引き継ぎ業務

順番に確認し、スムーズに事業承継できるように準備を始めましょう。

①自社の現状把握・分析

まずは、自社の現状把握と分析から始めましょう。

事業承継するにあたって、自社が客観的にどのような会社であるかを認識することは大切なことです。会社の特徴や強みを把握し、承継先へアプローチするときに伝えられるようにしましょう。

よいところばかりではなく、経営課題も洗い出す必要があります。経営課題を踏まえ、どのように事業成長していくべきかを明確にしておきましょう。

また、「何を引き継ぐか」を洗い出すことも重要です。事業承継の場合、多くのケースで株式譲渡という株主の名義変更を行う手法が使われます。

しかし、単純に株式の名前を変えて経営権を譲り渡すだけでは、事業承継は成功しないでしょう。

残していきたい会社の経営理念や社風、ノウハウなどがあるはずです。これらを、どのように承継先へ引き継ぐのかも考えていきましょう。

②承継先の理想像の検討

続いて、承継先の理想像を検討しましょう。具体的には、以下のようなことを洗い出していくと、おおよその理想像が見えてきます。

  • 事業内容
  • 会社の規模(売上高・従業員数)
  • 活動・カバーエリア
  • 経営者の考え方
  • 社風

おすすめは、建築業界で同エリアをカバーしている会社です。なぜなら、ワンストップサービスの実現ができる可能性が高く、どちらにもメリットのあるM&Aになりやすいからです。

また、経営者の考え方や社風も考えておきましょう。「社員を第一に考える企業」「新しい価値観をどんどん取り入れる企業」など、具体的なイメージを書き出しておくのです。

基本的には、できるだけ自社と似た社風の方が、従業員も働きやすくなります。もちろん、新しい風を吹かせることで、事業が成長する可能性も考えられるでしょう。

しかし、ここは従業員の働きやすさ第一に考えることで、事業承継が成功しやすくなります。

③承継先の決定

承継先の理想像が定まったら、承継先を決めていきましょう。

自社のツテや銀行などの金融機関に頼るのもよいですが、おすすめはM&A仲介会社へ相談することです。M&A仲介会社の中には、中小企業の事業承継にフォーカスをあてている会社も多くあります。

M&A仲介会社であれば、M&Aや事業承継の専門知識を持ったコンサルタントが親身にサポートしてくれるはずです。なお、M&A仲介会社を選ぶときは、以下のようなポイントに気を付けましょう。

  • 空調工事・建設業界のM&Aの経験や実績を持っているか
  • 親身になって話を聞いてくれるか
  • 報酬は明確化されているか

これらを満たすM&A仲介会社であれば、安心して任せましょう。M&A仲介会社に相談すれば、承継先の候補企業をいくつかピックアップし、気になる企業へアプローチしてくれます。

しかし、昨今はM&A仲介会社も急増しており、どこにするか迷うかもしれません。そのような場合には、中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所にお任せください。

M&A総合研究所では、空調工事会社のM&A・事業承継に精通したM&Aアドバイザーがフルサポートいたします

随時、無料相談を受けつけておりますので、空調工事会社のM&A・事業承継を検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

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④承継先との条件交渉

相手企業も興味を示したら、実際に面談をしてみましょう。

はじめは、経営者同士で、お互いの会社や経営観について理解を深め合うための面談を行います。具体的には以下のような話をしましょう。

  • なぜ事業承継をするに至ったか
  • なぜ相手企業なら承継したいと思ったか
  • 今までどのような思いで経営してきたか
  • 会社の特徴や強み、課題は何か

これらの話をし、自社をアピールしましょう。一方で、承継先にもさまざまな質問をし、承継先候補経営者へ自社を任せられるかをチェックするようにしてください。

  • なぜ買収に興味を持ったか
  • 経営理念や今後の事業展開をどのように考えているか
  • 承継によってどのようなシナジー効果を感じているか

このような内容を質問し、相手への理解を深めましょう。

互いが話を進めたいと感じたら、承継の諸条件を交渉していきます。交渉がまとまったら基本合意内容をまとめ、契約を交わしましょう。

⑤承継先による内部調査

基本合意契約締結後は、承継先による内部調査が行われます。これを、デューデリジェンスといいます。

デューデリジェンスでは、財務状況や取引先・従業員との契約内容、人事リストなどが細かく調査されます。特に、人事リストでは、誰がどのような技術を持っているのかをチェックされるでしょう。

あらかじめリストを用意しておき、すぐに対応できるよう準備しておくとスムーズです。デューデリジェンスの後、再度、条件交渉を行っていきます。条件がまとまれば、最終譲渡契約を交わします。

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⑥事業承継の実行

最終譲渡契約の締結後は、実際に事業承継を実行するプロセスです。

株式名簿の書き換えや従業員・取引先への説明を行います。特に、従業員は経営者が変わることに不安を覚えるかもしれません。

経営者自ら事業承継に至った経緯や、今後の事業展望などを伝えると安心するはずです。

⑦引き継ぎ業務

事業承継の手続きが終わっても、引き継ぎ業務が残っています。特に承継側にとっては、M&A後の経営統合プロセスをPMI(Post Merger Integration)と呼び、最も重要視されるプロセスです。

取引先や業務の引き継ぎなど含め、PMIには1~2年程度、要する場合もあります。

どうしても早く引退したい場合は、引き継ぎを任せるキーパーソンに託すなど事前に対策をしておくべきです。

また、承継先によっては、承継先の社内システムや人事評価制度を導入するケースも考えられます。仕入れ先を統一してコストカットをするなどの改革があるかもしれません。

このように、事業承継によって変わることは多く予想されます。これらの変化をスムーズに受け入れながら通常業務が遂行できるよう、従業員のサポートも忘れないようにしましょう。

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6. 空調工事会社の事業承継では管工事の建設業許可の取り扱いに注意しよう

空調工事会社を事業承継するときには、管工事の建設業許可の取り扱いに注意しなければなりません。管工事の建設業許可とは、空調工事会社が営業するにあたって欠かせない許可です。

注意点は以下の2つです。

  1. 承継先に管工事の建設業許可を引き継げないことがある
  2. 承継後も管工事の建設業許可の要件を満たさないと営業できない

それぞれ、確認しましょう。

①承継先に管工事の建設業許可を引き継げないことがある

承継先に管工事の建設業許可を引き継げないことがあります。それは、事業譲渡というM&Aの手法を活用して事業承継する場合です。

事業譲渡とは、事業の一部または全部を譲渡する方法のことを指します。譲渡する資産や負債を両者で話し合って決めていくのです。

会社ごと譲渡するわけではないため、事業譲渡では管工事の建設業許可を引き継げません。もちろん、管工事の建設業許可をすでに取っている承継先であれば、問題なく営業を続けられます。

しかし、承継先に管工事の建設業許可がない場合、管工事の建設業許可を新たに取らなければなりません。管工事の建設業許可を取得するには、3カ月程度の時間がかかります。

事業承継をする場合だと、多くのケースで株式譲渡という手法が選ばれます。株式譲渡であれば、そのまま管工事の建設業許可を引き継ぐことが可能です。

つまり、事業譲渡の手法だと引き継げないので、承継先の取得状況や取得するための期間を逆算してスケジュールを立てるよう注意しましょう。

②承継後も管工事の建設業許可の要件を満たさないと営業できない

管工事の建設業許可を取得していたとしても、承継後、要件を満たしていなければ営業できないことを覚えておきましょう。

親族内・社内事業承継やM&Aでの事業承継であっても、気を付けなければなりません。なぜなら、管工事の建設業許可の要件を満たしているのが、現在の経営者自身であることが多いのです。

管工事の建設業許可では、以下の要件を満たす必要があります。

  • 1級・2級管工事施工管理技士などを保有する「専任技術者になれる人物」
  • 役員経験が5年以上ある「経営業務の管理責任者」

この役割を持つ人は1人で担っても大丈夫です。しかし、現経営者がこれらの役割を担っているのであれば、新しい経営者にも、これらの役割を担ってもらわなければ要件を満たせなくなります

もちろん、役割を担える人を雇うのも一つの手です。事業承継後、どのように要件を満たすのか必ず確認しましょう。

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7. 空調工事会社の事業承継ならM&A総合研究所へ!

空調工事会社の事業承継でどこに相談すればよいかわからないとお悩みであれば、M&A総合研究所にご相談ください。

これまで数多くの中小企業のM&A・事業承継に携わってきたM&A総合研究所では、空調工事会社の事業承継も安心してお任せいただけます。

空調工事会社の事業承継に精通しているM&Aアドバイザーが専任となり、事業承継の実現をフルサポートいたします。

また、通常は10カ月~1年以上かかるとされるM&Aを、成約まで最短3カ月という実績もあり、機動力もM&A総合研究所の大きな特徴です。

M&A総合研究所の料金体系は完全成功報酬制(譲渡企業様のみ)です。着手金は譲渡企業様・譲受企業様ともに無料となっておりますので、空調工事会社のM&A・事業承継を検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

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8. まとめ

空調工事会社では、後継者不足で悩んでいる会社がM&Aを活用することが増えてきました。思い入れのある空調工事会社を残すためにも、M&Aをうまく活用することをおすすめします。

ただし、空調工事会社の事業承継では手続きが多く、注意すべきことも多くあるのが現実です。したがって、余裕を持ったスケジュールで動き始めるとよいでしょう。

9. 空調設備工事業界の成約事例一覧

10. 空調設備工事業界のM&A案件一覧

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