M&Aの契約書(基本合意契約書、最終契約書)について

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

M&Aでは基本合意契約書や最終契約書というものがあり、M&Aを進めていくにはその他様々な契約書の締結をしなければなりません。M&Aを実施する上で契約関係はトラブル対策にも繋がります。今回はそのM&Aの契約書の種類や意味など解説していきたいと思います。


目次

  1. M&Aの契約書の種類
  2. M&A基本合意契約書の詳細
  3. M&A最終契約書の詳細
  4. M&A契約書のサンプル・ひな形はネットでダウンロードできる
  5. M&A相談はM&A専門の会計士にお願いすべき
  6. 商事法務の「M&Aの契約ーモデル条項と解説」
  7. M&Aの契約書まとめ
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1. M&Aの契約書の種類

M&Aの契約書の種類について

M&Aでは様々な場面で契約書を交わすことが多く、時にはその契約書をおろそかにすることでトラブルに発展するケースもあります。

M&Aは多額な資金や財産が絡む案件ばかりで法的なリスクや秘密事項が漏洩するリスクも多数存在しているため細かなところで契約書は必要不可欠であることが言えます。

また、M&Aの基本合意書や株式譲渡契約書・事業譲渡契約書などはM&A後にも重要な役割を果たすものもあるのでM&Aをトラブルなく進めるには、しっかりと理解しておくことが大切です。

M&Aの手法によっては課税の対象となる取引もあるため印紙が必要になる場合もあります。

ここではそんなM&Aを進めるのに当たって、必要である書類の種類を解説していきます。

秘密保持契約書

M&Aの秘密保持契約書

M&Aの秘密保持契約書とは、CA(Confidential Agreement)・NDA(Non-Disclosure Agreement)といい、M&Aの実施を検討している両者がまずはじめに契約するものです。

この秘密保持契約書の内容としては相手方から知り得た情報を第三者に開示することを禁止する契約で、M&Aに関する契約として基本合意書や株式売買契約書を締結したとしても、その契約の中に秘密保持義務が組み込まれています。

秘密保持契約書は2パターンあり
契約書形式(買主と売主の両者が書類に捺印する法式で一般的な契約方法)
差入れ形式(案件により買主が売主宛に一方的に差し入れる誓約書タイプの契約方法)があります。

例として「契約書形式」は一般的にM&Aにおいて、買主と売主が1対1で交渉を行うようなパターンや売主にも特別な守秘義務を取らせる場合に使われ、「差入れ形式」は入札形式で複数の買主候補に情報が開示される場合に、時間の節約になるため使われることが多いです。

秘密保持契約書のサンプルやひな形はネットからダウンロードできますのでそれをサンプルとして重要事項を足していくのが安全です。

売り手側の秘密保持契約書のポイント

M&Aの秘密保持契約書における売り手側のポイントとしては、デューデリジェンス(DD)によって開示された対象会社の情報を買い手企業が他の目的に転用したり第三者に開示しないようにしたり、自社が提示した情報が少しでも多く秘密保持義務の対象となるようにすることです。

この時、「秘密」と記載された資料の内容のみが秘密保持対象となるような契約ドラフトが買い手側から上がってきたら、外すように交渉することが重要です。

また口頭で伝えた内容、書面にて伝えた内容、メールなどで伝えた内容も秘密情報に含まれることや、売却交渉の存在および内容自体も守秘義務の対象になるように文書を入れておくといいと思います。

また、この秘密保持契約書の複製を禁止したり、M&A後に有効期限が切れた時点で返還や破棄を行うことを組み込んでおくと秘密保持契約書として重要な情報の漏洩を防ぐ役割を果たすことができます。

買い手側の秘密保持契約書のポイント

買い手側の秘密保持契約書のポイントとしては、できるだけ守秘義務となる情報を絞ることで、M&Aの最中に技術情報などを手に入れた場合、その技術が自社の事業において既存の技術情報と同じだったとき、独自に開発した情報かどうかが問題になる可能性があるためです。

それを証明するために大切な技術情報などは確定日付をとり、開示直前における開発結果を保存しておく方法もあり、クリーンルームなどを作成し、情報にアクセスできる者をM&A取引を実行するチームに限定するような方法もあります。

このM&Aにおいて知り得る情報の守秘義務を絞るためには、例外事項の記載や開示時期の限定をしたり、書面にて渡した秘密情報を提出させてそこに書いてあるものに限定することが重要です。

また、独占禁止法に抵触するような会社間取引の場合には、開示された情報の使用目的をM&A検討のためだけに絞っておきカルテル問題が生じないようにすることもポイントです。

アドバイザリー契約書

M&Aのアドバイザリー契約

M&Aアドバイザリー契約書とは、M&Aを検討するときに、売り手企業・買い手企業がM&Aのパートナー候補となる企業を探索する際に結ぶ契約書です。

このM&Aアドバイザリー契約の方式としては、依頼したM&A仲介会社のみとM&Aを進めていく「専任契約」と複数のM&A仲介会社と契約を結ぶ「非専任契約」があります。

複数のM&Aアドバイザーに依頼すると情報漏洩のリスクがあり、一般的には信頼の置ける一社を決めてそことM&Aアドバイザリー契約を結びます。

主に、M&Aアドバイザーの業務範囲や秘密保持、報酬、免責等の事項が記載されたものでこの書面のことをM&Aアドバイザリー契約書と言います。

こちらもWEB上でサンプルやひな形があるためそれを基に作成することをおすすめします。

アドバイザリー契約書のポイント

M&Aアドバイザリー契約書のポイントとして、M&Aにおいて契約解除方法や買い手企業との交渉が破談した後の契約上の取り扱いについて注意する必要があります。

例として、紹介を受けた買い手企業と破談ししばらくして再度、両社で直接話をしたらM&Aがうまくいった場合などの取り扱いについてです。

この場合、一旦M&Aは破談している話ですが、紹介がM&Aアドバイザーからの紹介だと報酬が発生するケースがあったり、特に秘密保持契約は重要事項なのでしっかりと押さえておくべきです。

M&Aのアドバイザリー契約のポイント

またこのM&Aアドバイザリー契約には仲介方式とアドバイザリー形式があり、仲介方式は同一のM&Aアドバイザーが買い手側と売り手側双方を仲介する方式で中小企業のM&Aに多く活用されています。

アドバイザリー方式とは、買い手側と売り手側の両社が別々のアドバイザリー契約を結び、買い手側、売り手側双方のM&Aアドバイザー同士がM&Aの交渉を行う方式です。

この2つの方式のどちらでM&Aを進めていくかも契約前に決めておかなければなりません。

意向表明書

M&Aの意向表明書

このM&Aの意向表明書とは、譲受する企業が譲渡する企業の株主や譲渡企業にたいして譲渡企業との企業提携の意思と基本条件の意向を伝えるためのものです。

内容としてはM&Aの取引で希望する企業提携の形態、買収希望価格、スケジュール、デューデリジェンスの実施 、費用負担、秘密保持義務、法的拘束力などが記載されます。

この時、M&A買収希望価格の書き方は、「企業価値ベース」と「総株式価格ベース」の二通りありプロセスレターに特段の示唆がない限りは、企業価値と総株式価格の両方を記載するのが基本となります。

また、費用負担の部分では、全額自己資金によるものなのか、金融機関からの借入によるものなのか記載し、資金調達の方法も記載しておきます。

M&Aの意向表明書について

意向表明書内では、M&Aをどのように進めていくのかも決めておかなければならないため、いつまでに何を行うのか詳細のスケジュールも記載し、買い手側は、「株主総会」や「取締役会」の実施に関する事項を伝えなくてはなりません。

このような内容を盛り込んだ意向表明書を出すことによってM&Aの一連の流れが始まると位置付けられており、売り手側企業はこの意向表明書をもとに企業を売り渡すための具体的な交渉を検討していくことになります。

ネット上ではM&Aの意向表明書のサンプルやひな形が出回っておりますのでそれを参考にしながら必要事項を付け足したり、いらない箇所を省略して作成していきます。

意向表明書のポイント

M&Aにおける意向表明書のポイントとしては、情報漏洩の可能性があるため、提出期限のギリギリに提出することが必要です。

そして、提出期限をギリギリまで伸ばすことによって、M&Aの条件を考えられるので、いい条件が出た時に付け足しやすく、修正もしやすいというメリットもあります。

意向表明書は必ずM&Aの専門家に確認をしてもらうことも重要で、M&Aアドバイザーなどの専門家に確認してもらうことでより良いアピールができるような意向表明書が作成できます。

M&Aの意向表明書のポイントとは

またM&Aの取引価格などの見直しや自社のアピールはかなり重要な部分にもなり、M&Aといえども人と人とのコミュニケーションである部分が多いので、第三者の意見取り入れることがより深い内容が出来上がり、この先の交渉などにも繋がります。

特に希望買収金額の設定は後々の条件交渉にも大きく関わってきて、後から値段を大幅にさげたりして一番よくないケースにも繋がることもありますので慎重にM&A価格の設定をしましょう。

意向表明書はM&A取引の判断材料となるので多少条件が悪くても経営者同士の価値観が会うことで、M&Aが成立する確率はあがるものなのでしっかりと誠意を見せて取り組むようにしましょう。

基本合意契約書

M&Aの基本合意書とは

M&Aの基本合意契約書:Letter of Intent(LOI)とはM&Aの交渉が一定程度進んだ段階で、買い手候補企業が対象会社を基本的に買収することを固めたときに、その買収する意向と合意に至った事項について当事者間で確認するための契約書です。

このM&Aの基本合意契約書とは、基本合意契約書を締結した時点で想定しているM&Aの手法や、対価・対象・役員の処遇など基本的な条件、支払いのタイミングやスケジュール、デューデリジェンスの協力義務、独占交渉権秘密保持、費用負担、裁判管轄、準拠法などが含まれるのが一般です。

この基本合意契約書はM&Aの取引をスムーズに実行させる役割があり、買い手側・売り手側の双方にメリットをもたらす様に作られます。

基本合意契約書は一般的なひな形やサンプルはWEB上に出ているのでそちらを参考にM&Aアドバイザーと相談しながら作成していきます。

最終契約書

M&Aの最終合意契約書とは

M&Aの最終契約書:Definitive Agreement(DA)とは、M&Aの手法に内容が異なりますが、株式譲渡・事業譲渡の場合は買収の当事者間においてどのような事項を決めるか会社法上の定めはないため契約内容はM&A当事者間の交渉によって決められます。

合併・分割・株式移転・株式交換などの会社法上の組織再編行為が用いられる場合は、会社法に定められた事項を規定する契約を締結して上でその法定契約とは別に最終契約書が交わされます。

M&Aの最終契約書に関してもネット上に色々なケースのサンプルやひな形が出ています。

一般的な最終契約書はそのサンプルやひな形を参考して作成し、その他重要事項を織り込んだ上で契約書を締結していくことが多いです。

2. M&A基本合意契約書の詳細

M&Aの基本合意書の詳細

M&Aの基本合意契約書の情報漏洩や独占交渉権などの項目はM&Aをこれから進めるのにあたって重要な部分の契約を締結することになるので入念な打ち合わせと相談が必要です。

基本合意契約書は約束事の確認として作成されることが一般的で、M&A取引の中盤で締結することが多いです。

M&Aの手法によっては、項目が細かく設定されている基本合意契約書もあるのでここでは項目別に基本合意契約書の詳細を解説していきたいと思います。

M&A基本合意契約書に含まれる項目

M&Aの基本合意契約書の項目一覧

一般的なM&Aの基本合意契約書の項目としては

  • 基本合意についてのスキーム
  • M&Aによる売買価格
  • M&Aの進行スケジュール
  • デューデリジェンスについて
  • 法的拘束力の範囲
  • 基本合意契約書の期限
  • 独占交渉権について
  • 買収監査について
以上のような項目が契約書に記される内容です。

これらの項目を細かく解説していきます。

スキーム

売り手側の企業はデューデリジェンスなどを通して調査対象である企業情報が開示された場合、売り手側のビジネスにおいての価値がある機密情報が漏洩してしまうリスクがM&Aにはあります。

デューデリジェンスは買い手側に安心感を与えるとともに、なんの約束もなく行うのはかなりハイリスクです。

売り手側企業はそれだけのリスクを冒す価値があるため、基本的な条件にコミットすることを買い手側企業が意思表示することを前提とし、消極的にM&Aを行う場合はこの時点で独占交渉権を買い手側に与えることがあります。

M&Aの基本合意契約書の買い手側のメリット

買い手側企業としては、デューデリジェンスによって内部の情報を把握するまえに、M&Aの実施について法的な義務を負うことは難しいはずなので、基本合意契約書における基本的な条件は、法的拘束力を伴わずに意向表明にととまらざるおえません。

なので買い手側が基本合意契約書を締結する理由としてはM&Aを確実に実行することが目的になります。

M&Aを検討するには時間と費用がかかりますので、他社から横入りされずM&Aを進行し、交渉できる立場が必要となり、売り手側が他社の買い手候補と交渉を切り替えてしまうリスクを回避するために、基本合意契約書では独占交渉権を要求することが多いです。

売買価格

基本合意契約書にM&A売却価格を規定するとき、基本合意契約書には法的拘束力がないものが多く、事実上の法的拘束力しかないので、ここでは工夫が必要です。

M&Aの価格の記載方法としては、「ピンポイントで金額指定(5億円)」「金額に幅を持たせる(1〜5億円)」「最大金額を提示(最大15億円)」などこのように金額の幅を持たせたり、最大金額を提示するような記載があります。

M&Aの売却価格について買い手側企業としては、幅を持った記載の仕方にする方が後日にM&Aの売却価格を変更しやすいため好ましいですが、売り手側企業としてはM&Aによる売却価格を幅があるように記載してしまうと上限額は期待できないものと考えるのが普通です。

そのため売り手側企業は、M&Aによる売却価格を最も重要な指標として、M&Aを次のステップまで進められる買い手候補企業を選定し、他の買い手候補企業は切り落としていくので、M&A対象企業を買収する意欲の高い買い手候補企業としては、M&Aの売却価格の下限額を低く設定することは好ましくないです。

この時に、買い手側企業はデューデリジェンスの結果次第で変動する旨を付記することも多くあります。

スケジュール

基本合意契約書を締結するときは既にM&Aのスケジュールはかなり進んでいる状態です。

この基本合意契約書に記載するM&Aのスケジュールとは、法務デューデリジェンスをはじめとするデューデリジェンスの開始から終了時期の期間を定めたもの、それから先の最終契約(クロージング)の時期を決めたものを記載します。

また買い手側独自のM&A手続きに関するスケジュールとして、株主総会や取締役会などの実施についてもこのスケジュールに記載しておくと良いでしょう。

デューデリジェンスについて

M&Aではシナジー効果やリスクを発見することを目的としたデューデリジェンスを行ないます。

このデューデリジェンスとは法務や財務、税務、ビジネスといった様々な範囲の調査を行なうことで、この意向表明書ではデューデリジェンスの範囲を定めて決めます。

この時は詳細まで伝えるだけであくまでも、希望条項を伝える程度のもので、具体的には「財務表を何年分見たい」や「契約書はどの程度確認したいか」などを記載します。

M&Aのデューデリジェンスとは

これでデューデリジェンスの範囲をお互い理解しておくことで売り手側もデューデリジェンスに向けて準備しやすくなるためM&Aの進行もスムーズに行えます。

M&Aのデューデリジェンスには多額の費用と時間がかかりますので、買い手側企業がデューデリジェンスを行うときは、一定期間の独占交渉権を得た上でデューデリジェンスを行なう旨を基本合意契約書に記載したほうがいいです。

逆に売り手企業側は、デューデリジェンスで相当な理由がない限り、提示した金額でM&A取引を行ってくれるような基本合意契約書の内容に持っていく方がいいです。

法的拘束力の範囲

一般的に、基本合意契約書は法的拘束力を持ちませんが、一部分のみ法的拘束力を持たせるケースがあります。

この基本合意契約書の法的拘束力の範囲についてですが、M&Aでは明示された規則があれば原則それにしたがうことになります。

一般的にM&Aでは、守秘義務や独占交渉権などの取引に関する協議や交渉の枠組みに関わる規定には法的拘束力を持たせる内容が多いです。

M&Aの基本合意書における法的拘束力

例として、独占交渉条項は、最終契約の締結に向けた交渉は具体的な法的義務があるので通常は法的拘束力を持たせるべきです。

逆にM&Aの手法や基本条件の取引内容は基本合意契約書では意向表明にとどめておき、法的拘束力を持たせないなどです。

特に一番重要な売買価格はデューデリジェンスなどである程度金額が変更する可能性があるため、法的拘束力を持たせずに変更の余地を残してのが一般的です。

基本合意契約書の有効期限

基本合意契約書の内容が守秘義務や独占交渉権など法的拘束力のあるものだとしたら、この内容についての有効期限を定めておく必要があります。

基本的には売り手側が提示するプロセスレターの有効期間に合わせますが、買い手側にて有効期限の修正は可能です。

買い手側としては、独占交渉権が長ければ長いほど交渉しやすくなるので有利になり、売り手側としては有効期限の開始が遅ければ遅いほど、本当に買い手側が現在のM&A対象会社でいいのかどうか考える時間ができるのでいいとされています。

この有効期限は案件によって異なりますが、通常は基本合意契約書が締結されて60〜90日程度とされていることが多いです。

独占交渉権について

M&Aの基本合意契約書では独占交渉権の条項を入れるのが普通ですが、この規定に反して第三者とM&Aの交渉をして、そこと本契約をしM&Aを行ったら、もとの交渉相手に損害賠償をどうするか決めておかなければなりません。

M&Aではこの独占交渉権はこれから先M&Aを進めるにあたってかなり左右されるところであり、この独占交渉権を侵害するものとして話題を集めた、「住友信託銀行とUFJ銀行」の対立はかなり有名であります。

結果として解決金を払うなどの処置で和解が成立した問題ですが、このような大規模M&Aでなく、小規模M&Aでも独占交渉義務に関するトラブルのケースは多いです。

この時に注目すべきポイントとして最高裁が判決した、「M&Aにおける独占交渉権は最終的な合意を成立させるための手段で、最終的な合意が成立する可能性が存在しないと判断される場合は、独占交渉権の条項に基づく債務も消滅する」と判断したところです。

これはM&Aの独占交渉権は消滅する道筋を示したものとして、今後のM&Aの取引の実務に参考になるものでペナルティーなども気をつけなければならないことと判断できます。

買収監査について

M&Aの買収監査は、公認会計士などの専門家や買い手企業自身で行なうことが多く、M&Aは売り手側企業の従業員や取引先に対して隠密にしないとならないため、従業員が会社にいない休日などを使って買収監査が行なわれます。

このとき調査対象となるのは、財務内容の調査、事業内容と法律面の調査が主な買収監査の内容です。

M&Aの基本合意契約書では、この買収監査についての協力を求める意味の条文を記載し、必要な書類や経理調査などに必要な段取りを定め、実施期間の明記をします。

売り手側企業はこの買収監査においては期間を買い手側に定めてもらうことにより、交渉が長引くことで機会損失のリスクを減らすことができます。

基本合意契約書作成のポイント

M&Aの基本合意書のポイント

M&Aにおける基本合意契約書のポイントは売り手側企業と買い手側企業で相反することから折り合いをつけて、お互いがこれから進めるM&Aの交渉をしやすくするための締結をしていく必要があります。

基本合意書はいくつかの基本事項をまとめたもので、最終的な合意を定めるものではないので、取引内容の合意がされていたとしてもその合意はその時点における仮の合意事項となります。

最終的な合意に近いものもあれば、その後の交渉によって変更される可能性があることが前提で当事者間の理解を確認するだけにすぎないものもあります。

この基本合意書のポイントはM&Aにおいて売り手側企業と買い手側企業で多少違うところがあるので、わかりやすく解説するために、売り手側と買い手側別にポイントをまとめていきたいと思います。

売り手側の基本合意契約書作成のポイント

M&Aにおいて売り手側企業は「今交渉している買い手企業にそのまま買ってもらいたいか」「M&A交渉中の買い手企業以外に買い手候補がいて優先度が高くない」この2つのパターンにより基本合意契約書の作成ポイントも変わってきます。

そのまま交渉中の相手に買ってもらいたい場合は、なるべく法的拘束力のある基本合意契約書の締結をし、できない場合には、売却金額を記入し、デューデリジェンスなどでよほどの理由が出てこないかぎりその金額で買ってもらえるような内容で作成することが大切です。

合意されたM&A売却価格で取引するということは、誠実に交渉する義務を負うことなので、契約締結上の過失が認められる可能性があり注意が必要です。

また長期間の独占交渉権を与える場合は、独占交渉権に関する例外条項を入れておくのがいいです。

M&Aの基本合意書のポイントとは

他にも買い手候補がいて優先度が高くない場合は、法的拘束力を与えないかわりに、独占交渉権も与えないというような交渉も行います。

入札形式のM&Aの場合は、最も有利な条件を提示した買い手候補企業を選ぶようにするために独占交渉権は与えない方向でM&Aを進めていきます。

海外では、一定の報酬を払い法的拘束期間中でも契約を破棄させるような条項や、当事者の双方が合意した一定期間は売り手側が買い手候補企業を積極的に探して交渉することを認める条項があります。

買い手側の基本合意契約書作成のポイント

M&Aにおいて買い手側の基本合意契約書の作成ポイントとしては、デューデリジェンス(買収監査)などに多大な費用と時間がかかるので、一定期間も独占交渉権をもらってからデューデリジェンスを行うことを記載するようにしましょう。

基本合意契約書に法的拘束力がない場合でも、一度基本合意契約書に記載したからには、変更には合理的な理由が必要になり、不合理な提案を行なってM&Aの交渉が決裂した場合には契約締結上の過失等が問題になるので注意しましょう。

そしてできるだけ交渉期間は長く取ることを意識し、長期間の独占交渉権期間となった場合には売り手側企業から例外条項を求められることもあるということを理解しておきましょう。

基本合意契約書には法的拘束力がない

M&Aの基本合意契約書には法的拘束力がない

基本合意契約書とはM&Aにおいて必ず作成しなければならないものではなく、基本合意事項に対する確認という部分での契約書です。

基本的にはこの基本合意契約書を締結する段階では、デューデリジェンスは実施されていなく、買収額が今後デューデリジェンスの結果によって交渉の余地をしていうことから法的拘束力がないものが多いです。

このM&Aの基本合意契約書で重要視される点は、独占交渉権と法的拘束力の部分であり、これから先M&Aを進めるのに当たって、途中でどちらかがM&Aの取りやめをすることでこれまで行なったM&Aの売買交渉の時間やコストが無駄になるリスクを減らすことが目的です。

ただし、基本合意契約書の書き方次第では法的拘束力が生じることもあり、どこまで法的拘束力を持たせるかは案件により様々で合意内容も対象会社により異なります。

特に売り手側企業の弁護士が顧客を保護するために、保守的になると時間がかかってしまうので、基本合意契約書は交さずにタームシートという箇条書きにした書類を作成し、M&Aを進めることもあります。

デューデリジェンスは法的拘束力あり

M&Aの基本合意契約書には法的拘束力がないものですが、一部の部分には法的拘束力を持たせることが大事です。

具体的には独占交渉権やデューデリジェンスには法的拘束力が必要で、デューデリジェンスの実施の協力をする旨を基本合意契約書に記載している場合、財務状況などの買収監査に当たるものの開示を求められた際に、開示をする義務があります。

そこで開示しなければいけない情報を隠してM&Aを進め、M&A後に簿外債務などが発覚した場合、損害賠償を求められるような条項を入れて法的拘束力を持たせることが大切です。

MAC条項に関して

M&Aの最終契約(クロージング)までに重大なトラブルが発生することは稀ではなく、例えば簿外債務が発覚されたり、期待していた特許が無効となる可能性も出てきます。

このような時にどのようにしていくかを決めたものがMAC条項(Material Adverse Change)といい、これは表明保証条項違反という形で登場します。

ただ解決をするのは難しく、簿外債務などは当人でも把握していないこともあり、特許の無効は突然起こりゆる問題でもあります。

大規模のM&Aの契約書では意向表明書にペナルティー事項を記載していることが多いですが、その内容も合理的であるかどうかと問われれると疑問が生まれるほどです。

なので故意に起こった事象や重過失に限って責任を負わせるような記載をM&Aの契約書に入れることが多いです。

上場企業の基本合意契約書

基本合意契約書は原則として会社間で結ぶものなので、第三者に開示や報告の義務はありませんが、M&Aの取引が上場企業が入ることによってこの基本合意契約書の開示義務が課せられます。

金融商品取引所規則で定められていて、開示をしなければいけないのですが、上場企業はこの基本合意契約書がM&Aの取引の実行と考えられる可能性があるからです。

ただ、基本合意契約書の各項に対して法的拘束力がなく、双方の協力を促すためだけのものであれば情報の開示義務はありませんが、条項に法的拘束力を持つものがあればそれを開示する義務が課せられるので開示する必要があります。

そのため上場企業のM&Aでは基本合意契約書などの締結の際、その法的拘束力に従い、各所に情報を公開します。

3. M&A最終契約書の詳細

M&Aの最終契約書とは

M&Aの最終契約書とはクロージングといってM&Aの最終的な契約を締結するものです。

この最終契約書を締結するまでに、様々なプロセスを通してM&Aを進め、その中で色々な契約書を締結していくことになりますが、M&Aではこの「最終契約書:Definitive Agreement(DA)」が一番重要な契約書だと言えます。

基本的合意契約書が中間的な交渉の確認や、合意を約束するための契約書であるのに対して、最終契約書はM&A当事者における、最終的な合意内容を記した契約書になります。

その名の通り、M&Aの完了を決める最終的なプロセスで売買や譲渡の成立はこの契約書にて完結されます。

内容としては、基本的な条件(買収範囲やストラクチャー)のほか、表明保証や誓約(コベナンツ)、前提条件、補償などが含まれています。

M&Aの最終契約書の種類

M&Aの最終契約書の種類とは

M&Aにおける最終契約書は、M&Aをどのように行なうのか手法によって異なります。

M&Aでは株式譲渡と事業譲渡の2つの最終契約書があり、これはM&Aにより買収側が何を得るかにより使い分けていきます。

ここではそんなM&Aの最終契約書には印紙は必要なのかどうかや、内容の詳細まで理解しやすくするために種類別に解説していきます。

株式か事業か譲渡内容で使われる契約書のひな形が違ったり、印紙などの課税方法も違うので、ここではしっかりと理解を深めましょう。

株式譲渡契約書

M&Aの株式譲渡契約書とは

M&Aの取引では、売り手と買い手が株式譲渡やその他諸条件に合意すれば、M&Aに関する最終契約書となる株式譲渡契約書を交わすことになります。

株式譲渡契約書SPA(Stock Purchase Agreement)とは、相対取引で株式を取得するM&A取引を行う場合に作成され、一般的には株券がない場合は、株式の売買を確実なものにするために、M&Aでは株式譲渡契約書を締結します。

株式譲渡契約は、株式の売買契約を意味していて、目的となる株式の発行会社、株式の種類や株数を特定し、その所有権を移転することと、その対価を定めるものであります。

M&Aの株式譲渡契約書の意味

この株式譲渡契約書の締結によって、売り手側は株式譲渡義務を負って、対価を受領する権利を得られ、買い手側は、株式を譲り受ける権利を得て、その対価を支払う義務が課せられます。

株式譲渡契約書の本質的な目的は、M&Aなどの株式の売買によって金銭を引き換えることであり、株式譲渡契約書の締結によってM&A後も当事者の関係が継続するものではありません。

M&Aの株式譲渡契約書の基本構成は、目的と定義、譲渡する株式の数と内容、譲渡金額、譲渡日、表明保証、誓約事項、クロージング条件、契約の変更や解除について、付随契約、一般条項となります。

この株式譲渡契約書には収入印紙は不要とされていますが、付随契約に不動産売買や債権譲渡を定める場合は課税文書となる場合があるので、収入印紙が必要になります。

事業譲渡契約書

M&Aの事業譲渡契約書とは

事業譲渡契約書とは、会社を丸ごと買収・売却するのはなく、事業単位や事業の一部のみを買収・売却する事業譲渡についての契約書です。

事業譲渡契約書はM&Aにて事業の一部や、全てを譲渡する場合、事業全部の賃貸、その経営の委任や他人と事業上の損益全部を共通する契約、それに準する契約の締結や変更・解除の場合などは株主総会の決議が必要となります。

事業譲渡契約書の内容は株式譲渡契約書に似た規定が置かれていて、構成や分量も似ています。

M&Aの事業譲渡契約

事業譲渡契約では、対象の事業と事業を構成する財産や債務を定めるもので、大まかな範囲を記載して別途協議をすることもあります。

この事業譲渡契約では、事業上競業避止義務の定めを置き、会社法の定めにおいて、当事者が意思表示がなく事業譲渡された場合には事業を行なっていた市町村内や近隣市町村の区域内での同一事業をおこなってはならない、事業上競業避止義務が課せられます。

株式譲渡契約では、株主有限責任の原則により、投資額や出資額まで損失額に抑えられますが、事業譲渡の場合は、事業に関する債務を引き受けることになるため、投資額以上の損失が生じる可能性が否定できない部分があります。

また事業譲渡では印紙が必要になりますので覚えておきましょう。

M&Aの最終契約書に含まれる項目

M&Aの最終契約書の項目

M&Aで最も重要な最終契約書の内容についてですが、この最終契約書とは譲渡代金の決済方法や経営陣の処遇など細部に亘り取り決めした事項を盛り込んでいきます。

株式譲渡の場合は「株式譲渡契約書」で事業譲渡の場合は「事業譲渡契約書」を締結することになり、この最終契約までM&Aについて協議した内容と契約書面の内容に相違がないかをよく確認しましょう。

このM&Aの最終契約書のひな形やサンプルはWEB上にてダウンロードが可能ですが、重要な部分になるので不明な点があれば必ずあいまいにせず、M&Aの専門機関や顧問弁護士にという合わせましょう。

ではこのM&Aの最終契約書の項目を細かく解説していきたいと思います。

スキーム(譲渡手法)

最終契約書に含まれるM&Aの譲渡手法では、株式譲渡契約によるM&Aなのか、事業譲渡によるM&Aなのかを記載していきます。

M&Aの譲渡手法が株式譲渡によるものなのであれば、売主から買主に対して、発行済株式の数とその内容を記載し、株式譲渡契約書と称します。

事業譲渡によるものなのであれば、譲渡する事業内容を売主から買主に譲渡する旨を記載していき、事業に関して詳細を定めるのであれば別紙にて定めることもあります。

これにより最終契約で売主が買主にどのような物をM&Aにて譲渡するのかを定めます。

売買金額(評価額)

M&Aの売買金額は条件交渉にて定められた金額を株式譲渡契約書または事業譲渡契約書に記載します。

サンプルの例として株式譲渡契約の場合には
「金_________円也(1株あたり金___円)」と記載し、クロージング日に、株式譲渡および譲渡方法で定めた書類の全ての交付と引き換えに上記に記した譲渡代金を支払うことを約束します。

振込先の銀行口座情報を記したうえで、売主は買主に対して、譲渡金額が振り込まれたことを確認できたら、直ちに譲渡代金の領収書を発行し、交付することを記載します。

M&Aの課税対象

このとき、個人資産の売却に当たるため印紙税法上は非課税文書に当たるため、M&Aにて株式譲渡を行う場合には印紙は必要ないです。

また事業譲渡の場合には、事業譲渡契約書に印紙税がかかります。

記載された金額が1万円未満なら印紙税は非課税、10万円以下なら200円の印紙税がかかり、5千万円から1億円以下なら6万円の印紙税で、1億円から5億円以下なら10万円の印紙税、5億円から10億円以下なら20万円の印紙税が課税対象となってしまいます。

手続条項

M&Aの最終契約書にはM&Aにおける取引で、法に基づく適正な手続きがなされていることを記載しておきます。

この手続き条項では、取締役の辞任についてや、担保の解除、取締役の辞任に対する退職金のについてなどM&Aを行うことでしなければならない手続きについての条項を盛り込みます。

前提条件

M&Aの最終契約における前提条件とは、契約書に記した条件を満たさなければ、M&Aのクロージングは実行しないものとすることを定めるものです。

M&Aによる確実な利益を得るために記載内容が履行される場合がございます。

例としては、買主・売主がM&Aの本契約上、義務違反をしていないことやM&Aにおいて表明保証の内容を誠実かつ真実であることを記載し、売主は各号の事由が充足されているか、買主は支払い義務を履行すること約束するかなど条件を記載します。

なので前提条件はM&Aにおける契約内容を確実に実行させるために設定します。

表明保証の期間と範囲

表明保証とはM&Aの相手に対して、契約書の内容が事実であることを表明と保証することです。

この保証を違反した際に、請求できる損害賠償や最悪の場合は契約解除できる旨を記載し、簿外債務や保証債務など、M&A手続き中に発覚した事実以外の債務がないことを表明する条項です。

株式譲渡契約書または、事業譲渡契約書の締結日以降に、M&Aのリスクである賃金の未払いや、時間外労働に対しての支払いなどに漏れがないこと、不正や資産状況、経営成績の悪影響を及ぼすものが生じていないことを表明することを記載します。

そして、権利が侵害されていないこと、その他クレームや合理的に予見される紛争がないことを保証することを表明します。

この表明保証をM&Aの契約書に納める場合には、表明保証義務違反は一定期間たったあとで起こりやすいため、表明保証義務の期間の有効期限を定める必要があります。

遵守事項

M&Aの最終契約書において遵守事項(コベナンツ)とは、売主または買主がM&Aに際して、相手方に対して約束し、遵守することをいいます。

この遵守事項はM&Aの株式譲渡契約書を構成する主要な項目の一つです。

M&Aの遵守事項とは、一般的なものとしてこの契約書の締結日からクロージング日までの期間中における重要な経営判断や重要な資産の処分を禁止する規定やクロージング後には競業行為を行わない旨を定める競業避止条項や適切に業務の引き継ぎをしていただくことの義務があります。

借入金・個人保証・担保について

M&Aにおいて買い手側は売り手側が対象会社の債権や契約を担保するために負っている保証債務や担保のための抵当権について、買主の費用と責任において、当該保証債務の解消および当該抵当権の解除が必要になります。

この担保や借入金、個人保証については、条件交渉によってM&A後に引き継ぐかどうかを決めなければなりません。

売り手側はM&A成立後に社長個人の連帯保証の解除と差し入れた社長保有の不動産の担保権を外すように買い手側企業との最終契約書に「個人の補償の解除並びに個人保有不動産の差し入れ担保の解除の保証」を要求すべきです。

この時に、最終契約書には個人保証の解除をする時期を定めておく必要がありますので、個人保証を解除する時期はM&Aの当事者間で話し合い、互いに納得いく時期に行うようにしましょう。

契約解除条項

M&Aにおいて、重大な表明保証条項の違反が判明した場合には、債務不履行として責任追及することができます。

これには、損害買収とその他の責任追及があり、表明保証違反により、本契約を維持することが困難になった場合はクロージング日前に限り、相手方に書面で通知して契約の解除をすることができるといったような条項を記載します。

また、軽度の表明保証違反である場合には、是正される見込みがある場合には催告をして対処を行なってもらうなど、M&A契約の解除までしなくても責任追及をできるように条件を記載しておきます。

役員・従業員の処遇

M&Aの買い手側はクロージング日に全従業員の処遇を決めておく必要があります。

これはM&Aのリスクにおいていつも懸念されている優秀な人材の排出にも関わることで、最終契約書にはその従業員のM&A後の処遇についても記載しておく必要があります。

例としては売却側企業の全従業員の雇用を維持すること誓約することや、M&A前の処遇より良い条件を記載するケースもあります。

特に中小企業は、大企業より従業員が少ないことから、事業のパフォーマンスが社員一人一人の実力に依存していることが多いため、中小企業のM&Aではかなり重要視されている部分であります。

引継ぎの期間・報酬・肩書など

ここではM&A後の役員の処遇や報酬を定めておきます。

M&A前の取締役が辞任する場合や、監査役の方などの辞任がある場合はここにその辞任日を記載し、辞任によって発生する退職慰労金の支給額を支払うことを買い手側に約束させ、辞任後に事業が円滑遂行できるように協力をすることを約束します。

また、それ以外の役員の処遇についても変更がない場合は、M&A前と同様に役員として引き続き在任する旨を記載しておくと良いでしょう。

会社名義個人資産の扱い

不動産など会社名義の個人資産はM&Aのクロージング日までに必ず精算しなければいけません。

特にM&Aによる株式の売買で権利を丸ごと譲渡するようなM&Aではない場合は、事業に関わる賃貸やローンなどで借入がある場合が多いので注意しましょう。

もし会社名義の個人資産などの変更や引き継ぎがある場合には、それに従っての注意事項などを記載しておくと良いです。

一般条項

この一般条項では、M&Aでの法に関わる基本的理念を一般的・抽出的に示しておきます。

また、一定の法的効果を発生させるための要件を具体的に示しておくことで契約上の法律に関わる部分の補足を記載します。

一般条項はどのような契約書にも記載するものなので、M&Aの最終契約書にもその旨を記載しておく必要があります。

最終契約書作成のポイント

M&Aの最終契約書の作成について

M&Aの最終契約書は、デューデリジェンスなどによって判明された問題点などを参考に、基本合意書の内容を変更して作るものです。

この最終契約書を作るときは、すでに作成されている基本合意書に、デューデリジェンスなどの第三者が加わり、客観的な企業評価をして、買収額や決済方法、役員の処遇などを交渉していくため、両者が納得しない物も現れてきます。

そこで、M&Aの最終契約書を作成するときには、売り手側企業と買い手側企業が一緒に条件の確認をして必要であれば条件を交渉しながら作成をしていきます。

それによって出来上がる文書がM&Aの最終契約書になります。

M&Aの最終契約書のポイント

このM&Aにおける最終契約書のポイントを解説していきますが重要なポイントは以下の4つです。

  • 遵守条項
  • 表明保証事項
  • 前提条項
  • 保障条項

M&Aの最終契約書は、M&Aの手法によって名称が異なり株式譲渡によるもの、事業譲渡によるもので内容もすこし違ってきます。

ですがM&Aでは、株式譲渡や事業譲渡などの手法に関わらず、以上の4つのポイントが契約書では一番ポイントになり、聞きなれないような言葉も多くでてきますが、基本的に契約書というものは、「嘘や偽りがないこと」「違反をした場合は損害賠償が発生する」ということの証明という意味で作成します。

株式譲渡契約の法律に基づく規制のポイント

M&Aの株式譲渡契約書の締結に関して注意しなければならない法律や規制のポイントを解説します。

まず一つ目は「独占禁止法による規制」ですが、公正取引委員会への事前に届出が必要になるM&Aの取引の場合には買い手側は届出を受理した後30日間は原則として株式の取得ができません。

また海外M&Aでも似た規制があるので、M&Aの手法や必要に応じて、株式譲渡契約書の中にこれを実行条件に入れておく必要があります。

二つ目は、「外為法に基づく規制」で買い手側が外国人投資家などの場合は、外為法上の対内直接投資家該当するので、買い手側において事前届出や、事後届出が必要になります。

これに該当する場合はM&Aの取引実行条件にこの旨を記載しておく必要があります。

M&Aの規制と注意点

三つ目は、「金融商品取引所法に関する規制」で対象会社が上場企業を含む場合のM&A取引では相対取引ではなく公開買い付け(TOB)による株式取得がメインとなること思いますが、相対取引によるM&A取引の場合には、インサイダー取引規制に気をつけましょう。

また上場企業が関わるM&Aでは開示義務がありますので、そちらにも気をつけましょう。

印紙については株式譲渡契約書では不要ですが、M&A実行後の買い手側、売り手側間の継続的な取引関係を定める条項や債権譲渡や債権引き受けに関わる条項がある場合には印紙が必要になる場合があります。

事業譲渡契約書の法律に基づく規制のポイント

事業譲渡契約書で譲受会社が譲渡会社の有していた、当該事業に関する債務を引き受けないと定めた場合には譲受会社はその債務の弁済責任を負いませんが、譲受会社が商号を引き続き使用する場合には、債務を引き受けないと定めたても、譲受会社もその債務についての弁済責任を負うことになります。

この時、M&Aによって商号を続用しない場合でも、譲受会社が事業によって生じた債務を引き受けることの広告をした場合には、その債務の弁済責任を負うことになります。

また、譲渡会社や譲受会社が有価証券報告書提出会社である場合、臨時報告書の適時開示や開示規制があり、一定以上の規模の場合には、独占禁止法の事前届け出および30日間の待機期間が必要になります。

4. M&A契約書のサンプル・ひな形はネットでダウンロードできる

M&Aの契約書のサンプル

M&Aの契約書は、M&Aを始める前に締結するものや、M&Aの中盤で意向表明などに締結するものなど様々な契約書があります。

このM&Aに関する契約書は、サンプルやひな形を使って個人で作ることも可能ですが、基本的に見落としや内容の相違が無いように専門家に作成してもらうことが一般的です。

M&Aに関する契約書のサンプルやひな方はネットでダウンロードできるものもありますのでサンプルとして紹介させていただきます。

M&A契約書の雛形と書き方|無料ダウンロードは書式の王様

このようなwebサイトでM&Aの契約書のサンプルやひな形がダウンロードできます。

このサンプルやひな形を基本にして必要事項を加えながら作成していきます。

5. M&A相談はM&A専門の会計士にお願いすべき

M&Aの相談は専門家におまかせ

M&Aでは所々で契約書や調査などややこしい手続きが必要になります。

上記のとおり、契約書の内容は細かく複雑なため、サンプルやひな形を用いても、漏れが生じることもありますので、M&Aのプロに作成してもらうのが確実です。

M&A総合研究所では、M&Aの専門家がM&Aに関することをフルサポートしています。

そのため難しいM&Aの契約書に漏れが生じることがなく、M&A仲介業者ではできないようなサポートや相談まで可能です。まずはご相談ください!

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

6. 商事法務の「M&Aの契約ーモデル条項と解説」

M&Aの商事法務

株式会社商事法務は法務に関しての書籍を多数取り扱っており、この商事法務ではM&Aに関する書籍も多く出ています。

ここまで解説してきたM&Aに関する契約書の中身は、商事法務で売られている「M&A契約ーモデル条項と解説」で詳しく解説されています。

商事法務「M&Aの契約ーモデル条項と解説」の中身

M&Aに関する知識の補充

商事法務の「M&Aの契約ーモデル条項と解説」では、M&Aの契約関係についての解説が多く書いてあります。

第1部のM&A契約総論ではM&Aの分類や構造について、第2部の株式譲渡契約ではM&Aにおける株式譲渡契約書の項目一つ一つについて、第3部の事業譲渡契約では、M&Aの事業譲渡契約書に関する項目と課税による印紙の有無など、M&Aについて細かく解説されています。

M&Aについての知識を身に付けたい方は、商事法務の「M&Aの契約ーモデル条項と解説」がおすすめで他にもM&Aに関する書籍がたくさん揃っているので、読むとかなりM&Aの契約関係や知識が深まります。

7. M&Aの契約書まとめ

M&Aの契約書のまとめ

M&Aの契約書は、大きく分けて5つです。

  • 秘密保持契約書
  • アドバイザリー契約書
  • 意向表明書
  • 基本合意契約書
  • 最終契約書

このM&Aの契約書で、M&Aの手法によって省くものもありますが、M&Aをする上で必ず締結する契約書だといえます。

このようなM&Aの契約書の内容は難しいように思えますが、約束事を破らないということが一番重要視していることでサンプルやひな形を用いれば簡単に出来上がってしまいます。

M&Aの契約書について

基本的には法的拘束力が無いものが多く、約束事のような意味を持ちますが、中には法的拘束力を持ちM&Aでのトラブルを回避できる契約書もあります。

このような契約書を作成することで自社が損をしなくて済むと考えると契約書の重要性は理解できるかと思います。

まだイメージがつきにくいという方は、ネット上に出ているサンプルやひな形を一度見てみるとイメージが湧いてくるかもしれませんのでそのサンプルやひな形を参考にしましょう。

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