M&Aにおける課題とは?現状から対策までを解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
荻野光

本記事では、M&Aの現状やM&Aを行う際のメリット・デメリット、M&Aを行う際の課題や対策について解説します。また、M&A手法ごとの課題と対策、M&Aの状況別課題と対策、M&A契約スキームごとの課題と対策についてもあわせて解説します。

目次

  1. M&Aとは
  2. M&Aにおける現状
  3. M&Aにおける課題と対策
  4. M&Aにおけるメリット・デメリット
  5. M&A手法における課題と対策
  6. 状況別のM&Aにおける課題と対策
  7. M&A契約スキームにおける課題と対策
  8. M&Aの相談は仲介会社がおすすめ
  9. まとめ
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1. M&Aとは

M&Aとは

M&Aとは、法人や個人が事業の経営権をすべて、または一部を取得する買収(Acquisition)と、2つ以上の法人が1つの法人に統合する合併(Merger)の略称です。

M&Aには、株式譲渡・事業譲渡・株式交換・株式移転・会社分割など、さまざまな手法があり、広義には資本提携なども含まれます。

2. M&Aにおける現状

M&Aにおける現状

近年、日本のM&Aには、以下のような特徴がみられます。

  1. 中小企業のM&A件数が増加
  2. 大手企業によるクロスボーダーM&Aが増加
  3. 後継者不足による事業承継が増加

1.中小企業のM&A件数が増加

日本のM&Aはバブル経済の頃に活発となり、その後は商法改正や会社法施行により、さらにM&Aが増加しました。

かつては、M&Aといえば上場企業などの大企業が行う特別な経営戦略というのが一般的なイメージでした。

また、ハゲタカファンドとも呼ばれた外資系投資ファンドが注目されたことにより、M&Aに悪いイメージを持つ人も少なくありませんでした。

しかし、近年は会社法の施行により以前よりも手続きが簡便になったことや、国がM&Aを推進していること、M&A仲介会社などの手数料が下がっていることなどから、中小企業のM&A件数が増加しています。

2.大手企業によるクロスボーダーM&Aが増加

日本は今後、少子高齢化による市場縮小が進んでいくと予測されています。一方で、東南アジアなどの新興国は、急速な経済成長を続けています。

また、さまざまな業界が先端技術の急速な進歩による転換期を迎えていることから、技術開発競争が激しくなっています。

これらの変化に対応するためには、日本国内での業界再編だけでは間に合わず、海外の企業を買収することによって海外の事業エリアを開拓したり、海外の優秀な人材や先端技術を獲得したりする経営戦略が欠かせません。

そのため、近年は大手企業が海外企業を買収するクロスボーダーM&Aが増加しています。さらに、クロスボーダーM&Aによる戦略は、大手企業だけでなく中堅企業や中小企業にまで広がっています。

3.後継者不足による事業承継が増加

中小企業の後継者問題は深刻となっています。オーナー経営者の高齢化が進み、多くの中小企業が世代交代期を迎えています。

しかし、事業を継がない経営者の子ども増えたことで、親族内での事業承継ができないケースが増えました。

また、経営者側としても、変化が速く先行きが見えにくい経済環境の中で、自身の子どもに事業を継がせないという判断をするケースも増えています。

廃業を選ぶ中小企業経営者が増えたことで、国や地方自治体は廃業を防ぐため、第三者間での事業承継支援に注力し始めました。

中小企業経営者に事業承継の認知が広がり、事業承継を行いやすい環境が整い始めたことで、M&Aによって第三者へ事業承継を行う件数は年々増加しています。

【関連】中小企業のM&Aの流れや成功ポイント、注意点を解説!おすすめ仲介会社は?

3. M&Aにおける課題と対策

M&Aにおける課題と対策

M&Aを行う際は、以下の課題に対応しなければなりません。ここでは、それぞれの課題と対策について解説します。

  1. 従業員の処遇・待遇 
  2. 顧客・取引先への対応
  3. M&A後のPMI 

1.従業員の処遇・待遇

あらゆる業界で人材不足が深刻となっている現状において、買い手側にとってM&Aによる人材の獲得は重要な目的のひとつです。

また、売り手側にとっても、経営者は自社の大事な従業員を託すことになるので、会社売却後に従業員がどのように扱われるかは気になるところでしょう。

実際のところ、M&A後に従業員が新しい環境になじめなかったり、待遇に不満を持ったりしてモチベーションが大きく低下するケースも少なくありません。

最悪の場合、M&A後に短期間で離職してしまうこともあるため、従業員に対してどのように対応するかは、M&Aを成功させるための課題のひとつです。

対策

従業員の処遇・待遇に関する課題の対策として、買い手側はじっくりと時間をかけて買収先の従業員を新しい環境に慣れさせることが大切です。急に自社の企業風土やルールに適応させようとすると、従業員の不安・不満を招いてしまいます。

売り手側は、課題解決に必要な準備を事前に行っておくことが大切であり、買い手側との交渉では、従業員の処遇・待遇について綿密に話し合い、細かいところまで明確にしておく必要があります。

また、M&A完了後しばらくの間、売り手側経営者が従業員の状況を確認し、相手企業にアドバイスするのも有効でしょう。

ほかにも、売り手側の経営者は従業員の不安を招かないために、M&Aによって会社を売却するという情報を伝えるタイミングや方法には十分注意しなければなりません。

2.顧客・取引先への対応

従業員への対応だけでなく、M&Aの際は顧客や取引先への対応も課題のひとつです。特に中小企業の場合、オーナー経営者との人間関係でつながっている顧客や取引先も少なくありません。

そのため、M&Aをきっかけに顧客や取引先が離れていかないよう、対策を講じることが必要です。

対策

M&A後も顧客や取引先との関係を維持していくには、M&A前の準備が重要です。売り手側の経営者が、買い手側の経営者や担当者を主要な顧客や取引先に紹介し、関係を築いておくとスムーズな引き継ぎがしやすくなります。

また、M&A後には売り手側の経営者がしばらく会社に残り、顧客・取引先と買い手側との関係構築をサポートすることも有効です。

一方、買い手側は買収後急に契約内容などを変えると、顧客や取引先の反発を招く可能性があります。それまでの契約内容などを尊重し、変更する場合はしっかりと説明して、納得を得てから変えていくことが大切です。

3.M&A後のPMI

事業の成長を図ってM&Aによる買収を行ったにもかかわらず、買収後思ったような成果が得られなかったというケースは少なくありません。一般的に、M&Aの成功率は3割から5割程度と言われています。

その原因の多くが、経営者がM&Aについての知識を十分に持たないままM&Aを行っていたり、売り手・買い手の経営者同士がお互いの企業文化を十分に理解しないままM&Aを完了させていたりすることにあります。

そのため、M&Aを成功させるためには、PMI(Post Merger Integration)が欠かせません。

対策

PMIとは、M&A後の経営統合プロセスのことです。PMIの成功には、デューデリジェンス(買収の際の企業監査)をどれだけ入念に行えるかが重要です。

デューデリジェンスによって買収先企業の収益力や想定されるリスクを洗い出すことで、PMIの進め方も決まります。中小企業の場合は、トップ面談もPMIに大きく影響します。

中小企業の場合、経営者の影響力が大きいので、企業風土も独自性の強いケースが大半です。

そのため、買い手側の経営者が売り手側の経営者と価値観などの相性が合わないと、いくら数字上は条件の良いM&Aでも、実際の現場ではうまくいかないということも少なくありません。

トップ面談の際にどれだけお互いの相性を確認し、価値観を理解しあえるかもPMIの成功には重要な要素です。

【関連】M&Aの手数料・報酬体系の相場は?M&A仲介会社別を徹底比較!

4. M&Aにおけるメリット・デメリット

M&Aにおけるメリット・デメリット

M&Aの際はメリット・デメリットを考慮しながら計画を立てる必要があります。M&Aにおける売り手のメリット・デメリットと買い手のメリット・デメリットについて解説します。

売り手のメリット

M&Aによって売り手は以下のメリットが得られます。

  1. 後継者問題を解決 
  2. 廃業・倒産を避ける
  3. 譲渡・売却益の獲得
  4. 従業員の雇用先を確保
  5. 事業・企業の発展

1.後継者問題を解決

中小企業オーナー経営者がM&Aによる会社売却を行う主な理由が、後継者問題の解決です。

前述したように、近年は子どもに会社を継がせようと考える経営者が減り、子どもも親の会社を継がずに好きなことを仕事にするケースが増えています。

しかし、オーナー経営者としては、自身が大事に育ててきた会社を廃業にしたくないと考えるのは当然のことでしょう。

また、大事な従業員を路頭に迷わせるわけにはいかないという使命感から、会社の継続を模索する経営者も少なくありません。

そこで、M&Aをうまく活用して第三者への事業承継に成功すれば、子どもへの負担などを気にすることなく会社を存続させることができます。

2.廃業・倒産を避ける

中小企業庁が中小企業経営者に行ったアンケート調査では、自身の代で廃業を検討していると答えた企業のうち、4割以上が事業の継続が可能であるにもかかわらず、後継者がいないことで廃業せざるをえないと回答しました。

しかし、M&Aによる事業承継で第三者へ会社を引き継ぐことができれば、廃業や倒産を回避し、会社の存続が可能になります。

また、業績の悪化や先行きの不安から、倒産せざるをえなくなる前に会社の売却を検討する経営者も少なくありません。

経営不振に陥ってからの売却は買い手が現れにくいというリスクもありますが、買い手が見つかれば会社の立て直しも可能です。

もし、買い手が見つからなかったとしても、会社売却に向けて自社の状況を客観的に見直したり、専門家からアドバイスをもらって企業価値の向上を図ったりしているうちに、経営状況が上向いたという事例もあります。

3.譲渡・売却益の獲得

会社を売却して経営から退くにしても、その後の生活などを考えるとまとまった資金が必要です。

また、近年は会社の売却益で新たに事業を始めるシリアルアントレプレナー(連続起業家)も増加しています。

廃業・倒産の場合は資金が得られないばかりか、会社清算の費用を持ち出しでまかなう必要も出てきます。しかし、M&Aの場合はリタイア資金や次の事業資金を獲得できる点がメリットです。

4.従業員の雇用先を確保

従業員の雇用先を確保できる点もM&Aのメリットです。廃業を検討しているものの、従業員のことを考えるとなかなか廃業に踏みきれないという経営者も少なくありません。

しかし、経営者が事業へのモチベーションが下がったまま事業を続けたり、業績が下がっていくなか事業を続けたりしていると、最終的には従業員に負担をかけることにもなります。

M&Aであれば、買い手は多くの場合さらに良い雇用条件で従業員を引き受けることになるので、雇用を確保できるだけでなく、雇用条件の向上も見込めます。

5.事業・企業の発展

会社・事業が大きくなっていくにつれて、経営者に求められる能力も変化していきます。

新事業の立ち上げが得意な経営者もいれば、会社を成長させていくことが得意な経営者、成熟した会社を維持していくことが得意な経営者など、適性は経営者によってさまざまです。また、時代の流れに自身の感性が合わなくなってきたと感じる経営者もいます。

そのような場合、さらなる事業の発展を考え、M&Aによって会社を売却することで、事業の成長を図ることができます。

また、会社の業績は良いことが多いので、経営者は好条件の案件の中からじっくりと買い手を選ぶことができ、M&A後の成功率も高くなります。

買い手のメリット

M&Aによって買い手は以下のメリットが得られます。

  1. 人材・技術・事業の獲得
  2. 発展・拡大の速度を早める

1.人材・技術・事業の獲得

会社を成長させていくには、既存事業をさらに成長させるか、新規事業を立ち上げて育てていくことになります。それには、人材や技術、事業を新たに獲得し、育てていかなければなりません。

しかし、限られた経営資源の中でこれらすべてを獲得し育てていくことは簡単ではありません。

そこで、M&Aによって人材・技術・事業を同時に獲得することで、効率的に会社の成長を図ることが可能です。

特に、慢性的な人材不足と技術の進化が加速している現状では、M&Aの必要性はさらに高まっています。

2.発展・拡大の速度を速める

会社をさらに発展させるには、業界でのシェア拡大、事業エリアの拡大、関連事業の拡大、異業種の拡大などの方法があります。

これらの事業拡大を単独で行うには、多くの時間がかかるうえに、失敗するリスクも小さくありません。

そこで、M&Aによって戦略に合った会社を買収することで、成長速度を加速させることができます。

売り手のデメリット

M&Aによって、売り手は以下のデメリットを被る可能性があります。

  1. 希望通りの売却先が見つかるとは限らない 
  2. 希望条件での売却が出来ない可能性
  3. M&A前後に社内が混乱する可能性
  4. 情報漏えいによる契約が不成立になる可能性

1.希望通りの売却先が見つかるとは限らない

M&Aによる売却はタイミングが重要です。自社の状況や業界の流れ、経営者の状態などによって、最適な売却先がすぐに決まることもあれば、なかなか見つからないこともあります。

M&Aまでの準備期間が短いほど、最適な売却先と出会える確率は低くなる傾向があります。最適な売却先と出会う確率を上げるためにも、早い段階からM&Aに向けて準備を進めることが大切です。

2.希望条件での売却が出来ない可能性

M&Aは売り手と買い手の希望をすり合わせることで条件が決まるので、当初希望していたとおりの条件で最終契約まで至るとは限りません。

すべての希望条件を通すことは簡単ではありませんが、交渉の際は希望条件に優先順位をつけておき、譲れない条件と妥協できる条件のラインを明確にするなどの対策が必要です。

また、親身に対応してくれるM&Aアドバイザーに依頼することも、円滑な課題解決につながります。

3.M&A前後に社内が混乱する可能性

M&Aによる社内の変化は従業員に大きな戸惑いを与えます。特に経営者への依存度が高い企業ほど、M&Aによって経営者が変わる影響も大きくなるので注意が必要です。

社内の混乱により従業員のモチベーションが下がったり、離職してしまうようなことがあると、M&Aの交渉にも影響が出てきます。

そのため、従業員へ伝えるタイミングや説明の仕方、M&A後の統合プロセスを丁寧に進めることが課題になります。

4.情報漏えいにより契約が不成立になる可能性

M&Aの際は情報漏洩に細心の注意が必要です。情報漏えいは信頼関係に影響するだけでなく、相手企業の経営にダメージを与える可能性もあります。

交渉が進んでいくにつれて、M&A相手には自社の重要な情報を提供することになり、相手からも情報を提供してもらいます。

その際、自社から情報漏えいする可能性だけでなく、相手企業からの情報漏えいや、仲介業者からの情報漏えいの可能性も想定しなければならないため、いかに信頼できる相手と仲介業者を選ぶかが課題になります。

買い手のデメリット

M&Aによって、買い手は以下のデメリットを被る可能性があります。

  1. 雇用条件の変化により離職の可能性 
  2. 簿外債務・のれんの減損が発覚する可能性
  3. 買収費用が必要
  4. 想定した売り上げや成長が見込めない

1.雇用条件の変化により離職の可能性

M&Aによる買い手の課題として、M&A後に買収先企業の従業員が離職してしまう可能性が挙げられます。

多くの場合、買い手側は買収先企業の雇用条件よりも良い条件を出すことで、買収先従業員からの不満が出ないように対処します。

しかし、従業員が何に不満を持つかは人によって違うため、全員が納得する条件を提示することは簡単ではありません。

そのため、買収先企業の経営者やコンサルタントにサポートしてもらい、離職を抑えようとするケースもありますが、現実には従業員の離職リスクをゼロにできない点が課題です。

2.簿外債務の発覚・のれんの減損が発生する可能性

M&Aでは、想定どおりに買収後の統合が進むとは限りません。買収後に買収先企業の簿外債務が発覚したり、想定よりも事業シナジーが得られず、のれんの減損が発生する可能性があります。

簿外債務やのれんの減損は、徹底したデューデリジェンスを行うことでリスクを下げることはできますが、ゼロにすることは簡単ではありません。

特にのれんの減損は、東証一部上場企業でものれんの減損によって大損失を被った事例が相次ぐほど、リスク回避が課題になっています。

M&Aによる買収の際は、簿外債務とのれんの減損リスクを織り込んだうえで買収する必要があります。

3.買収費用が必要

買収には資金が必要であり、多くの場合現金による買収となります。しかし、買収規模にもよりますが、買収資金を自社の内部留保からキャッシュで支払えるケースは限られます。

多くの場合買収によって負債を抱えることになり、投資資金の回収には数年から十数年という期間が必要です。

リスクのない投資はあり得ないので、投資による利益とリスクのバランスをどううまく調節するかが課題になります。

4.想定した売り上げや成長が見込めない

多くの買い手企業は、買収シナジーが得られることを期待してM&Aを行います。つまり、買収によって売上の増加やコスト削減が果たせれば買収は成功したといえます。

しかし、売上の減少やコストの増大だけでなく、顧客・取引先離れや従業員の離職が起きることでM&Aが失敗となるケースは少なくありません。

環境の変化が速く複雑化している現在、想定通りの買収シナジーを得るには、どれだけ徹底した準備ができるかが課題になります。

【関連】会社買収の方法・手法まとめ!注意点やリスクに関しても解説!

5. M&A手法における課題と対策

M&A手法における課題と対策

M&Aは手法によって特徴やメリット・デメリットに違いがあります。ここでは、中小企業や個人事業主のM&Aでよく用いられる、事業譲渡と株式譲渡による売却の課題と対策について解説します。

事業譲渡・売却の場合

事業譲渡とは、会社内の事業や資産の一部または全部を売買する手法です。事業譲渡による売却の課題と対策は以下のとおりです。

考えられる課題

事業譲渡を行う際の主な課題は、手続きの煩雑さと税負担の大きさです。事業譲渡の場合、買い手側は各種許認可をあらためて取り直し、契約関係を再度結び直す必要があります。

許認可や契約の種類によっては多くの時間と手間がかかり、事業譲渡の規模が大きいほど負担も大きくなる点がデメリットです。

また、事業譲渡は売却益に法人税などの課税が発生するほか、売却資産の種類によっては消費税も発生するため、規模の大きい買収になるほど、買い手は資金の準備が課題になります。

有効な対策

事業譲渡によって事業を獲得する場合、許認可の取得や再契約にかかる期間を逆算して、M&A完了に合わせてあらかじめ済ませておくことが重要です。

また、事業譲渡によって発生する税負担がいくらになるかはM&Aのタイミングによっても変わるので、税負担を抑えられるタイミングを見計らって計画的に進める必要があります。

株式譲渡・売却の場合

株式譲渡とは、売り手企業の株主が買い手側に株式を売却し、買い手側は対価として現金を支払い経営権を得る手法です。株式譲渡による売却の課題と対策は以下のとおりです。

考えられる課題

株式譲渡は手続きが簡便であることから、M&Aの際に多く用いられている手法です。しかし、手続きが簡便であることが逆に手続きのミスにつながり、後々問題が発生するケースがあります。

特に、親族内など近い関係性の間での株式譲渡では、手続きを簡素化して進めたり、しっかりと記録を残さなかったりしたことから問題が発声するケースも少なくありません。

また、株式譲渡は経営権を包括的に譲渡するので、買い手側は簿外債務など想定外のリスクを背負う可能性もあります。

有効な対策

手続き上の課題に対しては、当事者間で直接手続きを進めるのではなく、M&Aの専門家などに仲介してもらうことで、手続き上のミスを防ぐことができます。

また、想定外のリスクまで引き継いでしまう点の対策としては、M&Aの際に徹底したデューデリジェンスを行うことが重要であり、リスクを下げることが可能です。

【関連】【M&A完全攻略マニュアル】M&Aとは?流れ・成約期間、譲渡額の決め方まで徹底解説!

6. 状況別のM&Aにおける課題と対策

状況別のM&Aにおける課題と対策

M&Aは目的や事業を引き継ぐ相手、譲渡規模によっても課題が変わります。ここでは、事業承継の課題と対策、スモールM&Aの課題と対策について解説します。

事業承継を行う場合

事業を次の代へ引き継ぐ行為が事業承継です。事業承継を円滑に進めるには、さまざまな課題を解決する必要があります。

考えられる課題

事業承継で生じる主な課題には、後継者選びと教育・経営権の分散・税負担・後継者の資金確保・債務や個人保証があります。

事業承継には、経営者や後継者・経営者の親族・取引先や顧客など、さまざまな人たちが関わってくるので、上記の課題を計画的に進めることが重要です。

有効な対策

事業承継の課題解決には時間がかかります。事業承継の準備開始に早すぎるということはないので、経営者は若いうちから事業承継計画書を作成し、準備を進めておくことが大切です。

また、前述した課題の多くは支援制度の活用や専門家への相談によって負担を軽減することができます。

まずは金融機関や公的機関、士業事務所など身近な専門家に相談することで、課題への具体的な対策方法が見えてきます。

個人がスモールM&Aを行う場合

スモールM&Aとは、数百万円台などの取引規模の小さいM&Aのことです。アメリカでは浸透しているスモールM&Aですが、近年日本でも注目されるようになり、個人がスモールM&Aにより起業するケースが増えています。

考えられる課題

スモールM&Aの場合、後継者選びと教育の難しさ、資金負担の大きさが課題です。譲渡側の個人事業主には、長年かけて積み上げてきた技術・ノウハウ、顧客との関係性があります。

後継者となる個人が技術・ノウハウを身につけ、顧客との関係性を築くには多くの時間と熱意が必要です。そのため、後継者が見つからなず時間ばかりが過ぎていくケースも少なくありません。

また、スモールM&Aを行うための資金負担は個人にとっては大きく、想定よりも負担が大きくなってM&Aを諦めたり、資金負担を抑えようと専門家に相談せずに手続きを進めた結果、トラブルになったりするケースもあります。

有効な対策

スモールM&Aを成功させるには、後継者候補はM&Aを行う前に時間をかけて経営者から技術やノウハウを直接学び、その間に経営者や顧客、取引先との信頼関係を築いておくことが大切です。

そしてなによりも、その店・会社の商品・サービスが大好きだという想いを強く持っていることが大前提になります。

また、資金面の課題については、スモールM&Aにも対応している安価な手数料のM&A仲介会社に依頼したり、公的機関に直接サポートしてもらうなど、専門家選びが重要です。

【関連】スモールM&Aとは?探し方・注意点まとめ!実際の案件も紹介!

7. M&A契約スキームにおける課題と対策

M&A契約スキームにおける課題と対策

M&Aを行う際は、まずM&A仲介会社に依頼するかしないかを検討し、依頼する場合はどの契約形態の仲介会社に依頼するかを選ぶ必要があります。

仲介型の専門家と契約する場合の課題と対策、アドバイザリー型の専門家と契約する場合の課題と対策、専門家に相談しない場合の課題と対策について解説します。

M&A仲介者と契約する場合

仲介型契約の場合、M&Aの専門家は売り手と買い手双方と契約し、間に入って交渉をサポートします。

仲介型は売り手と買い手の調整役を果たすので、交渉がスピーディに進みやすい点がメリットであり、中小企業などの中小規模案件でよく採用されます。

考えられる課題

仲介型は交渉が比較的スムーズに進みやすいですが、売り手と買い手の妥協点を探っていくことになります。

そのため、当初理想としていた条件よりも低い条件で成約せざるを得なくなる可能性が高くなるため、両者の妥協点をどこに見出すかが課題です。

有効な対策

相手との関係性やM&Aの成約スピードを重視するのであれば、仲介型の方がメリットは大きくなります。

その際、これだけは譲れないという条件やここまでは妥協できるという条件を、明確に伝えておくことが大切です。

M&Aアドバイザリーと契約する場合

アドバイザリー型契約の場合、M&Aの専門家は売り手か買い手どちらか一方と契約し、M&Aをサポートします。相手方も別の専門家と契約して交渉を進めていくのが一般的です。

アドバイザリー型は依頼者の利益を最大化できるようにサポートします。アドバイザリー型は上場企業などの大規模案件でよく採用されています。

考えられる課題

アドバイザリー型契約の場合、自社の利益を最優先にサポートしてもらえる点がメリットですが、交渉が難航し長引きやすい点が課題です。大企業の場合、交渉に数年を要するケースもあります。

有効な対策

アドバイザリー型で交渉を進める場合はM&A専門家の交渉能力や経験が大きく影響するので、信頼できる専門家を選ぶことが課題解決につながります。

また、交渉期間が長引いても余裕を持って対応できるよう、時間や資金を十分確保しておくことが重要です。

相談しない場合

小規模案件の場合、M&Aの専門家に相談せず、直接交渉するケースもあります。専門家を通さないので手数料負担がなく、資金面の負担を抑えられる点がメリットです。

考えられる課題

専門家を通さない場合、いかに信頼できるM&A相手を見つけるか、どうやって交渉を円滑に進めるかが課題となります。また、手続きのミスなどからトラブルになる可能性にも注意が必要です。

有効な対策

専門家を通さないことで目先の資金負担は抑えられますが、専門家を通しておいた方が最終的にはメリットが大きかったというケースは少なくありません。

現在は小規模案件に対応した専門家も増えているので、先を見据えて専門家に相談した方が結果的に課題の解消につながります。

8. M&Aの相談は仲介会社がおすすめ

M&Aの相談は仲介会社がおすすめ

ここまでご紹介してきたように、M&Aの際は大小さまざまな課題が生じます。課題を解消しながら円滑にM&Aを進めるには、豊富な実績を持った専門家によるサポートが必須です。

M&A総合研究所では実務経験豊富なアドバイザーと会計士、弁護士チームがフルサポートするので、あらゆる課題に迅速に対応します。

また、M&Aが完了するまで手数料が発生しない完全成功報酬制となっているので、M&Aが成立しなかった場合は手数料を負担する必要がありません。

無料相談は随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にお問い合わせください。

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9. まとめ

まとめ

本記事では、M&Aの現状やメリット・デメリット、課題と対策方法について解説してきました。

日本のM&Aは以下のような現状となっています。

  1. 中小企業のM&A件数が増加
  2. 大手企業によるクロスボーダーM&Aが増加
  3. 後継者不足による事業承継が増加

M&Aを行う際は、以下の課題に対応しなければなりません。
  1. 従業員の処遇・待遇 
  2. 顧客・取引先への対応
  3. M&A後のPMI 

M&Aによって売り手は以下のメリットが得られます。
  1. 後継者問題を解決 
  2. 廃業・倒産を避ける
  3. 譲渡・売却益の獲得
  4. 従業員の雇用先を確保
  5. 事業・企業の発展

また、M&Aによって買い手は以下のメリットが得られます。
  1. 人材・技術・事業の獲得
  2. 発展・拡大の速度を早める

M&Aによって、売り手は以下のデメリットを被る可能性があります。
  1. 希望通りの売却先が見つかるとは限らない 
  2. 希望条件での売却が出来ない可能性
  3. M&A前後に社内が混乱する可能性
  4. 情報漏えいによる契約が不成立になる可能性

また、M&Aによって、買い手は以下のデメリットを被る可能性があります。
  1. 雇用条件の変化により離職の可能性 
  2. 簿外債務・のれんの減損が発覚する可能性
  3. 買収費用が必要
  4. 想定した売り上げや成長が見込めない

さまざまな課題を解消しながらM&Aを進めるには、豊富な実績と高い専門性を持ったM&Aの専門家によるサポートが必要です。

M&A総合研究所では実務経験豊富なアドバイザーと会計士、弁護士チームがフルサポートするので、あらゆる課題に丁寧かつスピーディーに対応します。

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