2021年09月04日更新
事業承継は税理士に相談するのが良い?報酬や内容も解説
最も身近にいる自社の相談相手として税理士がいます。税理士は、税務や会計に関する専門家です。その専門家に事業承継の相談をしても大丈夫なのでしょうか?この記事では、事業承継に関する相談を税理士にしたときの報酬や内容などについて紹介します。
目次
1. 税理士による事業承継
まずは、事業承継や税理士とはどのようなものなのか見ていきましょう。
事業承継とは
事業承継とは、事業を後継者に引き継ぐことをいいます。近年、事業承継を行いたいと考える中小企業は増加傾向にありますが、事業を引き継ぐことは経営者のみでそう簡単に行えるものではありません。
中小企業の多くは後継者問題を抱えており、事業承継を行いたくてもなかなかできないケースが少なくありません。
また、事業承継の際は、会社法や金融商品取引法などに抵触しないよう手続きを進めなければなりません。しかし、経営者自身が法律に関する専門的な知識を有することは少ないため、専門家にサポートを依頼するのが一般的です。
中小企業にとって普段からなじみがあるのは、会計・税務面での相談をする税理士であることも多いでしょう。しかし、税理士に事業承継の相談はできるのでしょうか。この記事では、税理士に相談できる内容や報酬の相場を紹介します。
税理士とは
税理士とは、税務代理や税務書類の作成、税務相談を業務として行う士業です。中小企業の経理を代行するケースが多いため、中小企業の経営者と税理士は密接な関係を築きやすく、財務面だけでなく経営面でも税理士が対応するケースが多々あります。
また、中小企業経営者から事業承継の相談を受けることも多いでしょう。事業承継に関する税務書類作成業務だけでなく、事業承継の支援業務を行うところもあります。
事業承継士とは
事業承継士とは、中小企業の事業承継をサポートし、事業承継に関する専門的な知識を有する専門家です。
税理士との大きな違いは専門分野です。税理士は事業承継に関する税務が専門分野ですが、事業承継士は税務を含め、事業承継全般を専門に扱います。
事業承継士やM&A仲介会社は事業承継を行う経営者をフルサポートしますが、税理士は事業承継士やM&A仲介会社を仲介するまでにとどまることが多いです。
2. 税理士が行う事業承継の業務
事業承継は、承継方法により業務内容が異なります。財務・納税資金調達のアドバイザリー、親族間の調整など、幅広い業務が考えられます。
親族内事業承継
親族内事業承継では、後継者に株式を引き継ぎます。相続、贈与、譲渡が主な方法です。これらの方法で生じる税金に関する手続きが、税理士の主な業務です。
また、税務申告の手続き、株式評価に比例し高額となる納税資金の確保や承継後における経営体制の確立など、事業承継の総合的なアドバイスを行うケースもあります。
親族外事業承継
親族が後継者にならないケースでは、会社の解散、あるいは親族以外に引き継ぐことになるでしょう。
親族外事業承継における税理士の業務は、役員や従業員による買収(MBO・EBO)では持ち株会社となるSPC(特別目的会社)設立から資本構成、合併などの手続き、財務、税務面のアドバイザリーなどです。
M&Aによる事業承継
承継先が見つからないときは、外部の個人あるいは法人に事業や会社を譲渡するM&Aによる事業承継の方法もあります。
M&Aによる事業承継では、税理士はM&Aの税務や節税対策などを行います。
3. 事業承継を税理士に相談するメリット・デメリット
事業承継を税理士に相談すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。この章では、事業承継を税理士に相談する場合に想定されるメリット・デメリットを解説します。
事業承継を税理士に相談するメリット
事業承継を税理士に相談するメリットには、主に以下の3つがあります。
- 顧問税理士がいるため相談しやすい
- 専門的な知識によりサポートを受けられる
- 税制に関する専門知識がある
顧問税理士がいるため相談しやすい
1つ目のメリットは、顧問税理士がいるため相談しやすいことです。先ほども述べたように、税理士は中小企業の経理を代行しているため、財務面だけでなく経営面などに関する相談を受けるケースが多いです。
そのため、経営者にとっては事業承継に関する相談も顧問税理士であれば相談しやすいと考えられます。税理士に相談すれば、付き合いのある専門家やM&A仲介会社などを紹介してもらうことも可能です。
専門的な知識によりサポートを受けられる
2つ目のメリットは、専門的な知識によりサポートが受けられることです。税理士によっては事業承継の案件に多く携わっており、専門知識に加えノウハウも持ち合わせています。
事業承継に精通した税理士であれば、仲介会社や事業承継士への仲介依頼をしなくてもサポートを受けることが可能です。
税制に関する専門知識がある
3つ目のメリットは、税制に関する専門知識があることです。事業承継では、手続きやスケジュールだけでなく、節税対策も行うことが重要です。
事業承継の際は会社の資産を後継者に引き継ぎますが、一般的に会社の資産は金額が大きいため、かかる税額も高くなります。
これは後継者にとって大きな負担になるため、納税の負担を少しでも小さくするために対策を講じることが必要です。
事業承継に利用できる税制優遇措置や控除などもあるので、専門家である税理士に相談すれば、効果的な節税も可能です。
事業承継を税理士に相談するデメリット
事業承継を税理士に相談する際は、メリットだけでなくデメリットも把握することが必要です。ここでは主なデメリットを2つ紹介します。
- 仲介業務などがあてにできない
- M&Aに対するスキルが不足している
仲介業務などがあてにできない
1つ目のデメリットは、仲介業務などがあてにできないことです。一般的に、税理士は依頼される企業に関する税務や経営の相談、業務を請け負っています。
税理士内にもネットワークがあるため、事業の引き受けが可能である企業を紹介してもらえる可能性もありますが、M&A仲介会社が持つネットワークに比べると対象となる企業は少ないです。
そのため、税理士に事業承継を依頼するだけでは、自社が希望する企業を紹介してもらえないなど、十分なサポートを受けられない可能性もあります。
M&Aに対するスキルが不足している
2つ目のデメリットは、M&Aに対するスキル不足があることです。税理士の専門分野は税務であるため、M&Aに対するスキルを持たないことが一般的です。
M&A仲介会社に在籍している場合は別ですが、事業承継業務の経験がある税理士でも専門家やアドバイザーにスキル面で上回るのは難しいでしょう。
このことを理解している税理士は自身で事業承継をサポートするのではなく、M&A仲介会社などに業務を依頼するケースが多いです。
4. 事業承継は税理士に相談するのが良いのか?
先ほどのメリット・デメリットを踏まえると、事業承継を税理士に相談するのは良いことなのでしょうか。ここでは、事業承継に必要な知識やネットワーク、税理士の仕事と事業承継との相性における観点から解説します。
事業承継に必要な知識やネットワーク
税理士であれば、事業承継に必要な知識やネットワークは最低限持っていることが一般的です。しかし、M&A仲介会社は大規模なネットワークを持ち、事業承継に関する豊富な専門知識も有します。
知識やネットワークの観点から考えると、事業承継に関しては税理士が有する知識やネットワークだけでは不十分な面もあると考えられます。
事業承継で必要な知識
事業承継では、会社の資産価値を評価し、課税される税金を把握しなければなりません。非上場企業は承継先で評価方法が変わり、相続税法の規制により売却できないなどの制約もあるので、事業承継に関する知識は重要です。
事業承継におけるさまざまなケースに対応するために必要な主な知識は、以下です。
- 自社株評価
- 合併・M&A
- 株式移転・株式交換
- 持ち株会社、SPCなど
- 遺産相続、分割
- 相続税、贈与税
税理士の仕事と事業承継との相性
事業承継では半分以上が資金や節税などお金に関する内容となるので、税理士の仕事と事業承継との相性は非常に良いといえるでしょう。事業承継に関する税務や会計の相談・サポートは、税理士が最適であるともいえます。
5. 事業承継を税理士に依頼した際の報酬内容
事業承継を税理士に依頼した場合、報酬は依頼する仕事の量や難易度によって決まります。
例えば、事業承継に伴う事業計画書の作成で報酬が発生します。また、事業承継税制を申請するための書類作成は、1枚当たりで報酬が発生します。
M&A仲介会社のようなフルサポートを前提とした成功報酬制ではなく、タスクごとに報酬が発生する料金体系です。
事業承継に伴って移動する資産額が1億円で、中程度の難易度における事業承継の場合、総額で400万円~500万円の報酬額が相場です。
6. 税理士が行う事業承継の業務内容
税理士が行う事業承継の業務内容に、事業承継支援と株式承継支援があります。ここでは、2つの業務内容を解説します。
事業承継支援
事業承継の税務面の支援を行います。具体的には、事業承継に関する相談や自社評価額の計算、デューデリジェンス業務などです。
また、税理士によっては、スケジュールの策定や事業承継先の探索、事業承継戦略の策定などを行います。
株式承継支援
株式承継支援も税理士が行っています。株式承継では事業承継税制が適用できる可能性があり、税制面は税理士の専門分野です。
事業承継税制とは、後継者の税負担を軽減するため一定の要件を満たした後継者に対して、相続された自社株式については相続税・贈与税を猶予する制度のことです。
事業承継税制は平成30年に改正されましたが、事業承継税制の適用を受けるためには、特例承継計画を令和5年3月までに策定し、都道府県知事に提出して確認を受けなければなりません。
また、事業承継税制の申請書などさまざまな書類を作成する必要がありますが、この業務に関しては税理士が行えて、経営者を支援します。
7. 税理士に事業承継を相談する際のポイント
最後に税理士に事業承継を相談する際のポイントについて以下の5つを紹介します。
- 事業承継の準備を早めに行う
- 税理士が複数在籍する法人を選ぶ
- 各種税制に知識のある税理士を選ぶ
- 事業承継の実績のある税理士を選ぶ
- 別の専門家にも相談する
①事業承継の準備を早めに行う
1つ目のポイントは、事業承継の準備を早めに行うことです。後継者が決まっている事業承継では、後継者育成の期間が必要になるため5~10年かかります。
また、後継者がいない状態でも事業承継を行えますが、事業承継先を探し交渉を行うとなれば、1年以上かかることもあります。
事業承継をスムーズに終えるためには、準備を計画的に行うことが必要となるため、早い段階で税理士に相談することが大切です。
②税理士が複数在籍する法人を選ぶ
2つ目のポイントは、税理士が複数在籍する法人を選ぶことです。事業承継のサポートでは、交渉や事業承継先の調査なども欠かせないため、税理士が1人で対応するにはスケジュール的に厳しい可能性も考えられます。
複数の税理士が在籍する法人であれば、業務を効率よく進められるので、結果として事業承継もスムーズに進めることが可能です。
そのため、事業承継のサポートを依頼する際は、税理士が複数人在籍する法人を選びましょう。
③各種税制に知識のある税理士を選ぶ
3つ目のポイントは、各種税制に知識のある税理士を選ぶことです。事業承継には節税が重要であることは、先に述べたとおりです。
特に事業承継で利用できる税制に詳しい税理士を選ぶことで、納税額を大きく抑えられます。
④事業承継の実績のある税理士を選ぶ
4つ目のポイントは、事業承継の実績のある税理士を選ぶことです。税理士は税務が専門分野であり、事業承継の手続きやスキームに関しては専門外です。
実績のない税理士を選んでも依頼を断られたり、知っているM&A仲介会社を紹介されたりして終わる可能性が高いです。
そのため、事業承継の実績があり、事業承継の業務も行う税理士を選びましょう。
⑤別の専門家にも相談する
5つ目のポイントは、別の専門家にも相談することです。事業承継に関する専門家は、税理士だけではありません。
法務面では弁護士、従業員の処遇は社労士、戦略や事業承継全般はM&A仲介会社や中小企業診断士、事業承継士に相談できます。
そのため、税理士以外にも各専門分野の専門家に相談して、自社に合うところにサポートを依頼しましょう。
8. 事業承継の悩み解決におすすめの相談先
事業承継の相談は、まず仲介会社の無料相談を利用することをおすすめします。M&A仲介会社には、M&Aアドバイザーなどが在籍しており、事業承継の交渉や手続きなど一貫したサポートを受けられます。M&A総合研究所には、M&Aや事業承継の実績が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートいたします。
また、M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談をお受けしておりますので、事業承継をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
9. まとめ
今回は事業承継を税理士に相談したときのメリットや報酬などを紹介しました。税理士業務と事業承継の業務は相性が良いため、相談に応じるところがほとんどです。
しかし、より成功確率を高めたい場合はM&A仲介会社など、事業承継に関する専門家に相談するのも良い手段と考えられます。
【事業承継を税理士に相談するメリット】
- 顧問税理士がいるため相談しやすい
- 専門的な知識によりサポートを受けられる
- 税制に関する専門知識がある
【税理士に事業承継を相談する際のポイント】
- 事業承継の準備を早めに行う
- 税理士が複数在籍する法人を選ぶ
- 各種税制に知識のある税理士を選ぶ
- 事業承継の実績のある税理士を選ぶ
- 別の専門家にも相談する
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