2022年06月06日更新
建設会社を事業承継するには?準備から引き継ぎまでの完全ガイド
建設会社の後継者がいない場合に、M&Aという方法で事業承継を行う経営者は多いです。この記事では、建設会社の事業承継の方法や成功させるためのポイントを解説していきます。納得した事業承継を行って、安心して建設会社を引き継ぎましょう。
目次
1. 建設会社の事業承継には早めに取り組もう!
建設会社の事業承継は、早めに取り組むのが良いとされています。自身が経営から離れるにあたって、後継者に会社を引き継いでもらいたいなら、早めに準備を始めて損をすることはありません。
事業承継をしようと思って後継者を探してみても、親族や従業員に後継者が見つからないというケースもよくあります。2019年の帝国データバンクの調査では、後継者不在率は65.2%となっています。
しかし、後継者がいない場合でもM&Aという方法で事業承継を行う建設会社は多いので安心してください。
どの事業承継方法をとるとしても、早めに着手することが成功の鍵です。慌てて事業を引き継いでも、経営が傾いては意味がありません。
建設業界の需要は落ち着いていくと見られていますが、実力ある経営者に事業承継できれば、会社は発展していくはずです。安心してリタイアができるように、入念に準備をして事業承継を成功させましょう。
しかし、「事業承継について何から始めれば良いのかわからない」「今すぐにリタイアする気はないから事業承継については後回しにしよう」という方も多いでしょう。
ここでは建設会社の事業承継を少しでも意識したときに、行っておくと良いことを説明していきます。
2. 建設会社の事業承継を考えたときに最初にすべきこと
建設会社の事業承継を考えたときに最初にすべきことは、経営状況と経営課題の把握です。
経営状況や経営課題が不明確なままでは、何をどのように後継者に引き継げば良いのかわかりません。したがって、まずは建設会社の現状を整理してください。
ここで重要なのは、経営状況を整理する際に考えなければならない自社の経営資源に、目に見えない知的資産も含まれることです。単に株式を後継者に渡せば事業承継が完了するというわけではありません。
事業承継ではさまざまなものを引き継ぎます。2019年の中小企業庁の情報によると、後継者を選んでから事業承継が完了するまでに3年以上かかる企業が全体の約4割を占めています。
事業承継は非常に時間がかかります。まだ今すぐに事業承継をしようと思っていない場合でも、早めに経営状況と経営課題の整理だけは行っておきましょう。
また、事業承継を成功させるためには、後継者が経営しやすい環境を作ってあげることが大切です。経営状況や経営課題が具体的に挙げられたら、どこまで会社を磨き上げてから引き継ぐのかについても考えましょう。
現状が整理できたら、後継者を選定していきます。
3. 建設会社の事業承継における3つの後継者選定方法
建設会社の事業承継における後継者の選定方法は以下の3つです。
- 親族内承継
- 親族外承継
- M&Aによる事業承継
建設会社の後継者を探そうと思ったとき、親族内承継と親族外承継をイメージする方が多いでしょう。しかし、身近に後継者がいなくてもM&Aによる事業承継ができます。
それぞれの方法で後継者を見つけるやり方を順番に見ていきましょう。
①親族内承継
親族内承継は、親族から建設会社の後継者を見つける方法です。
親族という狭い範囲から後継者を探すので、早めに後継者候補が見つけやすいとされています。従業員や役員など建設会社の関係者からも、親族なら後継者として納得してもらいやすいです。
しかし、親族が建設会社に関わってこなかったなら、基礎的なことから教育しなければなりません。したがって、早い段階から建設会社で働いてもらいながら、経営者としての教育を進めていく必要があります。
ちなみに、親族に後継者にしたい人がいるものの本人が乗り気でないというケースは珍しくありません。その場合は無理やり押し付けるのではなく、会社経営への熱意や建設会社の強みを伝えるのが良いでしょう。
そして後継者候補がなぜ事業承継を嫌がるのかを聞き取り、改善や解決できることは積極的に対応しておくことも大切です。
また、親族内承継は後継者に贈与や相続で財産を引き継ぐので、税金対策も必要となります。早めに専門家のもとで節税を行っていくことをおすすめします。
②親族外承継
親族外承継は、従業員など親族以外から建設会社の後継者を見つける方法です。
従業員であればすでに建設会社の内情にも詳しいので、スムーズに後継者としての教育もしやすいと考えられています。経営者として見込みがある人を選べるので、安心して会社を任せられます。
ただし、親族外承継を行う際には、親族全員の了承を早めに取っておかなければトラブルになりかねません。親族で後継者になりたい人がいるなら、経営者ではなく役員として迎え入れるなど納得してもらえる対応を話し合いましょう。
そして親族外承継は後継者に贈与で財産を引き継ぐので、親族内承継と同様に税金対策が必要です。早めに専門家のもとで節税を進めながら、後継者に納税資金を貯めてもらわなければなりません。
ここで、「任せられそうな従業員はいるけれど、建設会社といえば子供に引き継ぐものではないか」と疑問に思っている方もいるでしょう。しかし、最近では親族外承継の割合も増えているので気にする必要はありません。
先入観にとらわれず、建設会社がより発展する経営者を選ぶようにしましょう。
③M&Aによる事業承継
親族内承継や親族外承継が難しい場合でも、M&Aによる事業承継ができます。M&Aとは、企業の合併や買収のことです。
後継者が身近に見つけられなくても、外部から見つけることで事業が引き継げます。大手町会計事務所の情報によると、55歳未満の経営者の9割以上が廃業ではなくM&Aを選択しており、M&Aは一般的な方法になっています。
事業エリアの拡大や人材獲得のためにM&Aで建設会社を買いたいと考えている企業は少なくありません。
大手住宅建設会社が中小規模の建設会社を買収することもあります。そうなれば、買い手企業の経営資源も活用できるので今まで以上に安定した経営が可能です。
現経営者は会社売却の利益も得られ、リタイア後の生活がしやすくなります。また、親族や従業員に事業承継する場合は税金が問題となりますが、M&Aなら大きな問題にはなりません。自社の経営課題を解決してくれそうな買い手を見つけて、安心して事業承継を行いましょう。
以上、建設会社が事業承継する際の後継者の選定方法でした。いずれかの方法で後継者を見つけられるケースがほとんどです。ですから、まだ後継者が見つかっていないとしても事業承継を諦める必要はありません。
しかし、「自分が経営してきた会社を他社に買われるのはなんとなく抵抗があるし廃業の方が良いかもしれない」と考える方もいるはずです。
実は建設会社が廃業を選ぶとデメリットが多いのでおすすめできません。その理由について見ていきましょう。
4. 後継者が身近にいないなら廃業よりM&Aが正解!
後継者が身近にいない場合、廃業よりM&Aを行った方がよいと考えられる理由には、以下の4つがあります。廃業を選ぶと費用がかかるうえに、さまざまな関係者に影響が出ます。それぞれの理由について、順番に確認していきましょう。
- 廃業費用がかからない
- 従業員の職がなくならない
- 取引先に迷惑がかからない
- 会社が成長して対応できる工事が増える
①廃業費用がかからない
まず、M&Aを行えば、廃業の際に必要な費用がかかりません。廃業費用とは、例えば設備を廃棄する費用や、事務所のテナントを入居時に戻す原状回復費用です。
建設会社の廃業費用は他の業種に比べて低いといわれています。しかし、それでも最低限のお金は必要となるので事前に考えておかなければなりません。
中小企業庁の情報によると、建設会社で廃業費用がかからなかったケースは全体の3.2%と非常に少ないです。
建設会社が事業を行う際、設備のリース・レンタルを行わずに自社でまかなっている場合は、廃業費用は高額になりやすいです。しかし、M&Aを行えば廃業費用はかかりません。それだけではなく、現経営者は売却による利益も得ることができます。
このように、廃業ではなくM&Aを選ぶと、金銭的なメリットが大きいです。
②従業員の職がなくならない
従業員の職がなくならないというのも、廃業を避けるメリットです。
建設会社は人手不足で悩んでいるケースが多いので、転職先がないという従業員は少ないでしょう。しかし、中小規模の会社を中心に、建設会社は経営者のカラーが社風に現れやすいです。
あなたの会社を気に入って長く勤めている従業員が、転職先で必ずうまくいくとは限りません。
M&Aで会社を引き継いでもらえば、今まで勤めてきた顔なじみの仲間たちと引き続き働いてもらえるので廃業よりも安心です。
③取引先に迷惑がかからない
廃業してしまうと取引先に迷惑がかかるということも覚えておかなければなりません。
特に、自社が大きなシェアを占めている取引先がいるなら、廃業すると大きな迷惑をかけてしまいます。そうでなくても、定期的に仕事を発注してくれていた取引先には、廃業したら別の建設会社を探してもらうことになるでしょう。
新しい建設会社を探す際には与信情報を手に入れるなど手間もかかってしまいます。
M&Aで自社を存続させれば、取引先に迷惑がかかりません。そのうえ、人材の数も増えて今まで以上に受注できる工事の幅も広がり、取引先も今まで以上に安心して仕事を発注できるでしょう。
④会社が成長して対応できる工事が増える
廃業すれば会社はなくなってしまいますが、M&Aで存続させれば会社は成長していきます。そうすることで、今までは対応できなかった工事も可能になることが珍しくありません。
例えば、同業他社に買収されれば、買い手の人材や技術力も活かした工事ができるようになります。新たな工事に取り組めば、自社の従業員の能力も高まっていくでしょう。
自分の育てた従業員たちが大きな工事を成功させるのは、あなたにとっても達成感があるはずです。リタイア後も自分が経営してきた会社の成長を楽しみにできるのは、非常に嬉しいポイントだといえるでしょう。
以上の理由から、廃業ではなくM&Aを選ぶのが良いといえます。身近に後継者がいないというだけで事業承継を諦めてしまうのはもったいないです。親族や従業員から後継者が見つからないとしても、会社を存続させることを諦めないでください。
5. 建設会社の事業承継の成功事例
建設会社の事業承継の成功事例を見ておきましょう。まずは売り手と買い手の情報を確認します。
売却企業(売り手)の情報は以下です。
- 売上高:2億円
- 主要エリア:徳島県
- 事業内容:土木建築
- 従業員数:15名
買収企業(買い手)の情報は以下です。
- 売上高:8億円
- 主要エリア:徳島県
- 事業内容:土木建築、通信設備
- 従業員数:60名
売り手企業の経営者は自分の年齢を理由に事業承継を考え始めました。しかし、親族にも従業員にも会社経営を任せられそうな人は見つかりません。
そのため、M&Aで会社を引き継ぐことを決めました。M&A仲介会社に相談しながら、自社の従業員の雇用も続けてくれる買い手を探します。
そこで見つかったのが、同エリアにある企業です。買い手企業は、事業を強化するために同じエリアで近い工事を行っている会社を探していました。売り手企業の経営者はM&A仲介会社の担当者と一緒に、買い手企業と話し合いを行います。
買い手企業は事業の強化が目的ですから、従業員の雇用についても問題なく承諾されました。そのため、売り手企業の経営者はこの買い手企業に自社を売ることを決定し、会社の存続と売却利益の獲得を叶えたのです。
事業承継後は、今まで以上に大きな工事に取り組めるようになり、売り手企業の従業員たちもより楽しんで仕事に励んでいます。
この事例のように、似た事業を行う建設会社同士の場合は大きな相乗効果を狙うことができます。特に近いエリアで仕事を受注してきた建設会社同士の場合、その地域での影響力を強めることも可能です。
取引先が被っていなければ、今まで以上に安定した受注が行えるようになります。少しずつ建設業界の需要が落ち着いていくと見られている今、多くの取引先を手に入れられるのは双方にとって嬉しいメリットです。
M&Aにより事業承継を行うときは、お互いの強みを活かす買い手を探すのがポイントだといえます。自社がより発展しそうな買い手を見つければ、従業員や取引先も喜んでくれるでしょう。
ナガワと鳥海建工の事業承継
2020年に行われた建設会社の事業承継の事例もご紹介しておきます。
2020年9月に、ナガワは、主に埼玉県で総合建設事業を行っている鳥海建工の全株式取得により、子会社化することを発表しています。
ナガワグループは、モジュール・システム建築事業の拡大を図っているため、この買収により、ナガワが経営戦略としているモジュール・システム建築事業の体制が強化できることを見込んでいます。
6. 建設会社の事業承継をM&Aで行う際の流れ
建設会社の事業承継をM&Aで行う流れは、以下のようになっています。
- 経営状況の確認
- 経営課題の把握と磨き上げ
- 買い手への条件設定
- M&A仲介会社の選定
- 買い手探し
- 買い手との条件交渉
- デューデリジェンスと条件調整
- 事業承継の実行
これらの手続きを順番に行っていけば、建設会社をM&Aでうまく引き継ぐことができます。今すぐに事業承継を行わない場合でも、できるところまでは準備しておくのが良いです。
それぞれについて、順番にチェックしていきましょう。
①経営状況の確認
すでにご紹介しましたが、建設会社が事業承継をする際にまずするべきことは、経営状況の確認です。売上や取引先の数といった自社の現状や、引き継ぐべき経営資産を整理することから始めましょう。
特に重要なのが、後継者に引き継ぐ経営資産についてです。事業承継といえば、経営権を後継者に渡せば良いと考えている方も少なくありません。
しかし、事業承継を成功させるには、経営権だけではなく、株式や会社の設備などの資産に加え、知的資産の承継も必要です。知的資産とは、例えば経営理念やノウハウ、従業員との関係性、取引先との人脈が挙げられます。
建設会社は経営者の人柄で成り立っている部分も大きいので、特に知的資産が重要です。M&Aで事業を引き継ぐ場合も、買い手に自社の知的資産を理解してもらうことが重要となります。
自社の強みがどこにあるのかを目に見えない部分まで確認し、後継者に引き継げるように準備していきましょう。
②経営課題の把握と磨き上げ
次に行うことは、経営課題の把握と磨き上げです。事業承継を実行する前に、より良い状況で後継者に引き継げるよう準備していきます。
事業承継は、会社を飛躍させる良い機会です。例えば競争力が弱いのであれば、強みを増やして弱みを改善しなければなりません。自社の職人の技術力向上やサービス範囲の拡充、若手の採用と育成などできることは多いです。
また、建設会社は取引先が偏っているケースも珍しくありません。事業承継前に新たな取引先を増やし、事業リスクを分散させておくと安心して引き継げます。
収益性の良い会社や事業リスクの低い会社はM&Aでも買い手が見つかりやすくなるので、しっかり磨き上げておきましょう。
③買い手への条件設定
自社を磨き上げることができたら、買い手への条件を決めていきます。
条件を考えることなく買い手探しを行うのは良くありません。なぜなら、買い手によっては、気持ちに反した経営が行われてしまう可能性があるためです。
例えば、従業員の雇用を継続してもらうことを条件にする経営者はたくさんいます。買い手と売り手で考え方は違うので、「この条件は当たり前だからいうまでもないだろう」と、安易に考えるのはやめましょう。
どのような買い手なら心配なく会社を任せられるのかを考えてみてください。従業員や取引先といった自社の関係者も安心できる買い手をイメージすると考えやすいです。
④M&A仲介会社の選定
どのような会社に自社を引き継ぎたいかを決めたら、M&A仲介会社を選びます。M&A仲介会社を選ぶ際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 建設会社のM&Aの経験が豊富か
- 専門家が親身になって話を聞いてくれるか
- 報酬を無理なく支払えるか
多くのM&A仲介会社は無料相談を受け付けているので、気になるところには話を聞きに行ってみるのが良いです。実際に話をしてみて、安心して相談できそうな会社を選んでください。
M&A仲介会社については、以下の記事が参考になるでしょう。
建設会社の事業承継をM&Aで行う際は、ぜひM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所には、建設会社の事業承継に精通したM&Aアドバイザーが在籍しており、親身になって案件をフルサポートいたします。
当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、建設会社の事業承継をM&Aで行う際は、お気軽にご連絡ください。
⑤買い手探し
M&A仲介会社が選べたら、買い手探しを行っていきます。事前に決めた条件をM&A仲介会社に伝えつつ、自社に最適な買い手を探しましょう。
条件によってはすぐに買い手が見つからない可能性もあります。その場合はM&A仲介会社と条件を相談しつつ、会社の磨き上げを続けておくのが良いです。
このとき避けるべきなのは、納得できない買い手を慌てて選んでしまうことです。事業承継はやり直しができないので、落ち着いて進めていきましょう。
⑥買い手との条件交渉
買い手が見つかったら、条件交渉を行います。
M&Aでは、事前に伝え合っていた条件以上の契約にできることも少なくありません。条件交渉の際には、自社の強みがよくわかるように資料を持参してください。
また、相手の要望も聞き取りながら、お互いが納得できる条件を探していきましょう。買い手は自社の後継者となってくれる存在です。一方的に自分の条件を押し付けるのはやめて、お互いの希望をしっかり伝え合うのが良いといえます。
ちなみに、条件交渉の際にM&A仲介会社が同席してくれることが多いです。第三者としての客観的な意見をもらえばスムーズに交渉しやすいでしょう。
⑦デューデリジェンスと条件調整
大まかな条件交渉が終わったら、デューデリジェンスを行います。
デューデリジェンスとは、買い手が売り手について監査することです。経営自体や税務関係など、さまざまなところに問題がないかを確認していきます。
デューデリジェンスの結果によっては、先ほどの段階で決めた条件が調整されます。
あまり買い手に知られたくない情報もあるかもしれませんが、隠すのは絶対にやめましょう。M&Aが成立してから不当に情報を隠していたことが発覚すれば、大きなトラブルになってしまいます。
買い手に気持ちよく事業を引き継いでもらえるように、デューデリジェンスには積極的に協力していきましょう。
⑧事業承継の実行
調整された条件にも納得できたら、会社を引き継ぐための契約を結ぶなどして事業承継を実行します。細かな手続きはケースによるので、M&A仲介会社の指示に従いましょう。
事業承継を実行する際には、従業員や取引先に丁寧に説明と挨拶をした方が受け入れてもらいやすいです。
自分が経営から離れるからといって、いい加減な引き継ぎをしてしまうと、買い手は円滑に事業を引き継げません。買い手の会社と自社が統合して経営がうまくいくまでは、買い手のサポートを続ける気持ちでいるのが良いでしょう。
また、親族にも自社を売って引き継いでもらうことを伝え、納得してもらわなければなりません。過去に後継者になることを断られていたとしても、M&Aについて説明して理解してもらってください。
ここまでさまざまな手続きを紹介しましたが、不備なく行えるかが不安な方もいるはずです。しかし、M&A仲介会社にサポートを依頼すれば、丁寧に手伝ってもらえるので心配はいりません。建設会社の事情に詳しい専門家にサポートしてもらえれば、安心して手続きを進めていけるでしょう。
7. 建設会社の事業承継の5つの注意点と対策
建設会社が事業承継を行う場合は、以下の5点に注意しなければなりません。
- 建設業許可について事前に考えておく
- 公共工事の入札参加資格が変わるか確認する
- 事業承継後の社風の変化に気をつける
- 従業員や取引先へのケアを怠らない
- 親族に理解してもらう
これらに注意しておかなければ、事業承継が失敗してしまう可能性が高いです。事前に行うべき対策も紹介するので、順番に見ていきましょう。
①建設業許可について事前に考えておく
事業承継の際には、建設業許可について事前に考えておきましょう。
建設業許可を取り直す場合は、早くても1カ月ほどかかります。それも踏まえて事前にスケジュールを考えておかなければなりません。
許可の引き継ぎは、個人事業主の場合と法人の場合で異なります。個人事業主の場合、建設業許可は引き継げません。ですので、事業を引き継いだ人が新たに許可を取り直すことになります。
一方で法人の場合は、建設業許可は会社全体に対して出されているものです。したがって、事業承継によって会社の経営者が代わったときには引き継ぐことが可能です。
しかし事業承継によって建設業の許可要件を満たさなくなったケースでは、法人でも許可が引き継げなくなります。建設業許可の主な条件は以下の5つです。
- 経営業務の管理責任者がいること
- 専任技術者がいること
- 財産的基礎があること
- 欠格要件に該当しないこと
- 営業所があること
特に、経営業務の管理責任者や専任技術者については事業承継で変わりやすいので気をつけなければなりません。建設業の許可が引き継げるように、後継者にきちんと理解してもらう必要があります。
どうしても許可要件を満たすのが無理な場合は、再取得の手続きが必要です。スムーズに事業を引き継いでもらうために、事前に許可について確認しておきましょう。
②公共工事の入札参加資格が変わるか確認する
公共工事の入札参加資格が変わるか確認することも重要です。
国土交通省が定めるランク分けが変われば、競争参加資格も変わります。そうすると、今まで参加できていたランクの工事が入札できなくなるかもしれません。
自社や事業承継先の会社が公共工事をよく受注していた場合は、特に注意が必要です。事業承継をする前に、ランク分けが変わらないかどうかを確認しておきましょう。
③事業承継後の社風の変化に気をつける
事業承継後の社風の変化に気をつけることも大切です。
建設会社は経営者が変われば、大きく社風が変わることがあります。社長であるあなたの人柄に惹かれて働き続けてくれていた従業員が多ければ、事業承継後は働くモチベーションが下がってしまうかもしれません。
事業承継は目に見えない資産を引き継ぐことも大切です。まずは後継者に今の社風を知ってもらいましょう。
そして、事前に従業員には事業承継の必要性や、後継者を選んだ理由をしっかり説明しておく必要があります。事業承継について理解してもらうことで、あなたがいなくなってからも会社を発展させるために協力してもらえるでしょう。
④従業員や取引先へのケアを怠らない
事業承継の際には、従業員や取引先へのケアを怠らないようにしなければなりません。
経営者が変わると、関係者に大きな影響があります。説明なく経営者がリタイアすると、社内は大きく混乱するでしょう。
そして事業承継を行うとき、特に取引先へのケアは後回しにされがちです。事業の引き継ぎを考えた場合にまずは社内のことを重視するのはおかしなことではありません。
しかし、現経営者の人柄があって取引を続けてもらっていたのであれば、事業承継をきっかけに取引が打ち切られることもあります。
取引は続けてもらえるケースでも、契約内容が大幅に変わることも少なくありません。したがって、事業承継を決めたときには従業員だけではなく、取引先ともしっかりコミュニケーションをとって事業承継について理解してもらいましょう。
⑤親族に理解してもらう
親族に事業承継について理解してもらうことも大切です。
特に、親族内承継以外の場合には、内心で後継者になりたいと思っている人がいないかをしっかり確認しなければなりません。身近に後継者希望の人がいるのに、簡単に外部への引き継ぎを決めてしまうと後々トラブルになりやすいです。
ただし、親族にM&Aの詳細な話を伝える際、時期には気をつけた方が良いです。M&Aは情報管理が成功のポイントです。まだ契約が成立していないのに情報漏洩してしまうと、M&A自体が破断することもあります。
したがって、まずは身近に後継者希望の人がいないか確認し、いないことがわかったらM&Aで事業承継することを説明しましょう。そして買い手企業に関する具体的なことを伝えるのは、M&Aが成立してからにしてください。
ここまで、建設会社が事業承継する際の注意点を見てきました。事業承継する際には注意点を押さえたうえで取り組むことがポイントです。
もし少しでも不安なことがあるなら、早めに専門家に相談しましょう。
8. 建設会社の事業承継についてお気軽にご相談ください!
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9. まとめ
中小規模の建設会社の経営者はできるだけ早く事業承継に着手するべきです。後継者を選んでから事業承継が完了するまでに、3年以上かかることは少なくありません。
建設会社の事業承継は建設許可の引き継ぎなど注意するべき点も多いので、余裕を持ったスケジュールを考えておく方が安心です。手遅れになる前に後継者選びを始めて、安心して事業を引き継ぎましょう。。
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