建設会社は事業譲渡/事業売却で経営を立て直す!譲渡のメリットと手順を詳しく解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

建設会社における事業譲渡/事業売却についてお調べですね。東京オリンピックを前に業界全体が活発になっている現在、建設事業の価値は大きいです。 今回は、建設会社が事業譲渡/事業売却を行うべき理由やそのメリットについて詳しく解説していきます。

目次

  1. 建設会社における事業譲渡/事業売却の特徴と現状
  2. 建設会社における事業譲渡/事業売却売り手側のメリット
  3. 建設会社における事業譲渡/事業売却買い手側のメリット
  4. 建設会社における事業譲渡/事業売却の9ステップ
  5. 建設会社の事業譲渡/事業売却でチェックすべきポイント
  6. 建設会社における事業譲渡/事業売却の成功事例
  7. 【参考】建設会社が事業売却する時の企業評価
  8. 建設会社の事業譲渡/事業売却は専門家に相談しよう
  9. まとめ
  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

1. 建設会社における事業譲渡/事業売却の特徴と現状


事業譲渡/事業売却はM&A手法の一つで、特定の事業のみを売却することを指します。会社全体ではなく一部事業のみの売却なので、「赤字になっている事業だけ手放したい」といったことも可能です。

ここからは事業譲渡の詳しい内容と事業譲渡/事業売却を選択すべき会社、建設会社における事業譲渡の目的について解説していきます。

事業譲渡と会社譲渡との違いについて知りたい方、建設事業を売りたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

1-1.事業譲渡を選択すべき会社とは

事業譲渡とは、会社の特定の事業のみを別の企業に譲渡するM&A手法のことです。多くの場合、事業を売却する形になるので対価としてまとまった現金が発生します。

事業譲渡は会社譲渡とは異なり、会社の一部のみを買い手に渡すので経営者を変えず会社を残すことが可能です

事業譲渡/事業売却を機に経営体制を一新する企業もありますが、会社すべてを譲渡する必要はないため今後の方針については会社が自由に決められます。

経営陣も従業員も変えず、別の事業を始めるという選択もできるでしょう。

M&Aにおいて事業譲渡を選択すべき経営者のイメージは、以下の通りです。

  • 会社の名前は残しておきたい
  • 赤字の事業を残しておきたくない
  • まとまった資金が欲しい

事業譲渡なら譲渡の範囲を話し合いで決められますので、複数の事業を行う会社に向いていると言えます。

1-2.建設会社における事業譲渡/事業売却とは

建築会社の場合、特定分野で培ったスキルを他の事業にも生かすことが出来るため複数の事業を行っている会社は多いです。

例えば、新築リフォーム業をメインに電気整備事業や通信設備事業を行っているという会社もあるでしょう。そのため建設会社においては、事業整理のため事業譲渡を行うことが多くなっています。

赤字の事業を抱えている場合後継者が会社の引継ぎを拒否するケースもあるので、経営者が元気なうちに会社内部の整理を行うことは大切でしょう。

また現在建築業界全体は東京オリンピックを前に好調ですが、2019年以降建設業界が一気に縮小する可能性もあります。経営者としてまとまった利益を得たい場合、価値の高い今の内に建築関係の事業を売却するという選択も可能です

事業譲渡/事業売却はM&Aになりますので、M&A仲介会社などの専門家に相談し早めに買い手探しを始めましょう。

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2. 建設会社における事業譲渡/事業売却売り手側のメリット

複数の関連業を行うことが多い建設会社にとって、事業譲渡/事業売却のメリットは大きいと言えます。

ここから解説する売り手側から見たメリットは、以下の4つです。

  1. まとまった売却益を得られる
  2. 必要な事業だけを残せる
  3. 重機などの処分にかかるコストを減らせる
  4. 法人格を残し別の事業を続けられる

現在は東京オリンピックを前人建設業界全体が好調で、事業売却時にも相場より高い値段が付きやすくなっています。赤字続きで先の見えない事業がある、という人はぜひ参考にしてください。

メリット1.まとまった売却益を得られる

事業を売却することで、まとまった資金を得ることができます。建設事業の場合、人材や拠点などに加え重機などもまとめて売ることが出来るので、他の業界よりも売却益が大きくなりやすいです。

事業のみを売る場合の相場は数百万円~となっていますが、買い手が事業に可能性を感じた場合さらに価格が高まることもあります。得た売却益はそのまま持っておくこともできますが、複数の事業を行っている場合別の事業に投資するのも良いでしょう。

経営者として会社に残りながら、得た資金の使い道を決められるのは事業承継の大きなメリットだと言えます。

メリット2.必要な事業だけを残せる

事業の選択と集中を行うことができるのも、事業譲渡/事業売却のメリットです。

事業譲渡なら不採算事業を売り、利益の出そうな事業だけを残すことで必要な資源を見込みある事業にだけ投入することもできます。

譲渡を行う際には、譲り渡す事業の範囲を買い手と売り手、双方の話し合いで決めることが可能です。

建設業においては、工事の種別に需要が大きく異なってくると予想されています。今後道路、建物の新規建設需要は減っていくと見られるため、保守、整備事業だけを残すという選択肢もあるでしょう。

毎年赤字の事業があるという方、将来の売上が見込めない事業があるという方は、一度事業譲渡/事業売却について検討してみるべきでしょう。

メリット3.重機などの処分にかかるコストを減らせる

建設会社の場合、事業を辞めるには重機の処分など大きなコストがかかってしまいます。もちろん不要な資産を売却することもできますが、所得として40%の税金がかかってしまうので大きな利益にはつながりにくいでしょう。

建設会社の場合、事業を丸ごと売却してしまった方がコストがかかりにくいです。買い手との話し合い次第ですが事業譲渡の際には事業を続けるのに必要な機械、資材なども渡せるので自社で処分費用を負担する必要がなくなります。

廃棄にかかるコストが大きくなることについて、抵抗感を持つ経営者は多いでしょう。「本当はやめたい事業があるけれどなるべく無駄な費用はかけたくない」という方は、事業譲渡/事業売却を検討してみてください。

メリット4.法人格を残し別の事業を続けられる

事業譲渡の際に、会社の経営権を渡す必要はありません。そのため事業譲渡/事業売却を行った後でも、引き続き会社全体の経営を行うことができます。

会社の法人格も残ったままなので、売却で得た資金で新規事業に投資を行うことも可能です。もちろん売却で得られた資金を投入し、既存事業の強化を行うこともできます。

会社の信用とブランド力を生かし経営を続けていきたいという方は事業譲渡/事業売却を選ぶと良いでしょう。

以上が、売り手側から見る事業譲渡のメリットでした。事業譲渡は会社全てを渡すのとは違い、特定の事業を残しておくことができます。会社の名前を残したい方、不採算事業だけを渡してしまいたい方は事業譲渡/事業売却を選択しましょう。

ここからは、買い手から見る事業譲渡/事業売却のメリットを解説していきます。買い手の視点に立ち、自社事業を効果的にアピールしたいという方はぜひチェックしてください。

3. 建設会社における事業譲渡/事業売却買い手側のメリット

事業譲渡は、買い手の目線から見てもメリットが非常に大きいと言えます。

ここから紹介していく買い手側のメリットは、以下の3つです。

  1. 負債を承継せず事業を引き受けられる
  2. 事前に損害を予測できる
  3. のれんを損金に入れられる

事業承継/事業売却で混乱しがちな「のれん」についても解説していますので、事業を売りたいと感じている方はぜひ参考にしてください。

メリット1.負債を承継せず事業を引き受けられる

会社を丸ごと買収した場合は負債などのマイナス資産も受け継ぐ必要がありますが、売り手が同意すれば買い手は事業だけを譲り受けられます。

事業譲渡/事業売却の場合、引き継げる事業の範囲は売り手との話し合いで決めることが可能です。そのため返済の見込みがあってもなくても、売り手が抱える負債の引継ぎを拒否することができます。

事業強化、新規事業への参入を考えている買い手にとって、負債なしで人材や取引先などをそのまま引き継げるのは大きなメリットだと言えるでしょう。

特に教育コストなしにスキルや経験を持った売り手側の人材を獲得できるのは、建設業を新たに始める買い手にとって魅力的です。

欲しい事業がすでに決まっている買い手にとって、会社を丸ごと引き受ける必要のない事業譲渡/事業売却は非常にお得だと言えるでしょう。

メリット2.事前に損害を予測できる

事業譲渡/事業売却の場合、損害を予測しやすいので株式譲渡など会社のすべてを引き受ける場合と比べ安心して買うことができます。

会社を丸ごと買う場合、売り手が帳簿に記載のない負債や債務を抱えていれば買い手に大きな損害が発生することも少なくありません

もちろん売り手の帳簿などに不備が無ければ良いのですが、譲渡前に気づかなかった場合買い手が不測の負債や債務を負ってしまいます。

一方事業譲渡/事業売却の場合、引き受ける事業の範囲を細かく定めることが可能です。そのため調べが必要な範囲も会社全てを調査する場合と比べて狭く、不測の事態も起きにくいと言えるでしょう。

メリット3.のれんを損金に入れられる

事業譲渡の場合、のれんに相当する額を損金として算入できるので税務上有利です。のれんとは、買収された企業の公正純資産額と買収価格との差額のことを指します。

買収された企業の純資産が100、買い手がこの企業を150で買った場合、のれんは差額の50です。

少し分かりにくいですが、買い手は売り手企業にシナジー効果やノウハウなど無形の価値を見込んで買収をしています。そのため通常、買い手は売り手の純資産より高い金額で企業を買い、純資産との差額を「のれん」として処理するのです。

のれんは無形資産の価値とも言え、工場や設備などに投資した時と同じく減価償却が必要になります。株式譲渡や合併などの場合、のれんは毎年一定額償却され税務には影響を与えません。

一方事業譲渡/事業売却の場合、のれんを税務上の費用である「損金」に加えることができます。

のれんが5億円で、5年かけて償却を行う場合毎年1億円を損金として計上できるので、法人税の税率が30%の場合毎年3,000万円の節税が可能です。

5年間で見ると、

  • 3,000万円×5年間=1億5,000万円

もの節税になるので、会社を丸ごと買うよりお得になります。支払う税金をなるべく減らして必要な事業だけを買いたいという企業にとって、事業承継には大きなメリットがあると言えるでしょう。

以上が、買い手から見る事業譲渡/事業売却のメリットでした。

最近は異業種のM&Aも多く行われていますので、建設業をあまり知らない買い手に対しても自社の魅力を伝える必要があります。そうした際はここで紹介した買い手のメリットをチェックし、買い手の目的に沿える提案をするよう心がけてください。

以下では建設会社が事業譲渡/事業売却を行う流れについて解説していきます。譲渡成立までの手順を押さえ、早めにスケジュールを立てておきましょう。

4. 建設会社における事業譲渡/事業売却の9ステップ

事業譲渡/事業売却には複雑な手続きが必要で、場合によっては成立までに半年または1年以上かかることもあります。譲渡をスムーズに行うため、事業譲渡/事業売却のやり方やそのポイントなどについて理解しておくことが大切です。

そこでここからは、建設会社における事業譲渡/事業売却の基本的な流れを9つのステップに分けて解説していきます。

  1. 事前準備を行う
  2. 買い手を探す
  3. 秘密保持契約を結ぶ
  4. 基本合意契約を結ぶ
  5. デューデリジェンスを行う
  6. 事業譲渡契約を結ぶ
  7. 株主に公告または通知を行う
  8. 株主総会を行う
  9. 名義変更の手続きを行う

事業譲渡を始める前に、流れを押さえ必要な書類は早めに用意しておきましょう。

ステップ1.事前準備を行う

事業を譲渡すると決めたら、まずは会社内部の取引や資産についてまとめましょう。

会社の売上や資産の量と質は事業の売却額に大きな影響を与えますので ミスなどが無いようにできるだけ正確に算出しなければいけません。

また事業譲渡後のトラブルを防ぐため、不正な取引や会計が行われていないか改めてチェックしておくことも大切です。会社内部の整理がついたら、社内で譲り渡す事業の範囲を決めましょう。

ステップ2.買い手を探す

事前準備が終わり次第、M&Aの専門家に相談し買い手探しを始めましょう。「事前準備がなかなか上手く行かない」という場合も、アドバイスをもらうため早めに相談しておくとスムーズです。

相談先としては銀行などの金融機関や地域の相談窓口などもありますが、M&Aについて詳しい知識を持つM&A仲介会社を利用すると良いでしょう。

M&A仲介会社は事業譲渡についての手続きに慣れており、小さな案件にも対応してくれるところが多いです。買い手探しを始めたい場合は、まずM&A仲介会社に相談してみましょう。

相談しやすい仲介会社については、「8.人材派遣会社の事業譲渡/事業売却は専門家に相談しよう」に詳しく書いてあるのでぜひチェックしてください。

ステップ3.秘密保持契約を結ぶ

M&Aを行うに当たって、秘密保持契約が必要になることもあります。

秘密保持契約とは、売り手企業の内部情報や事業譲渡を希望していることを外部に漏らさないという約束のことです。買い手は事業譲渡について具体的に話し合う際、売り手の内部情報を知ることになります。

しかし買い手がその情報を第三者に教えればライバル企業などにまで内部情報が出回り、売り手が大きな損害を被ることになることも少なくありません。

特に事業譲渡について詳しい内容が決まっていない段階で「M&Aを検討している」という情報が出てしまうと、従業員や取引先に不信感を抱かせてしまいます。

そうした事態を防ぐため、事業譲渡などのM&Aでは最初の契約として秘密保持契約を結ぶことになっているのです。有力な買い手を見つけた場合、仲介会社などの指導のもと秘密保持契約を結んでおきましょう。

ステップ4.基本合意契約を結ぶ

M&A仲介会社を通じ買い手を見つけた後は、事業譲渡についての詳しい話し合いが必要となります。渡す事業の範囲はもちろん、双方の経営理念や今後の経営方針についても理解しあうことが大切です。

そしてお互いに事業譲渡について合意が取れれば、基本合意契約を結びます。基本合意契約とは、事業譲渡の条件や手続きのスケジュールなどに関して買い手と売り手、双方が合意することです。

法的に定められた書類ではありませんが、この合意書を作ることで認識のズレを減らすことができます。

記載する内容は事業の譲渡要件によって変わりますが、お互い納得できる内容になるようM&A仲介会社などの指導のもと丁寧に作成しましょう。

ステップ5.デューデリジェンスを行う

基本合意契約を締結した後、買い手はデューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスとは、買い手が公認会計士などの専門家と共に売り手側の会社に問題がないかチェックすることです。売り手企業の実地調査に加え、会計、税務面で問題がないか細かく調査されます。

買い手がデューデリジェンスを行う際は、売り手側も出来る範囲で協力しなければいけません。例えば買い手が会社内の実地調査を行う場合、社内の案内や会社の内部制度に関する説明などを行いましょう。

もしデューデリジェンスの結果事業の価値が異なると判明した場合、基本合意確認した後であっても譲渡価格は修正されます。

ステップ6.事業譲渡契約を結ぶ

デューデリジェンスを終え、事業譲渡が確定したら取締役会で取締役による過半数の合意を得ましょう。取締役による合意が無ければ手続きは進められないので、社内の経営陣に事業譲渡について詳しく説明しておくことが重要です。

そして取締役会で合意を得た後は、いよいよ買い手との事業譲渡契約に移ります。

事業譲渡契約とは事業譲渡に関して売り手と買い手、双方が合意したことを表す契約のことです。記載内容はケースによって異なりますが、譲渡する事業の内容や財産の概要、引き渡し時期など譲渡に必要な内容を書きこみます。

表明したことと事実が異なる場合、損害賠償が請求されることもあるので間違いのないようきちんと確認することが大切です。

ステップ7.株主に公告または通知を行う

事業譲渡/事業売却を行うことが決まったら、早めに株主に通知行いましょう。

事業譲渡が行われる20日前までに、株主には事業譲渡を行うこと、株主総会を行うことを伝えなければいけません。株主の少ない中小企業の場合、基本的には個別通知で済ませますが同時に公告を利用することもできます。

公告とは、新聞やインターネット上で会社に関する重要なお知らせを発表することです。公告を行う際は、「全国官報販売協同組合」や、各都道府県の「官報販売所」などに連絡しましょう。

公開会社である場合、株主総会で事業譲渡の契約が承認されている場合であれば、有料ですが公告のみで事業譲渡/事業売却のお知らせを済ませることもできます。公告は有料ですので、株主の人数に合わせて選択しましょう。

ステップ8.株主総会を行う

株主に事業を譲渡する旨を伝えた後は、株主総会の開催が必要になります。

そして株主総会では議決権の過半数を持つ株主が出席し、特別決議で2/3以上の賛成を得なければいけません。株主総会は事業譲渡の前日までに行いますので、早めに準備を行いましょう。

ステップ9.名義変更の手続きを行う

株主総会で賛成が得られたら、譲渡対象になっている財産の名義変更を行います。土地などの資産名義を買い手の会社に変更しておかなければ、事業を行うことができなくなるケースも多いです。

従業員が使う事業用車などに関しても、きちんと名義変更を行ってください。

このほか公正取引委員会への届け出(売上が200億円を超えている企業のみ)や、臨時報告書の提出が必要な場合もあります(有価証券報告書を提出している企業のみ)。

建設会社の事業譲渡に必要な手続きについて、アドバイザーに相談しながら進めていきましょう。

ここまでが、建設業を引き継ぐ際の手順でした。

手順をあらかじめ知っておくことで、事業譲渡までのスケジュールが立てやすくなります。早くても3カ月はかかる手続きですので、必要なものは今のうちから準備しておきましょう。

ここからは建設会社が事業譲渡/事業売却で意識すべきポイントについて解説していきます。事業譲渡に不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

5. 建設会社の事業譲渡/事業売却でチェックすべきポイント

建設会社には、会社の従業員や取引先など多くの人がかかわっています。説明が無いまま事業譲渡/売却を進めれば、従業員を中心に反発が起きる可能性は少なくないでしょう。

また売却金額や売却の範囲について、買い手との認識の違いが明らかになり話し合いが進まなくなることもあります。

トラブルを防ぐため、建設会社が事業譲渡に際して注意すべきポイントは以下の5つです。

  1. 従業員の処遇を考えておく
  2. 譲渡範囲をきちんと決めておく
  3. 建設業許可の申請をスケジュールに入れておく
  4. 公共工事に関する方針を決めておく
  5. 税金の支払い額を計算しておく

ポイントを押さえ、なるべくスムーズに事業譲渡/事業売却を行いましょう。

ポイント1.従業員の処遇を考えておく

買い手と従業員の処遇について話し合うことで、従業員の離職を防ぐことが可能です。人手不足が深刻な建設業界では、仕事に慣れた人材の離職が会社全体に大きなダメージを与えることも少なくありません。

事業譲渡後の従業員の処遇に関しては、大きく分けて2つの選択肢があります。

  • 買い手企業に転籍させ、買い手の指示のもと仕事をしてもらう
  • 自分の会社が行う別の事業に従事させる

買い手企業に転籍させた場合、従業員は引き続き譲渡事業に関する仕事を行うことが可能です。しかし買い手によっては、事業譲渡後に全く別の仕事を任せたり従業員の待遇を悪くするケースも少なくありません。

また従業員によっては「別の会社で働きたくない」「労働環境が変わるのが嫌」という理由から、譲渡前に離職を選択することもあります。

一方自分の会社の別事業に異動させた場合、従業員は今までと変わらない労働条件で働くことができます。

しかし別事業に異動させれば仕事内容が変わってしまいますので、仕事内容を重視する従業員の場合会社に大きな不満を持ち離職することもありえるでしょう。

どちらを選ぶにしても、従業員の処遇を経営者だけで決めるのはおすすめできません。事業譲渡に伴う雇用契約については、従業員の同意が必須となります。

人材を失う損失が大きい業界ですので、雇用条件を事前に確認し従業員の不利にならないよう話し合いを進めましょう。また事業を譲渡する前に、今後どんな働き方をしたいか従業員本人に確認を取ることが必要です。

ポイント2.譲渡範囲をきちんと決めておく

会社全てを売る場合、経営権や負債などは全て買い手のものとなるため細かい条件について話し合わなくてよいケースも多くあります。

一方事業譲渡では、事業のどこまでを売るのかきちんと決めなければいけません。

売却の条件を具体的に考えるポイントは、以下の通りです。

  • 従業員を何名転籍させるのか
  • 資産をどの程度渡すのか
  • 事業の範囲はどれくらいか
  • 負債は引き継ぐのか

後になって「引き継いだ」「引き継いでいない」と認識のズレでトラブルになると、買い手との関係が一気に悪化してしまいます。事業譲渡に当たっては、売り手と買い手双方が渡す事業や資産について理解しておく必要があるでしょう。

ポイント3.建設業許可の申請をスケジュールに入れておく

事業譲渡の場合、建設業許可の引き継ぎはできません。そのため建設業を続けて行うには、買い手が新たに申請する必要があります。

申請が通るまで1カ月ほどの時間がかかることもあるので、事業の引き継ぎなどは許可までにかかる時間を含め計画しておきましょう。

また買い手に建設業の経験がない場合、許可要件を満たしていない可能性が高いです。後でトラブルにならないよう、買い手が建設業を行えるか行政書士などの専門家と共に確認しておくべきでしょう。

ポイント4.公共工事に関する方針を決めておく

公共工事の場合、会社の規模が大きくなると小規模工事における入札参加が難しくなってしまいます。もちろん事業譲渡は一部の譲渡なので、自分の会社の規模が突然大きくなることはありません。

しかし買い手企業に移籍した従業員に今までと近い規模の公共工事を行ってほしいと考えている場合、注意が必要です。

買い手の企業規模によっても変わりますが、入札はランク式となっています。事業が大企業傘下に入ることで、小規模公共工事が受注できなくなることもあるので今後入札する公共工事の内容について確認しておくことが重要です。

また事業譲渡により工事の規模や内容に大きな変更がある場合、従業員に仕事のやり方などを早めに教えておくことが必要になります。譲渡後に従業員が戸惑わないよう、あらかじめ説明会や研修などを行っておきましょう。

ポイント5.税金の支払い額を計算しておく

事業譲渡/事業売却には大きな税金がかかります。

おおよその税金負担は、以下の通りです。

  • 個人が株式譲渡を行う場合…譲渡益に対して20.315%
  • 法人が株式譲渡を行う場合…譲渡益に対して約30%

譲渡益は、譲り渡す資産と負債の差額です。譲渡益が1億円の場合、個人では約2,000万円、法人では約3,000万円もの税金を支払わなければいけません。

また個人の場合も法人の場合もこれに加え、売却代金から不動産などの資産を引いた額に対し8%の消費税がかかります。例えば課税対象の資産が1億円の場合、消費税の支払い額は800万円です。

「事業を売って得た利益はすべて会社に入る」と考えるのではなく、事前に税金がどれくらいかかるのか計算しておくべきでしょう。事業譲渡の場合、税に関する特別な制度がなく節税は非常に難しいです。

しかし税金がかかるのは純利益に対してですので、費用として会社内で不足している物資や機材を買うことで純利益を減らし、節税を行うことが出来ます。

ただし利益を減らそうと会計を不正に行ったり、必要以上に物資を買い込むとペナルティを受けるかもしれません。脱税や所得隠しなどを行った場合、信用を失うだけでなく加算税や延滞税など追加の税金が発生する可能性もあります。

課税額や節税について考えたい場合、公認会計士や税理士などの専門家に早い段階で相談しておくことが大切です。

以上が、事業譲渡/事業売却の際注意しておくべきポイントでした。

事業の範囲や税金についてきちんと理解しておかなければ、大きなトラブルにつながりかねません。事業譲渡/事業売却を行う際はM&A仲介会社などの専門家に相談し、売り手、買い手双方が納得した上で契約を結びましょう。

ここからは建設会社の事業譲渡/事業売却成功事例について解説していきます。事業譲渡/事業売却に至った理由などを押さえ、会社の今後を前向きに考えていきましょう。

6. 建設会社における事業譲渡/事業売却の成功事例

人材不足が大きな問題となっている建設業界では、事業譲渡などのM&Aが多く行われています。M&Aには「大企業同士がするもの」といったイメージがあるものの、中小企業同士の事例も少なくありません。

建設事業の事業譲渡/事業売却の成功イメージは以下の通りです。

譲渡(売り手側)企業

  • 事業内容:道路造成事業、道路補修事業
  • 営業利益:2,000万円
  • 拠点:佐賀
  • 従業員数:正社員5名、基礎施工士10名

譲受(買い手側)企業
  • 事業内容:道路舗装事業、トンネル工事
  • 営業利益:8億円
  • 拠点:福岡
  • 従業員数:50名

売り手は長年土木工事事業を行って来ましたが、最近は江公共時の減少により業績が悪化していました。

今のままの経営体制では人材派遣業が会社全体の重荷になってしまうと感じ、売り手側は事業譲渡を決断。経営者が高齢だったこともあり、近いエリアで早く事業を売りたいと考えていました。

一方買い手は、福岡市を中心に道路やトンネルの整備、保守を行ってきた会社です。自社の影響力をさらに強めるため、近い事業を行う企業を探していました。

この2社は拠点としているエリアが少し遠いものの、行っている事業に共通点が多く経営者同士の話し合いはスムーズに行われました

譲渡価格は7,000万円で、今後は売り手の持つ資源を生かしさらに土木工事事業を強化するとしています。

この例のように近いエリアでの事業強化のため、買収を考える企業は少なくありません。自社の希望に合った買い手を探すため、まずはM&A仲介会社などの専門家に相談してみましょう。

ここからは、参考として事業譲渡/事業売却を行う場合の企業評価の方法について解説していきます。自社の事業がどのくらいで売れるのか知りたいという方はぜひ参考にしてください。

7. 【参考】建設会社が事業売却する時の企業評価

事業譲渡においては、譲り渡す事業の価値によって売却額が変わります。しかし未上場企業の場合、「どうやって事業の価値を出せばよいのだろう」と悩んでしまうことも多いでしょう。

企業評価の方法は様々ですが、中小企業で多く使われているのが

  • 事業価値=譲渡事業の時価資産+3~5年分の営業利益
という式です。

「譲渡企業の時価資産」とは、渡す譲渡に関連する資産の額です。建設会社の場合、事業に使う機械や工具、事業を行う拠点などが挙げられるでしょう。営業利益とは、売上総利益から販売費および一般管理費を引いたものになります。

この式に当てはめると、譲渡事業の時価資産が5,000万円、営業利益が1,000万円の場合事業の価値は8,000万円~1億円ほどです。営業利益の3~5年分が将来的な収益とみなされるので、事前に計算しておくと買い手との話し合いがスムーズに進むでしょう。

以下では、M&Aをさらにスムーズに進めるためのポイントについて解説していきます。おすすめのM&A仲介会社も紹介していますので、「事業譲渡/事業売却について詳しく知らない」という方もまずはチェックしてみてください。

8. 建設会社の事業譲渡/事業売却は専門家に相談しよう

M&Aを行いたいと考える建設会社は多数ありますが、買い手探しから契約まで全て自社で行うのは非常に難しいことです。特に異業種とのM&Aの場合、業務のやり方や会社文化の違いからトラブルが起こってしまうことも少なくありません。

M&Aに少しでも興味があるなら、最初にM&A仲介会社に相談するのが良いでしょう。M&A仲介会社はM&Aの専門家で、買収相場や手続きに関する知識も豊富です。

また買収価格がアップするよう経営に関するアドバイスも行ってくれるので、「少しでも高く会社を高く売りたい」という方は事業承継に向けて動き出す前に相談しましょう。

相談は基本的に無料となっており、仲介会社によっては着手金なしで買い手探しを行ってくれるところもあります。自社の経営について不安のある方、M&Aに興味があるという方は仲介会社の利用を検討しましょう。

M&A仲介会社をお探しなら、M&A総合研究所にご依頼ください。

M&A総合研究所は相談料、着手金、中間報酬無料となっており、少額のM&Aにも対応しています。小さな会社であってもM&Aは可能なので、まずは相談してみることが大切です。

事業承継について少しでも不安があるなら、M&A総合研究所で仲介の手数料や成功事例などを詳しくチェックしてみてください。

9. まとめ

事業譲渡を行うことで、売上の伸びない事業をまとまったお金にすることができます。M&Aによる承継には様々な方法がありますが、特定の事業だけを残したいという場合は事業譲渡/事業売却を選ぶのがおすすめです。

建設会社における事業譲渡/事業売却はM&Aに詳しい専門家に相談し、早めに自社の希望に沿った買い手を探すようにしましょう。

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