中小企業の事業承継スキームを解説【持株会社/資産管理会社】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業承継スキームには、単に後継者に株式譲渡する方法の他に、持株会社を設立する方法もあります。持株会社による方法は、後継者が親族内でも親族外でも有効です。親族内に後継者がいない場合は、従業員への株式譲渡、M&A、ファンド、信託といった事業承継スキームもあります。


目次

  1. 事業承継のスキームとは
  2. 持株会社/資産管理会社を利用した事業承継スキーム
  3. 事業承継スキーム図
  4. 事業承継で承継する要素
  5. 各事業承継スキームのメリット・デメリット比較
  6. 各事業承継スキームのポイント・注意点
  7. 事業承継におけるM&Aのスキーム
  8. 中小企業の事業承継スキームまとめ
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1. 事業承継のスキームとは

事業承継のスキームとは

経営者がオーナーとなっている中小企業で経営を引き継ぐには、自社株式を後継者へ承継する必要があり、この自社株式を計画的に承継する事が事業承継においては大切なことになってきます。

単純に自社株式を後継者に承継させる方法には、従来からの「相続」「生前贈与」「売却(譲渡)」があります。そして、かつて事業承継と言えば経営者の子息が後継者にほぼ決まっていた時代であれば、これらの方法のみ考えれば事は済んでいたと言えます。

こうした時代には、「事業承継スキーム」というのはありませんでした。

しかしながら、最近では中小企業の事業承継の課題とそれによる社会的損失を鑑みて、従来の方法以外にも様々な法律や制度を適用した形の事業承継スキームが可能となっています。M&Aによるスキームや、事業承継ファンドや信託を活用するスキーム、持株会社を設立するスキームまであります

それぞれのメリットなどを踏まえて、使い方や組み合わせ方を考える必要がありますので、以下にスキーム図を絡めながら見ていきます。

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2. 持株会社/資産管理会社を利用した事業承継スキーム

持株会社/資産管理会社を利用した事業承継スキーム

中小企業において後継者に事業承継する目的を果たすだけなら、株式譲渡の形で済んでしまいますが、より高度にメリットのある事業承継スキームとして、持株会社/資産管理会社を設立する事業承継スキームがあります。

まず、このスキームについて見ていきます。

持株会社/資産管理会社とは

資産管理会社とは、資産を管理することを目的とする会社のことを指します。その中で、子会社やグループ会社の株式の管理を目的とする場合、持株会社と呼ばれます

会社の設立によって手続き的には煩雑になりますが、税金面でのメリットは大きいスキームになります。

持株会社/資産管理会社の設立方法


事業承継にあたり持株会社/資産管理会社を作るスキームには、法人を作ってから持株会社にする方法の「株式交換」と、新設する法人を持株会社にする方法の「株式移転」の2通りがあります。
 

設立方法①株式交換

後継者が持株会社/資産管理会社を設立し、その持株会社/資産管理会社が、経営者が経営を渡したい会社の株式を買い取る方法です。

まず、経営者あるいは後継者が持株会社/資産管理会社を設立します。その後、持株会社/資産管理会社が新規発行する株式と、経営者が承継したい会社で株式交換を行います。

さらに、経営者から後継者へ、持株会社/資産管理会社の株式を贈与します。

設立方法②株式移転

株式移転により、新しく持株会社/資産管理会社を設立する方法です

まず、経営者が経営を渡したい会社の株式を、株式移転によって新設の持株会社/資産管理会社に移転します。同時に、持株会社の株式を、経営者に割り当てます。

さらに、経営者新たに取得した持株会社/資産管理会社の株式を、後継者に贈与します。

持株会社/資産管理会社を利用した事業承継スキームとは

事業承継スキームにおける持株会社/資産管理会社の設立方法は以上の通りですが、このスキームで抑えておくべきポイントは、事業承継およびそれに絡む株式の譲渡あるいは贈与が、個人間ではなく会社間での手続きが中心となることです。

それが結果として、事業承継における、本来個人に跳ね返ってくる見た目の利益が抑えられることになります

持株会社/資産管理会社を設立し、その会社が経営者の保有する自社株式を買い取れば、その経営者の個人財産としての評価は固まります

また、後継者が保有する持株会社/資産管理会社自体の株式については、さらに次の世代の相続財産にはなりますが、相続税評価額の計算上では利益の蓄積による含み益に対して、法人税の税率を掛け合わせた分が控除されます。このため、直接に自社株式を保有するよりも株価の上昇が抑えられることになります。

また、複数の会社を保有する経営者が資産管理会社に自社株式を売却する場合、持株会社/資産管理会社の下にまとめて後継者に承継させたり、あるいは相続人が持株会社/資産管理会社の株式を保有してオーナーとなり、子会社は別の人に経営させるといった柔軟な事業承継も可能となります。

持株会社/資産管理会社を利用した事業承継スキームのメリット

持株会社/資産管理会社を利用した事業承継スキームのメリットは、主に見た目の利益と税金面ですが、それらを具体的に見ていきます。

メリット①後継者が持株会社/資産管理会社を設立した場合

後継者が持株会社/資産管理会社に出資して設立した場合は、株式を集約させた段階で承継は完了します。このため、後継者の資金で事業を引き取るため贈与税・相続税のことを考慮する必要がありません(ただし、持株会社に集約させる際、譲渡所得税は課されます)

メリット②経営者が持株会社/資産管理会社を設立した場合

経営者が持株会社/資産管理会社を設立した場合のメリットとして、経営を渡したい会社の業績が伸び続けて株価が上昇した場合に、その上昇分は持株会社/資産管理会社の含み益となることです。

これは、株価の算定が純資産価額方式の場合に、含み益を38%を控除できるので、株価の上昇を抑えることができます。

加えて言えば、持株会社/資産管理会社が、経営者の会社の株式を購入するための資金を金融機関から借り入れた場合でも、株式(資産)と借入(負債)が相殺されることになりますので、持株会社/資産管理会社の株価を抑えることができます

このように、経営者が持株会社/資産管理会社を設立した場合では、株価を抑えて後継者へ承継できるため、相続税や贈与税の節税効果が高くなります

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3. 事業承継スキーム図

事業承継スキーム図

ここで、事業承継を誰に対して行うかによって取り得るスキームを、以下のスキーム図で整理しておきます。
 

事業承継の相手 スキーム
親族間の事業承継 株式譲渡(売買、贈与、相続)持ち株会社/資産管理会社の設立
従業員への事業承継 株式譲渡(売買、贈与)、MBO、EBOなど
M&Aによる事業承継 株式譲渡(売買)、事業譲渡など
外部からの経営者の招聘 株式譲渡(売買)、MBO、事業譲渡など
廃業(相手無し) 会社の清算

なお、このスキーム図においてMBO、LBOは本記事には記載がありませんので、簡単にご説明します。

【MBO】
マネジメント・バイアウトのこと。M&Aのひとつで、オーナー経営者や会社経営陣、従業員が参加する自社企業の株式買収を指す。

【EBO】
エンプロイー・バイアウトのこと。会社の従業員がその会社の事業を買収したり経営権を取得したりする行為のこと。

4. 事業承継で承継する要素

事業承継で承継する要素

事業承継では、以下の通り「人の承継」「資産の承継」「知的財産の承継」の3つの要素の承継が発生します。

スキーム図にまとめると以下の通りです。
 

承継するもの 要素
人の承継 会社を引き継ぐ後継者
資産の承継 会社が所有する事業用資産や債権・債務
知的資産の承継 会社の理念やブランド、人材、技術、取引先とのネットワークなど

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5. 各事業承継スキームのメリット・デメリット比較

各事業承継スキームのメリット・デメリット比較

事業承継スキームにおいて、税金面でのメリットの大きい持株会社/資産管理会社の設立を見てきました。

それ以外にも、以下の方法が考えられますので、差し当たりメリット・デメリットをスキーム図にしました。
 

  メリット デメリット
持株会社/資産管理会社スキーム 税金が抑えられる 会社設立の煩雑な手続きがある
親族への株式譲渡スキーム(売買、贈与、相続) 最も単純でやりやすい 想定外の税金がかかる可能性がある
従業員への株式譲渡スキーム(売買、贈与、相続) 会社を熟知している従業員であればスムーズに事業承継を行える 後継者の資金や保証・担保が問題となる
M&Aスキーム(株式譲渡スキーム・事業譲渡スキーム) 外部に幅広く事業承継候補を探せる、資金面などの課題が一気に解決できる 自社の希望する条件を満たす売却先を探すのが大変
ファンドの活用 資金面の問題はなくなる、良い後継者がいなくても外部の優秀な人材を入れることができる 会社の運営を握るのは外部の人間になることに注意が必要
信託の活用 最も自由度が高く柔軟に対応できる 経営者の主観が大きく入るスキームなので、最善かどうかの客観的な評価はしにくい

以下ではこのスキーム図の中身を、さらに詳しく見ていきます。

6. 各事業承継スキームのポイント・注意点

各事業承継スキームのポイント・注意点

「各事業承継スキームのメリット・デメリット比較」におけるスキーム図の中の、持株会社/資産管理会社スキームを除いた、事業承継スキームを見ていきます。

親族間の事業承継のポイント・注意点

まずは「各事業承継スキームのメリット・デメリット比較」の中の、親族間の事業承継スキームについてです。ポイント・注意点を見ていきます。

ポイント・注意点①生前贈与の方法

そのまま一気に生前贈与をしてしまうこともできますが、生前贈与の課税負担を軽減するために取り得る方法もあります。

【暦年課税贈与】
生前贈与の場合の贈与税は、相続税の場合よりも移転財産(自社株式など)の評価額あたりの税率が高いため、まとめて贈与しようとすれば、税負担が重くなります。

このため、基礎控除(非課税枠)である年間110万円の範囲内にとどめて、数年かけて贈与していく方法が考えられます。これを便宜的に暦年課税贈与と言います。

【相続時精算課税制度】
暦年課税贈与では少しずつしか贈与ができませんので、全部を贈与するのに時間がかかる場合があります。そこで一度により多くの財産(自社株式など)を贈与したいのであれば、相続時精算課税制度を利用するのも選択肢の一つです。

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対して、累計で2,500万円までの財産を非課税で贈与できる制度です。それを超えた部分には、一律20%の税率で課税されます。

また、この相続時精算課税制度も、何回かに分けて贈与することが可能です。

さらに、この制度によって生前贈与した資産の相続税計算は、贈与されたときの価額で評価されます。つまり、現経営者がこの制度を使って後継者に自社株式を贈与すれば、後継者の経営努力によってその後に株価が上がっても、相続税には影響がないことになります。

なお、この相続時精算課税制度をいったん選択した場合、前述の110万円の非課税枠を利用した暦年課税贈与には戻ることができませんので、注意は必要です。

ポイント・注意点②承継円滑化法による贈与税免除

事業承継円滑化法は、2008年に成立した「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」のことを指します。事業承継に伴う税負担の軽減などで、事業承継円滑化のための総合的支援策を講ずるためのもので、「事業承継税制」と呼ばれることもあります。

この制度においては、中小企業の後継者が先代経営者からの贈与または相続により取得した非上場株式に係る相続税・贈与税の一部の納税が猶予されます

利用するにあたっては、5年間の雇用維持を始めとする制度要件に合致することについて、都道府県知事の認定を取得していることが前提となります。

その認定の元、一定要件を満たしている場合に限り、納税が免除されます。したがって自社への適用可能性については、詳しくは都道府県の役所などで相談しましょう。

贈与税が免除される要件まで記載しておくと、以下の通りです。
 

  • ①後継者(受贈者)の死亡
  • ②特例経営贈与承継期間中、やむを得ない理由から会社代表権を失った日以後の「免除対象贈与」の実施
  • ③特例経営贈与承継期間の経過後における「免除対象贈与」の実施
  • ④特例経営贈与承継期間の経過後における会社の破産手続き開始決定
  • ⑤特例経営贈与承継期間の経過後に事業継続が困難となって会社を譲渡・解散する場合

さらに2018年度の税制改正では、より一層事業承継がスムーズに進むよう、この制度の適用の拡大や要件の緩和が行われています。こちらも詳しくは、自社の役所に相談しながら経営者自身や後継者の状況に照らし合わせての検討が望ましいところです。

ポイント・注意点③後継者育成は早めに

親族内承継をするにあたっては、少なくとも以下についてしっかり準備し、やっておく必要があります。またこれには、相当の時間がかかることも理解していなければなりません。
 

  • ①後継者の選定・育成
  • ②親族等との調整
  • ③従業員・取引先・金融機関との事前協議
  • ④経営の承継の実行

まずは後継者を選んで、候補者に了承をとり、後継者として育成するところから始まりますが、経営の感覚や能力というものは、一朝一夕に身につくものではありません。長年かけて経営者としての資質を備えさせる必要があり、それには少なくとも10年くらいは見ておいた方が良いと考えられます

また、その間に、会社の従業員や取引先などにも周知して受け入れてもらう必要もあります。他の相続人がいる場合には、その調整も必要です。

従業員への事業承継のポイント・注意点

「各事業承継スキームのメリット・デメリット比較」で見たスキーム図の中の、従業員への事業承継の事業承継スキームです。ポイント・注意点を見ていきます。

ポイント・注意点①従業員の資金力

親族内ではなく従業員に事業承継する場合、何と言っても資金にまつわる注意点が大きくなります。結構重大な問題になりかねませんので、従業員に事業承継するならなんとしても解決しておきたいポイントです。

【借入金の連帯保証・担保の引継ぎの問題】
多くの中小企業では、会社の借入金を経営者個人が連帯保証しています。

しかし、この連帯保証や担保については、引継ぎにハードルがあります。経営者になることを望む従業員にとってみれば、多額の借入金の個人保証には難色を示す可能性が大いにあります。また逆に、銀行の側でも、個人資産の乏しい従業員の連帯保証では不十分と考える可能性もあります。

その場合、元の経営者が、第一線を退いた後も個人保証や個人財産の担保提供を継続するか、それを避けたいのであればまた別の事業承継の方法を検討せざるを得なくなります。

【株式を買い取る資金の問題】
経営者が保有している株式を、全て買い取ることができるほどの資金力がある従業員はほとんどいないはずです。

もちろん差し当たっては所有と経営を分離し、経営者が株式保有を継続し、従業員には経営だけを任せるという方法もあります。ただし、そのまま特に何も手を打たず株式を保有したまま経営者(以前の)が亡くなったりしたら、会社に関わる意思のない親族にまで株式の相続が発生したり、会社の方でも一体誰の会社なのか運営に支障をきたすことにもなりかねません。

また通常、経営者は株主の意向を無視した経営はできませんし、これでは経営者にも本当の意味での引退による安息は訪れません。

ポイント・注意点②承継円滑化法による従業員への贈与

前述の事業承継円滑化法ですが、従来は制度の対象となる後継者について、経営者の親族に限定されていました。

しかし、中小機構「中小企業経営者のための事業承継対策」によると、20年ほど前までは親族内承継が9割を占めていたのに対し、近年は親族外承継が約4割と大きく増加傾向にありました。

このため、従業員をはじめとする親族外承継を円滑にするための措置が必要になり、2015年には事業承継円滑化法の下で親族外の人を後継者とすることも可能となり、幅広い人材から適任者を選ぶことができるようになっています

また、事業承継する従業員が、会社の株式を取得する資金を準備するための金融支援制度も利用することができます。一般的には「①金融機関からの借り入れ」や「②後継者候補の役員報酬の引き上げ」などの方法においてです。

M&Aによる事業承継のポイント・注意点

「各事業承継スキームのメリット・デメリット比較」のスキーム図における「M&Aスキーム」です。

中小企業の事業承継スキームにおけるM&Aには、後継者不足や従業員へ事業承継する際に問題となる資金面を中心とする課題を、一気に解決してくれる面があります。上手くいけばメリットだらけです。

ただし、一般的に成約率は5%とも言われていますから、従業員の雇用や企業イメージ、ブランドなどは維持できるのかなどの「自社が売却時に望む条件を満たしてくれる候補先が見つかるか」というのが大きなハードルにはなります

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どのスキームにも共通するポイント・注意点

事業承継スキームとしてのM&Aまで見てきましたが、事業承継はM&Aまで検討し、M&A仲介会社に相談すればほぼことは足ります。逆に、特に後継者の見当がつかない場合は、M&Aまでは必ず検討すべき事柄です。

それでも納得いく方法や打開策が見いだせなければ、ファンドや信託を活用したスキームも考えられます。最近はこれらの方法も増えてきました。

ポイント・注意点①事業承継仲介業者選びに力を入れる

後継者がいない場合で事業承継に悩んでいる場合は、M&Aは有力な方法として頭に入れておくべきです。

また、専門性の高いM&A仲介会社の場合は、事業承継の観点からのM&Aに積極的にアドバイスをしてもらえます

相談するM&A仲介会社を選ぶ際は、いくつか相談してみて(普通は相談のみは無料)以下の観点から検討すると良いでしょう。
 

  • 実績が豊富
  • 担当者が話しやすい
  • 対応が早い
  • 料金体系が明確で安い
  • 専門性が高い

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

ポイント・注意点②ファンドを活用したスキームの検討

「各事業承継スキームのメリット・デメリット比較」のスキーム図の中の「ファンドの活用」です。

以上見てきた方法でも事業承継解決の糸口が見つけられない場合、最近は事業承継ファンドによるスキームも発達してきています。

事業承継ファンドとは、中小機構が民間のファンド(投資会社)にファンド総額の2分の1の投資を行うことにより、事業承継に関して問題を抱えている中小企業に対し、様々な経営支援を行うというものです。

またそれ以外にも、民間で事業承継支援を行っているファンドや金融機関が紹介する事業承継ファンドもあります。

事業承継ファンドでは、ファンドがその会社の株式を取得することで新たなオーナーとなります。その上で、その会社内の人材を育てるだけでなく、会社の後継者に足り得る人材を発見し、会社の経営を任せていくことで会社を確実に存続させる役目を果たします。

最近は会社の後継者を経営者の親族や内部の従業員のみだけでなく、外部に広く求める傾向がありますので、事業承継ファンドの幅広いネットワークを活用すれば、会社にとって最適な人材に会社の経営を任せることが期待されます

また、会社内に後継者候補がいる場合でも事業承継ファンドは有効です。事業承継ファンドから育成に必要な人材を派遣することにより、後継者を経営者にふさわしい人材に育成していきます

ポイント・注意点③信託を活用したスキームの検討

「各事業承継スキームのメリット・デメリット比較」のスキーム図の中の「信託の活用」です。

「信託」とは、財産を持つ者(委託者)が、信託行為(信託契約や遺言)によって財産を託し、財産を託された者(受託者)は、定められた目的(信託目的)に従って、財産を管理・処分し、その財産から生ずる利益を委託者から指定された者(受益者)に与えることを約束する法律関係を言います。

そしてこの、信託を活用する事業承継スキームも近年増えてきています。

主だっては以下のケースで自由度がとても高く、柔軟に対応できるのが信託のスキームです。スキーム図にまとめました。

法律事務所で相談に乗ってもらえることが多いですので、詳しくは相談してみると良いでしょう。
 

ケース スキーム
後継者がオーナーの相続人である場合 ①自社株の自益信託(遺言代用信託とセット)、②自社株の他益信託(生前贈与の代用)
後継者がオーナーの相続人ではない場合 自益信託の利用
孫まで見据えて後継者を指定する場合 後継ぎ遺贈型受益者連続信託
後継者がまだ決まっていないケース ①停止条件を利用した自益信託、②受益者指定権等を利用した自益信託

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7. 事業承継におけるM&Aのスキーム

事業承継におけるM&Aのスキーム

「各事業承継スキームのメリット・デメリット比較」にあるスキーム図の中のM&Aスキームには、さらにM&Aのスキームがあります。

ただし中小企業が事業承継においてM&Aスキームを活用する場合、件数的には9割以上が「株式譲渡」か「事業譲渡」のいずれかのスキームです

理由としては、事業承継をしたい中小企業の売り手側にとって、これらのM&Aスキームが簡便で早いことから、よく選択される方法だからです。

また、「株式譲渡」「事業譲渡」ともに、資金的に余裕のない中小企業がM&Aの売り手となる場合、株主や会社に資金が入ってくることも、このM&Aスキームのメリットを大きくしていると言えます。

株式譲渡

株式譲渡は、 会社のオーナーが保有する株式を買手に譲渡することで、会社の経営を承継させるスキームです。

売手と買手が合意した内容の株式譲渡契約書(SPA)を締結し、株式の対価の支払いと、株主名簿の書き換えのみで完了します。

他のM&Aのスキームと比べると簡便な取引ですので、中小企業が丸ごと事業を譲渡する場合は、9割このM&Aスキームが用いられます。
 

事業譲渡

事業譲渡は、会社の事業を第三者に譲渡(売却)するスキームです。対象となる事業は、有形、無形の財産・債務、人材、事業組織、ノウハウ、ブランド、取引先との関係など、あらゆる財産の種類が対象となります。

また事業譲渡は、契約によって個別の財産・負債・権利関係等を移転させる手続きなので、会社が営んでいる全ての事業を譲渡することも、一部の種類の事業のみを譲渡することも可能です。

ただし事業譲渡をした会社は、競業避止義務によって20年間は同じ種類の事業を行うことが制限される点は注意が必要です。

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8. 中小企業の事業承継スキームまとめ

中小企業の事業承継スキームまとめ

事業承継スキームについて、いくつかのスキーム図を見ながらまとめました。

事業承継スキーム図を再掲すると、以下の通りです。
 

  メリット デメリット
持株会社/資産管理会社スキーム 税金が抑えられる 会社設立の煩雑な手続きがある
親族への株式譲渡スキーム(売買、贈与、相続) 最も単純でやりやすい 想定外の税金がかかる可能性がある
従業員への株式譲渡スキーム(売買、贈与、相続) 会社を熟知している従業員であればスムーズに事業承継を行える 後継者の資金や保証・担保が問題となる
M&Aスキーム(株式譲渡スキーム・事業譲渡スキーム) 外部に幅広く事業承継候補を探せる、資金面などの課題が一気に解決できる 自社の希望する条件を満たす売却先を探すのが大変
ファンドの活用 資金面の問題はなくなる、良い後継者がいなくても外部の優秀な人材を入れることができる 会社の運営を握るのは外部の人間になることに注意が必要
信託の活用 最も自由度が高く柔軟に対応できる 経営者の主観が大きく入るスキームなので、最善かどうかの客観的な評価はしにくい


親族内に後継者がいる場合は、持株会社/資産管理会社の設立が税金面でのメリットが大きくなります。

また、親族内に後継者がいない場合は、従業員への株式譲渡(売買、贈与、相続)、M&A(株式譲渡・事業譲渡)、ファンド、信託による事業承継スキームも検討課題として入ってきます。

これらを相談するにあたっては、事業承継に強いM&A仲介会社がまず挙げられます。ファンドは中小機構や金融機関、信託は法律事務所にまずは相談すると良いでしょう。

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